路線データ
路線名 | 八高線 |
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路線区間 |
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ラインカラー |
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路線距離 | 92km |
軌間 | 1,067mm |
駅数 |
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最高速度 |
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複線区間 | 北藤岡 - 倉賀野※ |
単線区間 | 八王子 - 北藤岡 |
電化区間 | 八王子 - 高麗川/北藤岡 - 倉賀野※:直流1,500V |
非電化区間 | 高麗川 - 北藤岡 |
複線区間 | 大宮 - 日進 |
単線区間 | 日進 - 高麗川 |
閉塞方式 |
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保安装置 | ATS-P |
運転指令所 |
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大都市近郊区間 | 東京近郊区間:全線 |
ICカード乗車券エリア | 「Suica」首都圏エリア:全線 |
第1種鉄道事業者 | 東日本旅客鉄道(JR東日本) |
※北藤岡 - 倉賀野間は高崎線との共用区間
概要
八王子(東京都八王子市)と倉賀野(群馬県高崎市)を結ぶ東日本旅客鉄道(JR東日本)の鉄道路線で、地方交通線。
倉賀野を経由する全列車が高崎線高崎(高崎市)まで直通するため、運行系統上は八王子 - 高麗川 - 高崎間路線として扱われる。また、北藤岡(藤岡市) - 倉賀野間では高崎線と線路を共有するが、高崎線側にホームは設置されていない。
また、かつては全線に渡り貨物列車が運行されていたため、日本貨物鉄道(JR貨物)が第2種鉄道事業者であった。
「八王子から高崎までを結ぶ」から八高線であり、渋谷の待ち合わせ場所に鎮座する犬とは関係ない。
八王子 - 高麗川間は1996年(平成8年)3月16日に直流電化されている。旅客線としては東京都内最後の非電化路線であった。なお、埼玉県非電化旅客線としては現在も唯一、群馬県内では2つあるうちの1つ(もう1つはわたらせ渓谷鐵道わたらせ渓谷線)である。非電化区間についても沿線で電化要望はあるものの、計画されるまでには至っていない。
南部直流電化以降、高麗川で列車系統は分断されている。便宜上、電化区間を「八高南線」、非電化区間を「八高北線」と呼ぶこともあるが、公式なものではない。ただし、全通前には正式路線名であった。
全線が大都市近郊区間の東京近郊区間及び交通系ICカード乗車券「Suica」首都圏エリアに指定されている。
沿線概要
沿線周辺の様子や運行から山間部を通る路線と想像されるがそうでもなく、金子 - 東飯能間加治丘陵中央部や、東飯能 - 小川町間の関東平野を進む以外の区間は比較的高低差の安定した場所を通っている。さらに、何と全区間を通してトンネルが1つもない…が、これは八高南線直流電化以降の話。かつては東福生 - 箱根ケ崎間横田基地滑走路延長上に1ヶ所のみ存在したが、直流電化工事の際に天井のみ取り除かれて左右の壁のみ残る。本来は飛行機からの落下物から鉄路を守るために造られたもの。現在も法律上はトンネルとして扱われるため、地図やナビなどによってはトンネル記号が表記される場合がある。
沿線には拝島・東飯能・高麗川・小川町・寄居といった主要な乗換駅が多くある。しかし、列車本数が少なく、川越線と直通する高麗川や青梅・五日市線と接続する拝島等、一部を除き、他路線や他社線との接続がほとんど考慮されていない。
これは元々この路線が群馬県製糸業や埼玉県秩父市のセメントなどの貨物輸送を主眼に置いて建設されたものであり、長いこと旅客に力を入れて来なかったことが原因。実は敗戦直後に死者100人越えの死亡事故を2度も起こしたという黒歴史もある……
さらに小川町 - 寄居駅間は東武東上本線も通っており、竹沢は目と鼻の先に東武竹沢がある。本数でいえばあちらの方が圧倒的に多く、小川町からは池袋や土休日限定で本数は僅かだが新宿3丁目・渋谷・横浜に直行出来るため、これと比べて利便性が薄い八高線同区間は全体から見て最も本数が少ない。HONDA新工場に因んで出来た新駅・みなみ寄居も東上本線の方であり、八高線には全く影響がない。
これだけ聞くと東上本線が八高線の客を奪った様にも聞こえるが、実態はその逆。結果として後から出来た八高線が東上本線群馬延伸計画を横取りしてしまったのである)東上本線は元々東京から群馬【上州】を経て新潟に至る路線として計画されており、寄居駅からそのまま高崎市に抜ける予定だったが、八高線が通ることが決定したため、寄居で打止めとなった。高崎から長岡への経路構想も上越線と毛呂被り…もといモロ被りである)。
近年、特に北八王子駅周辺は開発により急速に人口が増えており利用客も急上昇しているが、路線としての扱いはあくまでも地方交通線であり、周辺路線より運賃が割高になってしまうのが利用者の悩みの種となっている。
複線化や列車増発の要望もあるが実現には至っていない。一応、1996年の電化は八王子駅~高麗川駅間沿線の急激な人口増加に対応したものではあったが……
そして同様の問題が実は北でも起きている(群馬藤岡駅。藤岡市内を走る鉄道が八高線しかなく、朝夕の時間帯は恐ろしく混雑する)。
歴史
開通 - 全通まで
全通後 - 国鉄分割民営化まで
- 1945年(昭和20年)8月24日:小宮 - 拝島駅多摩川橋梁上において列車衝突事故が発生。死者105名。
- 1947年(昭和22年)
- 1958年(昭和33年)11月20日:旅客列車無煙化。
- 1959年(昭和34年)6月10日:北八王子駅新設。
- 1961年(昭和36年)2月21日:北藤岡駅新設。小野信号場を同駅に統合。
- 1973年(昭和48年)4月1日:大都市近郊区間及び東京近郊区間新設に伴い、八王子 - 高麗川間が指定
- 1987年(昭和62年)4月1日:国鉄分割民営化に伴い、JR東日本が第1種鉄道事業者、JR貨物が第2種鉄道事業者として継承。
国鉄民営化以降
- 1996年3月16日:八王子駅〜高麗川駅間直流電化。川越線及び青梅線経由中央快速線との直通運転を開始。高麗川駅〜高崎駅間のワンマン運転開始。
- 1999年(平成11年)6月1日:東京近郊区間拡大に伴い高麗川駅〜倉賀野駅間が指定され、全線が区間内となる。
- 2001年(平成13年)11月18日:交通系ICカード乗車券「Suica」サービス開始に伴い、八王子駅〜高麗川駅間が首都圏エリアに指定される。
- 2002年(平成14年)2月8日:「Suica」首都圏エリア拡大に伴い、高麗川駅〜倉賀野駅間が指定される。但し東武鉄道管理駅の小川町駅は除く。
- 2002年10月:小川町駅で「Suica」サービス開始。
- 2005年(平成17年)3月31日:JR貨物の第二種鉄道事業廃止。
- 2022年(令和4年)3月12日:八王子駅〜高麗川駅〜川越線間でのワンマン運転開始。青梅線・中央快速線との直通運転終了。
運行形態
1961年(昭和36年) - 1965年(同40年)まで新宿駅 - 上越線水上間を八高線経由で結んだ準急「みくに」が運行されていたが、それ以外では定期優等列車は存在していない。
現在の運行形態
全区間で普通列車のみ運行されている。
前述の通り電化前は全線を走破する列車も存在したが、現在は高麗川駅を境に八高南線〜川越線と八高北線で運行形態が分かれている。
電化区間の中間駅は全て列車交換が可能だが、非電化区間は一部の交換可能駅が軒並み棒線(1面1線)化されたため現在は交換不可駅が圧倒的に多い。その為運行間隔が異なり、高麗川駅での接続時間はまちまちである。
余談だが系統分割されている高麗川駅の頭文字が「高」であるせいで、八高線を「八王子から高麗川までを結ぶ路線」と思っている人もいるが、これは誤りである。
- 八王子 - 高麗川間
全列車が直流通勤形電車で運行されている。前述の通り2022年3月12日ダイヤ改正以降はワンマン運転を行なっている。
八王子 - 川越線川越間での運行を基本とし、日中は毎時2本程度設定されている。一部は八王子 - 拝島・箱根ケ崎・高麗川間や高麗川発拝島行といった線内運用や朝には川越車両センターからの出庫のため、川越線南古谷始発列車が設定されている。
なお、川越・八高線とで上下方向が異なる(八高線は八王子方面が上り、川越線は大宮方面が上り)ため、列車番号が高麗川で切替わることとなる。
- 高麗川 - 倉賀野( - 高崎)間
全列車がキハ110系一般形気動車で運行されている。ほとんどの列車でワンマン運転を行なうが、一部列車は車掌が乗務する。
高麗川 - 倉賀野 - 高崎間運行を基本とし、高麗川 - 小川町間や小川町・児玉 - 倉賀野 - 高崎間区間列車も存在する。
高麗川 - 小川町間及び児玉駅〜高崎駅間は日中でも概ね毎時1本は確保されているが、小川町 - 児玉間は2時間程度列車間隔が開く時間帯が存在する。
2025年(令和7年)度下記にHB-E220系ハイブリッド気動車が導入され、キハ110系を置換える予定。
過去の運行形態
- 中央本線直通
1996年3月16日の八高南線電化に伴い、運行開始。東京 拝島 - 高麗川間で運行され、後に平日の下りのみ箱根ケ崎行が追加された。いずれも中央・青梅線内では五日市線発着列車と併結されていた。
平日は朝に上り快速が2本・夜に下り通快高麗川行・快速箱根ケ崎行が1本ずつ、土休日は朝に上り青梅特快が1本・夜に快速が1本運行されていた。なお、種別に関わらず八高線内は各駅に停車した。
2022年3月14日ダイヤ改正で八高・五日市線ワンマン運転が開始されることに伴い、廃止。
駅一覧
八王子 - 高麗川間
高麗川 - 倉賀野間
高崎線区間も記載。
駅名 | 乗換路線 | 備考 |
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高麗川 |
| - |
毛呂 | ||
越生 | 東武越生線(TJ47) | - |
明覚 | ||
小川町 | 東武東上本線(TJ33) |
|
竹沢 | ||
折原 | ||
寄居 | 秩父鉄道管理駅 | |
用土 | ||
松久 | ||
児玉 | 当駅発着あり | |
丹荘 | ||
↑埼玉県/↓群馬県 | ||
群馬藤岡 | ||
北藤岡 | 高崎線分岐点 | |
↑非電化/↓直流電化 | ||
倉賀野 | 高崎線東京方面 | |
高崎 | - |
使用車両
現役車両
川越車両センター所属直流通勤形電車。中央・総武緩行線からの転属車。電化区間で運用中。
- キハ110系200番台
ぐんま車両センター所属一般形気動車。非電化区間で運用中。新型気動車導入に伴い、2025年より順次撤退開始予定。
E491系は勝田車両センター所属交直流両用電車、キヤE193系は秋田総合車両センター南秋田センター所属気動車、マヤ50は仙台車両センター所属建築限界測定車。
尾久車両センター所属の事業用気動車(レール輸送車)。
工事列車として不定期入線。
過去の使用車両
JR東日本所属
川越車両センター所属の直流通勤形電車。
103系3000・3500番台・209系3000番台は八高南線電化時から運用されていた。
205系3000番台は山手線、209系3100番台は東京臨海高速鉄道りんかい線からの転属改造車。103系3000・3500番台置換のために導入された。
205系3000番台・209系3000・3100番台は209系3500番台・E231系3000番台導入に伴い、全車廃車・解体された。
豊田車両センター所属直流通勤形電車。中央快速線系統用車両。
中央快速線直通列車で運用されていたが、201系0番台は103系故障時の代走として川越線直通列車で運用されたこともあった。
高崎運転所(現・ぐんま車両センター)所属の気動車。
キハ30・キハ35・キハ38形がメイン運用されていたが、いずれも八高南線電化時に廃車or久留里線に転属した。さらに、久留里線転属組は現在水島臨海鉄道に渡っている。
なお、キハ35形のうち、相模線からの転属車は同線塗装のまま運用された時期があった。
キハ40・キハ45形は民営化後の短期間運用されていた。
JR貨物所属
高崎機関区所属のディーゼル機関車。貨物列車牽引機。
導入予定
ハイブリッド気動車。2両編成8本導入予定。
関連タグ
- 相模線:貨物輸送に重点を置き過ぎて旅客輸送に力を入れず、1990年代に入ってようやく電化された関東の単線路線仲間。神奈川県旅客路線最後の非電化路線であった。車両が置換えられて以降、ワンマン運転が開始された点も共通。八高線で走っていたキハ35系の中には相模線から転属されたものも混ざっていた。
- BUCK-TICK:今井寿の実家「今井商店」が群馬藤岡付近にある