概要
生物のワライタケ
ワライタケとは、オキナタケ科ヒカゲタケ属の毒キノコ。
学名Panaeolus papilionaceus。英名Panaeolus。同種のキノコは世界中に広く分布している。
毒成分は中枢神経に働きかけ、幻覚、幻聴、痺れなどの症状とともに理由もなく笑い出したり、泣き叫んだりする逸脱行為や異常行動が数時間続くといわれている。
しかし、自然由来の毒のため効果は一定ではなく、悪寒や吐き気、腹痛などの胃腸障害を伴う場合もあり、落ち込んだり恐怖感に襲われるバッドトリップという状態に陥ることもあるという。
純粋な毒性による死亡例は知られていないが、高所より飛び降りるなどの自殺行為をおこなった結果、死に至った例はある。
また、自律神経の異常により高熱が出る場合もあるといわれ、幼児や高齢者の体には負担が大きく危険である。
細い柄に亀甲状にひび割れた小ぶりの傘を持ち、食欲をそそるような形状はしていない。
近年ではヒカゲタケやサイギョウガサという名のキノコは、生育環境によって変化した同じものだといわれる。
牛糞や馬糞などに生える糞生菌であり、一説によると牛や馬などの草食動物とは共生関係であり、ストレス解消のための遊びとして食べてもらい、菌糸や胞子を排泄させることで分布域を増やしているといわれる。
日本では菌類学者の川村清一が、古文書や海外での事例報告にある「笑い茸」の種を同定しようとしていたところ、1917年(大正6年)に石川県でこのキノコによって一家全員が中毒したために和名「ワライタケ」と命名した。
妻が笑いながら裸でエア三味線を弾き、母が一晩中「自分の責任だ」と謝り続けたというこの中毒事例は様々なところに引用され、近代以降の創作に大きな影響を与えている。
中毒になっても致命的ではない場合が多く、食べた量にもよるが数時間で症状が収まるため、知られるのは「恥ずかしい」と表に出ていない事例が多数存在していると思われる。
1991年には沖縄県でも中毒事例があり、一番重症だったものは魚に食べられて湾岸戦争に参加した気になりとても愉快で呼吸するのを忘れたと呼吸困難で救急搬送されている。
通俗的なワライタケ
日本では平安時代の「今昔物語集」に書かれている山で遭難した尼僧たちが食べたところ笑いながら踊りだしたというキノコ「舞茸」の話や、笑ったことが無い男「仏頂さん」を笑わせるために紅葉に生えるキノコを使う古典落語「笑い茸」などがあり、古くからその存在は知られていたようである。
その他忍者が敵陣を混乱させるためにこのキノコを調合した毒薬を使用したという話や、妖怪譚や憑き物などの怪異の正体は中毒症状であるという説がある。
こういった毒性のキノコは海外ではマッシュルーム栽培の邪魔になる、食べると酔う雑草キノコやマジックマッシュルームとして知られており、かつては海外産のものが脱法ドラッグとして流通していた。しかし、摂取した者による事件が多発したために現在では麻薬及び向精神薬取締法において麻薬原料植物として指定されており、所持しているだけでも犯罪になる。
海外においてもトラブルが多発していることから規制の対象になってきており、規制されていない種がマジックトリュフという名で流通しているという。
なお鬱病などの症状改善に、この種の毒成分が役に立つのではないかと研究もされている。
2021年にそれを聞いて自身の症状を改善しようと、同じ毒成分を持つミナミシビレタケを煮出した汁を静脈注射したアメリカ人男性は、血液内に菌糸が増殖し臓器の機能不全を起こして重篤となり集中治療室送りになってしまった。
創作における扱い
登場人物が食べてしまい「アヒャヒャヒャヒャ」と笑い転げるというテンプレは小説や児童書、漫画、アニメなどでは古くからあり、上記の落語のようにめったに笑わない者に対して食べさせるというネタもあった。
しかし、現在ではマンネリ化によって、もしくは違法薬物使用の犯罪行為とみなされるためか減少している。
おもにギャグ回と呼ばれるものに登場することが多いが、食べると笑い死にするものやキノコ怪物に変わってしまう種などもあり、ホラー作品や推理物、艶笑譚で使われることもある。
名前や形状、症状は劇中での扱いによって変わり実物とは大きく異なる。
亜種として泣き茸、怒り茸などが登場する場合もある他、摂取した人物の特性や相性によって、症状が変化する場合もあり、笑っているような微妙な表情のものやゲラな人物がそのように称されることもある。
シチュエーション
:星の子ポロン/W3/ドン・チャック物語/ムーミン/一休さん/ふしぎの海のナディア/ハイスクール!奇面組/こちら葛飾区亀有公園前派出所/燃える!お兄さん/ボンボン坂高校演劇部/るろうに剣心/クレヨンしんちゃん/おるちゅばんエビちゅ/コジコジ/忍たま乱太郎/ロビンフッドの大冒険/破壊王ノリタカ/エア・ギア/K2/ねこむすめ道草日記/鎌倉ものがたり/セブンきゅ~ぶ/ビーロボカブタック/ゲーム版まほろまてぃっく/ポケットモンスター(やまおとこ)/テイルズオブリバース(ティトレイ・クロウ)/漫画版キングダムハーツ(ザルディン)/カウボーイビバップ/素敵探偵ラビリンス/舞-乙HiME/コメット・ルシファー/ブレイブウィッチーズ/スライム倒して300年(ハルカラ)/家政婦は見た!など
- いたずらで相手に食べさせる。
:いじわるばあさん/エイリアン通り/鉄鍋のジャン!/テイルズオブゼスティリア(導師の休日)/ゆうひが丘の総理大臣など
- 敵が社会を混乱させるために使用。
:東映版スパイダーマン/ウルトラ兄弟物語/中華一番!/アニメ版NARUTO/宮廷女官チャングムの誓いなど
- 敵を行動不能にするために使用。
:それいけ!アンパンマン/おむすびまん/けろっこデメタン/半熟英雄(フォーリシア/キノコやろう)/忍者らホイ!/メルヘヴン(ジャック)/イノサンRouge(マリー=ジョセフ・サンソン)/マジンガーZIP!/デジタルモンスター(マッシュモン)/玉川区役所OF THE DEADなど
- 犯罪トリックに使用。
:人形佐七捕物帳/銭形平次捕物控/金田一少年の事件簿/サイコメトラーEIJIなど
- 研究していたものが漏えいし中毒。
:パーマン/おじゃまんが山田くんなど
- 中毒しただけではなく怪物化。
- 発見してあえて食べる。
:はじめ人間ギャートルズ/元祖天才バカボン/りすのバナー/カムイ外伝/空手小公子小日向海流/エリートヤンキー三郎/波打際のむろみさん/センセイの鞄/天からトルテ!/笑ゥせぇるすまん/MOTHER3(タネヒネリ島)/新・世界樹の迷宮2/文豪ストレイドッグス(太宰治)/グランブルーファンタジー(ルドミリア)/ヴィンランド・サガ/ミッドサマー/縄文少年ヨギ/不思議の国のアリス/tedなど
- 孤独を紛らわせるための苦肉の策として、あえて口にした:ONEPIECE
- 発見して正体に気付き食べない。
:アトリエシリーズ/今日から俺は!!/ボクらの太陽/げらげらブース物語/夢のクレヨン王国など
- 胞子や粉末を吸うことで可笑しくなって爆笑してしまう。
:ついでにとんちんかん/ポールのミラクル大作戦/漫画版カルドセプトなど
- キノコ系のモンスターやキャラの名前。
:サガ3時空の覇者/うしおととら深淵の大妖/ラタトスクの騎士/きのこれ/Miitopiaなど
- メタ発言として出てくるがもっと大変なことや別なことが起こる。
:痕おまけシナリオ/さよならを教えて/フォーチュンクエスト/ニンジャスレイヤー/自衛隊彼の海にて、斯く戦えり/侵略!イカ娘/きんいろモザイク/がらくた屋まん太など
- 同じような効果がある架空のものを誤食。
:まことちゃん(3分間笑いナズナ)/猫でごめん!(笑いパパイヤ)/リリス(新種の笑い河豚)/ゼロ(神の茶)/ONEPIECE(SMILE)/アーロと少年(腐った果物)など
- キノコに親和性が高いキャラクター設定で二次創作などで関わる。
:スーパーマリオ/霧雨魔理沙/星輝子/メルヘン毒キノコシャンピニオン/スーシィ・マンババラン/小森希乃子/紺野純子/煙など