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古い車両を大切に末長く使いましょう

ふるいしゃりょうをげんかいなんかむししてこきつかいたおしましょう

タイトルそのままのとおり、古い車両を大切に末永く使う計画。
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概要編集


初出はニコニコ動画にある迷列車で行こうシリーズの『通勤電車103系 新たなる伝説【迷列車列伝#08】』という動画。「既存の資源を有効活用すべく、旧型車両に延命工事を施してさらなる活躍の場を与えよう」、つまり「既存車両を補修しながら長く使おう」という意味・計画を表す鉄道ファン用語。


一例編集

※「更新車」の記事でも延命工事の一例が紹介されている。


JR西日本の場合編集

  1. JR西日本は経営基盤が弱い一面もあり、規模のわりに大規模な車両更新には及び腰である。
  2. しかし、私鉄王国関西で生き残る為には画一的で陳腐化の激しい国鉄車両では競争力に欠ける。
  3. よし、競争の激しい路線には新型車両を投入しよう!ある程度利用者が見込める路線にはリフォームした国鉄車両を走らせればいいや!
  4. これはいい!採用だ!

・・・延命工事の内容だが、

  • 窓まわりや屋根周りを新車同然にスッキリさせたもの。
  • 内装を新型車に合わせたもの。
  • 台車だけ旧型のものを使い回し、車体は新造したもの
  • ガムテープで補修
  • チクビーム搭載
  • 標識灯のLED化、クリアレンズ化

・・・など、じつに多彩である。


この計画の発動例編集

JRグループ編集

  • 103系201系
    • もちろんJR西日本で発動した典型的な例。中には新車同然の状態になったものも活躍している。これらは製造後40年を超えても第一線で活躍したが、さすがに老朽化には勝てず、置き換えが進行中で残存車両は少ない。
    • 2023年現在、西日本管内で残存する103系は、四隅を丸くした逆T字窓や前面3連窓から桟を取っ払って一体化するなどしてパッと見新しいように見える「40N体質改善車」のみが残存している。また所属線区も加古川線播但線を残すのみで全て2連車である。
    • 同年まで原型の面持ちを残した(厳密には一部改造されている)車両が和田岬線に残存していたが置き換えによって消滅した。
  • 113系115系
    • JR西日本、JR四国JR東日本で発動。JR西日本は上記の通り。JR四国は顔面を別物に作り替えるという芸当を行い、印象が大きく変わった(メイン画像)。
    • かの有名なサンパチ君はJR西日本で行われた。ただし長期使用は見越しておらず、改造から7年で消滅した。
  • 211系
    • JR東日本で2024年になってから発動。「当面使用に伴う延命工事」として屋根上の補修およびベンチレーターの撤去などが施行される。なお、お隣のJR東海では2024年度に引退予定
  • 485系
    • JR東日本で発動。東北地方を中心に活躍した3000番台は新車のような大規模なリニューアルが施された他、種車が分からないほど見違えるジョイフルトレインが多数作られた。そのジョイフルトレインが2023年に全廃されて形式消滅。
  • 381系
    • JR西日本で発動。特急「やくも」用の全車がリニューアルを施され、最新の特急型車両と遜色ない車内設備を有する。他線区では非振り子式の後継車両に置き換えられて2015年までに廃車されたが、伯備線の複雑な線路形状から「やくも」のみそれが出来ず、長く生き残ることになった。
    • 結果として最後の国鉄型特急電車による定期列車として注目を浴びることになったものの、2024年から273系の投入により廃車される予定。
  • キハ40系
    • JR北海道、JR東日本、JR西日本、JR九州で発動。エンジンの換装やジョイフルトレインへの改造による延命が盛んで、中には後発の車両より長生きしている例もある。
    • 廃車後も中小私鉄や海外への譲渡が盛んに行われており、今後しばらくは国内外での活躍が続く見通しである。
  • EF65DD51DE10などの国鉄型機関車
    • JR東海を除く各社で発動。現在の旅客鉄道においては機関車そのものの需要が極端に低く、工事やイベント列車のためだけに新造する必要がないため、国鉄時代の旧型機関車を補修しながら長く使っている。JR貨物でも、少数ながら国鉄型機関車が今なお活躍している。
    • 現在は車齢40年を超えるのが当たり前となっており、20年足らずでの廃車が珍しくなかった国鉄時代とは比べ物にならないくらい長寿命化している。
    • JR貨物所属機は塗装変更、主要部品の取り替えなどにより長寿命化を図った「機関車更新工事」が施工されているほか、JR西日本においても塗装はそのままとしつつもJR貨物と同様の更新工事を行っている。

東武鉄道編集


東急電鉄編集

  • 東急7000系列(引退済み)
    • 比較的車両置き換えのスピードが早いとされる東急だが、1962年から製造されたこの7000系列は例外的に長期的運用が成された。そればかりではなく、VVVF化された車両の他、一部を置き換える際に社長直々に「一両たりとも解体させるな」と指令が下ったらしく、多くの地方私鉄に譲渡され東急から離れても解体されなかった。
    • この状況が崩れたのが2000年、譲渡先の秩父鉄道では18m車体で小さい同車に不足感を抱き、他社から譲渡された20m車の導入により廃車されてしまった。更に20年以上経った現在では、グループの上田交通はじめ幾つかの会社で同車の1000系の譲渡で玉突きで置き換えられ、東急本体からも2018年に引退した。
    • ただし今でも多くの譲渡先で活躍が続いている他、大井川鐵道や養老鉄道など近年になって新たに譲渡先となった所もある。

大井川鐵道編集

  • 全車両
    • 東急・南海・近鉄の他、かつては京阪や西武、小田急など多種多様な会社から中古車をとっかえひっかえ導入してはボロボロになるまで使い倒すことで有名な会社。ただしあんまり大切にしているとは言えないのかもしれない。また近年は財政状況のためか、近江鉄道と並び廃車体を購入してから実際に走らせるまで非常に長い時間がかかることで有名。ちなみに元東急車は十和田観光電鉄(廃線)からの再譲渡車である。
    • 電車のみならず蒸気機関車電気機関車、客車も他所から中古で導入している。特に旧型客車は戦前から活躍しているものや、戦後すぐに国鉄幹線の特急用に投入されたものの成れ果てが存在する。蒸気機関車は主に観光用だが、たまにピンチヒッターで入換作業を行うなど実用的な運用をされたりもする。
    • 千頭から先の山岳区間を走行する井川線用車両はその全てが生え抜きだが、中には前身の中部電力専用鉄道時代から70年に渡って使い続けている車両も存在する。

養老鉄道編集

  • 歴代全ての車両
    • 元々近鉄から分離した会社であり、分離時点で殆どが近鉄の他路線からかき集められた古参車で占められていた。養老線に属した時点で車齢30年以上という老朽車を更に数十年使い倒すという有様で、口さがない鉄道ファンからは路線名をもじって「近鉄の養老院」などと揶揄されたこともある。最古参は60年前に製造された元南大阪線6800系の606編成。
    • そんな養老線の現状を打破すべく置き換え車両として選定されたのは何と導入時点で車齢52~55年の東急7700系。VVVF化されている他、ステンレス製で長持ちするという理由からであった(なお、置き換え対象の600系の方が一部若いものも存在する)。ちなみにこれは一時的な繋ぎかと思いきや今後30年程度は使用を見込むそうである。
    • なお、元々発足時から中古車両だらけの路線であり、初代養老鉄道(現在の会社とは法人が異なり、養老線を創設した企業)は中古客車をかき集めて創業した。揖斐川電気と合併した後に唯一新造車を導入したが、この車両は養老線で50年近く使い倒されるなど、正に古い車両を末永く大切にを実践し続ける会社といえる。

京阪電気鉄道編集

  • 600形700形
    • 昭和から平成にかけて新造。・・・ということになっているが、車体は1959年から使用していた旧型車の流用

南海電気鉄道編集

  • 南海6000系
    • ステンレス車黎明期に登場した形式で、製造から50年以上経過にわたり1両も廃車されることも転属されることもなく冷房化・台車交換を経て南海高野線で走り続けた。メディアから「錆びない鉄人」と称されたこともある。2019年から廃車が始まったが、2020年には残存車両に自動放送化の工事が施されており、まだ走り続ける模様。
    • ちなみに後輩の6200系には製造後30年以上が経過してからリニューアルとVVVF化がなされた車両もいる。

箱根登山鉄道編集

  • モハ1形
    • 車籍上は定期旅客運用に用いられる日本最古の車両(1919年製)。ただ魔改造のしすぎで原型の面影はないに等しい。車体は1950年に鋼製のものが新造されたが、それからですら70年以上の月日が経つ。一部車両は廃車。
    • ちなみに後輩のモハ2形も1927年登場であり、こちらも魔改造

阪堺電気軌道編集

  • モ161
    • 軌道線用車両としては日本最古。1928年登場。通常の営業運転を行う車両としては日本最古の存在であり(※一部解釈によっては後述する広電582号の方が古いという説がある、上述した箱根登山車はじめ幾つかの車両は車体載せ換えのためここではカウントしない)、一度も所属路線を変えていない旅客電車としても琴電1000形・3000形引退後は最古の存在となる。
  • モ501形、モ351
    • 上記161形には劣るが、こちらも製造から60年以上が経って今なお殆どが現役。モ501形のカルダン駆動は、その当時に製造された路面電車としては希少な生き残り(殆どの車両は路線廃線と運命を共にする・整備面から既存車と同じ吊り掛け駆動に変更・早期廃車の何れか)。一部部品の代替製造が困難なため3Dプリンターを使って複製品を作っている。

能勢電鉄編集

  • 全車両
    • 阪急の子会社であるために戦後はほぼ全て阪急からの譲渡車で占められている。だがその阪急の車両置き換えペースが近年極めて鈍っており、そのために中古車を供出先の能勢電の車両置き換えも停滞した。最古参車の車齢は60年を越える。
    • 2014年に阪急から譲渡された5100系はその時点で車齢39~43年の高齢車両である。その後上記5100系より7~15年ほど若い7200系に譲渡元を変更、多少は車齢が若返った。

高松琴平電気鉄道編集

  • 全車両
    • ことでん中小私鉄であるため大手私鉄からの転入車が多いほか、琴平電鉄時代の自社発注車が一番古いにもかかわらず今でも80キロは出せる。

上毛電気鉄道編集

  • デハ100型101号
    • 1928年の電化開業時以来在籍中の生え抜き車両。動態保存車。

広島電鉄編集

  • 650形
    • 1942年製の生え抜き車両。製造された5両のうち3両が現役だが、これは1945年の原爆投下に被災した経緯から、平和学習の資料として延命されているため。2022年からは、戦前製でありながらシングルアームパンタグラフへの交換が行われた。
  • 570形
    • 神戸市電からの移入車。582号1両のみが現役だが、製造は1924年という驚異的な古さ。ただし車体外板の総張替えや扉構造の変更など、骨格を除いての大規模な車体更新により1960年頃新造の扱いである。この点で阪堺のモ161とどっちが本当に古いのかで争われることがある(後述する長崎電軌168号は通常営業を行わない)。
  • その他
    • 上記570形以外にも広電には多くの他社(福岡、北九州、京都、大阪、神戸)からの中古車が導入されており(広電を語るうえで欠かせない出来事である西部警察で電車を爆破したロケで劇用車として提供された車も大阪市電から中古導入)、「動く電車の博物館」と呼ばれた時期もある。その後多くの車両が新型に置き換えられて引退したものの、近年まで生き残った車両は各型式1両ずつ動態保存され今も走っている。例外的に元京都市電の1900形のみは使い勝手の良さから譲渡された15両全車が現役である。イベント走行に限られるが海外製の200形(元ハノーバー市電KSW型、1928年製)なども存在する。
    • また、自社発注車でも150形(1925年製、1952年車体載せ替え)、350形(1958年製)、3100形(1961年製)など超長期間に渡る運用車が存在する。

長崎電気軌道編集

  • 160形168号
    • 1911年製の動態保存車。現役稼働年数は100年を超えており、車籍を持つ動態車としては日本最古の木造ボギー車。安全基準に厳しい木造車の上ワンマン運転に対応していないため通常営業は行わず、路面電車の日や会社の創立記念日など年に3日ほど特別に運用される。
  • その他
    • 稼働年数が60年を越える車両がゴロゴロいる。一部の車両は70年を越えて通常営業に要される。他社からの中古車もいくつかあったが、現役のものは元熊本市電車の600形のみ。また、超低床車導入までは2000形(軽快電車)を除き吊掛け駆動の旧型車のみが導入されていた。なお、これらの古豪を差し置いて2000形は制御装置などメンテナンスの複雑さから早期(※)引退を余儀なくされている(※早期と言っても30年以上活躍している)。


その他中小私鉄編集

  • 各地の中小私鉄では、大手私鉄からの中古車が長らく使われることは珍しくない。自社製の新車であってもこの傾向は変わらず、必然的に「古い車両を大切に末長く使いましょう」状態となっている。
  • 特に路面電車は上述した会社以外にも古い車両が残り続けていることはザラである。2020年代ともなれば、高知のとさでん交通1950年製の200形を筆頭に、のべ50両近い車両が製造60年に達している)をはじめ多くの会社が限界以上に使い倒した車両の置き換えに苦慮している。
    • 2023年現在、所属車両が全て平成以降の車両で占められる路面電車は東急世田谷線と宇都宮ライトレールのみである。

イギリス編集

  • HST
    • 日本の新幹線に触発されたイギリス国鉄(現在はやはり分割民営化)が開発したプッシュ・プル式高速ディーゼル列車。後継車に不具合があったりなどして、業を煮やしたイギリスの鉄道各社が発動。非電化運転で世界初の200km/hを成し遂げた栄光の車両を使い続けたいという面もあるのかも知れない。
    • 最近は日立製の新車に置き換えられて撤退する線区が出ているが、余剰車が出ると「おっ、使わないんならウチにくれよ」という会社が多く廃車は進んでいない。

アルゼンチン編集

    • ブエノスアイレス地下鉄に丸ノ内線で走行していた営団300形・500形・900形電車が、同地下鉄の線路軌道が同じことから譲渡され、出入り口の隙間を埋めるステップを追加されるなど一部改修をされた以外はほぼそのままの車両で走行していた。2015年頃から老朽化による故障が多発し、路線延長による車両不足もあってスペインの払い下げ車両と交代し、補修点検された上で東京メトロの社員教育のための走る教材として2017年に帰国した。

東南アジア編集

    • タイではブルートレインが紫色に再塗装されて再び寝台特急として利用されている。国内製の車両よりも高性能とされており、料金は割高。
    • ミャンマーでは日本の中古気動車がヤンゴン環状線を走っている。しかしインドネシアと違って整備技術に難のあるミャンマーでは、使えなくなると放置状態になって朽ち果てる車両も…

余談編集

この話、何も鉄道業界に限った話ではない。

航空分野では中古機を買いあさる時価総額全米1位の航空会社が存在し、軍事分野に関しては百年現役フラグのたった8発機本当に百年目に到達しそうな傑作などがある。


かつては新型車両を投入するとワンマン運転対応・取り扱いが異なること・メンテナンスフリー化が進み乗務員や検査整備部門のリストラを恐れて労働組合から強硬な反発があったが、あまりにもボロすぎたり保守部品が枯渇したり労働環境が劣悪だと逆に早期の新製配置要求が出てくることがある。


関連イラスト編集

東武8000系おおさか東線夏の風物詩のビール電車


関連項目編集

鉄道 鉄道車両 魔改造 迷列車で行こうシリーズ 更新車

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