プリキュアの歴史はここから始まった。
解説
『ふたりはプリキュア』は2004年2月1日から2005年1月30日まで、東映アニメーションと朝日放送が制作しテレビ朝日系列で放送されたTVアニメ作品。全49話。
後にプリキュアシリーズと呼ばれることとなるアニメシリーズの第1作目である。
少女向けの変身ヒロインアニメであり、中学2年生の美墨なぎさと雪城ほのかがプリキュアと呼ばれる伝説の戦士に変身し、日常と世界の平和を守るために戦う。
最大の特徴は「女の子だって暴れたい」をキャッチコピーに、女子プロレスのように肉弾戦主体で戦うこと。まるで男児向けアニメのようなコンセプトだがこの斬新さが人気を集め、当時の少女アニメ界において異例のヒットを叩き出した。
本作が当時の少女アニメ界において異質な作風になったのは、プロデューサーの鷲尾天が異業種から転職した門外漢であったことに加え、女児向け作品のノウハウがないまま仕事を任されたためである。
当初、玩具スポンサーのバンダイが持ちかけてきた企画では、『ブラックハート』というタイトル案で、ゴスロリの魔法少女たちがカードを使って精霊を召喚して、その精霊同士が戦ったりするという、いわば「遊戯王を女の子向けにしたもの」がイメージされていたらしい。この2年前に放映されていた『仮面ライダー龍騎』でモンスターをカードで召喚するというギミックが男児に受け手玩具も好調だったので、その方向性を女児向けでもやってみようというのがもともとの発想であった。(ちなみに、キュアブラックが女児アニメの変身ヒロインとしては珍しい黒のコスチュームなのはこのゴスロリ案の名残である)
しかし鷲尾は「やりたいことをやろう」と腹をくくり、彼が小さい頃から魅了されてきた「バディ(相棒)系の刑事ドラマ」から作品を着想。「性格の異なる少女たちがコンビを組んで、軽口を叩き合いながら激しいアクションで悪党と戦うアニメ。ただし玩具会社の要望は全部入れるので少女たちはカードを使って魔法少女的な変身を行う。」というキメラ的な作品を提案することになった。それが本作となったのである。
肉弾戦主体なのはドラマの刑事のように拳銃を持たせられないから代わりにという発想であり、製作陣としては格闘モノを作っているような意識はなかったという。
一方、「ふたり」というタイトルがつけられているのは、刑事ドラマのバディ・相棒の構図を意識していたためである。
(なお、プリキュアの参考にした刑事モノとして鷲尾Pがよくあげるのは、映画「48時間」・「ダーティハリー」・テレビドラマの「トミーとマツ」である)
放映開始時点ではこのコンセプトはスポンサーからも上層部からも懐疑的に見られていた。
本作は前半でラスボスとの決戦が一度行われて後半はラスボスを復活させようとする連中との戦いになっているが、これは作品が不振に終わった場合の予備線として、後半はバトルものとは異なるジャンルに路線変更が可能なように、前半で一度決着をつけようとしたためである。
そのようなことを考えなくてはいけないくらい、リスクを背負った作品だったのである。なお、公式では「物語がダレないための構成」としている。
結果的には大きな人気を得たことで翌年には『ふたりはプリキュアMaxHeart』という続編が作られ、3年目以降は主人公や世界観が異なる「新たなプリキュア」が次々に作られるようになった。
詳細はプリキュアシリーズの項目も参照のこと。
2018年にはプリキュアシリーズ15周年を記念して、当時の放映作品の『HUGっと!プリキュア』に本作の主人公達が登場している。
スタッフ
『ふたりはプリキュア』という作品は元々は望まれて生まれたのではなかったというのはファンならよく知る逸話である。
元々、2004年のこの枠で放映されるのは『明日のナージャ』の二年目の予定であった。しかしそれがギリギリになってキャンセルされてしまい、空いてしまった枠を埋めるために何か作られなくてはならなくなった。
スポンサーのバンダイからの要望もあり「とりあえずは女児向けのアニメで」ということにはなったが、時間的余裕がなかったので、女児アニメが得意かどうかは脇においておき「スケジュール的に空いていて、やる気がある人」という基準でスタッフが集められることになった。
東映アニメーション側のプロデューサーは鷲尾天。彼が女児アニメの門外漢であったのは上述の通りである。
シリーズディレクターは鷲尾と個人的に親交があった西尾大介で、鷲尾が直々にオファーした。
『ドラゴンボール』『エアマスター』などでその名を轟かせた西尾は格闘アクションに定評があったが、女児アニメとかまったくわからなかったのでこのオファーには困惑の極みだったらしい。しかし、最終的には鷲尾の三顧の礼に折れて「わかった。うまくいかなかったら、謝って逃げちゃおうか」と半ばヤケになって引き受けることになる。
キャラクターデザインは『夢のクレヨン王国』からこの枠の女児アニメ作品に作画スタッフとして参加し続けていた稲上晃。これはオーディションで選ばれた形になる。
稲上はオーディションのときは楽しんで描いたがいざ採用されてからは「その後は…つらかった」と述懐している。なお、稲上が採用された基準について西尾SDは「透明感があったので先入感なくみれたため。だって自分だってこれから何をすればいいかわからなかったから」とこれまたヤケのような事情だったことを後年明かしている。稲上はその後も作画スタッフとしてはほとんどのプリキュア作品に参加している。
シリーズ構成は川崎良。脚本の仕事も多少はしているが本業は放送作家であり、そもそもTVアニメの経験が『釣りバカ日誌』(2003年アニメ版)の各話スタッフしかない。メインスタッフの中ではもっと女児アニメから遠かった人材であるが、本作はそれゆえの「規格外」の味が強く出ているとも言える。
ちなみに『釣りバカ日誌』は鷲尾がプロデューサーをしていたので、やはり女児アニメとして得意かどうかではなく、時間がない中で人脈をたどってのオファーだったと思われる。
音楽は佐藤直紀。佐藤はシリーズ5年目『Yes!プリキュア5GoGo!』まで鷲尾プロデューサーと共に現場を支え続けた。
ストーリー
ベローネ学院女子中等部に通う中学2年生の美墨なぎさはある日、部屋で光の園の選ばれし勇者メップルという妖精と出会い、彼に導かれて『ANGEL LAND』という遊園地に辿り着いた直後、ドツクゾーンのダークファイブのピーサードに襲われる。そこへ同じく光の園の希望の姫君のミップルという妖精に導かれた2年生になって初めて同じクラスになった少女・雪城ほのかと逢い、ふたりはプリキュアに変身して、彼の召喚した怪物ザケンナーを見事に撃破する。
メップルとミップルが光の園の宝のプリズムストーンを殆どドツクゾーンのダークファイブに奪われて、残りの2つの石を尻尾に収めて虹の園(人間界)に逃げ込んだことを知って、2人はプリズムストーンを取り返すために戦うことを決意するが、その石を納めるための肝心のプリズムホーピッシュを、虹の園に辿り着いた直後にメップルが遠い山中で失くしてしまい、2人は山中に行ってホーピッシュを見事に回収して、石を番人のウィズダムに託して、改めて戦いを決意するのだった。
別名
- 元祖プリキュア
- 初代プリキュア
- 無印
登場人物
放送リスト
備考・関連タグなどは自由に記入してください。
話 | サブタイトル | 備考・関連タグなど | |
---|---|---|---|
1 | 私たちが変身!?ありえない! | なぎさ&ほのか初変身 | |
2 | カンベンして!闇に狙われた街 | ||
3 | イケてる実習生に気をつけろ! | ||
4 | ミラクル!?生きている美術館 | ||
5 | マジヤバ!捨て身のピーサード | ||
6 | 新たな闇!危険な森のクマさん | プリズムホーピッシュ登場 | |
7 | 熱闘ラクロス!乙女心は超ビミョー! | ||
8 | プリキュア解散!ぶっちゃけ早すぎ!? | 初の名前呼び | |
9 | 取り返せ!メポメポ大作戦 | ||
10 | ほのか炸裂!素敵な誕生日 | ||
11 | 亮太を救え!ゲキドラーゴパニック | ||
12 | 悪の華・ポイズニー参上!って誰? | ||
13 | ご用心!年下の転校生 | ||
14 | ウソホント!?ニセプリキュア大暴れ | ||
15 | メッチャ危ない家族旅行 | ||
16 | ストレス全開!マドンナはつらいよ | ||
17 | ハートをゲット!トキメキ農作業 | ||
18 | ドキドキ!中間テストは恋の迷宮 | ||
19 | こわすぎ!ドツクゾーン最後の切り札 | ||
20 | どっちが本物?ふたりのほのか | ||
21 | 衝撃デート!キリヤの真実 | ||
22 | ウッソ―!忠太郎ママになる!? | ||
23 | 危うし!夏合宿の悪夢 | ||
24 | 決戦!プリキュア対イルクーボ | ポルン初登場 | |
25 | いざ光の園へポポ!私たちも!? | なぎさ&ほのか光の園へ | |
26 | さよならメップルミップル!?やだー! | ジャアクキングとの決戦。初期構想ではこれ以降はバトルものからジャンル変更する可能性があった。 | |
27 | 新たな闇が迫る!迷子のポルンを救え | ここから後半戦。ジャアクキング復活を目論む残党との戦いとなる。 | |
28 | レギーネ登場!ってもう来ないで! | ||
29 | 嵐の夏祭り!カミナリ様は超コワイ!? | ||
30 | 炸裂! プリキュアレインボーストーム | ||
31 | マジ家出? ポルンはいったいどこー!? | ||
32 | ポルンを励ませ! とっておきのカーニバル | ||
33 | Vゲット! 心でつなげ光のパスライン!! | ||
34 | なぎさぶっちぎり! 炎のガチンコリレー | ||
35 | これってデート?怒涛のハッピーバースデー | ||
36 | 自由を掴め! 番人決死の大脱走 | ||
37 | いざ初舞台!! 負けるなロミオとジュリエット | ||
38 | ガッツでGO! 亮太のお使い大作戦 | ||
39 | 涙キラ! 汗がタラ! 結婚式は大騒動!! | ||
40 | 夢の世界へご招待!? 一泊二日闇の旅 | ||
41 | 負けないってばー!!闇の力をぶっとばせ! | ||
42 | 二人はひとつ! なぎさとほのか最強の絆 | ||
43 | 激揺れまくり!藤P先輩に届けこの想い | ||
44 | 最高ハッピー!? なぎさのホワイトクリスマス | ||
45 | 歌えさくら組! 合唱は勇気を乗せて | ||
46 | サイアク~! 石の力が奪われた~!? | ||
47 | 最強戦士登場!っても~ありえない!! | ||
48 | 史上最大の決戦! プリキュア最後の日!! | ジャアクキングの復活 | |
49 | 未来を信じて! 明日を信じて! さよならなんて言わせない!! | 最終回 |
余談・ふたりはプリキュアの系譜
ふたりはプリキュアは当作品及び美墨なぎさ/キュアブラックと雪城ほのか/キュアホワイトのことを勿論言及しているが、プリキュアシリーズも10年以上も継続中につき、「ふたりはプリキュア」に該当するコンビキュアが無印以降にもいくつか輩出されている。
無印以外なら、ふたりはプリキュアSplash☆Starの日向咲/キュアブルームと美翔舞/キュアイーグレット、スイートプリキュアの北条響/キュアメロディと南野奏/キュアリズム、魔法つかいプリキュア!の朝日奈みらい/キュアミラクルと十六夜リコ/キュアマジカル、HUGっと!プリキュアの愛崎えみる/キュアマシェリとルールー・アムール/キュアアムールの計5組10人が本シリーズ15作品目までに誕生している。
内訳はなぎほの・咲舞・ひびかなは桃キュアと白キュアのコンビだが、みらリコは桃キュアと紫キュア、えみルーは赤キュアと紫キュアのコンビになっている。そのなかでも、リコは魔法界の女の子、えみるは史上3人目の小学生プリキュア、ルールーは未来世界しかも元クライアス社の女子型アンドロイドで、クライアス社離脱後は史上初のアンドロイドのレギュラープリキュア及び光堕ちキュアとなる。
特徴としては、活発で積極的だが、その分失敗も多い桃キュアと、聡明で冷静沈着だが、時に足踏みしてしまう白キュアの相棒関係がそれぞれ共通し、桃キュアと白キュアの組み合わせでないコンビキュアにおいてはみらい、えみるが桃キュア、リコとルールーが白キュアポジションにそれぞれ相当する。(ただし、みらリコはやや特殊で、みらいは数学以外は概ね優秀、魔法を失敗することも無いのに対し、リコは座学は優秀なものの、手本をなぞる事に集中するあまり自身の才能の高さに気づいておらず、またそれを上手く活かせていなかったため、魔法の実技においては魔力を暴走させたり、補習を受けたりする羽目になってしまっている。もっとも、上述の通り才能自体は高いので、難易度の高い魔法をあっさり成功させたりするほか、失敗頻度もどんどん下がっていき、31話以降は全く失敗しなくなった。)
また、彼女たちはプリキュア時だけでなく、日常生活でも苦楽を共にする盟友関係になっているのも共通している。
そして、コンビキュアは何と言っても二人同時覚醒、二人同時変身、二人同時攻撃することであり、ふたりが同時に揃わないまたはふたりの気持ちがバラバラになると、まったく変身できないし必殺技も発動しないというとんでもないリスクも孕んでいる。それ故に、コンビキュアは他のシングルキュアたちよりも息が合った連携と神懸ったパフォーマンスを否が応でも求められることになるのである。
要するに「ふたりはプリキュア」は良くも悪くもすべてにおいて完全に五分五分な関係、つまり野球のバッテリー(投手と捕手・旦那と女房)とまったく同じ一蓮托生な関係性であり、どちらか一方でも欠けてしまえば、プリキュアとして双方ともに完全に共倒れになることを意味する。
レギュラープリキュアも50人以上がすでに存在し、それに伴い「ふたりはプリキュア」もまたいつしか誕生するであろう。
ふたりはプリキュアに準ずるコンビキュア
ハートキャッチプリキュアに登場する臆病で引っ込み思案な桃キュアらしからぬつぼみと猪突猛進型で奇天烈な青キュアらしからぬえりかのゴールデンコンビで、変身バンクは最終決戦まで、合体必殺技は明堂院いつき/キュアサンシャイン・月影ゆり/キュアムーンライトと合流するまで二人同時で行われた。ただし、つぼみは本編第1話でプリキュアに覚醒し、えりかは同話で一度デザトリアンの素体にされた後、第3話でプリキュアに覚醒したなど二人同時には覚醒しておらず、ふたりとも単独変身と単独必殺技も可能なので、「ふたりはプリキュア」として厳密には残念ながらカウントされないが、それに準ずるコンビキュアとも充分に言えるだろう。
上述のえりつぼとは真逆で、ハピネスチャージプリキュアに登場する猪突猛進型で従来な桃キュアらしいめぐみと臆病なくせに我儘なヒメルダのゴールデンコンビで、大森ゆうこ/キュアハニー・氷川いおな/キュアフォーチュンと合流するまで、コンビキュアとして戦い続けた。めぐみは本編第1話で、ヒメルダは本編開始前にそれぞれ覚醒しており、単独変身と単独必殺技もそれぞれ可能なので、「ふたりはプリキュア」として厳密には残念ながらカウントされないが、それに準ずるコンビキュアとも充分に言えるだろう。
漫画
単行本にはなぎさたちの日常を描いたストーリーとTV本編の前半部分を元にストーリーの2種類がある。
関連イラスト
関連動画
Pixivイラストにおける、プリキュアの変身前後の姿のタグの使い分けの配慮について
近年では、変身前の姿のみが描かれたイラストに対して変身後の姿の名前のタグが付けられている事や、変身後の姿のみが描かれたイラストに対して変身前の姿の名前のタグが付けられている事が多い。
しかし、そのような行為はどちらか一方の姿のイラストのみを検索したい人にとっては検索妨害にあたるので、行うべきではない。
中にはもちろん、変身前後の姿の両方のタグが付けられている事を気にしない人もいるだろうが、検索の際に気になるという人もいるため、そのような人への配慮としてタグの使い分けをしっかりと行う事が推奨される。
関連タグ
プリキュアシリーズタグ | |
---|---|
1.ふたりはプリキュア | 2.ふたりはプリキュアMaxHeart→ |
ニチアサ同期:特捜戦隊デカレンジャー(1時間前)、仮面ライダー剣(30分前)
元祖ヒーロー:秘密戦隊ゴレンジャー、仮面ライダー、ウルトラマン
平成最初のヒーロー:高速戦隊ターボレンジャー、仮面ライダークウガ、ウルトラマンティガ
日曜午前8:30枠
←明日のナージャ(前作・2003年)
ふたりはプリキュア(本作・2004年)
ふたりはプリキュア Max Heart(次作・2005年)→