注意喚起
- 実在人物を描いた作品群、いわゆるナマモノジャンルにあたる。実在の競走馬・競馬関係者の印象を損なうような表現は避けること。
- 一部のユーザーが本タグに該当する作品の存在や関連するネットミームを騎手本人やその関係者に伝える事例が散見されるが、ナマモノのルールとして、創作の題材となっている本人に当該作品を閲覧させるような行為はマナー違反である。特にSNSへの投稿を行う際には検索避けを徹底するなど、本人や関係者、一般の競馬ファンなどの目に本タグを付した作品が触れないような配慮を心がけられたい。
概要
JRA所属の騎手、池添謙一が主戦を務めた競走馬たちの総称。中でも、高い実績を挙げつつも気性難で池添を四苦八苦させた癖馬たちをチームメンバーに数えることが多い。
池添騎手のことをネット上で「ikze」と表記することから『チームikze』と表記されることもある。
池添謙一騎手とは?
池添謙一(1979年熊本県生まれ・1998年騎手デビュー)は、JRA・栗東トレーニングセンター所属(フリー)の騎手。
父親は元騎手・元調教師の池添兼雄(主な管理馬は'99阪神3歳牝馬ステークスなどを制したヤマカツスズランなど。所属騎手に松山弘平がいる)、弟は調教師の池添学(主な管理馬は'22ホープフルステークスを制したドゥラエレーデなど)という競馬一家の一人。ちなみに学調教師とはヴィクティファルス・プラダリアで兄弟で重賞制覇もしている。
2011年にオルフェーヴルの主戦騎手として史上最年少・32歳でのクラシック三冠騎手に輝いた他、春秋グランプリレースである宝塚記念・有馬記念を計7勝していることから「平成のグランプリ男」の異名を取るトップジョッキー。
リーディング最高12位、年間79勝が最多勝利記録という成績ながら、2024年現在JRA平地GⅠを27勝しており、これは騎手のJRA平地GⅠ勝利数としては歴代7位タイの記録である。
他にGⅠを数多く勝利している騎手はみな年間騎手リーディング1位や年間100勝以上の経験がある騎手ばかりであるため、非常に特異な成績であるといえる。
また人間のいうことを聞かず調教が困難な馬や、"普通"のレースをさせることが難しい馬、気性が荒い馬など、いわゆる気性難の競走馬に何かと縁があることでも競馬ファンに知られる。
デュランダルやスイープトウショウ、ドリームジャーニー・オルフェーヴル兄弟など、実力は一流だが気性難も一級品の優駿たちの主戦を務めたことでそのイメージが定着した。
なお、池添騎手本人はあくまでそういう馬の騎乗依頼ばかりが回ってくるだけで、「決して進んで気性難の馬ばかり乗ってるわけではない。言うことをよく聞いて操縦性のいい馬が一番」としている。
ちなみに父親の兼雄元調教師も騎手時代には屈指の癖馬エリモジョージに騎乗したり、調教助手になった後も癖馬を乗りこなすことでトレセン内では有名だったらしく(そのため所属厩舎の馬に留まらず調教を任されたとか)、息子である謙一騎手も「そういう馬が回ってくる血統」「逃れられへんわ」と癖馬に縁があることは父譲りの血統と笑った。
また「池添自身が気性難だから気性難と通じ合う」とはファンによる定説だが、実際は馬へのアタリが繊細で柔らかい騎手であり、そのため反応が鋭く敏感な馬の扱いに長けている。
また周囲からは「昔からコツコツと同じことを続けられる努力家」と評価されており、週の半分はトレーニングに費やし、体幹バランスに優れ、身体は凄まじく柔軟。ただ重要なレース当日は周囲の人間の声が届かないほど極度の集中と緊張で張りつめているらしい。
チーム池添メンバー(例)
あくまで競馬ファン間でのネタであるためはっきりした基準はないが、以下のような馬たちがメンバーとみなされることが多い(掲載は年代順)。
デュランダル
(Durandal、2001~05現役、牡・栗毛)
父:サンデーサイレンス、母:サワヤカプリンセス、母父:ノーザンテースト
勝鞍:スプリンターズS(03)、マイルCS連覇(03・04)など
表彰:最優秀短距離馬(03・04)
馬名の由来となった聖剣デュランダルの名に違わぬ切れ味鋭い末脚を武器に短距離・マイルGⅠを3勝した。
池添とのコンビは4歳(2003年)秋からで、重賞未勝利の身として次は堅実にOP戦にでも…と考えていた調教師に若き池添がスプリンターズSを使うよう進言し、いきなりGⅠ馬にのし上がった。さらにマイルCSを連覇し、2年連続の最優秀短距離馬受賞。サンデーサイレンス×ノーザンテーストという、社台グループを代表する2頭の種牡馬コンビによる最初のGⅠ馬でもある。
ゲート内で落ち着くことができず出遅れるゲート難馬であり、後方から競馬をするうちに追い込み戦法が徐々に確立されていき、池添に手綱が渡った頃には「最後の直線さえ走ればいいと思っていた」という印象さえあったという。
決着の早い短距離レースでの出遅れは致命的、後方からの追い込みも不利ながらこれだけの成績を上げる能力は凄まじかったと言える。追い込みを得意とする池添のスタイルは、この馬の騎乗経験で培われた部分が大きい。本人もその後の自分のキャリアを作ってくれた馬として思い入れが深いらしく、携帯電話の待受画像はずっとデュランダル。引退後は毎年会いに行き、今でもお墓参りに行っている。このエピソードから競馬ファンからは「池添の心に突き刺さった聖剣」などとも。
スイープトウショウ
(Sweep Tosho、2003~07現役、牝・鹿毛)
父:エンドスウィープ、母:タバサトウショウ、母父:ダンシングブレーヴ
勝鞍:秋華賞(04)、宝塚記念(05)、エリザベス女王杯(05)など
表彰:最優秀4歳以上牝馬(05)
平成を代表するわがまま牝馬の一頭。その末脚は凄まじく、2005年の宝塚記念では直線一閃でハーツクライやゼンノロブロイを退け牝馬39年振りの同レース制覇など、GⅠを3勝。
しかし、まずゲートが大嫌い。日本中が大注目していたディープインパクトのラストランとなった2006年有馬記念ではゲート入りで盛大にゴネにゴネて、ゲートに収まっただけで歓声が上がった。
さらに気に入らないことがあると頑なに動かない。2005年天皇賞(秋)では、よりによって天覧競馬で立ったまま微動だにしなくなり、陛下の御前にて池添が下馬し、ゲート前まで牽引する羽目になった。
調教でも動かず、牝馬39年ぶりの制覇となった宝塚記念……その3週間前に出走した安田記念(10人気2着)は追い切り代わりに出走させた(レース本番は走ってくれるので)といい、さらに調教では鞍上に池添を乗せたまま動かず池添に雪が積もっていったエピソードや、坂路下で止まっている彼女を走らせるために鶴留師がホウキを持って追いかけた、連覇をかけた京都大賞典ではついに当週追い切りができずに出走回避するなど、管理する側にとっては彼女の気分にふり回され、日々難題の連続だった模様。(ちなみにそうした光景は池添に手綱が渡る前から繰り広げられていたようで、当時は「大変そうだなー」と他人事として眺めていたらしい)
しかもそれだけ調教を走らないのであれば成績は大崩れ……と普通はなるところだが、成績は不安定ながらラストランまで馬券に絡んでいる。
フジテレビの番組『すぽると!』のインタビューにて
🎤「(スイープを)彼女にしたい?」
池添J「(食い気味に)いやーキツイでしょ」
というやり取りが有名だが、池添は癖馬巧者として評価を高めた。
なお引退後は後述するオルフェーヴルとの子も2015年に出産した。「乗ったら池添の命が危ない」「池添専用機確定」などと競馬ファンに揶揄されていたが、あまりの気性難でデビューができなかった(と、ファンの間では言われているが、通常産駒がデビューできない事情はファンには明かされることはない。一口馬主がノーザンを見学した際に当馬が脚の治療を受けた話などを聞いており、脚の問題でデビューできなかった可能性も十分考えられる。普通仔馬がデビューに至れない場合の事情のほとんどはそちらである)。
トールポピー
(Tall Poppy、2007~10現役、牝・鹿毛)
父:ジャングルポケット、母:アドマイヤサンデー、母父:サンデーサイレンス
表彰:最優秀2歳牝馬(07)
デビューから引退まで14戦中13戦で池添が手綱を取った牝馬。馬自身の気性難ではなく、若き日の池添のやらかしで有名になりがちなJpnⅠ2勝馬。
2008年のオークスにて、中団待機から最終直線で内に道を開いて抜け出し勝利。しかし、直線の入り口で馬場の4分どころあたりから継続的に斜行しており、結果後方で複数の馬の進路を妨害してしまった。池添はまったく気づかず勝利を喜んでいたが、他の騎手の指摘やパトロールビデオで事態を把握したらしく、呼び出しによる聞き取り調査を終えてインタビューに現れた際は「迷惑をかけてしまって…」と顔面蒼白になっていた。
審議の結果、池添には開催2日の騎乗停止処分が下ったものの失格や降着はなかった。ただしGⅠでの出来事だったため物議を醸した。
ドリームジャーニー
(Dream Journey、2006~11現役、牡・鹿毛)
父:ステイゴールド、母:オリエンタルアート、母父:メジロマックイーン
勝鞍:朝日杯FS(06)、宝塚記念(09)、有馬記念(09)など
表彰:最優秀2歳牡馬(06)、最優秀4歳以上牡馬(09)
いわゆる「ステマ配合」最初の活躍馬。父ステイゴールドよりさらに馬体は小柄で、2006年の朝日杯FS制覇時の416kgは現在も牡馬の最軽量GⅠ勝利記録。小柄なピッチ走法を活かした加速力とコーナリングの上手さを武器とした。
一方気性もステゴ以上に凶暴と池江師はインタビューに答えており、引退後に池添が会いに行った時も気性は変わらず、かつての相棒にもかかわらず安全な距離を確保しながら見学する様をたびたび披露している。
池添とのコンビは2008年(4歳)の安田記念から。それまで継続騎乗していた武豊が別の馬(スズカフェニックス)に乗る都合での代打のテン乗り予定だったが、武の騎乗停止により次戦の小倉記念も引き続き騎乗できることになり、そこでドリームジャーニーに約1年ぶりの勝利をもたらしたことで以降引退まで主戦騎手を務めた。その後はレースで折り合いをつけられるよう時間をかけて教え、翌2009年には宝塚記念・有馬記念の春秋グランプリ制覇を達成した。全弟オルフェーヴルとの兄弟春秋グランプリ制覇は唯一の例である。
ちなみに兄弟の母オリエンタルアートの生涯3勝もすべて池添騎乗によるもの。その後生まれた弟妹たちの多くに騎乗した。
カレンチャン
(Curren Chan、2009~12現役、牝・芦毛)
勝鞍:スプリンターズS(11)、高松宮記念(12)など
表彰:最優秀短距離馬(11)、最優秀4歳以上牝馬(12)
池添主戦のGⅠ馬としては例外的に(?)とても大人しく素直な馬。そのため、チーム池添では数少ない癒し担当扱いされることが多い。
池添は母スプリングチケットや、半兄スプリングソングにも騎乗して勝利している。
カレンチャンは3歳までは条件馬に甘んじていたが4歳から急速な成長曲線を描き、オープン入りから5連勝でスプリンターズステークス制覇、さらに翌春は高松宮記念を制し秋春スプリントGⅠ制覇を達成した。
大変大人しくなつっこい美少女馬で、池添もメロメロ。「お手馬で嫁にしたいのはカレンチャン」とまで発言している(ただし「彼女にしたい」のはシンハライト)。
安田隆行厩舎の後輩ロードカナロアが彼女に片想いし続け、屈強な最強スプリンターにのし上がって引退後ついに恋を実らせた…という話は有名。だがあくまでファン目線によるラブストーリーであり、安田隆行師の息子で当時調教助手であった安田翔伍調教師は「当時ロードカナロアはまったく牝馬に興味を示さず、長時間の空輸の際にもカレンチャンと隣同士で鼻面を合わせても馬っ気も出さなかった(牡牝を隣同士にすること自体が異例。しかも食事も喉を通らないカナロア側の牧草までカレンチャンが食べていた)」「遠征先の香港では不安なロードカナロアをカレンチャンがエスコートしてくれていた」というカレンチャンがひたすら頼もしかったエピソードを語っている。
ちなみに翔伍師もカレンチャンを「俺の女」と主張しているため、池添によるお嫁さん扱いに「☺️☺️☺️ 背骨押したろか😃」(※当時池添は背骨を骨折中)とバチバチ感を出している。
カレンチャンは人に対してはとても素直で大人しいが馬にはキツイ姉御肌らしく、現在生まれ故郷の社台ファームでは牝馬のボス格として君臨しているそう(野生馬がそうだから当然なのだが、繁殖牝馬はものすごい階級社会である)。カワイくてつよい!
オルフェーヴル
(Orfevre、2010~13現役、牡・栗毛)
父:ステイゴールド、母:オリエンタルアート、母父:メジロマックイーン
勝鞍:クラシック三冠(11)、有馬記念(11・13)、宝塚記念(12)など
表彰:最優秀3歳牡馬・年度代表馬(11)、最優秀4歳以上牡馬(12・13)、顕彰馬(2015選出)
ドリームジャーニーの全弟。2011年の三冠馬にして池添の騎手としてのキャリアを代表する騎乗馬だが、「金色の暴君」「激情の三冠馬」の異名通り、その道のりは平坦ではなかった。
新馬戦を勝利した直後、池添騎手を振り落として放馬。2歳時には幼く不安定で勝ちきれず、三冠達成までに2桁着順の敗北がある三冠馬は三冠牝馬を含めてもオルフェーヴルだけである。
陣営は兄ドリームジャーニーも制した朝日杯への道はあきらめて放牧に出し、勝利よりも競馬を教えることに徹した結果、クラシック戦線直前のスプリングステークスで重賞初制覇。その後は連戦連勝、文句なしの第7代三冠馬に輝いた……が、菊花賞の三冠達成直後には新馬戦同様外ラチに飛び込まんとして鞍上を振り落とし、実況に「こんな三冠馬ははじめてです」と言われた。
古馬初戦の2012年阪神大賞典(通称「阪神大笑点」)では、圧倒的1番人気に推されながら第3コーナーでレースを放棄し逸走。「欧州対策のために番手につけて先行するような王道の競馬をできるようにしたい」という調教師のリクエストが完全に外れた。手綱を引かれて減速しながら、しかし後続馬群が自分を抜いていくと突如猛然とそれを追走。凄まじい加速で2着まで盛り返し、一緒にレースに参加していた騎手たちとファンを驚かせた。だが平地調教再審査と池添に過怠金が課せられた。これも三冠馬としては初めての事だった。
さらに2年連続で凱旋門賞にも挑戦したが、どちらも鞍上は欧州の名手クリストフ・スミヨンに乗り替わり、池添はこれを騎手人生最大の悔しい思い出としている。
特に一度目の挑戦は最終直線で早くに抜け出して内にササる癖を御せずに失速し、ゴール直前で差されての2着であったため「(オルフェーヴルを熟知している)池添が乗っていれば勝てた」と主張するファンは今でも多い(逆に「凱旋門賞を熟知したスミヨンだからこそ2着に入れた」という意見や、「勝てたかは別として、池添で負けたなら諦めがついた」という声もあり、十年以上が経っても常に競馬ファンの議論の的になっている)。
引退後の社台SSでも「頭がいい。常に悪事をたくらんでいる」「一晩ですごくでかい穴を掘っていた」「ずっと良い身体をしている。まだ走れる」と個性を発揮していて、池添も毎年夏に会いに行って撫でているし、22年、23年には素早いノーモーションで繰り出される打点の高い前蹴りを受ける様を撮影された(netkeibaTVオリジナル番組「謙聞録」)。
ちなみにスマホのロック画面はオルフェーヴルの写真。
ショウナンパンドラ
(Shonan Pandora、2013~2016現役、牝・鹿毛)
父:ディープインパクト、母:キューティゴールド、母父:フレンチデピュティ
勝鞍:秋華賞(14)、ジャパンカップ(15)など
表彰:最優秀4歳以上牝馬(15)
オルフェーヴルらと同じ白老ファーム出身で、東日本大震災の前日に生まれた牝馬。
池添がコンビを組んだのは4歳の宝塚記念から。それまでコンビを組んでいた浜中俊騎手に先約があったための代打であったが、そこで11番人気ながら3着に好走し、以降池添が
手綱を任された。
次走の産経賞オールカマー(GⅡ)では上がり最速の脚で差し切り、牝馬ではメジロドーベル以来18年ぶりの優勝。天皇賞(秋)の優先出走権を獲得した。しかしその天皇賞(秋)は7枠15番から出走で、外枠不利の影響で道中は後方となってしまい、上がり最速タイの脚で4着に終わった。
そして天皇賞(秋)と同じ府中の舞台で続くジャパンカップでは、またしても同じ7枠15番からの発走となった。この時、池添は「競馬の神様に試されている気がした」という。縦長の馬群は3コーナーで一気に凝縮し、直線は大混戦。狭く馬体がぶつかり合う中ラスト100mでついに馬群を抜け出し、ゴール直前差し切って勝利した。
翌年は大阪杯、ヴィクトリアマイル続けて3着ののち、宝塚記念へ向けての調教中に骨折が判明し、休養後の秋に引退を発表した。3歳時点で秋華賞を勝っているが、いわゆる晩成型で池添が乗り替わった後は掲示板を外していない。
2024年にはついに産駒にも騎乗して勝利した。
シンハライト
(Sinhalite、2015~16現役、牝・鹿毛)
父:ディープインパクト、母:シンハリーズ、母父:シングスピール
勝鞍:オークス(16)など
表彰:最優秀3歳牝馬(16)
池添が最初から最後まで手綱を取った牝馬だが、3歳秋という早さで屈腱炎のため引退した。生涯6戦5勝のオークス馬。唯一の敗戦はハナ差の桜花賞。
その素質の高さを「オルフェーヴル以来の乗り味」と喜び、今でも「牝馬ではNo.1の乗り味の柔らかさ」と評価する1頭。ちなみにカレンチャンは「お嫁さんにしたい」牝馬で、シンハライトは「彼女にしたい」牝馬。美人だし、つよいし。
ちなみに勝利したオークスは最後の直線で外側に斜行し他馬の進路を妨害したとして鞍上が2日間の騎乗停止処分を受けた。池添はトールポピーに続いて二度目のオークス優勝も再びの騎乗停止で優勝記念品を受け取れていない。
引退後ノーザンファームで繁殖牝馬となると、仔馬をがっちり守ろうとする、集牧の際に他馬を蹴散らして一番に帰ろうとするなど群れの中でも強いお母さんになっているらしい。「謙聞録」の企画で池添が再会した際には母仔にメロメロになっていた。
ブラストワンピース
(Blast Onepiece、2017~22現役、牡・鹿毛)
父:ハービンジャー、母:ツルマルワンピース、母父:キングカメハメハ
勝鞍:有馬記念(18)など
表彰:最優秀3歳牡馬(18)
ハービンジャーの代表産駒の一角。現役時の最高馬体重が550kgという筋骨たくましい巨漢であり、見栄えのために装着した緑色のシャドーロールがトレードマークだった。穏やかな性格で、放牧後はかならず太って帰ってくることから池添はブーちゃんと呼んでいた。一方でその巨漢なボディとは裏腹に脚元不安や疲れが取れにくい体質であり、間隔をかなり取ったローテーションを強いられるなど苦労もあった。
池添は主にキャリア前半の4歳春まで鞍上を務め、主要勝鞍である2018年、3歳での有馬記念制覇に導いている。なお、勝利後の口取り式にて池添は興奮したブラストワンピースから前蹴りを食らったように見える写真がよくネタにされるが、動画だと地面に対する前掻き癖を避けているだけだとわかる。この前掻き癖はゲート内や凱旋門賞の輸送前にも見られた物であった。
2022年の引退後は種牡馬ではなく乗馬となることが発表されたが、有馬記念の勝ち馬が繁殖に入らないのは、現役中死亡を除き初のことだった。池添はこれに対し「ダービー、菊花賞、大阪杯。自分がうまく乗れば勝てていたんじゃないか。そうすれば種牡馬の道があったのに、騎手としての責任を感じています」とコメントを残しているが、馬主のシルクレーシング代表には「乗馬という道もこの馬にとっては幸せかもしれないよ」と励まされた。
その言葉の通り、引退後ノーザンホースパークで幸せそうにオヤツを食み、穏やかに暮らす様はファンも見学できるため人気があり、たまにSNSで紹介される。またRRC引退競走馬杯など馬場馬術で才能を発揮している。
メロディーレーン
(Melody Lane、2018~現役、牝・鹿毛)
父:オルフェーヴル、母:メーヴェ、母父:Motivator
勝鞍:古都S(21)など
池添は天皇賞(春)での一度しか騎乗はしていないのだが、オルフェーヴル産駒だからかたまにメンバーに入れられることがある。
2021年の菊花賞馬・タイトルホルダー(父ドゥラメンテ)の半姉にして、JRA最軽量勝利馬。重賞未勝利ながらGⅠ馬に匹敵するほどの人気を集めるているステイヤー。
グッズや写真集まで出版されるほどのアイドルホースで小さく愛らしい姿が大人気だが、パドックでは父譲りの闘志をみなぎらせるようなヘドバンで有名。
モズベッロ
(Mozu Bello、2019~2023現役、牡・鹿毛)
父:ディープブリランテ、母:ハーランズルビー、母父:Harlan's Holiday
勝鞍:日経新春杯(21)
テン乗りだった池添の好騎乗で2021年の日経新春杯を制覇した。以降、池添が主戦騎手となった。メロディーレーンとは同厩。
GⅠ勝鞍はないが、大阪杯であのコントレイルやグランアレグリアに先着しての2着などの実力馬。
池添をして「口向きが悪く、乗り難しい馬」というが、さらに雨が降った日に好走することから、Twitterのファンの間ではレースの前に雨乞いをしたり、どこからともなく雨雲発生器を出してくる雨乞いキャラが定着した。
検索エンジンでも「モズベッロ」と入力するとサジェストに「雨乞い」と出てくる。
メイケイエール
(Meikei Yell、2020~2024現役、牝・鹿毛)
父:ミッキーアイル、母:シロインジャー、母父:ハービンジャー
白毛一族出身の鹿毛の牝馬。GⅠ馬ではないが写真集を3冊出版している異例のアイドルホース。
スラリと脚が長くひきしまったモデル体型、薔薇のつぼみのような流星を飾るその美貌……とにかく見た目が良く、武英智調教師も「品が良い」と気に入り、馬主の欲しい馬とまったく条件は合っていなかったが落札してもらった。
中京競馬場の管理会社である『名』古屋『競』馬(株)が馬主のため「メイケイ」なのだが、その走りからついた異名は「暴走名古屋走りお嬢様」。
厩舎ではちょっと気分屋のお嬢様だそうだが、あまりに走りに真面目すぎてレースになると周囲が見えなくなるほど暴走するという稀代の癖馬。
調教に携わった高田潤騎手が「この馬ぜんぜん走らないと思う」というほど大人しかったのだが、新馬戦から快勝。重賞勝利など才能を見せた。同時に徐々にすさまじい掛かり癖も見せ、チューリップ賞(武豊騎乗)では馬群に囲まれエキサイトして暴走(それでも同着1着)、武豊怪我のため乗り替わった桜花賞(横山典弘騎乗)では出遅れ→暴走(他馬を妨害)→逆噴射という悪夢のような走り(平地調教再審査)で最下位となった。
その際は騎手にも「競馬以前の問題」とコメントされている。
豊でもダメ、典弘でもダメ、もう池添しかいない…!とファンが言っていたら、本当に池添騎乗が発表された。
(それまで主戦だった武豊は凱旋門賞騎乗の予定と重なり不在、偶然池添のスプリンターズS騎乗予定馬が回避することになったのを知った武英智師がすかさず約束を取り付けた)
初騎乗のスプリンターズSではスタート直後から外に斜行して外の他馬に迷惑をかけ、平地調教注意を受けたが、内先行有利の1200m戦で唯一外から位置を押し上げていっての4着で力を示した。同時にスプリント戦の速いペースのおかげで比較的スムーズに走ったことでファンを驚かせた。池添自身はこのレースの返し馬が上手くいったことこそが後々に繋がったとしている。
4歳に入り、パシュファイアー(目を覆うネット)に折り返し手綱(腹帯に結ぶ制動力の強い手綱)と拘束具…もとい馬具を増やし、シルクロードSで復活勝利を挙げる。
かつて桜花賞で「競馬以前の問題」とコメントした横山典弘も、その騎乗と陣営の成果を認め「大したもんだ」と称賛した。
歩幅が大きく伸びやかなストライド走法で、「短距離馬のストライドではない」「細身に脚長の体型もスプリンターのそれではない」とはよく言われており、本来の適性距離はもっと長いと考えるファンは多い。
しかし、脚質以前にペースが遅くなるとまた暴走のように掛かってしまう…それを抑えるのは池添の腕でも無理だろう…池添の腕が足りていない…とファンが嘆き求めたのは腕(技量的な意味)ではなく、腕(物理的パワー)である。
これまで池添がコンビを組んできた癖馬たちとは違った意味での問題児っぷりに、2022年発売の写真集でも「可愛いという言葉がピッタリな仔なのに、走り出したら…(笑)」との池添の帯コメントが付されている。
また余談だが、同期の白毛のGⅠ馬で有名なソダシとは仔馬の頃から隣同士の馬房で育ち、同じ繁殖厩舎には後に凱旋門賞に挑むスルーセブンシーズ(ドリームジャーニー産駒)も一緒にいた。 秋にイヤリング厩舎に移動してからはOP馬のククナや秋華賞馬アカイトリノムスメも同じ厩舎で共に育っている。
さらに余談だが、メイケイエールを管理した武英智調教師と担当の吉田貴昭助手は池添とは保育園時代からの1歳下の幼馴染で(武英智師は元騎手で15期生でもある)、さらに荻野要助手は同期の14期生と、昔からの馴染の関係者同士が集っていた。
ソングライン
(Songline、2020~2023現役、牝・青鹿毛)
メイケイエールと同期の牝馬。池添とのコンビは桜花賞からだが、その桜花賞で暴走するメイケイエールの斜行・接触で大きな不利を受け15着惨敗。レース後の池添は「いいポジションが取れたところで(メイケイエールに)来られました。あれで気持ちが切れた感じで、手応えがなくなりました」とコメントしていたが、その後自身がメイケイエールを託されることになろうとは。
GⅠでは惜しい競馬が続くが、差し脚を武器に2022年の安田記念を制覇した。気性面は池添いわく「女の子という感じ」の繊細なタイプのようだが、中二週の攻めた調教に耐えるガッツがある。
やがて短距離~マイルを主戦とするメイケイエールとレース選択が重なり、池添は既にメイケイエールの騎乗依頼を先約として受けていたことでソングラインに騎乗できず、安田記念勝利が最後の騎乗となった。
ソングラインにはその後ルメールや戸崎圭太が騎乗し、翌年のヴィクトリアマイル、安田記念を制している。またメイケイエールと同じ2023年にブリーダーズカップにも挑み、サンタアニタパーク競馬場で共に調教する姿が見られた。
池添にとってはソングラインとメイケイエールは切り離せない縁がある2頭。
ドンフランキー
(Don Frankie、2021~現役、牡・栗毛)
父:ダイワメジャー、母:ウィーミスフランキー、母父:Sunriver
勝鞍:プロキオンステークス(23)、東京盃(23)
短距離ダートで活躍する馬体重約590kgというヒシアケボノやショーグンを想起させるほどの巨体を持つダイワメジャー産駒で、2024年現在のJRA重賞最大馬体重勝利記録(594kg)保持者。
逃げ・先行を得意とし、その巨体で話題と人気を呼んでいる。
池添とのコンビは5戦目2022年3歳1勝クラスからで、以降は国内では主戦騎手を務めている。
類稀な巨体の印象通り性格もドッシリとしている……かと思いきや実は臆病でビビりで、関係者からもブログで「性格:臆病(大型馬のくせに)」「特技:ビビり逃げ」とまで言われている。レースにおける逃げも他馬が怖いのが理由のようで、3歳時点では他馬が怖くてレース後はすぐに帰りたがるほどだった。
あだ名はドンちゃん。
2024年8月のクラスターカップ(盛岡)では台風による日程延期の影響を受けてついに607kgの大台に乗ったが危なげなく勝利した。優勝レイがいつもバスタオルのように短い。
あと斉藤崇史厩舎はドンフランキーの翌年にプロキオンステークスを制したヤマニンウルス(584kg)など馬体重の成長著しい競走馬が他にも所属しているため、斉藤部屋とファンにあだ名されている。
pixivでは
pixiv上では、『ウマ娘プリティーダービー』に登場するウマ娘のうち、モデル馬が池添謙一主戦であったキャラクターの集合タグとしての使用が多い。
2024年9月現在、育成ウマ娘として登場済みなのはスイープトウショウ、カレンチャン、ドリームジャーニー、デュランダルの4人で、サポートカードのみの実装でオルフェーヴルがいる。なお、オルフェーヴルについてはコンテンツの発表当初に存在した(あくまでこの馬がモデルだろうと推定されている詳細不明の)キャラクターがおり、史実の「チーム池添」を語る上では欠くことができない存在のため一緒に描かれることが多かった。当初はデュランダルやドリームジャーニーら、チームの主要メンバーには未登場のモデル馬も多いため、それらの競走馬をモチーフにしたオリジナルウマ娘が描き加えられれていたが、2024年6月24日のぱかライブTVにて、ドリームジャーニーとデュランダルが発表され、ドリームジャーニーは発表から僅か2日後に育成ウマ娘として登場した。今後に期待である。
なお、ドリームジャーニーとデュランダルの登場が発表された際、Xでは既に育成枠で登場しているカレンチャンとスイープトウショウ、サポート枠のオルフェーヴルを合わせ、「池添包囲網」なるタグが誕生しトレンド入り。池添騎手公式の方でも認知しているらしく、このハッシュタグを添えて「実装が楽しみ」「またあの企画をしたい」とのこと。