「幼気な少年達に勝負の世界の厳しさを教えてやる。プロの洗礼ビーム!!」
「良いだろう…。俺の魂の投球、受けてみよ!!ハシリヤン魂、充填完了!!!」
登場話数:バクアゲ23「炎の逆境野球」
データ
全高/189cm(ギャーソリン大暴走体/44.8m)
重量/246kg(ギャーソリン大暴走体/583.5t)
エンジン/野球のグローブ
スピード/ピッチング最速
カスタム/背番号1、プロの洗礼ビーム、必殺・ハシリ球
ナンバー/9602
ファーストラウンド(コース/野球場)
ファイナルラウンド(コース/野球場)
概要
ハシリヤンが野球のグローブに込められた燃える野球魂をイグニッションし、地球に納車された苦魔獣。
苦魔獣の素体に、野球ボールを掴んだグローブミットを模したプロテクター及びユニフォームを被せたのみと、至極シンプルで単純明快なシルエットと外見を持つ。一方グローブには縫い目に見せかけた廃熱パイプとマフラーが張り巡らされていて、ヒートアップ時にはプロテクター全体から高熱蒸気をスモークの如く派手に噴き出す。またプロテクターの左胸やユニフォームの両袖に、ハシリヤンマークを左右分割して構成した「H」のイニシャルが刻印されている。
そして頭部である、闘魂に燃える表情を持った野球ボールには野球帽がネジとパイプで固定されており、これまたお約束めいたコミカルな面構え。また苦魔獣共通の燃える双眸も健在だが、これまでの苦魔獣と比較して眼力もとい睨みが格段に強い、正に「燃える」眼差しをしている。
腰ベルトのバックルに付いているナンバープレートのナンバーは「9602」。
プロ野球選手になる未来を信じる野球少年等に、現実のプロが直面する勝負の厳しさを体感させる暗示光線『プロの洗礼ビーム』を両目から照射。疑似的に少年達の未来を閉ざし心を絶望させて苦しめ、ギャーソリンを生成・回収する。
野球用具が製造元なので当然野球も大得意であり、『背番号1』を堂々と背負い野球チーム“絶叫ハシリヤンズ”の中核を担う。選手としての主な持ち味は、奇天烈な軌道を描いて相手のキャッチを躱しストライクする『インチキ変化球』を織り交ぜた豪速ピッチング。一方バッターとしては投げられた球を相手ピッチャーの顔面目掛けて全力で打ち返す『炎のピッチャー返し』で相手を(ノック)アウトし、その隙にダイヤモンドベースを高速周回して得点を荒稼ぎする戦術を得意としている。そして取っておきとして、自分の意識をボールに移す“ハシリヤン魂”を込めた渾身の一投『必殺・ハシリ球』を繰り出すも、万が一球が打ち返されると本体が抜け殻になり自力で意識を戻すのが大変困難になる重いリスクもある。
またお察しの通り、勝つ為なら試合相手への暴力行為も躊躇わず、自分達に有利となる独自ルールの強要や不正審判等にも頼る、この手の怪人では定番となる卑怯な手口も駆使する。
野球勝負ではない直接戦闘では、野球ボールへ炎を纏わせる魔球の連続投擲で攻撃し物理的な炎上を巻き起こす。逆に攻撃手段はこれしかなく、野球モチーフ怪人としてはバットを凶器として使わないので、迎撃されるとほぼ丸腰となってしまう。
性格は「バッチコーイ!」が口癖な暑苦しい言動の反面、野球少年達に一方的なマイナスイメージを植え付けたのを現実を教えてやったと言い切る、卑怯な手口で試合を有利に進めるのを戦略だと言いたそうな態度等から、身勝手で傲慢な性根が滲み出ている。
そしてそれ故に野球選手としてのプライドも高く、圧倒的な有利を取っても相手から悪あがきをされるとムキになり、リスクの大きい行動を取って張り合おうとする、些か冷静さに欠けた面も見せた。
本編での動向
デコトラーデ「んで、コレが野球の地球ってスポーツか?」
イターシャ「デコちゃん、逆。地球の、野球よ!」
ヤルカー「カーもちょっとやってみたいカー!」
元・高校球児であった錠がコーチを務める、少年草野球チームが練習に励む野球場に現れたサンシーター。ベンチに無造作に置いてあったグローブの一つにイターシャがイグニッションし、「グロ~ブッ!!バッチコーイ!!!」と気合の叫びを伴って誕生した。
納車してすぐ、錠の目の前で野球少年達にプロの洗礼ビームを浴びせ絶望に追いやりギャーソリンを捻出。程無くブンブンジャーに乱入されるも、野球用具から生まれた身分で実質子供達の未来を奪う暴挙に憤った錠からの宣戦布告を受け、野球勝負を行う事に。
錠「野球を悪事に利用するなんて許せません! 俺はこいつらに、野球の勝負で勝ちたいんです!」
「返り討ちにしてやる…! バッチコーイ!」
ブンブンジャー6人へブンブンやビュンディーに調を加えて結成した“爆上ブンブンジャーズ”に対し、監督にキャノンボーグを据えチームメイトとしてサンシーターを加えた絶叫ハシリヤンズを率いて試合を開始(※ご丁寧にウグイス嬢のスターティングラインナップ(選手紹介)が入ったが、ハシリヤンズは省略された)。
キャノンボーグ「“カーが通れば、ルールは引っ込む”です!」
ヤルカー「ヤルヤルヤル~! カーは誰にも止められない、カー~!!」
最初はお互い様子見の攻守だったが、ヤルカーが足の速さを活かした盗塁を成功させ、加えて「アウトになるまでは何度でもダイヤモンド(塁)を回れる」とのハシリヤン野球特別ルールを後出し追加したキャノンボーグの采配によりハシリヤンズは得点を荒稼ぎ。しかし玄蕃がヤルカーを止め、審判ネジレッタがセーフ判定を出したので一旦仕切り直しに。
それならばと、ツーアウト中にピッチャーとなった錠へ炎のピッチャー返しを決めて吹っ飛ばし、ノックアウトに追い込むラフプレーをかますと、それを起点にブンブンジャーズを圧倒。錠が気絶から目覚める間に点数118−0という大差を付け、ほぼ勝ったも同然の状態に持ち込んだ。
「まだ諦めないのか?スコアボードを見てみろ」
大也「何点差あろうが関係ない! 行くぞ、みんな!」
「「「「「オーライ!」」」」」
「「「「「「爆上野球戦隊! ブンブンジャー!!」」」」」」
が、元球児の端くれとして最後まで粘るのを決めた錠を中核に、ブンブンジャー6人はチェンジしユニフォーム姿で爆風を伴いながら名乗りを上げる。
これを「逆転など出来る物か、おめでたい奴らめ」と小馬鹿にしながらインチキ変化球で三振に持ち込もうとするも、相手もブーンスーツの機能で球の動きに喰らい付いて対抗。その上で「急がば回れ」と調から激励を受けた錠/ブンブラックのバッティングを許しノーアウト満塁に持ち込まれ、大也/ブンレッドと対峙。
これでプライドが刺激されたか、記事冒頭二番目の台詞で宣告しハシリ球を発動。レッドを二振に追い込み、〆の一投を決めようとしたが、ここでレッドはズンズンショウカブラスターを持ち出しブンレッド119にチェンジもとい代打。フォースインパクトで投球の炎を消して怯ませ、その上で真正面から打ち取り空高くカチ上げ。これで時間を作った隙にブンブンジャーはブーンスーツの加速機能を全開にしてダイヤモンドを超高速周回、ハシリヤンが追加した特別ルールをまんまと逆手にとり点差をあっという間に埋めていった。
そして最終的に、逆転の鍵になったレッド119に因んだ118-119のスコアで試合は終了、走者一掃のタイムリーヒットでブンブンジャーズの勝利で決まった。
直後、意識を込めていた球が本体に当たって元に戻ったグローブグルマーは案の定この結果に反発、「ベンチがアホやから野球がでけへん!」と喚いて襲い掛かるも、丸腰で突っ込んだのでズンズンオーバードライブが難無く直撃。高水圧で空高く打ち上げられ「ホームラ~~~~ン!!!」と自らが物理的にサヨナラホームランとなって敗北、今回の試合はゲームセットとなった…。
となる筈も無く、ヤルカーのハイウェイ光線でギャーソリン大暴走体と化し、「バッッチコ~イ!!」と叫びながら野球場(屋外スタジアム)に再出現。
「炎上しろ~!」と熱い闘志を周りに広げる名目で観客席に火を発生させ、大火事を引き起こし出撃したブンブントレーラー/ブンブンジャーロボ・ブンブンレオレスキューと交戦。レオレスキューの放水を浴び、ブンブンジャーロボよりバケツから水をぶっかけられ「涼し~っ☆」とサムズアップするボケを挟んだ後、「バッチコーイ!火だるまにしてやる!」と言いながら炎の魔球を投げまくってブンブンジャーロボを翻弄する。
しかし、選手交代の名目(※ウグイス嬢のアナウンスも流れた)でレオレスキューとブンブンジャーロボが爆上合体、現れた背番号119・ブンブンジャーロボ119と対峙。「勝負だ、ブンブンジャー…!」と告げながら炎の魔球を浴びせるも、バクアゲラダーで全弾を打ち返されて逆に自分が火傷を負い、ピッチャー返しを貰ったお返しとブラックの操作でバクアゲシールドとラダーの殴打も浴び、ラダーで腹を突き上げる格好で上空に持ち上げられ、梯子乗りめいた決めポーズをしつつ地面に落とされてしまう。
最期は起き上がりに、最早荒波のスプリンクラーともいえる『バクアゲレスキュー・ブンブンフィニッシュ』が直撃。消火の大雨と共に繰り出された激流の刃に鎮圧され、「ゲームセットっ…!!」とポーズを決めつつ言い残し爆散。発生させたスタジアムの火事も119に消し止められ、今度こそゲームセット…もといフィニッシュに終わる。その様はまるで、雨天中止になった野球試合にも見える最期であった。
そしてグローブグルマーが倒された事でプロの洗礼ビームの効果も消え、まだ見ぬ自分達の未来へ向けて野球少年らは野球の練習を再開するのだった。
デコトラーデ「野球やって負けた時は、こうやって砂持って帰るんだとよ」
イターシャ「そうみたいねぇ…これ、楽しいわね」
一方試合に負け、今回も失敗したサンシーターは、夢破れた甲子園球児みたく野球場の砂を掬って撤収したのだった。
余談
- ナンバーはそのままグローブの語呂合わせ。(9(グ)60(ロー)2(ブ))
- これまでスーパー戦隊史において複数登場してきた野球怪人だったが、これまでの野球怪人は大体野球選手あるいは野球のボールがモデルである事がほとんどで、グローブモチーフの野球怪人は今回が初例になった。
- 純粋な野球怪人としては『宇宙戦隊キュウレンジャー』のグローブン以来7年ぶりで、スポーツ系の怪人自体は『機界戦隊ゼンカイジャー』のテニスワルド以来3年ぶり。
- 彼の登場回は、ブンブンジャーの怪人デザインを担当する島本和彦氏の代表作である漫画『逆境ナイン』のパロディ回となっており、劇中で披露した「ハシリ球」と「炎のピッチャー返し」もこの漫画に登場した技が元ネタ。
- そもそもグローブグルマーの外見が“ハシリ球を収めたグローブ”をモチーフにしていて、事実上原作者が自己作品をセルフパロディしたという、非常に稀かつ豪勢なデザイン背景を持った怪人ともなった(そもそも今回のサブタイトルは「炎の逆境野球」)。
- 更に調は118点ビハインドで迎えた9回裏に眼鏡をサングラスに掛け替えて登場したが、これも逆境ナインの監督・サカキバラ・ゴウを意識したものとみられる。
- 因みに逆境ナインの主人公・不屈闘志の実写映画版の演者は『百獣戦隊ガオレンジャー』で大神月麿/ガオシルバーを演じた玉山鉄二氏、ドラマCD版の声優は『海賊戦隊ゴーカイジャー』でジェラシットの声を演じた櫻井孝宏氏、サカキバラ・ゴウの実写映画版の演者は『劇場版ルパパト』でエルロック・ショルメを演じた田中直樹氏、ドラマCD版の声優は『忍風戦隊ハリケンジャー』でサンダールの声を演じた池田秀一氏である。
- CVの内田氏は今回が特撮初出演となった。
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野球仮面、デビルボール、デビルバッター、デッドボーラー、ヤキュウモンガー、ドーラピクシー、HHデーオ、グローブン:歴代先輩野球怪人達で、今回のグローブグルマーを以ってめでたく、単独チームを組める9人の野球怪人(野球怪人ナイン)が出揃う事となった。
ドロン、ドライヤージゲン、ゴーマ3ちゃんズ、妖怪バク:野球とは何の関係も無かったが、戦隊サイドと野球で勝負をした先輩怪人。