概要
国民的アニメ「ルパン三世」の劇場版・TVスペシャル・OVA・ルパン三世VSシリーズなど、TVシリーズやゲーム版以外の作品を、こちらに一覧表示としてまとめたもの。なお、「長編シリーズ」と記載されてるが、一部短編も混ざっている。
トムス・エンタテインメントの子会社であるテレコム・アニメーションフィルムが(間接的な意味を含めて)関わっている作品には☆を、2019年から2020年にかけてYouTubeの「TMSアニメ55周年チャンネル」における本編(これとは別に一部を除いて各作品の冒頭プレビューも各々配信されてはいる)のネット配信が行われた作品については●を、それぞれ付けている。
劇場版
シリーズの大ヒットを受けて製作された。
後述のスピンオフとクロスオーバーを除くと、これまでに6本公開されている。
「ルパン三世 ルパンVS複製人間(クローン)」
勝つのはルパンか、クローンか!?
1978年12月16日公開
処刑されたルパン三世は本物だった!?
全ての長編シリーズの原点となった劇場版第1弾。
原題は単なる「ルパン三世」であり、副題の「ルパンVS複製人間(クローン)」は、ビデオ化された際、他の作品との差別化を図るために後付けされたもの。
興行収入10億円(当時)を記録した大ヒット作。
「ルパン三世 カリオストロの城」
生きては還れぬ謎の古城でついにめぐり逢った最強の敵!
1979年12月15日公開 ☆
悪の王から女王を救え!
通称「カリ城」。現在のスタジオジブリで知られる宮崎駿が、本作で初めてアニメ映画の監督を務めた事でも有名な、あの伝説の劇場版第2弾。
同時に、峰不二子以外のゲストヒロインが、ほぼ全ての長編シリーズに登場するきっかけになった事でも知られる始祖的な作品。
まだ設立されて間もなかった当時の「テレコム・アニメーションフィルム」としては、事実上初めての長編アニメ映画となった作品でもある。
「ルパン三世 バビロンの黄金伝説」
古代メソポタミアから現代のニューヨークへ
1985年7月13日公開 ☆
ニューヨークマフィアに不二子が誘拐された!?
公開当時、TVシリーズの「PARTⅢ」が放送中だった事もあって、長編シリーズとしては、ルパンがピンクのジャケットを着用した唯一の作品である。脚本はPART2でアニメ脚本デビューした鬼才コメディ作家の浦沢義雄。
図らずも同時に、山田康雄がルパンを演じた最後の劇場版ともなった。
「ルパン三世 風魔一族の陰謀」
怪盗VS風魔忍者
1987年12月18日先行公開 ☆
声優陣総入れ替えによって、良くも悪くもいろんな意味で話題となった劇場版なのだが、本来はOVAとして製作されたため、劇場版としては、公式からもほとんどカウントされない。
また、昭和最初のルパンにして映像作品としては最初のルパン三世(パイロットフィルム版)(1969年制作)以来、現在でも継続してる中で、昭和に公開された作品としては、事実上最後のルパンシリーズでもある。
「ルパン三世 くたばれ!ノストラダムス」
今世紀最大の犯行予告
1995年4月22日公開 ☆
20世紀末、地上1000mの巨大ハイテクビル崩壊へのカウントダウン。
完全な劇場版という意味では10年ぶりの新作となり、ルパンの声優が、栗田貫一に交代した(ただしこの時は代役の扱い)事や、偶然にも同年の公開前に現実の日本で発生した「阪神・淡路大震災(1月17日)」や「地下鉄サリン事件(3月20日)」と被った事で知られる作品。
また本作は、1990年代に製作されたルパンシリーズとしては唯一「テレコム・アニメーションフィルム」関わっている作品ともなっている。
「ルパン三世 DEAD OR ALIVE」
生き残るのは、誰だ?
1996年4月20日公開
死んだはずの王子が姿を現した!
原作者のモンキー・パンチが総監督を務めた事でも知られる。
2019年までの23年間、ルパン三世の単独長編アニメの劇場版は、これが最後となっていた。
「ルパン三世 THE FIRST」
さぁ、はじめようぜ。
2019年12月6日公開
スピンオフとコラボを除けば23年ぶりに製作される劇場版で、製作期間はなんと4年。ルパン三世初・モンキー・パンチ待望の3DCGアニメ。
恰も画面サイズは、本作から50年前(1969年)に、アニメ化に向けて製作されたパイロットフィルム(映画版)以来のシネマスコープサイズとなった。
スピンオフシリーズ『LUPIN THE IIIRD』
2012年4月を中心に、3ヶ月間深夜アニメとして放送されたスピンオフTVアニメ『LUPIN the Third -峰不二子という女-』の小池監督が送るシリーズ。脚本はPART4シリーズ構成の高橋悠也が務める。
原作以上のアダルト向けの作品で、腕が切断されるなどのグロい表現も多い。
また、公式からの扱い上はOVAでもあるため、全て前後篇に分けられており、PG12に指定されている。そして上映時間も合計すると約50分であり、他の劇場版と比べるとどれもやや短い。
「LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標」
あばよ、次元
2014年6月21日公開 ☆
次元大介が主役。
ヤエル奥崎と名乗る最強の殺し屋に次元が・・・
18年ぶりの単独映画、そして初のスピンオフ映画である。ルパンはPART4と同じく青いジャケットを着用。
「LUPIN THE IIIRD 血煙の石川五ェ門」
未熟なり、五ェ門…!
2017年2月4日公開 ☆
まだルパン一味でなかった石川五ェ門が主役。
何があっても死なない大男・ホークと五ェ門が対立!
本作のルパンは、黒のジャケットを序盤の潜入先でのみ着ており、それ以外はほぼ着用していない。また、ネクタイ以外は全体的に黒一色に統一されている。
「LUPIN THE IIIRD 峰不二子の嘘」
ヤバいぜ、不二子
2019年5月31日公開 ☆
令和最初のルパン三世にして、『峰不二子という女』に続き、峰不二子が主役。
5億ドルのありかを知る子供を巡り、ビンカムと名乗る殺人鬼と不二子が対立する!
この作品のルパンは潜入時を含めて、ジャケットを一切着用していない。
TVスペシャル
1989年からほぼ毎年続けられ、現時点で合計27本も製作されている。放送時間は、途中のCMを除いただけでも90分(含めると約2時間)。そのせいもあって、よく映画と間違えられる。作品ごとにスタッフが毎度違う為作風、キャラデザ等は毎回変更されている。
20世紀平成期の平成前期には、4月放送の第1作を除けば毎年夏に放送され、脚本や演出面においてほぼ良質な作品が生み出されていた。事実1度は終了が検討されたにもかかわらず、その最終作であった筈の第5作が好評だった事で継続が決まった程であり、結果的に今もなおが続いている。
しかし21世紀平成期の平成中期(特に04年の第16作以降)に入ってからは、脚本や演出面における質の低下が目立つ様になり(要はマンネリ化していった)、時代の流れでTV離れも起こり視聴率も徐々に低下していった。それでも放送時期は9月放送の第18作と2月放送の第21作を除けば夏放送で、09年を除けば毎年放送される等、TVスペシャルの存在や地位自体はまだ絶対的なものだった。
それが平成後期の2011年からは夏に完全に放送されなくなり、3年後には放送自体も不定期となり、TVスペシャルの存在や地位も相対的なものになったが(再びTVシリーズやOVAが不定期に製作されるようになった為)、2019年1月と11月には、2013年以来6年ぶりとなる新作が2作も放送された。
平成前期
この頃のTVスペシャルでは、それまでのTVシリーズや劇場版と同じくセル画が使用され、大半の作品では、ゲストヒロインとレギュラー陣の関係性も基本的にバランスが取れており、そのゲストヒロイン(大人の美女が中心)の存在が欠かせず、ヒロイン自体も単独での出演が主流だった。
また、一部の作品を除きルパンの服装は『複製人間』と同じ赤ジャケット&黄ネクタイで統一されておりルパンの一般的なイメージ像を定着させた。
「ルパン三世 バイバイ・リバティー・危機一発!」
1989年4月1日放送 ●
平成最初のルパンにしてTVスペシャル第1作。
盗み出すのは「自由の女神像」!?
この作品だけは4月の放送で、「金曜ロードショー」内の放送ではない。
「ルパン三世 ヘミングウェイ・ペーパーの謎」
1990年7月20日放送 ●
内乱の渦中にある島に残された文豪ヘミングウェイの暗号と、それが指し示す宝とは…?
この作品から金曜ロードショー内に放送され放送時期も夏季(7月下旬~8月上旬)に移行。
また、視聴率も前作の13.3%から19.1%と6%近くも上昇させた。
「ルパン三世 ナポレオンの辞書を奪え」
1991年8月9日放送
世界中が血眼になって探す「ルパン帝国の財宝」の秘密が書かれたとされるナポレオンの辞書を狙って、ルパン一味と多国籍軍が大乱闘!
TVスペシャルでは唯一監督が存在しないせいもあってか、(主に作画において)20世紀の平成期に放送された作品の中でも特に評価が低いものとなっている。
「ルパン三世 ロシアより愛をこめて」
1992年7月24日放送 ●
ロシア帝国の残した500tもの莫大な金塊を狙って、カルト教団とルパン一味が対決。
「ルパン三世 ルパン暗殺指令」
1993年7月23日放送 ●
今度の獲物は、ロシアの原子力潜水艦「イワノフ」。武器密売組織「ショット・シェル」の金をいただくついでに、ルパン捜査から解任されてしまった銭形警部と協力して進める「ショット・シェル」の壊滅計画とは?傭兵上がりの殺し屋キース・ヘイドンが、ルパン一味抹殺を狙う。
元々は前作の視聴率の関係で、シリーズ最後の作品となる予定だったが、視聴率が22.0%を記録したため、翌年からも継続する事が決まった。
「ルパン三世 燃えよ斬鉄剣」
1994年7月29日放送 ●
今回の主役は五ェ門!?そして今度のお宝は、1912年にルパン一世が予告状を出しておきながら唯一盗み損ねたお宝であり、あの豪華客船タイタニック号に眠る「龍の置物」。
放送終了直後に、劇場版「くたばれ!ノストラダムス」の製作が初めて発表された。
これまでルパンを演じ続けていた山田康雄が出演した最後の作品(CMなども含めると、翌年1月から放映された「ルパン×ESSO石油」のCMが、最後の出演作となった)。そして視聴率は、TVスペシャルでは歴代最高の24.9%を記録。
「ルパン三世 ハリマオの財宝を追え!!」
1995年8月4日放送 ●
マレーの大盗賊ハリマオの財宝を探しだせ!
栗田貫一の正式就任後初のTVスペシャル。
本作のゲストヒロインであるダイアナは、その後2018年に「ルパン三世 PART5」の最終回にて、予想外の再登場を果たす事となった。
「ルパン三世 トワイライト☆ジェミニの秘密」
1996年8月2日放送
モロッコの部族の隠し財宝とは一体!?
冒頭と締めくくりを除き、この作品のルパンは、PARTⅢで当初着る予定だった白のジャケットを着用しており、コスチュームの1つでもあるネクタイは、ほとんど着用していない。
過激過ぎるお色気シーンも特徴的。
「ルパン三世 ワルサーP38」
1997年8月1日放送 ●
撃たれた銭形。彼を撃った銀色の銃はルパンの愛銃「ワルサーP38」!?
かなりヘビーな作風だが、TVスペシャルとしては最高傑作とも言われている。
「ルパン三世 炎の記憶 〜TOKYO CRISIS〜」
1998年7月24日放送 ●
今回は銭形が主役。今度の獲物は、時価数億といわれる徳川幕府の埋蔵金と、その鍵を握る徳川慶喜の2枚の肖像画。銭形に押しかけた女性雑誌記者一色まりやの過去とは!?
視聴率は、TVスペシャルでは歴代ベスト2位となる24.1%を記録。
「ルパン三世 愛のダ・カーポ 〜FUJIKO'S Unlucky Days〜」
1999年7月30日放送
今回のお宝である「コロンブスの卵」の情報を唯一持っていた不二子が、記憶喪失になった!?
「ルパン三世 1$マネーウォーズ」
2000年7月28日放送 ●
持てば世界の王になるというブローチを巡って、ニューヨークで経済戦争!?
なお、翌年からデジタル制作に変更されたため、ルパンシリーズとしては、これまで親しまれてきたセル画が使用された、事実上最後の作品である。
平成中期
2001年からデジタル制作に変更。本来の意味でのゲストヒロインは01年~02年の作品のみ登場せず、03年に復活するが、ゲストヒロインは「カリ城」みたいな少女タイプが増えて、大人の美女タイプは減り、ヒロイン自体の複数化も見られる様になった。また、一部キャスト及びスタッフが制作に携わっていた最後の10年でもある。
「ルパン三世 アルカトラズコネクション」
2001年8月3日放送 ●
かつて脱出不可能といわれたアルカトラズ刑務所とケネディ大統領暗殺事件、そしてルパン一味が狙う海底の金塊。これらに隠された謎とは…?
ルパンシリーズ初の21世紀作品かつデジタル画作品。
「ルパン三世 EPISODE:0 ファーストコンタクト」
2002年7月26日放送 ●
今、初めて明かされるルパンと仲間たちの出会い。
TVシリーズの設定と矛盾する内容になっているが、それにはある理由が・・・。
「ルパン三世 お宝返却大作戦!!」
2003年8月1日放送 ●
ライバルの老泥棒であったマーク・ウィリアムズの持つお宝を狙ったルパンだったが、それを渡す代わりにお題が出された。それは、ローマの「真実の口」をはじめ、マークが盗んだ6つのお宝を全て1週間以内に元の場所へ返却する事だった。
ネット上では数年後に、「TVスペシャル史上最後の名作」とも呼ばれるようになっている第15弾。
「ルパン三世 盗まれたルパン 〜コピーキャットは真夏の蝶〜」
2004年7月30日放送
あのルパン三世が盗まれた!?ルパンの娘(?)らしき少女が登場する。
この作品以降、個人的な意見の差もあるが、視聴者からの評価が悪くなり、脚本や演出面における質の低下が目立つ様になり始める。視聴率20%越えは本作が最後。
「ルパン三世 天使の策略 〜夢のカケラは殺しの香り〜」
2005年7月22日放送 ●
―ある女は死んだ。ルパンが殺した。彼にとって許されない裏切り者として。
ロズウェル事件で墜落したUFOのカケラで、宇宙のお宝とされる謎の物体「オリジナルメタル」を巡って、ルパン一味と対峙するのは全員女性のテロ組織「ブラッディエンジェルス」!
そして「女は撃たない」と評されるルパンに引き金を引かせた組織のボスの意外な正体とは…
元々は「燃えよ斬鉄剣」の続編となる予定だった。
また、ゲストヒロインの死亡が描かれ、20%近い19%台の良視聴率を記録出来た最後の作品で、それ以降はほぼ上昇する事が無く基本的には現在まで下がり続けている。
「ルパン三世 セブンデイズ・ラプソディ」
2006年9月8日放送 ●
助けた女の子の依頼は父親のダイヤモンドを盗む事。相手の用心棒は次元!?
「ルパン三世 霧のエリューシヴ」
2007年7月27日放送 ☆/●
生誕40周年記念作品で、第1シリーズの魔毛狂介の話がベースのオリジナル作品。
タイムマシンで500年前に飛ばされたルパン達。帰る為には神話の奇跡を起こすしかない!?
現時点では唯一、ネット配信のスケジュールが後日振替になった作品でもある。
「ルパン三世 sweet lost night 〜魔法のランプは悪夢の予感〜」
2008年7月25日放送 ●
今度のお宝は「魔法のランプ」。しかし、願いのコストは人生の半分!?
ゲスト声優に「冬ソナ(の吹替版)」でも共演した萩原聖人・田中美里のコンビや、納谷悟朗が弟・納谷六朗と再び兄弟で共演するなど、キャスティング面においても一見する作品。夏季に放送されたのは今作が最後で第21作以降の放送時期は11月~2月に固定される。
「ルパン三世 the Last Job」
2010年2月12日放送 ●
あの銭形警部が死んだ!?銭形の部下「神楽坂飛鳥」に秘密が!?
パチンコなどとキャラクターを共有しているのが特徴。そして、タイトル通り(?)一部キャスト及びスタッフがこの作品を持って降板したという意味でも節目と言える作品。
視聴率は17.6%と、ひとまずは視聴率アップに成功している。
平成後期~令和初期
2011年からTVアニメとしては初のハイビジョン化が行われ、銭形・不二子・五ェ門が現声優陣に変更(10年後には次元も)になり、放送時期も夏では無く11月~1月に完全に固定され、放送自体も不定期となった。(再びTVシリーズやOVAが不定期に製作されるようになった為)また、登場するゲストヒロインはほぼ少女タイプに統一され、ヒロインの死亡展開も無くなった。
「ルパン三世 血の刻印 〜永遠のMermaid〜」
2011年12月2日放送 ☆/●
ルパン一世が手に入れられなかったとされる八百比丘尼の財宝や、その鍵である2つの宝玉を巡り、ルパン三世自身でさえ知らない「ルパン」の秘密に迫る。
アニメ化40周年記念作品。単独のTVアニメとしては初のハイビジョン化及び、銭形・不二子・五ェ門のキャスト変更などで話題となった。
「ルパン三世 東方見聞録 〜アナザーページ〜」
2012年11月2日放送
マルコ・ポーロが残した宝とは!?
初の「金曜ロードSHOW!」で放送となった第23弾。放送終了後、ネットでちょっとした流行となった五ェ門の迷台詞は「戸がね、開かないの!」
「ルパン三世 princess of the breeze 〜隠された空中都市〜」
2013年11月15日放送
偶然にもお宝ではなく赤ん坊を盗んでしまったルパンが、かつてルパン一世も関わっていたある小さな国家に隠された謎に挑む。
「ルパン三世 イタリアン・ゲーム」
2016年1月8日放送 ☆
18世紀のヨーロッパで「稀代の詐欺師」と呼ばれた「カリオストロ伯爵」こと「アレッサンドロ・ディ・カリオストロ」の遺産を巡り、仮面伯爵と名乗る謎の人物の勝負に挑戦する。
2016年に、2年2ヶ月ぶりのTVスペシャルとして放送された……のだが、その内容は当時放送されていたTVシリーズ第4作の第1話と第3話及び、その前日譚にあたる日本未放映回(後期の回想話)からなる総集編+α。そのため本作でのルパンはTVスペシャルでは唯一、赤ではなく青ジャケットを着用している。
「ルパン三世 グッバイ・パートナー」
2019年1月25日放送
次元が裏切り、銭形がルパンとの共謀罪という濡れ衣で逮捕された!?今回のお宝は、世界征服をも可能にするという特別なダイヤモンド「タイムクリスタル」。
事実上平成最後のルパンシリーズにして、およそ6年ぶりの新作TVスペシャルであり、これもまた6年ぶりにテレコム・アニメーションフィルムが一切関わってない作品。
物語の後半でのルパンは黒のジャケット、次元は当初から緑系統のダークスーツをそれぞれ着用する。量子コンピューターを用いたAI技術などが描写されているのが特徴。
視聴率は8.7%とテレビスペシャル初の1桁台になり、事実上歴代ワーストを記録。ただしこれは、現在「金曜ロードSHOW!」そのものの需要が危ぶまれている故の結果でもある。
なお、この作品の放送から3ヶ月後、原作者のモンキー・パンチが誤嚥性肺炎によって81歳で死去したため、彼の生前に放送・公開された事実上最後の作品ともなった。
「ルパン三世 プリズン・オブ・ザ・パスト」
2019年11月29日放送。
今度の獲物は、なんと死刑囚!?
同じ年に新作のTVスペシャルが2本放送された初の事例となる。制作スタッフは前作と同じであり後にこのスタッフが『PART6』を制作する事になった。
また、先述した様に原作者のモンキー・パンチが逝去した後に制作された作品でもあり、TVスペシャル(及びTVシリーズも含めて)としては令和への改元後に初めて放送された作品でもある。
放送当時のTwitterでは、第1シリーズから現在までの48年間(パイロットフィルムを含めると50年間)次元を演じた小林清志が、トレンドワードとなったが、2年後のPART6をもって次元役を勇退することを発表したため、テレビスペシャルとしては小林演じる次元が登場する最後の作品になる(と思われる)。
視聴率は10.1%。歴代のTVスペシャルではワースト2位となってるため、決して高い数字ではないが、それでも、当時は劇場版『THE FIRST』公開直前であった事もあって、たった1.4%とはいえ、前作からの視聴率アップに成功した作品と言える。
OVA(WEB配信を含む)
1本の作品の再生時間は、劇場版やTVスペシャルと比べるとそれほど長くはない。また、OVAのルパンは大抵の場合、赤ではなく緑のジャケットを着ている。
「ルパン三世 風魔一族の陰謀」
上述の「劇場版」を参照。
「ルパン三世 シークレットファイル」
1989年2月15日発売
ルパン三世のオープニングシーンや劇場版の予告編、そして2本のパイロットフィルムなどが収録された、ファン必見の内容となっている。
「ルパン三世 生きていた魔術師」
2002年4月3日発売
第1シリーズの第2話「魔術師と呼ばれた男」の続編で、同話に登場したパイカルが蘇り、7本ある水晶の「天球の水晶」を巡りつつ、あらゆる手段でルパンに復讐しようとする。
本物の銭形の出番はたったの1シーンのみ。
「ルパン三世 GREEN vs RED」
2008年4月2日発売
大量の偽ルパンが出現するなど、シリーズの中でも異色さが際立つ怪作。
「ルパン三世 Master File」
2012年3月28日発売
アニメ40周年記念作品として発売された映像集作品。
アニメパートの再生時間は、シリーズ最短の10分。
銭形・不二子・五エ門の旧キャストが総出演した、事実上最後の作品でもある。
「ルパンしゃんしぇい」
「Master File」から約9ヶ月後の12月19日に、同じくアニメ40周年記念作品として発売された。
3分の短編10話で構成されたもので、蛙男商会が作りあげた「ルパン三世」のパロディアニメ。
「ルパンは今も燃えているか?」
2018年7月25日発売 ☆
同年の最新作TVシリーズのブルーレイ第1巻の特典として収録された。
原作者のモンキー・パンチ自らが総監督を務めた原作誕生50週年記念作品。
「LUPIN ZERO」
2022年12月16日にDMM.comにて独占配信されるWEB配信アニメ。原作漫画の「少年ルパン編」をヒントにし、ルパンの少年時代を本格的に描く全6話のオリジナルストーリー。
ルパン三世VSシリーズ
青山剛昌原作の「名探偵コナン」及び北条司原作の「キャッツ・アイ」とのクロスオーバーアニメ作品。
「ルパン三世VS名探偵コナン」
金曜ロードショーのTVスペシャル作品として、2009年3月27日放送。
絶対出会うハズの無い運命の戦い。名探偵コナンとのコラボ作品。
本作の好評を受けて、4年後には映画として続編が製作される事になった。
「ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE」
コナン「捕まえるって言ったよね?ルパン三世」
ルパン「ここからが面白いんだぜ?江戸川コナン君」
決着(ケリ)つけようぜ―。
この世に解けない謎・盗めない宝は・・・塵ひとつ存在しねぇ!!
2013年12月7日公開 ☆
TVスペシャル版である前作の続編となる劇場版特別作品。
ファン待望の17年ぶりにして、銭形・不二子・五ェ門の各声優陣の一新後及び、21世紀に入って初めての劇場版ルパン三世最新作。上映時間は、ルパンシリーズとしては最長の107分。
「ルパン三世VSキャッツ・アイ」
2023年に『Prime Video』で配信予定の、『ルパン三世』50周年、『キャッツ・アイ』40周年を記念したコラボアニメーション映画。VSシリーズとしては10年ぶりにして令和最初となる。
番外編
幻の押井守版ルパン三世
1985年に押井守を監督として劇場版第3弾として製作・公開される予定だった作品。
当初は『カリ城』から引き続いて宮崎駿にオファーされた企画だったが、宮崎がこれを拒否して押井を推薦し、尚且つ押井の手がけたアニメ『うる星やつら』の劇場版第2弾の評価が高かった事から、押井が監督を務める事になった。
しかし、押井が用意した脚本の「ルパンかと思ったらどれも次元達の変装で、どこに本物のルパンがいるかわからない」という構成からの「劇中の出来事は全てがフェイク(虚構)で、実はルパンなんて初めから存在しなかった」というオチや、虚構と現実の境界の曖昧さを扱った難解なテーマから、プロデューサーと東宝の社長達に「ワケわからん」とバッサリ一刀両断されてしまい、結果的に、企画そのものが準備段階でお蔵入りとなってしまった。これを受けて、実際の劇場版第3弾となった「バビロンの黄金伝説」が、急ピッチで製作された。
ちなみに、押井本人曰く「宮さん(宮﨑駿)が確立したルパン像をどうやって葬ってやろうかとしか考えてなかった」との事。
なお、押井がここで試みようとしていた「建築様式に世界観を仮託して物語をシミュレートする」という作劇手法や、「天使の化石」「バベルの塔」「事件の黒幕が物語冒頭で退場」「虚構の中で壊滅する東京」といった数々の設定とプロットは、後年の『天使のたまご』や『機動警察パトレイバーtheMOVIE』等に流用されて日の目を見る事になった。
そして押井はもう二度とルパンには関わるとは思われていなかったが、なんとまさかのPART6にゲスト脚本として参加。特に第10話「ダーウィンの鳥」では不二子がミハエル(大天使ミカエルを由来とするドイツの人名)を自称する謎の人物から「始祖鳥の化石」を盗むことを依頼されるという、この幻の劇場版をどこか彷彿とさせる筋書きになっており…
余談
ビデオソフト化に際しては、『バビロンの黄金伝説』までは、VHS版の初版はテレビ放映に合わせたカット版である。『VS複製人間』では色々と問題があったこともあるが、この時期まではいわゆる「封切館」以外の、別の映画館から回ってきたフィルムを上映する映画館が存在していたため、その配慮と思われる(このため、VHSの初期映画タイトルソフトは、特に邦画はカット版ばかりであった)。他にも、VHSは初期には普及の徹底のためカセットをT-120に固定していたことも上げられがちだが、この3作はすべて120分以内に収まっている。
一方、ベータマックス版は、現在で言うコンテンツ事業に関わっていたSONYや東芝などが陣営にいたため、当初からノーカット版を発売していた。
『バビロンの黄金伝説』の後『バイバイ・リバティー・危機一髪』『くたばれ!ノストラダムス』まで劇場版・テレビシリーズとも(当初はファンに黒歴史扱いされた『風魔』を除き)新作が出ない空白期があったため、劇場版の昭和3作品は
- 1作目は人智を超越した・しかけた存在。
- 2作目は人間の範疇だが、絶大な権力(もしくは能力)の保持者。
- 3作目はただのチンピラ。
という、シリーズナンバーを重ねるごとにラスボスがショボくなっていくのパターンを作り出してしまった。この流れは後々のアニメやゲームにも同じ傾向を生み出しがちになり、典型例が『魔法少女リリカルなのは』シリーズだとも言われる(制作サイド・視聴者サイドとも『ルパン三世』に大なり小なり影響を受けている世代)。
また『ドラゴンクエスト』シリーズも1~3の「ロト3部作」・4~6の「天空3部作」にそれぞれその傾向がある。ただし、このシリーズは作中世界の時系列順(3→1→2・6→4→5)に並べ替える必要がある。ただ、2・5は表に出てくる「ラスボスと思われていた存在」より遥かに強大な存在が真のボス・裏ボスとして存在する。この流れもルパン三世映画昭和3作と同じ傾向だったりする(『バビロンの黄金伝説』で実際に黄金のバベルの塔を持ち去ろうとするのは、まさに『VS複製人間』でマモーが欲し望んだ存在である)。