概要
同人サークル上海アリス幻樂団による東方Projectのシリーズで用いられる語。
登場するキャラクターの能力を表す際に用いられる。
上記メイン画像は登場キャラクターである河城にとりの「水を操る程度の能力」を表現した作品。
程度の能力
「~程度の能力」が表すもの
能力として語られるのはそのキャラクターが可能とするものや特徴などであり、キャラクターによっては同種の能力でも複数の表記をもつ、あるいは能力そのものも複数語られている。
例えばそのキャラクターが可能とするものに言及しているケースとしては霧雨魔理沙の「魔法を使う程度の能力」があり、これは魔理沙が様々な魔法を使うことを表している。魔理沙は先天的な「魔法使い」ではなく魔法を使う能力も本人に内在するものではないが、その研究や各種マジックアイテムを通して魔法を行使している。
この他「~を操る程度の能力」という、能力を通して他の何らかの対象に意図的にアクセスし操作するというものも多く見られ、十六夜咲夜の「時間を操る程度の能力」やアリス・マーガトロイドの「人形を操る程度の能力」などがその一例である。
中にはその全体像が明示されていないものもあり、レミリア・スカーレットの「運命を操る程度の能力」など作中で具体的には語られていないものもある(2014年10月現在)。
本人の性質などに言及するタイプとしては四季映姫・ヤマザナドゥの「白黒はっきりつける程度の能力」、秋静葉と秋穣子らの「紅葉を司る程度の能力」や「豊穣を司る程度の能力」などがある。
「~程度の能力」が語られる場面
東方ProjectはSTGや弾幕アクションからなるゲーム、楽曲を収録したCD、漫画や小説などの書籍作品などで展開される複合的な作品群であるが、「程度の能力」についてはゲーム中や書籍物語中などキャラクター本人たちが活動している場面よりもその背景部分にアプローチする場面で語られることが多い。
例えばゲームやCDではそれぞれの形で同梱されている原作者ZUN(博麗神主)による各種テキストの物語設定関連やあとがきなどにそれぞれの記述がみられる。書籍においても上記と同様の設定関連やあとがき、あるいは登場人物による作中書籍などにその記述がみられる。
特に後者の書籍においては登場キャラクターや物語の舞台そのものに登場人物の視点から記述報告的にアプローチする作品もあり、この内「~程度の能力」に関連した記述が多数見られるのが『東方求聞史紀』と『東方求聞口授』である。
両作はシリーズの登場キャラクターである稗田阿求が作中の登場人物たちについて執筆または編集したものであり、特に前者の著作は作中登場人物の視点でありながら「 客観の視点で構成 」されたものとなっており、作中では「幻想郷縁起」という書物として発表されている。
一方阿求によれば「幻想郷縁起」の執筆に際しては妖怪側からの自身のPRもあるらしく、「 こういう能力持ってるけどどう? 」という「 アピール 」もある様子であり、その記述には阿求の取材と妖怪自身のアピールが合わさっている模様である。
「~程度の能力」の歴史と二次創作における広がり
キャラクターの能力について「~程度の能力」という表記が登場したのはWindows版第一作である『東方紅魔郷』(シリーズ通算では六作目)以降である。
同作ではゲームに付属のテキストの他一部作中でも語られている。
また東方Projectを原作とするファンによる二次創作においても様々な「~程度の能力」が考案されている。例えば二次創作における各オリジナルキャラクターでの設定などに原作の「程度の能力」の表記に倣ったものも見られる他、ファンなどの間では特定の各種二次創作作者や作風を指して代名詞的に用いられる場合もある。
注意点
「~程度の能力」にはその語の運用について注意点がある。
一般に「~程度の能力」と言えば「~くらいしか能の無い様子」などのネガティブなニュアンスで捉えられることが多い。ストレートなネガティブな意味を含まなくとも、それ以上の発展が見られないというような限界に言及する文脈で用いられることが多い。
一方東方Projectにおける「~程度の能力」は必ずしもネガティブな意味を含むものではなく広く能力名を指す際の慣用表現的なものである。作品文化に特有するニュアンスがあると言えるだろう。
この両者の意味的違いを踏まえる時、pixivにおいて東方Projectの前提がない作品に東方Projectの「~程度の能力」の感性で類似した名称を使用してしまうと誤解を与えかねないというリスクがあるのである。
例えば「絵を描く程度の能力」という名称が仮にあったとして、東方Projectの世界観を前提とするならばその作者に「絵を描く才能があること」を示す中立的またはポジティブなニュアンスで捉えられることだろう。
東方Projectにおいて「~する程度の能力」といえば、その前段に提示された物事が「(その性質は様々ながら)出来る、可能である」ことを意味するためである。
作者の自己紹介として用いられる可能性もある。
しかし先述のような一般的な視点に立ち、かつネガティブな意味合いとしてこの文言を見た時、「絵を描くくらいしか能のない」というニュアンスで捉えられることだろう。
「絵を描く程度とは何か?」と、まずその文章としての接続に疑問をもたれるかもしれない。
作者本人が言及するならば一般的には作者自身の謙遜なのだろうと捉えられるかもしれないが、東方Projectの世界観のない作品に対して他者からその作者に向けて投げかけた場合、作者側にこのネガティブなニュアンスで、意図した意味とはまるで異なるメッセージとして伝わることになりかねないのだ。
このような理由から、「~程度の能力」については、作品の世界観や題材が東方Projectのシリーズを基としたものでない場合、特に自分の作品に用いる場合でないときなどは基本的にはその使用は控えた方が良いだろう。
また東方Projectの世界観が前提にある作品においても二次創作的な「~程度の能力」という表現が好まれないこともあるので、注意が必要である。
能力名の一覧
次のリストは各キャラクターの能力名の一覧である。
先述のとおりキャラクターには能力名や表記が複数あるのもある。
また、その能力が明らかにされていない、または作中何らかの能力は発揮されていても「~程度の能力」のような形でその能力を象徴的に表す語が語られていないキャラクターもあり、次のリストにおいてはそのキャラクターの欄は空欄となっている。
Windows版(ゲーム)
※1:『求聞史紀』では「春が来た事を伝える程度の能力」とも
※2:『求聞史紀』では「手を使わずに楽器を演奏する程度の能力」とも。
※3:『求聞史紀』では「歌で人を惑わす程度の能力」とも。
書籍・CD
初登場作品 | キャラクター名 | 能力名 | 備考 |
---|---|---|---|
香霖堂 | 森近霖之助 | 道具の名前と用途が判る程度の能力 | |
名無しの本読み妖怪(朱鷺子) | |||
三月精 | サニーミルク | 光を屈折させる程度の能力 | |
ルナチャイルド | 周囲の音を消す程度の能力 | ||
スターサファイア | 動くものの気配を探る程度の能力 | ||
求聞史紀 | 稗田阿求 | 一度見た物を忘れない程度の能力 | |
儚月抄 | 綿月豊姫 | ||
綿月依姫 | |||
レイセン | |||
茨歌仙 | 茨木華扇(茨華仙) | ||
鈴奈庵 | 本居小鈴 |
ZUN's Music Collection
関連グループ | キャラクター名 | 能力名 | 備考 |
---|---|---|---|
秘封倶楽部 | 宇佐見蓮子 | ||
マエリベリー・ハーン |
その他のキャラクター
東方Projectには上記以外にも設定上やモブキャラクターとして多数のキャラクターが登場するが、個別の能力については語られていないものが多い。
設定上・モブなどとして登場するキャラクターの主なものは次の通り。
登場ケース | キャラクター名 |
---|---|
設定上のキャラクター | レイラ・プリズムリバー 魂魄妖忌 先代の巫女 聖命蓮 霧雨の親父さん 稗田阿礼 |
モブキャラクター | メイド妖精 ひまわり妖精 ゾンビフェアリー 梅霖の妖精 モブ天狗 玉兎 モブイナバ 雨の妖精 モブ河童 |
この他のケースとしてアリス・マーガトロイドの使役する人形とスペルカードに関連して上海人形や蓬莱人形、ゴリアテ人形などの語も登場するが、個別の「能力」という点では語られていない。上記のアリスの「人形を操る程度の能力」によって操縦される側であるといえるだろう。
また、本編や本編背後の設定にも登場しないが作品発表前にはその存在が設定され、作品発表時には何らかの理由で作品から除かれたいわゆる没キャラクターとして「冴月麟」がある。設定面のうち、能力については不明(2014年10月現在)。
PC-98版
先述のとおりPC-98版(東方旧作)では「~程度の能力」という形での能力の設定は無いが、一部のキャラクターはその能力について言及がある。
各キャラクターについては個別の記事を参照。
初登場作品など | キャラクター名 |
---|---|
主人公 | 博麗霊夢 |
靈異伝 | ShinGyoku(シンギョク)、YuugenMagan(ユウゲンマガン) Elis(エリス) Sariel(サリエル) Mima(魅魔 Kikuri(キクリ) Konngara(コンガラ) |
封魔録 | 玄爺 里香 明羅 魔理沙(旧作魔理沙) |
夢時空 | エレン 小兎姫 カナ・アナベラル 朝倉理香子 北白河ちゆり 岡崎夢美 る~こと ミミちゃん ま○ち |
幻想郷 | オレンジ くるみ エリー 幽香 夢月 幻月 |
怪綺談 | サラ ルイズ アリス ユキ マイ 夢子 神綺 |
その他のキャラクター
東方旧作においても上記以外のキャラクターが多数登場している。特に旧作においては各ステージの中ボスなどが名称未設定であるケースが多い。Windows版でも『神霊廟』1面中ボスにおける怨霊のようなキャラクターがあり、それと同様のものと言える。
設定上・モブとして登場するキャラクターの主なものは次の通り。
登場ケース | キャラクター名 |
---|---|
封魔録中ボス・ボス | 封魔録一面中ボス 封魔録二面中ボス(呪い子) 封魔録三面中ボス 封魔録三面ボス 封魔録四面中ボス |
幻想郷中ボス | 幻想郷一面中ボス 幻想郷三面中ボス 幻想郷四面中ボス |
怪綺談中ボス | 怪綺談一面中ボス 怪綺談二面中ボス 怪綺談三面中ボス 怪綺談四面中ボス 怪綺談五面中ボス |
この他、モブキャラクターとしての化け化けや『怪綺談』の「靈夢EDに出てくる魔界人」などが登場している。
二次創作
次のリストでは東方Projectの二次創作におけるタグの内原作キャラクターに関連した二次創作、あるいは二次創作作者や作風に関連したタグのうちピクシブ百科事典上に記事があるものを記載する。
個別の各二次創作作品オリジナルキャラクターなどについては「東方オリジナル」等の記事から各作品記事、各キャラクター記事を参照。
東方Project原作登場キャラクターに関する二次創作(キャラクター登場順) |
---|
理性を破壊する程度の能力(フランドール・スカーレット) 国を傾ける程度の能力(八雲藍) 弾幕を食べる程度の能力(綿月依姫) |
東方Projectの二次創作に関わるもの(50音順) |
視界がぼやける程度の能力 / 人を号泣させる程度の能力 |
特定のユーザーに関わるもの(いずれも東方Projectの二次創作作品に用いられる/50音順) |
米国に1週間余り雨を降らせ続ける程度の能力 他人に自信を与える程度の能力 ニヤニヤを操る程度の能力 |