概要
本来は闘犬用語であり、若い闘犬に自信をつけさせるために噛ませる犬のことを指す。闘犬は強い犬を子犬のころから選び抜いて育てるシステムのため、引退した老犬や他の品種(野良犬など)、選別をパスしなかった犬などが使われる。
- 本来の「かませ犬」とは若い闘犬を育てるために働く経済動物としての立派な仕事であり、いわゆる「弱い犬」の例えに使うのは失礼であるという意見もある。
そこから転じて主人公やその仲間たちの強さを引き立たせるキャラのこと指す。
かませ犬のパターン
味方側にいるかませ犬と、敵側にいるかませ犬、ライバルポジションにいるかませ犬という大まかに分けて3つのパターンがある。
味方側にいる方のかませ犬
戦闘シーンが存在するマンガやアニメ等では徐々に強力な敵が登場する事になる場合が多い。当然その分主人公や仲間達も強くなるのであるが、やはり主人公達が敵うか敵わないか分からないような強敵が現れ、その強敵を打ち倒していく、という白熱した展開になることが多い。如かしながらまず主人公達もそうだが、読者や視聴者に新しく登場した敵は強いですよ、こいつのせいで今大変な事になっていますよ、という事をアピールしておかなければ敵の強さが分からず、物語が盛り上がらない。このため、新しく登場した敵が誰かを倒してみせる必要がある。
主人公がやられるというケースもスポーツものなどなら有り得る(後にリベンジする)が、命を賭すような戦闘シーンが存在する場合は主人公がやられるという事は基本的にあり得ないため、代わりに犠牲にされるのが所謂「かませ犬」の役割である。
最も多いのは主人公よりやや強いか、味方の中でも中堅に位置する実力を持つキャラクターである。これが主人公とライバル関係にあったりすると、さらに割合が増し、敵だったキャラクターが味方になると、新たに現れた敵のかませ犬役になることが多い。
戦闘ものであった場合は一般市民が役割を担う事もあるが、一般市民は基本的に無力(背景同然)であることが多い為、ある程度の実力がある主人公の仲間や警察、普通の軍隊が選ばれ、敵に軽々と撃破される、という方が敵の強さを知らしめやすい。
また、作中指折りの実力者、あるいは最強クラスのキャラクターであっても、パワーインフレについていけなくなると「あの○○さえ負けた!」「無敵の○○が敗れた!」などと新たなキャラクターの強さの指標になりやすい。そもそもこの手のキャラは活躍させ過ぎると「こいつがいれば主人公いなくても全部解決するんじゃね?」なノリになって話に面白味がなくなってしまうので、かませ犬扱いされる事になっても仕方がない所はある。
大体この手のアニメでは一人くらいこの役割を担うキャラクターが居る事になる。その為かかませ犬になるキャラクターは総じてヘタレなどと呼ばれる事が多い。
一方で、満を持して登場した強敵が元から登場していたさらに強い主人公に負けることも稀にある。
敵側にいる方のかませ犬
上のパターンの逆。つまり、主人公など味方側のキャラクターの強さを見せつけるために登場する敵(あるいは、そうとしか思えない描写をされている敵)。
戦闘を描写する作品においては、主人公たち味方キャラが爽快に敵を打ち砕く展開が求められることが多い。この際に、「主人公や味方キャラに爽快にやられる」ためだけに登場するのが敵側のかませ犬である。
後述する再生怪人の例がわかりやすいだろう。以前の敵と主人公が再戦をする場合、敵がパワーアップしていれば、主人公がそれに負けじと全力を尽くすこととなり、燃える勝負となる。しかし敵がまったくパワーアップしていなかった、あるいはパワーアップが主人公にまったく追いついていなかった場合、瞬殺と呼べるスピードで片付けられることがある。怪人の方からすればひどい話であるが、しかし以前は苦戦した相手を一蹴する主人公の姿は、それはそれで主人公の成長をはっきりと示し、一種のカタルシスをもたらすのである。
こういった部類の「主人公側を立てるための展開」の犠牲となって散っていくのが、敵側のかませ犬であると言える。
ライバルポジションのかませ犬
スポーツものやバトルもので、ライバルポジションにいるかませ犬のパターンもある。だいたい自分がエリートであることを鼻にかけ、主人公を田舎者だの落ちこぼれだのと侮蔑するが、主人公の才能や勝利への執念で逆転負けし、鼻っ柱をへし折られることになる。
そこからベジータやグエル・ジェタークのように作品の裏主人公レベルまで出世することもあるが、その後を特に触れられず使い捨てにされる(いわゆる猿展開)という悲惨な扱いを受けることも…。
拡大解釈
言葉とは時間が経つにつれ意味が拡がったり、本来の意味とは違う形で使われており「かませ犬」もまさにそれであり、最近では意味が拡大解釈されている。
- 強さに限らず、新キャラなどの描写全般のために犠牲になるキャラクター
- 他のキャラ描写とは特に関係ないが読者・視聴者に「優越感」や「侮蔑・嘲笑」の感情を催させるキャラクター
これらも「かませ犬」と呼ばれるケースも出てきている。
前者は新しい意味として許容できなくもないが、断定が難しいところがある(特に出番云々に関しては一部のファンが被害妄想的に言っているだけというケースさえある)。後者に至っては「別のキャラクターを立てるために犠牲になる」という意味が完全に消失しており、厳密には誤用と言える。
余談
各媒体の受け手(読者)に対しヒーローが「燃え」を、美少女が「萌え」を提供するの同じ様に、かませ犬とされるキャラクターは読者に「優越感」と「侮蔑・嘲笑」そして時々「同情」を提供することになる。しかしながら、その分pixivやニコニコ動画でネタ扱いされて妙な人気を誇る強者もいたりする。
また、読者の裏をかくのも創作者の醍醐味の一つなわけで、下記の属性をもちながら実際に作中で要となる活躍をする者や最初はかませ扱いだったが成長し自軍の主戦力となった者もいる。
かませ犬になりやすい属性
以下「他キャラの強さを示すためのやられ役」・「登場時期に不釣り合いな弱キャラ」を中心に列挙お願いします。なお誰が敗北したかのネタバレを含んでいますのでご注意を
バトル関連
対象 | 主な要因 |
---|
| - 玩具の商品展開が作品と密接に関わるタイプの作品では、「商品の発売前後のキャラクターやフォーム」を活躍させる必要があり、これを俗に販促期間と言う。これに関して「販促期間の対象を活躍させるために、それ以外のキャラクターやフォームを噛ませ犬にする」「販促期間中は大活躍していたキャラクターやフォームが、一通り商品を売り終わった後は扱いがぞんざいになる」と言った事例は少なくない。特に、複数ライダーやフォームチェンジを積極的に売り出している仮面ライダーシリーズでは顕著である。スーパー戦隊シリーズやウルトラシリーズではそれと比べるとやや起こりにくいが、それでも「追加戦士の登場直後は初期戦士が噛ませになったり、販促期間が終わると追加戦士が蔑ろになったりする」「強化フォームが出るとそれ以前のフォームはロクに使われなくなる」と言った事例は少なくない。
|
|
| - 設定上は高い実力の持ち主であっても、より高い実力(あるいは特殊な力)を持つ男主人公を引き立てるため、またヒロピンを描くためにかませ犬にされる傾向が強い。
- 逆に、主人公が女性の場合は男=かませという図式になる。
- 「男は女がいればヒーローらしく振る舞う。ゆえに、女がヒーローになるためには、男を追い払うしかないのだ」(『パワー・オブ・フィルム~名画の法則~』より)
- とはいえ、どちらもかませとならずに男女が並び立つ展開も少なくない。女性の社会進出が進んだ平成後期~令和以降は価値観も変わってきており、露骨な主人公贔屓作品でもない限りは異性側にも活躍が用意されている事が多い。
|
|
| - 名有りの主要キャラの人間離れした強さを表現するために一捻りに倒される役どころ。倒される(倒すための)正当性を持たせるために、周囲に乱暴狼藉を働いている描写が多い。
- 牛若丸と弁慶の時代から多用されて来た、伝統あるかませ描写である。単純に体格差に勝る方が勝つだけだと意外性がなく盛り上がらない、弱いものいじめのようで絵面も悪い、と言うのも理由の一つだろう。
|
|
| |
| - 先述の通り、「敵側のかませ犬」として非常にありふれた存在。特撮番組などで終盤や、イベント戦闘の場で登場することが多い。絵面としては派手だが、散るのは一瞬である。
- また、これは「予算の節約」と言う一面もある。新しい怪人を出すにはスーツを新造する必要があるが、過去の怪人を再生させるなら、倉庫からスーツを出してくるだけで済むし、複数出す事が出来る。だが結局の所「以前倒した敵」でしかないので、強敵としての説得力はなく、結果としてあっさり倒される、と言う訳である。
- 仮面ライダーシリーズのクロスオーバー映画では、以前の作品のラスボスすら再生怪人として登場し噛ませ犬になったりする事もある。
|
|
| - 格闘漫画に置いて主人公が一子相伝の拳法といったオリジナルの格闘技の使い手の場合、空手やボクシングを始めとしたメジャーな格闘技の使い手を引き立て役として使う場合が多い(例:刃牙のムエタイ)。
- ライバルといった強敵は作中に幾つも支部を持っている様な大手の団体に所属している事も多い。不良漫画でも敵が空手の有段者であるという設定が多い。実際は競技人口の多い方が高い能力を持った選手が多く、沢山の門下生が所属する大手の団体の方が技術も洗練されている。
|
| |
ロボット関連
対象 | 主な要因 |
---|
| - 最初に登場した機体は強いが、次に登場すると十把一絡げの単なる戦闘員と化し、戦う相手が強敵の場合や旧式化などが原因で次々と撃墜されることが多い。これを創作物においては時代劇に例えて忍者反比例の法則と呼んだりする。
|
| - 最初に登場したころは無敵の強さを見せていたが、敵がパワーアップしていくにしたがい苦戦しはじめ、完膚なきまでに敗れ去ったころ、秘密裏に開発されていた新主役メカが登場し、主役メカの交代が行われる。
- ただし前主役メカにも救済処置がある場合も多く、そうした場合、再登場では夢の共演や新主役のピンチを救うといった大きな見せ場を見せる。
|
| - いわば主役メカに戦いを挑む「今週の悪役」がいかに強いかをアピールするため、基本的に劣勢になることが多い。元祖ともいえる『マジンガーZ』のアフロダイAなど最たる例で、リメイク漫画『真マジンガーZERO』に至っては主人公から「アフロダイじゃかませ犬にすらならない」と言われてしまう始末(まあ、その敵は大ボスであるあしゅら男爵が命を懸けて作った機械獣なので強くて当然ではあるが)。
- しかし、最近では上記の前主役メカがサポートにまわることもあり、この場合、現主役メカに劣らぬ活躍をすることもある。特にスパロボとかの場合サポートメカが出番的にもシステム的にも輝くことも。
|
組織関連
対象 | 主な要因 |
---|
| - 初期の頃はそうでもなかったが、所謂第2期ウルトラシリーズ以降から顕著になる。怪獣を迎え撃つべく戦闘機で出撃→怪獣に撃墜される→脱出あるいは救出のためウルトラマン登場というのがよくあるパターン。苦労して編み出した作戦や新兵器が怪獣に通用せず、やはりウルトラマンの出番となる展開も多い。単独で怪獣を倒す戦果を挙げたり、ウルトラマンを援護してピンチを救う事もあるので必ずしも毎回かませ犬である訳ではないが、中にはろくに戦果を挙げられなかった挙句最終回を待たずして壊滅してしまったチームもいたり、自らが噛ませ犬でしかない事を自覚し、苦悩したり、恥じるチームの隊員や組織も現れるが、そうした連中に限って、焦燥感から暴走したりして、余計にウルトラマンの手を煩わせたり、逆に自分達が地球を窮地に陥れる事になったりする悪循環になる事が多い。
- また、地球防衛軍や自衛隊は出てきてもまず勝てない(後述)。銭形警部に代表されるように、怪盗モノでは警察が似たような立ち位置と言える(後述)。
|
| - 対象の勢力がどうであれ、敵の強さが災害レベルであることを示すために、戦車や戦闘機が一瞬で鉄屑にされる。「な、何ーっ! ミサイルが通じないだと!!」「銃弾を掴み取った!」なんて台詞が何回出た事か。
|
| - 上記の軍のように怪人やヴィランに返り討ちにされヒーローに助けられたりする他、殺人鬼や密室殺人を解けず探偵の推理に頼ったりする。通常の治安体制では対処できない脅威とそれらに対抗する超人を演出され、昔の特撮全般や推理モノに見られる。
- また主人公陣営が警察官であった場合、捜査一課などの上位の部署が対処しきれず、本来殺人事件などとは無縁な主人公所属の部署が専門性を活かして解決するといった流れもよくある。
|
| - ミステリーの主人公としてお馴染みであり、警察をかませ犬にすることも多い探偵だが、あまりに主人公属性として強すぎる故に「正統派主人公」同様にかませ犬にされることが珍しくない。
- 特にミステリはパターンの模索が盛んなジャンルであり、犯人のトリックを完全に見抜けず推理で負けた、犯人に殺害された、実は犯人だった、犯人などおらず探偵の勘違いだった、世間で「探偵」と呼ばれている者は傀儡で実は代わりに推理している者がいた、など探偵がやられ役となる「意外なネタ」は枚挙にいとまがない。
|
スポーツ関連
対象 | 主な要因 |
---|
| - スポーツ作品において得点力・決定力を描くために失点は避けられない展開が多い。強豪チームの選手でも逆転勝利のために連続して失点する場合もある。
|
| - スポーツ漫画では、最新のスポーツ理論よりも根性論を始めとした方法を重視する傾向が強く、科学的なトレーニングをしたライバルを秘密の特訓や伝統的な武術の昔ながらの鍛練方法を行った主人公が倒すという展開が多かった。科学トレーニング=金持ちといったイメージがあったため、山篭りといった金銭が不要な方法で強くなった主人公が恵まれた環境で強くなったライバルを倒すという展開が、特に昔の作品には多い。
- 格闘漫画に当てはまる時もある。
- ただ近年では逆に過剰な精神論の方が忌避される事が多く、こういった展開は減ってきている。むしろ主人公側の方が相手を上回る最新の理論を用いて、ライバルを倒したりする展開も少なくない。
|
| - スポ根漫画又はバトル漫画に置いて対戦相手のデータを収集して試合の対策を行う相手の事を指す。死亡フラグにもある様に、相手に予想外の行動を取られアタフタしてるうちに敗北というパターンで大体やられる。「~の勝率は○○%…」のセリフはもはやテンプレ化している。
- 大抵の漫画の主人公は天才的思考なため、こういった手法をとる人物は「才能が乏しいボンクラ」又は「頭でっかちな奴」という印象を持っている人が多い。
- だがどんな戦いでも勝つ為に試合相手の情報を収集して対策を練るのは立派な努力である。事実、精神論至上主義なキャラを返り討ちにした脅威を状況把握で策を練り突破するという、立場が逆転した展開も近年は多い。また形勢逆転に論理的な理由が求められる軍事モノや能力バトルモノであればなおさら活躍する機会が多い。ただしそういった勝利できる人物というのは臨機応変に長けている事が大前提となりやすい。
- また実力で主戦力になれない分データを集め戦略でチームに貢献してくれる味方キャラクターになってくれれば、この上なく心強い。敵であればかませ犬だが、味方となれば才能を知略や努力で補うキャラクターとなり人気も出やすい。
|
|
ファンタジー・バトルもの関連
対象 | 主な要因 |
---|
| - ファンタジーの主役としておなじみの勇者だが、「主人公でない勇者」はむしろかませ犬として登場することが多い。美形で異性にモテるが性格はマッチョ同様に乱暴、あるいは正義漢であっても融通の利かない人間(例えば、正義のためには善良な魔物まで問答無用で殺す)は特に危険。神より賜った聖なる装備や高レベルで高い実力を持つが大抵主人公の知略や敵の更なる力によって打ち倒される。「かませ勇者」とも。
- 悪徳勇者と言うジャンルもある。昔からあるタイプのキャラだが、近年は特に多い。
|
| - アメコミなどに見られる。大きく分けて、ヴィランを倒すために街中で大暴れして周辺を破壊しつくすなど、正義のつもりで迷惑をかけている「天然」タイプと、ヒーローを隠れ蓑に金稼ぎをしていたり、裏で悪党と癒着して自作自演するような「計算」タイプの2種類がいる。どちらにしても正統派主人公の皮を被った悪党であるのは間違いなく、それを反主人公としての存在であるダークヒーローや普通系の主人公がやれやれと嘆きながら倒して正義を示す、というのが王道である(ただし、「天然」タイプはやられることでまちがいに気づいて真のヒーローになることが多く、「悪役」タイプは本性がわかって弱みを握られたことで主人公に渋々協力することも少なからずある)。また、コメディタッチの作品では「正真正銘・正義の味方」であり、本来ならヒーローになってしかるべき人物が猪突したあげく死なないていどに自滅し、読者や視聴者に笑われることがある。
|
| |
|
ヒロインレース関連
ヒロインが多数存在するラブコメ、かつハーレム物でない場合、主人公とどのヒロインが結ばれるかを曖昧にして読者の興味を引くヒロインレース(別名:正妻戦争)と言う形式を取る事が多い。
これらの作品においては、明らかに主人公とくっつきそうにないのに、女の子の数を増やすためだけに登場したとしか思えないヒロインが登場したりする。これもまた、恋愛的な意味でのかませ犬と言って良いだろう。
そして、こうしたかませ犬になりやすいジャンルのヒロインと言うのも存在する。
対象 | 主な要因 |
---|
| - 恋愛かませ犬の筆頭。胸が他のヒロインより大きかったり、露出度が高かったり、脱ぎ癖があったり、ラッキースケベを誘発したり、主人公を色仕掛けで誘惑しようとしたり、と言った、とにかくお色気を全面に押し出したキャラクター。主人公とお色気枠が結ばれると「身体目当てでくっついた」と言う印象を読者に与えやすくなるためか、結ばれる事はまずない。
- 後述する他のヒロイン属性は、それがメインテーマとなっている作品ならばメインヒロインとして登場してくっつく事もあるが、お色気枠をメインテーマとした作品はまず存在しない。と言うかお色気重視の作品だとメインヒロインに限らず全員がそうしたサービスを行うので、「お色気枠」と言う存在自体がなくなる。
- 実のところそこまで登場率が高い訳ではないのだが、スナックバス江において取り上げられた事でネットミーム化した。
|
| - 主人公に憧れ、「お兄ちゃん」と呼んだりするタイプ。くっつくと主人公がロリコンであるように思われてしまうためか、やはり滅多にくっつかない。ブラコンをこじらせた実妹だったりする場合もあり、この場合は近親相姦になるのでますます勝ち残りは難しい。
|
| - ヒロインレースに勝利する例も少なからず存在するのだが、登場率が高く、レースに負けた場合のかませ具合も大きいので、かませ犬と思われがちなパターン。「主人公の事を昔から好きだったが、素直になれなかったり油断しているうちに、新たに現れた真ヒロインに横からかっさらわれる」と言うパターンが非常に多い。
- そもそも幼馴染と言う事は「作品の開始前からずっとチャンスがあったのにくっつかなかった」と言う事であるため、作品開始後もそのまま惰性の関係が続き、くっつきにくいのである。
- 一方で「幼馴染だったが親の仕事の都合などで別れ、第1話で転校などにより再会」と言うパターンだと勝率は高い。
|
なろう系関連
小説家になろうやカクヨムに投稿されるネット小説、いわゆるなろう系においては、かませ犬の登場率が非常に高い。主人公がチート系の能力者で敵に一切苦戦しないという事が多いので、その場合、主人公に敵対する者は必然的にあっさりやられるかませ犬になるのである。
さらに、かませ犬をひどい目に合わせる事を主目的としたジャンルであるざまぁ系すら存在する。賛否の多いやり方で何かと叩かれやすいが、その一方で根強いファンもいるジャンルである。
詳細については上記文章内のリンクなども参照。
対象 | 主な要因 |
---|
| - 作品の冒頭で主人公を「役立たず」「無能」「不要」「ゴミ」等といった暴言を浴びせて追放する元仲間達。追放する側は高ランクの英雄や冒険者で、逆に主人公は彼らの活躍の陰に隠れていて低ランクと、目に見える形で立場や名声等で大きな差があることが多い。しかし実際は主人公の動きや能力が目立たない縁の下の力持ち系だっただけでパーティー内の重要なファクターとなっており、そんな主人公が抜けたせいで一気に名声等は地に落ちて主人公が如何に凄い活躍をしていたのかを語らせたり、あるいは名声等が地に落ちてなかったとしても主人公と再会した際に遥かに強く成長していた主人公から逆に格の違いを見せつけられる羽目になったりなど「本当に有能な者を見極められなかった無能者」として扱われることが多い。さらに「かつて主人公を寄って集って暴言を浴びせたり、装備品や金品を奪い取った果てに追放した」という敵対行動をとってしまっているため、作品によってはそのまま命を落としたり、主人公に助けを求めても聞き入れてもらえなかったりなど散々な目に合うことが大半。確実にそうというわけではないが、所謂「チャラ男」「陽キャ」みたいな要素を併せ持っている場合も多い。
|
| - いわゆる悪役令嬢ものジャンルの作品に登場する、主人公である悪役令嬢を糾弾するヒロイン的立場の存在。特に、「乙女ゲームへの異世界転生もので、そのゲームの本来の主人公の立場にあるキャラクター」である場合が多い(もちろんそうでないパターンもある)。当然ゲームの主人公(あるいはそれに類する立場)であるため本来は善良なキャラクターなのだが、悪役令嬢にとっては敵となる立場なので、物語中では貶められやすい。
- ありがちなのは「実は悪役令嬢の方が現実を見ており、ヒロインはお花畑思考から主人公を咎めていただけだった」と言うパターン。考えの浅さを指摘され、悪役令嬢の賢さを引き立てるかませとなりやすい。
- 「ヒロインも実は転生者だが、性格が悪くヒロインの立場を悪用している」と言うパターン(通称:転生ヒドイン)も多い。その場合は上記よりさらに悪辣で、大抵は主人公補正によって攻略対象を操って物にしようとしたり、悪役令嬢を過剰に攻撃して破滅させたりしようとするが、悪役令嬢に返り討ちにあう。
- ただし、ヒロインと悪役令嬢が仲良くなるパターンも多く存在する。その場合、ヒロインも主人公に強い好感を抱いてのハーレムの一員になる(同性愛)パターンや、悪役令嬢の本命は別にいる(もしくは恋愛に興味がない)のでヒロインの恋路は素直に応援するパターンなどがある。「ヒロインが結ばれないとバッドエンドを迎えてしまうので、ハッピーエンドのためになんとかくっつけようと画策する」と言ったパターンも。
|
| - ヒロインからの派生。ヒロインに対して好意を抱く男性キャラクター。典型的な例としては、「悪役令嬢の元婚約者だったが、ヒロインに惚れてしまい、ヒロインを苛める悪役令嬢を糾弾して婚約破棄する」と言った立場など。特に乙女ゲーム転生タイプだと、基本的には複数人いる。
- 「悪役令嬢の正しさに気づいて惚れ直すが、すでに悪役令嬢は別の男性と相思相愛なので手遅れ」と言った恋愛的噛ませパターン、「悪辣なヒロインに誑かされて悪役令嬢を糾弾し、その浅はかさの復讐を受けて破滅」と言ったより過激なパターンなどがある。
- ヒロイン同様、かませ犬とならないパターンもある。
|
|
賛否について
特定のキャラクターの強さを分かりやすく示せると言う事で、古今東西さまざまな作品で使われて来た有用な手法だが、一方で、「何かを下げる事で何かを上げる」と言う手段は一歩扱いを間違えると反感を買いやすい。
特に昨今ではメインキャラそれぞれに一定のファンがつく推し文化が盛んであり、そうしたファンのいるキャラを下げる手法には反感を買いやすい傾向にある。
ただ、これに関しては「話の展開次第」と言う物もある。例えばかませにされる側を悪趣味に下げるのではなく、負けるなりにしっかり食い下がったりすると、そのファンから反感も買いにくくなる。
具体的な例としては北斗の拳のトキがわかりやすい。彼は様々な相手から一目置かれる実力者だが、作中では二度噛ませ犬にされている。
一度目はラオウとの兄弟決戦だが、これは「因縁深い兄との対決であり、この対決自体が非常に盛り上がる展開」「トキもラオウに食い下がり、膝をつかせるまでに追い詰める」「ラオウが『病んでさえいなければ』と涙を流す」など、敗れたトキも格が上がる展開となっている。その結果、作中でもトップクラスの名バトルとして、ファンからの評価も高い。
一方、二度目は余命いくばくもない所をリュウガに襲われた展開だが、「リュウガがポッと出で魅力が感じられない」「ストーリーの意義が良くわからない」「バトルそのものもいまいち盛り上がらない」等から、ファンからの評価は非常に低い。
全く同じファンが相手でも、噛ませ展開のやり方によって反感を買う事も称賛される事もある、と言う実例と言えるだろう。
関連タグ
登場人物 ヤムチャ視点 ボスラッシュ パワーインフレ
悪役 ヒャッハー! 脳筋 ヒモ 当て馬 ヘタレ
ヒロイン不在 ヒーロー不在
ゴリせん:いかにも漫画のやられ役といった風貌の体育教師が、その屈強すぎる肉体で並居る死亡フラグを跳ね飛ばしていくギャグ漫画。かませのテンプレに詳しい人ほど笑える作品である。
弱い犬ほどよく吠える:かませ犬な悪役が備えている場合のある特徴。詳細は個別記事を参照。