メカニックデザイン
めかにっくでざいん
「メカデザイン」と略すことも。
映像作品においては美術スタッフや、工業デザイナーなどによって長らくおこなわれていた。
アニメーション制作現場では、動きがあるものはキャラクターデザイン、基地や戦艦などは背景美術の一環としておこなわれていたが、デザインに求められるものが次第に高度化・複雑化してきたためにタツノコプロにおいて中村光毅氏が、部下であった大河原邦男氏を専門のスタッフとして独立させたのが起源であるといわれる。
ただし乱暴に言ってしまえば「メカが描ければ名乗れる職種」でもあるため、特撮方面のクリーチャーデザインでも多くの仕事を行っている出渕裕氏や篠原保氏、アニメーターとしての仕事がメインの大張正己氏などのように、他方面で活躍している人間がメカニックデザインを担当することもあり、「メカニックデザイン」と他のクリエイター職の境界はハッキリとしたものではない。
また鳥山明氏や武井宏之氏のようにメカの作画に定評のある漫画家が、自らの執筆作品以外のメカニックデザインの仕事を受ける例もある。
デザインはゼロから描き起こすものばかりではなく、漫画や小説の挿絵などの専門外の人間がデザインした原作媒体や玩具主導のメカを基にアニメーション用に動かしやすいようブラッシュアップした設定画を起こしたり、スタジオぬえのようにSF設定も含めて行うこともある。
演出上、複数の勢力が登場する作品のメカニックデザインが求められた場合などは、勢力ごとに共通する記号を持たせるために異業種デザイナーや複数のデザイナーが関わることもある。わかりやすい例としては地球連邦(味方)側のモビルスーツ(巨大人型ロボット)は海老川兼武氏が、ヴェイガン(敵)側のモビルスーツは石垣純哉氏が一貫して手掛けていた機動戦士ガンダムAGE等が挙げられる。