「波導は我にあり!」
概要
2005年7月16日に上映された劇場版ポケットモンスターシリーズ第8作。前売り券での配信ポケモンはミュウ。
本作におけるもう一人の主人公としてルカリオがゲームに先駆けて登場したのが特徴。これまで映画でタイトルに出るポケモンはどれも伝説のポケモンや幻のポケモンであったため、いざゲームに出た時には伝説のポケモン扱いでは無かった事が驚かれた。
ルカリオの初登場作品なだけにメディアミックスでのキャラクター造形に大きな影響を与えており、『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズにおける「波導の勇者」という異名や「波導は我にあり!」というセリフも本作から引用されたもの。
翌2006年に発売の『ポケットモンスター ダイヤモンド・パール』(DPt)に登場予定のポケモン達が本格的に先行登場し始めた作品であり、ウソハチ、マニューラ、ルカリオが先行登場枠となる。マニューラはキッド・サマーズの手持ちであり、声優は阪口大助氏と福島潤氏。
ちなみに、AGの劇場版のOPで、テレビアニメの主題歌(バトルフロンティア)が流れたのは、シリーズ内で本作のみである。
AGの劇場版では唯一OP主題歌が存在する、本作では珍しく、悪役と呼べるキャラクターは登場しない他、ポケモンシリーズでも珍しい戦争を描いた作品でもあるなど歴代でも異色の立ち位置にある。
ゲスト声優としてキングコング(お笑いコンビ)、岡江久美子氏、菊池桃子氏に加え、前作に引き続きベッキー氏が出演している。
ストーリー
今から数百年前、世界を二分する大きな争いが起きようとしていた。「アーロン」とともに争いを止めようとする「ルカリオ」だが、アーロンによって杖の石飾りの中に閉じ込められてしまう。その後、世界に平和が訪れ、争いを止めたアーロンは伝説の「波導の勇者」として称えられるのだった。
「波導伝説」が語り継がれているロータの町で開催されたポケモンバトルに出場したサトシは、みごと優勝し、アーロンの杖を手にする。杖の石飾りから聞こえてくる声に気がついたサトシの前に、数百年もの封印を解かれたルカリオが現われる。
そして、そのとき突然幻のポケモン「ミュウ」が現れ、なんとピカチュウを連れ去ってしまった!
サトシはルカリオとともにピカチュウを探すため、ミュウが棲む「世界のはじまりの樹」を目指し出発する。果たしてサトシはピカチュウと再会できるのか?そしてルカリオの隠された過去と「波導伝説」の真実とは?(公式サイトより引用)
登場人物(ゲストのみ)
ゲストポケモン達
幻のポケモンミュウその人。無印の個体以上に感情豊かで無邪気な性格。
ピカチュウを攫った張本人だが、悪意はなく、ただ遊び相手が欲しかっただけである。
テレポートやへんしんを使う事が出来、ホウオウやスバメ、ピチュー、キモリ、マネネ、エイパム、ピカチュウ、ニャースに変身している。古代ではピジョットに変身し、アーロンをはじまりの樹の内部へ運んだ。(勿論、サトシのパーティにエイパムが加わる前の話である。)
ロータの言い伝えでは出会ったものに幸せが訪れるという。
- 2体のマニューラ
キッドのポケモンで、ふぶきやシャドーボールを使う強力なポケモンで、二体の抜群のコンビネーションが自慢…なのだが、こおりタイプのクールさよりもあくタイプの凶暴さが前に出やすいらしく、ミュウに発信機を取り付けるよう遣わされた際には熱くなりすぎてピカチュウたちを巻き込んでしまった。
OPのバトルでは片割れがピカチュウと対決、互角に渡り合うが、フルパワーの10まんボルトを浴びて敗北した。
OPでピカチュウと交戦。開幕10まんボルトを浴びて麻痺した所にでんこうせっかを受け、アイアンテールで吹っ飛ばされて早々にKOする。
羽から日光を吸収し、ソーラービームを放つがマニューラに躱され、シャドーボールを受けて敗北した。(一撃で倒せるこおり技を使って倒していない所がポイント。要は舐めプも同然である。)
キュウコンと対決し、ほのおのうずをしんぴのまもりで防御し、爆風を起こした。
ツノカブトの男性のポケモン。相性で大きく不利となるサワムラーを見事撃破した。
小太りな男性のポケモン。戦闘が一切描かれず敗北。
なんで4倍ダメージを与えられる有利な相手に敗北したかは不明。
はじまりの樹周辺に生息するポケモンで、サトシたちの夕食をくすねようとした所、タケシに咎められる。
その後は成り行きで一行に同行するが、EDではミュウと楽しく暮らしている。
なお、この映画の時系列は本編でタケシのパーティにウソハチが加わる前の時間軸である。
用語
- 世界のはじまりの樹
ロータに存在する巨大な樹木に似た鉱物生命体。内部には現生種の他、絶滅した化石ポケモン達が生息している。光合成でエネルギーを賄っており、緑色の球体が浮かぶ血管ともいうべき器官も確認できる。
また、外部からの侵入者を防ぐため、化石ポケモン(ユレイドル、リリーラ、オムスター、プテラ、カブト)の姿に変形し、侵入者を取り込んでしまう「葉白球」やレジ系ポケモンといった防衛システムを備えている。ミュウとは命を共有しており、ミュウが苦しめばはじまりの樹も崩壊する。
なお、葉白球に取り込まれた対象はミュウがはじまりの樹に敵ではないと伝える事で元に戻る事が出来るが、ポケモンは捕獲されても外敵とは判断されない為、取り込まれることはない。
またロータ周辺にはこの生物の一部である結晶体や波動使いに過去の記録を見せる「時間の花」が確認できる他、間欠泉も湧いていて入浴を楽しめる。
ちなみに地下の大空洞に生息しているポケモンは次の通り。
- ロータ
本作の舞台でカントー地方の北部にある町。というよりも女王がいるので国といった方が正しいか。
太古の昔、鎧を装着したポケモン達を率いる赤の軍と緑の軍が争う戦場になっていたが、波導の勇者であるアーロンが戦いを鎮めたという伝承が残されている。
赤の軍勢に確認できるポケモンはヘルガー、リザードン、ニドキング、ボスゴドラ、サイドン、ハガネール、サイホーンが、緑の軍勢にはカメックス、バンギラス、イワーク、ニドキング、コドラ、エアームドが確認できる。
また、伝承の時代の技術レベルは中世ヨーロッパレベル(実際にギャロップが馬車を引いている)であったが、この映画時点ではリニアモーターカーが開発されているほどに時間が流れている為、最低でも100年以上は月日が経っている事になる。(新無印編では技術レベルが現実世界に合わせられているのについては突っ込まないように。)
- ポケモンの玩具
作中にはポケモンを模したおもちゃが複数登場する。
オルドラン城の屋根裏部屋では三鳥のメリーゴーランドやスイクンの木馬とセレビィが描かれたトロッコが、ミュウがオルドラン城から持ち帰った玩具にはバネブーのびっくり箱、ラプラスのオルゴール、ライボルトの木馬、ドンメル型のrody、カポエラー型のヨーヨーゴマ、ツボツボ型の吹き戻し、ニョロトノやミルタンクの玩具が確認できる。
舞台について
- 舞台となったオルドラン城はドイツのノイシュヴァンシュタイン城、はじまりの樹は北欧神話のユグドラシルがモデルとされる。
- オルドラン城のあるロータの場所はセキエイ高原のさらに北部にある。(位置的には東北地方か長野県辺り)
主題歌
バトルフロンティア(映画バージョン)
作詞・作曲:Rie/編曲:高梨康治/歌:髙屋亜希那
テレビ版とはイントロなどが異なる。
「はじまりのうた」
作詞:PUFFY/作曲・編曲:Andy Sturmer/歌:PUFFY
歌詞中に『XY』の『V(ボルト)』同様にタイプ名が列挙される部分があるが、中には別の単語に置き換えられているタイプが存在するほか、歌詞中に登場しないタイプも存在する。
余談
- スタッフロールでは『七夜の願い星』で登場したバトラーとダイアンが登場。
- 本作に登場する親子(CV:日髙のり子、半場友恵)はこれ以降の作品でも度々モブとして登場する。
- 前述の通り本作のもう一人の主人公、ルカリオのゲームでの初登場は『ポケットモンスター ダイヤモンド・パール』(DPt)だが、海外のサイトによると開発当初は2005年11月に発売される予定だった。しかし公開4日前の2005年7月12日に発売が1年延期となることが発表された(※正確にはDPの発売が公開翌年の9月なので10ヶ月だが)。
- コミカライズ版は伊原しげかつ先生が担当されているが、のちに『ポケットモンスターダイヤモンド・パール物語 ポケモンDP』を描いている。
- 本作のオリキャラであるアーロンと酷似するキャラクターとして原作の世界観には彼に瓜二つのゲンが登場するのだが、増田順一氏が関係者に確認をとった所、全くの無関係というわけでもないらしい。