概説
広義では、フィクション作品における男主人公。狭義では、傑出した超人的能力を活かして英雄的な立ち回りを見せる主人公。ヒーローと呼ばれるキャラクターは正義と平和のために世を乱す邪悪と直接戦い、自らを自力で守れぬ弱者の味方となって犯罪者や悪徳権力者を懲らしめ、勝利を敵から自力で掴み取り、弱者を救う救世主的存在。
ヒーローは通常「強い」「優しい」「カッコいい/美しい」「一級フラグ建築士」などのポジティブな属性を多くもったキャラとして描かれる。また、ヒーローであることを示す特異な能力や大きな権力を持っており、それはその人物のステータスともなっている。
ヒーローと呼ばれる人(キャラクター)は本来は男を指し、女子でヒーローにあたるキャラクターはヒロインと呼ばれる。ただし、(本来は英文法的には誤りではあるが)女子においてもヒーローという呼称を使う例はある(特に、女子力(物理)タイプ)。これは、英語圏であるアメリカ合衆国でも使われる用法である。
また、上記のような特徴を部分的もしくは全体的に否定するような特徴を持ち、作品におけるキーパーソン(重要人物)となるキャラクターのことをアンチヒーロー(ダークヒーローとも)と呼ぶ。アンチヒーローが自ら主人公を張る作品も多いが、アンチヒーローが主役のライバルとして描かれることもある。
スーパーマンは「最初のスーパーヒーロー」として有名だが、厳密にはスーパーマンはスーパーヒーローのストックキャラクター(キャラクター類型)、つまり「スーパーヒーローの典型例」となったのであり、スーパーマンより前に「スーパーヒーロー的な」キャラクターはいた。
日本では黄金バット、アメリカでは快傑ゾロなどがその例である。
なお、ヒロインのほうは「レッドヒロイン」・「グリーンヒロイン」など、女子主要キャラでまとめた際の色付けで呼ばれることがあるが、男主要キャラでまとめた際の「レッドヒーロー」・「グリーンヒーロー」と呼ばれることが無い(例えばマリオ&ルイージはそれぞれ赤・緑をイメージカラーとするが「レッドヒーロー」・「グリーンヒーロー」と呼ぶことは無い)。
このようになるのは、女性は性格(趣味、属性)別に住み分け、男性は性格をおまけとし、強さをメインに見る傾向があるからだと思われる。だが、男性が性格を見ない訳でも、女性が強さを見ない訳でも決してない。
カラーヒーローとして入りそうなものはスーパー戦隊シリーズのほか、マリオ関連やケロロ関連、ギニュー特戦隊などがある。
固有名詞としては柴田亜美の漫画『自由人HERO』の主人公や、スクウェア(現 スクウェア・エニックス)のゲームボーイソフト『聖剣伝説』の主人公に用意されているデフォルトネームがある。
ヒーローと正義の味方
『月光仮面』の作者川内康範はヒーローが勝手に悪人に制裁を下すアメリカ映画に疑問を持ち、月光仮面を自ら正義を体現するのではなく「正義の味方」という存在として描いた。しかし、一般には「正義の味方」がヒーローの同義として認識されてしまっている。
コンピューターゲーム界隈では、ヒーローがレベルを上げて物理で殴るだけの内容が、クソゲーの極みとして糾弾されている為、ヒーローはただ何も考えずに戦っていればいいものではない。
読者に「作品内のヒーロー」と認識されている人間の男性が「ベタな正義の味方や変身ヒーロー」になりきっている設定もあり、妄想やコスプレやごっこ遊びに留まらずに、実際にその姿で街の人々のためになる活躍をするケースもある。
超変身でその姿になる設定もあるが、変身設定が「正体を隠して暗躍する」「ヒロインに正体がバレて結ばれるか、仲間たちに正体がバレて和解するまで読者をワクワクさせる」「人間ドラマの幅を広げる」という設定のみで生かされている。
エロゲ主人公は作中の女性に非常にモテる存在として描かれているが、現実世界での女性の人気は低く、「エロゲ主人公に自己投影してモテたい男性読者の味方」であって、女性の味方とは言い難い。
エロゲ主人公はプレイヤーが自己投影しやすいように没個性的に直されている為、プレイヤーの見方とゲーム内の出来事が異なる可能性がある。
プレイヤーの目に見えている没個性のキャラは、おそらく「ヒーロー」ではない(モブキャラと真の主人公の成り代わりが起きている可能性もある)。
また、没個性的ということは「いい意味でも悪い意味でも、どの男性が自己投影してもいい」という意味であり、「リアルでモテない男だけに夢を見せる存在」という設定はない。
エロゲーの一ジャンルの抜きゲーは殿方にオカズを提供する女性が主役であり、ヒーロー不在に入るのだろう。だが、ヒロインに自己投影するプレイヤーもいない為、真の主役は作品を生み出す神なのかもしれない。
暴力を使わずとも生活、人々の役に立っている男性、自分の身を守ることの大切さを教える男性も、正確には「正義の味方」であり、正義の味方の定義が細分化している。
「バトル漫画」の項目を見れば分かる通り、フィクションでは、ヒーローの戦い方が幾通りもあるのが分かるだろう。
女性にとってのヒーロー
女性にとってのヒーローは王子様的存在(王族ではなく、慣用句の意味)と同義語であることが多く、イケメン、金持ちであることが望ましいとされているが、条件を満たしていても女性の好みとは限らない。
強いこと(スーパーヒーロー、チートキャラであること)も絶対条件とされているが、強さの基準が人によってまちまちであり、疑問の声があがっている。特に、なんでも武力で片付けるのは、必ずしも強さではないとされている。「優しい」ことも好ましいとされているが、弱さと優しさを取り違えている男性、相手を小馬鹿にして優しい演技をしている男性、面倒見の良さとお節介を取り違えている男性は優しいとは認識されづらい(客観的に見せるギャグヒーローとして描写することはあり得る)。イケメンと雰囲気イケメン(悪意あるタイプ)を取り違えているタイプも好まれづらい。
女性にとってのヒーローは「自分(女)がなりたい存在」「命の恩人」「恋愛対象」「尊敬対象」「第三者視点で眺める対象」「お笑いタレント」等、種類が細分化している。
また、男性が主人公の恋愛ゲームにおける攻略対象となる女性キャラクターが『ヒロイン』という呼び方をされることに倣って、女性が主人公の恋愛ゲーム(通称『乙女ゲー』)における攻略対象となる男性キャラクターの呼び方として『ヒーロー』が用いられていることもある。
東西のヒーロー観
日本においてヒーロー(スーパーヒーロー)とは、弱者に対する救い手という分かりやすい立場を指すことが多い。そのため重要視されるのは「志」そのものであり、力の大小に関わらず誰かを助けようとする強い意志を持って行動する人物をヒーローと定める傾向にある。
結果、異能であれ超科学であれ、それらは志を達成するための「手段/道具」と割り切った扱いを受け、その使い道の是非を問うことが多い。
故に力の由来や本質は同じながら、それを無辜の人々を守る為に使うか、人に危害を加えたり己の欲望を叶える為に使うかと言った物語が展開しやすい。
一方で欧米におけるヒーローとは、自身の力を社会の幸福に寄与させる奉仕者であることが求められる。これは中世西欧から根付いた「天賦の才(ギフテッド)」に対する見解を論拠とし、要するに「才能は神から授かったものであり、その才能を人々の幸福のために活かすことこそ神の意思である」と定義され、才能による貧富の差を限りなく平坦に均すことを社会理念に求めたとされる。
いわゆる「ノブレス・オブリージュ(富める者の責任)」と同じ通念が、才能の方面にも求められている。
それにより欧米のヒーローは「力/才能を授かった理由」を哲学する展開がメジャーとなる。
スパイダーマンの主題である「大いなる力には、大いなる責任が伴う」というフレーズはそれを端的に表す物と言えるだろう。
この違いから、日本では「小さな事でも人助けをすれば誰でもヒーロー」と謳われる一方、欧米では「ヒーローとなる運命を受け入れる責任と覚悟」に焦点が当てられやすく、ヒーロードラマを構成する上でのストーリー展開に明確な差が生まれているという。
その他
古今東西のヒーローは必ずしも正義の味方然とした風貌やかっこいい風貌をしているとは限らない。
力そのものに善悪がなく、使い手次第で両方に転がるという思想を体現してか、怪物としての側面を持っていたり、異形の姿をしているというパターンも珍しくなく、怪物と人間の心の狭間で苦しむという作風も生み出されてきた。
アメコミではこの代表格としてハルク、日本ではこの代表格として仮面ライダーなどの石ノ森ヒーローが挙げられる。実はウルトラマンもまた正義の怪獣が活躍する番組の企画から生まれた存在であり、当初の児童誌でもウルトラマンが"正義の怪物"扱いされ(2008・小学館刊・てれびくんデラックス「大決戦!超ウルトラ8兄弟超全集」・P58より)、ダークサイドのウルトラマンは怪獣としてカウントされる事もしばしばある。
戦後は価値観の多様化に合わせて改心の見込みがある敵に改心を促したり、荒ぶる存在を鎮めたり、食べ物を分け与えるヒーローなど敵を懲らしめるだけではない様々な「正義」あるいは「信念」を体現したヒーローが出現し続けている。
見方を変えれば「悪」も「正義」の一つであるため、多種多様なヴィランもその価値観によってはヒーローと呼べるのかもしれない。女神転生シリーズでも思想ごとに合わせたヒーローが存在するぐらいである。
主なヒーロー紹介
日本の特撮
日本のアニメ
スーパーヒーロー(アメコミのヒーロー)
ゲーム
時代劇
児童書
格闘作品
ヒーローに憧れる者
- アイアン・ジャイアント
- アメリア=ウィル=テスラ=セイルーン(スレイヤーズ)
- 春日野さくら(ストリートファイターシリーズ)
- 黄瀬やよい/キュアピース(スマイルプリキュア)
- クロノア(風のクロノア)(クロノアヒーローズでの設定)
- ソラ・ハレワタール(ひろがるスカイ!プリキュア)
- 南条光(アイドルマスターシンデレラガールズ)
- 緑谷出久(僕のヒーローアカデミア)
自称ヒーロー
その他のヒーロー
歌謡曲・ヒーロー
正式名称は、holding out for a hero
オリジナルヴォーカル:ボニー・タイラー氏
カヴァーヴォーカル:麻倉未稀氏
オリジナルソング
カヴァーソング(大映ドラマスクールウォーズ主題歌)
関連タグ
主人公 男主人公 男の子主人公 おじさん主人公 女性ヒーロー/ヒーローガール/ヒーローボーイ アニマルヒーロー
主人公(笑) スーパーヒーロー アンチヒーロー メインヒーロー 準ヒーロー サブヒーロー パッケージヒーロー カラーヒーロー もう一人のヒーロー エロゲ主人公 変装
武器 メカ バトル 俺TUEEE モブ 雑魚 やられ役 かませ犬 ネタキャラ
乙女ゲー:ヒーローが攻略対象となる女性が主人公の恋愛ゲーム
勇者:英訳するとヒーロー(Hero)となる場合がある。
自分にもある弱さを知ればほんとのヒーロー:ヒーローになるための条件とも言えるフレーズ