経歴
劇団薔薇座、シェイクスピア・シアター、アクセント(2010年1月1日以前)を経て、死去するまでは青二プロダクション所属だった。
1951年5月16日生まれ。福井県勝山市出身。血液型はA型。
本名は同じく「石塚運昇」だが、読みは『いしづか ゆきのり』である。これはオーキド博士の本名(オーキド・ユキナリ)と一字違いだった事をよく話題にしている。ちなみに「まったくの偶然」とのこと。
70年代より舞台役者としてデビューし、1984年に声優・ナレーターとしてもデビューを果たして以来、洋画の吹き替えから、アニメ・ゲーム、テレビ番組やCMのナレーションまで幅広いジャンルで活動。役者業・声優業の傍ら、地元の小劇場やアマチュア劇団とも交流を持っていた。
低く太い、渋みのある声色が特徴で、年季の入ったベテランや悪役に定評があった。
役柄としては、ワイルドな風貌でどっしり構えた性格のオジサマキャラが多かったが、特に「荒熊さん」ことセルゲイ・スミルノフと、『ポケットモンスター』シリーズのオーキド博士が最も代表的かつ人気の高い持ち役とされる。
また、アーノルド・シュワルツェネッガー主演の映画『コマンドー』の玄田哲章版の吹き替えで「筋肉モリモリマッチョマンの変態」と発言したビッグス警備員を演じたことでも知られる。(奇しくも玄田氏は『重神機パンドーラ』で石塚氏が演じたケイン・イブラヒーム・ハサンの役を引き継ぐこととなった)
なお、オーキド博士役を演じたことがきっかけで、初めてブラウン管側の視聴者を意識するようになったと語っている。
『よろしくメカドック』の渡辺俊光
『頭文字D』の藤原文太
『エクスドライバー』の宗方圭
を演じた経緯から「自動車関連のアニメに縁があるな」と語ったこともある。
晩年は食道ガンが判明し、仕事をこなす傍ら療養に励んでいたが、治療の甲斐なく病状が悪化し、2018年8月13日、療養先の自宅にて67歳で死去した。
訃報に対しては、松本梨香・飯塚雅弓、関智一などの共演者を中心に、ポケモン関係者をはじめ、出演作のスタッフや原作者、交流のあった地元のアマチュア劇団員などから、数多くの哀悼の念が寄せられた。同年10月2日には青山葬儀所でお別れの会が行われ、山寺宏一らが参列した。なお、山寺は2017年時点で石塚の病状を知っていたことを後に明かし、『宇宙戦艦ヤマト2202』第6章の出演最後のセリフ「たのむ」を聞いて「そんな重い病気にかかっているとは思えないほど力強かった」とのコメントを残している。石塚氏が演じてきた役の後任は谷昌樹、石井康嗣、大塚明夫などの諸氏に委ねられた。
遺作となった出演作品の一つである『BANANAFISH』は最終回までの収録を生前に完了しており、最終回のオープニングの最後には、「石塚運昇氏に感謝を込めて」と故人を偲ぶメッセージが表示された。
また、2019年に公開予定の劇場版『ポケットモンスターミュウツーの逆襲EVOLUTION』ではプレスコのため生前に収録が完了しており、事実上の遺作となった。
人物
趣味はゴルフ。実家がバイク屋で自身も若いころにバイクを乗り回し、30過ぎまで熱中していた。
『ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース』のアフレコでは必ず「大きい声出すの嫌だなぁ」「何か面倒だよ」等とぼやいてから始めるというエピソードがある。
しかし、ぼやきとは裏腹に一番声を出しているらしい(空条承太郎役・小野大輔談)。
小野「大きな声出すのは運昇さんが決めたんですよ?」
石塚「え、違うだろ。お前達が言ったんだろ!」
三宅健太(モハメド・アヴドゥル役)「ペースを決めたのは運昇さんです」
石塚「だって言えっていうんだもん。」
因みに、石塚本人は「俺は周りに色々と刷り込まれたんですよ、特に大川(ナレーション担当・大川透)に」と語っている。
また生前は過去に演じた役柄に思い入れのあるタイプではなく演じたら燃え尽きるタイプであり下手すれば役名すら覚えてない事も度々あったという。杉田智和曰く「2週間前のキャラですらも忘れるレベル」。
山寺宏一曰く「一見すると強面の風貌だが、話してみるととても気さく」とのこと。本人も人に偉ぶるのが嫌いと語っていた。
先のようにぼやく癖があるようで、「ポケモンの声の役は回さないで欲しい」とスタッフにやんわりと釘を刺すも、一話にしてオニスズメ役を兼役で演じることになり、以降ズルズルと多くのポケモンの声を担当することになった(スマブラSPのガオガエン役も生前に収録した)。
ファンには有名な話だが、オーキド博士の格好をして番組出演することも多かった。
おはスタに出演した時はあまりにも朝が早く、「なんでこんな朝早く起きて、俺がやんなきゃいけないんだ」とぼやきつつも、いざ番組が始まるととても楽しそうに盛り上げてくれたとのこと。
ちなみにポケモンには詳しくないため子供からの質問に上手く答えられなかったとか。ちなみにコスプレの精度はゲームやアニメの絵と比較してもまるで違和感がない程に雰囲気が似ている。
晩年は声優のドラマ出演のブームに重なり、自身がナレーションを担当した『99.9 -刑事専門弁護士-』に裁判長として顔出し出演したことがある。同作の第二期では闘病中の身だったが表には出さず、ナレーションの再収録にも快く挑んでくれたとのこと。
主な出演作
アニメ
バラン@DRAGON QUEST ダイの大冒険(1991年版) | 田岡茂一@スラムダンク | ウルフ・ホークフィールド@バーチャファイター |
ベース@ハーメルンのバイオリン弾き | 不二@るろうに剣心 | オーキド博士(初代)@ポケットモンスターシリーズ※1 |
中森銀三(初代)@まじっく快斗/名探偵コナン※2 | 藤原文太@頭文字D | ジェット・ブラック@カウボーイビバップ |
シルヴェスター・アシモフ@テラフォーマーズ | アーネスト・ジョンソン@マクロスΔ | コウシロウ@ONEPIECE |
桃地再不斬@NARUTO | 滝栄一郎@ジパング | 不動GEN@創聖のアクエリオン※3 |
逆鬼至緒@史上最強の弟子ケンイチ | 小銭形平次@銀魂 | ガルド・ゴア・ボーマン@マクロスプラス※4 |
ガントゥ@リロ・アンド・スティッチ | ヴァン・ホーエンハイム@鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST | ボルサリーノ(初代)@ONEPIECE※5 |
ゴゴール@HEROMAN | 海馬剛三郎@遊☆戯☆王 | レーム@ヨルムンガンド |
土方竜(初代)@宇宙戦艦ヤマト2199※6 | ジョセフ・ジョースター@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース/ダイヤモンドは砕けない | 阿修羅カブト(※画像左)@ワンパンマン※7 |
禍グラバ@ケイオスドラゴン 赤竜戦役 | ヨブ・トリューニヒト@銀河英雄伝説(OVA) | ウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ@銀河英雄伝説 Die Neue These※8 |
ケイン・イブラヒーム・ハサン(初代)@重神機パンドーラ※9 | ディノ・F・ゴルツィネ@BANANAFISH※左端の人物 | ナリヤ・オーキド(初代)@ポケットモンスター サン&ムーン※10 |
イラスト未確認
渡辺俊光@よろしくメカドック
ドン・ギララ、ドン・キホッテ、ムコ・ハーン@魔神英雄伝ワタル
キャプテン・グッド@魔動王グランゾート
ノブナガ@からくり剣豪伝ムサシロード
官房長官@青き御霊BLUESEED
見上辰夫、岬一朗@キャプテン翼J
ミスタークロオビ@勇者特急マイトガイン
花村少佐@劇場版はいからさんが通る※11
ガンダムシリーズ
イラスト未確認
アイムザット・カートラル@機動新世紀ガンダムX
メラン@機動戦士ガンダム 逆襲のシャア/機動戦士ガンダムUC
ゲーム
イラスト未確認
Ω/プロフェッサードスメーア@ガイストクラッシャー
特撮
吹き替え・海外アニメ
リーアム・ニーソン | ローレンス・フィッシュバーン | ケヴィン・スペイシー |
アンディ・ガルシア | ホレイショ@CSI:マイアミ | サイラス@トランスフォーマープライム |
ビッグス@コマンドー(テレビ朝日版・吹き替えの帝王版) | ||
ナレーター
ポケットモンスターシリーズ※14
ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン
ユリシーズ ジャンヌ・ダルクと錬金の騎士
99.9 -刑事専門弁護士-
※1 後任は堀内賢雄(没後に収録された『サン&ムーン』第111話以降)
※2 後任は石井康嗣(没後に収録された『名探偵コナン』映画第23作以降)
※3 後任は大塚明夫(没後に収録されたパチンコ・パチスロ作品での担当)
※4 後任は大塚明夫(没後に収録されたゲーム「歌マクロス スマホDeカルチャー」での代役)
※5 後任は置鮎龍太郎(没後に収録された第881話以降)
※6 後任は楠見尚己(没後に収録された『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』第6章の途中〈第21話〉から)
※7 後任は山路和弘 (没後に収録された『銀河英雄伝説 Die Neue These 星乱』での担当)
※8 後任は稲田徹(没後に製作されたゲームでの代役)。
※9 後任は玄田哲章(没後に収録された最終回〈第26話〉での代役)
※10 後任は堀内賢雄(没後に収録された第93話以降)
※11 後任は銀河万丈(没後に収録された後編映画での担当)
※12 後任は江原正士(没後に発売された『無双OROCHI 3』以降のゲーム)
※13 後任は石井康嗣(2020年3月27日付アップデートより)
※14 後任は堀内賢雄(没後に収録された『サン&ムーン』第95話以降)
郷里大輔から引き継いだ役
ナレーター@戦国無双シリーズ*5
*1 郷里氏の没後に発売された『ドラゴンボール タッグバーサス』以降のゲーム作品および没後に制作された『ドラゴンボール改』以降のアニメ作品での後任。石塚氏の没後は江原正士が引き継いだ。
*2 郷里氏の没後に発売された『鉄拳タッグトーナメント2』以降のゲーム作品での後任。
*3 郷里氏の没後に発売のゲーム『魁!!男塾 ~日本よ、これが男である!~』での代役。
*4 郷里氏の没後に稼動した『CRぱちんこキン肉マン 夢の超人タッグ編』での代役。
*5 郷里氏の没後に制作された『戦国無双3 猛将伝』以降での後任。