概要
米GM・独VWグループと並ぶ、世界最大手クラスの自動車メーカー。ダイハツ・デンソー・アイシン精機・トヨタ自動車東日本・日野自動車など多くの大企業を傘下に収め、技術力・資金力・販売力などさまざまな面で圧倒的な強みを持ち、「世界最強企業」とさえ称される巨大企業グループである。市販車製造・開発は、数多ある関連企業がそれぞれに企画しており、これら全てを総称して「TOYOTA」という企業体であると考えるのが実態に近い。
現在の隆盛は主に大衆向けの車に重点を置いた販売戦略の結果ではあるが、大衆車イメージを脱却するためにレクサスなどのブランド化戦略も進めており、北米においてはベンツ・BMWと覇権を争う。日本の高級車市場でもアウディを上回り、日本の高級車ブランドで唯一ドイツ御三家と争う力を持つ。
企業グループとしては一応、三井グループに属するとされる(日産自動車はみずほグループ〔旧プリンス自動車の流れから住友グループにもかかわる〕、三菱自動車は三菱グループである)。海外での成功は同じ三井グループの三井物産の功績によるところが大きいが、三井グループは独立独歩の傾向が強く、一方トヨタはその資金力や、旧三井銀行と並ぶメインバンクだった旧東海銀行が三菱東京UFJ銀行になった経緯から、三菱グループの三菱重工・三菱航空機(MRJ開発メーカー)など愛知県に主力工場を置く三菱系企業に独自に出資・社外取締役派遣をしていることもあり、特定の旧財閥系に属さない独立系と見なされることも多い。
販売のトヨタと言われるように販売力の圧倒的な強さには定評があり、軽自動車を除く登録車の半数弱(2015年は46.1%)がトヨタブランドの車である(別ブランドのレクサス、子会社のダイハツ、日野を含めるとさらに多くなる)。またトヨタ銀行と言われるほどの資金力、トヨタ生産方式と呼ばれる徹底してムダを省いた生産技術もその強さの源泉である。また、その豊富な資金力から先進的技術の開発に積極的であり、ハイブリッドカーを中心に、エコカーの分野でも先進的な技術を多く持つ。
トヨタ車の特徴
製造する自動車の多くは高級感のある内装と耐久性・信頼性に定評があり、トヨタの中古車は車種にもよるが同程度の年式・走行距離の他メーカーの車より高値がつくことが多い。なかでも異常な頑丈さで知られるランドクルーザーはインフラが未整備な発展途上国では最も頼りにされている乗り物である。そのほか日本国内でも、ワンボックスカーのハイエースは建設業や運送業に、ライトバンのプロボックスは営業に、セダンのコンフォートはタクシーにとそれぞれの業界で酷使してもヘタらない信頼性がプロの高い評価を得ている。
その一方、クルマ好きや海外の若年層からは「退屈、無個性」として嫌われる(傾向がある)メーカーというのも否めない現状である。北米におけるサイオンブランドの設立もそうした事情が背景にある。
乗り心地は以前は乗用車は総じてふわふわした柔らかいものが多いと言われ、柔らかい足回りを嫌う層からは「車酔いしやすい、眠くなりやすい」と言われることもあった。また(海外ではそれなりにあるものの)国内においてMT車のラインナップは壊滅状態で、乗用車のMTカタログモデルは(2017年4月の時点で)カローラ/オーリスと86にしかない。
この事もあり車好きから軽視されやすいが、日本自動車史の黎明期からスポーツカー・レーシングカーを牽引してきた実績がある。現在は社長の豊田章男が自動車好きとして知られていることもあり、クルマ好きからの評価が上がっている模様である。また新プラットフォーム「TNGA」で乗り心地を急激に改善し、「G's」や「GR」といったスポーツカーブランドを立ち上げて、より愛情を注いでもらえる車作りを目指している。
スポーツカーとモータースポーツについて
スポーツカー関連での最近のトピックはスバル(富士重工業)と共同開発した86である。
2011年のジュネーブショーにおいてFT-86Ⅱの展示、同年の東京モーターショーにおいて市販バージョンの発表、そして2012年春、トヨタ版は86、スバル版はBRZとして発売にこぎつけた。日本車の価格が軒並み高騰し、スポーツクーペは高級車以外は絶滅危惧種とみなされている時代(※)な上、スポーツカーの歴史においてもボクサーエンジンのFRスポーツカーは極めて希少であり、単純にハチロクの後継としてだけではなく「一般人でも買えるFRスポーツクーペ」として非常に高い注目を集め、販売数も2012年9月の時点でも好調である。
またレクサスブランドにおいてはハイパフォーマンス系の「F」シリーズを市場投入、ヤマハと共同開発したエンジンが好評である。
ただし、価格に問題があるという意見もある。スープラやソアラのポジションを引き継いだ格好のRCは512万円スタートで、これはおいそれとは買えるものではない。それどころか86でも気がついたら240万円スタートまで上がっており、とても若者が買える代物ではない。
尤もこれに関してトヨタは「AE86に憧れたおっさんが買って、若者が中古で安く買えて、子どもが憧れる」という構想を86に持っているので、そこはあまり気にしていない様だ。・・・そもそも昨今の走り屋事情を考えれば、それよりマークXに200万強くらいのMTグレードを用意して「ポスト・ツアラーV」作った方がいいのでは?と言いたくもなるが、FR・MT・セダンの3点揃ってしまった車なぞ走り屋ぐらいしかお買い求めになる奴がいないので、売るだけムダなのだ(そもそも走り屋が新車を買う余裕があるのか?という・・・・(※))。
※実際のところ若年層全般が買える新車は大概の場合、せいぜい軽かBセグメントくらいであろう。
走り屋がこぞって新車を投入できた時期もバブル期前後ぐらいのものである。
そしてバブル期を前後して日本車のAT化・Cセグメント以下のFF化が進んだ結果、それ以前であれば(改造が大前提であるため)量販大衆車でもなんとかなっていた(中古であれば若年層が手が届く価格帯の)走り屋の車両ニーズが満たせなくなってしまったという流れである。
マークⅡ系やローレルなどがドリフトの定番車種になっているのも、そもそもは「FRスポーツカーは数もないし高い。安くてパワーがあってFRで市場に氾濫してるから、これにスープラとかスカイラインとかのMT載せちまおうぜ」というものである。
それではなぜ2018年現在では数万円という物件もある120マークXや50万円程度から狙える20ISがなかなかベース車にならないのかというと、複雑怪奇な電子制御に加えて流用できるミッションがない(載せ換えキットもあるが、パーツ代だけで100万円する)という事情があるものと考えられる。
※2000年以降新規投入された本体200万円台以下で日本の正規ディーラーで購入できるクーペはFFでもインテグラ・CR-Z・ヒュンダイクーペくらいしかなく、後輪駆動に至ってはロードスタークーペ以外400万円以上、安くてもフェアレディZと言う有様であった。もっとも、トヨタ車のお手頃なクーペが途絶えたのもそこまで昔の話というわけではない。共に99年デビューかつ本体200万ちょっとで買えたZZT230系セリカも06年、MR-Sは07年まで生産されていた。またフェアレディもZ33に関してのみは本体300万円台で買えるモデルがほとんどである。だがセリカもMR-Sも販売不振(1年間で1000台とかそんなレベル)で生産終了している・・・・・そう!!!誰も!!!安いスポーツカーを買っていないのである!!!
モータースポーツ分野でも幅広い活躍を見せている。実は日本車メーカーで初めてWRC・WEC・NASCARカップ戦でチャンピオンになったメーカーなのだが、大衆車メーカーであるというイメージやコアな車好きからトヨタは嫌われることが多いのであまり知られていない。
そういう意味では、(いくら最後は反則エンドとはいえ)後のランエボ・インプレッサと比較すると異常に影の薄いセリカGT-FOURは不憫な存在ともいえなくない。
トヨタにまつわるデマ・嘘情報
ここまで述べてきた様に、トヨタは車好きから嫌われることが多い。が、嫌いなだけならともかく中には親でも殺されたかの様にデタラメで叩いたり、誤った情報を平気で流す輩が多いので注意が必要である。ピクシブ百科事典を含めたネット系事典でも、車好きが編集することが多いので先入観だけで調べずに書かれた記事も多い。事実、上の項目「スポーツカーとモータースポーツ」も元々は誤った先入観でトヨタを叩くために作られたものである。
以下に代表的なトヨタに関するデマと正しい情報を記す。
- 「80点主義」・・・正確には『80点+α主義』が正しい。しかし「トヨタは手抜きをしている」という印象を植え付けるためや、単純な誤解によりにわざと+αを無視した書き方がされることがある。実際には全て80点に到達させるのは非常に高度なことなのだが・・・そもそもその論者が「他は0点でもいいから必要なところは100点を取れ」という価値観を持っていた場合、そもそも80点主義とは相容れないということになる。
- 「トヨタはマネと後出しジャンケンが得意」・・・むしろ先駆者として新たなカテゴリを切り拓くことが多い。先駆者となった車種としてカローラ、プリウス、ヴィッツ、ハリアー、マークⅡ、セリカ、ISなどがある(探せばもっとある)。世界で初めてハイブリッド車、燃料電池車、ソーラーパネル搭載車を量産したのはトヨタである。なお、逆にホンダがプリウスにインサイト、ヴィッツにフィットをぶつけることは「後出しジャンケン」ではなく「挑戦」となぜか賞賛され、トヨタはそれを潰す悪者にされる。ここの※欄みたいな感じで。
- 「トヨタは技術力が無い」・・・レクサスを見落としているか、車好きの知識と視点で捉えやすい技術が無いだけで、総合的な技術力はやはり高い。一般にはスプリット式ハイブリッドが有名であるが、実はディーゼルエンジンでも近年力をつけている。SKYACTIV-Dで有名なマツダディーゼルは低圧縮比だが、トヨタは逆に断熱技術を駆使して高圧縮比にして同水準の燃費を実現した。
- 「トヨタはジャーナリストに圧力を掛けている」・・・・有名どころで言えば河口まなぶあたりを見ていれば間違いだとすぐに分かるはず。古くは徳大寺有恒とかも。むしろ『トヨタが好きで、悪いか!』という見出しの雑誌が出ているのを見ると、トヨタを褒めると車好きたちから非難される、という空気がジャーナリストに圧力を掛けている可能性も。
- 「無難な車が多い」・・・国内の現行で言えば200万台から買えるFRセダンのマークXや、後部座席を完全に犠牲にしたSUVのC-HR、クーペの86、どう考えても日本のサイズじゃ無いハイラックス、ドリフトもできるハイブリッドクーペのLC500hなどがある。昔に遡れば、150万円のガルウィングドアクーペのセラ、国産史上唯一のV12エンジンのセンチュリー、カローラ系のFFシャーシには余りすぎる(というかむしろAWDにすべきだったのではという)馬力のブレイドマスター、「セダンが欲しい熟年層とクーペが欲しい若年層」の希望をニコイチした「4ドアクーペ」の先駆けであるカリーナED、開発に10年をかけ1000億の赤字を出したLFAなどのよく分からない車も多く出している。
- 「2000GTはヤマハに丸投げで、トヨタはバッジだけつけた」・・・当時ほとんど四輪製作の経験の無いヤマハに丸投げで作るのはどう考えても無理がある。詳しくはWikipediaを参照
- 「トヨタはレースで勝ったことが無い」・・・前項目で述べた通り。実は複数のFIA世界選手権でマニュファクチャラーズタイトルを獲得したことのある唯一の日本メーカーである。その他デイトナ24時間やインディ500、パイクスピークでも総合優勝の経験有り。
車種
軽自動車(ピクシス)
ハイブリッド
UNDER 1500cc
XP型車(ヴィッツ系列)
ヴィッツ
1500 to 2000cc
E型車(カローラ系列)
カローラ/スプリンター
A型車(FR世代)→T型車(FF世代)
カリーナ/コロナ
クラウンセダン(クラウンの名がついているが、こちらはビジネスセダン)
2000 to 3500cc
マークⅡ/マークX/チェイサー/クレスタ/ヴェロッサ/クレシーダ
マークXジオ(駆動方式からして違い、名前以外マークXとの関連性はない)
ブレイド(※オーリスに2400cc/3500ccを搭載し無理矢理高級志向にしたモデル)
3500cc OVER
ダイナ/トヨエース(2トン-4トン積み、現行モデルは事実上日野デュトロのトヨタ店/トヨペット店バージョン)
社名
社名はそのまま、創業者の姓である「豊田」からとっているが、こちらは「とよだ」と読む(つまり、豊田章男なら「とよたあきお」ではなく「とよだあきお」)。
しかし、創業当時から外国展開をも見据えていたため、清音の方が外国人にも発音しやすいと考えて、「トヨタ」にしたという。
なお、トヨタ本社がある豊田市は、もともと「挙母(ころも)」という名前であったが、トヨタの存在感があまりに大きくなったために現在の市名に変更された。私的団体が地方自治体の名前を変えた例は、豊田市以外には天理教本部のある天理市だけである。
関連タグ
関連人物
※所属のスポーツ選手だった人物。
スポーツ活動も盛んで社会人野球、フィギュアスケートの他にもチームを持つ。
トヨタ自動車サンホークス(V・チャレンジリーグ)
トヨタ自動車アンテロープス(女子バスケットボールWリーグ)
トヨタ自動車ヴェルブリッツ(ラグビートップリーグ)
トヨタ自動車グリフィンズ(ハンドボールJHL)
トヨタ自動車女子ソフトボール部(日本ソフトボールリーグ)
トヨタ自動車陸上長距離部
トヨタ自動車ビーチバレーボール部
名古屋グランパスエイト(サッカーJリーグ、トヨタ自動車サッカー部が前身)
アルバルク東京(男子バスケットボールBリーグ、トヨタ自動車アルバルクが前身)