最初に断っておくと
『ウルトラマン』に友情出演したゴジラ～(※)…ではなく、ゴジラの着ぐるみに襟巻きを付けて誕生したウルトラ怪獣である。
※ とはいえ両作品ともに特撮の神様・円谷英二が携わった作品であり、円谷プロも東宝と密接な関係にある上、スーツアクターも昭和ゴジラの中島春雄氏なので、友情出演したゴジラといっても差支えは無い。
が、さすがに鳴き声まではそのまま流用されておらず、早回しにしたものが使われている(ガイラやレッドキングの鳴き声に近い)。
その後この鳴き声は『帰ってきたウルトラマン』のサータン、『ウルトラマンレオ』のギロ、アトランタ星人、ハングラー、『ウルトラマン80』のザンドリアスに流用された。
データ
| 別名 | エリ巻き怪獣/エリ巻き恐竜(近年は後者の表記が多い) |
|---|---|
| 英表記 | JIRAHS |
| 身長 | 45m |
| 体重 | 2万t |
| 出身地 | 北山湖 |
一部資料では出身地が「ネス湖→北山湖」と記載されている。
概要
第10話「謎の恐竜基地」に登場。
イギリスのネス湖から二階堂教授（後述）によって日本に持ち込まれた卵から孵り、長い年月をかけて日本の北山湖で育てられていた。
一際目を惹く大きな襟巻きが特徴だが、その役割は今もって明かされていない。現実のエリマキトカゲのように異性を惹きつけるディスプレイあるいは体温調節、威嚇用の部位などの役割を担っていたのだろうか。
武器は口から吐く白い熱線。100万ボルトの電荷を帯びているらしい。最初は二階堂教授の命令にも従う知能の高さを見せていたが、次第に凶暴化して手に負えなくなっていった。
肉食性であり、一日にマグロ2万頭を平らげる程の大食漢。…いやネタで言っているのではなくて本当に怪獣図鑑にそう書いてある。
また、「ウルトラマンオフィシャルデータファイル」によれば足の爪から痺れ毒を出し、浮いてきた魚を食べると言う。無益な殺生はやめなされ…
湖で生活しており、肺に空気を溜め込んで置けるものの、やはりそこは恐竜なので呼吸のために水面から顔を出す必要がある。そりゃ見つかる危険性も上がるというものだ。
最終話「さらばウルトラマン」においても、ウルトラマンの敗北シーンで流れる走馬灯の中でガボラとともに登場した(第10話の映像の流用)。
「決定版ウルトラ最強怪獣50大図解超百科」(講談社刊)の解説によれば、北山湖の魚が体質に合うとされている。
一見すると熱線と（設定のみ存在する）しびれ毒を除けばこれといった特徴のないシンプルな怪獣であるが、近年では他にも特殊能力が秘められている可能性が示唆されている。
活躍
北山湖で二階堂教授によってひっそりと育てられていたが、成長するにしたがってエサの量が増えていったためか、北山湖で魚が大量発生しているといううわさを聞きつけた釣り人が殺到。更に調査のために科学特捜隊がやってきた。
特殊潜航艇S号まで投入される程の大規模な捜索が行われたが、この時は大人しくしていたのでソナーには反応せず、水中カメラもギリギリやり過ごせた。
夜間の餌やりの時間に、夜釣りをしていたイデ隊員に目撃されてしまうが、イデ隊員は二階堂教授に捕まって監禁されてしまったので、またもやり過ごすことに成功する。
その翌日､科特隊がイデ隊員の捜索に掛かっている間に、間が悪い事に調子に乗った釣り人がカーバイト（炭化カルシウム）を湖に散布してしまう（水質を汚染する犯罪行為ですので絶対に真似しないで下さい）。
汚れた湖水で苦しくなり、遂に湖上に姿を表した。
カーバイトと科特隊の攻撃で興奮したのか、飼い主である二階堂教授をも蹴り飛ばしながら大暴れするが、駆けつけたウルトラマンと戦闘に入る。ウルトラマン相手に岩を早撃ちで撃ち落とす勝負を挑むが負けてしまい、（「シュワッハッハッハ」と笑われるなど散々おちょくられた事もあって）怒り狂って格闘戦に移行するが、ウルトラマンの素早い動きに翻弄されてエリマキを引きちぎられてしまい…
ゴジラ丸出しの姿となってしまった！
特撮ファン待望の「ゴジラVSウルトラマン」が実現してしまったのである！
一応黄色い派手な模様は残っているのでギリギリジラースである。
エリマキを取り返そうとウルトラマンに挑むが、小躍りしながら闘牛士の如くエリマキを振るウルトラマンに翻弄され、遂にウルトラ霞斬りを食らって致命傷を負い、口から血を流して絶命した。
哀れなジラースを弔うためか、奪ったエリマキを遺体にそっと被せてやるウルトラマン。
冷たくなったジラースを目の当たりにした教授は、「ジラース…ジラアアアアアアス！！」と叫び声を上げて力尽きた。
バトルが非常にコミカルだっただけに、この物悲しい結末は視聴者に強い印象を残す事となった。
二階堂教授
演：灰地順
「モンスター博士」の異名を取る、中村教授（演：森幹太）に変装していたマッドサイエンティスト。
15年前にネス湖探検隊に参加し、計画が打ち切りになったのにもかかわらず、単身ネス湖で調査を続け、その結果、恐竜の生き残りであるジラースを発見した。
その後、ジラースを密かに日本へと持ち帰り、北山湖の一角に恐竜の壁画が描かれた研究所を築き、オオトカゲやカラスといった様々な生物を飼育しつつ、密かにジラースを育成していた。
一度取材に訪れていた女性記者がイデ隊員と共に再び研究所に訪れると口封じに監禁した挙句、科学特捜隊バッジを破損させた。しかし、イデ隊員はヘアピン一本でバッジを修理して科学特捜隊に通報してしまった為に、彼らの脱出を許してしまう。
自分の育てたジラースが暴れ回る姿を見て歓喜し、攻撃する科学特捜隊を止めに入るなど、恐竜に対する歪んだ愛の持ち主。
最期は興奮したジラースに踏みつけられ、悲痛な叫びを上げながらジラースの遺体に縋るように絶命した。
研究所内では蛇など他の爬虫類も飼育している他、洞窟のような内装に、恐竜の大きな壁画が描かれている。教授が子供向けの雑誌『少年グラフ』の記者たちの取材に応えた際、壁画を用いて恐竜の解説をしていた。
※画像
その時に解説した恐竜は、ディプロドクス、ケラトサウルス、ステゴサウルス、トリケラトプス、イクチオサウルス（恐竜でなく魚竜だが）。
この他に、プテロダクティルス、エリオプス、ディモルフォドンなどの名前も出していた。
このケラトサウルスの壁画の口部分は開き、窓になる。そこからジラースの活動を見ることができる。
※教授は「ネス湖の恐竜はディプロドクス（の一種）だろう」と記者に解説していたものの、「首の長さが20mある」とも言っていた（実際には全長が20m）。
ちなみに、この時に名前を出していたエリオプスは恐竜ではなく、それより遙か昔（ペルム紀）に生息していた古代の両生類である。
また、ステゴサウルスは「凶暴なやつ」、ケラトサウルスを「恐竜の王者」と言っている。
その後の登場
今でも再登場を求める声は絶えないが、シリーズでもやや特殊な位置づけにある『レッドマン』を除けば、長らくジラースが単体でシリーズの映像作品へ再登場する機会はなかった。ゴジラシリーズの版権が問題なのか定かでは無いが、同じくゴジラの改造であるゴメスは『大怪獣バトル』以降度々再登場している。
そのため、ジラースのみ何かしら面倒なしがらみのようなものがあるのではないかという憶測もある。
あからさまにゴジラなビジュアルや、一時期東宝と円谷プロの関係が悪化していたことも一因ではないかとの意見もある。
一方で、後述する例を始めとして、映像の流用(※)や名前が出てくる間接的な登場やゲーム・ショー等の映像作品以外での出番は設けられており、商品化もそれなりに行われている。その際にはゴジラを絡めたネタを披露することも多い。特にショーではウルトラマンフェスティバルやウルトラヒーローズEXPOでも登場している。
このようにあくまで出番や商品こそあるものの、映像作品で着ぐるみなどの単体での再登場がないだけなので、映像作品であまり出番がない理由は前述のようなジラース特有のデリケートな版権問題ではなく、ほかの過去作品の怪獣のように単純に映像作品に出せるレベルの着ぐるみが存在しないためという一般的な問題であることも考えられる。
なお、近年もショーやイベントで出ているためアトラクション用スーツは存在しており、エリマキも取り外しがきくようになっている。
そして2021年、遂に…
(※)『ウルトラマン』第39話、『甦れ!ウルトラマン』、『ウルトラマンティガ』第49話、『ウルトラマンボーイのウルころ』第79話「ペットは大恐竜!?」が該当する。こうして見ると映像の流用率はかなり高い方だと言える。
映像作品
『レッドマン』
バルタン星人や他の怪獣たちとコンビを組んで戦う事が多かった。
エリマキが小ぶりでかなり貧相になっている。
マット・フランク氏のアメコミ版では、原典のような貧相さは影も形もなくなり、平成ゴジラを思わせる重厚感あふれる容姿へとアレンジされて登場。しかも、まるっと1ページを使って登場シーンが描かれるという優遇っぷりであった。
しかし、その直後にレッドマンに背後からレッドナイフを突き刺され、吐血しながら絶命。
物々しい登場シーンに反してあまりにもあっけなく退場してしまい、完全な出オチ要員となってしまった。
『ウルトラマンメビウス』
第21話「虚空の呼び声」にて、他の怪獣とともに怪獣墓場に漂う姿が確認できる。
『ウルトラ銀河伝説』
百体怪獣ベリュドラの構成パーツとして登場した。
『ウルトラゾーン』
「東京ジュラ紀」のラストシーンで「エリマキの無いジラースに似た怪獣」が現れたという通信が入り、通報を受けたタカダ・リホ隊員が「エリマキが無いって、やばくない？」とメタ発言をぶちまけるシーンがあった。
アイキャッチイラストではカップ焼きそばを作ろうとして失敗しかけている様子が描かれた。
『ウルトラマンX』
直接の登場はないが、ダークサンダーエナジーの影響で凶暴化したゴメスの鳴き声にジラースのものが混ざっている。
凶暴化したゴメスはジラースの様な熱線を口から発射し、更にはジラースが使わなかったエネルギーを広域に放射するなど凄まじい暴れっぷりを見せた。
なお、ジラースが後者の技を使えるかは不明。
『ウルトラマンZ』
直接の登場こそ無いが、第4話「二号ロボ起動計画」にて、ジラースの怪獣メダルが登場する。
セレブロ=カブラギが、謎の機械に怪獣研究センターから横領したと思われる液体状のサンプルを流し込んで生成した。
ゼットとの戦闘中に倒れ込んだテレスドンの口の中にカブラギがあろうことかメダルを投げ込み、テレスドンを強化地底怪獣エリマキテレスドンへと変貌させた。
最終的にかつてのジラースのように襟巻きをひっぺがされてエリマキテレスドンが倒され、メダルはゼットとハルキに回収されたが、情報を隠蔽するためかハルキの手の平で粉々に砕け散ってしまった。
しかし、一時的ながらもメダルがハルキとゼットの手に渡ってしまったことで、ウルトラメダルの技術を悪用している者がいること自体は知られてしまうこととなる。
エリマキテレスドンが登場した際にはユカがテレスドンにジラースの襟巻きが生えたことに驚いていた(＝ジラースに関する情報をある程度把握していた)ため、『Z』の世界の地球で過去に出現したことが示唆されている(セブンガーファイトにて実際に出現しておよび倒された時の様子が描かれている)。
そうなると、機械に投入した液状サンプルの正体はその際に出現したジラースから採取された体液を保存したものであり、セレブロがカブラギの怪獣研究センターの研究員と言う立場を利用して保管先から横領したものと考えられる（実際、液体はラベルの貼られた瓶に収められていた為、可能性は充分にある）。
もともとカブラギは怪獣研究センター生科学研究所に所属する研究員であり、その立場を利用すれば保管先から検体を特に怪しまれる事もなく持ち出せただろう事は想像に難くない。
この時のエリマキテレスドンは襟巻きから光線の増幅や空気の盾を生み出しているが、ジラースにも同じことができるのか、エリマキテレスドン固有の能力なのかは不明。
セブンガーファイト
ファンの念願が叶って遂に、映像作品に55年ぶりに再登場。
本編の伏線回収として登場した。
とあるマッドサイエンティストによって飼育されていた恐竜の生き残りとされているが、詳しくは不明で、現在怪獣研究センターが調査中。
山から人里に下りないようセブンガーと対決し、襟巻きをちぎり取られて凶暴化。しかしハルキがバコさんに伝授されたかすみ切りを受けて倒された。
このサンプルは怪獣研究センターによって回収され、『Z』本編へ繋がる。
なお、ヘビクラ隊長は「ほうれん草ついてるみたいだな」とネタにしていた他、弱点が襟巻きと言われても「襟巻きを外しちゃまずい」「襟巻きはな、ジラースにとって大事な物なんだ!襟巻きがないとな…」としきりに訴えていた。また、ユカとヨウコからも襟巻きが外された姿を「どこかで見たことがある」「気のせいじゃない?」と言われていた。お前らちょっとやめないか
結論を述べるなら
「ジラースの能力が加わった怪獣に特殊能力が発現する」
「ジラース自体も上記の能力が備わっている」
のどちらかは現在でも不明となっている。どのような形であれ、公式からの回答が待たれる所である。
漫画・小説
『ウルトラマンSTORY0』
ジェロニモンの手下としてゾンビが登場するが、光線を吐くことも無くウルトラセブンに顔面をアイスラッガーでカチ割られて倒された。
『大怪獣バトルウルトラアドベンチャー』
NEO編に登場。レイオニクスに使役されていた怪獣だったようだが、ゼットン星人の使役していたテレスドンに敗北する。
ちなみにこのゼットン星人は『ウルトラギャラクシー大怪獣バトルNEO』第10話に登場した個体と全くの同一人物である。
『ウルトラジャーニー』
サバトとパルゴが訪れたとある世界の生物として登場（本作では怪獣ではなく、ごく普通の小動物として扱われている）。
干ばつで瀕死の状態でさまよっていたところをパルゴに助けられるが、やがてサバトの手によって住んでいる世界が過酷な生存競争が繰り広げられる環境へと激変してしまい、最後は近くで争っていたレッドキングとゴモラの争いに巻き込まれて血塗れになるほどの重傷を負い、息絶えてしまった。
『ウルトラマンF』
ウルトラマンに倒されたオリジナルのジラースの骨格を人工細胞と金属材料で覆い、原子力モーターを動力としたサイボーグ怪獣レプリカジラースが登場。
巨人兵士の実験台としてレプリカゴメスと共に投入され、無惨に破壊されてしまった。
アニメ
ウルトラマンM78劇場Love&Peace
海底のレストランのシェフとして登場。口から火を吹いてコンロに着火していた。
ステージ・ショー
ウルトラマンフェスティバル'97
キリエロイド配下の怪獣。
八つ裂き光輪で襟巻きを斬られ、スペシウム光線に敗れる。
ウルトラヒーローバトル劇場
久野千草のファーストライブを妨害した巨大ヤプール率いる怪獣軍団の一体として登場。
ウルトラマンゼアスと戦った後に初代ウルトラマン、セブンと交戦するが、またしても襟巻きを引きちぎられると思わずシェーをするわ今度は二人がかりであの闘牛士の戦いを再現されるわと散々な目にあっていた。
ウルトラマン×仮面ライダー×スーパー戦隊 3大特撮ヒーローフェスティバル
ここでもやはりウルトラマンに襟巻を引きちぎられていた。
最期はスペシウム光線に敗れる。
ウルトラP
ジラースあんちゃんとジラパパの親子が登場。
なんとジラパパの襟巻きは着脱式であり、偶に忘れることがあるらしい。
また、ヤンキージラースという個体は襟巻きを取られると自分の名前がわからなくなるのだとか…ここでも襟巻きネタが弄られているとは…。
なお、ウルトラPの制作を担当した劇団こがねむし(現：アトリエこがねむし)はゴジばんの制作も担当した。
ゲーム
SDヒーロー総決戦
雑魚敵として登場。
大怪獣バトル
拡張シート第1弾にて技カードとして参戦。1ラウンドだけスピードに補正を掛けるという効果を持っているが、原作由来の能力とは言い難い…と思いきや技名は「速撃ちの技術」。これは原作にも見られた破壊光線の速射を再現した能力なのである。
Wii版『ウルトラコロシアム』の技バトラーは先述した技カードをベースにしている。
バトルスピリッツ
コラボブースター『ウルトラマン 受け継がれる光』にて「エリ巻恐竜ジラース【初代ウルトラ怪獣】」の名称で参戦(CB22-024)。
属性は緑。アタック時のコアブースト+相手の疲労効果に加え、レベル2であれば、ファーストアタック時に回復&バースト封じができるという優秀なカード。
なお、本作ではコラボ作品が多いためにゴジラを含めた東宝怪獣とも戦えてしまう。
緑属性には初代ゴジラやモスラ、カマキラスが所属しているので東宝怪獣デッキに組み込んでも問題なく立ち回ってくれる。
フィギュア
『ウルトラ怪獣シリーズ』(通し番号は0-SP)、『大怪獣シリーズ』、『ウルトラマンシリーズ ウルトラ怪獣名鑑3』、『CCP1/6特撮シリーズ』など様々なシリーズから立体化されている。
余談
元にしたゴジラの着ぐるみは東宝から「ゴジラに戻して返す事」を条件に借りたものであったため、エリマキを引っぺがす演出はそれを劇中で意図的に行ったものであるという。
よくネタにされるエリマキ剥がしだが、これを踏まえるとゴジラへのリスペクトがこもった演出だったと言える。
借りものだったのに盛大に三枚おろしにして大目玉を食らった後輩とは大違いである。
なお、元であるゴジラの着ぐるみは「怪獣大戦争」に用いられたものだが、より正確には「胴体は『三大怪獣地球最大の決戦』に用いられたモスゴジの改修版」「頭部は『怪獣大戦争』に用いられた着ぐるみのやつ」である。
ジラースの撮影を終えた後、返却された着ぐるみは再びゴジラに戻され、若干の修復が為された後に「ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘」の撮影に使用された。
名前の由来は「ゴジラをもじっただけだろ？」と思わせておいて、金城哲夫が「おやじ」と呼ばれていた円谷英二へのリスペクトを込めた、沖縄語で「次郎おじさん」を意味する「ジラースー」から取られたダブルミーニングである。 そんなひっかけ問題ある？？うちなんちゅもびっくり。
前述のように二階堂教授の指示を受け付けないほど凶暴化したと解説されることも多いが、教授は蹴飛ばされる前にジラースに対し「暴れろ！」と叫んでおり、「指示通り暴れたら足元の教授に気付かず誤って蹴飛ばしてしまった」と解釈する意見もある。
ウルトラマンが倒れたジラースに襟巻きをかける場面とラストシーンのBGMは『ガス人間第一号』の流用。それぞれ別々のBGMをつなぎ合わせており、ラストシーンのBGMは第37話でも印象深い場面で使用されている。
『ウルトラ怪獣大百科』で紹介された際には、青野武による「だが、このジラースが最後の一匹とは思えない。なぜならネス湖では今でも怪物を見たという報告が後を絶たないからだ」という54年版『ゴジラ』の山根恭平博士の名台詞を捩ったナレーションで締めくくられている。
「ゴジラ・フェス2020 ONLINE」内で配信された『ゴジばん』「天空の子守唄の巻」冒頭の「ゴジ☆スタ」では、同話で初登場となる怪獣をミニラが予想していく中で、「襟巻きをつけたジ✕✕✕」（✕✕✕内はピー音）の名前が登場した。珍しい東宝サイドの作品での言及となる。
向こうも公認していたようである。
名前といい初登場時の演出といい「ゴジラそのもの」であることは否定しようがない事実であり、多くのファンはそれを認めたうえで弁解するのが普通だが、コアなファンの間では「あくまでそっくりさん」としてジラースをゴジラ扱いされるのを否定するものも少なくない。
『アメトーーク』で放送された「ウルトラマン芸人」では蛍原徹の「ゴジラでしょ?」というツッコミを出演したウルトラマン芸人のみなさんがかたくなに否定するという一コマがあった。
もちろんこれは蛍原氏と出演芸人のみなさんの「お約束」なのだがジラースを話のネタにするときは、そういったことにも留意すべきだろう。
調子に乗ってカーバイトを池にブチ込んだ釣り人のひとりはかつて『ウルトラQ』にて一平を演じた西條康彦氏。もうひとりも東宝特撮映画の常連俳優中山豊氏である。
劇中で湖に飛び込んでいる西條氏だが、『ウルトラQ』では「クモ男爵」で氷の張った底なし沼のセットを泳いでおり「アレに比べればお湯のようなものだった」と述懐している。
ちなみに冒頭でこのふたりと一緒に釣りをしていた釣り人は高野宏一氏。
イデ隊員とともに中村博士に捕らえられてしまう少年グラフの女性記者久保友子を演じているのは谷育子氏。ライターに仕込んだカメラで盗撮をしていたのがバレて追い出されてしまった助手の林一郎を演じているのは『ウルトラセブン』や『ファイヤーマン』にゲスト出演した岡村春彦氏である。
なお、ジラースの元ネタはUMAとして有名なネッシーだが、一般的に言われるネッシーは首長竜に近い姿でありジラースの様な標準的な恐竜の体型ではない。
関連項目
ゴメス：同じくゴジラの着ぐるみを改造して作られたウルトラ怪獣。ただしこちらは顔以外にゴジラの面影は薄く、『大怪獣バトル』に登場した際にはゴジラベースではない新規の着ぐるみで造られた。『ウルトラマンZ』にも登場しており、ゴメスとジラースが同作品内で登場することとなった。なお『ウルトラマンX』や『シン・ウルトラマン』界隈では近縁種説が出ている。収斂進化説も推したい所。
ツノジラス：同じくゴジラの着ぐるみ（アトラク用のもの）を改造して生み出された怪獣だが、こちらは本家同様の東宝怪獣。
