概要
アーケードゲーム『大怪獣バトルウルトラモンスターズ』のメディアミックスの一環として、2007年から2008年まで『ケロケロエース』に連載されていた漫画。翌年には続編『ウルトラアドベンチャーNEO』も掲載された。作者は西川伸司。
単行本は3巻までしか出ておらず、『無印』の途中で単行本化が打ち切られてしまった。
2018年に前後編で完全版が発売され、『無印』は一応全て収録された。
世界観
本作は『ウルトラマンメビウス』本編後の遥か未来が舞台とされているが、具体的な西暦は描かれていない(ゼロがメビウス以降生まれと想定すれば5000年以上経過している)。『無印』主人公のイオが暮らす世界は、ドラマ『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』の50年後が舞台であり、地球では「怪獣は100年前に絶滅した」ということになっている。
また、『NEO』主人公のアイが暮らす世界はネオフロンティアスペースに酷似した世界で、ガタノゾーア戦後もダイゴがティガに変身して戦っている=ダイナに繋がらない世界線となっている。
どちらの世界においてもブルトンの暴走により次元の壁が破壊され、様々な宇宙の怪獣たちが姿を現すことになる。
あらすじ
100年前の事件を最後に怪獣災害・異星人による地球侵略が止み、それらの事件や光の巨人達との共闘が歴史の1ページとなった遠い未来。
怪獣殿下…とは呼ばれていないものの、学校一の怪獣オタクの少年御蔵イオは、ある日宇宙港で絶滅したはずの怪獣・ゴルザとガンQに襲われる。偶然バトルナイザーを手にしたイオはゴモラを召喚し、からくもガンQを倒し、ゴルザを敗走させた。
同じ頃、日本全国で空が割れ、怪獣たちが暴れ回るという事件が発生していた。壊れた日常に戸惑うイオだったが、レッドキングとの戦いを経て、バトルナイザーに逃げ込んだ珍獣ピグモンと出会い、怪獣総進撃の実態を知る。ピグモンは四次元怪獣ブルトンによって時空がゆがめられ、異なる時代・宇宙から怪獣軍団が姿を現したのだと告げる。
イオはゴモラを操り、ブルトンの野望を打ち砕くために怪獣軍団と闘うのだが…。
主人公
- 御蔵イオ(無印)
- アサマ・アイ(NEO)
主な登場人物・怪獣(主に無印)
イオの仲間
- ゴモラ:本作のバディ怪獣。ポケモンでいう所のピカチュウ。
- ピグモン:本作のマスコット。「○○だッピ」口調で話すが、バトルナイザーを持っていない相手には「キュオキュオー、キュケーキュ」としか聞こえない。
- ベムラー:元はヒッポリト傘下の凶暴な宇宙怪獣だったが、イオのバトルナイザーで手懐けられる。本作では青い球はベムラーの作り出した「殻」と言う設定であり、中にイオやピグモンを載せて宇宙や空中を飛ぶ事も出来るため、一行の足として使われる。
ブルトンの召喚した怪獣
- ゴルザ/ガンQ:東京宇宙港に出現し、物語最初の敵となる。
- テレスドン:福岡に出現。後に別個体が東京にも出現する。
- サドラ:山形に出現。
- モンスアーガー:長野に出現し、イオの同級生であるアカネの祖父の家を破壊する。後に別個体が東京にも出現する。
- ガマクジラ:駿河湾に出現。カメラで背部が撮影されただけでまだ種類が特定されていなかったが、イオは一目で見抜いた。
- レッドキング:銀座に出現。ピグモンを瀕死状態にする。
- ファイヤーゴルザ/メルバ:イオが乗った大阪行きのいなずま221号を追尾し、共に襲撃する。
- ジェロニモン/レイキュバス/超コッヴ:大阪でブルトンの助っ人として出現。
- ネロンガ/恐竜戦車:四次元空間での戦闘時に召喚される。なお、恐竜戦車は生き残ったような描写がある。
- アーストロン/マグラー/ドラコ/ガゾート:無印終盤にて東京を襲撃していた。
- ギギ:本来は『ウルトラマンコスモス』の世界の住人(レイオニクスではない)。イオの父親がテラフォーミングに携わっていた惑星アヴァルの基地を襲撃した。
- ゲランダ:本来はネオフロンティアスペースの怪獣。宇宙空間を航行していたベムラーを襲う。
辺境の惑星
- ペダン星人のおじさん:ペダン軍の老兵。壊れたキングジョーを直そうとしていた所に、ブルトンによって飛ばされてきたイオと出会う。
- キングジョー:ナックル星艦隊と戦闘の末に頭部と片腕を残し大破、辺境惑星の不時着する。脱出の為にイオとおじさんの手により修復されるも、最後はおじさんの捨て身の攻撃に使われる。余談だが、この時代では後述のブラックが開発された為、旧型扱いされている。
- ヒッポリト星人:イオのバトルナイザーを突け狙い、ベムラーを嗾けるが、ペダン星人の叔父さんの捨て身の作戦の前に討ち死にを遂げる。
- サタンビートル:野良怪獣。二匹が出現するもゴモラに敗退、追い返される(そのうち片方は羽をボロボロにされ飛行不能になる)。
- ツインテール:野良怪獣。グドンに襲撃されて殺された挙句、グドンに食べ残された部分をイオ達にも食べられる。
- グドン:野良怪獣。ツインテールを喰う。
ペダン軍
ナックル星と全面戦争をしており、戦争勝利の鍵としてイオのバトルナイザーを利用しようとする。
- ペダン星人:TV本編に登場したペダン軍の別動隊。
- ドロシー艦長:ペダン星の大型母艦の艦長で、キングジョースカーレットのパイロットも務める。
- ペダン星科学者:ペダン星の研究員達で、バトルナイザーの高度な技術に唸らされるも簡易型バトルナイザーの試作に成功する。
- ペダン星司令官:ドロシー艦長にバトルナイザーの量産を命じる。
- キングジョー:上記の通り旧型機だが、ペダン星での決戦に投入される。
- キングジョーブラック:キングジョーの後継機。
- キングジョースカーレット:本作オリジナル怪獣。後にTV本編やゲームに逆輸入される。
ナックル・ヤプール連合
ナックル星はペダン星との戦争勝利、ヤプール人はペダン星にいるレイオニクス(=イオ)抹殺の為同盟を結び、ペダン星へ総攻撃を仕掛ける。
- ナックル星人:ヤプールと手を組みペダン星人を滅ぼそうと画策する。
- ナックル星戦闘艦:「帰マン」に登場した物の同型艦。主力艦としてペダン星との戦争に使用される。
- ブラックキング:ナックル星人の怪獣兵器として大量に育てられている。キングジョーブラックでようやく捕獲に成功する程に強力で、ドロシー艦長曰く「戦争が長期化した原因」。
- EXタイラント:「無印」の中ボス枠。ヤプールからの技術支援を受け誕生したタイラントの強化形態。
- ヤプール:レイオニクスの力を危惧し、イオを襲う。
- エースキラー:ウルトラ兄弟の技を既に習得しており、ペダン軍大型母艦を強襲しキングジョーブラックと互角の戦いを繰り広げる。
- 超獣軍団:『ウルトラマンA』に出てきた超獣の皆様。基本的にはやられ役だが、器用な事をして善戦する奴もいた。
レイオニクス
- キール星人ヴィットリオ:キール星人のレイオニクス。EXゴモラを操る。
- メトロン星人:EXレッドキングを操る。
- ザラブ星人:EXエレキングを操る。
- ババルウ星人:レイオニクス候補生だったがバトルナイザーを与えられなかったことを逆恨みし、自ら巨大化してレイオニクス狩りを行っていた。イオに負けた腹いせに、50年前の過去に飛びレイオニクスバトルの中止を目論む。
- カネゴン:レイオニクスでレッドキングを操るも基本的に操れていない。食用のお金が足りておらず、食費を稼ぐ為にバトルナイザーを売ろうとする。彼の正体は『NEO』に登場するカネゴンである。
- レッドキング:カネゴンが操る怪獣だが、基本的に言う事を聞かない。
- テンペラー星人/マグマ星人/さっきとは別のババルウ星人:レイオニクス候補生たち。カネゴンの持つバトルナイザーを金で買おうとした横着者共。『NEO』にも引き続き登場。
- キリエロイド:上記の宇宙人たちと共に登場。他とは違いバトルナイザーを金で買おうとしなかった。何らかの理由で様々な宇宙を彷徨っており、元の宇宙(=ネオフロンティアスペース)への帰還を目指す。「NEO」に登場した際は、アイが暮らす地球にて飛行するガッツウイング1号を目撃し、ようやく帰還出来たと思い込むが、上記(世界観を参照)の説明をアイから聞き、自分の世界でない事を知り再び旅に出る。
レイブラッド
- レイブラッド星人:諸悪の根源。レイとの戦いに敗れ精神体となって50年間宇宙をさまよい続けていた。シルバーブルーメから強奪した生命エネルギーを使い、レイモン(バーストモード)に似た姿として具現化を果たす。
- シルバーブルーメ:レイブラッド星人が乗っ取った円盤生物。
- グランドキング:レイブラッド星人の操る怪獣。
- 電脳巨艦プロメテウス:「無印」のラスボス。肉体を失ったレイブラッド星人と合体し、再復活をかけ地球で暴れまわっていた怪獣たちを次々に吸収していく。
- EXゼットン:「NEO」のラスボス。レイブラッド星人が万が一の供えてカネゴンのバトルナイザーに仕込んでいたゼットンの遺伝子から誕生した星人の新たなる最強の器(肉体)。
惑星ボリスの怪獣
その他
- レイモン:『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』シリーズの主人公にして伝説の最強のレイオニクスであるレイがレイブラッド星人として覚醒した姿。
- ケイト:レイの姉であるレイオニクス。
- ウルトラマン:誰もが知ってる光の国の宇宙人。今作にて無印TV版のその後が判明。キングジョーブラックをペンドラゴンから引き剥がした後、アラドスを助ける為にボリスにとどまっていたイオ達を赤い球体で包み込んで救助し、共に「惑星脱出」を果たす。
- キングジョーブラック(無印TV版):50年前のボリスで暴れ回った個体。ウルトラマンによってボリスの地表に叩きつけられた後、人工太陽の爆発に飲み込まれるも一部溶解しただけで原型を留めて残るという驚異的な耐久性を見せる(ただし機能は完全に停止)。その残骸は50年後のイオ達の時代まで残る事となる。
- オキ司令官:TV版に登場したオキ隊員本人。地球のZAP司令部で指揮をしていたが、最終決戦で現れたイオのゴモラを見てかつての友を重ねる。
- グローザム/アーマードグローザム:エンペラ星人に仕える暗黒四天王の一角である“豪将”。謎の復活を遂げ(ただし並行同位体の可能性もある)、更なる力を手に入れようとバトルナイザーを狙い暗躍する。後にアーマードダークネスより力を授かり、アーマードグローザムへとパワーアップを果たすも、敗れ去り、3度目(若しくは4度目)の死を迎えた。ちなみにウルトラギャラクシー大怪獣バトルNEO本編でセブンが身を挺してアーマードダークネスを封印する起因となった重要な人物でもある。
用語(無印)
- バトルナイザー:レイオニクスが所有するアイテム。怪獣を操る、異星人や小型怪獣の言語を翻訳する、怪獣の接近を知らせる(ただし別名で知らせる為、同じ別名の怪獣は種類の認別が不可能)など様々な機能がある。
- レイオニクス:レイブラッド星人の遺伝子を持つ者たち。特定の種族では無く、宇宙中の様々な星の住民から選ばれて遺伝子を宿している。
- レイオニクスバトル:レイオニクス同士が使役した怪獣を戦わせる重要イベントで、最後まで勝ち残った者はレイブラッド星人の後継者になれるとの事だが…。
- ZAP SPACY:地球の宇宙開拓組織。多くの惑星の開拓に成功している他、かつての防衛チームの役割も担っているため、今回の災害には戦闘機や対怪獣用戦闘艦を出撃させて対応している。
- レイオニクスハンター:上記のペダン星人達の別働隊。とある理由でレイオニクスに逆恨みし、過去の時代で暗躍する事となる。
地名(無印)
- 地球:我々の故郷で、かつてウルトラ戦士達に幾度もの危機から救われた星。突如発生した100年ぶりの大規模な怪獣災害によって混乱状態となる。
- 大阪:イオの祖母である御蔵カレン(無印TV版と同一人物)が暮らしている。ここでのブルトン戦でイオのゴモラが大阪城を破壊してしまっている(この件はイオも追及している)。
- 辺境の惑星:文字通り宇宙の辺境にある星。ペダン星人のおじさんが漂着し、その数年後にイオ達も地球から送り飛ばされる事となる。グドンやツインテールが棲息している他、吸血植物スフランが自生している。
- ペダン星:宇宙一の科学技術を誇る星。ナックル星と戦争をしているものの善戦しており、勝利も近いように見えたが…。
- 惑星アヴァル:ZAPが開拓に成功した惑星の1つ。多くのZAP職員が駐在しており、イオの父親もその1人。
- 四次元空間:ブルトンが生み出した空間。時空がねじ曲がっているために様々な時代、文明の建造物や乗り物が浮遊している。
- 惑星ボリス:無印TV版の舞台となった星。人工太陽の爆発で再び死の星と化すも、何とか地球人が生身で活動できる環境を保っている。なお、無印TV版の一件から立ち入り禁止惑星になっていた模様。
- 50年前の惑星ボリス:「ウルトラギャラクシー」時代のボリス。作中では無印TV版最終回の時間帯に飛び、人工太陽の爆発が迫る中で過去を書き換えようとするババルウ星人と対峙する事となる。