「このまま行けば確実に聖剣は手に入るんだ。
そうすれば今までの僕が戻ってくる。
ありとあらゆる全てを思いのままにしていたあの僕が。」(web、書籍版共通)
プロフィール
概要
本編の主人公である戦士『トール・エイバン』がプロローグで追放されたSランク冒険者パーティー『白ノ牙(ホワイトファング)』で勇者を務めている金髪の美形な男。
同郷の幼馴染にして親友であるトールやその恋人であるリサ、そして三人の共通の幼馴染であるネイとソアラの5人でSランク冒険者パーティー『白ノ牙』として今まで活動してきた。
キャラクター像
勇者のジョブを持つだけあって『魔王の討伐』を目標としているが、それは『世界の平和を守るため』ではなく、それが達成されることで得られる『名声と莫大な報酬金を手に入れ、その手柄を口実に貴族令嬢達や自国の王女を(性的な意味で)食い散らかすため』という腐りきった欲望と動機の為である。
また、かなりの好色及び女好きであり、中でも『自分以外の男に好意を寄せる女を奪って手籠めにすることが好き』という歪んだ性癖を持ち『人の大切なものを奪い、それによって被害者が絶望の涙を流して泣き叫ぶ心を見るのは最高の快感』と断言する腐れ外道である。
後述のスキルにより同じパーティの女性メンバーだけでなく、(作中でセイン本人が「僕に恨みを持つ奴ならごまんといる」と自覚していることから察するに)本編開始の時点でもかなりの数のカップルや夫婦に対して女を寝取って破局させるということをやらかしていたようである。
そして自分のことを『身体、知能、性格、能力あらゆる面で非の打ち所がない男』と自画自賛する自惚れの強いところがあり、『自分が頼みごとをした時は相手がへりくだってそれを受け入れるのが当然』という自分勝手な考えの持ち主である所もある。他にも
- 戦場となった街で魔王軍との戦闘になった際も住人の救出や避難させる事よりも魔族を殲滅する事を優先し、「一般人が何人死のうがどうだっていい」と断言する。
- 『自分は魔王を倒し世界を救う選ばれし勇者で替えが効かないが、それ以外の人間や仲間は(取り換えが効くから)死のうが構わない』と本気で思っている。
といった勇者に相応しくない思考の持ち主である。
そんな救いようがない位に自惚れが強いが故に、少しでも自分の想定していなかった事態や不都合な事が起きると自分を律しきれずに、烈火の如く怒り狂ったり、誰彼構わずに(女性相手ですら)暴力込みで当たり散らす程に気性が荒く、自分の不手際や判断ミスで損失や手酷い目に遭ってもその責任を他者に擦り付けるばかりで、反省などの謙虚な思考を働かせる事は皆無で、自分が国からの依頼で魔王軍の幹部である六将軍の討伐に向かうも惨敗して(捨て石やデコイとして)仲間を犠牲に敗走する際にも「こうなったのは勝てない程の強敵がいることを教えなかった国の責任で僕は悪くない、むしろ僕は被害者だ」と責任転嫁すらも行っている。
それに加えてヒューマン(我々の世界で言う人間)以外の種族に対しても差別的な考えを持っており(いずれも心の中でだが)エルフ(そしてハイエルフ)を蛮族、フェアリー族に至っては鑑賞用と妖精の粉ぐらいしか存在価値のない羽虫と見下している。
中盤において、あるアクシデントがあって以降、彼を嫌う者または軽蔑する者達からは『ウ○コクズ(※自主規制込み)』と渾名を頂戴されている。また、その設定を反映してかコミカライズ版ではウ○コ絡みの災難描写が強調気味に演出されている。
それから(どうでもいい情報ではあるが)色欲魔のわりにアソコは小さいらしく、セイン自身も内心コンプレックスに思っている。
戦闘力
プロローグ直後の時点ではレベル60と『白ノ牙』の中で最も高く、勇者らしく戦闘では剣を用いて戦うが、格闘攻撃だけでも『レベル30代程度の冒険者』のような格下が相手なら、複数人を相手にしても圧倒できる強さも持つ。そしてセインが持つ勇者のジョブには
といった魔王との決戦で切り札となる特殊能力を複数備えているが、特殊能力が適用される効果範囲が狭く『そこから抜け出されると前述のレベル減少による弱体化もリセットされる』という弱点も存在する。だがそれを踏まえても勇者は魔王討伐の切り札であることに変わりはないため、魔王討伐を望む各国では『魔王討伐のため勇者率いるパーティーには助力を行うこと』が取り決められている。
ちなみにセインは最初から勇者のジョブを得ていたわけではなく、書籍版では勇者のジョブより前に『騎士』のジョブを得ており、そこから転職したと思われる描写が追加された。
所持スキル
- 誘惑の魔眼
セインという男が寝取り野郎であることを象徴する最低最悪のレアスキル。
その名称で察しの通り相手を洗脳して虜にする効果があるのだが、以下のような制約がある。
- 発動手順として相手の目を見つめる必要があり、途中で遮られると効果が不完全となる。
- 効果が発揮されるのは使用者よりレベルが低い異性のみ。
- 洗脳した異性に解呪薬が使われると効果も失われ、その異性には二度と効果が発揮されなくなる。
- 時間経過で効果が弱まっていく。(ただしスキルを再使用すれば効果は延長され、弱まった効果も元通りになる)
このスキルは禁忌のスキルとされており、セインのモノローグやノーザスタルの奴隷商曰く『その昔このスキルを持った者が好き放題していたという件からこのスキルの持ち主は例外なく重罪人且つ討伐対象扱いされ、牢獄行きか処刑という末路が待っている』とのこと(洗脳状態のまま主従契約を結んだ事を許可した事が発覚した際も、その奴隷商は同罪として逮捕される模様。ちなみにカクヨム版の32話のコメント返信曰く『このスキルを得てしまった事を国に自己申告すれば裏の世界で生きていける程度には穏便に取り計らってもらえる』とのことらしい)。
ちなみに使用対象の異性が自分よりレベルが上だった場合《警告:魔眼所有者よりもレベルが上である為、効果を及ぼせません》という通知が使用者の視界に表示される。(なお、コミカライズ版では誘惑の魔眼による洗脳に失敗した場合『目に激痛が走り、目から血が流れる』というデメリットが追加された。)
また、その悪質な内容に加え、通常のスキル同様に『スキル封じのスクロール』を用いる事で簡単に封印できる事から、このスキルの存在を知った者からは最優先でスキル封じを謀られる為、セインもこのスキルの存在が他者(特にトールをはじめとする自身が女を寝取った男達)に知られる事を恐れており、隠蔽のスキルで隠している。
このスキルによる洗脳は一種の呪いであり『解呪薬』等のアイテムで洗脳を解くことができるのだが、呪いの状態異常に詳しい医者曰く『洗脳から解放されて思考と感情を取り戻せば必ず反応があり、洗脳されていた時に行っていた行為が本来の意志から大きく異なっていた(例えば、女性が本来なら好意を寄せていた相手を拒絶し好きでもない相手とキスや性行為を行ってしまった等)場合、精神に圧し掛かる負担も大きく、場合によっては精神崩壊を引き起こす恐れもある』とのことで、もし仮に洗脳から解けて精神崩壊を乗り越えたとしても、洗脳された女性は焼印の如く決して消え失せることのない心の傷を抱えて一生生き続けることになる。
- 隠蔽
その名の通りレベルやステータス、所持スキルといった隠蔽のスキル所有者のあらゆる情報を隠蔽する効果がある。このスキルによりセインは『誘惑の魔眼』を所有していることを隠し通している。
レアスキルの一種。
索敵や敵の正体を見破ったりすることもできる汎用性の高いスキルなのだが、セインは主に敵のレベルをはじめとする戦闘能力を測定することに使用しているのだが、白ノ牙に在籍していた頃のトールから『(戦闘では鑑定のスキルで)相手のステータスを見ろ』と何度も注意されていたにもかかわらず全く学習しておらず、本編終盤まで『鑑定を使う事すらしない考え無しの行動を起こしては、失敗して痛手を負う』というのがお決まりのパターンとなっていた。
ちなみに隠蔽や偽装の効果を持ったスキルや装備品で隠されている情報は鑑定できない。
また、前述の通り相手のレベルを確認できるため『あらかじめ相手を鑑定する事で誘惑の魔眼のデメリットを完全回避できる』のだが、セインはそのことに最後まで気付くことはなかった。
魔法
勇者なだけあって魔法を使うことができる。
コミカライズ版で披露した敵の頭上から落雷を落とす雷属性の攻撃魔法。
複数の敵を攻撃できるだけあってセイン曰く「大技」「最高魔法」とのことだが、作中では攻撃対象の複数のオークの身体の表面を少し焦がす程度で倒せるだけのダメージを与えるには至らなかった。
装備品
- 普通の剣(仮)
本編のプロローグの時からセインが使用している剣。
『両刃剣ながらアームガードが付いている』という特徴以外はごく普通の剣であり、後述の聖剣を手に入れたらお払い箱になったと思われる。
- 聖武具(片手剣型の聖剣)
『真の勇者となるために不可欠な物の一つ(他には『勇者のジョブ(スキル)』と『王室から与えられる称号』がある)』ということで、セインが入手した武器。
聖武具には『一度だけ主の望んだ武器や防具に形状やサイズを変化させることができる』という特性があるのだが、セインは片手剣を好んで使うため、メイン画像で装備しているような剣を踏襲したような『アームガード付の片刃剣』という形状であることがコミカライズ版20話にて判明した。
そして『戦闘時のみ一時的に使用者のレベルを4割上昇させる』という心強い特殊能力も備えている。
また、コミカライズ版20話では作画ミスでヒーローのなりきり玩具のように小型の聖剣を手に意気揚々と戦場に赴くセインというシュールな光景になってしまった。
- 魔装武具(魔剣)
後述の経緯により、セインが聖剣に替わって手にした漆黒の禍々しく恐ろしいデザインをした片手剣の武器。
通常の魔装武具は『使用者のレベルを一時的に3割上昇させる』という特殊能力を持つが、これは階級が上から2番目のもので、セインの魔剣の場合は階級も最高クラスでありレベルの上昇効果も4割に増している。
ちなみにデザインとしては神々しい聖武具(聖剣)よりも、禍々しい魔装武具(魔剣)のほうがセインは好みである。
- 魔装武具(鎧)
後述の経緯により、トールの極端に高い戦闘能力に対抗するために入手した呪われた武具。
『力を開放するたびに激痛が走るが、その代償によって使用者のレベルを一時的に5割上昇させる』ことができるのだが、『激痛だけでなく触手うごめく感触にも耐える』という試練を乗り越えただけあってレベルの上昇効果も7割に増している。
経歴
間男勇者、戦士を追放する
勇者セインがリーダーを務めるSランク冒険者パーティ『白ノ牙(ホワイトファング)』は5人で支え合い、活動していたのだがある日、セインは酒場にて親友である戦士トールにクビを宣告する。当然それを「ああ、分かった」と受け入れられるはずもないトールはそのワケの説明を求めるが、心の中で『最近の自分は急成長した4人の能力に追いつけず、お荷物となっている』という心当たりを自覚していた。
そして案の定その通りだったようで、セインは「勇者としてデビューするからには最初が肝心で、華々しい成果を上げなくてはならない。それに親友のお前が死んだら悲しいからこの気持ちを汲んで欲しい」とその言葉だけなら分からんでもないのだが、その言葉がトールには心から言っていないかのように軽く感じてしまう。そしてそれにトールの恋人兼婚約者であるリサも同調したような事を言うのだがトールはその時リサの右手の薬指に以前自分がリサに渡した指輪とは別の指輪がはめられていることに気付く。それを視線で気付いたリサは慌てて隠すが、トールはセインやネイ、ソアラも同じ指輪をはめていることにも気づいてしまう。
それからトールはセインが最愛の彼女であるリサどころかネイとソアラとも関係を持ち、邪魔者である自分をパーティから追い出したいのが本心であると言う事を悟る。そしてセインの「もうこれで分かったろ、大人しく村に帰って僕達の活躍を応援していろ」という言葉が引き金となり、トールは自分がリサと婚約していることを知りながら寝取ったセインの顔を思い切り殴る。
当然、三人の幼馴染はセインを庇いリサはトールから貰った指輪を「こんなもの返すわ! どこかへ消えて!」という拒絶の言葉と共に投げつける。そしてそれに心が打ちひしがれたトールは『白ノ牙(ホワイトファング)』を離脱するのだった……
そして同日の夜……セインは宿屋にてトールから寝取ったリサやネイ、ソアラをひとしきり抱くと、「アイツの顔は本当に傑作だった」とほくそ笑む。そしてセインはリサだけでなくネイやソアラもトールに好意を寄せていたことを知っており、そんな彼女達を自分の持つレアスキル『誘惑の魔眼』で強引に奪った事を振り返る。そしてそのスキルを持ってトールに隠れてリサと関係を持っていた事や、『これからは勇者としていずれは魔王と闘い、その討伐した先にある莫大な名声と金を手に入れ、貴族の令嬢達や自分の国であるバルセイユ国の王女を(性的な意味で)食い散らかし、更に自分の毒牙にかかった王女と婚約してバルセイユ国そのものを支配する』そんな邪な未来を考え、「まったく僕の人生は最高だ!!」と歓喜の高笑いを挙げながら寝取ったリサを抱くのだった……
だが、そんなセインの思い描いていた邪なシナリオはまもなく、大きく逸れる事となる事などこの時、セイン自身は知る由もなかった…
尽く失敗していく間男勇者
トール追放後、勇者として華々しい活躍を世に知らしめる為の手始めとして隣国 リビアの国で暴れているというレッドドラゴンの討伐に出向いた『白ノ牙』一行であったが、現地に到着した時には既に肝心のレッドドラゴンは何者かによって討伐された後であった。
初っ端から出鼻を挫かれて(そしてドラゴンを討伐して得られる莫大な経験値による絶好のレベルアップの機会を逃して)しまい不満を抱くセインであったが、リビアを訪れた本当の目的である、歴史に名を残す程の勇者や英雄だけが手に入れる資格がある伝説の武具『聖武具』を手に入れようと、気を取り直してその在処の神殿に出向いたが、そこにあった筈の聖武具は既に無くなっており、誰かに持ち去られた事を察したセインは狼狽えるあまり、宥めようとするリサを「雌豚」呼ばわりして暴力を振るった。
こうしてリビアでは何も成果を上げられなかった『白ノ牙』は 難易度高めの未踏破ダンジョンが存在するというルンタッタの国へと向かうが、そこでも既にダンジョンは何者かによって攻略されて、既に跡形もない状態にあった。
こうして何者かの横槍で、まったく成果を上げる事ができない状況に焦る中、セインはトールを追放してから続いているこのパーティーの不調を疑うが、すぐにその疑念を振り払い、自分達の邪魔をしているのがもっと別の高レベルの冒険者であると決めつけ、その人物に対して『逆恨み』という名の憎悪を抱くのだった。
だがこの時セインは知らなかった。
レッドドラゴンを倒したのも、リビアの聖武具を先に手に入れていたのも、ルンタッタのダンジョンを攻略したのも、全て自身が『無能』『お荷物』と散々コケにして、徹底的に苦しめた果てに追放した筈のトールであった事など……
ツキに恵まれずに、“ウン”が付いた間男勇者
ここまでまるで成果を上げていない現状を危惧したセインはリサ達と今後の方針について話し合った末に、リサが『一度祖国でバルセイユに戻る』という意見を挙げるが、流石に何の成果も無しに国に戻るのはプライドが許さなかったセインは途中の街 アイナークにある未探索の地下遺跡を攻略する事で少しでも成果らしきものを上げようと考えたものの、現地に訪れるとやはり既に遺跡は 街を訪れた『流れの冒険者』によって攻略された上に、魔族の幹部も倒した事を街の領主であるロアーヌ伯爵から告げられる。
さらに伯爵からはその冒険者との器量の差を引き合いに説教までされ、屈辱に耐えながらおめおめと引きさがる羽目となった。
何もかも上手くいかない現状に耐えきれずに一人荒れ狂うセインだったが、祖国に戻る前に別の聖武具を手に入れに行く事を決め、更に祖国に戻った折には、パーティー追放後一人孤独に故郷の村に帰ったであろうトールを嘲けに向かおうという悪趣味な思惑を懐きながら、リサを抱いて荒ぶった気持ちを鎮めるのだった…
アイナークを出てすぐに新たなダンジョンが出現した噂を耳にした『白ノ牙』はこれ幸いと今度こそ自分達の名を上げるべく、早速攻略に挑戦するが、そのダンジョンでは下級モンスターのオークでさえもレベル50もの強敵という最高難易度のダンジョンであり、結局『白ノ牙』一行はダンジョンの最序盤で引き返し、むざむざと逃げ戻る羽目になってしまった。
ダンジョン攻略失敗後、その責任をリサやソアラに擦り付けて当たっていたところ、ちょうどそこへ大量のアイテムを手に入れてダンジョンから戻ってきた別の冒険者パーティー一行を発見し、アイテムを強奪しようと後をつけて、花摘み(大きい方)中だった彼らを奇襲し、思わぬものを武器にされて猛反撃を喰らいながらも、彼らが手に入れたレアアイテムを強奪して追跡を振り切った(ちなみに書籍版ではアイテムの強奪に失敗しその代償としてニンニク成分配合の思わぬものを投げつけられる、コミカライズ版では冒険者に思わぬものを投げつけられて口内に(文字通り)喰らってしまい、そこから頭から太ももに至るまで(特に左目も)あちこちに喰らったためレアアイテム強奪を諦め、情けなく撤退した)。
だが、その報いかすっかり(フィジカル的な)”ウン”塗れになったセインの姿に、流石のリサ、ネイ、ソアラもドン引きするのであった…
ウ○コ勇者、聖剣を手に入れるが…
ダンジョン攻略を諦めた『白ノ牙』は、仕方なく別口の依頼を探すべく王都の冒険者ギルドを訪れるが、必然的に英雄扱いされていた祖国のギルドとは違い、『勇者』の称号も、冒険者ランクSを口に出しても、特別扱いで取り合ってもらえず、更にはその場にいた冒険者達に野次られてしまい、遂には乱闘騒ぎを起こしてしまう。
そんな中、冒険者達の間で話題になっている『漫遊旅団』というBランクながら、数々の成果を上げて、『英雄』の称号を与えられた冒険者パーティーの存在を聞かされると、セインはこれまでの行く先々で自分達の手柄をかっさらっていったのが彼らである事を確信する。
ギルド職員から『漫遊旅団』が、別の聖武具の神殿がある国 グリジットへ向かった事を聞かされたセインは、目下の目的に『聖武具を手に入れる事』に加え『自身の邪魔をした『漫遊旅団』なる一行を抹殺する事』を心に決めるが、彼らが既に聖剣を手に入れている現状を顧みて、まずは自分も聖剣を手に入れる事を優先し、グリジットの聖武具の神殿に向かった。
しかし、肝心の聖武具である聖剣はセインがいくら頑張っても(コミカライズ版ではプライドどころか美形をもかなぐり捨ててキモ顔芸になってまで全力になっても)引き抜く事ができず、結局聖武具を手に入れる事には失敗に終わった。
聖武具を手に入れられなかった『白ノ牙』一行はおめおめと祖国バルセイユに戻って国王に報告する羽目になり、セインは悔しさで震えながらもどうにか、別の国の聖武具を手に入れる事で汚名を返上するチャンスを与えられる事となる(コミカライズ版ではこのくだりは丸々カットされた)。
その聖武具があるという国《ノーザスタル》の神殿へ赴いた『白ノ牙』であったが、その道中立ち寄ったノーザスタルの街で食べた『油で揚げられた虫。鋭い牙を生やした川魚。三本指の何かの腕の丸焼き。赤いスープに浮いた目玉(コミカライズ版ではパンとレタスに加えて19話公開当時(2023年5月5日)の日本政府の理不尽な昆虫食ゴリ押しを反映してか、コオロギの串焼き、青虫と芋虫の盛り合わせ、焼いたナン状の生地に盛られた別種の幼虫を盛ったもの、麺料理感覚で盛られたミミズと蟲関係でゲテモノ度がアップしている)』と、得体のしれない郷土料理に当たったセインは 盛大に腹を壊し、尻のダムが崩壊寸前のまま、神殿を攻略する羽目になる。
どうにか、念願の聖武具である台座に刺さった聖剣を見つける事ができたものの、その時には既にセインの尻の穴も限界と迫っていた。
聖剣を引き抜いたら確実に『決壊』してしまう極限の状況下の中、リサ達もようやくセインの不調に気がつくが、そこへネイが余計な助力に入って強引に剣を引き抜かせた事で、セインは念願の聖剣を手に入れるのと引き換えに腹の中で蠢いていたモノも一緒に外へ解き放ってしまったのだった(コミカライズ版では解き放ったときの爆音をきっかけにリサたちのあげた「ぎゃーーーーーっ」という絶叫から察するに気付かれてしまったようである)……
ウ○コ勇者、格闘家を切り捨てる
こうして手に入れる際にとんだアクシデントがありながらもようやく聖剣を手に入れた事で、自らのジョブや称号と合わせ、あとは勇者としての成果さえ上げれば、自分の野望が叶えられると、満悦していた(コミカライズ版では『リサ達三人のこれからどうするかの口論にイラつく』という描写がされていた)セインだったが、その矢先に滞在していたノーザスタルのとある街に 魔王軍の幹部である六将軍の一人《ダーム》が襲来する。
これを勇者として華々しい活躍を果たす好機到来と踏んだセインは、パニック状態にある街の住人を無視して(この時、ソアラから「街の住人の保護や避難を優先すべきでは」と提言されるが、 「黙れ! 一般人が何人死のうがどうだっていいんだよ!」(コミカライズ版ではソアラを雌豚呼ばわりした挙句、「お前は僕の言う事に従っていればいいんだ!」と怒鳴りつけて誘惑の魔眼でソアラを強制的に従わせるとセインのクズぶりが強調されている)と勇者とは思えない暴言で一喝しながら)ダームを討伐せんと(コミカライズ版ではリサの炎属性の攻撃魔法で奇襲をかけてから)『白ノ牙』総勢で攻撃をかける。
しかし、セイン達の攻撃は全く通じず、聖剣の力をもってしても歯が立たないその圧倒的な実力(コミカライズ版では『腹パン一発で、壁に叩きつけられて嘔吐する』とより情けないことになっている)に茫然自失となるが、そこへダームから『遊び』感覚で受けた攻撃(コミカライズ版ではダームが白ノ牙の加勢に入った他の冒険者に気を取られている隙を突いて逃げようとしたセインに蹴りで壁に叩きつける)で圧倒された上に、彼のレベルが「150」である事を聞かされた事で完全に戦意を喪失してしまう。
そこへネイが助けに入ろうと、ダームに挑んだ事で逃げる隙ができるが、セインはなんと恩知らずにもネイを捨て駒にして自分達だけ逃げる事を選択した。
これにはさすがのリサやソアラからも抗議されるが 、セインは「お前らは僕がこんなところで死んでもいいのか! 勇者だぞ! 僕は魔王を倒し世界を救う選ばれし勇者なんだ!」と身勝手極まる持論を持ち出して二人を黙らせた上に、必死に身を挺して戦おうとするネイに向かって「お前はそこそこ顔も体も良かったが、もう飽きたよ、ここで僕の為にしっかり死んでくれ」と冷酷極まる言葉を(コミカライズ版では心の中で)吐き捨てながら、敗走するのだった。
こうして、どうにか街を逃げ出した『白ノ牙』であったが、リサやソアラがネイの犠牲を悲しむ中、セインだけは「尊い犠牲」としてあっさり割り切るばかりでなく、この失敗の責任を「レベル150の敵がいることを教えなかった国の責任だ」と責任転嫁する始末であった。
ちなみにセインに捨て駒にされたネイは、その後ダームによって殺されかけたところを駆けつけた『漫遊旅団』…つまりトール達によって救出され、その後、セインの誘惑の魔眼でかけられた洗脳を解く効果を持つ『最上級解呪薬』を飲む事で、皮肉にも『白ノ牙』メンバーの中では最初に悪徳間男ウ○コ勇者セインの毒牙から解放され、トールに謝罪して和解したのであった。
失敗を重ねるウ○コ勇者
這々の体で祖国バルセイユの王都に帰還した『白ノ牙』であったが、待っていた国王からは、聖剣を手に入れた功績もそこそこにノーザスタルでの醜態を詰られた上に、自分達が逃げた後に『漫遊旅団』がダームを打倒して街を救った事を告げられ、更なる憎しみを募らせる。(しかも書籍版、コミカライズ版では心の中で「恐らくネイが瀕死にしたところを仕留めたに違いない。僕の手柄を横取りした卑怯な奴らめ……」と自分の蜥蜴の尻尾切りという卑劣そのものな行為を棚に上げてこき下ろす始末であった)。
そして国王から名誉挽回のチャンスとして『グリジットの森のエルフの里に赴き、稀少種 ハイエルフの奴隷を手に入れてくる事』『六将軍の一人 ロワズを討つ事』を任ぜられ、レベルも格下な上に、俗悪な国王から高圧的に命じられる屈辱に耐えながらもセインは汚名を返上すべく使命を果たしに再び旅立った。
まずは前者の依頼であるハイエルフを捕らえるべく、エルフの里に向かうが、その道中で
- リーダーはイケメンで大きな剣を使う
- 連れているビースト族の奴隷が絶世の美女
- 白くてフワフワした可愛い生き物をお供にしている
- 希少なフェアリー族を連れている
- 魔王軍の幹部である六将軍を二人も倒した
- 漫遊旅団こそが真の勇者パーティー
- バルセイユに勇者パーティーの名を騙る不届き者集団がいる
等といった漫遊旅団に関する評判に悔しさを懐きキレそうになるも、必死にそれらが尾びれのついた噂に過ぎないと信じ込もうとしていた。
そうして、ようやくエルフの里にたどり着くが、応対したハイエルフの女性アリューシャから、「勇者に協力する意思はない」事を告げられた上に「我々が信用するのは『漫遊旅団』だけだ」とまたも自らが忌み嫌うその名を出された事で堪忍袋の緒が切れ、アリューシャに向かって誘惑の魔眼を発動させるが、アリューシャのレベルはセインよりも高かった事から通用しなかった。こうなればと、破れかぶれにアリューシャ達に戦いを挑むセイン達だったが、刃が立たずに返り討ちにされ、遂には「友人である『漫遊旅団』の同族だから』という理由で一度だけ情けをかけてもらう形で、エルフの里から撤退する羽目になるのだった(コミカライズ版ではアリューシャの温情を無碍にして、尚も往生際悪く攻撃を続けようとした為、アリューシャの発動したスクロールで他の二人共々水洗トイレに流す排泄物の如く、激流に流される形で強制的に追い返されてしまった)。
結局、ハイエルフ捕獲は後回しにして、先にロワズ討伐を優先しようとするが、その道中の移動を短縮するための妖精の粉(これを浴びると数時間は空を飛べるようになる)を提供してもらおうと協力を仰いだフェアリー達からは散々侮辱されながら協力を無碍に断られ、またしても撤退する羽目になる。
それでもどうにかグリジットの首都まで辿り着くが、そこで『既にロワズが漫遊旅団によって倒された』事を知らされる。
こうして、トールを追放してから全く上手くいかない自分の現状に「まさかこれは神様からの罰か。あの程度のことで僕は不幸な目に遭っていると?」と自分勝手な理屈をボヤきながら心挫けそうになるも、リサに慰められた事であっさり気分を切り替え、「考えてみれば勇者に挫折はつきものじゃないか。これは試練。乗り越えるべき試練なんだ。この先に僕の望む栄光が待っている」と超楽天的な答えに行き着きながら、リサとイチャつくだった。
ウ○コ勇者、聖職者を売り飛ばす
その後、各国の王が集う『円卓会議』に出席する事になるが、その議上も盛り上がるのはもっぱら『漫遊旅団』の事ばかりであり、その会話の中で次の彼らの行き先を知ったセインは彼らに先んじて目的地に赴いて、先に大きな成果を上げる事を目論んだ。
そして、その目的地である魔族との最前線の地 グレイフィールド国の城塞都市 ラワナへと到着した『白ノ牙』一行だったが、そこでリサから唐突に「ソアラに代わる新しい聖職者を雇いましょう」と提案される。
ちょうどセインもまた、ソアラが『白ノ牙』一行の中で一番レベルが低い上、その保守的な性格が足手纏いに感じていた事もあって、あっさりとここで切り捨てる事を決意してしまう。
しかし、『誘惑の魔眼』の事など色々と知りすぎているソアラは、トールのように追放するだけでは他所で余計な事を喋られてしまうリスクがあると懸念したセインは、奴隷として売り渡すという残酷な方法を選び、突然の事に困惑しながら縋る彼女に向かって「五月蠅いぞ。いい加減自分の運命を受け入れろ」とあまりに軽い一言だけで一蹴してしまった。
(ちなみにソアラは奴隷として馬車の荷台に載せられ輸送されているところを漫遊旅団……つまりトール達によって発見されネイ同様解呪薬によって洗脳を解かれると、セインに心身を汚されたことを神に懺悔して祈りを捧げ、贖罪の奉仕活動をする為に最寄りの教会に向かった)
こうしてソアラを奴隷商に売り飛ばしたセインは、そのままリサが薦める聖職者 ミリムに接触し、少しずつ誘惑の魔眼をかける事で味方に引き込む事に成功し、 六将軍の一人デナスに戦いを挑むが、やはりデナスもセインの敵う相手ではなく、圧倒された上、一度退却する羽目になった。
それでも、最早後のないセインは数日後にもう一度体制を立て直して、再びデナスとの戦いに赴くがそこで思わぬ人物と再会を果たす事となる…
ウ○コ勇者、戦士と再会して…真実を知る
再度デナスに挑むも、またしても刃が立たずに圧倒されるセインであったが、そこで自身の後を追って現れた『漫遊旅団』つまりトール一行が追いつき、両者は追放以来久々の対面を果たす。
自らが全てを奪って追放した筈の“お荷物”トールが、何故この場所に現れたのか、始めは理解できずにいたセインだったが、自らが全く刃が立たなかったデナスを呆気なく討ち果たすトールを見て、全てを理解する。
「そうか、わかったぞ。トール、お前が漫遊旅団だな」
トールの圧倒的な実力を見て、セインはこれまで散々自分達の手柄を奪い、邪魔してきた忌々しき冒険者パーティー『漫遊旅団』を率いていたのが、彼である事を確信すると、「何度も何度も何度も、僕の邪魔をしやがって! そんなにリサが取られて悔しかったのか!」とそれまで表面上だけは整った面で隠してきたそのドス黒く歪な本性を顕にしながら、それまでの積もりに積もった逆恨みをぶつけはじめるが、対するトールからは冷静な態度を崩さないまま、寝取りの真相であるスキル『誘惑の魔眼』を所持している事実を把握している事や、セインが身勝手に切り捨てたネイやソアラを救出し、洗脳も解いた事を告げられる。
そして、何故自分ばかりでなく、幼馴染である筈のネイ達までも裏切る様な事をしたのか問い詰められる。
それに対するセインの返答は、あまりにも身勝手極まる下衆い内容だった。
「どうして? 聞くまでもないだろう? 欲しかったんだよ全てを! 金、女、地位、名声、全てを僕は手に入れたかったんだ! そうだな、それと他人が大切なものを奪われて、泣き叫ぶ姿も見たかったかな! はははっ!」
そんなどこまでも腐りきった性根を晒し、トールへ逆恨みの凶刃で襲い掛かるセインだが、その直後、自分とトールの間に割って入ってきたトールの新しい仲間であるビースト族の少女カエデから「どうしてご主人様の痛みが分からないのですか! 親友に裏切られ、恋人を奪われ、幼なじみも奪われ、それでもまだ何かを信じようとしているあの優しい心を!」と罵倒と共に怒りの鉄拳を浴びせられた。
トールはネイやソアラ同様にリサの洗脳も解くために奴隷商人から購入した洗脳判別薬(これを浴びた者が洗脳状態にある場合、身体が薄いピンク色に光る)を使用するが、何故かリサはピンク色の光らない…というよりも『ステータスが“状態異常”ではない』…つまり最初から洗脳状態になどなっていなかった事が、カエデによって指摘される。
リサは最初から洗脳されているフリをしながら、自分の意思でトールからセインに寝取られていた(というよりは寝返っていた)事が判明する。
更に別行動していたトールの仲間であるフェアリーのフラウが合流して戻ってきた時にリサを見て怪しんだ彼女の看破スキルによって暴かれた事で、種明かしをするかのようにリサは自分の正体をセインやトール達に晒して見せる。
「驚いたかしら。そう、私が魔王なの」
リサは自分こそが
- 魔王軍を統べる“魔王”である事
- 本編開始前のトールが15歳の頃(10年前)にトールの両親を殺害した張本人である事
- そしてその凶行に及んだのもセインに「手籠めにしたい」と思われる女になるためのプロセスに過ぎないという事
その全てを堂々と明かした。幼少期からここへ至るまでの全てが勇者であるセインを自分達の勢力の手駒に引き込まんとする為の彼女の策略の内で動いていた事、ソアラの代わりに加えたミリムもリサの配下にして六将軍の一人である魔族の“男”であった事(この時のセインとミリムの態度からして、この時既に一回抱いていた模様)を知ってショックを受けながらも、リサの命令でミリムがトール達の足を止めている隙にリサに連れられたセインは、そのまま戦線を脱出した。
これによって、事実上『勇者セインは人間を裏切り、魔王側についた』と各国へ認識され、実質的に勇者の資格を剥奪される事となった。
ウ○コクズ、人間に宣戦布告する
リサに連れられ、魔族達のテリトリーである暗黒領域 エンキド国にある彼女の魔王としての居城へとやってきたセインは、今まで通り立場上はリサを従える関係で良い事を確認すると、彼女に促されるまま、魔王の玉座に腰掛けるがそれと同時に、名実共に勇者の資格を喪失したかの様にその腰に下げていた聖剣が喪失してしまった。
そこで、リサは自らが従えている六将軍最後の一人《デネブ》に命じて、聖剣に代わる新しい武具として魔剣(それも六将軍の持つものよりも格上の最強クラス)をセインに提供しようとするが、(リサ曰く)『死よりも恐ろしい苦痛』を与えて阻む剣を鞘から引き抜かなければならない試練に挑む事となり、何度も激痛に耐えきれずに失敗しながらも、未だ諦めていないその野心への執念を糧に失神しながらも遂に魔剣を鞘から引き抜く事に成功した。
どうにか魔剣を手に入れたセインは、リサから「いずれ、トール達『漫遊旅団』が貴方の穴埋めとして魔王征伐の為にここへやってくるでしょう」と聞かされ、改めてトールと再会した時の彼の顔を思い出し、「お荷物だった役立たずのくせに、僕をあんな目で見やがって。許せない。どっちが上なのかすぐにはっきりさせてやる」とトールへの逆恨みも甚だしい殺意を顕にするのだった。
こうして、魔の力を手にし強化されたセインは魔王の尖兵として、リサから譲られたワイバーンのパーズウェルを駆りて、『魔王を従える真の勇者』と僭称して人間達へ宣戦布告すべく攻撃を開始。手始めに訪れたグレイフィールド国の王都を襲撃するが、そこで偶然にも王宮に滞在していたトールと鉢合わせる。
風呂上がりのところを急襲された為に、まともな装備を身に着けておらず、タオル一枚しか持ち合わせていなかったトールを侮りつつパーズウェルをけしかけるが、タオルを武器にあっさり退けられ、それならばと魔剣を引き抜いて斬りかかろうとするが、これもまたタオルだけであっさり凌がれた上に、鳩尾に強烈なフックを喰らって吹き飛ばされる形で、呆気なく街から追い返される羽目になった。
郊外の森の木に引っかかったセインは、トールの予想以上のレベルアップに驚愕しながらも、同時にお荷物だったトール如きに全く歯が立たない現状に屈辱と怒りを覚えつつ、同じくトールに吹き飛ばされて失神していたパーズウェルを起こすと魔王城へ戻った。
闇に堕ちたウ○コクズ
魔王城へ戻ると一先ず『宣戦布告』は成功したとして労われるが、セインは今のままではトールに勝てない事実を悟り、さらなる強化を彼女に頼む。
そこでリサは、新たに「五割までレベルを上げることができる代わりに、力を開放する度に激痛が伴う」「過去、三名しか身につけることができなかった呪われた武具」とされる漆黒の鎧を提供してくる。そんな魔剣とは比較にならないくらいに危険な代物を前に流石のセインも一瞬躊躇してしまうが、魔剣と合わせる事で九割も力を底上げできる事を考え、手を出す事を決めてしまう。
そして別室で、鎧を身に着けさせられる事となるが、まるで鎧自体が生き物であるかのような得体のしれない嫌悪感、そして一つ一つ装備を身に着けられていく度に途方も無い激痛に襲われるというまるで拷問のような苦行に耐え(その最中に苦痛のあまりに漏らしたようで、リサから「さすがはウ○コ勇者ね、ぶふっ」とさり気なく嘲笑された)、どうにか鎧を身につける事に成功すると、リサから『自分を征伐しにトール達が暗黒領域に入った事で守りが薄くなった人間側の国…中でも特に守りが薄いバルセイユを攻めて国王を始末して欲しい』と指示され、自身も散々馬鹿にされた国王への意趣返しも兼ねて、嬉々としてそれを引き受ける。
完全に闇の戦士へと堕ちたセインはリサに促されるまま、故郷である筈のバルセイユの王宮をワイバーン部隊を率いて強襲し、バルセイユ王を圧倒した上、彼のお気に入りであったハイエルフの奴隷を『誘惑の魔眼』で洗脳し、地に這いつくばる王の目の前で彼女を犯した末に、王を殺害した(ちなみに、web版では自らが犯した奴隷のハイエルフさえも「エルフにはいい思い出がない」「手垢が付きすぎて勇者である僕に相応しくない」という身勝手な理由だけで殺害してしまったが、書籍版では作者である徳川レモン氏の恩情が理由なのか殺害されずにセインに攫われて、魔王城で囚われの身になると末路が大きく変更されている)。
バルセイユ国奇襲に成功したセインは、魔王城へ帰還早々にリサから次なる『お願い』として暗黒領域にある魔王に従わない魔族の国々を潰してくるように依頼される。
そこでようやく、自分が体よく利用されているのではないかと訝しむが、例の如くリサに説き伏せられる形で引き受ける事となり、トール達が通る可能性の高い3ヵ国を落とす様に指示されるが、その一つであるアスモデウ国には反魔王派の魔族の中でも『英雄』と称され、過去には2人の勇者を返り討ちにした実力者として名高い旧魔王幹部 ムゲン公爵がいる事から最後に回すように忠告を添えられた。
そして魔剣と鎧の力を借りてレベルを急激に上げながら、指示された3ヵ国の内、アスモデウ以外の2ヵ国を攻め落とす事に成功し、これだけレベルアップすればトールにも勝てると高を括りながら、最後の一カ国であるアスモデウ国を攻め落としに出向くが、実際に対峙したムゲンには敵わずに圧倒される事となり、この時既にトールと会遇し、信用を置いていたムゲンからは「トールと比べると大した事ないな」とまたも比較される形で嘲られた事で、トールへの逆恨みを再燃していたところへ、現れたムゲンの孫娘のピオーネを見て、勝てないならばせめて彼女だけでも手に入れようと誘惑の魔眼を発動させようとしたが、そこへムゲンはピオーネからトールより予め託されていた『スキル封じのスクロール』を受け取って使用し、誘惑の魔眼を封じられてしまった。
ウ○コクズと戦士、決着を着ける
こうして自身にとってはある意味致命的な痛手を受けながらも、一先ずトールがアスモデウを通過した事を知っただけでも収穫として、この事をリサに報告すべく魔王城に撤退するセインであったが、報告するなり、リサから「使えない男! 自分がなにをしくじったか分からないの!?」と激しい剣幕で殴られる羽目になる。
理由を理解できずに「どうして殴るんだ。僕が間違ったことを?」と尋ねるセインに対し、リサは「大間違いよウ○コグズ! アスモデウには、この魔王城と繋がる緊急用の転移魔法陣があるのよ! つまりトール達はもう真下に来てるわ!」と既にトール達が魔王城まで来た事を指摘する。
自身の不手際を詰り、怒るリサを宥め、冷静さを取り戻した彼女と口づけを交わしながらも、(……馬鹿な女だ。今はまだ逆らえないが、いずれレベル差が埋まった時、また今までのように足下に這いつくばらせてやる)とドス黒い野望を懐きつつ、トールを迎撃に出向き、魔王城とその真下にある地下遺跡とを繋ぐ階段がある大広間にてトールら漫遊旅団一行を待ち受けんとした…が、やってきたトールのレベルが自分より上の310である事に気づくと、一転して配下の魔族達にトール達の足止めを命令して、リサの元に逃げ戻ってしまった。
そして、玉座の間にやってきたトール達をリサの背後に隠れる様にして待ち受けながら「よく来たなトール、ここがお前の墓場だ」と宣うという小物丸出しな醜態を晒し、リサからも「さすがは役立たずの勇者ね。言い訳だけは一人前だわ」と堂々と軽蔑されてしまう。
それでもリサの援護を受けながら、トールと対峙したセインは魔剣の力を解放して、魔族同然の姿へと変貌しながら、トールに対し「ずっとお前が目障りだったよ。初めて会ったあの日から」と罵倒する。
それに対しトールは「俺はお前に憧れていた。お前みたいになれたらと何度も思っていた」と素直な思いを告げたものの、すでに身も心も悪に染まったセインの心には響く事はなく「それがムカつくんだよ! 僕に憧れる? 笑わせるな! お前は出会った時から僕にない物を全て持っていた! 温かい家族、優しくて可愛い幼なじみ、住人からの厚い信頼、今は名誉も力すらも! なんなんだよお前!!」とそれまでのトールへの優越感と慢侮感に込められた彼に対するコンプレックスを怒りや憎しみと共にぶちまけながら斬りかかり、両者の2度目の直接対決が始まる。
激しい剣戟の中でセインは、「トールの両親が死んだ時や、『白ノ牙』において居場所を失っていく彼の姿を見ていた時に気分が良かった」と宣った上に、そこまで性格の歪んでしまった元親友の姿を哀れんで「どうしてそうなったんだ。俺が、悪かったのか?」と尋ねるトールに対し、「そうだよ! 全部お前が悪いんだ! お前が僕の前に現れたから、全てが狂ってしまった! お前さえいなければ!」と逆恨みの咆哮を上げながら追い詰める。そして「僕の歩む栄光の道にお前は必要ないんだよ! トール!!」と罵倒しながらトドメの一撃を繰り出そうとするが、そこへ情けを捨てた(書籍版ではトールの模倣師のスキルで勇者のジョブをコピーされ、「何が栄光の道だ……お前の言ってることは子供のワガママだ。そうなったのは誰のせいでもない、おまえ自身が原因だろうが!」と論破され、それにセインが逆上すると刹那の)トールの一閃によって右腕を斬り落とされてしまった。
形勢が逆転されると掌を返し、「今までのことは謝るから許してくれよ。僕ら親友だろ?」と既に終わっている関係を持ち出しながら醜い命乞いに転じ、「全部出来心だったんだ。若気の至りってやつさ。村のおじさん達もよく言ってたじゃないか、失敗は誰にでもあるって」とおまいうな詭弁を言ってのけた挙げ句に「改心するよ。だから仲直りしよう。きっとまた、リサやソアラやネイと楽しく冒険できるさ。今度こそ世界一のパーティーにしよう」と自らの身勝手によって何もかもを修復不可能にまで粉々にした上、リサがトールの両親の仇であった事が発覚した今となっては最早永遠に取り戻せる筈のない未来を嘯き、終いには「頼む、見逃してくれ。死にたくない」と恥も外聞もない事を言い出す始末だった。そんな醜態に呆れ、そして怒りながらも「殺しはしないさ」と言葉を返されながら、手にしていた武器の大剣を地面に付きたてるトールの言葉と態度を見て、助かったと思い込み「トール!ああ、やっぱりトールは最高だよ!」と安堵しかけるが、その矢先にトールから「死にたくなければレベルを上げろ」と宣告され、唖然となるセインの頬に、ネイやソアラに与えた「痛み』に対する報復を込めた強烈な鉄拳が炸裂し、間男勇者もといウ○コ勇者 セインは一撃で失神・完敗するのだった。
(ちなみに書籍版では作者である徳川レモン氏もセインを痛めつけ足りなかったのか、セインが右腕を切断されてからは内容が変化して『左手で魔剣を掴んで抵抗するも足で魔剣を蹴り飛ばされ、トールに馬乗りにされ、床に蜘蛛の巣状の亀裂ができる程の超パワーで「これはネイの痛み!」「これはソアラの痛み!」「裏切られた人々の痛み! そしてこれが……俺と俺の仲間の痛みだあぁああああ!!」と徹底的に顔面を殴られ続け、顔面が血濡れで腫れ上がってしまうそこからの命乞いの下りは共通だが、トールはセインの太ももめがけて得物である大剣型の聖剣を落として骨をへし折り、その痛みに「ぎゃああああああああああああああああっ!! いだい、いだいよぉおおお!!」と叫ぶと失禁し、白目を剥いて気絶する』とより情けないことになっている。)
そんなセインに対し、彼が最もお気に入りだったリサからかけられたのは「もう倒されたの。やっぱり役立たずね」という、冷笑を伴った一言だけだった。
結局、セインもまたトール同様に、リサにとっては都合の良い駒として利用されるだけの存在に過ぎなかったのだった……
間男ウ○コ勇者セインの因果応報な顛末
その後、魔王リサもトールの手で引導を渡される形で討ち果たされ、セインは裏切り者としてトールらの手で人間側の領土へと連れ戻された後、自らが奇襲をかけて甚大な被害を生じさせた祖国バルセイユへと生きたまま送還される事となり、その後は『国王を殺し、多くの兵を斬り殺した裏切り者』として防御力以外の力を封じる拘束具をかけられた上で地下に幽閉される事となった。
トールによって切断された腕は接合されたものの、魔剣や漆黒の鎧を身につけ、魔王であるリサの支援まで受けていたにもかかわらず、最後までまともにトールに太刀打ちできなかった自分と彼の圧倒的な戦力差を信じられずに、彼への逆恨みを叫んでいたものの、そこへやってきた国の重鎮や兵士達から「君にはしっかり役に立ってもらう。我々を本気で怒らせた代償は払ってもらわねばならないからな」と宣告される(書籍版では『自分達貴族への恨みを持つ平民たちのストレスのガス抜きとして利用させてもらう』とも言われている)が、それに対しセインは未だに自分が勇者であると信じて疑わない妄言を宣い、彼らを呆れさせるのだった。
その後、手始めに顔に泥を塗りたくられた(書籍版では『民衆が気分よく石を投げつけられるように身だしなみを整えられて貴族服を着せられる』と真逆の扱いとなっている)上で、馬で街の中を引き回された後、今度は檻に入れられた状態で馬車で引き回される事になるが、そこでこれまでセインによって彼女や妻といった女を寝取られた男達を中心とした国民から「そいつの舌を切り落とせ!」「舌だけじゃなくて、ぶら下げている物も切り落とすべきよ!」といった猟奇的な罵声と共に投石を浴びせられ、さらに刑の責任者である貴族から「みなの怒りは理解できる。では今夜にも彼のフランクフルトソーセージを切り落とそう。おっと、サイズを間違えた。小さめのウィンナーソーセージだったな、失敬」とセインにとっては屈辱極まるジョークで嘲られ、集まった民衆からも大爆笑され、屈辱に震えながら、勇者として再起したらこの場にいる全員に報復すると決心した。
だが、それから一週間(書籍版では『数か月』と期間が大きく増えている。)もの間、連日十時間以上千叩きの刑、水責め、針責め、火責めなどの拷問にかけられた事で休んでいる間も悪夢にうなされる程にセインも憔悴し、心折れそうになっていたところ、ある日やってきた看守から「今日で終わりだ。今までご苦労だった」と告げられ、自分が解放されると受け取ったセインは歓喜しながら、トールへの復讐も含め、ここから出た後の予定を考えながら看守達に促されるまま、外へ出る(書籍版ではweb公開版のような哀れなほどの楽観的思考はしておらず、『自分の末路を察したセインは死に別れたリサや自分達が裏切ったトール達に助けを乞う』という内容に変更された)が、そこで待っていたのは1000人以上の見物人に囲まれた処刑人と処刑台であった。
状況が理解できずに唖然となったまま断頭台に首を乗せられたところで、責任者の貴族から「ギロチンを使いたかったんだが、どうもレベル100を超える相手には途中で刃が止まるようなんだ。だから古くさい処刑方法を行うことにした」と告げられ、彼らが本気で自分を処刑しようとしている事を察すると、涙を流しながら命乞いをし、貴族から「では彼らに謝罪をしたまえ。期待を裏切り、信頼を裏切り、祖国を裏切り、ヒューマンを裏切ったことへの謝罪を」と告げられ、内心怒りを覚えながらも「僕は道を間違った。勇者であるにもかかわらず、祖国を裏切りヒューマンを裏切った」と認める発言をしながらも、すぐに「だけど、真実は違う。僕は魔族と交渉し、君達の住みよい世界をなんとか作ろうと模索していた。信じて欲しい、僕は悪人じゃない。善人だ」とやはり微塵も反省していない逃げ口上を述べるのだった。
それに民衆が静まり返ったので(いけるぞ、所詮はバカの集まり 丸め込むのは簡単)と浅はかな思考をするも、当然民衆達は納得する筈がなく、そればかりか
「詭弁だ! 私は妻を奪われたぞ!」
「王様を殺したことはどうなるんだよ!」
と言った感じにこれまでセインがしてきた悪行、凶行を次々に糾弾する言葉が投げかけられ、いよいよセインの命運は完全に尽きてしまう(当然セインは責任者の貴族に「違う! あいつらの言ってることは全部嘘やデタラメだ! 僕を陥れようとしてるんだ!」と言い訳をするも、当然信じてもらえるはずがなかった……更に言うとその責任者の貴族は『セインが魔王の尖兵としてバルセイユを襲撃した時に殺した騎士』の兄であった……即ち責任者の貴族からすればセインは『身内(弟)を殺した不俱戴天の仇』ということで信じて貰う余地など毛頭もなかった)
進退窮まったセインは、とうとう責任者の貴族に直接命乞いをするが、彼から「お前の殺した騎士の中に私の弟がいた。だからこそ、私はこの役目を自ら買って出たのだ」と打ち明けられながら、容赦なく刑が執行された。
彼が今際の際に遺した最期の一言は「い、やだ、ぼくは死にたくない、ちゃんと謝るからころさないで」という勇者らしからぬ稚拙で惨めな命乞いだった…(書籍版ではそれに処刑担当の貴族から「首を落としきるまでに時間はかかるが、しっかり正気を保って死ぬんだぞ。大丈夫、元勇者の君なら耐えられる」という無慈悲な返事をされ、「あ、あああああああ」という絶叫が断末魔となっている)
こうして勇者という名誉ある称号を得ながら、それに相応しくない悪意と欲望で親友や幼馴染をはじめ多くの人々を傷つけ苦しめた挙げ句、倒すべき魔王と手を組んだ大罪人 セインはその悪虐や業にふさわしい最期を遂げ、その卑小な人生、そしてトールとの間に生じた忌まわしき因縁に終止符が打たれたのだった。
そう誰もが信じていた……
人間関係
白ノ牙(ホワイトファング)
勇者である自分がリーダーを務めるSランク冒険者パーティー。
トール追放以後、セインの独断専行や判断ミス、そして『漫遊旅団』の活躍などが原因で、ダンジョン攻略や魔族征伐などが全く上手くいかなくなった挙げ句、セインの身勝手な切り捨てでメンバーを減らした果てに、リサが魔王としての正体を明かし、セインが彼女に与する事を選んだ事で事実上、パーティーとして瓦解状態となった。
トールの元恋人である女魔法使い。セインが誘惑の魔眼でトールから奪った三人の幼馴染の中で特に気に入っているようで、他の仲間を半ば捨て駒同然に切り捨てていく中彼女だけはセインと最後まで一緒だったが、その正体は勇者であるセインを味方に引き入れる為に素性を隠して接近した“魔王”であり、セインの悪行の影に隠れながら、暗躍していた黒幕であった。
彼女にとってはトール同様にセインもその『勇者』という肩書を利用する為だけの存在であったらしく、その正体を明かして以降は、単純なセインの性格を利用する形で彼を言葉巧みに唆して完全に自身の手駒のように使い、トール達との最終決戦時には既に見限っていたのか、一騎打ちに敗北したセインに対し実質捨て駒同然の扱いであっさり見放していた。
ちなみにリサはセインより戦闘能力が遥かに上であるが、『獣心人面かつ自分が裏切ったトールに追い詰められると、自分の方から終わらせた関係(セインは親友、リサは恋人)を引き合いにして命乞いを試みる小物』という意味では同じ穴の狢だったりする。
トールの幼馴染である女格闘家。
彼女もトールに密かに好意を寄せていたが、リサ同様誘惑の魔眼でトールから奪い取った。
だが、魔王軍の幹部である六将軍の一人『ダーム』との戦闘で、敗走する際には「ここで僕の為に死んでくれ」と蜥蜴の尻尾切りのように捨て石にした。
その後のネイはダームによって瀕死にされた所をトールに救われ、更には解呪薬で洗脳を解かれた後は冒険者を引退し、故郷に帰省した。
トールの幼馴染である聖職者の女性。
彼女もまたトールに密かに好意を寄せていたが、例に漏れず誘惑の魔眼でトールから奪い取って手籠めにした。
だが、後にソアラよりレベルが上の聖職者を見つけたので最早不要という身勝手極まりない理由で、トール同様に追放するばかりか、口封じの為に奴隷商人に売り飛ばしてしまった。
その後のソアラは奴隷として売られに行こうとしていた最中にトールに偶然発見された事で買い戻される形で救われ、ネイ同様に解呪薬で洗脳を解かれた後セインによって心身共に穢された身体を清める為に教会に入った。
セインの支配下から開放されて自我を取り戻して以降は、彼の事を呼ぶ際に必ず「ウ○コ勇者」「ウ○コクズ」と呼ぶ程、セインの被害者達の中では特に彼に対する憎悪と怒りが根強い。
漫遊旅団(まんゆうりょだん)
『本来なら白ノ牙(特に勇者である自分)が得るはずだった手柄や名声を次々と横取りした』ということで嫌悪している最近結成された冒険者パーティー。
実は自分が追放したトールがリーダーを務めているのだが、セインは本編中盤までそのことを知らなかった。
漫遊旅団のリーダーにして白ノ牙の元メンバーだった同郷の元親友。
だが、セインは彼に対し本当の友情はなかったようで自らのスキルを使って彼の恋人であるリサどころか、彼に好意を寄せているネイやソアラをも奪い取って追放した。
上述にもある通り中盤までは、追放後に彼が隠されていたスキル『経験値貯蓄』を開花させ、新たなパーティー『漫遊旅団』を結成した事を知る由もなく、再起不能になって故郷でむざむざ引きこもっているものと信じていたが、後に彼が自分達の目の上のたんこぶに思っていた『漫遊旅団』のリーダーである事を知ると、自分のした事を棚に上げて、これまで手柄や名声を横取りされた事に対する逆恨みという名の憎悪を募らせ、復讐の為に次々と禁忌の力を手にして最終的に人間を捨てて魔人に成り果てるも、それだけの事をもってしても彼を倒す事は出来ず、最終的にこれまで彼やネイ、ソアラ達に行ってきた悪行や非道卑劣な仕打ちに対して、徹底的な鉄拳制裁を浴びせられ、引導を渡される事となった。
漫遊旅団のメンバーであるビースト族の少女。
セインは彼女とは面識がないが、カエデがトールに命を救われ、暖かく接してもらった事からとても慕っており好意を寄せているのと『彼女の主であるトールの心を自分が踏みにじり傷つけた』というのもあって、とても嫌悪されている。
そして、トールとの再会時に変わらず彼を侮蔑するセインの姿を見て、改めて嫌悪と怒りを込めた鉄拳を食らう事となった。
漫遊旅団のメンバーであるフェアリー族の少女。
彼女はカエデのようにセインと直接何かあったわけではないが、彼女もカエデ同様トールに救われたことから好意を寄せており『自分が仕える主であるトールの敵』ということで敵対心を持たれている。
その他
ロアーヌ伯爵の娘である貴族令嬢。セインが遺跡の探索が漫遊旅団によって完了したことを知らされた際に見かけ、彼女が自分好みの美貌とスタイルを兼ね備えていた為「このまま何の収穫もないならせめてこの女だけでも奪ってやる、せいぜい僕に活躍の場を提供できなかったことを後悔するんだな」という自己中そのものな動機で誘惑の魔眼で手籠めにしようと目論むも、マリアンヌはレベル63の自分よりもレベルが上だったため失敗してしまう。更にロアーヌ伯爵へからの説教によって湧き出た憎悪を彼女に看破された上に剣の切っ先を突き付けられたことで、大人しく伯爵邸から退散する羽目になり、前述の通り癇癪を起す羽目になった。
実はマリアンヌはトールによって二度も命を救われ好意を寄せており、更には最初はレベル6と一般人同然の強さだったが、トールとカエデの遺跡探索に同行する事で、レベル100に到達していることなどセインは知る由もなかった。
エルフの里に住む黒髪ロングなハイエルフの女性で、里の長の妹でもある。
エルフに助力を求めるも門前払いされてしまい、更に彼女の口から『漫遊旅団』の名が出たため、マリアンヌの時同様、誘惑の魔眼で手籠めにしようとするもこれまた自分よりもレベルが上だったため失敗してしまうそのため、実力行使に打って出るもアリューシャの精霊魔法や魔法と同等の効果を持つ巻物のアイテム『スクロール』で対抗され、更に弓兵のエルフ達に包囲されたことで、屈辱的にも撤退する事になる。
実はアリューシャもトールと戦って負かされた事や、エルフの里の長年の問題であった『開かずの塔の門』を開けてもらった事で里の水問題を解決してもらったことから漫遊旅団を信頼し、更にはトールに好意を寄せるようになり、そして漫遊旅団の観光に同行したことで、マリアンヌの時のようにレベルが44から120に一気に上がったことをセインは知る由もなかった。
魔族が支配する暗黒領域にある国々の一国『アスモデウ』の領地にある街『コーゲハイン』を収める侯爵の地位を持ち、魔族の英雄である無限公爵を祖父に持つ魔族の少女。
セインが軍を率いてアスモデウの都を襲撃した際に、ムゲン公爵と戦うが苦戦してしていた時に目撃し、誘惑の魔眼で手籠めにして連れ去ろうとしたが、前述の通りムゲンもピオーネもトールからセイン(と誘惑の魔眼)のことは聞いて知っており、更に『スキル封じのスクロール』を託されていたため、ピオーネを手籠めにするどころか誘惑の魔眼を封じられるという大きな痛手を負う事になってしまった。
ちなみに、ピオーネの初期レベルは『7』と力が全ての魔族としては致命的な低さだったが、マリアンヌ同様トール達の助力で『84』にまで上昇できた。