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ゾンビの編集履歴

2019-08-25 10:46:28 バージョン

ゾンビ

ぞんび

ゾンビ(Zombie)とは、生ける屍のこと。主にホラー、もしくはファンタジーものに登場する怪物。

概要

創作などでは「無差別に人間を襲う腐敗した死体」として描かれることが多いが、本来は西アフリカやカリブの民間信仰(ヴードゥーまたはブードゥー)の司祭によって呪術で蘇らされた「奴隷化された死体」を指す。(ゾンビのモンスター化については後述)


西アフリカ・カリブの民間伝承としてのゾンビ

ゾンビの起源は西アフリカの民間信仰(ブードゥー教)である。確認できる限りでの大本のゾンビのアイデアは、「死者から抜け出たばかりの魂を司祭(ボゴール)が捕獲して容器に詰めておくことで、持ち主の霊力を高め、また魂を通じて死体を使役できるようになる」というものである(「持ち主の霊力を高めるお守り」というアイデアは西アフリカに遍在しており、アルビノの人の身体の一部も重宝され、お守りのためにアルビノが殺される事例が多く社会問題ともなっている)。ゾンビの語源はコンゴ語族の言語に広く見られる単語「ンザンビ」(神)であると考えられている。


西アフリカの人々が奴隷としてアメリカ大陸に連れ去られたことで、アメリカ大陸、特に黒人の比率の高かったハイチなどのカリブの島でブードゥーは継続された。アメリカとの接触が多かったことから、この地域におけるヴードゥーは好奇と研究の対象となり、その過程で様々な伝説や設定が付与されていった。


中でも1980年代に植物学者ウェイド・デイビスが発表した「フグ毒やチョウセンアサガオ毒などの神経毒を用いて意識を混濁させられた囚人がゾンビの正体である」という学説は有名となった(ただし、これらの神経毒は死なない限り長くて数日で抜けるため、長期にわたって存続する元々のゾンビ伝承とは合わない)。


もう一つの有名な伝承としては、死体をゾンビ化されないために埋葬直後は遺族が墓守をする、わざと死体を損壊するといったことが伝えられている。


創作におけるゾンビ

ゾンビをモチーフとしたサブカルチャー作品は1930年代からあり、ホラー映画の一つの題材として使われ続けた。その描写はブードゥーにおけるゾンビのように使役される怪物としてのものが多かったが、古い時代から「墓場から際限なく湧いてきて街を埋め尽くすモブキャラモンスター」という登場のさせ方もあった。


「墓場から復活するモブ怪物」というモチーフは、例えばマイケル・ジャクソンスリラー」のPVでも踏襲されている。


「感染するゾンビ」の創作

ただのモブ怪物にすぎなかったゾンビは、1960年代に大きく変化することになる。その予兆となるのが、後に映画化もされた小説『I am legend』である。この作品では「吸血鬼に血を吸われると吸血鬼になる」という伝説を拡大解釈し、吸血鬼を「蚊の吸血行動によって媒介される感染症」と設定、世界中の人類が吸血鬼に感染する中で繰り広げられる、感染を逃れた男の逃避行――というプロットを作りだした。現代の「Zombie Apocalypse」(ゾンビによる終末)と呼ばれる設定はほぼこの作品に端を発する。


『I am legend』における吸血鬼をゾンビに置き換え、感染するゾンビとして再構築したのがジョージ・A・ロメロ『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』(1968)である。本作はかなりヒットし、最終的に3部作となった。このシリーズで「ゾンビは生肉を求め人々を襲う」「ゾンビに襲われた人もゾンビになり、最終的に世界はゾンビで埋め尽くされる」「ゾンビは死体から復活したため動きが緩慢である」等の、現代につながる「感染するゾンビ」の設定が確立された(ただしロメロ作品では、墓場の死体に宇宙放射線が降り注いだことがゾンビ発生の原因であると設定されている)。


本作のヒットに影響される形で、ゾンビもののB級映画が大量に作られた。しかし、これらの流行は1990年代には下火となり、1995年にはゾンビ映画はほとんど撮られなくなる。


ゲームのモブ敵から爆発的流行へ

ゾンビものの流行は一時収束したが、1996年に発売されたホラーゲームバイオハザードがヒットしたことで再びゾンビが脚光を浴びる。このゲームでゾンビが(表現規制の関係もあり)ガンシューティングゲームやFPSのモブ敵として使い勝手が良いこと、腐った死体のビジュアルや「感染による世界の崩壊」というモチーフが恐怖や絶望をほどよく演出してくれることが再確認され、これらのゲームジャンルの流行とともにメジャーな敵役として復活を遂げる。


ゲームにおける流行を受けてゾンビ映画も息を吹き返し、2002年に公開された実写映画版の『バイオハザード』や、同年のイギリス映画『28日後...』はともに続編が作られるヒット作となった。ゾンビ感染ものは2000年代を通じて再生産され続け、2010年には『ウォーキング・デッド』でテレビドラマに進出、2011年にはアメリカ政府機関がゾンビウイルスをモチーフにして「パンデミック時の安全確保」のパンフレットを発行するなど、特定のシリーズやB級作品にとどまらない大きな広がりを見せている。


こうした創作もので設定変更されたゾンビについては「フィクションの暴走に拠り、ハイチ島のイメージが頗る悪くなってしまった」と批判的に捉える向きもある。


創作上のゾンビ像

上記のようなゾンビものの流行とともに、描かれるゾンビ像も多種多様となっており、Pixiv内でもその数は多数に上る。


多いのはロメロ設定に忠実なもので、無差別に人を襲いねずみ算式に仲間を増やしていく恐ろしい怪物として描かれる。襲い方にもいくつかの種類があり、噛みついてくるものが最も多いが、爪でひっかいたりするものや、毒や酸等の体液を口などから吐きつけてくるグロテスクなものもある。


その一方で、ブードゥーにおける元来のゾンビ像をもとに、自分に攻撃してこない人間に対しては大人しく、生前の習慣を延々と繰り返したり、茫漠とした意識のまま生きていく存在として描かれる事もあり、時には生前とほとんど変わらない知性と理性を持つ、人外キャラの一種として描かれる事もある。また、一部の作品ではこれらのハイブリッドと位置づけられる設定を持つものも存在する(普段は生前の行為を繰り返すだけだが、生者を見つけると積極的に襲ってくるなど)。


「生物がゾンビになる原因」も様々で、呪術等で操っているものもあれば、ウイルスや細菌に感染しているものもある。ロメロ設定の場合は後者が多く、『バイオハザード』以降の作品では、人が凶暴化する感染症として狂犬病が実在することもあってか、(人為的な遺伝子操作を施された)ウイルスや細菌によってゾンビ化するという設定が多く、『I am legend』のリメイク版(2007)でもそのような設定に変更されている。作品や設定によっては「ウイルスに感染しているだけで死んでいない」こともあり、抗生物質特効薬を投与することで症状を抑えたり、根本的な治療が可能な場合もある。


一方、呪術で操られているゾンビの場合は、術者に呪術をやめさせたり、あるいは術者自体を排除する事で大抵はゾンビ化が解除される。この場合はもとの死体に戻るだけであり、生き返って生前の姿に戻る事はほとんど無い。


ゾンビの姿についても様々であり、肌が青白く変色しているものが比較的多く、体中がつぎはぎだらけになっていたり、みそや内臓骨格がむき出しになっていたり、身体を等の寄生虫に食い荒らされているものも見られる。また、衣服も身体の腐敗と共にボロボロに朽ち果てており、全裸で徘徊するものもある。


創作上での生態

「一般的なゾンビ」は、上記の通り感覚・運動とも鈍く緩慢だが、大抵の場合は個体数が非常に多く、上記のように凶暴化しているため、生者を見つけると群れをなして襲い掛かる。ただし知性を備えた個体は少なく、大体は原始的かつ物理的な方法で、生者を追いかける。


筋力や耐久力は平均的な人間以下になっており、ドアを破ったり水中を移動したりは出来るものの、スコップなどの比較的扱いやすい武器でも簡単に致命傷を与えることができる。脚力も弱いため、上方向への素早い移動を苦手とする(「苦手」なだけであり、移動する可能性はある)。


だが逆に、世界観や損壊・腐敗の場所と度合いによっては「脳が腐敗していることで、生前は身体に掛かっていたリミッターが外れている」などと解釈され、普通に生きている人間より遥かに強い身体能力を常時発揮して襲いかかってくることもある。ウィルス感染したゾンビの場合、感染が進むなどして突然変異が起こり、特殊な能力や突出した身体的特徴を得る個体もいる(肥大化した腕で絶大なパンチ力を発揮、肉体が溶けたり弾力を増した等の理由から特定の攻撃への耐性や再生能力を得たりするなど)。


大抵は脳、及び頭部が弱点であり、その部位への攻撃が有効とされる。一方で痛覚や恐怖とは縁を切っているため、胴体や手足などを攻撃・破壊されても怯むことなく襲ってくることさえある。移動速度を遅くしたり行動の自由を奪うなどの弱体化にしかならず、無駄にはならないものの決定打にもならない場合が多い。


ファンタジー作品では、腐敗しているイメージからか火が苦手でよく燃えるが、ゾンビ映画などのリアル寄りの描写においては、痛覚が死んでいるため火のついたまま燃え尽きるまで動き回るケースが多く、あまり有効な手段ではない。嗅覚に関しては、自分たちが放つ腐敗臭のために機能していないことが多いが、視覚や聴覚は生きている可能性が高く、音や光に誘われて近寄ってきたり、それを逆手にとって気を散らすことが出来るケースも多い。


スラングとしての「ゾンビ」

ゾンビは「動く死体」の代名詞となるほど有名になったため、「機能停止すべきであるにも関わらず活動しているもの」をゾンビと呼ぶことがままある。

  • 事実上倒産状態であるにもかかわらず何らかの都合で存続している会社を「ゾンビ企業」と呼ぶことがある。
  • コンピューターセキュリティ業界では、コンピューターウイルスに感染して乗っ取られたパソコンを「ゾンビ」と呼称していることがある。
  • 通常の手順でアンインストールや停止が出来ず、消去前に戻されたり自動再起動するようなソフトを「ゾンビ」と呼称することもある。
  • サバイバルゲームでは本来、被弾したプレイヤーはヒットコールをした後に退場するのだが、自主申告である事を悪用して被弾を意図的に無視する者が居る。こういった行為は「死んでいるのにまだ居る、動く死体」である事からゾンビと呼ばれる。そういった行為を嫌悪するプレイヤーが、相手のヒットコールを無視して故意に撃ち続ける、ごまかされないよう痛みで声を上げさせるまで過剰な威力で撃ち込む等、様々な問題を引き起こしている。被弾に気づきにくい服装であったり、興奮していて被弾に気づかないまま意図せずゾンビとなってしまうプレイヤーもおり、参加者同士の諍いの種になる場合もある。
  • 議員総選挙において、小選挙区で落選しながらも比例区で当選した議員を、皮肉を込めて「ゾンビ議員」と呼ぶことがある。なお極めて稀にだが、そのゾンビ議員が何かしらの要因(当選者の急死等)で当選が取り消された場合、その下位にいた候補者が「ゾンビのゾンビ」で復活する場合もある。

関連イラスト

センシティブな作品ボーンデッドドラゴン


関連タグ

ブードゥー教 モンスター 死体 人形 ゾンビ化 ホラー映画

ゾンビ映画 ZOMBIE zombies ポストアポカリプス


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同族・類似種

アンデッド リッチ キョンシー グール ミイラ 死人憑 スケルトン タキシム 吸血鬼 塗仏


ゾンビ関連作品製作者

ジョージ・A・ロメロ サム・ライミ ダン・オバノン エドガー・ライト ピーター・ジャクソン エド・ウッド ティム・バートン トビー・フーパー 押井守 西村喜廣 井口昇 相原コージ 大槻ケンヂ


ゾンビが登場する作品

アニメ・漫画


小説


ゲーム


映画・ドラマ


その他


創作ゾンビ


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