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孫悟空の編集履歴

2024-01-24 03:40:30 バージョン

孫悟空

そんごくう

孫悟空とは、中国古典小説『西遊記』に登場する仙術を会得した猿。及び、それをモチーフとしたキャラクター名にも用いられる事が多い。

曖昧さ回避

  1. 西遊記』に登場する石猿。日本では石から生まれた魔猿のイメージが強い。しかしアジアの国々では『斉天大聖』の尊称で広く民間で信仰されている。簡体字表記では『孙悟空
  2. ドラゴンボール』の主人公。→孫悟空(ドラゴンボール)
  3. 手塚治虫の漫画『ぼくのそんごくう』、及びアニメ作品『悟空の大冒険』の主人公。
  4. ザ・ドリフターズ出演のテレビ人形劇。→『飛べ!孫悟空
  5. 最遊記』の登場人物。→孫悟空(最遊記)
  6. 無双OROCHI』の登場人物。→孫悟空(無双)
  7. NARUTO』に登場する尾獣の一体「四尾」の本名。フルネームは「孫悟空斉天大聖」。
  8. 三獣士』の主人公。→孫悟空(三獣士)
  9. スピッツの楽曲。27thシングル「水色の街」のカップリング曲。スペシャルアルバム「色色衣」にも収録されている。
  10. SDガンダムワールドヒーローズ』の主人公。→悟空インパルスガンダム
  11. コハエース』の没サーヴァント。→孫悟空(Fate)
  12. 三獣士』の登場人物。→孫悟空(三獣士)
  13. Go空伝』『ゴゴゴ西遊記』の登場人物。→孫悟空(ゴゴゴ西遊記)

本項では1について記述する。

なお多くの作品は1をモデルにしている。


概要

東勝神州(とうしょうしんしゅう)傲来国(ごうらいこく)の沖合に浮かぶ、花果山(かかざん)と言う活火山の頂上にあった岩が産み落とした石の卵から生まれた石猿。中国語ではスン・ウーコンもしくはスェン・ウーコン(Sun Wukong)、上古中国語ではスーン・ガースコーン(Sun Ngaskhong, suːn ŋaːskʰoːŋ)と呼ぶ。


一般的な版には見られない俗説であるが、渡辺仙州編訳『西遊記 上 悟空誕生の巻』(偕成社、2001年刊)によればこの岩には、かつて釈迦如来の怪我した指先から滴り落ちたが染み込んでおり、悟空はいわば大地を母胎として生まれたお釈迦様の子供とも解釈できる。

高平鳴海著『知っておきたい 魔法・魔具と魔術・召喚術』(西東社、2012年刊)によると、釈迦如来が怪我をした経緯は、蟠桃会の席で飲んだに酔った挙句に、とある山で指を岩に引っ掛けて一滴の血を岩に付けてしまったというもの。これは、特に修行僧に対して飲酒を禁じている仏教の教主にあるまじき失態であり、孫悟空が生まれつき粗野で暴れ者なのは、釈迦如来の無作法によって生まれたものだからとも解釈できる。

しかしこの時お釈迦様はその地を拭おうとしたがこれも何かの縁とわざと放置したという経緯らしい。

自らの失敗ですらも何かの功績を積むきっかけになりうる言う点ではまさしく孫悟空のあり方と共通しておりであり、それも含めて仏の手の内ということなのだろう。


粗暴だが、義理人情に富む好漢であり、非常に師匠思いでもある。また、修行の折に徳の高い仙人に弟子入りして学んだ為、医学などの知識にも明るい。

年齢は西天取経の時点で850歳に満たない(天界に招かれてから彼が過ごした時間は500年と数年に過ぎず、そこに後述の閻魔を脅した際の年齢342歳を足すと)。


現在も国を超えて人気があるキャラクターであるのみならず、中国南東部(福建省、広東省など)、香港台湾タイ等の華人、華僑社会では前述の「斉天大聖」の名で、道教の神のひとりとして篤い崇拝を集めてもいる。


ちなみに、モチーフや原型とされているものには、インド神話に登場する、風の白猿神ハヌマーン」や中国神話に登場する猿の水怪「無支奇」などが存在する。

なお、日本のメディアではしばしば「キンシコウ」という中国に分布する猿がモデルだという俗説が実しやかに伝えられているが、これは1980年当時の日本モンキーパーク園長であったサル研究者が、雑誌のキンシコウ特集で、キンシコウの毛並みを評価した際に「この金色に輝く美しい毛並みの猿は、まさしく『美猴王』と称された孫悟空のモデルにふさわしいサルなのかもしれない」と発言したことが過大解釈されて広まったもの。

実は、孫悟空の身体の部分でも金色なのは彼の体毛ではなく彼の瞳であり、これは園長の早とちりであった。もちろん、この点については後に読者や他の研究者から指摘を受けたらしく、1985年発表のキンシコウについての別の記事では「園長の勘違いだった」として訂正されている。しかし、園長が死去した現在も、誤った情報だけが独り歩きして引っ込みのつかない状況にある。


来歴

石猿はの中にあった仙人の古屋「水簾洞(すいれんどう)」を発見した功績により、美猴王(びこうおう)の名で族のとして君臨していたが、あるきっかけで自分もまた定命の存在に過ぎないと気付き、不死の神仙を目指すようになる。


古家を部下猿たちに任せ、自分は人間に変装して、とある仙人に弟子入りする。

この師匠から与えられた名が、孫悟空である。

「孫」は猿の別名である「胡孫(常用漢字外。実際はどちらにもけものへんが付く)」の「孫」から、悟空は「空(=宇宙)を悟る」という仏門の究極に至る名前である。


修行の末に神通力に目覚め、觔斗雲(きんとうん)に乗って十万八千里を飛ぶ力と72通りの変幻術を習得するが、それを兄弟子たちに見せびらかしたために弟子を破門される。

花果山に帰還した悟空は、そこで部下猿たちが混世魔王に襲われているのを発見し、これを難なく退治。

部下猿に命じて武器や防具を集めさせ、武装を強化すると共に、自分にも相応しい武器が必要だと考え、四海の龍王の元へ行き、伸縮自在の神器「如意金箍棒」(にょいきんこぼう)を手に入れる。

牛魔王を含む6大魔王と義兄弟の契りを結ぶが、そこで冥府の使者が現れ、お前の寿命は尽きたと言われてしまう。納得のいかない悟空は逆切れし、地獄で大暴れして閻魔大王を脅し閻魔帳を持ってこさせ、そこから自分の名前を消してしまう。

こうして悟空は寿命がなくなった。


その能力に「ダメだこいつ早くなんとかしないと」と危機感を感じた天界は悟空を召し抱え、役職を与えて従事させることで事なきを得んとするも、その役職「弼馬温(役職は天馬の管理。弼・馬温で馬温の弼、つまり「馬係補」とでもいうべきもの)」が物凄い下っ端であるということを知った悟空は激怒して逃走、地上に帰ってしまう。


そこで出会った妖怪独角鬼王に唆されて増長した美猴王は「斉天大聖」(せいてんたいせい)を名乗って天上界の追手と大喧嘩。こりゃラチが明かんと考えた天界は再び悟空を召し抱える。閑職に回されヒマにしていた悟空は、ある日仙界の(食べると仙術や不老不死を得られる効力を持つ)を食べる宴会があると知り、神仙たちを術で眠らせて自分で桃を喰いつくし、更に宴会の席で用意されていた仙酒やご馳走を飲み食いした挙げ句、酔った勢いで太上老君の作り上げた不老不死の金丹を貪り食って不死身の肉体を手に入れる。


これに激怒した天界は哪吒太子四天王観世音菩薩with恵岸行者などを含めた全軍で悟空を討伐することを決定。天界軍相手に悟空は縦横無尽に大暴れするが、最後は二郎真君(『封神演義』の楊戩のこと)に捕らえられる。しかし不死能力のバーゲンセールであった悟空は何で攻撃しても殺せず、仕方がないから太上老君八卦炉に入れられ燃やされるが、比較的安全な場所に避難した為焼かれずに済み、煙に燻され火眼(赤い目)になっただけで「熱いじゃねーかコノヤロー!」と文句を言うばかり、さすがに神仏たちもドン引きしていた。

そこに釈迦如来が現れ、「お前が本当に無敵だというのなら、私の掌から逃げ出してみよ」と命じる。悟空は難なくの觔斗雲で脱出し宇宙の果てまで到達し、そこにあった柱に「斉天大聖到此一游(斉天大聖此に遊ぶ)」とサインして帰ってきた。ところがそこに待っていたのは「斉天大聖到此一游」と書いてある指を見せつけるお釈迦様。まんまと策略に引っ掛かり完敗した悟空はお釈迦様の法力で調伏され、五行山と言う岩山に500年に渡り封印される。


のち三蔵法師に助け出されてその供をし、多くの困難を克服して天竺から経典をもたらし、その功成って闘戦勝仏」(とうせんしょうぶつ)の称号をお釈迦様に授かった。

後西遊記の時代には三蔵と同格の存在となり、孫履真という嫡流の子孫(兄弟?)を持つに至る。


意匠

言うまでもなく猿。茶色いにこ毛と「火眼金睛」と表現される赤い眼に金色の虹彩が特徴。

作中、しばしば出会う人から「顔が雷公のよう」と言われるが、これは中国で一般的な雷公の図像が鳥の嘴を持った人間の顔である(日本の烏天狗が近いだろう)ため。人間と比べ、猿の頬がこけて口が飛び出しているように見えるのを嘴と捉えたのだろう。

背はかなり低い(四尺=約120センチに満たないといわれる)。尻には長いしっぽが生えている。これらの特徴を考えるだに、孫悟空のイメージの中にはアカゲザルのそれが取り込まれていると考えられる。


『西遊記』における、悟空の服装についての最初の言及は第一回、須菩提祖師に弟子入りした際の「衣紋をつくろい」という記述である。第二回における混世魔王のアジト水臓胴にカチ込みシーンでは「頭を丸め、赤い衣をまとい、黄色い紐をしめ、黒い長靴をはいて」おり、徒手空拳という身なりである。


白木綿の直裰(じきとつ、僧侶・仏教修行者の普段着)と虎革の腰巻き(後述)というお馴染みの姿のほか、取経前の暴れん坊時代、第三回収録の場面にて東西南北の龍王からそれぞれせしめた如意金箍棒、鎖子黄金甲(黄金の鎖帷子)、鳳翅紫金冠(鳳凰の羽のついた冠)、藕糸歩雲履(蓮の繊維で編まれた、雲の上を歩ける靴)を装備した姿で像が作られる事も多い。独角鬼王から赭黄袍を献上されたエピソードもあってか、関聖帝君など他の道教神も着ている「袍」を身につけ、前述の装備と組み合わせたパターンもある。袍の色合いは黄色から赤にかけてのものが多い。


物語のメインである取経の旅においては、第十四回で、三蔵に助け出されてからしばらく歩いた後、悟空は襲い掛かってきたを如意棒で撲殺すると、毛を抜いて包丁に変えその毛皮を剥いだ。そして爪や頭部を切り落した後毛皮を二つに裁断してその片方(もう一方は別にとっておいた)で腰巻きを作るとそれを履き藤の蔓でとめて、更に三蔵の古着と靴を頂いた悟空はその姿のまま天竺まで旅をすることとなった。


また、頭には金輪緊箍児がはめられている。

これは、上記のエピソードの翌日に襲い掛かってきた盗賊団を殺害した時、三蔵から「お前は僧侶(行者)なのだからいくら正当防衛だからって人を殺してはいけません」と咎められたのに怒り勝手に逃走した悟空を見た観世音菩薩が三蔵に与えたものである。

暫くして帰ってきた悟空にこの輪をはめさせると、三蔵は悟空が逃げ出そうとするたびに観音様から頂いた呪文を唱え、頭を締め付けていた。

その圧力は強烈で、どんな武器も受け付けない石頭の持ち主である筈の悟空も、痛さの余り七転八倒し、以後は三蔵の言うことを大人しく聞くようになった。

ちなみに他に似たような金輪(宝貝)は2つ存在し、どちらも三蔵一味を狙う妖怪に観音様がはめて調伏している。


斉天大聖としての神像が作られる際、上記の意匠を組み合わせた(そのため時系列上、『西遊記』本編ではみられない組み合わせの)形になることも多い。例えば、天界との対立当時の四海龍王の宝フル装備モード(太上老君の八卦炉から脱出して以降は針サイズして耳に入れておいた如意棒以外登場しない)に、取経の旅の時につけられた緊箍児が加わっていたり、さらに旅の途中で一時的に使っていた紫金紅葫蘆(返事した相手を吸い込む赤いひょうたん、原作では金角銀角戦後に太上老君に返還)が持たされたり、といった塩梅である。


闘戦勝仏として最終的に聖者となった関係から、法衣・僧衣を着た姿や、仏教の説法者が用いる棒「如意」を持たされる作例もある。


主な能力

觔斗雲(きんとうん)

飛行術の一種。觔斗とは「とんぼ返り」を意味する。図版ではそのものに乗って空を飛ぶように描写される事が多い。

身外身(しんがいしん)

分身の術。体毛を少し引き抜いて噛み砕き、仙気と共に吹きつける事で無数の分身に変える。分身した毛をそれぞれ眠り虫(刺した相手を眠らせる羽虫)などに変化させることもできる。うずまきナルトをイメージすれば分かり易かろう。

この毛を工具武器に変えることも出来る。

また、首の後ろには三本の金色の毛がある。これは「サルは人間より毛が三本少ない」という俗説に基づいたもので、観世音菩薩が悟空に貸し与えたものである。この毛は霊力が籠っているため他の毛よりも強靭で、獅駝嶺の三大魔王に捕らえられた際、悟空はこの毛を錐・竹ひご・紐に変え、穴をあけることで宝貝から脱出できた。

解鎖法(かいさほう)

あらゆる封印や拘束物を無効化する術。

地煞七十二変化(ちさつしちじゅうにへんげ)

動植物を始めとしたあらゆる物に化ける術。特に虫などの小さな生き物に化けるのが得意で、見知らぬ街への偵察の折にはこの術を用い、しばしばハエバッタに化ける。その一方で、牛魔王との戦いでは身の丈1万丈(30㎞!!)巨大化してみせた。

定身の法(ていしんのほう)

指を立てて一喝するだけで、周囲の敵を金縛りにすることができる。

閉水の法(へいすいのほう)

水の中を自在に動き回る術。水中でも呼吸が出来るようになる。

避火訣(ひかけつ)

火の中でも燃えない術。煙は防げない。

安身法(あんしんほう)

地面に円を書いてその中に入ったら、大抵の妖怪は手出しができないほどの強力なバリアとなる。


孫悟空をモデル・由来とした主なキャラクター

特撮

アニメ


ゲーム


漫画


その他


パロディにおける演者

当然ながら主人公あるいはそれに類する人物が多い。

ドラマでの演者

堺正章(香取版ではお釈迦様役) 本木雅弘 唐沢寿明 香取慎吾


キャラクターとしての傾向

一般的なイメージとして「悪戯好き」「変身・分身能力」「身が軽い」などがあるが、結構知恵も使える所はあまりフィーチャーされない。

お釈迦様との関係から「他人の掌で踊らされる」「手玉に取られる」者の蔑称として使われる事も多い。


関連タグ

西遊記 三蔵法師 沙悟浄 猪八戒 牛魔王


猿飛佐助真田十勇士):悟空がモデルという説もある。

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