———そうだ。我々はもっと早く気がつくべきだった
我々では不可能なのだ。この宇宙では不可能なのだ。であれば———
こちらの法則に縛られない異界の怪物、我らですら知り得なかった異常識。
虚空からの降臨者(フォーリナー)の手で人類を終わらせるのだと———
概要
エクストラクラスの1つであり、降臨者のクラス。
初出は『Fate/Grand Order』1.5部『Epic of Remnant』の最終章『禁忌降臨庭園 セイレム』。
外宇宙、もしくは別次元より飛来した存在に根ざすサーヴァントのクラス。
地球が存在する内的宇宙に連なる理から外れた、異次元に存在する「邪神」とでも呼ぶべき何者かと後天的な理由で縁を結び、その力の一端を受け継いだ英霊。「世界観を乱す者」とも形容される。
(ここでは、そのような異次元の存在を世間一般に知られた通称に倣い「邪神」と呼ぶものとする)
地球上ではある作家がこの存在を創作神話として天文学的な確率で図らずも言い当てたことで証明に至った。
とは言え、それらが存在するのは第二魔法が及ぶ範囲(いわゆる並行世界)からも外れた、この宇宙とは全く関係ない別の界域である。本来ならそれらはただ偶然言い当てられただけで、現実には存在していないも同然の迷信や空想に過ぎなかった。
しかし、亜種特異点Ⅳにて、彼らを「確かに存在するもの」として定義し、実際に招き入れようとしたモノの手でそれらが存在する世界への道が開いてしまい、干渉が可能になってしまった。道が開いたのはごく僅かな間だけだったが、それらにとってはその一瞬だけで十分だったのである。
加えて、それらに時間軸の概念はさほど意味がないのか、道が開いたのは2017年のみであったにもかかわらず、過去の世界にも影響を及ぼしていた事になってしまった。
また、これら外宇宙の邪神は地球上どころか(TYPE-MOON世界における)この宇宙で生まれた存在ですらないため、星の安全装置である抑止力が働かない。
そのため、完全降臨すればビースト以上の災厄によって世界が滅ぶ危険性が高いことになる。それを目論んだ魔神柱ラウムの行為は、一歩間違えばゼパル以上に危険どころの話では済まない、いくつもの世界を滅ぼして余りある大暴挙だったと言えるだろう。
BBはこのクラスの存在を推測して曰く「狂気の内にありながら純粋さを失わない者」「狂気に呑まれながら逆にそれを呑み尽くした者」などに適性があることを示唆している。
それらは皆「本来あるべき形から、邪神によって存在を歪められたことのある者」であり、狂気の源たる異次元の存在そのものがサーヴァントとして顕現した例は未だ存在しない。
加えてアクセスできるようになった経緯ゆえか、時間軸から切り離された英霊の座を通してでしか干渉できないため、英霊という人間の影に混じって顕現するのだという。
人間は邪神の恐怖など無くとも恐怖や狂気から伝説を生み出し、英霊の座はそんな負の面さえ迎え入れるという特性もその一因であり、これからも新しいフォーリナーが増えていく事が示唆されている。
ただしどんな英霊も無条件に眷属にされる訳ではなく、型月世界において生前に邪神の思念を受信して僅かでも繋がりを持ったとされる者が対象となる様子。主に芸術家や天文学者といった「人並み外れた感受性」を持つ人間がそうなりやすい傾向にある。加えて楊貴妃の幕間では「死地や死因の記録が乏しく不明瞭」な人物も多いという事実が判明した。
原典のテキストではチートの極みとして描かれている彼らだが、そのほとんどは幽閉されており、各々が抱えている事情や勢力関係から大々的に地球へ侵攻を行う事は難しいという。
また、超越者と言えど形而上的・概念的な不滅の存在ではなく、異質ながらも血肉を具えた定命の者であり、被害を度外視するという前提であれば型月世界の常識に則った物理的・魔術的な干渉を以って対抗することで打ち滅ぼすことも可能である。
元となった邪神の敵対関係を持ち込む形でフォーリナー同士で対立する事もあり得るらしいが、それが却って抑止力になるのではないかとジル・ド・レェは提唱している。
そして事実、邪神のほとんどは親子や兄弟といった血筋関係の縁で喚ばれている者達が多い。
外なる神の影法師という人類の脅威でありながら、力の使い方次第では理知の外側からの侵略を防ぐ紛れもない人理の守護者、それこそがフォーリナーの本質なのかもしれない。
ちなみに、邪神の存在を知覚する事に成功し、それが地球に到達することを阻止すべく次元を超越して彼らを追っている者も存在しているらしい。
これらと無関係の例外として、XXやXオルタは単なる並行世界より一段上のランクである「他銀河からの来訪者」故に、ボイジャーは存在自体が他の宇宙文明との交流を目的とした「他銀河から見た来訪者」故に、このクラスの適性を有している模様。
ゲーム的にはバーサーカーおよびプリテンダーに完全有利で、アルターエゴに弱い。また、フォーリナー同士では互いに弱点を突きあう。
この為、クラスとしてはルーラーの次、下手したら同等以上レベルに耐久力が高く、ストーリーやイベントに出て来るとマスター達を悩ませる強敵となる。
これが原因で「アペンドスキルで『対フォーリナー有利』が付くだけでそのサーヴァントの株が急上昇する」という事態にまでなっている。
これはフォーリナーが地球とその円環の宇宙の法則とは全く異なった摂理を持ち、その世界の常識をブチ壊して正気を失わせ、狂気をもたらす邪神という存在がクラスの起源となっているため、狂気に呑まれた者では対抗できず、打ち克つには確固たる自我と強靭な自意識が必要である事を表現しているのではないかと推測されている。
後にプリテンダークラスが新しく発見されたことで、アルターエゴを加えた三竦みの関係になった。異質なルールで動く存在ゆえに役を羽織る者の欺瞞を意に介さない、といったところだろうか?
クラスカードのデザインは公式で言及こそされてはいないものの、ヨグ=ソトースの化身「ウムル・アト=タウィル」またはハスターの化身「黄衣の王」と考えられる。また、クラスアイコンはおそらく「彗星」がモチーフ。
クラス別能力
領域外の生命 | 外なる宇宙、虚空からの降臨者。邪神に魅入られ、その権能の片鱗を身に宿して揮うもの。(※1) |
---|---|
神性(?) | 外宇宙に潜む高次生命の先駆となり、強い神性を帯びた。(※2) |
※1:権能の「片鱗」の箇所がアビゲイルは「先触れ」、楊貴妃は「一鱗」になっている等、サーヴァントによっては一部文章が異なる場合もある。また、邪神系ではない者の解説ではこの定型文ではなく、邪神系のそれとは異なる旨が記述されている。
厳密にはこちらのスキルがフォーリナーのクラス別能力であると公式で明言されたことは無いが、フォーリナークラスのサーヴァントは概ねこのスキルを保有しており、一部のスキル説明文にはフォーリナークラス適性という記載も存在しているため、フォーリナーのクラス別能力だと思われる。
※2:現状では邪神系のフォーリナーのみ所持。この文章の後に、それぞれその代償についての解説がある。また、「先駆」の箇所がアビゲイルは「”門”」、ゴッホは「尖兵」と異なる。
なお、この『神性』スキルはフォーリナーに多く存在する邪神系のサーヴァントが皆所持しているため結果的にフォーリナークラスでの所持率は高いが、フォーリナークラスのクラス別能力であるかは不明。
一般的にクラスごとのクラス別能力(と思われるもの)をそのクラスのサーヴァントが何らかの事情で保有していない場合、「○○のため失われている」というようなスキル説明を携えた上で、そのスキル自体はきちんとマテリアルに記載してあることが多い。
例:
- マタ・ハリ(アサシン)の『気配遮断』スキル(FGOマテ)
- 天草四郎(ルーラー)の『神明裁決』スキル(Apoマテ)
- ククルカン(フォーリナー)の『領域外の生命』スキル(ゲーム内マテ)
しかし、この『神性』スキルについては、所有していないフォーリナークラスのサーヴァントに同様の記述は一切見当たらないため、そもそもフォーリナークラスのクラス別能力では無い可能性も高いと思われる。
基本ステータス
筋力 | 耐久 | 敏捷 | 魔力 | 幸運 |
---|---|---|---|---|
? | ? | ? | ? | ? |
Fate/Grand Order
Epic of Remnant
『禁忌降臨庭園 セイレム』
ある魔神に見出され、一にして全なる神の力をその身に宿した少女。
その神へと繋がる扉の「鍵」でもある、異端にして最新の魔女。
詳細はアビゲイル・ウィリアムズ(Fate)を参照。
Cosmos in the Lostbelt
『虚数大海戦 イマジナリ・スクランブル』
『富嶽三十六景』『北斎漫画』などの作品で知られる浮世絵師……と、その三女。
肝心の親父はどこって?ほらそいつだよ。
詳細は葛飾北斎(Fate)を参照。
世界三大美女の一人にして、傾国の美女と謳われる唐帝玄宗の寵姫。
詳細は楊貴妃(Fate)を参照。
『ひまわり』などで知られる近代のポスト印象派の画家。
史実、残存している写真では確実に男性のはずだが、なぜか女性の姿で現界している。
詳細はヴァン・ゴッホ(Fate)を参照。
『非霊長生存圏 ツングースカ・サンクチュアリ』
愛玩の獣の分御霊の一つ。人の殺戮へ特化した片割れに対し、こちらは獣の調教に特化している。
詳細は闇のコヤンスカヤを参照。
『黄金樹海紀行 ナウイ・ミクトラン』
翼ある蛇と同一視されるマヤの神性。
地下冥界の意思が生んだ異聞の太陽。
詳細はククルカン(Fate)を参照。
2部7章後編にてNPCとして登場。
己自身を触媒として、己自身を召喚したただ一つの輝けるもの。
存在してはならなかった冠位。
詳細は???を参照。
期間限定イベント
『ワンジナ・ワールドツアー!』
アボリジニの伝説に伝わる大気の精霊。
詳細はワンジナ(Fate)を参照。
水着サーヴァント
サイバーチックな鎧を纏ったSF感がハンパない宇宙騎士。
フォーリナー、殺すべし。もちろんいつも通りセイバーも死ぬがよい。
詳細は謎のヒロインXXを参照。
湖でのキャンプにて霊基をアップデートさせたアビゲイル。
2匹の奇妙な猫を連れ幻夢境への門を開く到達者。
詳細はアビゲイル・ウィリアムズ(水着)を参照。
8度目の夏にまさかのプレイアブル実装を果たした、ある女王の異聞の姿。
「サバフェス正常化委員会」の実行委員長としてハワトリアに君臨する。
詳細はノクナレア(水着)を参照。
数シーズン先の未来にて、暗黒の騎士王として成長を遂げたえっちゃん。
詳細は謎のヒロインXX〔オルタ〕を参照。
コラボイベント
星の王子さまを思わせる風貌の幼気な少年。
人類の夢と希望を背負い、星の彼方へと旅立った金色の宇宙船。
詳細はボイジャー(フォーリナー)を参照。
元ヴィラン女学生が転身した星の歌を紡ぐ新進気鋭のアイドル。
詳細は謎のアイドルX〔オルタ〕を参照。
『隈乃温泉殺人事件』
現代生まれの最新の魔法使い。
「ちょっとだけ、地球を救いに帰ってきたわッ!」
詳細は蒼崎青子(フォーリナー)を参照。
ハロウィンイベント
異端者の汚名を着せられた悲劇の騎士団長。
型月世界においても男性として現界していたはずだが…?
詳細はジャック・ド・モレー(フォーリナー)を参照。
Fate/Requiem
古代アレクサンドリアの数学者。ユークリッドの名で知られる幾何学の父。
詳細はエウクレイデス(Fate)を参照。
適性を得る可能性を持った英霊
登場作品 | 真名 | 召喚されたクラス |
---|---|---|
Fate/EXTELLA | アルテラ | セイバー |
Fate/GrandOrder | BB(水着) | ムーンキャンサー |
余談
「フォーリナー(Foreigner)」は元々「外国人」「異邦人」といった「外から来た者」を指す英語であり、本作では「降臨者」という字が当てられている。
「降臨」の意味が「神仏が天界から地上に天下ること」なので「外なる宇宙から飛来する過つ神」とも解釈できる。
この外側とはダ・ヴィンチちゃん曰く、我々の知る理知の世界の「外側」という意味で倫理観などがあべこべであるのもそのせいらしい。
今のところ邪神に関係するフォーリナーは全て女性。邪神と繋がりを持った男性は存在するが後天的な理由で女性の霊基として現界している。
『カルデアブレイクルーム Vol.17』の星空めてお氏へのインタビューによると、元々「外宇宙から人類を観測する邪神が存在し、その前触れとなる者がフォーリナークラス」という構想があり、そこにめてお氏がとある作家の創作神話体系を取り入れてはどうかと提案し、現在のフォーリナークラスの設定が作られたという。
適性考察/関連人物
※以下は型月関連作品で登場あるいは言及されたキャラクター。下記の記述はあくまで当サイトにおける有志の予想や推察交じりの文章であり、公式の設定ではないことに注意。
英霊名 | 備考 |
---|---|
ジル・ド・レェ | 螺湮城教本持ち。しかし、キャスターの彼は狂気に呑まれている為、適性はなさそうである。セイバーのほうの旦那なら…… |
プレラーティ | 螺湮城教本持ち。驚くべきことに彼(彼女)は邪神側からの干渉ではなく自ら繋がってはいけない場所、つまり外宇宙に接続している。(その後危険性を感じ自ら繋がりそのものを封印した。) |
ナポレオン | クトゥルフ神話においてはプレラーティが訳した螺湮城教本を持っているとされる。pixivではユーザーが想像したフォーリナー版のイラストが確認できる |
アルテラ | ヴェルバーは降臨者(フォーリナー)という単語で表されており、アルテラを筆頭にヴェルバー関係者はフォーリナー適性を持つ可能性がある。 |
織田信長 | ナイアルラトホテップの化身の1つ悪心影は織田信長の正体、あるいは同じ風貌を持つ存在とされる。「葛飾北斎体験クエスト」では「ノッブ」が「黄金の蜂蜜酒」めいた「黄金のハチミツ風味の飲み物」を主人公たちに飲ませ夢の世界に誘った。同イベントには顔の無い信長の姿をした”公方様”が登場している。 |
スカサハ | クトゥルフ神話では旧支配者として登場。アザトースが単為生殖で生み出した両性具有の神サクサクルースの孫にあたる。彼女の治める影の国の一部である無人島に住み着いたうりぼう達がクトゥルフ神話の呪文を詠唱していた。 |
ニトクリス | 宝具である冥鏡宝典がニトクリスの鏡と呼ばれるクトゥルフ神話のアイテムが元ネタとなっている。ジル・ド・レェの強化クエストに登場。 |
トリスタン | ビヤーキーに登場した逸話がある他、ピクト人はエイリアンに例えられる。ジル・ド・レェの強化クエストに上記のニトクリス同様登場。 |
他にもクトゥルフ神話ではナイアルラトホテップの別名がオジマンディアスや術ニキが宝具に持つ「顔の無いスフィンクス」や「ウィッカーマン」だったりするのだが、彼女らとは今の所関連はない。
この他にもガネーシャのモデルがチャウグナー・フォーン、ヘラクレスの退治したヒュドラが実は異次元の怪物だったりとクトゥルフ神話では実はコイツは邪神が関わっていた!という荒唐無稽な描写が沢山出てくる。
(尚、セイレムに登場したサーヴァントにロビンとメフィストが確認できるが、彼らの宝具名が「顔のない王」と「微睡む爆弾(チクタク・ボム)」であったりと這いよる混沌の別名を思わせる人選になっている)
しかし、上記のように宇宙人やクトゥルフに直接縁のある英雄が考察の対象に挙がる事が多い一方で公式での実装例をよく見てみるとクトゥルフ神話と直接の関連を持った英霊は思いの外少ない。
- 葛飾北斎(蛸と海女の作者)→蛸の邪神クトゥルフ
- アビゲイル・ウィリアムズ(クトゥルフ神話にも影響を与えたセイレム魔女裁判の元凶の一人)→ヨグ=ソトース
- 楊貴妃(唐国の城門に「北落師門」がある)→北落師門の西洋での名称「フォーマルハウト」から来訪したクトゥグアあるいはその配下たる「炎の精」達の長フサッグァ
- ゴッホ(絵画「ひまわり」の作者)→植物型の旧支配者ヴルトゥーム
- エウクレイデス(幾何学の父)→黄衣の王ハスター(クトゥルフ神話ではルルイエの形状を表す際に非ユークリッド幾何学という表現が出てくる。)
とこのようにクトゥルフ神話の神性に関する何らかの要素と接点のある英雄が選ばれる傾向にある。
尚、カルデアが存在する位置は南極にある隠された山脈という設定のため、クトゥルフ神話でいう狂気山脈に設定が似通っており、1.5部や2部の展開も合間ってかなりの厄ネタなのではないかと考察されることも。
またタイタス・クロウや英雄コナンのような邪神達と直接対峙した英雄達はフォーリナーの適性があるのかどうかは不明である。
関連タグ
ヴェルバー、ORT、オリュンポス十二機神、アステカ神話の神、異星の神:同じく型月世界における宇宙からの来訪者。そしてORTは……。(リンク先ネタバレ注意!!)
黒星紅白:主なフォーリナー(XX、ボイジャー、ヴァン・ゴッホ以外)の担当イラストレーター。
夢野久作:読むと発狂すると謳われる日本三大奇書の1つ『ドグラ・マグラ』の原作者。数ある作家の中でもある意味でフォーリナーの特性に則っていると呼べる人物。
ウルトラマン:型月作品でも度々存在が示唆されている日本が誇る三大特撮ヒーロー。奈須きのこ氏の文章から推察するにORTを倒しうる存在らしく、外側の存在には外側の存在をぶつけるという発想はこの流れを汲んでいるとも言える。