殿といっしょ
とのといっしょ
著者は大羽快。
概要
単行本は9巻まで発売中で、OVA化、舞台劇化もされた。
他の戦国武将モノの例に漏れず、各々のキャラは濃い目の味付けをされている事と、他が割と「戦」を中心に描いているのに対し、ギャグマンガということもあってかこの作品はあまりそういうことを重視していない(初期は結構頻繁に戦争をしていたが)ため、ややマイナーな武将も割と出てくるのが特徴。
時系列は割とバラバラ(例えば、武田信玄は1巻では出家後の武田信玄なのに、それ以降の単行本ではほとんどその前の『武田晴信』として登場している)
だがゆっくりと進んでいる節もあり、例えば1巻では足利義栄が14代将軍だったが、5巻では15代将軍足利義昭が信長に不満を抱いているシーンがあり、また5巻ではついに関ヶ原の戦いという単語も出始め、6巻では石田三成が「やるなやるなはやれだ! 開戦するぞ!」と発言している。
登場人物
東北勢
尾張勢
織田信長
「奴の服を全て半袖七部丈になるまで燃やせ!」
一人だけセリフと吹き出しのフォントが違う、常に白目の放火魔。
こいつと決定的に違うのは、放火の対象に部下が含まれている事。街をうろつく時には白昼から松明を携え、城内には髪の毛がチリチリの人が多いとか。
あまりに放火が好きすぎて、火を放つ名目を作るために仲間や部下を率先して裏切らせようとさせるほど。
なお、彼が作成した「裏切りダービー」には、なぜか秀吉までリストアップされている。サル名義で。
三河勢
甲斐勢
信州勢
真田信之&小松殿
「誰がドゲザムライだ!」
真田家のツッコミ役とその妻。
単行本4巻では勢揃いして表紙を飾っている。
頭首である信之は、父と弟、更に時々乗っかる小松殿も含めた3人によく振り回されるため、非常に苦労している。
小松殿は豪腕な女傑で、夫を完全に尻に敷き、オヤジはあいさつ代わりに携帯している長刀で叩き、時の権力者の息子である徳川秀忠さえもブン殴って大人しくさせている。
だが、なんだかんだで夫婦仲はそれなりによいようで、信之は「お前だけは危険にさらしたくない」と言って父と弟に乗っからないよう諫め、小松殿も小松殿でそれを言われたシーンでは珍しく頬を染めている。
真田昌幸&真田幸村
「はーい信之しっかーく、バツとして真田家の歴史から抹消~」
真田家の先代当主とその息子。
昌幸は人をイラつかせることに定評のある策謀家で、もういい年こいたオッサンにもかかわらず各地を転々としてくだらない遊びに勤しみ、信之を振り回している。なぜかADV風の寸劇を好む。
それに同調する幸村は常に目を前髪で隠した青年(※)であり、そこには日本一の兵として武勇を轟かせた「真田幸村」よりも、飄々とした「真田信繁」としてのイメージが強く描かれている。
勿論この二人も小松殿には頭が上がらないが、三人で組んで変なことをすることも多い。
霜月かいりの漫画『BRAVE10』の巻末では『殿いつ』の外伝として真田十勇士編が掲載されている(当たり前だが、霜月女史が描いているわけではない)。
※なお、(本作においてもそうだが)信之の幼名は「源三郎」、幸村は「源次郎」であり、一説によれば幸村の方が先に生まれたという説もあるが、本作では一貫して信之の方が年上に描かれている。
関東勢
北条氏康
「下はもう二度とはかん」
無敵の小田原城を信頼するあまり、自らの衣装をキャストオフしてしまった裸族。
普段はいちおう腰布一枚付けているが、食事の際はそれを前掛けにしてしまう。
どうやら見せる快感にも目覚めてしまったらしく、特に下は履かないと作中で宣言してしまった。
また、彼の血は息子に受け継がれており、そちらは後ろ半分だけ脱いでいる(?)という有様。正面戦士。
北陸勢
上杉謙信
「そんなに他国のことがいいと思うなら、ヨソの国の子になっちゃいなさい!!」
義に篤く決して侵略を行わない名君。お人好しで異常にお節介な性格。
酒が大好きで、小さい頃から浴びるように酒を飲んではわけのわからないことを言って周囲を困らせていた。それが原因で足利義輝に処刑されかけたこともある。
景勝の実の母親である姉の仙桃院(CV:別の世界の謙信公)には頭が上がらない。
某説の影響か、若干カマっぽくなるシーンもある。
直江兼続
「『皆様ごきげんよう、私が上杉家次期党首の景勝です。
私は口下手で意思のやりとりがしにくく、殿としての資質にかけてはおりますが、常に側近の与六が的確な代弁をしてくれています。
表情も人とはかなり違うようで周りには迷惑をかけてばかりですが、与六は的確に読みとってくれるので不自由はしていません。』
…と、殿は言っています。
申し遅れました、私は樋口与六、我が殿の側近です。
皆にはダメ出しが得意な人だと言われます。
フッ、彼らには愛の行いというものがわからないのでしょう。」
近畿勢
松永久秀
「フフ こちらにも裏切りの流儀というものがあるのだよ」
(画像手前)
信長からも悪党呼ばわりされたほどの天下の大悪党。顔はハンサムだが、とにかく裏切るという行為に快感を感じている大うそつきで、裏切るという予定を裏切ったことすらあるひねくれ者。
浅井長政
「ヒイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ」
常にオドオドしている小心者。新年のあいさつでさえ噛みまくり、父親に対する口答えも当人の前ではできないなどなど散々。
体もガリガリで、腕立て伏せ数回で大けがをしてしまう程の虚弱体質。
当初はお市すら(なぜかクマ絡みで)怖がっていたが、実際に結婚してからの夫婦仲は良好な様子。
ひきこもりがちでもあり、織田信長を恐れるあまりロッカーのような木箱に隠れるのは当たり前、お市に言われたある言葉には相当ショックを受けたのか、一般家庭でもあるような小型サイズの金庫に閉じこもってしまった。その後も屏風の隙間や兜の中に逃げ込んだりと人間離れしたヘタレぶりを見せつけている。
姉川の戦いがメインの9巻では表紙を飾っている。
朝倉義景&朝倉景鏡
義景「ZZZ…」
景鏡「地球…吹っ飛べ…」
朝倉家当主・義景(黒髪の方)は、見た目こそ上品そうに見えるものの、幼いころ朝倉宗滴に甘やかされすぎたせいで、何かに付けて寝ようとするダメ武将。決断を先送りにする言動が目立つ。
一度寝れば火であぶろうが水をかけようが逆さづりにしようが決して起きず、起きてる時でさえ、髪に火が付いたり顔に蜂の巣が落ちてきたりしても決して動じない、ある意味剛の者。そのダメっぷりから将軍家や明智家に逃げられる結果を招いてしまう。
義景の従弟・景鏡(色黒な方)は口だけは達者なものの、非常に体力が無く、疲れるととんでもないことを言い出す豆腐メンタル男。
豊臣秀吉
「オレの士官の旅は…ここ、尾張で終わりだ!! ワッハッハッハッハ!」
(一番左)
行商人から成りあがった天下人…なのだが、子供のころから笑いを取ることに命を懸けており、幾度と無く危ない目に遭っている。
主君の信長があまりにアレなためか、自分のことを「ツッコミキャラ」だと思っているが、どちらかというと「ノリツッコミキャラ」である。
小さい頃から猿扱いされていたせいか、イケメン(竹中半兵衛、松永久秀など)にはわりかし容赦ない。
正室のおねは笑いの沸点が低く、最初に秀吉を見た時にも顔が面白くて大爆笑していたらしい。
竹中半兵衛
「殿は自分のことを突っ込みキャラだと思ってたのか!」
(中央)
斎藤龍興に仕える美貌の軍師だったのだが、女官からの人気に嫉妬した龍興により左遷させられ、更にそれを知って怒った女官たちに龍興が追放されたことで稲葉山城主となった(その顛末を知り、信長からヘッドハンティングするように命じられた秀吉は無言で松明に火を点けていた)。
秀吉にお笑い勝負で敗北し追従した後は側近として彼を支えるものの、求道者すぎる秀吉にほとほと疲れ切っている。
信長の暴走を止められる数少ない逸材。
四国勢
長宗我部元親
「ケンカなんてダメだよぅ、領地返そうよ、ボクも謝るからさ」
色白で大人しかった幼少時の異名『姫若子』のイメージを過大解釈した結果生まれた男の娘。永久に老けそうにない。
単行本5巻の表紙を飾っている。
父親と上の弟以外ほぼすべての家臣(男性)に、下の弟にすら萌えられており、半ばアイドルのような扱いを受けている。その外見通り平和主義者で料理好きな子供のような性格であり、大凡武将には程遠い性格なのだが、部下が過激な奴らばかりなため軍自体は強い。
CV能登麻美子。
九州勢
島津義弘
「オレみんなと違って全然特徴無いんだ」
島津四兄弟の次男。
長男はリーダー、三男はキザ、四男はマスコットという中、一人だけ特徴が薄い事をネタにされ続けている。ルイージ。
本人も気にしており、髪の毛を剃ってハゲようとしたり、女装したり、他の兄弟に進められた特徴を全部取り入れておかしなことになったりといろいろ迷走気味。
が、迷走のおかげか、4兄弟の中で一番出番が多い。気がする。
関ヶ原の戦いにおいてもまだ悪目立ちしようとしていた。
大友宗麟&立花道雪&高橋祥雲他
「だってズリーじゃんよ! ワシのスケベ本だって道雪に認められていいはずだもんね!!」
豊後の国を治める大名、大友宗麟(画像左上のハゲ)とその臣下たち。
宗麟は島津四兄弟のライバル的立ち位置だが、スケベな小悪党ポジション。
そんな宗麟を支えるのが軍師の道雪(宗麟のすぐ左)であり、超がつくほど真面目な性格で歯に衣着せぬ言い方で宗麟を諌めている。雷を斬ったという故事から、なんか怒ったら電気が出せるという能力まで持っている。
その娘立花誾千代はまだ子供ながらに道雪にそっくりな堅物である。
道雪の右でおにぎりを食べているのが道雪の盟友である武将・高橋祥雲。義理堅い性格は息子の高橋弥七郎にも受け継がれており、熱血の妻の血が加わったせいで余計にめんどくさいキャラになっている。
宗麟、道雪、誾千代の三人は7巻の表紙を飾っている。
アニメ
TVアニメ化もされ、第1期が2010年7月より読売テレビにて放送された。第2期は、『殿といっしょ ~眼帯の野望~』と題し、2011年4月から読売テレビ、TOKYO MX、中京テレビにて放送がスタートした。1話約5分のショートアニメーションである。