頭文字D
いにしゃるでぃー
ストーリー
秋名山(群馬県榛名山がモデルの架空の峠)を中学生の頃から(※無免許運転です)愛車AE86型スプリンタートレノで豆腐を運んでいる主人公『藤原拓海』が、他の走り屋達とのバトルを通して(どちらが早く峠を下るかを競う物)走り屋として成長していく…
概要
しげの秀一原作の公道レース漫画でヤングマガジンに1995年から2013年まで連載された。単行本は全48巻。
比較的リアルにドライビングテクニックを描写している事から現実のレーサーにもファンが多く、中でも土屋圭市は後のアニメ化の際に監修として協力する等積極的に動いている。
だが、本作に影響されて犯罪に手を染める者も多く、ある意味エロ漫画以上に教育に良くない漫画である。
作者も過去作の例があるので一応気にはしていたらしく、危険走行による一般車に絡む事故描写や(作中では良識があるとされているチームが)各コーナーに対向車の存在を知らせるメンバーを配置する描写などもされている。主人公の父親からして中学生の息子に公道で無免許運転をさせるというダメな大人であるが、「拓海が既に免許を習得したので時効だ」と語り、友人を呆れさせている。
しかし危険行為を美化する本作がPTAや(自社の商品を犯罪に使われる)自動車メーカーから問題視されたことは無く、それどころか自動車教習所にある漫画として有名。
地味に中古車市場にも少なからず影響を及ぼしており、パンダトレノに異様な高値が付いている他、本作で活躍した車種の値段が高騰したり程度の悪い商品が高額で売られる詐欺紛いの事例も実際に起こっている。
なお、原作者自身もAE86トレノやFD3Sを所有していたことがあり、原作内の仕様は現実の作者の愛車と同仕様だった時期もあった。
初期設定の年代であるが、1995~7年と見てまず間違いない。アニメにおける1stStage相当分のエピソードで明確に年代が特定しうるネタとしては【コミックス冒頭で「199X年」と明記されている】【池谷浩一郎の「キューニーが出た(AE90系カローラ/スプリンターは1987年デビュー)のが、お前ら(拓海・イツキ)が小学校2,3年の頃」】【庄司慎吾の「ホンダがFR作ってくれりゃ~」(長らく途絶えていたホンダFRの復活、S2000は1998年発表)】などがある。
本来映画のThird stageに当たるところで終わる予定だったような節があり、プロジェクトD編になると、連載が長期にに渡ったためか作中で1年程度しか経っていないにも関わらず21世紀の年式のクルマや言葉遣いも登場する。
このため、現実のものが多く登場する漫画ではあるものの、ドラテクを含めてあくまでもフィクションとして楽しむのが良い。ちなみに主人公たちの拠点である「秋名」も榛名をモデルとした架空の地名である。
連載開始した1990年代は空前のスポーツカーブームであったのだが、完結した2013年には「若者の車離れ」の時代になっており、もはや走り屋達も夢の跡と少し侘しい最後となった。
2017年に本作から15年後の未来を描くMFゴーストが連載を開始しており、本作のキャラクターが多数登場する。
アニメ
TVアニメ版
オービー企画とプライム・ディレクション→トゥーマックス→ウェッジリンクによるTVアニメシリーズ。
1998年から始まり、2014年に完結するまで原作のほぼ全てのエピソードをアニメ化している。
一方で、シーズン毎にアニメ制作会社が変わるのが特徴で、シーズン毎にキャラクターデザインが大きく異なる。
メイン主題歌は殆どのシーズンでm.o.v.eが担当した。
頭文字D(1998年)
放送局:フジテレビ
シリーズ第一期。全26話。
原作第一話から中村賢太戦までのアニメ化だが、最終回が高橋涼介戦になる様に途中からバトルの順番が変更されている。
エイベックスのアニメ制作事業参入・第一弾作品であり、ユーロビート+CGアニメという斬新なスタイルで始まった。
車のCGこそまだまだ発展途上だったが、土屋圭市監修のリアルなサウンドやCGの出来をカバーする臨場感あるカメラワーク、そしてバトル中に流れるユーロビートが組み合わさり迫力のあるものになり好評であった。
頭文字D Second Stage(1999年)
アニメ制作:パステル
放送局:フジテレビ
シリーズ第二期。全13話。
エンペラー襲撃から正丸峠での秋山渉戦までアニメ化。
前作から車のCGが劇的に進化し、本作よりナンバープレートが表現されるようになる(5桁の架空のもの)などリアルに近付いた。
キャラクターデザインも、原作から少しデフォルメされたような感じだった前作から一転し原作寄りのデザインになり大きく雰囲気が変わった。
本作を最後に地上波で新作は制作されなくなり、以降は映画やCATVに移行する。
頭文字D Third stage(2001年)
アニメ制作:スタジオディーン
配給:東映
頭文字D初の映画作品で、事実上シリーズ第三期。
いろは坂での連戦から原作第一部完結編までをアニメ映画化。
前作からより進化したCGグラフィックと、劇場版ならではの臨場感ある映像やサウランドが特徴で本作で一つの頂点に立ったと言える。
制作側の意向で原作よりも青春ドラマを重点に置いたストーリーとなっている。
頭文字D Fourth stage(2004年~2006年)
アニメ制作:A.C.G.T.
放送局:アニマックスPPV
シリーズ第四期。全24話。
原作第二部開始から茨城県のパープルシャドウ戦までアニメ化。
本作から放送局がアニマックスの系列局となる。
放送体制も隔月2話ずつとなった。
CGはリアルさを維持しつつも通常パートとの違和感を軽減するように工夫されており、以前よりも自然に溶け込んでいる。
本作を最後にオービー企画がクレジットされなくなる。
頭文字D Fifth Stage(2012年~2013年)
アニメ制作:シナジーSP
放送局:アニマックスPPV
シリーズ第五期。全14話。
ニセプロジェクトD編からサイドワインダー戦前半(啓介vs北条豪)までアニメ化。
本作から放送体制が毎月2話ずつ配信に改められた。
第二期でキャラクターデザインを担当した佐藤正樹が再度キャラデザを担当し再び原作寄りのデザインとなると同時に、池谷達の働くガソリンスタンドのデザインと制服が変更された。
本作放送後にm.o.v.eが解散した為、活動中にタイアップしたのは本作が最後になる。
頭文字D Final Stage(2014年)
アニメ制作:シナジーSP
放送局:アニマックスPPV
シリーズ完結編。全4話。
拓海vs乾信司戦と原作最終回までをアニメ化。
シーズンは分けられているが実質的に前作の延長線にありメインスタッフもほぼ全員続投している。
放送時点でm.o.v.eが解散していたので主題歌は未公開だったものと過去作のものを使用。
本作でTVアニメ版は完結し、一つの区切りとなった。
TVアニメ版の外伝、総集編
いずれの作品もOVAとして発売された。
頭文字D Extra Stage(2001年)
アニメ制作:パステル
原作外伝『インパクトブルーの彼方に…』『センチメンタルホワイト』をアニメ化。
インパクトブルーの佐藤真子と沙雪が主役の外伝で、総集編除き唯一本編主人公の拓海が登場しない作品(ラストに拓海のハチロクとすれ違うシーンはある)。
また、m.o.v.eの楽曲も本作では劇中の携帯電話の着メロ以外で使用されていない。
一部シーンが映画Third Stageとリンクしている。
頭文字D to the Next Stage 〜プロジェクトDへ向けて〜(2004年)
レンタル専用作品(後にDVD-BOX等に収録)。
Third Stageまでのバトルを拓海と樹が回想して振り返る総集編とFourth Stageの制作風景を収録。
土屋圭市も出演している。
頭文字D Extra Stage 2(2008年)
アニメ制作:A.C.G.T.
原作外伝『旅立ちのグリーン』を多少のオリジナル要素を加えアニメ化。
真子と池谷を主役に、二人の恋路の末路を描く。
本作はTVアニメ版放送開始から10周年を記念し制作された。
ドラマCD
頭文字DのドラマCDはアニメ化後にアニメ版と連動する形で三作品製作されているが、アニメ化以前の1997年に講談社から原作1巻に相当する物語をほぼ忠実に再現した『マガジンCDブック 頭文字D』が発売。
本作は頭文字Dのメディア展開で初めて声が付いた作品であるが、オービー企画が製作に関与し劇中BGMも後のアニメ版と同じ勝又隆一氏が担当(一部はアニメ版にも使用された)、そしてメインキャストも茂木なつきとベンツのパパ以外全員アニメ版へ続投するなど、あらゆる意味でTVアニメ版のプロトタイプと言える作品。
ゲーム
これまでに何度もゲーム化がなされている。また、バンダイナムコのスマホのレースゲーム「ドリフトスピリッツ」とコラボも行われたこともある。
頭文字D_ARCADE_STAGEシリーズ
セガ制作のアーケードレースゲーム。詳細はそちらを参考。
ARCADE STAGEシリーズ以外
初期の三作品はいずれも講談社から発売され、ストーリーもエンペラー登場直後までになっている。
セガサターン版『頭文字D』(1997年)
開発:元気
最初に発売された頭文字Dのゲーム。
キャラクターグラフィックはアニメーションで描かれているが崩壊気味であり、車のグラフィックもとりあえず形で車種が分かる程度。
だが、アニメ版には登場しなかった緒美が登場するという意味では貴重な作品。
プレイステーション版『頭文字D』(1999年)
開発:JAM
登場人物全員が3Dグラフィックで描かれている。
車のグラフィックはやや粗いが先のセガサターン版よりは遊べる内容で、登場車種も原作以外では180SX前期型やCR-X、パパの190Eや悪魔のZ(っぽいS30Z)などバラエティ豊か。
BGMはシャ乱Qメンバーだった「たいせい」が担当した。
ゲームボーイアドバンス版『頭文字D ANOTHER STAGE』(2002年)
開発:サミー
これまで発売された頭文字Dのゲームと異なり、レースの操作はコマンド選択式になっている。
TVアニメ版が放送されてしばらくしてからの作品なのでBGMもユーロビート風になっている。
ニンテンドー3DS版『頭文字D パーフェクトシフト ONLINE』(2014年)
開発:イニス、モノビット(ver 1.03まで)、アスペクト(2nd STAGE以降)
ARCADE STAGEシリーズを展開しているセガから2014年にニンテンドー3DSで配信された基本無料のオンライン専用ゲーム(オフラインモードでもプレイ可能だがプレイできる範囲が大幅に制限されるがオンラインサービス終了に際し利用可能な範囲が増えた)。
デッキという概念が存在しカードをデッキにセットしてバトルするというANOTHER STAGE同様コマンド選択式だがレーススタートの操作やシフト操作は自分で行う方式になっている(スタートはAボタン、シフト操作はLRボタンかタッチ画面で行う。シフトチェンジやスタートの操作以外は自動で行われる)。
ARCADE STAGE同様に実在車種・実在パーツが多数登場しドレスアップもできた。さらに2nd STAGEになってからはキャラクター仕様の車も登場した。また、セブンイレブンとのコラボが開催された際にはセブンイレブンカラーのAE86スプリンタートレノも登場した。
2014年12月に『頭文字D パーフェクトシフト ONLINE 2nd STAGE』に大型アップデートされるも2015年6月サービス終了。5月にニンテンドーeショップからの配信も終了したためアンインストールしなければオフラインでもプレイ可能、またオンラインサービス終了に際しオフラインモード限定で使用可能なボンネットに頭文字D パーフェクトシフト ONLINEのロゴが描かれたAE86スプリンタートレノ オフライン仕様が追加された。
主な登場人物とその搭乗車種
群馬県
アルテッツァの二人組
- 原作外伝『ウエストゲート』でのドライバー(アルテッツァ(SXE10))
- OVA『旅立ちのグリーン』でのドライバー(同上)
その他
- ベンツの彼氏=白石父=パパ(メルセデス・ベンツ 190E)
- 赤城山の走り屋カップル(シルビア(S13))
- 『ウエストゲート2』の青髭男(ポルシェ911(964型))
- m.o.v.e※ドライバーはmotsu(アンフィニRX-7 Type R(FD3S I型)※『雷鳴-out of kontrol-』のMVでのコラボレーション。
栃木県
エンペラー
- 須藤京一(ランサーGSRエボリューションIII(CE9A))
- 岩城清次(ランサーRSエボリューションIV(CN9A))
埼玉県
秋山延彦のチーム(名前不明)/埼玉北西エリア連合チーム/秋山兄妹
土坂のランエボチーム(名前不明)
- 会川=ランエボVの男(ランサーRSエボリューションV(CP9A))
- 一条=ランエボVIの男(ランサーGSRエボリューションVI T.M.E(CP9A))
- 元暴走族リーダー※啓介の元舎弟(シーマ(Y33)/セルシオ(UCF10)※TVアニメ版)
ニセプロジェクトD
- ニセ拓海(スプリンタートレノ(AE86後期))
- ニセ啓介(アンフィニRX-7(FD3S前期))
関連イラスト
関連タグ
作品関連
頭文字D_ARCADE_STAGE…本作を題材としたアーケードゲームシリーズ。
榛名山…本作の秋名山のモデル
バリバリ伝説…しげの先生が頭文字D以前に週刊少年マガジンで描いていたバイク漫画で、先生の代表作の一つ。
MFゴースト…しげの先生の現連載作。拓海などが登場し、本作の後日談でもある。
湾岸ミッドナイト…楠みちはる原作の公道レース漫画。頭文字Dとは掲載誌が同じで連載期間が被っていた事もあり度々比較対象として挙がる。ゲーム等では公式コラボを果たした。
グランツーリスモ…レースゲーム。3以降の作品でしげの先生仕様のトレノが登場する。
東方Project…ARCADE STAGEシリーズで公式コラボした。東方シリーズのキャラクターの描かれたステッカー(痛車)や、ゲームBGMをユーロビート調にアレンジした楽曲も実装している。また、THE ARCADEでは東方ユーロビートアレンジでも有名なA-One及びSound_Holicも楽曲を提供している。
関連用語
パロディ関連
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