強化人間
きょうかにんげん
概要(創作物)
主に何らかの目的のため、必要とされる能力を極めて高くするべく何らかの改造を施した人間を指す。
身体の一部の機械化が一般的だが、薬剤による強化やナノマシン(※)を使って改造するなどの方法もある。
ただ現実に、特に侵襲型の機械取り付けによる強化を行おうとすると、大抵身体の他の部位がが耐えられない結果を招くはめになる(と空想科学読本にもツッコまれている他、原作版攻殻機動隊でも部分サイボーグの弊害について解説している)。
※・・・1万分の1mm~1000万分の1mm(100nm~0.1nm)サイズの機械装置。その名の通りナノメートル台の寸法の機械装置。
暗示や投薬施術による人為的な精神操作、記憶操作、あらゆる内科的、外科的手術により強制的にニュータイプ能力を引き出された人間を指す。
場合によっては、人工心肺などの移植によって身体能力を機械的に強化した、一種のサイボーグに近い存在になった者(ロザミア・バダム、カロッゾ・ロナなど)もいる。
その強引な精神操作の代償として、多くの場合精神の平衡を著しく欠き、最悪の場合は精神崩壊や死に至る場合もある。しかし時代を経るに連れて技術の進歩が見られ、逆に精神的に研ぎ澄まされたり冷静になる傾向が増加していった。事実、クロスボーン・バンガード総司令であるカロッゾ・ロナは軍団規模の作戦立案、統括指揮や政治判断が可能なまでになっており、むしろ普通の人間よりも統制された精神状態を維持していた。だが、感情の抑制や精神の統制が完成され過ぎているがゆえに、今度は人間的な情動や良心、他者に対する共感性を欠落させたソシオパス的な傾向を持つ者が目立つようになり、これはニュータイプの本質が「高い交感能力による他者との協調」であるのを考えると皮肉そのものの結果であった。
宇宙世紀0200年代になると、技術発展によってニュータイプ能力を持たない一般パイロットでも扱えるサイコミュ兵装が開発され、強化人間技術も相対的に優位性を失い、時代の徒花として消失していった。
「強化人間」の語は基本的に宇宙世紀を題材にした作品群にしか登場しないが、アナザーガンダムにおいても、『機動武闘伝Gガンダム』における「DG細胞」や「バーサーカーシステム」、『新機動戦記ガンダムW』における「ゼロシステム」、『機動新世紀ガンダムX』における「人工ニュータイプ」や「Nシステム(外装式人体強化システム)」、『機動戦士ガンダムSEEDシリーズ』における投薬等によって強化された「ブーステッドマン」や「エクステンデッド」、『機動戦士ガンダム00』における「超兵」や「脳改造ナノマシン錠剤」、『機動戦士ガンダムAGE』における脳細胞活性ヘルメット「ミューセル」、『ガンダムビルドファイターズ』における「エンボディシステム」、『機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ』の「阿頼耶識システム」、『機動戦士ガンダム水星の魔女』の「GUNDフォーマット」など、類似の仕掛けはほぼ全シリーズに渡って登場している。
『存在理由が戦闘のみ』の性質上、戦闘において悲惨な最期を遂げるのがお約束だったが、最近では死なずに救われる展開も増えてきている。
宇宙世紀における強化人間一覧
※:シリーズとして展開された順ではなく、時系列順
機動戦士ガンダムバトルオペレーション
リリス・エイデン※1 | ノア・カーペンター※2 | アキン・ヴァンデンベルグ※2 |
※1:上記のクロエと同じくニュータイプ能力は持たないが、彼女の新兵時代の様子(=コロニー落としによる家族との死別や、それによるジオン軍への怒りや憎しみを、上官からひたすら煽られ滾らさられる)や、本編の狂気寸前のジオンへの殺意剥き出しの言動は、Zガンダム時代の強化人間そのもの。
※2ポジション的には上記のクロエと同様『ペイルライダー計画』の関係者である。どちらも「ニュータイプの素養がある」「強化人間である」とも明言されていないが、ペイルライダー計画の関係者である上に、ノアは『自身の象徴たる白色が汚される』、アキンは『叱責される恐怖心』をスイッチにリリス・エイデン以上の狂暴性を表出させる(特に後者は『実年齢以下の言動が目立つ』『者物を弄び破壊するのを楽しむ』など、初期の強化人間そのものの破綻ぶりが常態化している)ため、何らかの処置が施されている可能性は否定できない。
機動戦士ガンダムサンダーボルト
詳細はサイコ・ザク、リユース・P・デバイス及びパーフェクトガンダムを参照。
※1:前述の『存在理由が戦闘のみ』の点で見れば強化人間に相当するポジションである為、ここに記述。
※2:他の宇宙世紀作品と同じく強化改造を施されたニュータイプ。レヴァンは強化時に受けた脳の損傷で余命1年のところをRPDで延命措置を施している。
機動戦士ガンダムΖΖ
エルピー・プル※1 | プルツー | キャラ・スーン |
エルピー・プル立絵1byラルクア | プルツーbyました | 【ZZ ガンダム】キャラ・スーンbyMark002 |
マシュマー・セロ | イリア・パゾム※2 | |
ハマーンさまぁぁぁあん!!by月わに | 【ZZ ガンダム】イリア・パゾムbyMark002 |
※1:公式小説版では強化人間とする設定となっている
※2:ニュータイプ将校だが「強化人間である」説も
機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
※4:従来の強化人間とは異なり、表向きは「関連技術の成熟」扱いになっている。彼の強化コンセプトはシャアの理念である「宇宙世紀を生きる新人類であるニュータイプに誰でもなれる」発言を証明するために強化された実験的な強化人間。 強化したのはローレン・ナカモトだがシャアの強い意向により、従来のやり方は止めさせている。精神が安定しているのはそのため。
アナザーガンダムにおける強化人間的設定のあるキャラクター一覧
機動武闘伝Gガンダム
※DG細胞の影響が大きい者
機動戦士ガンダムSEEDシリーズ
スティング・オークレー | アウル・ニーダ | ステラ・ルーシェ |
スーパーヒロイン大戦 スティング 顔グラフィックbyお湯の香り(レズ推し☆レズ萌え | BANG!!byOUIRI | ステラ・ルーシェby如月 |
ファンフェルト・リア・リンゼイ※ | ||
No Imagebysnow |
※ΔASTRAYの登場キャラクター。ファントムペインに移籍しデストロイガンダム搭乗の前後で、言動が大きく豹変している実態から、処置が施された可能性がある。
機動戦士ガンダム00
※脳改造ナノマシン錠剤によるもの
機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ
※:阿頼耶識システムによるもの。ここにはMS搭乗者のみ記載するが、CGS時代から在籍する鉄華団の子供とブルワーズの少年兵は全員、阿頼耶識システムを埋め込まれている。
※1:阿頼耶識システムType-Eを使用する為のコネクタを取り外した為、本編最終回で車椅子に乗っていたと本編終了後に解説された。
機動戦士ガンダム水星の魔女
※:GUNDフォーマットによるもの。作中では強化人士と呼ばれている。また、クローンではない赤の他人に整形を施した上でオリジナルの名前で生活する、いわば「影武者」も兼ねている。
『SDガンダムG GENERATION』シリーズにおける強化人間一覧
※:初登場したGジェネレーションFの頃は(強化人間はレベルアップしない、強化するかは任意とするゲームシステムの都合などから)普通の人間扱いだったが、台詞などが強化人間の雰囲気を感じさせるものとなっている
アーマード・コアシリーズにおける強化人間
主に、ACを初めとする兵器の操縦技術を向上させるべく、人工筋肉の移植や神経の光ファイバー化など改造が施された一種のサイボーグ兵士。
アリーナでは一部を除いた上位ランカーの殆どが強化人間となっている。
彼らがACに搭乗すると、使用時に構え動作を必要とする武装を構え無しで発射可能としたり、ブースターの出力や脚部旋回性能などの機体性能を向上させるなど、様々な追加機能を得る。
別名「プラス」とも呼ばれ、主にムラクモ・ミレニアムによって開発が進められてきたが、実験体は精神的に不安定になる者も多く、開発初期段階では実験体がACを奪い脱走するなどの騒動が起きている。ワタシハナニカサレタヨウダ
AC4、ACfAでは主人公を含む主要キャラクター達はリンクスと呼ばれ、AMSという神経接続装置でネクストACを操縦しており、こちらもある意味では強化人間と言えなくはない(設定的には前述のガンダムシリーズの阿頼耶識システムに近い)。ただしAMSによる操縦は先天的な適性によって機体挙動が左右されるので、適性がない場合はシステムの酷使で徐々に身体が蝕まれていくリスクがある。
ACVのゾディアックはデザインドと呼ばれるプロジェクトにより強化が施されたミグラントで、肉体のほぼ全てを機械化し脳組織の大半をコンピュータに置き換えられた例も存在している。
ACVDの死神部隊も強化人間に類する存在だが、こちらは意識・思考を完全に電子化しており、人格の操作による元の意識だけでなく肉体をも失っている。
第1〜第7世代はコーラルを使用しているが、アイビスの火によりコーラルが焼失した第8世代以降は代替技術を用いた強化人間が多数生み出され、技術安定までに多くの者が犠牲になったという。
プレイヤーの強化人間
⇒光波も参照。
初代シリーズ、2では、修理費や弾薬費などで負債を重ねた末、プレイヤーが人体実験の被験体として売られる形で強化人間になる。手術は負債を重ねる度に何度も施され、その度にさまざまな特殊機能が付加されていく。手術前に物騒な会話を聞かされるが、実際には確実に手術は成功するので安心。一種の初心者救済施策である。
ゲーム上のデメリットとしては、今までのミッション攻略実績がリセットされ、またプレイヤー名が「強化人間***号」などのナンバーになってしまう(*部分にランダムで数字が入る。名前は裏ワザで戻せる)。また一度強化人間にされてしまうと二度と戻れないので、強化を受けていない真人間とイーブンな条件で対戦が難しくなってしまう。
初代系列作品のACPPACMOA、2の続編のAC2AAでは負債による手術イベントはなく、データのコンバートでのみ強化人間化したデータが持ち越される。
AC3、AC3SLでは、クリア後の隠し要素オプションパーツ「OP-INTENSIFY」として登場。
装備した状態でさまざまな条件を満たすと、各種機能が解禁されていく。オプションパーツなので、付け外しが容易な反面、初心者救済の側面はなくなった(特に3からのデータ持ち越しなしでの3SLでの入手は至難の業)。また能力的には同等ながら、厳密には「強化人間」ではない。
欠点としてOP-INTENSIFYはコアのオプションスロットを全て専有してしまう為、他のオプションの恩恵を受ける事が出来なくなる。尚、アリーナに登場するCPUはその限りではなく、他のオプションも併用してくる。
『OPパーツによる恩恵』の形だからか、過去作品と比べて強化人間に対する陰惨なイメージが低く、中には「生身の状態でも男に勝ちたい」との考えから施術を受けた女性レイヴンがいる。
ACNX以降は、NPC専用のチート能力となり、正規の手段でプレイヤーが使用できなくなった。それに伴ってかどうかはともかく、「強化人間」の語も設定からなくなった(Nシリーズで強化人間と明言されているのは、NBのスタークスの文字設定のみ。スタークス自身はゲームシステム上では真人間となっている)。
ナイトウィザードにおける強化人間
エミュレイターと戦うために肉体・精神を生体・呪術的に改造強化されたウィザード。
英名はKILLING MACHINE。
PCが選択可能なクラスの一つであり、物理攻撃、特に射撃戦寄りなクラスとなっている。
定期的な調整を必要とする設定があるが、あくまで設定上のものであってプレイヤーを縛る欠点ではない。
その他の作品における例
- アサルトリリィ…G.E.H.E.N.A.によってリリィとしての能力を人為的に強化された「ブーステッドリリィ」が登場。安藤鶴紗や佐々木藍などが該当する。
- アリス・ギア・アイギス…ニーナ・カリーニナほか、ごく一部のキャラクターには能力強化を目的とした改造が行われていることが示唆されている。
- サガフロンティア2…偽ギュスターヴの腹心としてアニマを注入された強化人間、エーデルリッターが登場。
- 装甲騎兵ボトムズ…パーフェクトソルジャーを参照。
- ブギーポップは笑わない
- BORUTO…殻のメンバーはほぼ全員に人体改造が施されているとされる。
- 文豪ストレイドッグス…全員が異能技士による改造手術を施された上に、持った武器の性能を100倍にする、自身の体の微粒子化、刀剣の光速伸長・屈曲、自他の年齢操作、周囲にある金属の操作と、それぞれ強力な異能力を持つ猟犬部隊が登場。
特定キャラクターの設定でのみ強化人間の名称が登場するもの
- 真説ボボボーボ・ボーボボ…ポコミ
- ストリートファイターEXシリーズ…シャドウガイスト
- 鉄拳(「7」以降)…ギガース
- ストロバヤ…ストライダー飛竜
関連タグ
SF / オーバーテクノロジー
機動戦士ガンダム / アーマード・コア / ナイトウィザード / 装甲騎兵ボトムズ
改造人間 / サイボーグ / パーフェクトソルジャー
サイコ・ザク:コクピットに搭載されている「リユース・サイコ・デバイス」は、元々は戦争で手足を失った兵士を再び戦線に復帰させるのが目的で作られた操縦支援システムだったが、ある宗教組織に技術が流出し、そこに所属するパイロットが(最初の1人を除いて)自ら志願して残った手足を全て切り、両手足とも義手義足となったMSパイロットが32人も現れた。前述の『存在理由が戦闘のみ』の点で見れば強化人間に相当するポジションで、これを操縦して敗北したパイロットは何れも戦死している。