ルールー(プリキュア)
るーるー
アニメ『HUGっと!プリキュア』の敵キャラクターで、クライアス社の社員の一人。
公式サイトによると所属は「あざばぶ支社」で役職は「アルバイト」。
淡い紫色の髪と、濃い紫色の常に虚ろな瞳が特徴的で、感情は希薄、表情も無機質な印象を与える。
話し方は事務的、というよりも機械的。言葉遣い自体は中性口調で、会話では基本的に敬語を使用する。 一人称は「わたし」、二人称は「あなた」。呼称はチャラリートを「係長」、パップルを「課長」「パップル様」と役職名または敬称つきで呼び、はなたちプリキュアは「キュア○○」と変身名(面と向かってはファーストネームを呼び捨て)で呼んでいる。
ただし、チャラリートが組織を去った後は彼を呼び捨てにしていた。
役職的にはクライアス社では一番の下っ端だが、OPアニメでのクライアス社メンバー集合シーンでは一番目立っており、当初から重要キャラであることが匂わされていた。 東映アニメーション公式サイトにおけるクライアス社キャラクター紹介ページの並び順も、ルールーが最初となっている(例年のパターンなら登場順=並び順になるので、第1話にて出撃したチャラリートが最初になるはず)。
髪は普段三つ編みのアップ髪にして結い上げており、頭頂部には猫耳風のシニヨンがある。黒のカチューシャを着けており、両耳には銀色のアクセサリーを装着している(ちなみにカチューシャには時計機能が付属している)。
衣装は黒と紫を基調としており、襟の詰まったノースリーブ風の服にタイトスカートを穿いてマントを羽織り、ガーターベルトを用いた黒のブーツを履いている。背丈は現代日本の女子中学生と比べて高めである。
社には非常に従順で、冷静かつ理知的。与えられた仕事は速やかに遂行し、基本的には断らない。 そして常に無表情で、感情を表に出すことは無い…と言うよりほぼ無感情。パップルに理解を求められた恋愛感情や、人の情に動かされるプリキュア達のことを「理解不能」としており、物事を「効率」「非効率」でしか考えることができない。
その能力や断らない性格から、上司にあたる係長のチャラリートや課長のパップルからは絶大な信頼を得ており、特にチャラリートからは他の社員に報告していない新たなプリキュア出現のことを教えられて相談を受けたりしていた。しかし実のところ彼らから残業をさせられたり出撃を代理で頼まれたりと、パシリ同然に使われているところもある様子。
その姿は上司に仕事を押しつけられる部下や新人そのものだが、ルールー自身はあくまでクライアス社の為に行動しており、会社の利益にならないと判断すれば上司にも平然と逆らっている。
また、明確な任務として命じられない限りは、非効率的な行為に付き合わされることに否定的な見解を「自分の意見」としてはっきり示し、それをやるべき理由が自分の中で理解できない限りは受け入れない。このことはルールーが人間的な感情が理解できない機械的な印象に繋がっているが、実のところこれは彼女にもちゃんと「好き嫌い」がある一面が見える部分でもある。
参考までに、第40話にてルールーのAIは開発者の意図ではなく自己判断ベースでの学習を想定していることが明かされている。
第16話でメカバレして人間ではないことが分かり、第17話でクライアス社製のアンドロイド『RUR-9500』であることが明かされた。「ルールー」の名は社から付けられた通称で、本名は「ルールー・アムール」である。 そして、ルールーが作られた本来の目的は未来を奪われて時間が止められた世界の人間達を管理すること。
これらの事実ははな達にとっては衝撃となったが視聴者目線では登場当初からバレバレで、Pixivでは第16話以前から「ルールー=ロボ」ネタも当たり前のように投稿されていた。
特にルールーが本格的に行動を始める第13話以降は彼女が人間ではないことを示す描写が何度もあり、第13話ではなに「わたしの正体を知ってもあなたは…」と呟いている他、第14話では分析の際に「人間の生態には…」と続ける台詞がある。また、第13話ではパップルがルールーを「心が無い機械人形」とそのまんまの揶揄をしていた。
第17話でのハリハム・ハリーの発言によると、クライアス社はルールーとは別タイプのアンドロイドも製造しているらしい。
行動規範
ルールーのアンドロイドとしての行動規範は非常にシンプルであり、「マスターの命令に従うこと」である。 いくばくかの描写を見る限り、彼女は会社という組織に仕えているのではなく、「マスター」と呼ばれる個人に仕えていることがわかる。
第7話でパップルが自分の仕事をルールーに押し付けた時は、仕事のあり方として間違っていることを前提にしながらも「マスターが望んでいるならば(やりましょう)」と確認をとろうとしている。このことから「マスター」の存在は会社よりも上位におかれていることがわかる。
第13話からルールーは自分の本名である「ルールー・アムール」として野乃はなの家庭にホームステイという形で潜入してスパイ活動をしているが、これは会社の業務ではなく有給休暇をとって自主的に行っていた。 そしてルールーはホームステイ生活での行動を、第三者に語りかけるような日報形式でまとめていた。 ルールーは「会社への報告は潜入任務を終わらせてから行う」と後に述べていたため、「マスター」への報告の方は逐一行っていたのかもしれない。
ルールーの製作者はドクター・トラウムであることが第40話の回想で確定したが、本編中で呼ばれた「マスター」と同一人物かどうかは実のところ不明。 たしかに第40話の回想シーンで彼を「マスター」と呼んではいたが、その回想においてトラウムはルールーから離れることを決意して彼女の記憶を消したことが判明している。本編中で呼ばれた「マスター」がトラウムならば、ルールーとトラウムはずっと繋がりがあったことになり、トラウムの「ルールーから離れた」という言葉と大きく矛盾する。なお、ルールーは第17話でリストルから記憶調整を受けて「クライアス社の機密」に関する情報を消去されている。そしてそれを契機に、ルールーは「マスター」のことを全く口にしなくなった。明言されている訳ではないが、「マスター」が機密情報につながっていると考えるのが自然だろう。であれば、本編中の「マスター」とは本物の社長の可能性が高そうである(社長は自分の正体を大部分の社員に隠していて、影武者を用意していた)。
トラウムに記憶を消去されたルールーが、トラウムの友人であった社長に預けられて再教育されていたといったところだろうか?
主に確率計算・データ解析等の情報分析を得意とする。 そのスキルは大変優秀で、第4話にてチャラリートのわずかな情報から「新たなプリキュアの攻略法」をインストールしたデータを作製、それを元に発注されたオシマイダーはこの回の戦闘でプリキュア達を窮地に追い込んでいた。 出撃時はUFO型戦闘機に乗り込み、内部には分析用メカやモニターが搭載され、戦場でも即時情報解析ができる造りになっている。 第7話の初出撃時の戦闘ではプリキュア達の特徴と弱点を分析し、それを基に作り出したオシマイダーでキュアエールとキュアエトワールをダウンさせピンチに追い詰めた。
オシマイダーの発注プロセスは、電脳空間を思わせる固有結界で(この際一瞬電子風の線が素肌に走る)、ネガティブウェーブを照射してトゲパワワを抽出した後、某音ゲーのようなパネルを踏み、タップダンスを踊って、出したデータを半透明のモニター状にして発注するというもの。全体的に近未来感が押し出されており、異様に気合いの入ったバンクが視聴者間で話題になった。このバンクが披露されたのは作中たったの2回(第7話、第14話)と非常にレアである。
オシマイダーの方もルールーが事前に分析したデータを元に発注しているため強力だが、あくまで過去のデータを基準に強化しているため応用が効かず、想定外の出来事が起きると途端に劣勢になる弱点がある。前述の第7話でも、戦闘力が最も低いと考えていたキュアアンジュがパワーアップしたことで敗北を喫した。
もちろん頭脳も身体能力も常人とは比べものにならず、教科書やテキストを瞬時に丸暗記する頭脳や、テニスボールを粉砕し、パンチで校内の柱を半壊させるようなパワーを有している。
センサーからは視認したものの様々な情報(大きさ・重量・熱量・内部構造・構成素材など、対象が生物ならばそれに加えて心拍数や発汗量などのバイオリズム、アスパワワの内包量など)を探知することが可能。その際はルールーの視界内にHUDとしてグラフやステータスが表示される。
特殊能力として、立体映像で光のキーボードを出現させ、それを用いて近況報告レポートを作成する芸当も披露したり、指先からレーザーを発して対象を切断したり(これは工作機械としての機能であり戦闘では使用されない)、環境に応じて身体の温度を調節したりできる。
また、第12話では自分の眼から明滅する光を放ち相手に視認させることで脳に干渉して記憶を改竄するという能力を使用している。このあたりは「人類管理用アンドロイド」としての面目躍如と言えるだろうか。
ただ、元々が戦闘用ではないため頑健には造られておらず、強い衝撃を受けるとショートが発生し、第16話では光線の直撃で機能停止してしまっている。とはいえ、第41話でショート発生から暫くして他者が触れても感電しなかったあたり、前述の光線の直撃程の著しいダメージでない限りは自己修復機能が働く模様。
しかしそういったシリアスな能力の他に、カチューシャに時計が表示され音声アラームが流れる機能があったり(なぜ時計はそんな位置に)、プリキュア分析モニターには「けっこうプリキュア」と表示されるなどユニークな部分もある。 第39話でルールーの制作者がドクター・トラウムだと明言されたため、彼の性格からすればこういうおふざけも納得できるだろう。
パワードスーツ
第17話でクライアス社が開発した新型パワードスーツを着用した際は、スーツに搭載されている高エネルギーレーザーやミサイルによる攻撃のほか、スーツを破壊された後は竜巻状のバリアを展開したり腕を重砲に変形させて攻撃するなどの能力を見せていた(ただしその辺りは、操縦のために着用していたパイロットスーツの付属機能の可能性あり)。
人間の真似
このように高度な性能を持つルールーだが、最も特筆すべきは人間を完璧に演じられる擬装機能である。
外見や肌感触は人間と全く変わらず、第13話ではなにハグされた時も格段怪しまれなかったことからすると、体温も人間同等に調節されている模様。さらには人間と同じ食物を摂取したり、涙を流したり、プール等の水に入れたり、痛みを感じたりできるので、第18話のように自ら内部構造を披露でもしなければアンドロイドと発覚する心配はほぼ皆無(上記の人間離れした性能から怪しまれる可能性は十分にあるが)。 但し、機械の身体故に体内の金属成分は金属探知機に引っかかってしまう。
ハリーがこのタイプの存在を知らなかったことからすると、クライアス社においても最新鋭機種のようである。
前述の通り人間同様の食物摂取が可能だが、それをエネルギー源として利用できるのかは不明。 味覚センサーは人間並のレベルで完備されているが、第13話で野乃家の食卓につくまで「美味しい」という感覚を実際に経験した事がなく、それを初めて知った時には強い衝撃を受けていた。 また、アンドロイドをはじめとする機械系キャラクターに多い自重の大きさの問題については、第24話にてプールでの浮き具に多くの人間と一緒に乗っても沈まなかったり、第36話で空飛ぶホウキに同乗した際も高度の維持に支障が出なかったりしたあたり、人間とほぼ同じ自重である模様。
チャラリート係長の部下時代(第1話~第5話)
第3話にて、今までの報告を怠っていたチャラリートに「上層部から報告書の催促です。迅速かつ速やかな提出をお願いします」と催促に向かう。当のチャラリートからは新たな2人のプリキュアの出現に焦っていると主張されるも、「不測の事態、より迅速かつ速やかな報告が必要です」と理知的な正論で応対。
チャラリートは内心「自分が新しいプリキュアの新しいミライクリスタルを奪えば手柄になる」と考えており、会社に報告されると自分以外の誰かが新しいプリキュアを倒してしまうことを恐れ、「仲間を出し抜きたいからこの事は黙っていて」と頼み込む。都合のいい願いだが、ルールーは従順に受け入れ、この時は上層部に報告しなかった。 チャラリートからは「さっすがルールーちゃん、持つべきものは可愛いバイト」と感謝され、アルバイトであることが作中で初めて明言される。 また、ルールーはこの時に「ミライクリスタル・ホワイト」のヒントが新たなプリキュアの元にある確率を割り出している。結果は95%(しかし「新たなプリキュア」である野乃はな達自身は「ミライクリスタル・ホワイト」が自分の近くにあるなんて思いもしていなかった)。
第4話ではチャラリートからの依頼で「新たなプリキュア」の攻略データを作成し、それを詰め込んだストレージデバイスを彼に提供する。これにあたって残業までさせられていた。「新たなプリキュア」のことは会社へ報告していないので、もちろん業務扱いではなく上司の都合によるサービス残業ということになるが、チャラリートは「ありがとさんで〜す」とヘラヘラするだけ。 なお、同話にてこのデータをインストールされたオシマイダーは、キュアアンジュのハートフェザーをバットによる打撃で打ち破り、プリキュア達を強力なパワーで窮地に追い込んでおり、バイトでありながら係長より有能であることを知らしめた。
第5話では前話で自分が作った攻略データをインストールしたオシマイダーが敗北したことで、チャラリートが新たなプリキュア出現の報告を怠っていたことをリストル等の上層部に報告する(このまま自分とチャラリートだけでは、新しいプリキュアに対応できないと判断したからだと思われる)。 窮地に立たされたチャラリートはルールーを裏切り者のように睨むが、「組織運営において報告、連絡、相談は重要。罰せられるのは当然の事」としれっと発言。正論を言われたチャラリートは苦い顔をするだけでまともに言い返せず、その後自ら最後のチャンスを懇願する事となる。 相手が上司であろうと引け目も一切の情もなく、ルールーは事務的にクライアス社を優先していることがよく解るシーンである。
パップル課長の部下時代(第6話~第12話)
第6話では前話で「最後のチャンス」を与えられて出撃したチャラリートが敗北したことを受け、自分の机が無くなっていて慌てふためくチャラリートに「机は倉庫に移動済みです」と事務的に冷たい一言。相変わらずの無表情で彼の左遷部屋行きを示す。 これ以降は、クライアス社の課長にあたるパップルの部下として行動するようになる。
第7話ではデスクワークの最中、「今日って暇だったりする?」と上司になったパップルから代理出撃を依頼される。彼女曰くシーカレに誘われたのだとか。 聞き慣れぬ「シーカレ」という言葉に「登録情報の無い言葉です」と反応し、「仕事も大切だけど、やっぱラヴも大事じゃない? そのへん、同じ女子ならわかるでしょう?」と問いかけられるも、返答は「ラヴ… 申し訳ありません。(恋愛感情は)理解不能です」と返答。 恋愛感情への理解が乏しいことが発覚し、これを受けたパップルは「あら、アンタには(恋愛沙汰は)まだ早すぎたのかしら?」と返している(パップルはルールーの正体を知っている上での発言)。
仕方なくパップルから依頼された出撃を承諾し、プリキュアの排除確率を即座に分析。成功確率は99%。そして戦闘機に乗り込んで出撃し、発注したオシマイダーでキュアエール達3人を圧倒した。
プリキュア達のデータは既に分析済みだった。この際淡々と語られた分析は――
「キュアエール、あなたの動きは直線的で読みやすい。キュアエトワール、あなたの身体能力は群を抜いている。だけど…思いがけない出来事に対して非常に脆い」
「そしてキュアアンジュ、あなたの戦闘能力は最も低く…得意なバリアもわたしのオシマイダーで破壊可能」
排除完了と思われるも、成長したアンジュはハートフェザーを攻撃に転用して反撃。確率上は1%であった敗北を喫する。 なお、この回の出撃では終始戦闘機に乗って指示を出していたので、はな達プリキュアとは出撃した社員の中で唯一顔を直接合わせていない。
第10話ではデータに無いホワイト以外のミライクリスタルが5つ(ピンク・ブルー・イエロー・ネイビー・オレンジ)出現していることを分析し、ミライクリスタルはアスパワワの結晶である故、アスパワワそのものも著しく増加するであろうという予測を立てる。
第11話では嘗て上司だったチャラリートがトゲパワワを注入され、怪物化する様を傍観する。やはりというか、温情めいたものは彼女の中に無かった模様。 その後はパップルの作戦に同行し、彼女につき従っていた。 なお、はな達は終始オシマイダー化したチャラリートの相手に集中していたため、パップルとルールーがいたことには気づいておらず今回も顔は合わせていない。 そして、生み出された剣を拒否しメロディソードの"応援"でチャラリートを浄化したプリキュアに、いつも通りの無表情で呟く。
「プリキュア、理解不能…」
第12話ではパップルが敗退続きの中、メロディソードの出現が想定外であること、以降アスパワワが増加しトゲパワワが減少していることを報告し、結果的には肩身が狭いパップルを擁護することになった。 パップルの出撃後「より多くのデータが必要」と考えたルールーは、会社のデータベースにアクセスして1人で情報分析を開始する。全てが想定外なプリキュア、特にメロディソードを生み出したキュアエールに注目し、今までのプリキュア出現場所からキュアエールの変身者の生活領域を分析し出す。(つまり、ルールーはプリキュアの正体をこの時点まで掴んでいなかったことになり、チャラリートは最後まで情報を共有しないまま退職した様子) 。
翌朝、ルールーは単独で野乃家に侵入。台所で料理を作っていたすみれに記憶操作を施し、はなが帰宅した時には、「すみれの知り合いの娘でホームステイに来た留学生『ルールー・アムール』」として潜り込んでいた。 はなとルールー、両者の直接的な初対面。対外的な笑顔を浮かべ彼女は言う、「よろしくお願いします。野乃はなさん」と。 この運命的な出逢いから彼女は茨の道を歩み始める…。
プリキュアへの潜入任務(第13話~第16話)
第13話では前回から続きはなに対して「会ったことありますよね、はなさん」と挨拶し、「知り合いの娘さん」と紹介されているはなは「ルールーと会ったことがあってもおかしくはない」と疑問には持たず、ルールーとはなとの嚙み合わない共同生活が始まった。 最もルールー本人もはな達と直接顔を合わせていないので、どちらにせよ会ったことはなく、ルールーがクライアス社の社員だとプリキュア側が気づく訳もないのである。
ラヴェニール学園へ転校手続きを終え、はなと同じクラスに編入される。容姿端麗、勉強もスポーツも常人離れしたルールーは学園の生徒たちの話題の的になる。 しかし、当のルールーはあくまでプリキュアの強さの秘密を探るための潜入活動が目的のため、近づいてくる生徒達にはまるで興味を示さない。
そんなルールーを歓迎しようと、はなはクラスメイト達も自宅に呼んでサプライズで歓迎パーティーを開いたが、ハリーとはぐたんの二人羽織のおでん芸に「大人が未成熟な赤ちゃんに食事を手伝わせるのは無駄が多い」とマジレス、パーティーの手巻き寿司を「寿司を不完全な状態で出して食べさせる側に作らせるのは効率が悪い。作り手が最後まで寿司を巻いたほうが時間の短縮になる」と切って捨て、挙句に「そもそも最初に自己紹介の挨拶をした時点で互いの存在は認識できたはず」と歓迎会の意味そのものを否定し、最後は意味がないので失礼しますと与えられた自室に戻っていった。
この態度によって周囲から距離を置かれたが(ルールー本人曰く自分に話し掛ける生徒は以前より80%減ったとのこと)、ルールーは気にする様子もない。 さすがのはなもこれには参ったという感じで、ルールーにどう接すれば良いのかわからずよそよそしくなってしまう。
はなが自分に話しかける回数が減少したことで、ルールーはこれ以上のスパイ活動は無駄だと判断して見切りをつける。「文房具を買いに行く」と嘯いて外出し、普段通りプリキュアの能力を分析した上で倒すべくオシマイダーを暴れさせた。 はなはオシマイダーが現れた方向にルールーが向かったと聞いて、彼女が騒ぎの巻き添えになっている可能性を危惧し、変身しても必死にルールーを探し回っていた。 ルールーはそれが理解できず、エールを孤立させた後、彼女が気を失った隙に静止空間を展開させる。そしてルールー・アムールの姿で現れ「なぜわたしを探しにきたのですか?」と問いただした。 エールは自分の正体がばれたと焦るが、それ以上にルールーが無事だったことを喜ぶ。そして、自分がルールーに気を使い過ぎて壁を作っていたことを謝り、「ルールー、家族になろう!」と大胆な宣言をした。 これからも価値観の違いでぶつかることもあるかもしれないが、なんとかなると楽観的な言葉を口にするエールに、「なんとかなる根拠がない」と相変わらずの調子で返すも、エールは「根拠… うーん…」と暫し悩んで口にする。
「ルールーが好きだから! それじゃ…駄目?」
その言葉にはっとなり、ルールーは今まで経験したことのない痛みを胸の奥に感じる。そして虚ろな瞳には、光が一瞬宿ったのだった。
即座に撤退し静止空間を解除したため、その会話は結局はな=エールには夢だったと解釈され、特に言及されることは無かった。 しかし戦闘終了後は皆の前に姿を現し、中止するつもりであった潜入調査の継続を決定。何事もなかったかのようにはなと一緒に帰宅する。
ルールーの中では何かが確かに変わり始めており、終盤では「美味しい」という表現をはなに教えてもらい、ラストシーンでは既に眠ったはなに「おやすみなさい…」と声を掛け、微かに変化の兆しを見せた(ルールーの思考からすれば非効率的な行動の筈)。
眠りに就く前、ルールーの胸中には確かに「胸の痛み」として奇妙な感覚が疼いており…。
第14話では野乃家であてがわれた自室にて、「人間の生態にはまだ不可解な点も多い」と夜に分析作業を開始、続けて「ほか2名のプリキュアの所在についてはいまだ不明」と発言し、この時点ではさあや、ほまれがプリキュアだとは知らなかったことが発覚する。
翌朝、保育園のお仕事体験に向かうはな、さあや、ほまれに同行する。エプロンを着けて、保育園でさあやの目を盗み彼女の持参したテキストを超スピードで読破。 面倒を見ることになった1歳児達を「かわいいよね、ルールー」とはなに言われて「えっ? はい、かわいいです」と返す。このときの棒読みっぷりから本心から思ってないのは明白。 はぐたん達に頬をつねられ涙目のはなを、大量の折り鶴を作って園児達の気を逸らし結果的に助けた。
テキストで覚えたというルールーだが、テキスト内の栄養学の記載を「浅い」と評価したため、これまで知識に関して対等な相手がいなかったさあやから一方的にライバル視され、ルールーとさあやの園児分析バトルが勃発する。
さあやを珍しく張り合わせ、「やりますわね」「あなたもね」「フフフフ……」「フフフフフ……」と不敵に笑い合うなど、なんだか結構楽しそう。しかも園児を喜ばせるため顔芸までした。 なお、ルールーが笑い声を上げたのはこのシーンが初めて。よもやこんなところで初めての笑い声となるとは…
お昼寝の時間となり、赤ちゃんを寝かしつけたルールーに微かな笑みが浮かぶ。「泣いたり笑ったりする赤ちゃんに何故必死になるのか」とはな達に問うが、答えは「かわいいから」。そしてルールーもきっとそうだと指摘される。
本人は無意識だったが、見てればわかると言われる程その思いは表情に出ていたのだった。それはまるで、心がある人間のように…。
一方でクライアス社としての本分を忘れた訳ではなく、吉見リタと2名の保育士のトゲパワワを発見すると、勤務姿に戻って速やかにオシマイダーを発注。陰から冷徹に戦況を観察し、プリキュアが園児たちの安全を気にするあまり戦いに集中できず追い込まれると、チャンスとすら思って勝利を確信する。 しかし、オシマイダーが保育園の赤ちゃん達を襲撃しようとする様に、ルールーの中の何かが動く。次の瞬間ルールー・アムールの姿に戻り、園児たちを守ってオシマイダーを制止してしまった。 アンジュは何かに気づいた様子を見せたが、ただ園児達のことをルールーに頼み、ルールーは黙って頷いた。 これが元でオシマイダーはプリキュアに浄化され、自身の行いに気づいたのか、職業体験終了後、無邪気に笑うはぐたんを見て戸惑いにも似た表情を見せる。
今話は表情のバリエーションが前回よりも増えてきており、何より自らが生み出したオシマイダーを前に立ちはだかるという、一切の打算や計画性もない行動に出る。その非合理的な行動は、ルールーの中で何かが変わり始めていることの証でもあった。
なお、この戦闘の一部始終はパップルに目撃されている。パップルはやや不満気に去っていったが…
第15話では卵1パック20円という限定品セールのチラシを手に入れた野乃家に、自ら代理で買い物に行くことを申し出て、大感謝されながら初めてのおつかいに赴く事に。一方、当のルールーは「なんで命令もされないのにわたしはこんなことを…」と自分の行動に疑問を感じていた。 買い物の道中で一匹の猫と遭遇し、どうということはなかったがそこに突如キュアえみ〜るを名乗る謎の少女が現れる。ルールーはその名前に「あ……新たなプリキュア!?」と劇中で初めて冷や汗をかくほどの衝撃を受ける。 キュアえみ〜るをHUD機能で分析し、ミライクリスタルの反応はないがアスパワワの量はプリキュア並、「けっこうプリキュア」という判断だった。 判断を思案しつつも、とりあえずは任務を達成するためスーパーに向かうルールーに、安全を守るためとキュアえみ~るがつきまとってくる。これには「この人は何なのですか…」と流石に困惑。
彼女はルールーの安全を守るどころか、運の悪さとドジで自分が色々と危険な目にあうばかり。さらにキュアえみ〜るは通りすがりのいろんな人の手助けを健気にするがこれも失敗ばかり。
失態を自覚して落ち込んでいるキュアえみ〜るに対し、ルールーは「あなたが声をかけた人はみな笑顔になっていました。それがなぜなのかはわかりませんが」と、その行動が結果的に人々に笑顔をもたらしているとあくまで冷静に事実を述べる。 この言葉はキュアえみ〜るを勇気づけ、ルールーを気に入ったキュアえみ〜るは、自分の家に遊びに来ないかと照れながら誘ってきた。 ルールーは彼女が本当にプリキュアの可能性であることを捨てきれなかったため承諾するも、キュアえみ〜るは先に「自分は本当はプリキュアではないのです」として自分の素顔=愛崎えみるの姿を晒した。しかしそれでもルールーはえみるに言いようのない興味を持ち、彼女の家に訪問する。 なお、自己紹介となった際、自分の本名『ルールー・アムール』を美しい名前とえみるに評された際には戸惑いを覚えている。
えみるの自室にてピアノやバイオリンを見つけ「これはなんですか」と尋ね、音楽を奏でる楽器だとえみるが答えると、ルールーは「音楽とは…… 何ですか」と答える。 えみるは一瞬びっくりしたが、それならば最も素晴らしい音楽を聴かせてあげようと、彼女は愛器のギターを取り出しルールーにバラードを聞かせる。そしてえみるは言う。ギターは自由なのだと。
えみるが奏でるギターの旋律と歌声に得体の知れない苦しみを感じ、しかし決して不快ではなく「もっと、聴きたい…」と頬を染めて呟く。これがルールーと音楽との出逢いの瞬間だった。
だがそこにえみるの兄・正人が現れ、ギターなんかよりもっと女の子らしく、愛崎家の令嬢にふさわしい音楽をやるべきと主張。その趣味を全否定する主張に対して、えみるが俯いているところを理路整然ながら食ってかかるように反論する。
「あなたはえみるのマスターなのですか? マスターでないなら命令に従う義務はない筈です」
正人はたじろいで逃げるようにその場を去っていったが、その後もルールーは「なんなのですか、あの人は! あなたは先ほど言いました。ギターは自由なのだと。かっこいいのだと。もっとも愛するものだと。それをあのように否定するなんて…」とふくれっ面で怒り続ける。
そして、えみるが「自分のために怒ってくれてありがとう」と感謝した時になって、ルールーは自分の言動が『怒り』に基づくものだと初めて認識した。
このえみるとのやり取りから見るに、観察対象ということを抜きにしてもルールー個人としてはプリキュアやヒーローそのものに対して嫌悪感を抱いていない模様。『マスターがいるならその存在に従うべきだが、そうでないなら命令を聞く必要はないし命令する理由もない』というのがルールーの持論らしい。 これは逆に考えれば、「マスター」の命令と無関係なことは自由であっても構わない……いや、自由であるべきだということでもある。だがそれはクライアス社にとってはあまり都合が良いことではないのかもしれない。
なお、第40話にてプリキュアと接触する以前と思われるルールーが「マスター」であるドクター・トラウムの教えに反論する場面があるが、当時の彼の思考からして最初に「自分で判断しなさい」と命令したと考えれば決して矛盾していないだろう。
そんな時街にオシマイダーが現れ、えみるは自分も何かできるかもしれないと無茶なことを言って、キュアえみ〜るの衣装で現場に駆けつける。ルールーにとってはえみるが危険な目に遭おうが守る理由はなかったが、「あなたは本物ではないでしょう」と疑問をぶつけるも、えみるは「偽物でも街の危機を放っておけない」と揺るぎない言葉を放ち、ルールーが何も言うことはなかった。
最終的にキュアえみ〜るは逃げ遅れた子供を助けたが、自分の行ったことに今更恐怖を感じ取る。そんなえみるに、ルールーは「わたしも同じことをしました」と返し、保育園での件を思い起こしながら「わたしはなぜ…あんなことを」と呟いた。 その件を知らないえみるはルールーの言葉の意味がわからなかったが、それでも自分と通じ合っているものがあると感じ、さらに感激してルールーの手を取り「ルールー、わたしと一緒にプリキュアになりましょう!」と誘う。
一瞬の戸惑いを垣間見せたが、与えられた『キュアらりるれルールー』なる称号、さらには『えルっと!プリキュア』という締まらないイメージに、ルールーは「お断りします」と即座に拒否。なおもせがむえみるに養豚場の豚を見るような目で「お断りします」と再度拒否するも、えみるは全く意に介せず。その後はな達に関係を問われて「友達なのです!」と称してくるえみるに、ルールーは「他人です」と返し、それをお互い譲らず連呼する漫才めいたやり取りを繰り広げた。
本編を視聴してもらうとわかるが、今回はカオスギャグ回ということを抜きにしても更なる情緒面の成長が見えた。見せる表情も、単なる無表情ではなくなっている。
しかしこの様子はまたもやパップルに見られており…
第16話ではこれまでの戦いにおいて、さあやとほまれもプリキュアだと確信するが、別段干渉しようとはしなかった。 そんなルールーにパップルが校舎内にて接触し、彼女から何をちんたらやっているのかと忠告され、「プリキュアの正体がわかっているならばプリハートを奪えばいい」とアドバイスを受ける。 はな達と過ごしていく中で様々な感情を学び得ていくルールーだが、それは同時にクライアス社に所属する『機械人形』として本来あってはならない不具合だった。 上司からの命令と、それを拒もうとする理解不能な自分自身の中に存在する何かのせめぎ合いに葛藤するも、最終的には任務遂行を優先する。パップルが座る階段の、影へと足を踏み入れて。
ほまれは十倉じゅんなと百井あきとの関係が自分のせいでギクシャクしていることに気を揉んでいた。そんな中、それを不器用に元気付けたハリーに少しときめいて、彼が去っていたところをポーッとしていた。そんなところにいきなり現れ「発汗……瞳孔が開いている。心拍数が上昇、150、151、152、153……」と冷静にバイオリズムを分析。自分の感情を覗かれているような気になったほまれは真っ赤になって逃げ去った。
そして、一人残されたルールーは「輝木ほまれ、集中力67%ダウン。おかげでプリハートを奪えた」と呟くが、「この計画は理に叶っている。正しい選択…」と自分を納得させようとしても、もう彼女の中にはそんな論理では抑えきれないものが溢れていた。 そしてプリハートを奪ったことをパップルに報告するも、回収しようとするパップルには「解析でき次第社に報告する」という建前で渡すことはしなかった。 パップルは「まあいいわ」と語り、あきとじゅんなを素体にしたオシマイダーを暴れさせる。変わり果てた同級生二人にルールーは一瞬動揺(第11話でチャラリートがオシマイダー化された時と比べて、感情がある程度できている事が窺える一幕)。
パップルの目論見通り人数が欠けたプリキュアは大ピンチに陥り追い詰められ、プリハートがなくなり変身できなくったほまれは、傷だらけになっていく仲間の危機に、無茶を承知で生身でオシマイダーに立ち向かおうとする。 変わり果てた2人、正体を知らないとはいえ自分に良くしてくれたプリキュア達を自分が陥れているという事実、そしてほまれの姿が、ルールーの何かを突き動かした。 静観していた彼女は遂に…
「わたしには助けられない。だから……行きなさい! プリキュア!!」
ほまれの前に現れて、かつてないほど強い声をあげプリハートを突き出す形で返却。 その結果ほまれは無事変身を果たしプリキュアは逆転勝利する。しかし、全てが終わりエール達に事情を問い詰められたところに、パップルの攻撃が放たれた。エールを庇うように突き飛ばして何かを告げようとした瞬間、強烈な攻撃が直撃し、全身をショートさせ高温を発しながら機能停止。崩れ落ちたルールーは微動だにせず、「出来損ないの機械人形」と罵られ、パップルに「調整」と称して回収されていってしまう。 これと同時にはな達は、ルールーが敵のスパイかつ機械であることを知ってしまうことになった。
一瞬だけ微笑みらしきものを浮かべた彼女が、切れ切れな映像と化す視界に最後に捉えたのは、突然の出来事に唖然となりながらも、自分のことを見つめてきたエールの姿だった…。
戦闘マシーンにチェンジ、そして……(第17話)
はな達との思い出のデータを消去されたうえ、リストルによって開発中の戦闘用パワードスーツの実験台にされ、不要なメモリーを消去されていく中、ルールーは自分を思い起こした。 本来の役目、時間を奪われた人々の風景、そしてそれを管理していた自分。
「そこには痛みも苦しみも無い。これが正しい世界。これが…『正しい』世界…」
打倒プリキュアというプログラムの命令に従い無断出撃したルールーは、自身を探し回っていたはな達と邂逅。はなが伸ばした手を払いのけ、冷酷に彼女は言い放つ。
「プリキュア…倒す」
プリキュアの戦闘データ以外の全ての記憶をデリートされ、はな達と過ごした日々を忘れ去ってしまい、プリキュア打倒のみを掲げる状態ではな達を襲撃する。 パワードスーツ装着のルールーに、「このままじゃ話もできない」とのほまれの判断でプリキュア達は変身する。一般市民たちは逃げ惑うが、一人だけ逃げずにこの様子を見届けようとする少女がいた。
説得を試みるプリキュア達の的確な弱点を突いて追い詰めていくも、当初の評価に反してしぶとく抵抗するプリキュアの姿を受け、残された戦闘データのみならず、「もっとデータが必要」と詳細な分析を試みる。しかし彼女たちの情報を深く深く検索していくうちに、ルールーの中には消されたはずの断片的な思い出がフラッシュバックしていく。
存在しないはずのデータが自分のメモリーを次々と侵食していくことにルールーは苦しみだし、背を向けながら3人の名を苦しそうに呼び出す。 そして動きが鈍ったパワードスーツにスタースラッシュとフェザーブラストが炸裂。パワードスーツは砕け散り、消された記憶を戻り戻す。 消された筈の記憶を再構築できたのは、「(本当は)ルールーが消すのを嫌がったからではないか」とアンジュは分析している。
だがそれだけでは終わらなかった。次の瞬間、ルールーは「胸が…痛い!」と叫んで、突然起こった理解不能な胸の激痛に悶え始める。 自分自身には破損個所はないのに、胸が張り裂けそうな痛みに耐えかね、尚もフラッシュバックする記憶の中、手を差し伸べようとするプリキュアに向かって「わたしに近づかないで!」と叫びながら腕を銃砲に変形してなりふり構わず攻撃を再開する。
「来るな!!」と叫ぶ自身に対して、「そんなの無理!!」と頑なに返しながら懸命に歩み寄ろうとするエール。その救いの手を拒絶するかのように竜巻の防御バリアを生み出して身を守ろうとするが、エールはアンジュとエトワールの援護を受けてバリア内に単身突入。
そしてプリキュア恒例の「ピンク主人公による肉体言語による説得」が行われ、ルールーとエールは熾烈な一騎打ちを繰り広げる。
攻防を繰り広げながらルールーは叫ぶ。 自分は未来を奪いに来た敵だと。 人間ですらない、クライアス社製のアンドロイドで真の名前は『RUR-9500』だと。 すみれの記憶を改竄して潜り込んだスパイだったと。 はなの家族や学校のみんな、街の人々─────その何もかも全てを騙していたと。 ルールーは苦しみながら全てを告白しエールに拳のラッシュを浴びせて行く。不可解な胸の痛みは皆を騙していた事実に基づく罪悪感ではないかとハリーは考えていたが、エールはそれを正面からカウンターで受け流しつつ、「騙されてなんかない! わたしがそう思ってないからそうなの!!」と理屈にならない理屈で反論する。 その言葉にルールーはショートして一層苦しむ。「何故許そうとするのです。もう優しくしないで!」と、ルールーは思いを吐露して叫ぶ。はな達と触れ合うと、この胸の痛みが『正しい』世界を壊していくと。 プリキュアの強さの秘密を探るために続けてきた潜入活動。今の今まで理解不能なふりをしていたが、本当はもうとっくにプリキュアの強さの秘密なんてわかっていた。
「わかっているのです、あなたたちの力の源は心。それがわたしの回路にバグを作った……こんな痛みに苦しむくらいなら、記憶は消されたままがよかった…」
エールはその言葉に「苦しいのはわたしも一緒」と返す。そして言った。「家族になろう」と語ってきたあの時と何も変わらぬ言葉を…。
「ルールーのことが…好きだもん。いまさら、嫌いになんてなれない!」
遂に戦意を失い、バリアも解除して崩れ落ちるルールー。 そこにはぐたんがやって来て、「よちよち」と彼女の頭を撫でる。それがトリガーとなり、ルールーは張り詰めていた何かが切れて、堰を切ったように号泣した。それはまるで、この世に産まれた赤子が声を上げるかのようだった。
ルールーの行動を監視していたパップルはさっさと命令を果たせと叱咤するが、ルールーはそんなパップルにビームを放ち言い放つ。
「去りなさい! わたしのプログラムは上書きされました…もう、従順な機械人形ではありません!」
ルールーはクライアス社との完全な決別を宣言し、こうして彼女はチャラリートに続く本編2人目の離脱者となった。 胸の痛みを暖かいと感じた頃、それがバグではなく"心"だと教えられる。はな達と、人間と同じ"心"だと。 そして、はなの広げた両手にルールーは歩み寄りハグされた。
「おかえり、ルールー!」
「ただいま…」
はなにハグを返しながら至上の笑顔を浮かべ、かつて心が無かった機械人形RUR-9500……いや、"ルールー・アムール"という名の少女は本当に在るべき場所に帰ってきたのだった。
この回のサブタイトルが「哀しみのノイズ…さよならルールー」という退場を匂わせるものだったため、生存およびクライアス社離反、プリキュア陣営入りという結末が、視聴者にとっては(いい意味で)タイトル詐欺になった。 サブタイトルはノイズ発生&機能停止→パップルに回収された前回のラスト、もしくはクライアス社のルールーが心を持ったが故に発生するノイズによる苦しみの果てに退場→はなの家族であるルールー(=ルールー・アムール)として生まれ変わることへの暗示だったのかもしれない。
なお、ルールーが涙を流した瞬間から瞳にハイライトが入るようになり、目つきの鋭さも和らいでいる。つまりキャラクターデザインそのものが一部変更され、別人に生まれ変わったと言ってもいいことになる。
第17話終了後はクライアス社HPが更新され、あざばぶ支社の組織図からルールーに×印がつけられた他、採用情報ページの「未経験者歓迎、係長経験者優遇」と書かれた応募資格欄には「アルバイトも募集!」という文が追加されている。
そしてこの一連のあらましはえみるに目撃されており、それがさらにルールーのその後の運命を劇的に変化させることになる。ルールーの物語はここで幸せなエンディングを迎えるのではなく、ここから新たに始まるのだ。
これ以降の彼女については、ルールー・アムールの項目を参照。
本編開始前のルールー(第40話)
回想によれば、自分の父であるドクター・トラウムによって製造されたばかりの頃、掃除をする際にあちこち壊しまくりで、挨拶を教えるも「無駄」「理解不能」と一蹴……と何かと問題が多かった。何より問題なのは、力の加減がわからずトラウムに対して壁にめり込む程の威力で叩きつけたり、骨や内臓を潰しかねない程強く抱いたりと生命に関わる重大問題だったこともあり、耐えかねて初期化されてしまった。
モチーフ
感情に乏しい、アンドロイドである等の特徴から、名前の由来は恐らく“ルール”であると思われる。 また、“ロボット”という語源を生み出したとされるSF古典で、人造人間の人類に対する反乱を軸に愛を描いた、作家カレル・チャペックによる戯曲『R.U.R.』が含まれている説も。
あざばぶ支社の社員はチャラリート(現代)パップル(バブル期)ダイガン(団塊の世代)と時代もモチーフの一つになっており、ルールーはアンドロイドであることから「未来」がモチーフの一つになっていると思われる。
光落ちした少女幹部
ルールーはシリーズおなじみの少女幹部枠に該当するキャラクターだが、今までにプリキュアシリーズのTV本編に登場した悪の少女幹部はダークプリキュアとバッドエンドプリキュアを除く全員(霧生満と霧生薫、イース、セイレーン、レジーナ、トワイライト、ビブリー、ジェントルー)が最終的にプリキュア側に寝返っているため、彼女が光落ちする可能性は物語当初から浮上していた。潜入展開及び第17話の離反から、この時点で追加キュアを期待していたファンアートも。
プリキュアシリーズでは「敵組織によって人工的に作られた存在」とされる敵キャラクターは仲間にならないというジンクスがあるが、ルールーは満と薫に次ぐ実に12年ぶりの例外となった(満と薫は敵ボスによって命を分け与えられたホムンクルス的な存在)。
プリキュアシリーズでアンドロイドの敵キャラというのはルールーが初だが、「ラスボスによって仮初めな命を与えられた闇の化身」のようなキャラクター達は初代作から定番の存在であり、彼らは基本的に誰かに倒されてしまうか、戦意を失ってプリキュア達と直接的に関わらない人生を過ごすかのどちらかになるのが基本であった。プリキュア側と和解したがゆえにその罰で消されてしまったキリヤやダークドリームはその典型例である。
ルールーまでの唯一の例外であった満と薫は、敵組織を壊滅させてしまえば自分たちも消滅してしまうリスクを背負っていたにもかかわらず、最終クールでプリキュア達の仲間になり共闘もしている。彼女達は最終決戦後にその命を散らしかけるも、地球の精霊たちの力で新たな命を与えられ蘇っている。
さて、前述の通り、元クライアス社の社員であり、シリーズおなじみの少女幹部枠に該当するキャラクターなのだが、プリキュアシリーズで確認されている中では、2018年5月27日第17話にて光堕ちした最速の元少女幹部枠だった。
話数で言えば3年後のシリーズにジェントルーが第12話にて悪しき心が浄化され、この記録を更新するが、デリシャスパーティ♡プリキュアは東映アニメ不正アクセス事件の被害を受けて約1ヶ月放送休止して遅れていたため、第12話が放送されたのは2022年5月29日と放送時期で言えばルールーと同じぐらいの時期になっている(本来のジェントルーの光堕ち回は4月24日が有力)。
イラストを検索する場合、単に『ルールー』とだけで検索すると某有名RPG作品の同名のキャラが多くヒットするので、検索する場合は『ルールー プリキュア』又は『ルールー・アムール』と検索するのが望ましいだろう。イラスト投稿者は本記事のタグを付けることを推奨する。
その他
シャドウ・ザ・ヘッジホッグ:11作前のゲストキャラや2作前の悪役と同じ声の一切の記憶を取り戻したアンドロイド。
アリス・シンセシス・サーティ/アリス・ツーベルク:一切の記憶を取り戻した非生命体な整合騎士のアンドロイド。中の人は4作後の少女幹部⇒プリキュアート・オンライン
リルル:のび太と鉄人兵団に登場する少女型アンドロイド。敵組織によって造られ、人間界の動向を探る為にスパイとして送られた存在繋がり。人間界に溶け込むように精巧に造られており、のび太が一目惚れする程の美少女。しかし、ある爆発事故で自身が敵組織のアンドロイドであった事が知られてしまう。その後、ドラえもん達に助けられて改心していくものの、組織を裏切りたくない気持ちとドラえもん達との友情で葛藤する。中の人について初代は2作前の女王で、二代目は3作前の赤キュア⇒キュアえもん
R-66Y:ゲームクロノトリガーの人形戦闘ロボット。本来は人に害なすように作られたロボットだったが、故障してるのを仲間のルッカが修理する時に人に害をなさないように修理する。仲間たちとの冒険の末、人間で言う涙(アイセンサーがオイルで霞んで)を流すまでに人間と同じような心を持つのが、プリキュアの仲間になってから人間の心を持つようになったルールーと似ている。
アルビナス:同一CVの人外キャラ繋がり。こちらは金属生命体で、大人の女性の容姿&人格。また、こちらはルールーとは違い、主に殉じる道を選ぶ。⇒ダイキュア
勇者ロボ:ある意味ルールーと同類といえる勇者シリーズのロボたち。カテゴリー的に例えるならルールーはAIタイプ勇者ロボと同様。
関連人物の呼称と変遷です!
※通常時/変身中
※()は世を忍ぶもうひとつの姿
※転生後のルールーの呼称は、ルールー・アムールを参照
関連人物 | 呼び方 | 呼ばれ方 |
---|---|---|
ハグプリ陣営 | ||
野乃はな | 野乃はな/エール | ルールー⇒「正体発覚後」クライアス社 |
薬師寺さあや | 薬師寺さあや/アンジュ | ルールー⇒「正体発覚後」クライアス社 |
輝木ほまれ | 輝木ほまれ/エトワール | ルールー⇒「正体発覚後」クライアス社 |
愛崎えみる | (愛崎)えみる | ルールー |
ハリハム・ハリー | 不明(呼称なし) | ルールー⇒「正体発覚後」クライアス社 |
はぐたん | 不明(呼称なし) | 不明(呼称なし) |
クライアス社陣営 | ||
ジョージ・クライ | 社長 | ルールー |
ドクター・トラウム | 不明(ノーコンタクト) | 不明(ノーコンタクト) |
リストル | (リストル)秘書 | ルールー |
ダイガン | (ダイガン)部長 | ルールー |
パップル | (パップル)課長 | ルールー、機械人形 |
チャラリート | (チャラリート)係長 | ルールー(ちゃん) |
ジェロス | 不明(ノーコンタクト) | 不明(ノーコンタクト) |
ビシン | 不明(ノーコンタクト) | 不明(ノーコンタクト) |
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