概要
忠は「まごころ」と訓み、己の心を空しくして他人のためにつくす心の意。君主にまごころをささげつくすこと。『増韻』に「内盡其心而不欺也」とある。また「忠実」は内心の誠より出て行いがこれにかなうものをいう。
臣は「黒い大目玉をむいて目を見張っている形」の象形字で、君国に仕える者をいう。「故仕於公曰臣仕於家曰僕」(礼記、礼運)とある。
忠臣とは、天子(君主)、あるいは主君のために死をも厭わず、忠義に篤い人物のこと。このように道徳的に優れた模範的偉人は歴史上に幾人も現れて、いつの時代も心ある人々に対して大きな影響を与えてきた。
日本では楠木正成、中国では曾国藩が特に道徳的に優れた偉人として名高い。
老子には「国家昏乱して忠臣あり」(国家が混乱しているために、忠義な臣下が目立つようになったのである)とある。国家が乱れると忠義な臣下が出てくるが、国家がちゃんとしている場合には、忠義な臣下など平素あっても目立たないわけである。
老子の言うことは一面においてもっともなこともあるが、孔子は「忠」をまごころ、誠実の意で説いており、君臣道徳としては「君、臣を使ふに礼を以てし、臣、君に事ふるに忠を以てす」と、臣たるものは忠誠の心でつかえなければならないが、君主はまた礼を正しくして臣を待遇せねばならないと主張している。
また、戦場にあって国のために命をかけて戦うだけが忠臣のあるべき姿ではない。
平時にあっても、時には国を思って主君に向かってあえて苦言(諫言)を呈する者も少なからずいるからである。もちろん、臣下の(有益な)意見を入れるような人物は名君にあたるが、佞臣・奸臣を近づけ意見を入れずに罰するような人物は暗君・暴君というべきであろう。
天子・国家に対する忠臣
日本
上代
武内宿彌 伊企儺 大葉子 藤原鎌足 坂上犬養 安倍比羅夫 栗田朝臣真人 坂上苅田麻呂
中古
中世
楠木正成 楠木正行 結城宗広 名和長年 新田義貞 菊池武光 北畠親房 藤原藤房
近世
中国
モンゴル
チンギス・ハーン世代
フビライ・ハーン世代
ペルシア
フランス
ドイツ
主君に対する忠臣
日本
中国
もしかするとこの人達も…?
日本
道鏡(ある意味、女帝一筋に仕えたとも言える)
千利休(茶道で秀吉を支えた)
豊臣秀長(秀吉の実弟、忠実な補佐役として有名)
中国
フィクションにおける忠臣
ジュリエッタ・ジュリス(機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ)
シュラ(聖闘士星矢)原作では前述のアイオロスを半殺しにした「力の信奉者」だったが、アニメ版では「極端な忠誠心ゆえに大局を見失った悲劇の忠義者」として描写され、後世のスピンオフ作品でも忠誠心の高さは踏襲されている。
ガードノイド・ガッシュ(超獣戦隊ライブマン)終盤における幹部の離反などが相次
ぐ中でも大教授ビアスを守るために行動し、最後までビアスに忠義を尽くした。
デストラ・マッジョ(快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー)
アンドレアス・ダールトン、ギルバート・G・P・ギルフォード(コードギアス反逆のルルーシュ)
関連タグ
忠義を促進した学問
忠臣の対義語