状況が判明次第、本項記事の加筆をお願いします。
概要
2011年(平成23年)3月11日、日本の日本海溝のプレート境界で起きた連動型の超巨大地震。主に日本の東日本地域を中心に各地へ甚大な被害をもたらした。
地震の概要 |
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他にもM7を超える余震が多発し、3月11日以降の数日間に震源域から離れた場所で発生した地震も、誘発させた可能性が指摘されている。
この地震によってもたらされた震災は『東日本大震災』。「戦後最悪の震災」「日本の地震観測史上最大規模」「平成最大の地震」(国外を含めればスマトラ島沖地震)である。
また、余震を合わせると震度7を記録した地震が1回、震度7相当の可能性が4回と合計の震度7の回数は5回あったと推定され、別の誘発地震も含めると東日本大震災関連の地震では合計6回の震度7相当の揺れがあった可能性があると明らかになっている。死者数は下記の見出し「被害」を参照するといい。
前震
発生日 | 2011年3月9日 |
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発生時刻 | 11時45分頃 |
震央(震源地) | 三陸沖(北緯38度19.7分・東経143度16.7分) |
震源の深さ | 8km |
地震の規模 | Mj7.3・Mw7.3 |
最大震度 | 5弱 |
津波 | 0.55m |
地震の種類 | 海溝型地震 |
東北地方太平洋沖地震は、「前震-本震-余震」というプロセスで発生した地震である。
平成23年(2011年)3月9日(水曜日)11時45分頃、三陸沖で発生した深さ8kmのM7.3の地震が発生した。この地震で最大震度5弱を観測し、青森県から福島県の太平洋沿岸に津波注意報が発表され、大船渡で55cmの津波を観測した。2日後の3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震の前震と考えられている。その後、M4~6クラスの中規模の有感地震が40回以上にわたって頻発し、2日後に本震となった。なお、この地震発生直後にプレートがゆっくりと滑る現象「スロースリップ」が発生していたことが分かっており、発生する1か月ほど前にも三陸沖では発生していた。
震度 | 都道府県 | 市区町村 |
---|---|---|
5弱 | 宮城県 | 栗原市 登米市 美里町 |
※震度4以下は省略
この前震で異常なのは、発生後もM6以上の中規模の有感地震が6回も起きており、中にはM7に迫る地震がもう一つ起きていたことである。この現象は地学的に考慮しても、極めて異常で、普通であれば本震発生後の余震は、地震の規模は「本震の規模-1」が目安であるため、仮にこの地震(M7.3)が本震であったならば、最大余震でもM6.3程度となる。しかし、発生後も最大でM6.8の地震も発生し、極めて異常な起こり方をしていた。実際に、M7.3の地震発生後から本震発生までM6以上の中規模以上の地震をまとめた。
- 前震発生から本震発生までのM6以上の地震履歴(2011年)
地震発生日 | 発生時刻 | 震央(震源地) | 地震の規模(M) | 最大震度 | 津波 |
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3月9日 | 11時45分 | 三陸沖(最大) | M7.3 | 5弱 | 上記の通り |
11時57分 | 三陸沖 | M6.2 | 2 | ||
11時58分 | 三陸沖 | M6.0 | 3 | ||
13時36分 | 三陸沖 | M6.1 | 3 | ||
3月10日 | 3時16分 | 三陸沖 | M6.4 | 3 | |
3時44分 | 三陸沖 | M6.3 | 3 | ||
6時23分 | 三陸沖 | M6.8 | 4 | 0.11m |
(出典:気象庁の震度データベース検索・平成23年3月10日(06時23分)の三陸沖の地震で発表した津波注意報についてより)
本震
発生日 | 2011年3月11日 |
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発生時刻 | 14時46分頃 |
震央(震源地) | 三陸沖(北緯38度06.2分・東経142度51.6分) |
震源域 | 岩手県沖~茨城県沖までの南北約450km・東西約200kmの範囲 |
震源の深さ | 24km |
地震の規模 | Mj8.4・Mw9.0~9.1・Mt9.1~9.4 ※1 |
最大震度 | 震度7(計測震度6.6) |
長周期地震動階級 | 4と推定 ※2 |
津波 |
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地震の種類 | 海溝型地震(低角逆断層型のプレート間地震) |
備考 |
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※1 Mj8.4は正確な規模ではないということに注意(正確な規模は、モーメントマグニチュードで求められたMw9.0~9.1である)。また、Mw9.1は米国地質調査所のデータである。津波を用いたマグニチュードだとMt9.1~9.4となっており、地震調査研究推進本部が作成した2019年2月26日の資料に記載されている(日本海溝沿いの地震活動の長期評価)。
※2 当時は長周期地震動階級の情報はないため推定である。
※3 当時はテレビやメディアなどでは「大津波警報」として発表していたが、正式には「津波警報(大津波)」として発表している。
(出典:日本経済新聞-大震災の津波、最高遡上高43.3メートルに 宮城県沖の無人島で東日本大震災を踏まえた河口堰・水門等のあり方について・日本経済新聞-震災津波で氷山誕生、南極で確認 欧米チーム・痕跡調査結果より)
平成23年(2011年)3月11日(金曜日)14時46分頃、宮城県三陸沖で発生した深さ24kmのMj(気象庁マグニチュード)8.4/Mw(モーメントマグニチュード)9.0~9.1/Mt(津波マグニチュード)9.1~9.4という国内観測史上初のM9クラスの超巨大地震。しかし、Mj8.4は地震の規模を求める仕組み上、マグニチュードの飽和が発生してしまい、M8程度で頭打ちになってしまったため、実際の地震があまりにも巨大であったために把握ができず、正確な規模ではなかった。気象庁の観測によれば大正12年(1923年)に首都圏を襲ったMe7.9の関東大震災の44.67倍、Mw6.9の“平成7年(1995年)兵庫県南部地震”の1412.54倍という「明治以降の観測史上の最大値」「国内観測史上最大級の規模」「世界観測史上4番目に強い地震」と判明した。東北地方をはじめ、北海道や関東地方、北陸地方を中心に、近畿地方にまで達する強い揺れを起こした。
この地震で宮城県の栗原市で震度7(計測震度6.6)、東日本の7県で震度6弱以上を観測し、東日本では強い地震動が約6分間・激しい揺れは2分間に渡って続き、地球全体を震動させる程の揺れとなった。
この地震の恐ろしいところは津波だ。
本震発生直後に発表された津波の予想高さは、宮城県で6m・岩手県・福島県で3mという情報が発表されたのだが、実際には10mを超える大津波が東北地方の太平洋沿岸を襲い、予想を大幅に過小評価する事態に陥った。これは、速報の段階で求められた地震の規模がM7.9だったことが原因である。
津波は日本だけではなく、太平洋に面する国々にも高い津波が襲い、それどころかチリなどで反射した津波が、約2日後に再び日本に戻ってくるというとんどもない現象も発生していたことが気象庁気象研究所の研究員によって分かっている。つまり、津波は太平洋を1往復したということになる。
震度 | 都道府県 | 市区町村 |
---|---|---|
7 | 宮城県 | 栗原市 |
6強 | 宮城県 | 涌谷町 登米市 美里町 大崎市 名取市 蔵王町 川崎町 山元町 仙台市(宮城野区) 石巻市 塩竈市 東松島市 大衡村 |
福島県 | 白河市 須賀川市 国見町 鏡石町 天栄村 楢葉町 富岡町 大熊町 双葉町 浪江町 新地町 | |
茨城県 | 鉾田市 日立市 高萩市 小美玉市 那珂市 笠間市 筑西市 常陸大宮市 | |
栃木県 | 大田原市 宇都宮市 真岡市 市貝町 高根沢町 | |
6弱 | 岩手県 | 大船渡市 釜石市 滝沢村 矢巾町 花巻市 一関市 藤沢町 奥州市 |
宮城県 | 気仙沼市 南三陸町 白石市 角田市 岩沼市 大河原町 亘理町 仙台市(青葉区・若林区・泉区) 松島町 利府町 大和町 大郷町 富谷町 | |
福島県 | 福島市 郡山市 二本松市 桑折町 川俣町 西郷村 中島村 矢吹町 棚倉町 玉川村 浅川町 小野町 田村市 伊達市 本宮市 いわき市 相馬市 広野町 川内村 飯舘村 南相馬市 猪苗代町 | |
茨城県 | 水戸市 北茨城市 ひたちなか市 茨城町 東海村 常陸太田市 土浦市 石岡市 取手市 つくば市 鹿嶋市 潮来市 美浦村 坂東市 稲敷市 かすみがうら市 行方市 桜川市 常総市 つくばみらい市 城里町 | |
栃木県 | 那須町 那須塩原市 芳賀町 那須烏山市 那珂川町 | |
群馬県 | 桐生市 | |
埼玉県 | 宮代町 | |
千葉県 | 成田市 印西市 | |
5強 | 青森県 | 八戸市 東北町 五戸町 階上町 おいらせ町 東通村 |
岩手県 | 宮古市 山田町 普代村 住田町 盛岡市 八幡平市 北上市 遠野市 金ケ崎町 平泉町 | |
宮城県 | 加美町 七ヶ宿町 村田町 色麻町 柴田町 丸森町 仙台市太白区 多賀城市 七ヶ浜町 | |
秋田県 | 秋田市 大仙市 | |
山形県 | 上山市 中山町 尾花沢市 米沢市 | |
福島県 | 大玉村 泉崎村 矢祭町 石川町 平田村 古殿町 三春町 葛尾村 会津若松市 喜多方市 磐梯町 会津坂下町 湯川村 会津美里町 | |
茨城県 | 大洗町 大子町 古河市 結城市 龍ケ崎市 下妻市 牛久市 阿見町 河内町 八千代町 五霞町 境町 守谷市 神栖市 | |
栃木県 | 日光市 矢板市 足利市 栃木市 佐野市 鹿沼市 小山市 上三川町 益子町 茂木町 岩舟町 さくら市 下野市 | |
群馬県 | 沼田市 前橋市 高崎市 太田市 渋川市 明和町 千代田町 大泉町 邑楽町 | |
埼玉県 | 熊谷市 行田市 加須市 東松山市 羽生市 鴻巣市 深谷市 久喜市 吉見町 川口市 春日部市 草加市 戸田市 三郷市 幸手市 吉川市 川島町 白岡町 杉戸町 さいたま市大宮区 さいたま市中央区 | |
千葉県 | 銚子市 東金市 旭市 神崎町 多古町 白子町 香取市 山武市 千葉市中央区 千葉市花見川区 千葉市若葉区 千葉市美浜区 野田市 佐倉市 習志野市 柏市 八千代市 浦安市 白井市 栄町 鋸南町 | |
東京都 | 千代田区 江東区 中野区 杉並区 荒川区 墨田区 板橋区 足立区 江戸川区 調布市 町田市 新島村 | |
神奈川県 | 横浜市鶴見区 横浜市神奈川区 横浜市西区 横浜市中区 横浜市港北区 川崎市川崎区 寒川町 二宮町 小田原市 | |
山梨県 | 中央市 忍野村 | |
5弱 | 青森県 | 十和田市 野辺地町 七戸町 六戸町 三戸町 南部町 |
岩手県 | 久慈市 山田町 野田村 二戸市 雫石町 葛巻町 岩手町 一戸町 軽米町 紫波町 | |
秋田県 | 井川町 由利本荘市 横手市 | |
山形県 | 鶴岡市 酒田市 三川町 遊佐町 庄内町 新庄市 最上町 舟形町 大蔵村 戸沢村 村山市 天童市 東根市 山辺町 河北町 大石田町 南陽市 高畠町 川西町 白鷹町 | |
福島県 | 塙町 鮫川村 下郷町 西会津町 柳津町 南会津町 | |
茨城県 | 利根町 | |
栃木県 | 塩谷町 西方町 壬生町 野木町 | |
群馬県 | 中之条町 伊勢崎市 館林市 安中市 吉岡町 板倉町 みどり市 | |
埼玉県 | 本庄市 嵐山町 美里町 上里町 川越市 所沢市 狭山市 上尾市 越谷市 蕨市 鳩ヶ谷市 朝霞市 志木市 和光市 新座市 桶川市 北本市 八潮市 富士見市 蓮田市 坂戸市 鶴ヶ島市 伊奈町 三芳町 毛呂山町 松伏町 さいたま市浦和区 さいたま市岩槻区 秩父市 横瀬町 | |
千葉県 | 茂原市 東庄町 大網白里町 九十九里町 芝山町 睦沢町 長生村 匝瑳市 横芝光町 千葉市稲毛区 千葉市緑区 市川市 船橋市 松戸市 市原市 流山市 我孫子市 鎌ケ谷市 四街道市 八街市 酒々井町 富里市 館山市 木更津市 君津市 いすみ市 南房総市 | |
東京都 | 中央区 港区 新宿区 文京区 台東区 品川区 目黒区 世田谷区 大田区 渋谷区 豊島区 北区 練馬区 葛飾区 八王子市 武蔵野市 三鷹市 府中市 小金井市 小平市 日野市 東村山市 国分寺市 西東京市 狛江市 東大和市 清瀬市 多摩市 稲城市 立川市 | |
神奈川県 | 横浜市南区 横浜市磯子区 横浜市保土ケ谷区 横浜市港南区 横浜市戸塚区 横浜市旭区 横浜市緑区 横浜市瀬谷区 横浜市泉区 横浜市青葉区 横浜市都筑区 川崎市幸区 川崎市中原区 川崎市宮前区 平塚市 茅ヶ崎市 大和市 海老名市 座間市 綾瀬市 厚木市 伊勢原市 南足柄市 中井町 大井町 松田町 相模原市中央区 相模原市南区 相模原市緑区 | |
新潟県 | 刈羽村 南魚沼市 | |
山梨県 | 甲府市 市川三郷町 南アルプス市 笛吹市 北杜市 甲州市 富士川町 山中湖村 富士河口湖町 | |
長野県 | 佐久市 南牧村 | |
静岡県 | 御殿場市 |
※震度4以下は省略
※緊急地震速報を発表しているが、「マグニチュード7.9~8.1 最大震度5強~6弱」と予測し、過小評価してしまった。
※防災科学技術研究所によると栃木県芳賀町にある観測点で震度7相当の揺れ(計測震度6.5)が観測されていたことが明らかになっているが、非公式であるため、震度分布図には反映されない。観測点のない場所を考慮すると震度7に相当する揺れは広範囲に及んでいる。(気象庁推計震度分布図・防災科学技術研究所より)
- 推定震度
震度7と推定される地点が極めて多いため、震度表としてまとめた。
震度 | 都道府県 | 市区町村 |
---|---|---|
7 | 宮城県 | 栗原市(計測震度6.6) 登米市 |
福島県 | 大熊町 国見町 浪江町 富岡町 いわき市 桑折町 | |
茨城県 | 日立市 鉾田市 | |
栃木県 | 芳賀町(計測震度6.5) 那珂川町 |
(出典:防災科学技術研究所 NIED・気象庁推計震度分布図より)
当時の映像
地震活動
前震・本震を含めたM7.0以上の地震と被害を出したM6以上で震度6弱以上を観測した大規模な誘発地震のみのデータを記載し、本震発生後にM5~7クラスの余震が立て続けに起きているため、ここでは代表的な余震のみ詳細な情報を挙げるとする。
なお、気象庁は2021年4月1日以降、余震回数が東北地方太平洋沖地震前の平均的な発生頻度に次第に近付いており、発生した個々の地震について、その地震が余震か否か明確に判断するのは難しくなってきたことと、東北地方太平洋沖地震の余震だけに注目するのではなく、日本海溝沿いで想定されている地震について注意を払っていただきたいことの2つの理由から、「東北地方太平洋沖地震の余震」という言い方を控えるようになった(東北地方太平洋沖地震の余震域で発生する規模の大きな地震の報道発表資料での表現の変更について)。実際に、2022年3月に発生したM7.4の福島県沖などの地震については「東北地方太平洋沖地震の余震」という言い方はしていない。
発生年 | 発生日 | 発生時刻 | 震央地名 | 地震の規模 | 震源の深さ | 最大震度 | 地震活動の区分 | 津波 |
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2011年 | 3月9日 | 11時45分 | 三陸沖 | M7.3 | 8km | 5弱 | 前震 | 0.55m |
3月11日 | 14時46分 | 三陸沖 | Mw9.0~9.1 | 24km | 7 | 本震 | 9.3m以上 ※1 | |
15時8分 | 岩手県沖 | M7.4 | 32km | 5弱 | 余震 | あり ※1 | ||
15時15分 | 茨城県沖 | M7.6 | 43km | 6強 | 余震 | あり ※1 | ||
15時25分 | 三陸沖 | M7.5 | 11km | 4 | 余震 | あり ※1 | ||
3月12日 | 3時59分 | 長野県北部 | M6.7 | 8km | 6強 | 誘発地震 | ||
3月15日 | 22時31分 | 静岡県東部 | M6.4 | 14km | 6強 | 誘発地震 | ||
4月7日 | 23時32分 | 宮城県沖 | M7.2 | 66km | 6強 | 余震 | ||
4月11日 | 17時16分 | 福島県浜通り | M7.0 | 6km | 6弱 | 余震(誘発地震)※2 | ||
4月12日 | 14時7分 | 福島県中通り | M6.4 | 15km | 6弱 | 余震(誘発地震)※2 | ||
7月10日 | 9時57分 | 三陸沖 | M7.3 | 34km | 4 | 余震 | 0.12m | |
2012年 | 12月7日 | 17時18分 | 三陸沖 | Mw7.2⇒M7.3・Mw7.3~7.4 ※3 | 52km⇒49km | 5弱 | 余震 | 0.98m |
2013年 | 10月26日 | 2時10分 | 福島県沖 | M7.1 | 56km | 4 | 余震 | 0.3m |
2014年 | 7月12日 | 4時22分 | 福島県沖 | M7.0 | 33km | 4 | 余震 | 0.17m |
2016年 | 11月22日 | 5時59分 | 福島県沖 | M7.4 | 25km | 5弱 | 余震 | 1.44m |
12月28日 | 21時38分 | 茨城県北部 | M6.3 | 11km | 6弱 | 余震(誘発地震)※2 | ||
2021年 | 2月13日 | 23時7分 | 福島県沖 | M7.3 | 55km | 6強 | 余震 | 0.2m |
3月20日 | 18時9分 | 宮城県沖 | Mw7.0・M6.9 ※4 | 59km | 5強 | 余震 |
※1 詳細は『本震』『津波』の項目を参照。
※2 内陸地殻内地震なので、厳密には誘発地震とする方が適切なのだが、気象庁は東北地方太平洋沖地震の余震域内で発生した地震なので「余震」としている。
※3 最初にMw7.2の地震が発生し、その8秒後にM7.3(Mw7.3~7.4)の地震が発生しているため、地震のメカニズムが少し複雑になっている。
※4 気象庁マグニチュードではM7.0にギリ達していないが、モーメントマグニチュードではMw7.0だったことが判明しているので、記述している。
(出典:気象庁の「震度データベース」・「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」について~10年間の地震活動~・平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の余震活動・2012年12月7日 三陸沖の地震 遠地実体波による震源過程解析(暫定)・発表した津波警報・注意報の検証・石巻で海面変動20センチ 調査委員長「浅く大きい地震なら津波」)
岩手県沖の地震(M7.4)
発生日 | 2011年3月11日 |
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発生時刻 | 15時8分頃 |
震央(震源地) | 岩手県沖(北緯39度49.2分・東経142度46.0分) |
震源の深さ | 32km |
地震の規模 | Mj7.4・Mw7.4 |
最大震度 | 5弱 |
津波 | 不明だが、メカニズムや深さ等から考慮しても津波が発生したと考えられる |
地震の種類 | 海溝型地震と推定 |
同日15時8頃、本震に誘発される形で岩手県沖で深さ32kmの海底を震源として発生した。最大震度は5弱程度であった。はっきりとした津波の観測記録は分からないが、震源位置や深さ、地震の規模、メカニズム等から津波が発生したと考えられ、本震による津波の後続波に影響を与えたとみられる。
震度 | 都道府県 | 市区町村 |
---|---|---|
5弱 | 青森県 | 八戸市 七戸町 東北町 五戸町 青森南部町 階上町 おいらせ町 東通村 |
岩手県 | 普代村 盛岡市 二戸市 矢巾町 滝沢市 |
※震度4以下は省略
茨城県沖の地震(M7.6~7.9)
発生日 | 2011年3月11日 |
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発生時刻 | 15時15分頃 |
震央(震源地) | 茨城県沖(北緯36度07.2分・東経141度15.1分) |
震源の深さ | 43km |
地震の規模 | Mj7.6・Mw7.7~7.9 |
最大震度 | 6強 |
津波 | 不明だが、メカニズムや深さ等から考慮しても大津波が発生したと考えられる |
地震の種類 | 海溝型地震と推定 |
※Mw7.9は米国地質調査所のデータである
同日15時15分頃、本震に誘発される形で茨城県沖で深さ43kmの海底を震源として発生した。宮城県沖の余震とされるが、最大震度は鉾田市で6強を記録する大きなものになり、特に関東地方に強い揺れをもたらした。地震の規模はMj7.6/Mw7.7~7.9で、モーメントマグニチュードでは最大でM8クラスに近い値となっており、昭和東南海地震・大正関東地震と同規模であった可能性もある。はっきりとした津波の観測記録は分からないが、震源位置や深さ、地震の規模、メカニズム等から津波が発生したと考えられ、本震による津波の後続波に影響を与えたとみられる。
震度 | 都道府県 | 市区町村 |
---|---|---|
6強 | 茨城県 | 鉾田市 |
6弱 | 茨城県 | 神栖市 |
5強 | 茨城県 | 水戸市 日立市 常陸太田市 笠間市 茨城町 東海村 那珂市 城里町 小美玉市 土浦市 取手市 鹿嶋市 潮来市 稲敷市 筑西市 行方市 つくばみらい市 |
栃木県 | 真岡市 | |
千葉県 | 銚子市 東金市 旭市 多古町 匝瑳市 香取市 成田市 | |
5弱 | 茨城県 | 高萩市 笠間市 ひたちなか市 大洗町 常陸大宮市 古河市 石岡市 結城市 龍ケ崎市 下妻市 取手市 牛久市 つくば市 美浦村 阿見町 河内町 八千代町 守谷市 利根町 坂東市 筑西市 かすみがうら市 桜川市 常総市 |
栃木県 | 大田原市 那須町 小山市 真岡市 茂木町 市貝町 芳賀町 高根沢町 那須烏山市 下野市 | |
千葉県 | 神崎町 東庄町 大網白里町 九十九里町 芝山町 一宮町 長生村 白子町 香取市 横芝光町 山武市 千葉市中央区 千葉市若葉区 成田市 佐倉市 市原市 浦安市 八街市 印西市 栄町 富里市 いすみ市 | |
福島県 | 白河市 鏡石町 | |
埼玉県 | 加須市 川口市 春日部市 草加市 八潮市 吉川市 宮代町 | |
東京都 | 江戸川区 | |
神奈川県 | 二宮町 |
※震度4以下は省略
三陸沖の地震(M7.5~7.7)
発生日 | 2011年3月11日 |
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発生時刻 | 15時25分頃 |
震央(震源地) | 三陸沖(北緯37度54.8分・東経144度45.0分) |
震源の深さ | 11km |
地震の規模 | Mj7.5・Mw7.5~7.7 |
最大震度 | 4 |
津波 | 不明だが、メカニズムや深さ等から考慮しても大津波が発生したと考えられる |
地震の種類 | アウターライズ地震と推定 |
同日15時25分頃、本震に誘発される形で三陸沖で深さ11kmの海底を震源として発生した。今回の三陸沖の地震はプレート境界で起こる海溝型地震とは違い、アウターライズで発生した地震と推定されている。はっきりとした津波の観測記録は分からないが、震源位置や深さ、地震の規模、メカニズム等から津波が発生したと考えられ、本震による津波の後続波に影響を与えた。
なお、この地震後もアウターライズでは何度かM7クラスの大地震が発生しているが、比較的規模が小さく、歪はそこまで解消されていないと考えられるため、今後最大数十年という期間を空けてから、東北地方太平洋沖地震に匹敵する規模のアウターライズ地震が発生する可能性が指摘されている。
長野県北部地震(M6.7)
翌日の12日、長野県北部の新潟県との県境付近でM6.7の地震が発生し、最大震度6強を観測したが、長野県北部と新潟県中越地方の一部地域では震度7相当の揺れに見舞われたと推定される。宮城沖、茨城沖のプレート境界型地震とは異なり、断層による内陸地殻内地震である。東北地方太平洋沖地震とは基本的に別個に発生した地震だが、宮城県沖発生後のプレート構造の「緩み」が断層に影響したのではないかとも言われている。
静岡県東部地震(M6.4)
約4日後の15日に長野県北部だけでなく、静岡県東部でもM6.4の内陸直下型地震が発生した。この地震で静岡県富士宮市で最大震度6強を観測。この地震も長野県北部と同様の東北地方太平洋沖地震に誘発されて静岡県東部地震が発生した可能性がある。静岡県裾野市は東方向に、富士宮市は西方向に、それぞれ1cmから3cmほど移動した。また、富士山5合目の地面に長さ20mに及ぶ亀裂が生じた。これらは土砂崩落の恐れがあるため、定期的な測量が行われている。
実際に、東北地方太平洋沖地震をきっかけに誘発されたこの地震で、「富士山が大噴火を起こすのではないか」と学者は冷や汗をかいていた。
宮城県沖の地震(M7.2)
発生日 | 2011年4月7日 |
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発生時刻 | 23時32分頃 |
震央(震源地) | 宮城県沖(北緯38度12.2分・東経141度55.2分) |
震源の深さ | 66km |
地震の規模 | Mj7.2・Mw7.1 |
最大震度 | 6強 |
地震の種類 | スラブ内地震 |
平成23年(2011年)4月7日23時32分頃、宮城県沖を震源として発生した深さ66kmのMj7.2/Mw7.1の逆断層型のスラブ内地震が発生した。宮城県栗原市と仙台市宮城野区で震度6強を観測し、震度1以上の揺れは北海道道北から島根県・広島県までの広範囲で観測した。なお、この地震で宮城県に津波警報が発表されたが、観測されなかった。死者は4人、負傷者は296人の被害を出し、東北新幹線と東北地方の在来線で、架線柱が折れたり軌道が変位するなどの被害がでた。
震度 | 都道府県 | 市区町村 |
---|---|---|
6強 | 宮城県 | 仙台市宮城野区 栗原市 |
6弱 | 岩手県 | 奥州市 平泉町 一関市 矢巾町 釜石市 大船渡市 |
宮城県 | 女川町 大衡村 利府町 松島町 東松島市 塩竈市 石巻市 仙台市若林区 仙台市青葉区 川崎町 蔵王町 岩沼市 名取市 大崎市 美里町 登米市 涌谷町 | |
5強 | 青森県 | 八戸市 |
岩手県 | 金ケ崎町 遠野市 北上市 花巻市 八幡平市 滝沢村 盛岡市 住田町 | |
宮城県 | 富谷町 大和町 七ヶ浜町 山元町 亘理町 柴田町 大河原町 南三陸町 色麻町 加美町 気仙沼市 | |
秋田県 | 大仙市 横手市 秋田市 | |
福島県 | 南相馬市 飯舘村 新地町 相馬市 伊達市 田村市 国見町 桑折町 | |
5弱 | 青森県 | おいらせ町 階上町 南部町 五戸町 |
岩手県 | 紫波町 普代村 久慈市 宮古市 | |
宮城県 | 仙台市太白区 丸森町 村田町 角田市 白石市 | |
秋田県 | 仙北市 湯沢市 五城目町 | |
山形県 | 大石田町 尾花沢市 河北町 中山町 東根市 村山市 大蔵村 舟形町 最上町 新庄市 | |
福島県 | 福島市 郡山市 本宮市 二本松市 天栄村 川俣町 玉川村 楢葉町 双葉町 |
※震度4以下は省略
※緊急地震速報「マグニチュード7.4 最大震度5強~6弱」と予測し、発表しています。
※宮城県栗原市の一部地域では、最大で震度7相当の揺れに見舞われたと推定される。(出典:防災科学技術研究所より)
福島県浜通り地震(M7.0)
発生日 | 2011年4月11日 |
---|---|
発生時刻 | 17時16分頃 |
震央(震源地) | 福島県浜通り(北緯36度56.7分・東経140度40.3秒) |
震源の深さ | 6km |
地震の規模 | M7.0 |
最大震度 | 6弱 |
地震の種類 | 大陸プレート内地震 |
平成23年(2011年)4月11日17時16分頃、福島県浜通りを震源として発生した深さ6kmのMj7.0/Mw6.6~6.8の大陸プレート内地震が発生した。福島県のいわき市・古殿町・中島村、茨城県の鉾田市で震度6弱を観測したが、震動による顕著な家屋被害は無く地表地震断層の直上の建物では最大変位80cmの変位による変形や傾斜などが発生したほか、土砂崩れが発生するなどして4人が死亡し、負傷者を10人出した。また、翌日14時07分に発生した地震においても、負傷者を1人出した。なお、津波は発生しなかった。
震度 | 都道府県 | 市区町村 |
---|---|---|
6弱 | 福島県 | いわき市 古殿町 中島村 |
茨城県 | 鉾田市 | |
5強 | 福島県 | 浅川町 平田村 棚倉町 天栄村 鏡石町 白河市 |
茨城県 | 常総市 かすみがうら市 筑西市 小美玉市 北茨城市 高萩市 日立市 | |
栃木県 | 那須町 | |
5弱 | 宮城県 | 蔵王町 岩沼市 涌谷町 |
山形県 | 白鷹町 中山町 山辺町 上山市 | |
福島県 | 会津美里町 柳津町 湯川村 猪苗代町 西会津町 双葉町 楢葉町 本宮市 伊達市 田村市 小野町 玉川村 石川町 鮫川村 矢祭町 矢吹町 泉崎村 西郷村 二本松市 須賀川市 郡山市 | |
茨城県 | つくばみらい市 行方市 稲敷市 坂東市 阿見町 つくば市 石岡市 土浦市 城里町 那珂市 常陸大宮市 大子町 茨城町 ひたちなか市 笠間市 水戸市 | |
栃木県 | 下野市 芳賀町 宇都宮市 大田原市 | |
埼玉県 | 春日部市 | |
新潟県 | 阿賀野市 |
※震度4以下は省略
※緊急地震速報「マグニチュード7.1 最大震度6弱~6強」と予測し、発表しています。
※北茨城市で震度6弱相当(計測震度5.8)を観測していた。いわき市の一部で震度6強~7相当の揺れに見舞われたと推定される。(出典:気象庁推計震度分布図より)
震災から約10年が経過した2021年と2022年にも、宮城県と福島県で震度6強を観測する福島県沖地震が発生、2021年の地震に関しては気象庁が「3.11の余震」と推定したが、いかんせん本震からの時間が経ち過ぎており、しかもプレート境界で起きた3.11とはメカニズムが異なるスラブ内地震であったため、絶対に余震であると言い切ることはできない。そのような指摘もあることから、気象庁は2021年4月以降に震災の余震域で発生した地震を「余震」と発表することを止めている。
現在も東北地方太平洋沖地震の影響で余効変動が続いている。
地震のメカニズム
海溝型の西北西~東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型のプレート境界型・衝上断層型の地震であり、気象庁は当初マグニチュードを、Mj7.9と速報値を発表したが、16時00分にMj8.4という暫定値を発表した。その後、Mw8.8と発表し、最終的にはMw9.0~9.1という想定外の値になった。震源域は岩手県沖から茨城県沖にかけて南北約500km、東西約200kmであり、およそ10万㎢の広範囲にわたった。この地震の影響で余震や誘発地震が多発している。
連動型地震
この地震は単一ではなく、3つの地震が連動したと解析した。
- 宮城県沖
- 宮城県沖のさらに沖合
- 茨城県北部沖の陸に近い部分
の順に発生し、特に2番目の断層破壊では大きな地殻変動が観測され、滑り量は平均で62 mと計算された。最大滑り量は2004年スマトラ島沖地震など世界の他の超巨大地震よりも大きく世界最大である。
地震波と揺れの特徴・長周期地震動
広範囲で強い揺れに見舞われ、長周期地震動が広範囲で長時間発生した揺れの継続時間が長かったことが挙がる。長周期地震動階級は最大の階級4を記録し、青森県から神奈川県にかけての各地で、震度4以上の揺れの継続時間が軒並み2分(120秒)を超え、特に崩壊範囲の中間に位置する福島県いわき市で3分10秒(190秒)に達するなどした。
また、震源から離れた東京都では長周期地震動により、超高層ビルが最長13分間、最大1.08m程の揺れが起き、震源から数百km離れた大阪府でも長周期地震動を観測し、1995年兵庫県南部地震や1978年宮城県沖地震などより長く揺れた。
ビルそのものが長周期地震動によって大きく揺れる映像が撮影されたのは、世界的に初である。
地球を自由振動させる(超長周期地震動)に至っては数十時間にわたって観測された。
長周期の地震波(表面波)が、地球を5周していたことが気象庁精密地震観測室(長野市)の観測で分かっている。もはや、漫画のドラゴンボールのような世界が現実となった。
この地震をきっかけに気象庁は長周期地震動階級を2013年に導入した。
日本海溝沿いでアウターライズ地震発生の可能性
東北地方太平洋沖地震の影響により、近いうちに東北地方太平洋沖地震に匹敵する規模のアウターライズ地震が発生する可能性が非常に高くなっている。
知らない人も多いため、メカニズムについてもここでは説明する。
アウターライズとは
海溝は海側のプレートが陸側のプレートの下に沈み込んでいる。そうなると、海側のプレートが下に向かって折れ曲がる必要があり、沈み込む直前に周囲よりも少し隆起したような場所が現れる。
この場所のことをアウターライズ、略して海溝外縁隆起帯と呼ぶ。なお、折れ曲がってしまう理由は、プレート同士の固着も関係している。
身近なもので例えると、「下敷き」を使用して再現すると分かりやすい。
「下敷き(=海洋プレート)の右半分の端」を右手で抑えて机の上に置いて、机からはみ出している「下敷きの左半分」を左手(=大陸プレート)で上から抑えて折り曲げていくと、ちょうど折り曲げる手前で少し盛り上がった場所が現れる。そこをプレートではアウターライズと呼んでいるのだ。
メカニズム
アウターライズ地震とは、アウターライズ(海溝外縁隆起帯)で発生する地震のことで、沈み込む前の海洋プレートが割れて発生する。地表の揺れが小さいにもかかわらず、ある程度の規模でも大津波を発生させる特徴を持つ。これは震源がはるか沖で起きるもので、震源の深さが非常に浅く、正断層型と呼ばれる地震で発生するためだ。
巨大なプレート間地震が発生するとエネルギーが解放されたことで圧力が変化したことで、海洋プレートの沈み込み速度が今までよりも上昇して速くなったために、アウターライズでは東西に引っ張られる力が強くなっている。そのため、このまま引っ張られ続けると、海溝の外側では地震を誘発させる可能性が非常に高くなる。
今後について
東北地方太平洋沖地震発生後には、アウターライズでも何度か地震が発生しているが、何れもM7クラスであり、過去に起きた地震は、
プレート間地震 | アウターライズ地震 | プレート間地震からアウターライズ地震発生までの間隔 |
---|---|---|
1896年明治三陸地震(M8.2) | 1933年昭和三陸地震(M8.1) | 約37年 |
2004年スマトラ島沖地震(M9.1) | 2012年スマトラ島沖地震(M8.6) | 約7年3か月 |
2006年千島列島沖地震(M7.9~8.3) | 2007年千島列島沖地震(M8.2) | 約2か月 |
など、最初に発生したプレート間地震に匹敵する程の規模で起きていることから、日本海溝沿いでは時間を置いてM8クラス以上のアウターライズ地震が発生する可能性が指摘されている。
日本で発生する可能性のあるスーパーサイクル
今後、日本で起こるスーパーサイクルと呼ばれる周期で発生する可能性のある海溝型の巨大地震は、
- 想定されている地震
発生領域(発生場所) | 最悪の場合の地震の規模(M) |
---|---|
千島海溝沿い | M9.3 |
日本海溝沿い | M9.1 |
相模トラフ | M8.7 |
伊豆・小笠原海溝 | 不明※ |
南海トラフ | M9.1 |
日向灘沿いで発生するプレート間地震 | M8クラス |
琉球海溝 | M9.0(沖縄県独自の想定) |
※伊豆・小笠原海溝では確実視される歴史地震がなく、プレートが沈み込む角度が他の海溝と比較しての急なために、M8クラス以上の巨大地震は起きないという結論になっていたが、近年の研究で1605年に起きた慶長地震が南海トラフで発生した地震ではなく、伊豆・小笠原海溝で発生した地震の可能性がより濃厚になってきていることから、具体的な想定は公表されていないが、ここでは伊豆・小笠原海溝も記述する。なお、伊豆・小笠原海溝付近には火山も多く存在しており、地震が直接的な原因ではなく、海底火山の噴火やマグマ活動に伴って「トラップドア断層破壊」と呼ばれる地震現象がカルデラ火山で発生することで、津波が発生することがある(主な例:2015年・2023年)。
など、複数存在しているが、中でも切迫しているとされるM9クラスの地震を紹介する。
- 千島海溝沿い(切迫)
千島海溝沿いでは、近年の研究で1611年、或いは1637年にスーパーサイクルと呼ばれる超巨大地震が発生しことが分かってきた。津波堆積物の調査から過去6500年の間に18回発生していたと推定され、平均発生間隔は340~380年とされている。現在は、前回の地震からすでに380~410年ほど経過しているため、既に巨大地震が発生してもおかしくない時期に入っている。
また、2018年前後から北海道の内陸でも地震活動が活発化してきており、2018年9月には内陸地殻内地震である北海道胆振東部地震が発生している(この地震では、北海道内で観測史上初の震度7を記録している)。さらには、2022年8月頃には宗谷地方北部で最大震度5強を観測する地震が発生し、その後も微小地震を含めた地震が明らかに異常な推移で北海道北部の広範囲に渡って検出されていた。さらに、東北地方太平洋沖地震の長期的な前兆現象として現れていた地盤の沈降が北海道東部の領域で続いている状態である。
このことからも、千島海溝沿いにおける巨大地震が切迫していることを明確に示していると言える。
- 南海トラフ沿い(切迫)
2つ目は南海トラフ沿いであり、南海トラフではM8クラスの巨大地震が、100~150年ほどの周期で発生している。一つ目は全割れケースで、M9前後になることもある(「1707年宝永地震(M8.9~9.3)」がまさにこのタイプである)。もう一つは、東側で発生した後、数十時間~数年という間をあけて西側でも巨大地震が発生するケースがあり、最大でM8クラス後半に達することもある(「1944年昭和東南海地震(M8.2)⇒およそ2年後 ⇒ 1946年昭和南海地震(M8.4)」「1854年安政東海地震(M8.6)⇒およそ32時間後 ⇒1854年安政南海地震(M8.7)」)
前者のようにごくまれに通常よりも桁違いに大きい巨大地震が発生することもあり、400~600年ほどの周期で発生していることが分かっている。つまり、次の南海トラフ巨大地震がスーパーサイクルになる可能性も否定できないということだ。
そこで問題なのは、仮に宝永地震もスーパーサイクルではなかった場合である。過去の記録をさらに遡ってみると千数百年前に南西諸島海溝と連動していた可能性を示唆する痕跡が見つかっているのだ。つまり、これがスーパーサイクルであった場合、2011年東北地方太平洋沖地震が869年貞観地震の再来であったのと同様に、次の南海トラフ巨大地震でまた想定外になる可能性も否定できないということだ。
実際に、現在も南海トラフ巨大地震の発生が切迫していることは、西南日本における大地震でも明確に示していて、1995年兵庫県南部地震以降、内陸部では西南日本ではM6~7クラスの大地震が多発している。
将来の地震について
東日本大震災以降の余震について、他の巨大地震に踏まえ、震災当日に発生したM7.6の最大余震を上回るM8クラスの地震の発生についても警戒が必要。
- 超巨大地震(東北地方太平洋沖型)
地震の規模 | 地震発生確率 |
---|---|
M9.0程度 | 30年以内に、ほぼ0% |
- 青森県東方沖及び岩手県沖北部
地震の規模 | 地震発生確率 | |
---|---|---|
プレート境界型 | M7.9程度 | 30年以内に、ほぼ6~30% |
プレート境界型(小) | M7.0~7.5程度 | 30年以内に、90%以上 |
- 岩手県沖南部
地震の規模 | 地震発生確率 |
---|---|
M7.0~7.5程度 | 30年以内に、30% |
- 宮城県沖
地震の規模 | 地震発生確率 | |
---|---|---|
プレート境界型 | M7.9程度 | 30年以内に、20% |
プレート境界型(小) | M7.0~7.5程度 | 30年以内に、90% |
陸寄りの地震 | M7.4前後 | 30年以内に、60% |
- 福島県沖
地震の規模 | 地震発生確率 |
---|---|
M7.0~7.5程度 | 30年以内に、50% |
- 茨城県沖
地震の規模 | 地震発生確率 |
---|---|
M7.0~7.5程度 | 30年以内に、80% |
- 青森県東方沖~房総沖の海溝寄り
地震の規模 | 地震発生確率 |
---|---|
Mt(津波マグニチュード)8.6~9.0 | 30年以内に、30% |
- プレート内地震
地震の規模 | 地震発生確率 |
---|---|
M7.0~7.5程度 | 30年以内に、60~70% |
- 海溝軸外側
地震の規模 | 地震発生確率 |
---|---|
M8.2前後 | 30年以内に、7% |
(出典:地震調査研究推進本部より)
誘発地震
この地震をきっかけに関東地方などでは地震活動が活発化している状態がつづいており、今後30年以内に関東に巨大地震が襲うと考えられている。詳しくは『南関東直下地震』を参照。
房総半島沖の地震について
この大地震の震源から南北へ連鎖的に地殻の破壊が進んでいったが、北アメリカプレートの下に沈み込んだフィリピン海プレートの北東端が地殻破壊の南下を食い止め、房総沖の北隣の茨城県沖で止まった。
房総沖等の海域でもM7~8クラス相当の地震が誘発される可能性がある。
前兆活動
静穏化
「地震空白域」でよく見られており、長期的な静穏化と短期的な静穏化の複数の『静穏化』現象が生じていたことが複数の研究者により報告されている。
本震が発生する約22年前に宮城県沖のプレート境界付近で、M4.5以上の地震が半減していた(静穏期)。北海道沖から伊豆半島沖にかけての太平洋側のプレート境界付近を約5km四方に区切り、深さ60kmより浅い部分でM4.5以上の地震を分析した結果、宮城県沖付近では、1965年以降の回数は年平均3.0回前後だが、1989年以降は1.5回程度に半減していたエリアを確認した。
2011年2月中旬頃から、東北地方陸域全体の地震活動も低迷していた。
- 静穏化の異常
RTM法を用いて解析を行ったところ、震源域を含む広範囲で静穏化の異常が起きていたことが確認されている。本震が発生する約10年前頃から静穏化が始まり、2003~2004年にかけてピークを迎え、2006年頃に収束していた。実は兵庫県南部地震などの大地震などでも静穏化の異常が検出されていたのだが、このような静穏化の異常が確認できたのは過去40年間でこの地震だけである。
スロースリップ
この地震に先立って約1カ月前の2月中旬以降から、スロースリップイベントが発生していた。また、3月11日の本震の破壊開始点に向かう微小地震の震源移動も続いていた。さらに、3月9日の地震の発生後にもスロースリップが発生しており、これらのスロースリップによりMw7.1に相当する地震エネルギーが解放されたと考えられる。このスロースリップが、巨大地震の発生を促進した可能性が指摘されており、この地震以降、海溝型巨大地震の予測にこのスロースリップの研究が進んでいる。
電離層による影響
北海道大学教授の日置幸介によるGEONET(GPSの連続観測網)の公開データを用いた調査で、地震発生の約40分前から電子密度が増大していた。これは1994年北海道東方沖地震や2010年チリ地震でも確認されていたという。電気通信大学名誉教授の早川正士は地震発生約5日前の3月5日と3月6日電離層に振幅が小さくなる異常現象が起きていたらしい。
東日本・北陸地方での地震活動
2000年頃から急に東日本やその周辺で大型の内陸地殻内地震が異常に増加傾向にあったことが明らかになっている。実際に1896年の明治三陸地震以降から東日本とその近辺の大規模の直下型地震を解析してみると、
地震履歴(M6.4以上) | 発生年代 | 周期 |
---|---|---|
| 1896年※ | 活発期 |
| 1900年 | |
| 1914年 | |
| 1931年 | |
| 1933年〇 | |
| 1939年 | |
【およそ20年以上地震活動がない状態が続く】 | 静穏期 | |
| 1962年 | |
【およそ40年間地震活動がない状態が続く】 | ||
| 2003年 | 活発期 |
| 2004年 | |
| 2007年 | |
| 2008年 | |
東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)が発生 | 2011年※ |
※は東北沖でM8を超える海溝型地震が発生した年
〇は東北沖でM8を超えるアウターライズ地震が発生した年
「2003年宮城県北部地震」「2004年新潟県中越地震」「2007年新潟県中越沖地震」「2008年岩手・宮城内陸地震」など、わずか2000年~地震発生日までの約10年間で東日本やその周辺でM7前後の大地震が相次いで発生していた。なお、前震については『前震』の項目を参照するといい。
長期的な地盤の沈降
日本海溝沿いは、頻繁にM7~8クラスの巨大地震が発生する領域であるため、歪は解消されていると当時は考えられていた。しかし、これだけ大規模な地震が発生する領域であるにもかかわらず、若干隆起しただけで、長期的に続いていた地盤の沈降は、一向に解消されていなかったことが判明している。
莫大な歪量
GPSデータを解析した結果、東北沖では大きな強い圧縮力を受けていたことが判明している。
温泉・地下水・井戸水の異常
東北地方太平洋沖地震発生前後は、東北地方などの各地で地下水などに異変が現れ、「水位の低下」「温度の低下」「地下水や温泉の濁り」などが相次いで起きていた。その例として岩手県にある五葉温泉を挙げるが、この温泉では地震発生のおよそ3か月ほど前から水位が10m以上、水温が1~2℃低下していたことが明らかになっている(岩手県・五葉温泉における311前の10mを超える水位低下 東海大学地震予知研究センターより)。
この異常現象は、「宏観異常現象」と呼ばれるもので、科学的根拠が見出せていないが、自然現象が原因である場合は、地学的に考慮しても、宏観異常現象の中でも唯一地震と関連がある可能性が十分に考えられる事象である。
他にも前兆と思われる現象が発生していた。
前兆であったのかどうか不明なケース・地震と無関係な事象
ここでは地震との関連が見いだせない宏観異常現象などを取り上げる。
- イルカの集団座礁
地震発生の7日ほど前(3月4日)に、カズハゴンドウが集団座礁していた。
しかし、イルカやクジラなどの鯨類の異変は、長期的に見ると元々頻繁に起きており、偽のシグナルばかりで溢れているため、鯨類の集団座礁“だけで”地震の前兆かどうかを判断することは極めて困難である。
但し、イルカの集団座礁の原因は多数考えられるために分からないというだけで、全く関係ないとも否定することはできない。
- 南太平洋の大地震
2月に起きたニュージーランドで発生した大地震が前兆だったという主張がある。
しかし、南太平洋では元々頻繫に大地震が発生する領域であるため、日本で大地震が起きれば、かなりの高確率で当てはまってしまう。また、日本から数千kmも離れた大地震が日本に影響するとはまず考えられない(仮に海外で大規模地震が発生しても、日本に影響するものはその地震によって発生した地震波・津波以外は到底考えられない)。そのため、地震の前兆現象の判断材料としては全く扱えない。
津波
特に被害を大きくしたのは、地震によって引き起こされた大規模な津波である。
次々と連動して発生したことで、日本全域に「大津波・津波警報、津波注意報」が発表された。津波は日本列島沿岸のほぼ全域と環太平洋沿岸の広範囲に広がり、各国は警戒態勢を取った。1m以上の津波を日本の太平洋側で観測し、最大の津波の高さは観測範囲内で相馬港で9.3m以上に達したが、相馬を含め計8地点で観測機器が破壊され観測不能に陥った為、後続のより大きな津波がさらに到達した可能性がある。実際には10mを超える津波が襲った地点が津波の痕跡から東北地方の太平洋沿岸に多数存在していることが明らかになっており、その中には20mを超える津波が襲った地点も多く存在。
最大遡上高は43.3mと、日本史上でも屈指の規模だった(これ以上の記録は、1792年5月21日の「島原大変肥後迷惑」の57m以上など。1771年4月24日の「八重山地震」の85.4mは現在では否定されている)。なお、津波は内陸の埼玉県戸田市の荒川でも50cmの水位の上昇があったとされている。
下記の表は、「高さ1m以上の津波を観測した地点」を掲載している。なお、3m以上の津波を観測した地点は太字となっている。
- 最大の高さの波(2011年3月)
都道府県 | 観測点 | 津波の高さ(m) | 最大波発現時刻 |
---|---|---|---|
北海道 | 根室市花咲 | 2.86m | 11日15時57分 |
釧路 | 2.08m | 11日23時39分 | |
浜中町霧多布港 | 2.57m | 11日22時19分 | |
十勝港 | 2.76m以上 | 11日15時57分 | |
浦河 | 2.8m | 11日16時42分 | |
えりも町庶野 | 3.5m | 11日15時44分 | |
苫小牧東港 | 2.46m以上 | 11日16時17分 | |
苫小牧西港 | 2.25m | 11日17時31分 | |
白老港 | 1.73m以上 | 11日16時2分 | |
函館 | 2.39m | 11日23時35分 | |
渡島森港 | 1.64m | 11日19時36分 | |
青森県 | むつ市関根浜 | 2.79m | 11日18時16分 |
八戸 | 4.2m以上 | 11日16時57分 | |
岩手県 | 宮古 | 8.5m以上 | 11日15時26分 |
大船渡 | 8.0m以上 | 11日15時18分 | |
釜石 | 4.2m以上 | 11日15時21分 | |
宮城県 | 石巻市鮎川 | 8.6m以上 | 11日15時26分 |
気仙沼広田湾沖 | 5.7m | 11日15時14分 | |
宮城県金華山沖 | 5.8m | 11日15時16分 | |
福島県 | いわき市小名浜 | 3.33m | 11日15時39分 |
相馬 | 9.3m以上(最大値) | 11日15時51分 | |
茨城県 | 大洗 | 4.0m | 11日16時52分 |
千葉県 | 銚子 | 2.5m | 11日17時22分 |
館山市布良 | 1.72m | 11日17時6分 | |
東京都 | 東京晴海 | 1.5m | 11日19時16分 |
八丈島神湊 | 1.21m | 11日15時45分 | |
八丈島八重根 | 1.4m | 12日2時48分 | |
父島二見 | 1.82m | 11日16時46分 | |
神奈川県 | 横浜 | 1.55m | 11日17時38分 |
静岡県 | 沼津市内浦 | 1.34m | 11日16時16分 |
御前崎 | 1.44m | 11日17時19分 | |
愛知県 | 田原市赤羽根 | 1.55m | 11日17時31分 |
名古屋 | 1.05m | 11日19時36分 | |
三重県 | 鳥羽 | 1.82m | 11日19時14分 |
尾鷲 | 1.75m | 11日17時13分 | |
和歌山県 | 那智勝浦町浦神 | 1.24m | 11日18時6分 |
串本町袋港 | 1.51m | 12日1時32分 | |
白浜町堅田 | 1.13m | 12日0時35分 | |
御坊市祓井戸 | 1.09m | 11日17時57分 | |
徳島県 | 徳島由岐 | 1.15m | 11日20時28分 |
高知県 | 土佐清水 | 1.32m | 12日1時58分 |
須崎港 | 2.78m | 11日20時59分 | |
宮崎県 | 日南市油津 | 1.23m | 12日0時12分 |
宮崎港 | 1.64m | 12日3時33分 | |
鹿児島県 | 志布志港 | 1.06m | 11日17時38分 |
種子島熊野 | 1.52m | 12日3時23分 | |
奄美市小湊 | 1.21m | 12日1時49分 |
(出典:気象庁技術報告より)
被災地域では伝統的に小さな津波が頻発しており、地震後の津波予想も実態に対して大幅に低く、今回も小規模と考えて逃げ遅れた人が多かった。また、大津波の記憶の忘却とともに危険地帯の宅地化が行われるようになっていた。大川小学校の事例では最悪の結果を招いている。
揺れは強かったものの日本海側(青森、秋田、山形各県)は津波による大きな被害を免れ、明暗が分かれる形となった。
日本だけでなく、数千kmも離れている太平洋一帯の国々まで2m以上の津波が到達した。
東北地方太平洋沖地震では、10mを超える大津波に襲われ、場所によっては沿岸付近で20m以上の津波も発生し、想像を絶する高さになった。
津波は主に海底が大きく動くことで発生する。岩手県~宮城県北部のリアス海岸で10~20m程度、仙台平野や福島県などで10m前後の大津波が押し寄せた。
被害や影響
地震によって広範囲の地域と大多数の人々に『東日本大震災』を及ぼした。消防庁災害対策本部によると、2021年3月1日現在で死者・行方不明者数は2万2303人(死者1万9747人、行方不明者2556人)・負傷者6242人となった。
(出典:平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)について 第161報より)
※岩手県・宮城県・福島県の被害状況は不明点も存在するため、定かではない。
津波は三陸沖(岩手・宮城・福島・茨城の各県)の広範囲を壊滅し、内陸奥地にまで及び、田園地帯にまで到達。沿岸の各港町、仙台空港や松島空自基地のF-2戦闘機も水没、仙台空港は運用再開に一ヶ月を要した。なお、この地震の9割以上が津波による溺死を占めており、1万人以上の死者を出した。なお、多数の犠牲者を出した理由に関しては「正常性バイアス(正常化の偏見)」や、「多数派同調バイアス」も絡んでいると災害心理学者は言う。
また、中には普通の津波とは違った「黒い津波」が襲った地域があり、岸壁を超え始めた時点の津波は透明であったが、わずか約1分後に海底の泥を巻き上げた津波が黒く変色し始め、時間が経過していくごとに黒く変化していった。その津波は町全体を一瞬で吞み込んだという。
ちなみに、内陸でもダムの決壊による水害が発生したり、富士五湖の西湖で、津波に似た共振現象が発生した。
鉄道も新幹線・在来線ともに被災4県に加えて東北全県・北関東・千葉県・東京都・埼玉県のほぼ全域に加え、東海道新幹線も含め神奈川県・山梨県・静岡県の一部も運転抑止となった。
空港は被災4県のほか東京国際空港(羽田)・成田国際空港が閉鎖。この為86機の定期航空便が着陸不可能となり、空中待機したが復旧の様子はなく、14機から燃料不足のためSOSコールが発信された。この為関西国際空港に21機、中部国際空港に17機、新千歳空港14機、米軍横田基地に11機を中心に全国21ヶ所に緊急着陸した。被災した茨城空港もターミナルビルで天井が落下するという被害を受けていたが、航空自衛隊百里基地と共用という条件から緊急措置として旅客機2機を着陸させた。
沿岸の市町村は大きな損害を被り、津波で一帯が壊滅状態となった地区も多く、多数の死者と行方不明者を出し、未だに行方がわからない人も少なくない。沿岸部の壊滅により、復興時に住宅地や農地などの造成を大幅にやり直す必要に迫られた市町村も少なくない。
岩手県上閉伊郡大槌町に至っては役場が流されて当時の町長が津波で死亡しており、その他にも役場が流された自治体は多く行政の活動に大きな支障が出た。
死亡者の多くが津波の犠牲者であり、逆に揺れの最も大きかった栗原市では建物の破損こそ多かったものの死者は殆ど出ていない。
さらに東北の厳冬期でもあり、辛うじて生存した人達への心身の負担も大きく、避難生活の中寒い避難所や仮設住宅、慣れない暮らしのストレスから体調を崩し命を落とす「震災関連死」も多かった。
気仙沼市では沿岸部にあった船舶用燃料タンクから漏れた重油の引火で市街地が大規模火災となり、千葉県市原市のコスモ石油千葉製油所においても爆発火災事故が発生。
各地の建物は地震や津波で倒壊・崩落などの甚大な被害が及ぼされ、東京ディズニーランドのある浦安では液状化現象が発生し、東京タワーは先端が曲がった。
遠く離れた大阪府でも長周期地震動を観測し、エレベータ停止による閉じ込め事故が起きたり、内装材や防火扉が破損するなどした。
更に、プレートが一度歪んだことにより新たな地震の発生が多数あり、さらに2016年には台風10号の直撃によりやっと復興しかかっていた各市町村に再度ダメージを与えている。
東北各地で地盤沈下、海底の隆起など地形を変えるほどの地殻変動が観測された。
東日本の広域で、多くのライフラインや交通がまひ状態になった。JR東日本は在来線全線の運転を一時見合わせ、地震発生当時には首都圏で多数の帰宅困難者を生んだ。
発電施設の被害で、電力不足が広範囲で続き、一部地域で電力不足により停電も発生。節電が求められ、ついに東京電力は地域毎の計画的な停電、「輪番停電」の実施を決定。市民に広く伝えられたが、計画性にあいまいな点が多く、これに関してTwitter上でヤシマ作戦と呼ばれる節電活動が広まった。
放射性物質拡散の危険が高まり、福島県産の野菜や水産資源は出荷制限となり、関東地方の水道水や海から放射性汚染が確認された。それにともなって風評被害が増え、海外にも波及、根強い社会問題・貿易問題になった。
全国各地では停電に加え、コンビニでの食料品や水の買占め、逆の買い控え、ガソリンスタンドへの給油の殺到などが広まり、混乱が市民生活に悪影響を及ぼした。
全国各地では予定されていたスポーツ試合(Jリーグ、プロ野球、大相撲八百長調査)、学校(高校・大学の入試・卒業式)、イベント(博麗神社例大祭8・春コミ・九州新幹線開通式典)の開催、ゲーム(『龍が如くOF THE END』・『絶体絶命都市4』)発売、選挙などが、中止や延期、自粛となった。
テレビ放送については課題が残った。というのも、関東地方などは緊急地震速報での予測震度が4程度だったため、民放はこれを放送しなかったのである。これ以降、民放の緊急地震速報放送の強化、デジタル携帯電話網を使った通告(Jアラート)の整備に繋がった。
民放各局ではCMをほぼ中断して関連報道を続け、企業がCMを自粛し、代わりにACジャパンのCMが大量放送され、「あいさつの魔法。」に注目が高まった。
政府・交通機関などが呼び掛けたエコ対策の自転車利用推進は自転車利用者を国内で大幅に増加させた一方で、これまでの自転車に対する道路の不整備が祟り日本列島中をマナーの悪い暴走自転車が暴れまわり歩行者を襲うと言った別の社会問題が発生した。
NASAによると、今回の地震でプレート(岩盤)が動き、地球内部の質量分布が変わったことで自転速度が増し、1日の長さが100万分の1.6秒短くなったという。
被災“3県”ではない!
よく言われるのが東日本大震災での“被災3県”。だが、これは誤りである。
震源が宮城沖で、東北地方を中心とした被害だったため、東北地方に属する宮城県・福島県・岩手県で3県……としてしまうのだが、茨城県も全域激甚災害被災指定県である。
- 観測震度はほぼ全域で6弱以上、県西地区の一部のみ5強。
- 県央(水戸市周辺)・県北地区(日立市周辺)では老朽住宅の多数が倒壊、県南の土浦市でも全域で停電・断水・都市ガス断。
- ……と公式にはされているのだが、後に輪番停電の際に問題になった「東京電力ですら送電網分布を把握してない」せいで、市南西部の乙戸地区では給電されていた。
- 鹿行地区(太平洋沿岸)は津波で壊滅。
この誤った認識は震災に対して救済を行うべき行政や公共企業にも浸透しており、東北地方への救難が国家規模で速やかに行われるのに対して、茨城県は県庁が必死に県内でやりくりしていた。県央以北の殆どの地域で飲料水が不足したが、県外の組織で最初に持ってきたのはイギリス軍という体たらくだった。輪番停電では選りに選って最大の被害を被った鹿行地区を停電させ東京電力は大顰蹙を買い、ネットで大炎上した上に当時の橋本昌知事から一喝された。
皆さん、被災3県ではありません、被災4県です!! 茨城を忘れないでください!!
東電福島原発事故
福島の東京電力第一・第二原発が炉心溶融(メルトダウン)という危険な状態に陥り、半径10km圏内の周辺住民に避難指示が出された。一時安定化したと思われたが、第一原発1号炉で水素爆発が起こり、避難地域が20kmに拡大、現在、避難指示が解除された自治体は住民が激減したほか、避難指示が解除されていない自治体も複数存在している。
さらに3号炉も爆発し、2号炉の火災、1号炉の空焚き状態が立て続けに起こり、30km圏内が屋内退避地域に。放射性物質漏れと拡散の危険性が高まり、ついに被曝者も出した。作業員(プラントエンジニア)たち・自衛隊による復旧作業が続き、74式戦車まで動員し、国内外から注目を浴びた。現在では原子炉を冷温停止状態に誘導、これにより爆発の危機は遠のいた。
海外メディアは最後の瀬戸際まで尽力した大人たちを「Fukushima50」と呼んだ。またこれに基づく同タイトルの日本映画が制作された。
福島第一原子力発電所は廃炉作業に30~40年のロードマップにそって行っており現在は燃料デブリの取り出しの準備を行っている。
2023年、岸田文雄総理は汚染水からトリチウム以外の放射性物質を除いた処理水の海洋放出を決定し一つの区切りを付けた。
一方、宮城県女川町にある東北電力の女川原子力発電所は、地震と津波に耐え、被害を最小限に食い止めた。
支援
政府は災害対策本部を設置し、自衛隊を派遣。対立状態だった与野党は協力体制をとることで一致した。
天皇皇后両陛下は被災者にお悔やみとお見舞いを、救援関係者に労いの気持ちが伝えられ、対象外であった皇居の節電にも協力された。さらに3月16日には、自ら被災者と国民に向けて、昭和天皇の玉音放送以来という異例のビデオメッセージを発表された。
上記の節電とともに、民間の災害ボランティアの派遣、救援物資の輸送、各界著名人の励ましの言葉やチャリティー、募金活動が行われた。
アメリカ、ロシア、中国、台湾、韓国、イギリス、ドイツ、フランス、イラン、トルコ、インド、インドネシア、タイ、ニュージーランド、国連など世界各国100以上から哀悼の意と支援を表明し、レスキュー隊の到着や官民双方の義援金も届いている。米軍は空母を派遣し、当時在日米軍海兵隊の外交政策部次長であったロバート・D・エルドリッヂ氏が立案した救援活動「トモダチ作戦」を開始した。
アメリカ・オバマ大統領やロシア・メドベージェフ大統領は「被災地を復興するための準備はできている」と語っており、日本人の死者も出す地震(カンタベリー地震)が3週間ほど前に発生していたニュージーランドでは、被災者の安否を気遣う人々もいた。
支援の受付
現在も義援金・復興支援の受付を行っているところはあるが、寄附する前にリンク先を熟読する事。
岩手県
宮城県
福島県
安否確認投稿
被災された後、安否確認として電話、電子メール、Skype、ストリーミング配信サイト(ニコニコ動画のニコニコ生放送、Stickam、USTREAM)、その他インターネットサイト(自身のウェブサイト、ブログ、SNS(Mixi、Twitter、FaceBook))が利用された。
Pixivも自分で安否を出せるSNSであるため、Pixivでしか活動していない方は、パソコンや携帯端末でイラストやスタックフィードで自身の安否情報を発信しておくことを勧める。
なお、スタックフィードを使わない人がいることも考えて、閲覧者からユーザーあてにスタックフィードから連絡を送ることで、スタックフィードの存在に気付かせることができる。個人宛メッセージ送信を送る方法もあります。
関連イラスト
主に実録。
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震度7を観測した地震
兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災):1995年(平成7年)1月17日5時46分頃に淡路島付近を震源として発生した地震。『20世紀に発生した戦後最悪の震災』となり、観測史上初の震度7を記録した。死者・行方不明者数は6437人。
新潟県中越地震:2004年(平成16年)10月23日 17時56分頃に新潟県中越地方を震源として発生した地震。阪神・淡路大震災以来9年ぶりに震度7を観測した。死者数は68人。
平成28年熊本地震:2016年(平成28年)4月14日21時26分頃と4月16日1時25分頃にどちらも熊本県熊本地方を震源として発生した地震。国内観測史上初めて震度7を2回記録し、地震の回数も内陸直下型の中では歴代最多である。死者数は273人。
北海道胆振東部地震:2018年(平成30年)9月6日3時7分頃に胆振地方中東部を震源として発生した地震。北海道内初の震度7を記録した。死者数は44人。
令和6年能登半島地震:2024年(令和6年)1月1日16時10分頃に能登半島沖を震源として発生した地震。日本海側に大きな被害をもたらし、13年ぶりとなる大津波警報が発令される事態となった。死者数は34人。
海溝型地震
大正関東地震(関東大震災):大正12年(1923年)9月1日に相模湾を震源として発生した地震。『日本災害史上最悪』となっており、日本観測史上最大の死者数を誇る。死者・行方不明者数は10万5000人以上(1925年時点では14万2800人)。
※震度7は福井地震以降に導入されたたため、最大震度6となっているが、千葉県と神奈川県では現在の震度階級で震度7相当を観測したと推定されている。
発生が懸念されている巨大地震
南関東直下地震:関東地方南部直下を震源として繰り返されて発生している巨大地震。内陸直下型とは限らず、海溝型による直下型も推定されている。首都直下地震とも呼ばれる*(※「南関東直下地震(首都直下地震)= 東京都で起こる地震」ではない)。
南海トラフ巨大地震:東海・東南海・南海・(日向灘)を震源として繰り返し発生している巨大地震。歴代の地震の中には東北地方太平洋沖地震の規模を上回る規模の地震も発生している。
作品公開や制作内容において影響を受けたフィクション作品
- NO.6
- WakeUp,Girls!
- アイカツ!シリーズ
- あまちゃん
- 君の名は。
- コッペリオン
- ジョジョの奇妙な冒険 ジョジョリオン
- シン・ゴジラ
- すずめの戸締まり
- つり球
- 東京マグニチュード8.0
- 魔法少女まどか☆マギカ
- 八重の桜
東電福島原発事故関連
ヤシマ作戦 No_More_FUKUSHIMA Fukushima50
被災地関連
東北楽天ゴールデンイーグルス:この地震の影響を受け、チャリティーマッチを開催。
外部リンク
google東日本大震災(東北地方太平洋沖地震) 気象庁 | 東日本大震災 ~東北地方太平洋沖地震~ Yahoo!JAPAN東日本大震災(東北地方太平洋沖地震) 平成 23 年(2011 年)東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)について 東北地方太平洋沖地震 - wikipedia 東日本大震災 - wikipedia 何かできることは?
激甚災害:地震や風雨などの大規模災害のうち、被災地域や被災者に助成や財政援助を特に必要とするもの。
災害時における危険な心理
正常性バイアス(正常化の偏見):人間が予期しない事態に直面したときに物事を正常の範囲だと自動的に認識する心理が働くため、「大丈夫だろう」という理由を探して自分を安心させようとし、自分にとって不都合な情報を無視して過小評価してしまう。