概要
2011年10月2日から2012年3月25日まで放送された。
『デジモンクロスウォーズ』シリーズの第3期にあたる作品。ただし、1期と2期は分割されているだけで一つの物語として完結した為、事実上は『デジモンアドベンチャー』から見た『デジモンアドベンチャー02』の立ち位置にある。なので、主人公は新たに登場した明石タギル&アレスタードラモンコンビになっている。とはいえ、公式では別のアニメとしては扱われず、『機動戦士ガンダムAGE』のように主人公交代制の作品として扱われている。
このような特殊な立ち位置にある作品だが、クロスウォーズは本来、2期で完結する予定であったのが、急遽延長される事が決定した為。
正式名称が長いため、pixivでのタグは『時を駆ける少年ハンターたち』が殆どである。『デジモンクロスウォーズ』のタグと併用されることも多い。
このタイトルは、細田守の『時をかける少女』へのオマージュだと推測される場合もある(余談だが、『デジモンクロスウォーズ』シリーズのスタッフや声優には5期鬼太郎や墓場鬼太郎のメンバーが目立ち、細田守も4期鬼太郎および関連映画(大海獣や幽霊列車)を担当している)。
作風
歴代でも珍しい「デジタルワールドに行かない」デジモンシリーズであり、日常の裏に起こる様々なデジモン事件を『デジクォーツ』という異世界に解決しに行くという作風。方式としては『デジモンアドベンチャー02』や『デジモンテイマーズ』、『デジモンセイバーズ』に近い。
基本的にパートナーは1人につき1体という扱いであったこれまでのシリーズから一転、『デジモンクロスウォーズ』1期と2期では軍団戦をコンセプトに置く以上、ゾーンを跨ぐ毎に仲間が増えていくという歴代でも稀な作風を取っていたが、この仲間デジモンが増えていく試みを『デジモンを捕獲する』という今まででありそうでなかったポケモン形式で行なっているのが他のシリーズと大きく異なる点である(ゲームでもデジモンを仲間にする方法が捕獲である作品は少なく、『デジモンチャンピオンシップ』ぐらい)。
前作に登場したデジクロス体は公式設定に次々に組み込まれていったが、本作のデジクロス体は前作に登場したもの以外は全て『クロスアップ・〇〇モン』という名称で統一された。デジクロスが自由度に富んだシステムである一方で公式設定が膨大になりすぎるというデメリットが発生した為だろう。
しかし、話数が25話とクールが長めな深夜アニメと同様の短い尺だった為か、様々な問題が発生している。
一つは捕獲されたデジモンの空気化である。前期が『軍団戦』や『複数合体』をコンセプトとしている以上、どうしても多数のデジモンが登場しなければいけない状況が来るので普段はスポットが当たらない構成員にも活躍の場が意外な所で与えられたものだが、本作における『デジクロスできるのは1体だけ、場に出せるのも1体だけ』という制約も相まってせっかくデジモンを捕獲しても、捕獲した時点で出番が終了という事はザラである。
また、横軸の話ばかりで、本筋が全く進まないという点も挙げられ、明確に根幹設定が語られ出したのは最終盤の第22話ぐらいからである。
とは言え、DCD『デジモンクロスウォーズ 超デジカ大戦 ジェネラルストライカーズ』で踏襲された『アドベンチャー』から『セイバーズ』までの歴代キャラの総登場を本編で実現させたという功績は非常に大きく、各時代のパートナーの最強形態が登場している点も見逃せない(流石にパラディンモードはオメガモンを登場させ続ければいけないという制約上、出せなかったが)。
加えて、明確に登場できなかった人物もパートナーデジモンがシルエットで登場するという形で『彼らも世界のピンチに世界観の垣根を超えて駆けつけてくれた』と解釈できるカバーがなされている(それでも尺の都合上、やはり全員は登場できなかったが…)。
なお、『時を駆ける』というタイトルだが、時間旅行ものではないので注意されたし。むしろ先輩たちの方が時を超えている。一応、クロックモンが登場したりと時間要素はなくはない。
ちなみに主人公のパートナーデジモンの最終形態に究極体がいないという点も全く新しいポイントの一つである(公式ではアレスタードラモン:スペリオルモードは完全体の設定であるが、公式絵に採用されているのは何故か、最終回に登場したスペリオルモードのクロスアップ状態であり、劇中で登場した通常のスペリオルモードとは全く異なるデザインである。なので、通常のスペリオルモードが完全体で、クロスアップ状態が実質的な究極体になるのだろう)。
この他、前作では主人公格であるシャウトモンやメタルグレイモンが超進化できたが、本作では超進化できるデジモンが増え、今回はライバル陣営の3人にも超進化の力が与えられている。その影響で前作ではダメモンのモードチェンジとして扱われていたツワーモンが本作では超進化として扱われている(ただし、公式設定ではどっちも成熟期である。超進化とは…?)。
音楽面では前作に続き『TWILL』が主題歌を担当。また、これまでのシリーズでは宮崎歩氏や和田光司氏が挿入歌を担当するのが恒例であったが、『特捜戦隊デカレンジャー』で名を馳せていたサイキックラバーが初参加を果たしている。
あらすじ
時系列は第2期から1年後。前作の主人公・工藤タイキは前作の登場人物・天野ユウ、後輩の明石タギルと共にストリートバスケチーム「クロスハート」を結成し、平和な毎日を過ごしていた。しかし、ある日タギルが「デジクォーツ」という世界に迷い込んでしまい…?
用語
デジクォーツ
人間の住む世界とは異なる時間が流れる世界。苔むした市街地のような外観をしている。
ここに生息するデジモンは、人間の心の闇や欲望を使って自らの力を増幅させることができ、人間界で様々な事件を起こす。また、デジクオーツの建造物を食べている事も。
世界中にもデジクオーツは広がりつつあるが、そこに住むデジモンは大した悪事は起こさない。起点となった日本の方が出現しやすく、そこを目指すデジモンも少なくない。
そのデジモンを捕まえることを「デジモン・ハンティング」、通称「ハント」と呼ばれている。
ハンター
デジモンを捕獲する者たち。いわゆるテイマーに相当する存在である。
ハントに興味はなく、デジモンの脅威から人々を守るものや、コレクターやゲーム感覚で参加しているものもいる。
それまでのシリーズとは違って、選ばれし子供のように大層な使命を背負っていなくてもなれてしまう為、デジモンを捕らえる為ならばダーティな手も辞さない、悪く言えばエゴイストな者達がそれなりにいるのが特徴。明確な改心もなく、状況によって協力する事もあるというスタンスである。
ハンターになる資格は特にないが、時計屋のおやじに出会いクロスローダーを入手する事が最低の条件である。一方で、パートナーデジモンはクロスローダーとセットで与えられるわけではないので、ハントへの本格参加はパートナーの入手以降となる。パートナーデジモンの条件にも縛りはないので、元ジェネラルは再会したパートナーをパートナーデジモンとしている。
前作のジェネラルと全く異なる点としては、リロードできるデジモンは1人につき1体、デジクロスさせる対象もまた1体のみ。ただし、この問題は前作のグレートクロス同様に他者のクロスローダーを集結させる事で解消可能。他のハンターのデジモンを借り受けてデジクロスをするという芸当も可能である。
ハンターの真の存在意義、それは現実世界に侵攻するクオーツモンを捕獲できる人間を育成する事にある。
主要人物
前作からの登場人物
今作からの登場人物
主要デジモン
前作から登場するデジモン
今作から登場するデジモン
- ガムドラモン(CV:渡辺久美子)
- アスタモン(CV:櫻井孝宏)
- ドラクモン(CV:岸尾大輔)
- オポッサモン(CV:白石涼子)
- クロックモン(CV:丸山優子)
- ドーベルモン(CV:橋詰知久)
- ロコモン(CV:竹本英史)
- サブマリモン(CV:日比愛子)
その他人物
ゲストハンター/元・ジェネラル
ユウ様親衛隊
ゲストキャラ
- 黛カオル(CV:浅野真澄)
- マサル
- 戸塚(CV:遠藤綾)
- 杉本先生(CV:島田敏)
- 剣崎ムサシ(CV:緒乃冬華)
- 田村マコト(CV:小林ゆう)
- ショウタ(CV:野田順子)
- 須藤ミホ(CV:水橋かおり)
- カズミ(CV:赤羽根健治)
- ヒロヤ(CV:斎賀みつき)
- シンタロウ(CV:橋詰知久)
- テッペイ(CV:川名真知子)
レジェンドヒーロー
- 八神太一
- 大門大
- 初代アグモン/ウォーグレイモン/オメガモン
- アグモン/アグモンバーストモード/シャイングレイモン/シャイングレイモンバーストモード
- 本宮大輔
- ブイモン/マグナモン/インペリアルドラモン
- 松田啓人
- ギルモン/デュークモン/デュークモン:クリムゾンモード
- グラニ
- 神原拓也/アルダモン/スサノオモン/アグニモン
- 石田ヤマト(声はなし)
- メタルガルルモン
- 一乗寺賢
- スティングモン
- 太刀川ミミ
- パルモン/リリモン(シルエットのみ)
- 城戸丈(シルエットのみだがセリフあり)
- ゴマモン
- 牧野留姫
- レナモン/サクヤモン(シルエットのみ)
- 氷見友樹/チャックモン
楽曲と各話リスト
主題歌
「STAND UP」
- 作詞・作曲・編曲-kz(livetune)
- 歌-TWILL(徳間ジャパンコミュニケーションズ)
OPには本編未登場のデジモンが多く登場している。
ピコデビモン、トゲモン、ホエーモン、オニスモン、イガモンなどが未登場。ちなみに未登場デジモンのうち、OPのデジクロスシーンで映るのは何故か『デジモンセイバーズ』に登場したデジモンばかりである(写っているのはガワッパモン、ララモン、クダモン、ファルコモン、ガオモン)。
挿入歌
「タギルチカラ!」
- 作詞・作曲-YOFFY
- 編曲-大石憲一郎
- 歌・演奏-サイキックラバー
アレスタードラモンの進化ソング。タイトルは主人公の名前に掛けたもの。
「Shining Dreamers」
- 作詞-三条陸
- 作曲-岩崎貴文
- 編曲-大石憲一郎
- 歌-岩崎貴文
- 作詞-三条陸
- 作曲・編曲-山下康介
- 歌-YOFFY&岩崎貴文
各話リスト
- おれたち、デジモンハンター!
- 生徒たちが消えた!ゆらめくサゴモンの影
- ロボット部の夢、ピノッキモンの誘惑
- 優等生が狙われた!ブロッサモンの微笑
- かわいさ要注意!キュートハンター、アイルの罠!
- デジモン剣道勝負!コテモンの刃が迫る!!
- お好み焼パニック!パグモンだらけの街
- デジモンハント大繁盛!商店街のスゴ腕ハンター!!
- 狙われたタイキ!超セレブ・スターの雄たけび!
- 香港上陸!超美少女アイドルを守れ!!
- タギルがふにゃふにゃ!?ガムドラモン大ピンチ!!
- おいしい?まずい?デジモン・ラーメン勝負!
- 子どもだけの世界旅行!夢のデジモントレイン
- ハンター大集合!南の島のデジモン争奪戦!
- 友だち欲しい?フェレスモン悪魔の約束
- ドキドキ恐怖体験!心霊ハンターが吠える!!
- 似てる?似てない?変装怪盗ベツモン
- UFO・恐竜大集合!夢のエカキモン
- 海底大冒険!夢の財宝デジモンを探せ!
- レアカードが消えた!無敵のルークチェスモン
- 夢の遊園地、デジモンランド!
- 黄金昆虫!メタリフェクワガーモンの謎
- 今明かされる!デジモンハントの秘密!
- 伝説のヒーロー大集結!デジモンオールスター決戦!!
- 燃え上がれタギル!栄光のデジモンハント!
余談
最終章付近では様々なレジェンドヒーローが登場したが、シルエットのみでボイスが一切無かったキャラクターや、パートナーデジモンのみ登場したパターンも存在する。基本的にパートナーデジモンは現時点での最終進化として扱われているデジモンが登場。
パートナー名 | デジモン名 | 出典 | 備考 |
---|---|---|---|
武之内空 | ガルダモン | デジモンアドベンチャー | 外見はアドベンチャー時代のもの。 |
アイ・マコト姉弟(未登場) | 初代ベルゼブモン | デジモンテイマーズ | そもそもベルゼブモンは原作で単独行動が多かった為、今回も単独で来た可能性が高い。 |
井ノ上京 | アクィラモン | デジモンアドベンチャー02 | |
イクト | レイヴモン | デジモンセイバーズ | |
李健良 | セントガルゴモン | デジモンテイマーズ | マトリックス・エボリューションにより合体。 |
柴山純平 | ブリッツモン | デジモンフロンティア | 純平自身が進化している。 |
源輝二 | マグナガルルモン | デジモンフロンティア | 輝二自身が進化している。 |
火田伊織 | アンキロモン | デジモンアドベンチャー02 | |
秋山遼 | ジャスティモン | デジモンテイマーズ | マトリックス・エボリューションにより合体。 |
高石タケル(未登場) | エンジェモン | デジモンアドベンチャー02? | 最終進化系ではない。 |
八神ヒカリ(未登場) | エンジェウーモン | デジモンアドベンチャー02? | ヒカリは直接の登場はできなかったが、02時代が超デジカ大戦には参戦済み。 |
なお、超デジカ大戦に登場したキャラで藤枝淑乃とトーマ・H・ノルシュタインが登場していないが、作中描写を察するにクロスウォーズの世界には来ていたものと思われる。(他のキャラクターも同様に。)
また、藤田淑子氏がテレビアニメで八神太一を演じた最後の作品でもある。