解説
栃木県出身の男性声優。1946年7月16日生。青二プロダクション所属。
日本大学芸術学部演劇学科卒。クリスチャン。配偶者は柿沼紫乃で、約20歳離れた年の差婚であった。
栃木県出身であることから「とちぎ未来大使」などもつとめている。
非常に真面目な性格で、人柄が滲み出るような独特の柔和な美声の持ち主である。
憎めない三枚目キャラや、軽妙なコミックリリーフを得意とするが、『北斗の拳』のシンや『ドラゴンボール』のピッコロのようなニヒルな二枚目、ブルー将軍やホークス・アイなどのオネエ系、『聖闘士星矢』のタナトス、『ワールドトリガー』のエネドラのようなジャンプ系作品、美形悪役など、高い演技力で何でもこなし代表作多数。
またピッコロを筆頭に、『ONEPIECE』のポートガス・D・エース、『銀河英雄伝説』のオリビエ・ポプラン、『機動警察パトレイバー』の篠原遊馬、蒼坊主(ゲゲゲの鬼太郎(5期))|といった、「主人公の頼れる仲間」というポジションのキャラも非常に多い。三条陸が脚本に関する作品の常連。
吹き替えは『白バイ野郎ジョン&パンチ』のエリック・エストラーダ、『モンティ・パイソン』のテリー・ギリアムが有名である。
この他、舞台活動の傍ら、劇作家としていくつか自身で戯曲や脚本を手掛けてもいる。
2019年4月より青二塾東京校塾長に就任する。
性格
柔和で後輩の実力も素直に認める懐の広い大御所である。ツイッター等では最近の言葉なども取り入れて、インタビューでも使うことがあるなどかなりハイカラである。
一方で若い頃は血気盛んだったとのことで、同年代の同業者に対してばちばちにライバル心を燃やしていたという。
そういった負けん気の強さを物語るエピソードに風魔版ルパンを受けた経緯にも出ている。最初こそ偉大な大先輩である山田康雄の役を代わりに引き受けるなどできないと思ったという。
その理由として、恐縮なことに加えて「仮に受けても、オリジナルに似せればモノマネと嘲笑われ、独自の路線でよればお前如きがと鼻で笑われる。どの道を行っても負けが決まっている仕事」と考えた。しかしマネージャーに「他の方はみんな受けた。あなただけ逃げるんですか?」と挑発され、なにくそと一転してオファーを受けることにしたというエピソードがある。
略歴
声優としては1976年の『マグネロボ ガ・キーン』から主人公やメインキャラを演じるようになる。作品のタイトルコールや予告、ナレーターなどもつとめることも多かった、
1981年に演じた『うる星やつら』の諸星あたるは、女性と話すのが苦手な古川本人とは真逆なキャラクターだったが、これが当たり役となり、以降『Theかぼちゃワイン』の青葉春助のような三枚目キャラを多く演じている。
また、1978年~1986年にかけ、古谷徹、野島昭生、三ツ矢雄二などの声優仲間で結成したロックバンド「スラップスティック」でギターを担当していた。声優ユニットの元祖とも言える。
現在は大阪芸術大学教授をつとめ、後進の指導もつとめている。
フィギュアコレクター
かなりのフィギュアマニアで、自分の演じたキャラクターや、出演したアニメの関連ロボットのフィギュアを収集することが趣味。コレクション棚はものすごいことになっており、ホビー部屋が自宅に存在するという。
特にピッコロのフィギュアは、全てのバージョンを入手している。自身が演じていないピッコロ大魔王の物も所持している。
元々はファンから送られてきたものを眺めているだけだったが、次第にその魅力にハマっていったことが、コレクションするキッカケだったという。
いわく「カイ・シデンのフィギュア、もっとリリースされても、怒らないがなあ(*^_^*)」
逸話
好敵手「神谷明」
神谷明とはライバルや宿敵という関係で共演することが多いが、実際に当時は声優の数が少ないことに加え、演じる役柄が比較的近いこともあり、オーディションではしばしば同じ役を取り合ったという。本人曰く「神谷ちゃんというオーラを持った存在が居たから、自分は業界で損をしてきた」とのこと。
また、『北斗の拳』『シティーハンター』などの主役オーディションで神谷に続けて敗れたことから、尖っていた頃は神谷をライバル視してオーディションで勝つことを目標としていたことを度々ネタにしている。
一方でお互い「明ちゃん」「登志夫ちゃん」と呼び合う仲でもあり、アニメのみならずイベントやツイッター、プライベートでも度々交流している。
『ポプテピピック』イベントでは、お互い作品イメージの衣装を誂えて出演するなどもしており、これは古川が言い出したことだという。
ドラゴンボール関連
元々ハイトーンボイスのキャラを多く担当してきたが、ピッコロの演技はそれらのキャラとは大きく異なるため「低めの声を出し続けなければならなかったので、かなり難しかった」と語っている。
初登場時は若くてエネルギーに溢れた18歳位のイメージ、『Z』以降は30代をイメージして演じたとのこと。サイヤ人編の孫悟飯との修業シーンでは共演者であり、この頃の悟飯を気に入っていた八奈見乗児に「いい加減にしろよ!相手は子供なんだぞ!」と怒鳴られ、古川は「僕は声を演じているだけですが……」と困惑した。野沢雅子と荘真由美からも「悟飯をあまりいじめないで」と言われたらしい……。
また戦うシーンでは掛け声がすぐに尽きてしまうため、スタジオにあるものを掛け声の如く叫んでいたという話は有名。ピッコロがナッパとの戦いで死を迎えたときは「惜しまれて去るので、最期の場面は気に入っています。悟飯を特訓するところなど、人のいい面を見せて、やっと役柄がつかめたところなので残念です」と語っていた。
ルパン三世
憧れの声優は山田康雄で、芸を盗もうと出演作を録画し研究していた。
実際に『ルパン三世』の『風魔一族の陰謀』でルパンを演じる機会が巡り、複雑な経緯ながらも引き受ける事になる。
この時、オリジナルの声優陣も新声優陣もキャスト交代する事情をアニメ側からまったく知らされていないままキャスティングが行われたという酷い状況であり、キャスティングの交代の話があった事を古川から聞いて初めてこの事を知った山田康雄は、当然ながらアニメ側と承諾した原作者側へ非常に強い憤りを見せた。しかしモンキー・パンチも「山田ら4人には了承した上で交代してもらう」と説得されたため、激情家の山田の激怒電話で本人がなにも聞かされていなかったことを知り驚くとともに大激怒。東京ムービー新社(以下TMS)に強い不信感を抱くようになった。
『風魔一族の陰謀』キャスト騒動後
このような経緯もあり、新しいイメージで演じようとしていたものの、無意識に山田のイメージに引っ張られモノマネに寄ってしまったと語っており、ファンからの不評を受け、ルパン役は結局この1本だけで山田康雄に戻ることとなった。
後に一番つらい仕事は長寿アニメのキャラクターを引き継ぐことであるとも語っており(これ以外だとキン肉スグル役の代演にも厳しい意見が飛んできたとのこと)、妻も同じ経験をしたことから同調していた。
本作の騒動は最終的に全方面から追求されたTMSが「プロデューサーが逃げたんで解らん」で押し通してそこで幕引きになった。だが、後に残された形の古川にしてみればたまったものではなかった。そもそも、アニメの声優役があまりないことで知られる山田だったが、実はアニメで古川と共演したことがあった(劇場版『Dr.SLUMP』。ソフト化の際に『ほよよ! 宇宙大冒険』のサブタイトルが付けられた)。古川は原作・TVでのレギュラーキャラクターである空豆タロウ役、山田はラスボス格のDr.マシリト(同作のみ)だ。その憧れの先輩を激怒させてしまったうえ、事情を知らない当時のルパンファンからは強烈な怨嗟のこもった批判の手紙が殺到。本人も精神的に参ってしまっていたという。これを受けてか、一時期、古川はテレビアニメの声優としての出演数を絞り、特に「裏切り」行為を働いたTMS・NTV系列局とは距離をとっていたようだ。
だが、OVA『機動警察パトレイバー』の篠原遊馬役がスマッシュヒット、同作のテレビシリーズ化(事実上のリメイク)・劇場版化が決定する。ただ、パトレイバーのテレビキー局が日本テレビだったのはどういう心境だったのかは本人しかわからない。
そしてピッコロ大魔王役で本格的にレギュラー役でのテレビ復帰となり、Dr.スランプに続き鳥山明作品に深く関わることになる(ピッコロ役以前にもゲスト出演はしていた)。
一方で1995年に山田が死去し、後継が事実上栗田貫一となった際は、「モノマネ芸人にやらせるぐらいなら、実績のある古川ルパンを見たかった」という声も一部ではあるが存在した。2020年になって、本人も「再評価されて好意的な意見が届くようになり、ようやく出演作一覧に「風魔版のルパン」を堂々と載せられるようになった」と発言している。そして、2022年のwebアニメ『LUPINZERO』にて、ルパンの父・ルパン二世役での再登板を果たしている。
出演作品
アニメ
アニメ映画
OVA
立花@ミノタウロスの皿
ゲーム
ホリ・タイゾウ@ミスタードリラーシリーズnamco×CAPCOM | ホリ・アタル@ミスタードリラーシリーズ | ホリンガーZ@ミスタードリラーシリーズ ※一部作品 |
ジャン・リー@DEAD OR ALIVEシリーズ※4まで | 宗嶺厳@魁!!男塾※PS2版 | 蝙翔鬼@魁!!男塾 〜日本よ、これが男である!〜※故・戸谷公次の代役。 |
特撮
ナレーション@特捜戦隊デカレンジャー