概要
仮面ライダーシリーズでは、特に平成第1期以降強化フォームの登場が定番化・恒例化しているが、その中には強力なスペックが付与される代わりに、反動で変身者の身体や肉体に負荷がかかり疲労や後遺症を伴う形態や、変身者の意思を無視して暴走あるいは肉体の変質を引き起こすような形態も、少なからず存在する。このうち前者においては、初使用の際に変身を解除した後、出血したり胸を抑えるなどといった形でその身体的ダメージが演出されることも多い。中には変身するたびに寿命が縮み、死亡するケースもある。
こうしたリスクを制御・解消するには追加アイテムの働き、もしくは自力で克服することが多いが、形態によっては最後まで制御が効かないものもあるため、その場合はリスクを如何に軽減するか、もしくはリスクを甘んじて受け容れる必要に迫られる。
一覧
平成ライダー
『仮面ライダークウガ』
視力・聴力など様々な感覚を極限まで研ぎ澄まし、遠方の敵さえも正確に捉えられる能力を有する。
一方で、ペガサスフォームへの変身時には全身の神経が常時緊張状態に陥ることから、基本4フォームの中でも特に体力の消耗が激しく、変身可能な時間はわずかに50秒、しかもその時間を過ぎると強制的に変身が解除されるのみならず、2時間もの間再変身が不可能となってしまう。初変身の際には前述の特性を把握しきれておらず、相手にまともな有効打を与えるどころか一挙に押し寄せてきた多大な情報に混乱を来し、自滅も同然に変身解除に追い込まれている。
ライジングペガサスはペガサスフォームの強化版で、前述した超感覚に加えて射撃性能の面でもさらなる向上が見られるが、その分さらに著しい身体的負担を強いるため、変身可能な時間も30秒とさらに短くなった(一応、制限時間についてはライジング化に伴って他のライジングフォームにも共通して課せられるようになった)上、感覚がより鋭敏になった分下手に攻撃を食らったが最後、想像を絶するダメージを負うことにも繋がってしまう。
『仮面ライダーアギト』
警視庁が開発した特殊強化装甲服「G3」の強化発展版。
戦闘能力の大幅な向上に加え、理想的な攻撃方法を装着員に促す高度なAI機能が搭載されるなど、G3以上のスペックを叩き出す形態である・・・のだが、このAI機能が実は曲者であり、最適な動きを実現するために装着員の意思を無視した挙動を強いるため、装着員の体力の消耗や意識喪失、ひいては暴走状態に陥るという致命的な問題点を孕んでいる。作中でもV-1システムとの制式採用を賭けたコンペの際、この問題点が表出し暴走したG3-XがV-1を破壊、さらには出動命令が出ていない状態でアンノウンを撃破するという挙動を示している。
このため、AIの指示に同調可能な人間を装着員候補とするという試みを経て、最終的にAIの機能を制御することでようやく、上記した問題を解消するに至っている。とはいえ、後にこのシステムをより先鋭化した、人命を度外視した危険な存在が生み出されることともなるのだが・・・。
『仮面ライダー剣』
13枚のラウズカードを揃えることで変身可能となる強化形態。
攻撃・防御共に桁違いの強さを発揮し、通常形態では撃破・封印不可能なトライアルシリーズさえもことごとく打ち破るなど、作中において名実ともに最強と言える形態である。
しかし、カテゴリーKのアンデッドと融合して変身するという本来の想定とは異なり、13体のアンデッド全てと融合状態にあることから、変身を繰り返す度にアンデッドとの融合が進行し、最終的にジョーカーへと変貌――即ち人間でなくなるという重大な危険性を伴っている。そして物語最終盤では全アンデッドの封印と、それに伴ってジョーカーが勝者となったことによる世界の破滅を食い止めるべく、前述した「副作用」を逆用しその危機を回避するのだが・・・代償はあまりにも大き過ぎるものであった。
上述の他にも戦闘後に強烈な眠気に襲われる副作用もあり、寝落ちしたところを襲撃されることもあった(ある人物のお陰で事なきを得たが)。
『仮面ライダー電王』
とある経緯から入手した、赤いゼロノスカードを使用し変身する強化形態。
従来の2フォーム以上の性能と、デネビックバスターを用いた強攻を得意とするが、変身に使用する赤いゼロノスカードには、使用の度に「変身者にまつわる周囲の人間の記憶を消費する」という代償を払う必要があり(この性質自体は従来の2フォームでも同様であったが、それらが「未来」の桜井侑斗の記憶を対象としたものであるのに対し、赤いカードは「現在」の侑斗の記憶が対象とされている)、変身の度に記憶が失われることでゆくゆくは変身者の存在そのものが維持できなくなるという重大なリスクを抱えている。
『仮面ライダーキバ』
素晴らしき青空の会が運用する、対ファンガイア用パワードスーツ。
セーブモードはその基本形態であるが、この当時のイクサはまだロールアウト直後でシステムが不完全であったことから、長時間運用することで変身者の身体に著しい負荷を与える、極めて危険な代物となっている。これは人間ばかりでなく、他の種族の者であっても例外なく適用されるため、これを逆用してファンガイアに敢えて変身させ、長期戦にもつれ込むことで多大なダメージを与えたケースもあったほどである。
その後改修が重ねられたことにより、現代(2008年)運用されている同形態ではこのリスクはほぼ解消されているが、その間新たに実装された「バーストモード」もやはり長時間の運用は負担が大きく、長時間運用に伴うリスクの完全な解消は、さらなるアップデートにより「ライジングイクサ」への変身が可能となるまで待つこととなる。
『仮面ライダーW』
通常のダブルとは異なり、フィリップが主体となって変身する強化形態。
野獣のような戦闘スタイルを得意とし、格闘能力でいえば基本の9フォームを凌ぐだけの強さを発揮するが、フィリップの安全を確保するためならば手段を選ばず脅威を排除するファングメモリの特性ゆえに、初変身の際も含め暴走状態に陥ることもあり、フィリップからは長きに亘って変身を拒絶されていたほどである。
『仮面ライダーOOO』
同じ属性の3つのメダルを用いて変身する形態。
それぞれが持ち合わせている固有の能力を駆使し、強大な力を発揮することができるが、(タトバコンボを除く)各コンボ形態への変身中は高いエネルギーを全身から放出するため、変身する度に著しい肉体の消耗に襲われてしまう。
さらに、物語後半から登場した「プトティラコンボ」は、これに加えてメダルの特性により変身者の意思を離れて勝手に変身・暴走することもある上、変身を重ねることでの五感の喪失や身体そのものの変質により、最終的には敵と同質の存在への変貌すら引き起こすなど、前出のキングフォームとほぼ同様の危険性までも備わっている。
『仮面ライダー鎧武』
極ロックシードを使い変身する最強形態。
作中に登場する他のアーマードライダーの武器を自在に駆使し、オーバーロードインベスにも対抗可能な強さを発揮。さらにはヘルヘイムの森の植物を任意に生やしたり、壊れたロックシードを自力で即座に再生させたりと、作中でもトップクラスの実力の持ち主である。
とはいえ、そうした人智を超えた能力を得た代償として、変身者自身もオーバーロードと同質の存在へと変質していくという、前出のキングフォームやプトティラコンボと同様の副作用の表出も引き起こしている。こちらも物語最終盤では同様に、人間であることを捨てたライバルとの決着を付けるべく、自らの意思でオーバーロードへと変貌を遂げている。
ヨモツヘグリロックシードを使用して変身する強化形態。
変身者の生命力と引き換えに、主役ライダーの最強形態に比肩するほどの強さを発揮するという、自分の生死を度外視した形態である。本来ならば変身しているだけで身体に激しい負担がかかり、まともに戦える状態ではなくなるため、作中この形態で戦えたのもあくまで相手への尋常ならざる敵意で、無理くりその苦痛を抑え込んでいたがゆえに過ぎない。
『仮面ライダードライブ』
シフトデッドヒートを使用して変身する強化形態。同じアイテムを2人のライダーが共有し、かつ変身後の姿もその大部分が共通しているという、シリーズでも珍しい形の強化が特徴である。
そもそもが敵の暴走状態への対抗手段として、その状態を再現するという設計思想であることから、スペックの上昇と引き換えに一定時間を超えるとタイヤがバーストして暴走、敵味方の区別なく攻撃に及んでしまうという危険性を伴っている。そのため、片方のライダーがこの形態に変身する際には、もう片方がブレーキ役として、必殺技などで強制的に暴走を止めてやる必要がある。
後に、マッハの方は自力で暴走状態の制御に成功しているが、ドライブの方はリスクの克服について最後まで明確な描写はない。もっとも、ドライブはこれとは別にさらなる強化形態が複数実装され、この形態に積極的に変身する理由がなくなったため、物語後半では実質的にマッハ専用の形態として運用されることとなる。
『仮面ライダーゴースト』
アランがメガウルオウダーとゴーストアイコンを使って変身する仮面ライダー。
頭部装甲「フリンジデコイリフレクター」には分身体を作り出す機能が、「サプレッションフード」には残像を発生させる機能があり、更に体を液状化させ物理攻撃を無効にする能力も有しており、防御性能も非常に高い。眼魔コマンドやパーカーゴーストを操って支配する能力も持つ。
その高性能と引き換えにエネルギー消費は非常に激しく、エネルギーが切れるとクリアグリーンのライン「ベイパーベッセル」が黒へと変色し自動で変身が解除される。そのため眼魔の力を補充して維持しなければならなず、さらに液状化能力はアバターを失い生身になってからは使用できなくなるなど制約も多い。
このうちエネルギー切れについては、物語後半にてアランがフミ婆の死を乗り越え、精神的に成長したことにより解消されている。
『仮面ライダーエグゼイド』
ガシャットギアデュアルβで変身する強化形態。
初変身当初は強大な戦闘能力をまざまざと示した反面、これまで使用していたガシャットが最高レベル5だったことでレベル10倍の文字通り桁違いのパワーに圧倒され、一時的にファンタジーゲーマに意識を乗っ取られかかる一面もあった。
胸部を保護する鎧「ダークロードキュイラス」に搭載された装着者への負担を前提にした戦闘能力強化システムのせいで変身者への負担は決して少なくない為、戦闘が長引くと肉体に負担が蓄積してまともに動けなくなる危険性を孕んでいる。変身を解除した直後に飛彩が胸を押さえて苦しむ様子も見られた。
久々に再び手元に戻ってからは負担に苦しむ様子も見られなくなっていた。
『仮面ライダービルド』
ハザードトリガーを使用して変身する強化形態。従来の強化フォーム以上の強さを発揮し、さらに派生形態からも変身可能であるがゆえに、基本形以外にも複数の姿を持つという、些か変わり種ともいえる形態でもある。
一方で、変身中は闘争本能を刺激し続けることで異常なまでの強さを引き出すため、長時間変身状態を維持することは暴走・・・というよりは余計な思考や感情の排除を引き起こし、単に対象の破壊や抹殺のみを優先する、一種の戦闘兵器と化す危険を伴っている。思考や感情を排除しているために、目に映る対象が本当に「敵」であるかを判別できないという点も、その危険度に拍車をかける格好となっている。
後に発明された強化アイテムにより、本形態をベースとしたより上位の強化形態への変身能力を得たことで一応の解決を見たものの、(慣れによって理性を保てる時間こそ伸びたとはいえ)本形態そのもののリスクの根本的な解消は最後まで果たされなかった。
『仮面ライダージオウ』
ゲイツリバイブライドウォッチで変身する強化形態。
攻撃力と防御力に特化したゲイツリバイブ剛烈、スピードに特化したゲイツリバイブ疾風の二形態を自在に使い分けて戦う。「時間を圧縮したり、引き伸ばしたりする事でパワーやスピードを上げている」ことから、本質的には圧倒的なパワー・スピードによるゴリ押しともいえるスタイルでもある。
圧倒的な能力を引き出す一方で、その原理が原理なだけにゲイツ自身にもかなりの負担がかかっており、劇中では1度戦闘するだけでに既にフラフラ、鼻や眼からは出血する症状が出ている。
もっとも、本編中では特に言及されて無いが、変身する度に慣れて克服しているようで、物語が進むに連れて前述した症状もあまり見られなくなっていった。
令和ライダー
『仮面ライダーゼロワン』
シャイニングホッパープログライズキーで変身する強化形態。
最大の特徴として額に演算処理装置「シャイニングアリスマテック」を持つ。敵をラーニングする事で行動を予測して約25000通りの対処パターンを算出、約0.01秒で最適解を導き出す事が出来る。
それは変身者の潜在能力を強制的に引き出す能力も備わっているため(イズ曰く力の前借り)、必要に応じて敵を上回る戦力を発揮出来るが、戦闘後は強烈な負荷に見舞われてしまい、実際戦闘後の或人は強烈な筋肉痛に襲われていた。
アサルトウルフプログライズキーで変身する強化形態。
胸部中央の「オービタルバインダー」は各種センサーからの情報をもとに捜索から戦闘までの一連の動作効率を最大化する補助を行うが、一方で安全装置や生命維持装置などは一切廃されている。
そのため使用者への負担は極めて大きく、初変身後の不破は吐血し立つこともままならなかった。連続使用でのダメージが重なり「次変身したら死ぬ」と警告されても尚使用を強行したため、見かねた唯阿が戦闘中無理矢理キーを外して変身解除させるほどだった。
しかし、変身する度に徐々に慣れ始め何の負担も見られなかった。…と思いきや、その慣れ(とそもそもこの形態に変身できたこと)には不破本人も知らないとあるカラクリが仕組まれていた。
『仮面ライダーセイバー』
使用する聖剣と同系色のワンダーライドブック3冊で変身するワンダーコンボ形態。
ワンダーコンボになれば、剣士の持つ力を最大限に引き出すことができる。
一方で、剣士への負担も通常の3冊で変身した時以上であるため、使いこなすには相応の修練が必要になる。
初変身の際には、ソードオブロゴスの剣士ではない普通の小説家の飛羽真が、変身解除後フラフラになっていた程である。
『仮面ライダーリバイス』
デモンズドライバーとスパイダーバイスタンプで変身する仮面ライダー。
このドライバーは、悪魔を内部に幽閉し、システムの中枢としている。五十嵐三兄妹と異なり、悪魔獣となるような普通の悪魔しか持たず、かつ第1話の時点でその悪魔も既に倒されていたヒロミが変身できたのはこのためである。
意思が現れる時は「オーインジェクター」にバイスタンプを押印した時に表示されるのと同じ紫色の目が浮かび上がる。幽閉されている悪魔は片言でしか喋れないが、装着者にとって危険な変身を促す貪欲かつ凶悪な人格である。
この事実が明るみに出たのは、ヒロミの身体の変調が深刻化して大分経ってからのことであり、加えて本来ヒロミとは別の人物のために作られた存在であるらしく、変身する度に使用者の命を食らうという危険すぎる代物であったことが判明した。
その後幽閉されていた悪魔の脱走や、これに代わる人体強化エンジンの搭載などを経て、前述した危険性の解消のみならず量産化までも可能となった。
牛島光が特訓の成果として4つのゲノミクスチェンジを連続で行った形態。。この時はオルテカのデモンズが披露した「クワッドゲノミクス」を超えたバッタ、コンドル、スコーピオン、アノマロカリスバイスタンプの4重ゲノミクス。
オーバーデモンズはドライバーにベイルが入っていない都合上ゲノミクスチェンジの連続稼働時間が通常のデモンズの3分の1に抑えられている事に加えて、オルテカや五十嵐家と違い変身者本人がギフの遺伝子を持たない常人であったりと非常に制約が多い中、光は対赤石の為の猛特訓の末に短時間ながらこれらの制約を克服した。結果、赤石が変身したギガデモスを追い詰めた程。
ただし、デモンズドライバーにバイスタンプでの押印を重ねるにつれてキャパシティーオーバーとなった安全装置が段階的に解除される様になっている。
その為、最大出力を発揮する代償として変身者への負荷が激増するリスクが伴っている事もあってか、完成するまでに非常に時間が掛かるリスクもある。
結果、その反動で光自身も多大なダメージを負い、戦線を離脱する事となった。
『仮面ライダーギーツ』
ブーストレイズバックルに、飛来した4つのブーストバックルが合体して誕生したブーストマークⅡレイズバックルする強化形態。
強力だが、使用後の肉体への負荷が想定以上だったらしく、「英寿が人前で眠る」「変身解除後反動で倒れる」等、徐々に影響が酷くなってきている。ギーツのサポーターであるジーンは「極限のスピードに身体が慣れていない」と評している。 また、変身中でも眠気は襲って来るため長時間の変身は持たない。
サポーターが持つレーザーレイズライザーをセットすることで、より強力なレーザーブーストフォームに変身することも可能で、これによって前述のリスクも制御できるようになった。
ジャマトバックルを使用すして変身する形態。
全能力がかつて愛用していたゾンビフォーム、及び元となったジャマトライダーよりも高い破格のスペックを有する。
ジャマトバックルを無理に使っている悪影響で使い手にも大きい反動が残り、一度変身しただけで解除後には歩くのがやっとという程憔悴してしまう。
しかも、ジャマトバックルを使用している影響で肉体がジャマト化するというリスクも抱えており、道長の場合たった一度変身した段階で左腕が植物化(=ジャマト化)するという現象に見舞われた。