基礎データ
全国図鑑 | No.0987 |
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パルデア図鑑 | No.379 |
ローマ字表記 | Habatakukami |
分類 | パラドックスポケモン |
タイプ | ゴースト/フェアリー |
特性 | こだいかっせい |
高さ | 1.4m |
重さ | 4.0Kg |
せいべつ | 不明 |
タマゴグループ | タマゴみはっけん |
他言語版の名称
ドイツ語 | Flatterhaar |
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英語 | Flutter Mane |
スペイン語 | Melenaleteo |
フランス語 | Flotte-Mèche |
イタリア語 | Crinealato |
韓国語 | 날개치는머리 |
中国語(簡体字) | 振翼发 |
中国語(繁体字) | 振翼髮 |
概要
ムウマのこだいのすがたと思われるパラドックスポケモン。
名称の由来はそのまま「羽ばたく髪」からで、ある意味仮称に近い。
その名の通り、現代のムウマにある髪状の部分が長く伸びて、2対4本の翼のような束になっているのが特徴。下の1対は腕のように扱う事もできるようで、笑う時や欠伸の際は先端を口元に持っていく様子が見られる。
頭頂部には赤い鶏冠のような突起物も生えており、下部も鳥の脚に見える尖った形なため、一説では「死した古代の翼竜の魂が転生した姿ではないか」とも云われている。
基本的に夜行性で、髪状の部分をなびかせながら夜空をゆらゆら飛びまわる点は我々の知るムウマと同じだが、他のパラドックス同様生態については殆ど明らかになっておらず、ムウマージへの進化も確認できない。
気性はとても荒く好戦的とされるが、佇まいは優雅であり、作中では遭遇しても自発的に襲ってくる事は少ない。
全体的な体色は色違い含め概ねムウマに準じるが、「翼」のうち向かって右上の1本のみ他より色が淡く、「足」も向かって右前の1本のみ鶏冠と同等の赤色になっているという、アシンメトリーな配色が目を引く。
こちらの色違いの場合、右上の翼は完全に色が抜け落ちて白色になってしまうが、鶏冠や足の赤色は変化がない。
デザインはクエスパトラ、コジオ/ジオヅム/キョジオーンと並んでありがひとし氏が担当した事が明かされている。
ありが氏は大のムウマ好きであり、Twitterでたびたびムウマの写真をあげていたりする。
対戦での評価
フェアリータイプを複合しており、ミミッキュ以来2例目のタイプとなっている。
ステータス的にはムウマ系統がよりピーキーになった形となっており、後ろ半分が大幅に引き上がる一方で前半分はむしろ低下し、物理耐久に関しては髪ならぬ紙同然(数値にしてゼニガメ未満)になってしまっている。
弱点2・1/4以下4と優秀な複合だが、低い「HP」故に等倍の特殊技でも意外と持っていかれるので過信は禁物である。ムウマ系統と異なり「ふゆう」も持たないため、じめんタイプにも強く出ていきにくくなっている。
体重が4.0kgと最軽量級であるため、相手が20kgで既に「ヘビーボンバー」が最大威力に達してしまうという点にも注意したい。弱点の物理技なので、喰らえば当然ぺしゃんこである。
能力の偏りが極端なので、基本的には圧倒的な「とくこう」と「すばやさ」に物を言わせた高速特殊アタッカーが適任となる。
特に「すばやさ」は一つのラインであった「130族」を優に上回っており、そこに「こだいかっせい」によるブーストまで掛けられるため、多くのポケモンに先手を取れる。
相手側も何らかのブースト手段に頼らない限りこのポケモンを抜くのは困難と言え、特に「こだいかっせい」発動時は「こだわりスカーフ」を持ち出しても大半のポケモンが追い付けなくなる。
習得技はゴーストタイプの中でも器用な部類に入るムウマ系統を基本に、フェアリータイプに合わせて「ムーンフォース」も習得するため、相当な範囲の広さを誇る。
一致技だけでも大半の相手に等倍以上を突ける事はミミッキュが散々証明してきた通りであり、数少ない例外であるカエンジシには「パワージェム」、タギングルには「サイコショック」と、不利な相手に対抗できるサブウェポンも用意しやすい。
名前や見た目に反してひこう技やドラゴン技は全く習得しないが、習得技だけで大抵の相性補完が効くのでさほど問題にはならない。
ただし「サイコキネシス」や「おにび」など、ムウマ系統にしか使えない技もいくつかある。先制技の「かげうち」も、ムウマ系統ではタマゴ技に指定されているためか覚えられない。
欠点は先述の紙防御と、技の威力が低めに留まる(現実的な選択肢になる技で威力が100を超えるものは一つも無い)点で、抜群が取れないと意外と討ち漏らす事も多い。
テラスタルで火力を上げてゴリ押しを図る手もあるが、ある程度の耐久がある相手ならそれも凌いでくる。こちらは一発耐えられれば上々という耐久水準なので、相手もテラスタルを使用するなどして確定数をずらしてくると、返り討ちの危険性も高まってくる。
高速アタッカー御用達の「きあいのタスキ」にしても、先制技が無いため相手も持ち出してくると分が悪く、タイプ相性で透かせる「でんこうせっか」や「しんそく」持ち以外には次のターンに討ち取られてしまう。
特にハッサムには特性テクニシャンから繰り出される「バレットパンチ」でいとも簡単に倒されてしまうので天敵と言える(ほのおテラスタルを切れば一回くらいは耐えられるので、タイプ一致になった「マジカルフレイム」で焼き払えるが)。
こうした事情から「引き際」の見極めが重要になってくるが、その際「こだいかっせい」の発動に「ブーストエナジー」を使ってしまうと素早さ上昇が一度しか起こらず、その後のサイクル戦をもちものなしの状態で戦う事を強いられてしまうという注意点もある。
他のパラドックスポケモン同様、ネット対戦ではシリーズ2から出場が解禁され、早速ドラゴンやあくに強い枠として活躍した。シリーズ1で先発安定だったマスカーニャ(「すばやさ」123)が軒並み姿を消したのはだいたいこいつのせい。
高速特殊アタッカーの定石通り「こだわりメガネ」を持ってひたすら「ムーンフォース」を上から叩き込む型がシンプルに強力で、テラスタルもフェアリータイプが大半を占めた。
ダブルバトルでもその高速と高火力を活かして大活躍、と言うか隣から即時にサポートや追撃を入れられるこちらの方が羽を伸ばせるまであり、「特化カミのメガネ『マジカルシャイン』耐え」は耐久調整の一つの指標となった。
だが、本種の真の強みはここからである。素の能力が高い事に加えて「こだいかっせい」での補強も可能な事から、アレンジ性・拡張性も非常に高かったのである。
極端な話、「すばやさ」の担保を「こだいかっせい」任せにして物理耐久をがっつり補強するといった、一般的には「変態型」とされるような育成すら普通に機能させてしまえた。先手で「あまえる」や「めいそう」を放つという手もあり、流石に「ふういん」と組み合わせた発動妨害がメインであったが「トリックルーム」を持ち出す事さえあった。
結果、半ばハバタクカミ同士でメタゲームが回り始めるような状況が発生するに至る。
元々テラスタル自体にそれを助長するような性質があったのだが、本種はカイリューと並んで象徴的存在となり、多くの役割を一手に担うようになっていった(逆に言うとゴースト・フェアリーを中心に、本種に立場を脅かされるポケモンが続出した。ムウマ系統も例外ではない)。
程無くしてシングルでは「でんじは+たたりめ」の半サポート型、ダブルでは「まもる+みがわり」同時搭載で相手の攻撃を捌く型などが出現。
シーズン3の真ん中頃になると、「とつげきチョッキ」セグレイブで特殊を受け、ヘイラッシャで物理を受け、その隙にハバタクカミを通す「セグカミラッシャ」構築が流行。ついにシングル・ダブル共に使用率1位に鎮座した。
ちなみに、このような記録はポケモンシリーズ全体を通しても第7~8世代の霊獣ランドロスと禁止級解禁時のザシアン、シーズン1のサーフゴーが残している程度であり、圧倒的と言うほかない。
PWCS2023世界大会Day1での使用率は実に71.7%に達し、優勝者も使用者の一人であった。
それからも、「ほろびのうた」型、「あまえる+みがわり」クッション型、「あまえる+いたみわけ」半耐久型、対はがね重視ほのおorみずテラスタル型、ヒードラン崩し「めいそう+じめんテラバースト」型、いわテラスタル「パワージェム」型、でんきテラスタル「10まんボルト」型、「くろいまなざし」型、「こごえるかぜ」型などが代わる代わる出現し、カイリューと共にトップメタを張り続けた。
もっとも、これらは全て基本型と言える「ムーンフォースorマジカルシャイン」アタッカー型の圧力あってこそと言え、結局のところ素直に火力系アイテムやフェアリーテラスタルで一致火力を伸ばすのが一番強いという意見も根強く残った。このあたり、型が多様化し過ぎて何が基本かも定義し難くなったカイリューとは似て非なる存在である。
DLC「藍の円盤」で追加されたステラテラスタイプとも相性が良く、癖の強いステラ「テラバースト」を使いこなせるポケモンの一種となった。露骨にテラスタル受けされがちな上に、使用後の火力低下も足の速さでリカバリーしやすいためである。
優秀な複合タイプを崩さずに戦えるという点も評価された。
ハバタクカミの真の強力さは数多くの型が存在しているが、結局は王道の型を無造作に使うだけでも強いという点にある。
また前評判では物理耐久を不安視されていたが、環境を荒らすにつれて「物理で処理しないとパーティを崩壊させられる」と評価が変わった。
なお、こうした幅広い型の開拓とマルチな活躍には9世代におけるフェアリータイプの事情も関係している。現在SVに存在するポケモンを確認すると分かるのだが、カプ神が実装されていない。彼等はフェアリータイプの準伝説ポケモンであり、メンバーの誰かしらが常に存在感を放ち続けていた強豪なのだが、藍の円盤が配信されてからも追加されることは無かった。そして、ハバタクカミ以外の実装されているフェアリーポケモンは種族値やシステムとの相性から性能が一線級とは言い難いポケモンばかりとなっており、環境で流行し得るほどのパワーを持ち合わせていない。
故に現環境では総合力の高いフェアリー枠を求めるとほぼハバタクカミ1択になってしまうという凄まじい層の薄さが本種の開拓・活躍を後押しすることとなっている。特に物理耐久特化という種族値に逆行してると言える型はもともと高い物理耐久を誇る彼女が実装されていたら開拓はかなり遅れていたかもしれない。
「金策ニンフィア」ほどではないものの、学校最強大会への適性も見出された。同じ大火力のフェアリータイプであり、「おきみやげ」でいつでも中断できるという独自の利点もあった。誰が呼んだか「ハバタクカネ」。
ただし、仕様上ゲーム開始時にニャオハを選んでいるとクラベル校長に安定しなくなるという明確な欠点があった。「藍の円盤」以降は強化が入り、いずれも自動周回は困難になっている。
余談
翼竜の幽霊という説があるハバタクカミだが、現実に存在する翼竜の中には超常的な存在に関連付けられた学名をもつものが存在している(例:現地先住民の言葉で『使い魔(精霊)』や『年老いた悪魔(古き悪霊)』、土着の神の名にちなんだものなど)。「ハバタクカミ」は「羽ばたく神」とも読めるが、あながち間違いではないのかもしれない。
『SV』のモチーフとなったスペインではエウロペジャラやイベロダクティルス、ランフォリンクスなど複数の翼竜が産出しておりそれらとの関連も考えられる。
また、こうした学名をもつ種の多くはラテンアメリカで発掘されており、かの地にはスペインの植民地が多数あった事でも知られている。有名な化石産地であるアラリッペ盆地を擁するブラジルなどは旧ポルトガル領であるが、『SV』の舞台は明らかにポルトガル領にあたる部分にまで及んでいるので、このあたりも大きな問題ではないかもしれない。
ほとんどのパラドックスポケモンは「ザ・ホームウェイ」をクリアした後から野生出現するようになるが、ハバタクカミはサケブシッポと並んで最初に訪れた時から野生で出現する。
夜の時間帯かつ洞窟判定のエリアでしか出会えないが、第一観測ユニットと第二観測ユニットの間にある長い坂道の途中にある小さな横穴(「じしん」のわざマシンが落ちている)が対象に含まれており、運次第では初のパラドックス戦と位置付けられるサケブシッポとの戦闘イベントよりも先に戦え、捕獲までできてしまう。
順路通り進んでもこの先深部でいくらでも出会えるので大きなメリットはないが、既にワイルドさ満点の怪しいポケモンと主人公が目の前で戦って(あまつさえ捕まえて)いるのに、サケブシッポ戦で仲間たちが改めて驚くという少々シュールな光景を見る事ができる。
ちなみに『バイオレット』ではテツノコウベが近いポジションになっており、先方は昼夜問わず出現するため自然遭遇する可能性がより高くなっている。
夜限定のポケモンは珍しくないが、ハバタクカミは出現判定が他と異なっているようで、昼の時間帯にサンドウィッチでゴーストのそうぐうパワーを付けると特殊な挙動を起こす事が知られている。
- 他の夜にしか出ないポケモンはそうぐうパワーを付けても全く出現しない。おそらく、昼にはそもそものエンカウントテーブルから外されていると思われる。仮に昼にゴーストタイプが全く出ない場所でゴーストのそうぐうパワーを付けた場合、対象となるポケモンがいないために効果が無く、ゴーストタイプ以外のポケモンが通常通り出現する。
- 一方ハバタクカミの場合、先述の出現場所でそうぐうパワーを付けるとポケモンが一切出現しなくなる。これはつまり、対象となるポケモンがエンカウントテーブルに残っているということだろう。ハバタクカミは昼に「出なくなる」のではなく、「出ているが視認できない速さで消えている」という扱いになっているのだと考えられる。
- そして、この挙動には更なる例外が存在している。色違いである。色違いは元々簡単に消えて取り逃がす事が無いように設定されているのだろう。昼のハバタクカミであっても、消えずに夜と同じ挙動で漂い続けるのである。
これを利用すると、昼にゴーストのそうぐうパワーを付けていい感じのところで放置するだけでハバタクカミの色違いを探す事ができてしまうわけである。
関連イラスト
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0986.アラブルタケ→0987.ハバタクカミ→0988.チヲハウハネ