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曖昧さ回避

  1. ギリシャ神話の英雄。本項ではこの人物を説明する。
  2. ゲーム「チーターマン」の登場人物。3兄弟の次男

概要

ギリシャ神話に登場する半神半人の英雄。

ギリシア神話に登場する多くの半神半人の英雄の中でも最大最強の存在である。

後にオリュンポスの神に連なったとされる。

まさしく人間離れした怪力を誇り、棍棒や強弓を得物とする。後には自身の怪物退治を通して入手した獅子の鎧兜やヒュドラの毒矢といったアイテムも戦力に加えている。怪力のイメージが強いが決して力押し一辺倒の脳筋系ではなく、下記の偉業でも見られるように敵の弱点を見抜いて的確に攻略することにも長けた戦闘巧者でもあった。


生い立ち

神々の王・ゼウスと人間の女性アルクメネーとの間に生まれた。

母の家系はあの『メデューサ』を退治した英雄・ペルセウスの子孫であり、ミュケナイ王家の血を引く。

幼名をアルケイデースといい、後述する12の功業を行う際、ティリュンスに居住するようになった彼をデルポイの巫女が 「ヘラの栄光」を意味するヘラクレスと呼んでからそう名乗るようになった。

しかし、その名前とは裏腹に父・ゼウスの妻であるヘラからはトコトン嫌われた。

実子ではなく愛人の子なのだから好かれないのは当然かもしれないが……。

  • ゼウスが「今日生まれる最初のペルセウスの子孫が全アルゴスの支配者となる」と宣言⇒出産の女神に「誕生を遅らせてこい」⇒結果、7か月で後にムチャぶりを出す親戚のエウリュステウスが先に誕生。明らかに小物であるエウリュステウスの下僕として仕える運命を負わされる。
  • ヘラクレス誕生後、ゼウスは不死の力を与えようとして眠っているヘラの乳を吸わせた。ヘラクレスが乳を吸う力が強く、痛みで目覚めたヘラは赤ん坊を突き放した(このとき飛び散った乳の雫が、天の川」になったとされる)。腹を立てたヘラは、赤ん坊を殺すべく密かに二匹の蛇を放ったが、幼いヘラクレスは素手でこれを絞め殺し、無邪気に笑っていたという。

成長すると、ケンタウロスの賢人・ケイローンに弟子入りし、武術を学ぶ(ディオスクロイの一人、カストルも師匠であった)。

テーバイとオルコメノスの戦いで活躍し、テーバイのクレオーン王の娘メガラと結婚、3人の子供が生まれた。


しかし、ヘラによって狂気を吹き込まれたヘラクレスは、我が子と異父兄弟イピクレスの子を炎に投げ込んで殺害、これを悲しんだ妻メガラは自ら命を絶つ。

正気に戻ったヘラクレスは、罪を償う為にデルポイに赴き、アポロンの神託を伺う。そして下された神託は、「ミュケナイ王エウリュステウスの下で働き、10の難行を果たせ」というものだった。



12の難行

10の難行のはずが、色々あって12に増えることに。いずれも相当の無茶ぶりである。


ネメアの化け獅子討伐

鋼鉄の爪と牙を生やし、青銅並の硬度を持つ毛皮を持つ化け獅子を退治しろというもの。

このモンスターは邪悪なる女神エキドナが、自分の息子であるオルトロスと交わって生んだ子供であり、ほぼ不死に近い生命力を持ち人や家畜を襲っては食い殺していた。

こいつには刃物や弓矢が通じないので、棍棒でぶん殴ったら棍棒が折れた。

しかしそこそこダメージが入ったようで、隙をついて首元に抱き着き、3日かけて絞め殺すことに成功。

後にこの獅子の皮を、獅子自身の爪を使って裁断し、鎧兜にした。

  • ヘラクレスの着る毛皮のエピソードとして知られているが、実はこれ以前に、キタイロン山で倒した獅子の皮を被ったのがこのスタイルの始まりともいう。

ゼウスはこの化け獅子の強さを認め、「動物の王」として天に上げ、獅子座とした。


水蛇ヒュドラ討伐

猛毒ガスを吐く九本の首を持つ大蛇を退治しろというもの。

無限の再生力を持つヒュドラには悪戦苦闘するものの、従者(甥っ子)イオラオスが松明を使って切り口を片っ端から焼き焦がす事で何とか事なきを得る。

最後の首は不死だったので炎も通じなかったが、大岩で無理矢理押さえつけて封印する。

戦いの途中で化け蟹カルキノスが、ともだちであるヒュドラに加勢しようとして脚を鋏んできたが、即座に踏み殺した。

  • ほとんど活躍できなかったカルキノスだが、事の次第を見ていた女神ヘラに捨て身の勇気を認められ、ヒュドラとともにそれぞれうみへび座蟹座となる名誉を得た。

こうして苦戦の末に成し遂げたヒュドラ退治だったが、「従者の助力で倒した」と難癖をつけられノーカン扱いに。

仕方なく次の試練に挑むヘラクレスだったが、このときヒュドラの強力な毒をちゃっかり採取しており、毒矢に利用している。しかしこれが後に彼自身に災難をもたらすことになってしまった。


ケリュネイアの鹿捕縛

女神アルテミスの、計5匹存在する聖獣のなかでも特に素早い個体。黄金の角と青銅の蹄を持つアルテミスでさえ追い付くことの出来ないこの鹿を、何と1年も追い回した末になんとか傷つけないようにして捕獲。

この鹿は後に持ち主のアルテミスへ返却された。


エリュマントスの人喰い猪捕縛

都市を破壊する巨大な怪猪。大猪自体は簡単に捕えることが出来た。

しかしこの時、協力してもらったケンタウロス一族の保管していた酒をヘラクレスが勝手に飲んだ事から争いが起き、その最中誤って師のケイローンにヒュドラの毒矢を放ってしまった。

ケイローンは純粋なる神であり、不死の力を持つため死ぬこともできないまま、猛毒によって苦しめられる。

この失態はヘラクレスの心に遺恨を残す事となった。

  • 結局、ケイローンはゼウスに死を願い出て、あるいは不死の能力をプロメテウスに譲ることで、ようやく安らぎを得られたという。ゼウスは彼の死を悼んで射手座とした。

アウゲイアスの家畜小屋掃除

エーリスのアウゲイアス王は3千頭もの牛を飼っていたが、その家畜小屋は30年間一度も掃除された事がなく、世界一汚いと言われていた

そんな汚物の塊の様な家畜小屋を一日で綺麗にしろという難題に対し、ヘラクレスはまず家畜を全て外に出し、壁に大穴を開けてそこに川の水を流し込むという強引な方法で一日でキレイにした。

しかし、2つの川の流れを強引に変えたが為に、この川の流れが狂ってしまい、たびたび洪水が起こる様になってしまう。

更に、罪滅ぼしの勤めでありながら報酬を要求した(3千頭の牛の10分の1)としてノーカン扱いにされた。

挙句にアウゲイアスはこの報酬を無視したが、後々この時のお礼参りを受ける事に。


ステュムパリデスの怪鳥討伐

軍神アレスの作った鳥の大軍に対し悪戦苦闘するが、アレスの兄で彼の事が大嫌いだった鍛冶神ヘパイストスの楽器を借りて鳥を脅し、見せしめにヒュドラの毒を塗り込んだ矢を放って数羽射落とす事で追い払った。


クレタ島の牡牛捕縛

嘗てミノス王が、海神ポセイドンの恩恵を求めて与えられた牡牛。本来は再びポセイドンの元へ戻す為に生け贄にされるはずだったが、渋ったミノス王が代わりの牡牛を捧げると、激怒したポセイドンによってボーボーと火を吹きながら暴れ回る怪物にされたと同時に悪名高い人喰い怪物ミノタウロスが誕生する切っ掛けとなった。

ヘラクレスはこの牡牛を捕らえ、おとなしくさせた後に放ってやったが、再び暴れだした為、最後にはポセイドンの息子、テセウスに討ち取られた。


ディオメデスの人喰い馬奪取

トラキア王ディオメデスは父アレスから貰った人食い馬に旅人を殺して食わせていたが、すぐに見抜いて彼の差し向けた暗殺者を返り討ちにし、逆にヘラクレスが王を殺して馬に食わせた。


アマゾンの女王・ヒッポリュテの腰帯の奪取

ヒッポリュテは強靭な肉体のヘラクレス達勇士を見て、自分達との間に子供を作る事を条件に腰帯を渡すことを承諾した。

ところが、ヘラがアマゾン族を扇動したため戦いになってしまい、結果ヒッポリュテを殺害して腰帯を持ち帰るはめに。

部下の数名がアマゾン族の美しい女戦士達を本国に連れ帰る。


妖怪ゲーリュオーンの飼う牛の捕縛

この冒険の途中、ジブラルタル海峡を通過した際に海峡の両岸に「ヘラクレスの柱」を残した。

もうこの辺りになると面倒になったのか番犬の双頭狼オルトロスを速攻で殺し、抗議に来たゲーリュオーンもボコボコにして牛を分捕って帰ってきた。

帰りにローマに立ち寄った際、三つの頭を持つ巨人カークスが人々に暴虐を振るって苦しめた挙句、自分の牛を分捕ろうとした為、彼の妹であるカーカの助けを得てカークスを退治した。


ヘスペリデスの園の黄金の林檎入手

園の場所を知らなかったヘラクレスは、水神ネレウスを捕まえて力づくで聞き出そうとする。のんきに海岸で眠っていたネレウスは、この乱暴狼藉に憤慨して得意の変化術で逃れようとしたが、怪物になろうが炎の塊になろうがヘラクレスが怯まなかったため、あきらめて園の場所を教えたという。


園では百頭の竜ラードーンが林檎の木を守っていた。ラードーンは百の頭を交代で休ませることで、実質的に不眠不休の見張り番を務めていたのだが、ヘラクレスはヒュドラの毒を塗った矢であっさり退治した。

  • その後、けなげなラードーンはヘラにその忠勤を認められ、竜座として天空を飾っている。

別の伝説では、ヘラクレスは林檎の入手方法を求めて巨人プロメテウスを訪ね、鎖で縛られて懲罰中だった彼を開放してやっている。プロメテウスはその礼として、ヘスペリデスの父親である巨人、アトラスに採って来させるのが良かろうと助言を与えた。


アトラスは神々との戦いに敗れたために、天空を担いで支えるという苦役を課されていたため、林檎を手に入れて戻るまでの間、ヘラクレスがその役目を代わることを条件に承知する。


ところが林檎を手に戻ったアトラスは、ヘラクレスにそのまま苦役を押し付けようと考え、自分がこのままミュケナイに林檎を届けると言い出した。しかしヘラクレスは機転を利かせ、それなら頭に円座を装着するのでちょっと変わってくれともちかけ、アトラスが入れ替わったところで逃げ去った。


地獄の番犬ケルベロス捕縛

ヘラクレスが冥王ハデスに頼んだところ、事情を知っていたハデスから「素手でなら良い」との条件の元、ケルベロスを連れてきた。

この時地上に無理矢理引きずり出されて驚いたケルベロスが涎を垂らし、その涎から毒草のトリカブトが生まれた。


サイドストーリー

  • メインとなる12の難行以外にも怪物退治を請け負っており、ガイアとポセイドンの息子で大地に足が付いている間だけ無敵になる巨人アンタイオスを倒したり、プロメテウスの肝臓を啄む鷲エトンを弓矢で撃ち落として、彼を救出したりもした。トロイアでは海の怪物を退治したはいいものの、胃酸のせいで髪が禿げてしまったうえ、報酬を要求しても反故にされた為にトロイアを攻めている…そりゃ怒るわ。
  • 自分をもてなしてくれた王の為にタナトスを脅して、彼の妻であるアルケスティスを生き返らせたというエピソードやアポロンに河の神など神々と敵対したエピソードも残っており、義理のためならば不法も辞さないスタイルを取っている。このような狼藉が許されたのも来るべきギガントマキアの為に作られた英雄としての側面があるからだろう。ヘラが私情で行なっていた嫌がらせの数々も結果として、ギガントマキアを戦い抜く為の糧になったのである。
  • ヘラの呪いにより錯乱したヘラクレスは殺人を犯し、裁きを受けるために信託を伺おうとした際、短気から神々と諍いを起こした。そこでこれらの罪を償うため、ゼウスの裁定により、リディアの女王オムパレーの元で奴隷として仕えることになった。
    • オムパレーは英雄であるヘラクレスに女装して家事をさせるという恥辱を与えた。このとき、オムパレーは戯れにヘラクレスの所持品だった獅子の毛皮をまとい、棍棒を持ってみたが、棍棒の重さに驚いたという。

なお、棍棒は権威の象徴でもあり、このエピソードは女家長制から家父長制への移り変わりを示しているという説がある。

    • ある日、オムパレーは敵対勢力から奇襲を受けたが、これを知ったヘラクレスはかつての装備を身に着けると、あっというまに敵を平らげてしまった。その強さに感銘を受けたオムパレーはヘラクレスを奴隷ではなく夫とし、3人の子をなしたという。


その後の冒険

イアソンの呼びかけに応じてアルゴ船(アルゴナウタイ)に乗り込み(途中離脱したとも、陸路を追いかけて再合流したとも言われている)、神々と巨人族との戦い『ギガントマキア』にも参戦、12の功業で自分を酷使したエウリュステウスとその一族も息子たちと協力して滅ぼした。この冒険でもヘラクレスは寵愛していた従者ヒュラースをニンフに攫われて救い出すことが出来ず、コルキスまで徒歩で行く羽目になったり、カライスとゼーテースが自分を置き去りにしようとしたのでぶち殺したなどの苦労を背負わされている。


また12の難行で倒した魔物たちの母であるエキドナに遭遇。馬を盗まれてしまい、馬の返却と引き換えに彼女を抱き、スキタイ民族の祖となる3人の子をもうけている。




最期

ニンフディアネイラと再婚、二人の間にはヒュロスという息子が生まれた。

ある日、一家が流れの早い川を渡ろうとしたところ、ケンタウロスのネッソスがディアネイラの渡し役を買って出た。ところがネッソスはディアネイラに欲情し、犯そうとしたため、ヘラクレスはヒュドラの毒矢で射殺する。

このとき、ネッソスは今わの際に「自分の血は媚薬になるので、ヘラクレスの愛が減じた時に衣服をこれに浸して着せれば効果がある」と言い残す。その言葉を信じたディアネイラは、密かにネッソスの血を採っておいた。


その後、ヘラクレスがオイカリアの王女を手に入れようと画策したとき、ディアネイラは今こそ夫の愛を取り戻そうと、ネッソスの血に浸した下着をヘラクレスに送った。

ところが、ヘラクレスがこれを身に着けると、たちまちヒュドラの猛毒が回って体が焼けただれ始めた。ネッソスは逆恨みから、死に際にさえ嘘をついていたのである。


ヒュドラの毒の効き目はすさまじく、下着を脱ごうとすれば皮膚が崩れて一緒にはがれる始末で、もはやこれまでと観念したヘラクレスは、自ら火葬されるべく木を積み上げてその上に身を横たえる。しかし稀代の英雄を殺すことになるため、誰も恐れて火をつけることができなかった。そこへ知人のポイアース親子がたまたま通りがかり、火付け役を承諾。ヘラクレスは生きながら焼かれることで、ようやく毒の苦しみから解放された。


こうして半神の英雄ヘラクレスは、人間の肉体を失うことでその死後、神の座に上った。

ここに至ってようやくヘラも彼を許し、ヘラクレスはヘラの娘のヘーベーを妻に迎えたという。しかしこの結婚が、新たな悲劇を生むこととなる


なお、ヘラクレスは自分を介錯してくれたポイアースに恩義を感じており、彼の息子であるピロクテーテースに自らの弓を与え、トロイア戦争で苦戦するアカイア軍に手を貸すよう背中を押すなど協力を惜しまなかった。



余談

親族キラー?

実はヘラクレスは活躍や家系図に注視して見ると対決あるいは殺害した相手の多くは親戚だったりする(中には不本意だったものも存在する)。これに関してはゼウスのせいというよりも、怪物の殆どがポセイドンの家系の生まれだからである。


殺害

名称続柄死因備考
メガラ最初の妻不明発狂によるもので不本意
子供達実子焼死"
イピクレス焼死"
ギガース大叔父射殺など
ケイローン叔父射殺+毒殺誤射
ヒッポリュテ姪(ヘラクレスをゼウスの玄孫と解釈した場合は姪孫)戦死
ネメアの獅子従曽姪孫絞殺
ヒュドラ従姪孫斬殺+焼死
ラードーン従姪孫(※)射殺
エトン従姪孫射殺
オルトロス従姪孫殴殺
ゲリュオン従甥射殺
アルビオン従兄弟不明
アンタイオス従兄弟絞殺
カークス戦死バルカンことへパイストスの息子

(※)ポルキュスとケートーの息子説をとってもヘラクレスの親戚であることには変わりない(二人はガイアの直系である為)。


未遂/対決したが、殺害対象ではない

名称続柄結末
ケルベロス従曽姪孫地上に連れて行った後、冥府に還した
ヘリオス従伯叔父武勇を賞賛される
タナトス親戚(カオスの系列)ねじ伏せてアルケースティスの魂を奪った
アケオロス従伯叔父腕力勝負に勝利し、ディアネイラを妻とした

一方、冒険をともにしたアルゴナウタイにも実は親族が多い。ゼウスの遠い子孫=遠い親戚に当たるのが、イアソンとアタランテ、異母兄弟に当たるのがディオスクロイ、甥に当たるのがメレアグロス(アレスを父とした場合、そうでなくとも義理の兄である)、アスクレピオスオルフェウス、ペーレウス、アウトリュコス、従兄弟に当たるのがテセウスである。

  • 古代ギリシアにおける英雄とは神の血を引いているものであり、先祖であるオリンポスの神々が親族同士であることを考えれば当然ともいえるのだが。


イソップ寓話では

イソップ寓話自体が古代ギリシャに成立した物語である為、度々登場する。

「喧嘩の玉」というエピソードではある時、ヘラクレスはりんご大の玉のような物を見つけ棍棒で小突いた。すると玉は見る見るうちに大きくなっていき、怪物ではないかと訝しんだヘラクレスは尚も棍棒で叩き続けるも、玉は大きくなる一方で全く効果が無かった。知恵の女神アテナから、この謎の物体が「喧嘩の玉」と呼ばれるものである事を教わり、ヘラクレスは手を出すのを止めたという。


この他、御者が車輪を泥に詰まらせて途方に暮れていた為、神に至ったヘラクレスに祈りを捧げ、体良く運んでもらおうとした。しかしヘラクレスが「まずは自分で努力してみせろ。それでもダメなら手を貸してやろう」と言ったので、御者は馬を奮い立たせて、自身も車を押してみせると見事に泥から抜け出すことができた。こうして、御者は安易な神頼みはせず、自分で努力する大切さを学んだ、というエピソードも残っている。



使用した武具

  • 獅子の皮

ヘラクレスのシンボルで、ネメアの化け獅子を倒した際に剥ぎ取った皮から出来ている。他のいかなる武器をも弾くため、打ち倒した獅子の爪を使って加工した。

  • 棍棒

恐らく、万人がヘラクレスと聞いて思い浮かべる事の多い武器。ヘルクレス座の星にもコルネホロス(棍棒持つ人)と名付けられるようにポピュラーな武器である。

ネメアの化け獅子との戦いで丸太から作り出した武器で、獅子を気絶させた他、一振りで山を崩してジブラルタル海峡を作り出したという逸話も残っている。

  • ヘラクレスの弓矢

矢先にヒュドラの毒が塗られたヘラクレス最強の武器。

ケンタウロス族やモリオニダイとの対決、スチュムパリデスの鳥を撃ち落とす為に使用し、絶大な効果を上げた一方でフォーローやケイローンといった恩師や友人の命を誤って奪った諸刃の剣でもある。

一度、旅の途中太陽の暑さに我慢ならず、ヘリオス神に向けてしまった際には咎められるどころか、逆に蛮勇を褒められた(または太陽を打ち落としてしまった)という逸話がある。

死後はピロクテテスに受け継がれ、トロイア戦争パリスを討ち取るなど活躍したとされる。

  • 鉄の鎌

ヒュドラとの戦いで使用。ヒュドラの首を次々に刈り取っていったが、次々と再生するヒュドラの首には苦戦を強いられた。ヘラクレスの使用する武器の中でもドマイナー。

  • 銅羅

元はキュクロプス達が目覚し時計代わりに使用していた銅羅(ガラガラとも)。

スチュムパリデスの鳥との戦いで使用し、大きな音を鳴らして奴等をおびき寄せた。

  • マルミアドワーズ

 アーサー王伝説に登場する剣で、原典のギリシャ神話には登場しない剣。

記録によれば、ヘパイストスが鋳造した剣で、ヘラクレスが使用した後にアイルランドの巨人王リオンの手に、そして最後にアーサー王が手に入れたとされる。性能はエクスカリバーよりも優れているらしい。

  • 竪琴

本来は武器ではない。狂気に陥った際に、師匠であるリノスを竪琴でぶん殴って殺したという逸話がある。

  • 戦車

アンフィトリオンから操縦技術を教わっているものの、移動は徒歩で行っていた為か、神話中で戦車に乗るシーンはあまりない。引いていた馬を上記の通りエキドナに盗まれてしまったこともある。この他、ポセイドンデメテルの息子である右足が人間の足になった神馬「アリオン」に乗る事もある。

本筋には全く登場しない武装で、ヘシオドスの悲劇「ヘラクレスの盾」に登場。

金で作られており、金銀合金と象牙で彩られた頑丈な盾とされる。中央には見るものに恐怖を抱かせるゴルゴンの顔が彫られている。いわゆるアキレウスの持っていた盾のヘラクレス版。

  • 脛当て

同じく「ヘラクレスの盾」に登場する。「ヘーパイストスからの見事な贈り物である輝けるオレイカルコス製の脛当て」で、オリハルコンに関する記述としては最古のもののひとつとされる。



仏教との関連

西洋の神話体系に類する存在でありながら、実は東洋の神話体系にも影響を及ぼしており、西洋美術を取り入れたガンダーラ美術の発展により、インド神話仏教に取り入れられて執金剛神(ヴァジュラパーニ)となった。

執金剛神の半裸で棍棒を持った姿もヘラクレスの姿に起因しており、一説にはヴァジュラが現在の形状になったのはヘラクレスの棍棒が要因なのではないかとする説もある。黎明期はまんまヘラクレスの姿で、仏像の隣に平然と居座っていたりする。

インド神話とライバル関係にあるゾロアスター教がヘレニズムの影響を受けると現地の英雄「ウルスラグナ」と習合された。また、エジプトではヘリシャフ神と同一視されるなど、古代ギリシャの大英雄は、遠い異国で姿を変えて尚、人々に愛されている。


『ゴッドオブウォー』シリーズ

ギリシャ神話を描いたアクションゲーム『ゴッドオブウォー』シリーズにおいては、主人公・クレイトスのキャラクター像のモデルとなっている他、第3作にて登場人物の一人として登場している。CVは梁田清之が演じた。

身長213cmに達するクレイトスをも凌ぐ巨体を誇り、ネメアの獅子を模した甲冑で武装している。


この世界でのヘラクレスは「神々の英雄」としてのお株を、遥かに勝る偉業を成し遂げてきたクレイトスにすっかり奪われてしまっており、神の座まで手にした彼に激しく嫉妬していた。

クレイトスがガイア率いるタイタン族と結託してオリュンポスとの最終決戦に挑んだ際は、オリュンポス側の武将として参戦。ヘラに命じられたクレイトスの討伐を「13番目の功業」に例え、クレイトスを抹殺し自らが次の新たな軍神にならんと目論んだ。

しかし、多くの神々を屠り力をつけたクレイトスには部下を伴っても敵わず、最終的に愛用武器・ネメアのカエストスを奪われた挙句、顔の原型が無くなるほどタコ殴りにされ、無残な屍を晒す最期を遂げた(国内版ではグロすぎるため修正された)。


なお、クレイトスの方は自身と同じくオリュンポスに人生を翻弄されてきたヘラクレスに対し、異母兄弟ということもあって何かしら思うところがあったらしく、これまで戦ってきた神々や英雄たちとは異なり、珍しく説得を試みていた。

しかしながら、その凶暴性から「到底神の器ではなかった」と評しており、仮に自分に変わり新たな軍神となればアレスや自分同様の悪神になっていただろうとして、彼を殺した事に後悔はないと『ゴッドオブウォーラグナロク』にて語っている。



ヘラクレスが元ネタ、あるいは名前の由来となっているもの

ヘラクレス

バーサーカー(Fate/staynight)

ハーキュリーズ (ヘラクレスの英語読み)



関連項目

ギリシャ神話 英雄 半神半人


スサノオ:日本神話の神。一部性質がヘラクレスと共通している。



外部リンク

ヘーラクレース - Wikipedia

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