日常よく見かける小さな働き者のこと。
🐜概要
蜂の仲間であり、よく見れば体付きがそっくりである。
多くの蟻は地上生活に適しているため羽を持たないが、繁殖期の女王蟻と雄蟻は空中で交尾を行うため羽を生やしている(妊娠した次期女王蜂は羽を削ぎ落とす)。
生態
社会性をもち、多くの種類が巣を作るのが特徴で、多くはその内部にエサを溜め込み、子を育てる。匂い(フェロモン)で同じ巣の仲間を識別し、童謡にある「ごっつんこ」とは触覚同士を触れ合わせコミュニケーションをとったり、口移しでエサを運ぶ生態をあらわしている。また、蟻を元にしたキャラクターの一部には、これを口癖とする者もいる。
一年の生態としては、春から夏、秋の暖かい頃の間に食料を集め、冬が近づき寒くなると巣に籠り越冬する。俳句の季語としては夏に分類される。この生態を元にして「アリとキリギリス(ギリシアで生まれた時はキリギリスでなくセミ)」の話が生まれた。しかしこのページによると、冬籠りのため植物の種子を集めるのはクロナガアリに限った話らしい。
蟻は社会性の蜂から進化したため、ほぼ全てが女王蟻を主体とする真社会性をもつ。働き蟻は全てメスであり(なので、童話などで働き蟻をオスとして描写するのは間違い)、若い個体は巣の中で、年を取った個体は外で労働を行う。オス蟻は弱々しくてほぼ何もせず、女王蟻に一生使える分の精子を捧ぐことが彼らの唯一の使命である、交尾が終えるとオス蟻の命も終わってしまう。
多くは肉食よりの雑食性でスカベンジャー的なものが多い。体の割に顎や脚の力に優れており、体重の百倍の木の実や虫を軽々と引きずる。例えるなら、その辺のおばちゃんが象やカバの死体をズルズル引きずり回せると考えればいかに凄いか分かるだろう。さらに動きもすばしっこく、顎には対象を麻痺させる蟻酸(海外産であればこれに毒針も加わる)があり、これらを武器に物量作戦を展開してくる。小さい種類であれば羽などの隙間に侵入する事が出来、大型のアリを優に超える数のアリが敵の体を覆う物量作戦が展開しやすくなるなどのメリットも増える。その気になればスズメバチやカマキリ、ムカデやら虫の世界でも上位に位置するハンター達すらもなす術なく倒せてしまう程にである。
昔から弱者のような扱われ方をされて来た生き物だが、実際は優れた自然界のソルジャーなのだ。しかし、天敵がいないわけでもない(後述)。
世間一般では砂糖に寄ってくるイメージがあるが、あくまで砂糖を好む種類がいるというだけの話である。花の蜜やアブラムシの甘い汁を食しているアリがそれと良く似た砂糖を好むというのが本当の所。また、これら甘いものと虫などの死体を並べてどちらをより好むか観察すると、虫の死体を先に選んで砂粒で埋めたり、巣穴近くまで運搬して処理することが多い。炭水化物という甘いものより、死体から得られるタンパク質(肉体を作るために必要)のほうが、より自然界での供給は少ないということかもしれない。
アブラムシやカイガラムシと共生関係にある種が多い。これらの昆虫は蟻に天敵から守ってもらい、代わりに甘露を蟻に提供する。「アリマキ」の異名はここに由来。それだけでなく、アブラムシやハダニなど植物に生息する生物の卵をどこからか持ってきて、生育させていることも多い。いつの間にか植物がこれらの害虫にびっしりと覆われてる被害が発生している場合、常に蟻の介在が疑われるため、農業害虫として駆除されることも多い。
切り取った葉を巣に持ち帰って菌を植え付け、キノコを育成して食糧とするハキリアリのように、キノコの栽培をしている蟻もいるため、種によって農業も牧畜も行っているとも取れる。流石、最先端の社会性昆虫。
特定の種類の女王蟻を殺してはその位置を取り替え、残りの働き蟻を自らの奴隷にするサムライアリやトゲアリなど、えげつない生態を持つ種類もある。
頑丈な外骨格・高い防衛性・凄まじい団結力にあるゆえ、蟻は多くの動物に畏敬され、天敵は少なく、あってもほとんどが蟻を専門に捕食/寄生する一握りの種類だけである(アリクイなど)。その為、蟻に擬態し(アリグモなど)、またはその巣に住みつく動物も少なくない(後述の「好蟻性」を参照)。
海外にはアカシアやアリノトリデなど、自分の体にアリを住まわせて、天敵を追い払う植物も多い。
好蟻性
蟻のフェロモンに擬態し、仲間として受け入れられてその巣に住みつく昆虫や他の節足動物が存在する。この蟻に依存する性質は「好蟻性」(こうぎせい)といい、それをもつ動物は「好蟻性動物」と呼ばれる(蟻以外の昆虫の場合は「好蟻性昆虫」ともいう)。
これらの動物は蟻の巣で外敵から守ってもらい、蟻に世話され、更に蟻やその幼虫などを捕食するものもある。
著名な蟻
日本産
日本最大のアリで、特徴は読んで字のごとく。
乾燥した地面に巣を作るクロヤマアリという似た種類のアリもいる。
肉食性で、アブラムシの出す汁も好んで食す。
実は甲虫王者ムシキング アダー完結編の昆虫カードに登場している。特定のカウントにおいてグーで勝つと相手の防御力を下げる。
新甲虫王者ムシキングには呼ばれなかった。
クロオオアリと比べて腹がトックリバチなどを思わせる形状になっている。
他のアリが肉食なのに対して、植物の種子を好んで食べるベジタリアン。
胸に赤い棘を持つアリで、棘は攻撃や防御の為に発達したと考えられている。鉤爪状になっている為、敵に引っ掛けて離さない。アリ同士との戦いでは腹部から蟻酸を放つ。
好物はアブラムシの出す汁で腐食した木に巣を作る。
クロヤマアリなどの巣を襲って蛹や幼虫を奪った挙句に奴隷にしてしまうアリ。
主にシロアリを襲う毒針持ちのアリ。
ところがアメリカに移住すると他の昆虫も食い荒らすようになり、ついにはアルゼンチンアリと覇を争うまでに。
外国産
該当項目参照。
該当項目参照。
該当項目参照。
該当項目参照。
- ジバクアリ
別名バクダンオオアリ。東南アジアに生息する個体で粘液性の体液を吹き出して自爆し敵を道連れにすると同時に周囲に危険を知らせるという滅私奉公これに極まれりなアリ。
- ツムギアリ
中国から東南アジア、ポリネシアにかけて生息する。幼虫の糸を利用して葉っぱを編み巣を作る。
- アギトアリ
アフリカに生息する種類で、水平に開く大顎を持ち、そこから生えた毛に触れた相手をガッチリとホールドしてしまう能力を持つ。閉じる速さは実に0.0013秒。つまり触れた時点で即アウトである。その衝撃をジャンプにも応用する事もできる…だからと言って魂が目覚めたわけではない。
南米に生息する赤褐色色のアリで木葉を切り取り、巣に生えたキノコの養分にするという人間以外では珍しい農業体質。ただし、コーヒーの葉も容赦無く持っていくため、害虫に認定されている。
いわゆるゴミ出しの習性もあり、使われなくなった葉や同族も捨てられて山を築く。
- サハラギンアリ
全身が宇宙刑事みたいにメタリックな種。サハラ砂漠に生息しており、高音の日光から身を守る為に耐熱性の高い銀色のボディを獲得したが、高温に耐久できるのは短時間だけであり、僅かなタイムリミットの間に獲物を回収するという忙しない生態を持つ。
蟻をモチーフとしたキャラクター
スーパー戦隊シリーズ
仮面ライダーシリーズ
ゲーム
蟻そのものが重要な存在として出演するゲーム
参考文献
「ヤマケイポケットガイド⑩野山の昆虫」(今森光彦・著/山と溪谷社 2003年)