『誰もが知ってる ウルトラの戦士』(アニメオープニングの歌詞から)
曖昧さ回避
概要
1979年4月4日~1980年3月26日に放送された、ウルトラシリーズ初のアニメーション作品。アニトラマンの始祖的存在である。
放送時期は『ウルトラマンレオ』と『ウルトラマン80』の間になり、『80』と合わせて「第三期ウルトラシリーズ」と呼称されることもある。
そもそも実写特撮番組だったウルトラシリーズがなぜこの時期に敢えてアニメとして作られたのかというと、当時『宇宙戦艦ヤマト』などによるアニメブームの真っ最中であった事、またこの頃から円谷プロの財政を苦しめていた制作予算の都合などが背景にある。
それまで特撮専業であった当時の円谷プロにはアニメの制作ノウハウはなかったため、制作は日本サンライズ(現:サンライズ)が手がける事となった。
なお本作のウルトラマン達はU40(ユー・フォーティー)という星の出身で、一部の設定を除きM78星雲やL77星とは無関係とされており、世界観も異なっている。実際に『80』では5年ぶりの怪獣出現といわれており、本作については一切言及、描写されていない(もっとも、マルチバース設定が導入された現在では、別作品の戦士との交流も進んでいる)。
そういう意味では、同じく昭和作品を継承しなかった『ウルトラマンティガ』ら平成ウルトラマンの先駆けと言える。
このため当然ながら昭和ウルトラシリーズでは唯一他作品と繋がっていない存在であり、アニメということもあって素の扱いが良くなるには40年もの月日が流れることとなる。
元々は『愛と夢のロマンのシリーズ ウルトラマンⅢ』というタイトルで新ウルトラマンもM78星雲出身で、毒蝮三太夫氏が防衛チームのメンバーとして登場するこれまでの続き物という構想であったが、『愛と夢のロマンのシリーズ ザ・ウルトラマン』にてエスメラルダ星雲U30出身のウルトラマンが過去作の怪獣とも戦うという内容に構想が練られていき、『愛と夢のロマンのシリーズ 新・ウルトラマン(仮)』では神秘性を追求し、現在の作品の構想へと続いていった。
なお、企画段階の冠詞と類似するワードはEDテーマの歌詞にも盛り込まれている。
また、毒蝮氏の出演は叶わなかったが、結果的に過去の防衛隊メンバー経験者を出演させるという試みは二瓶正也氏が成し遂げた形となる。
メカニックデザイナーは前半があの大河原邦夫氏(スーパーマードック号他)、後半からは『超時空要塞マクロス』で知られる河森正治氏が担当している(ウルトリア)。音楽は『ウルトラセブン』で知られる冬木透氏が担当。
世界観自体は過去作を引き継いでいないが、M78怪獣もリメイクされて登場している。第1話も、当初の予定では6体のレッドキングが日本に襲来するという内容であった(レッドキング自体は後に別の話にて登場)。
こうした、これまでのシリーズとは異なる世界観にM78怪獣を登場させるというアイデアは後年のパワードや、マックス、新世代ヒーローズに受け継がれたとも言える。
近年は世界観の拡大により展開終了後にその後が一切描かれることがないという作品が大半だが、本作の世界観は実写とはいえ『ウルトラギャラクシーファイト』で少しだけ描かれており、これはかなり少ない例外である。
2024年10月4日にはTOKYOMXにてデジタルリマスター版を初放送することに。放送時間帯は夜8時~。9月までのスケジュールでは仮面ライダーストロンガー→デジモンアドベンチャーが放送中のため、10月もこのスケジュールで来た場合、ウルトラマン参戦は別の意味でも衝撃と言えるのではないだろうか。過去、TOKYOMXは円谷劇場としてウルトラマンを始めとした特撮作品を放送していた時期があるのだが、ここにきて変則パターンで復活したといえる。
設定・技術
アニメ作品であるために後のシリーズにおいて客演等がしにくく、根っからのウルトラファン以外の知名度は低いものの、終盤の展開で「主人公がウルトラマンであるために、肝心な時にいない」という暗黙の了解に踏み込み、「アニメならではの最終回」へと結実させたスタッフの手腕など、見事な点が多い。
仮に実写であの最終回と同じ展開を行っても、視聴者に強い印象を残せなかっただろう。アニメーションという媒体だったからこそ成し得たラストであると思われる。
また、それ以外にも他媒体では(CGのない当時においては主に予算や画面の見せ方の都合上)やり辛かった「怪獣たちの大挙しての襲来」や、「ヒーローの更なる巨大化」、「着ぐるみでは絶対に行えない怪獣デザインや戦闘シチュエーション」等といった“アニメならでは”の手法も数多く試みられている。
長くなるのでここでは明記しないが、スタッフ陣は当時としても非常に豪華で、仕上げ作業にはあのシャフトも携わっている。
また後半では当時の『ヤマト』や『スターウォーズ』といったSFブームの流れに乗り、ウルトラシリーズ初となる自軍部隊の宇宙戦艦の使用や、UFO・宇宙戦艦とのガチな艦隊戦が描かれたりしている。もっとも、ただの便乗に終わっておらず、これらの要素を本作の特色として落とし込んでいる。
さらに、ウルトラシリーズでエンディングテーマを採用した最初の作品でもあったりする。
また主人公のヒカリ超一郎とウルトラマンジョーニアスは、それまでのウルトラシリーズにない関係である。ヒカリはセブンやメビウスのように)宇宙人が地球人に変身した擬態ではなく、初代ウルトラマンのように、地球人と一体化した訳でもない。ジョーニアスはヒカリの体に間借り(?)しているだけであり、精神は完全に別という表現をされている(平成シリーズで言えばコスモスやマックス・ゼロやエックス、そしてジョーニアスの後輩も属するトライスクワッドの面々が一番近い方法を取っている)。そのために、変身前のヒカリがジョーニアスと心の中で会話をするという場面が数多く描写された。また、ジョーニアス自身にも人間態が別に存在している。
あらすじ
ある日、地球全体を謎の光が包み込み、世界の主要都市上空に謎の文字のようなものが浮かび上がるという怪現象が発生した。
地球防衛軍はこれを地球規模の災厄の前兆と考え、特別組織「科学警備隊」を結成する。
科学警備隊の隊員の一人として選ばれたヒカリ超一郎は、宇宙基地から地球に向かう途中、U40から来たウルトラマンジョーニアスと遭遇する。彼はヒカリに対し”地球に怪獣や超自然現象による危機が迫っており、それを救うために派遣された”と語り、ヒカリの体に同居することになる。以後、ヒカリはいざという時はビームフラッシャーを使ってジョーニアスに変身し、怪獣や宇宙人と戦うこととなる。
中盤からはU40も舞台のひとつとなり、他のウルトラマンも登場するスペースオペラ的な展開となる。
登場人物
科学警備隊
チーム名や衣装は初代の科学特捜隊やセブンのウルトラ警備隊を意識したものとなっている。
- ヒカリ超一郎(富山敬)20歳
- 本作の主人公。宇宙ステーションから科学警備隊に転属する途中でジョーニアスと遭遇。地球防衛のために彼を受け入れ、共に闘うことを決意する。
- ジョーニアスに変身している間は「ヒカリ超一郎」としては現場から居なくなってしまうので、周囲から非難されたり疑惑の目で見られることに苦悩する。だが最後には秘密を隠したままで戦う意義を見出した。
- アキヤマ徹男(森川公也)41歳
- 科学警備隊の初代隊長。冷静沈着を旨とし、隊員達の自主性を重んじている。
- 物語の途中でアメリカ支部に異動となる。
- ゴンドウ大助(柴田秀勝)
- 科学警備隊の2代目隊長。アキヤマと逆に体育会系で豪快かつ厳しい性格だが、心の底では隊員達を強く信頼している。ジョーニアスの存在に感謝する一方、彼に依存していることに苦悩する。ヒカリとジョーニアスの関係に薄々気がつくが、そのために判断を過り大賢者を死なせてしまう。その後は自らと隊員達に喝を入れ直した。
- トベ博明(二瓶正也)24歳
- 兵器の研究開発担当。スーパーマードックの設計者で数々の研究や新兵器の開発を行なう。行動的でもあり、アキヤマ退任からゴンドウ赴任の間まで隊長代行を勤めた。
- 声の二瓶正也は初代ウルトラマンのイデ隊員役として有名。
- マルメ敬(兼本新吾)25歳
- 怪力の持ち主で射撃の名手。序盤は割とトラブルメーカーであった。ヒカリが「肝心な時にいなくなる」ことからヒカリ=ジョーニアスと確信。終盤での危機に際し、ヒカリ本人に対してそれをほのめかす発言をしたが、彼の願いも空しく大賢者は殺されてしまう。
- 星川ムツミ(島本須美)18歳
- 科学警備隊の紅一点。女性という理由だけで特別扱いされるのを嫌っており、実際に男性隊員に引けをとらない実力を持つ。ゴンドウとほぼ同時にヒカリ=ジョーニアスではないかと疑念を抱いたが、口に出して相談する前にゴンドウから「(それは)言うな!」と制止された。
U40
U40に住むウルトラ人は普段は人間と変わらない姿でギリシャ神話風の衣装を着ている。全員がウルトラマインドの力を使ってウルトラマンに変身できるが、巨大化能力を持つのは大賢者に選ばれた8人だけである。ジョーニアスはその8人の中でも最強の戦士と言われる。
- ジョーニアス(伊武雅之。後の伊武雅刀)
- U40から地球に派遣された戦士。地球ではヒカリ隊員と一体化しているが精神は完全に別。ヒカリがビームフラッシャーを額にあてると変身。胸にある五角形はスターシンボルと呼ばれ、青から黄色、赤へと変色して残り時間を示す。地球での活動時間は4分。必殺技はプラニウム光線。
- 最終回でヒカリと分離し、人間の姿を見せて別れた。ヒカリに「もう会えないのか」とたずねられると、「地球にまた危機が訪れたら再訪する。その時はヒカリの様な若く勇敢な青年の体を借りるだろう(それは視聴者の誰かかもしれない)」と話す。
- アミア(滝沢久美子)
- ジョーニアスの妹。選ばれし戦士でないため巨大化は出来ないが、1回だけ盗んだビームフラッシャーで巨大化し、地球に飛来している。ヒカリ隊員に想いをよせている。
- なぜか彼女一人だけが松本零士美女にそっくりである。
- エレク(池田勝)とロト(宮村義人)
- 選ばれしウルトラ戦士で2人ともジョーニアス同様に巨大化できる。
- ウルトラ5大戦士
- ジョーニアス、ロト、エレクら同様に巨大化出来る能力を持つウルトラ戦士。
- 大賢者(宮内幸平)
- U40の指導者にして長老。第49話でヘラー軍団に捕まり殺害される。彼の死によってゴンドウ達科学警備隊のメンバーは、己の力不足とジョーニアスの存在に甘えていたことを恥じ、奮起する。
ヘラー軍団
元はU40のウルトラ族だったが、変身能力を捨てるのと引き替えにウルトラマインドの力で不老不死となり、U40から離脱した一団。
元ウルトラ族以外にも多数の怪獣や宇宙人を従えている。
- ヘラー(大木民夫)
- 軍団の指導者。ウルトラマインドの力で全宇宙の征服を目論む。かつて大賢者にU40を追放された。宇宙艦隊を組織してU40を制圧。次の目標をウルトリアが隠された地球に定める。科学警備隊がウルトリアでU40に迫った時はわざと潜入させて撃墜した。
- ロイガー(大友龍三郎)
- ヘラーの右腕。地球攻略を命じられ派遣された。
科学警備隊メカニック
- スーパーマードック
- トベ隊員が設計した巨大軍用機。宇宙や海中でも活動可能。バーディー、ベータミーの母機でもある。第37話で大破。
- バーディー
- 単座戦闘機。同型機にスペースバーディーがある。
- ベータミー
- 複座小型機。偵察や攻撃用で垂直離着陸可能。同型機にスペースベータミー。
- パッセージャー
- シューターASS
- 専用の特殊車両。6輪タイヤ。
- ウルトリア
放送リスト
詳細はザ☆マン怪獣を参照。
主題歌
作詞:阿久悠/作曲・編曲:宮内國郎/歌:ささきいさお、コロムビアゆりかご会
OPテーマ。王道のヒーローソングに仕上がっているのには違いないが、2番の歌詞はウルトラマンタイタスがネタにするほどの物騒な歌詞になっている。
作詞:阿久悠/作曲・編曲:宮内國郎/歌:ささきいさお
EDテーマ。実はこれがウルトラシリーズ初のEDテーマである。
歌手が歌手なだけあり、宇宙戦艦ヤマトといった硬派な昭和アニメのテイストを感じさせる曲となっている。
挿入歌
作詞・作曲:谷のぼる/編曲:高田弘/歌:富山敬
第18話で使用。ヒカリ超一郎のテーマソング。
イメージソング
作詞:満田かずほ/作曲・編曲:冬木透/歌:ささきいさお、くにたちカンマーコール
ウルトラマンジョーニアスのテーマソング。
作詞:谷のぼる/作曲・編曲:冬木透/歌:コロムビアゆりかご会
U40のイメージソング。
作詞:満田かずほ/作曲:谷のぼる/編曲:高田弘/歌:堀江美都子
科学警備隊のメンバーであるムツミ隊員のテーマソング。
作詞・作曲:谷のぼる/編曲:高田弘/歌:ささきいさお、くにたちカンマーコール
科学警備隊の戦闘機スーパーマードック号のテーマソング。
作詞:満田かずほ/作曲:谷のぼる/編曲:高田弘/歌:ささきいさお、くにたちカンマーコール
科学警備隊のテーマソング。
作詞:谷のぼる/作曲:冬木透/編曲:丸山雅仁/歌:滝口順平
科学警備隊のメンバーであるピグのテーマソング。
作詞:満田かずほ/作曲・編曲:冬木透/歌:ささきいさお、くにたちカンマーコール
ウルトラ戦士に倒された怪獣達へ捧げる鎮魂歌。本編外での使用が多い楽曲であり、「ウルトラマン80」の挿入歌や特番「人気怪獣大パレード」のEDとして使用された。
劇場版
アメリカにて2本の英語吹替再編集劇場版が公開された。
この作品の劇半は、日本の『ウルトラマン物語』や特撮版『アンドロメロス』でも使われている。
- The Adventures of Ultraman
1982年公開
- UltramanⅡ The Further Adventures of Ultraman
1983年公開
評価
再放送などの機会が乏しく、書籍等でも実写でないことによりスルーされがちなため知名度が向上せず、後述のように“ネタ”にされがちだった異色作であるものの、実はシリーズ平均視聴率は前後の『レオ』と『80』を上回っており、商業アニメとしてはまずまずの成功を収めていると言える(純粋な視聴率は平成三部作よりも高かったが、時代背景や放映形態、時間帯が大きく異なるので単純には比較できない)。
先述の通り実写特撮では不可能な表現・演出を積極的に取り入れたり、ストーリーを壮大なスペースオペラに発展させたりと、アニメ化においての有利な部分を的確に捉えて駆使した実験的な要素が非常に多く、その先進的な姿勢から近年は再評価の声が高まっている。また、ジョーニアスを始めとしたU40戦士の独特なデザイン・設定に惹きつけられるファンも少なくない。
しかしその一方で、放映当時から「アニメではなく実写でウルトラマンが観たかった」という声も少なくなかったとの証言もあり、新要素も相まって(少なくとも今よりは)賛否が分かれていた作品とも言える。実際、非常にクオリティの高い回もあるものの当時としても全体を通しての作画の出来はあまり安定しておらず、そのような面でなおさら特撮の方が良かったのではないかという風潮を生んでいた可能性は否めない。
1982年に発売されたウルトラマンBGM集のLP盤には本作に関するコラムが掲載されており、その中で「作品を作る上での三本柱とも言うべき、作画・演出・製作条件のどれをとっても満足のいく出来ではなく、その評価は非常に低いと言わねばならない(若干要約)」と辛辣に批評されている。
尤も本作を駄作と斬って捨てているワケではなく、最終回四部作については肯定的に評価しており、最後には「従来のウルトラ世界とは別のものを作ろうとした意欲にファンの方がついていけなかったというのは残念な事だ」とも述べている。
後に『ティガ』などの意欲作が人気を博したことを考えると、本作は早すぎた傑作だったのかもしれない。
ちなみに当該批評を執筆した人物は、後年に『ウルトラマンG』や平成ライダーシリーズ、スーパー戦隊シリーズに関わることになる、当時まだ高校一年生であった脚本家の會川昇氏である。
いずれにせよ『80』など後続のシリーズ製作・復活の機運を作った作品として位置づけられている。
ネタ
円谷プロのサイトでは四月馬鹿などに登場するが、それ以外の公式の場の出番は少なかった。出ても自分の立場の微妙さを嘆いていたこともあった。
主題歌の「誰もが知っている」の下りも、知名度の低さと絡めて一部のファンからはちょいちょいネタにされている。
4分間戦えることを長所にしている…らしい。
しかしながら可愛い実妹がいる時点で「実質勝ち組なのでは?」とも囁かれている。
『ウルトラマン列伝』ではダークネスファイブ&ベリアル陛下が第100話に登場したベリュドラの構成怪獣の紹介時に、コミカル怪獣の1つ(陛下曰くレア物)としてレッドスモーギを紹介した。なお、この時(半ばネタとはいえ)「ウルトラマンと怪獣がいるアニメの世界」と言われた(ただし『銀河伝説』ではゼアスと同じく出演していない。出身がM78星雲ではないからだろうか?)。
その後、新ウルトラマン列伝第49話で再び取り上げられる。この回の内容は当時やっていた大怪獣ラッシュのメインキャラのバルタンバトラー・バレルからバルタン星人が話題に上がる中、ダークネスファイブの1人・氷結のグロッケンが偶然アニメ版バルタン星人がジョーニアスと戦っていたことを知り、この場面を一同に話した。
それ以外にも『列伝』第105話や『ウルトラマンオーブ』放送直前スペシャルでは、冒頭の歴代ウルトラ戦士に入っていたり(前者はゾフィー以外は全員短編を含めてTVシリーズで主役になったことがあるウルトラマン)、極悪のヴィラニアスに作画の素晴らしさを賞賛されたり、最終回ではゼロから「とっておきの戦士」と紹介されたり…と列伝系列の番組ではわりと優遇されている節もあり、後述の出来事も踏まえると、円谷プロにとってもある種思い入れの強い作品だったのかもしれない。
40年目の奇跡
放送開始40周年となる2019年、『ザ☆ウルトラマン』を取り巻く環境が突如大きく動くこととなった。
同年放送が開始されたシリーズ『ウルトラマンタイガ』に、40年ぶりかつ実写シリーズ初出としては初登場となるU40出身のウルトラ戦士・ウルトラマンタイタスが登場した。アニメという媒体が露出に恵まれないハードルとなっていたため、それを越えたという事で凄まじいサプライズであり、情報公開時はタイタス本人や『タイガ』に並び本作も大きな話題となった。
それに伴い、『タイガ』開始直前に放送された『ウルトラマンニュージェネレーションクロニクル』の最終回においてタイタスとU40のことを説明するため、本作の第19話~21話の紹介を行った。
タイタスは放送前から驚愕の出自とデザインが注目を集めていたが、実際に活躍が始まるとワイルドかつ洗練されたバトルスタイル、落ち着いた性格の好漢である一方でお茶目な言動が多いキャラクター性から真面目な意味でもネタ的な意味でもさらに人気を得ていった。加えて、ボイスドラマにおいてディープなネタを披露しただけでなく、彼の過去も本作の設定を丁寧に拾い上げたものとなっていたため、その存在をもって本作の宣伝に大きく貢献することとなった。
なお、ボイスドラマではヘラー軍団との関連性のみならず、第17~19話ではソーキン・モンスターが登場したため、同じアニトラマン作品である『ウルトラマンUSA』と双方をリンクさせたような展開が楽しめた。
またタイタスの登場にちなみ、同年の5月23日より、円谷プロYouTube公式チャンネルにて本作の無料公式配信が開始された(毎週木曜日18:00に1話ずつ更新、これまでの配信と同様、各話1週間の期間限定)。『タイガ』での後輩の登場に加え、これまであまりフィーチャーされてこなかった本作が再注目されるきっかけとなった。
近年は『怪獣娘〜ウルトラ怪獣擬人化計画〜』を始め、『SSSS.GRIDMAN』『ULTRAMAN』がそれぞれ放送・配信された事で、円谷プロ原作のアニメ作品に大変大きな注目が集まっており、そうしたアニメ作品の原典とも言える本作を配信する上では、これ以上にない打って付けのタイミングであったと言える。
なお、Twitterでは『ザ☆ウルトラマン』というタイトルがハッシュタグとして使えないためか、ウルトラマンジョーニアスのほかに主題歌の歌詞である『#誰もが知ってるウルトラの戦士』がハッシュタグとして使用された。
2020年4月2日からは、40周年を迎えた後続の『ウルトラマン80』の配信と交代する影響で、金曜日からの配信となった。
同年夏に開催された『ウルトラマンフェスティバル2019』では、メインキャラの一人としてジョーニアスが登場。この登場に絡んでスーツが新造されており、これまでのスーツよりもアニメのイメージに忠実となった逞しい姿を披露した。
YouTubeでの公式配信やタイタスの活躍等が功を奏し、結果として『ザ☆ウルトラマン』の知名度は飛躍的に向上。また、"アニメ"という理由で敬遠されがちだった本作が再評価されるきっかけを作り、40周年となった2019年はまさに『ザ☆ウルトラマン』およびジョーニアスが「誰もが知ってるウルトラの戦士」となった、記念すべきアニバーサリーイヤーと言えるだろう。
本作に登場したレッドスモーギは『ウルトラ銀河伝説』にベリュドラに取り上げられて以降は『ウルトラマン列伝』や『戦え!セブンガー』に登場するなど『ザ』怪獣の代表格のような扱いを受けている。
ウルトラギャラクシーファイト
2020年11月22日より配信が始まった『ウルトラギャラクシーファイト大いなる陰謀』において、タイタスの再登場のみならず、ジョーニアスも登場し、史上初の惑星U40ウルトラマン同士の共演が決定した(なお、CVは『ウルフェス2019』でジョーニアスを担当した金光宣明氏に交代している)。
本作では伝説の勇者の肩書を持ち、別世界の戦士アンドロメロスと共演する。
スーツは『ウルフェス2019』で新造されたものが使用されており、新スーツの映像作品への出演は初となる。
このようにウルフェスやギャラファイでの出演さらに新しいU-40のウルトラマン誕生のきっかけとしては、ギンガ以降のウルトラ作品やファイトシリーズで構成脚本を担当されている足木淳一郎氏が自他共に認めるザ☆ウルトラマンのファンであることが大きい。
足木氏は、ずっとジョーニアスを出したい出したいと言っていたが、版権の問題で中々出せずにいた。
しかしここ数年はそういった版権問題をクリアしたことで、版権上出しにくかったウルトラマン達が出やすくなったことが由来している。
余談
実は『機動戦士ガンダム』と放送が同時期(両作とも1979年4月放送開始)であり、サンライズは本作と並行する形で『ガンダム』やその他アニメの製作を行っていた。
今の人気からは想像しづらいが、当時の『ガンダム』は視聴率低迷に苦しみ、当初全52話の予定が43話を持って打ち切りとなってしまう。その際、お手隙になった富野由悠季氏をはじめとするガンダム担当スタッフが引き抜かれ、終盤に差し掛かっていた本作の製作に参加することとなった。サンライズが並行製作体制を採っていた故に可能だった裏技と言える。『ガンダム』の打ち切りによって経済的に困窮していたスタッフ陣は、本作での仕事が決まって安堵したというが、他方とばっちりを受ける形となった富野氏は、後年インタビューで「なんでアニメでウルトラマンをやるんだ」と発言している。
因みに1979年当時、サンライズは自社作品として『機動戦士ガンダム』『科学冒険隊タンサー5』(何と唯一のアニメ特撮併用作品!)、東映本社の下請けで『未来ロボダルタニアス』『サイボーグ009』、そして円谷プロの本作とテレビアニメだけでも5本も掛け持っていた(すでに劇場版『クラッシャージョウ』も製作が始まっていた)。
現在ではベテラン声優である島本氏は、今作のヒロインである星川ムツミ隊員役で本格的に声優としてのデビューを果たした(ゲスト出演も含めると『ゼンダマン』の方が先。なお、デビューが決まったのは本作の方が先で、『ゼンダマン』への出演も本作の演出家からの要望)。同時に、この作品が初めてのヒロイン役であり初めてのレギュラー出演でもあった。
また、島本氏は同年に公開された『ルパン三世・カリオストロの城』にも出演した事で有名だが、本作の第37話には、ヘラー軍団の襲撃を受け逃げ惑う群衆の中にルパン三世そっくりのモブが登場しており、制作スタッフの遊び心が窺える。
タツノコプロ出身の鳥海永行氏がチーフディレクターを務めていたこともあってか、結構な割合でタイムボカンシリーズのBGMが流用されている他、富山氏や滝口氏のようなタツノコと関わりの深い声優も出演している。
また、本作にレギュラー出演した声優やゲスト出演した声優の多くが、『ゲゲゲの鬼太郎』3期にもレギュラー出演やゲスト出演しており、富山氏もねずみ男役で出演し、本作で共演した声優も『鬼太郎』で共演している。ちなみに本編第10話には4期の鬼太郎の声を演じた松岡洋子氏がゲスト出演している。
その他ゲスト陣も塩沢兼人氏(第1話)、小原乃梨子氏(第3話)、永井一郎氏(第7話)、池田秀一氏(第9話)、内海賢二氏(第11話)、井上真樹夫氏(第23話)、飯塚昭三氏(第26話〜第27話)とレジェンドクラスの声優陣が揃っている。
上記にもあるように『ヤマト』に端を発したアニメブーム時に制作されたためか、一部キャラクターのデザインや中盤以降の作風など『ヤマト』のそれを意識したかのような要素も見受けられる。
アメリカでは第14話のみが放送され、冒頭に黒柳徹子氏による解説が挟まれていた。
『ウルトラマンレオ』終了直後に在阪局のネットチェンジ(所謂「腸捻転」の解消)が起きたことで、後に平成三部作等を制作する毎日放送にとっては、本作が新作ウルトラシリーズ第1号である。さらに、半年後の1979年10月からは『スカイライダー』が開始したため、TBS系列でウルトラマンと仮面ライダーが揃い踏みという状況が発生することになった。ちなみに仮面ライダーシリーズは元々毎日放送制作のため、『仮面ライダーアマゾン』まではNET(現在のテレビ朝日)系列だった。
タイトルが「ジ」ではなく「ザ」なのか疑問を感じる人も居るかもしれない。これは当時の人気音楽番組(TBS系)、「ザ・ベストテン」の影響を受けた題名だからである。「The best ten」なら一般的な英語だが、その後で和製英語になってしまった。
題名が似ているけど内容は全くの別物である漫画版「ザ・ウルトラマン」と区別する目的もあり、このアニメ版の方は、タイトルロゴに倣って「ザ☆ウルトラマン」と表記される事が多い。
関連動画
オープニング映像
番宣映像
当時のアフレコ現場が映っており、富山敬氏が視聴者に向かって挨拶をしている。
関連イラスト
関連タグ
ウルトラマンUSA:同じくアニメでのウルトラシリーズ作品。こちらは劇場公開作品である。
SSSS.GRIDMAN:2018年に放送されたテレビアニメ。『電光超人グリッドマン』のアニメ作品。当初は「ウルトラマンのアニメ」として円谷プロに企画を打診したものの却下され、「『アンドロメロス』か『グリッドマン』なら」と逆提案を受け、監督にとって思い入れのあった『グリッドマン』が選ばれた。
※あくまでイメージです。
ウルトラマンタイガ:本作の世界観を引き継ぐ描写が盛り込まれた、最初の実写テレビシリーズ。