概要
ある意味でウルトラシリーズ最大のタブーと言える展開。
プリキュア同士の戦いの戦いと同様、シリーズ内の禁じ手だが、あちらは視聴者への配慮による大人の事情が絡んでいるのに対して、こちらは作風においての禁じ手という側面が強い。
長らくファンからは、ウルトラマン同士の戦いが許されるのはあくまでお互いを鍛える手合わせのみで、それ以外の理由は駄目だという意見が多く、公式もこれを徹底しているのか、ウルトラマン同士の戦いがあったとしても何らかの誤解があったり敵に操られていたりといった不本意なケースがほとんどで、『ウルトラマンフュージョンファイト!』をはじめとするゲーム作品ではウルトラマン同士が戦う場合は『特訓』と称する事が殆どである。
事実、ピクシブ百科事典でも他のヒーロー同士の戦いの記事と異なり、長らくこの記事が立てられなかった程である。
ただし、片方が闇の巨人や悪のウルトラマンだった場合は例外らしく、そこまで強い批判は生まれない。
とはいえ、相手が悪のウルトラマンであろうと、最終的には和解という形になる事が多く、あのウルトラマンベリアルでさえも最期は息子と分かち合えた様な描写がなされている。
更に近年では『闇=悪』という風潮が無くなる傾向もあって、光と闇関係なしにウルトラマンという種族自体が話せばわかり合える様な関係になりつつある。
またニセウルトラマンの場合だと、元々がウルトラマンとは違う種族である事が多いからか、あまり批判される事は無い。
総合的に言えば、特に光の巨人同士でお互いの正義をぶつけ合う事があまり良い目で見られない様で、近年ヒーロー同士の戦いが緩和しつつある中でウルトラシリーズは未だに慎重な姿勢を取っている。
そもそもウルトラシリーズは特撮シーンで多くのキャラを出しすぎると特撮の規模が大きくなってしまいコストがバカにならなくなる上に、敵役の怪獣や宇宙人も主役なので、安易にウルトラマン同士の戦いばかりを描くわけにはいかないのだろう。
だからといって、ウルトラマンが身内に甘いと思えばそうでもなく身内が犯した犯罪には厳しい様で、ベリアルは追放処分の末に最終的には討伐対象に変わった他、ゼロも逮捕された末にK76星で軟禁処分を受けた事がある。
例外はウルトラマンタロウで、表向きは親友だったウルトラマントレギアを討伐対象としていたが、最後まで和解を諦めない様子だった。
光の巨人同士の衝突
特訓などによる手合わせ以外のケースを記載。
ウルトラマンレオ
ウルトラマン同士の戦いの先駆けとも言える作品。
光の国からウルトラキーを強奪したアストラを追って、ゾフィー、ウルトラマン、ジャック、エースが地球でアストラを襲撃、弟のアストラを守る為にレオが乱入した事でウルトラマン同士の戦いが起きてしまった。
尤も、レオは何も無条件にアストラを庇ったのでなく、アストラからウルトラキーを奪った理由を聞き、何も答えないアストラに怒鳴る等して、弟の悪事にしっかり向き合っており、事情を聞く前に戦うのはよくないと思っていたのだろう。
しかし、光の国が地球に迫っているという深刻な事態故にウルトラマンの堪忍袋の緒が切れあの迷言を吐く程にもなり、戦闘は再開し、終いにはレオが重傷を負う事態にもなってしまう。
結局この戦いは、アストラに化けたババルウ星人の仕業だと判明し、ウルトラキーもレオ兄弟の活躍によって回収、返却されて無事に事件は解決された。それはいいものの、翌週にはあいつがいよいよやってくる。
この一件について初代側からの謝罪は無かったが、その後の物語で初代側にいたエースがレオ兄弟を心配する様子が描かれた事から無事に和解した模様。
ウルトラマンガイア
メイン画像にもある通り、恐らくウルトラシリーズにおいてウルトラマン同士の戦いを最も濃く描いた作品。
アグルの変身者である藤宮博也が、クリシスの答えから『地球を救う為に人類を抹消する』目的に、それを良しとしないガイアの変身者である高山我夢と対立した。
ただ、その間でもアンチマター等の共通する敵が現れた場合には一時共闘する事もあり、藤宮自身も吉井玲子をはじめとする人間との出会いから葛藤し、非情になり切れない一面もあった。
2クールかけて対立した末に、25話にてついに直接対決。その余波でゾーリムが出現してしまった事、更にクリシスが根源的破滅招来体の干渉を受けていた事が発覚し、藤宮は戦う気力を失い、アグルの力を我夢に託し姿を消した。
しかし、その後も自分なりに根源的破滅招来体に対抗する手段を模索し、Σズイグルに拉致された我夢を救出したい思いから「アグル、俺はもう一度戦いたい」と願い、再びアグルの力を取り戻し、我夢を救出した。
これを境に、藤宮は我夢の最高の相棒へと変化し、ウルトラシリーズ史上屈指のウルトラマンのコンビとなった。
ウルトラマン同士の戦いが良くない風潮で、長く激しい対立の末にも生まれる絆があるというのがわかる作品と言える。
ウルトラマンコスモス
劇場版で、地球を庇うコスモスと宇宙正義を執行するジャスティスとの対立が描かれた。
タイトルも『ウルトラマンコスモスvsウルトラマンジャスティス』と表記されているが、コスモスは戦いには消極的でジャスティスが一方的に襲い掛かる展開となっている。
その為、この劇場版は『勝者であるジャスティスの成長』がメインになっており、一度はコスモスが敗北して消滅してしまう事態にもなってしまうが、ジャスティスが地球を偵察していた際に地球怪獣の奮闘や子犬を庇う少女の優しさに触れて心境が変化、最終的に地球を守る為に、復活したコスモスと共に立ち向かった。
ウルトラマンメビウス
謎の巨人ハンターナイトツルギ/ウルトラマンヒカリとボガールの処遇で対立を起こしている。
一時は激しい剣戟を繰り広げられる程だったが、ミライやリュウの接触、憑依したセリザワ・カズヤの潜在意識の説得によってウルトラマンとしての心を取り戻し、ボガールを倒す為に共闘した。
厳密に言えばウルトラマンヒカリではなく当初はハンターナイトツルギとしての対立だった為、ウルトラマン同士の戦いとは言いにくいが便宜上ここに記載する。
ウルトラマンギンガ
続編の『ギンガS』で初登場したビクトリーと1話だけ対立する話がある。
ただ、礼堂ヒカル自身は「ウルトラマン同士が戦うのは良くない」という考えの持ち主で、UPGのメンバーも争いを止めようとしていた事から、対立はそこまで長引かず、すぐにショウとも打ち解けた。
メタ的に言えば、これまでの作品と異なり、話数が少ないのであまり対立を長引かせるわけにはいかなかったとも言える。
ウルトラマンX
スラン星人クワイラの策略により、ゼットンアーマーを装着したウルトラマンエックスが操られ、クワイラ、ゼットン共々ウルトラマンマックスに襲い掛かってしまう。
しかし大空大地の尽力で悪性プログラムが除去されエックスは正気を取り戻し、マックス共々ゼットンとクワイラを打倒した。
シン・ウルトラマン
主役であるウルトラマンと光の星からやって来た同胞との対立が描かれる。
直接の対決はせず、同胞は執行者として天体制圧用最終兵器を用いて地球を滅ぼそうとし、ウルトラマンはそれを阻止する形となる。
しかし、その同胞はあくまで光の星からの命令で地球を滅ぼそうとしただけであり、個人としてはウルトラマンに気遣う描写が散見した。
因みに制作陣は「ウルトラマン同士の対立でも面白そうだから」と述べており、あまりタブー視していなかった模様。
ウルトラギャラクシーファイト大いなる陰謀
スラン星人によってゴーデス細胞を埋め込まれてしまったマックスが暴走してリブットに襲い掛かってしまうも、リブットにより抗体を打ち込まれ正気を取り戻した。
また、並行同位体として現れた、闇に堕ちる前のベリアルやトレギアとの戦いも描かれた。
ウルトラギャラクシーファイト運命の衝突
メインキャラの一人であるウルトラマンリブットとウルトラマンネクサスの対決がアブソリュートティターンを交えて描かれる。
しかしこれは、ウルトラマンとアブソリューティアンが協力し合えるというネクサスことウルトラマンノアからの試練だった。
並行同位体のベリアル、トレギアとの戦いも引き続き描かれた。
ウルトラマントリガー
劇場版にて、ウルトラマンゼットが操られてトリガーに襲い掛かってしまう。
MARVELコミック版ウルトラマン
MARVELコミック社がウルトラマン・シリーズをコミック化した作品。
第2部「Ultraman Vol.2 : The Trials of Ultraman」終盤から第3部「Ultraman Vol.3 : The Mystery of Ultraseven」にかけて「光の国」の理念に忠実であろうとする(初代)ウルトラマンと、様々な惑星で文明を崩壊に導いている謎の勢力が存在する事を知ってしまい、その勢力と闘う為に地球や他の惑星の文明により積極的に介入しようとするウルトラセブンの正義や理念の違いから「ウルトラセブンがウルトラマンの力を強奪」「ウルトラセブンと力を取り戻したウルトラマンがシビルウォーを始める。しかも、この際にセブンはある理由から暴走状態に陥っている」「科学特捜隊が地球人に敵対的な外星人達に乗っ取られている事に気付いた元職員が新組織MATを作り上げ、謎の外星人達のエネルギー源の一部を強奪し、それを使って巨大合体ロボット『ジャック』を生み出す」という「ウルトラマンと言うよりライダーバトル」「MARVELらしいにも程が有る」展開となる。
悪のウルトラマンとの戦い
ここでは種族が異なるニセウルトラマンを除き、元々がウルトラマンである存在との戦いのみ記載する。
ウルトラマンティガ
本編では、マサキ・ケイゴが変身したイーヴィルティガとの戦いが描かれ、従来の光vs闇ではない善vs悪の光の巨人同士の戦いでもある。
第44話『影を継ぐもの』の脚本を担当した小中千昭氏もウルトラマン同士の戦いには難色を示していたが、ウルトラマンの中身が人間なので「人間同士の戦いなら出来るかも」と思ったとの事。
劇場版では、かつてのティガの仲間であるカミーラ、ダーラム、ヒュドラとの戦いが描かれ、カミーラとは最終的に和解している。
また、回想ではモブのウルトラマン達が対立する描写がある。
ウルトラマンネクサス
物語通して、ネクサスと闇の巨人『ウルティノイド』との戦いを主軸にしている。
基本的にウルティノイドは絶対的な悪として描かれているが、一部の変身者とは最終的に和解している。
ウルトラマンゼロ/ウルトラマンジード
光の国で生まれた闇の巨人ウルトラマンベリアルとの戦いを描いている。
ゼロとベリアル、両者とも同じ過ちを犯した者同士が激突し、メタ的な時間的にも最も対立が長引いたウルトラマン同士の戦いである。
その戦いは『ウルトラ銀河伝説』『超決戦!ベリアル銀河帝国』『ウルトラゼロファイト』と続き、最終的な決着は『ジード』まで続いた。
ウルトラマンR/B
前半はウルトラマンオーブダークとの戦いが描かれ、劇場版ではウルトラマントレギアが黒幕として登場する。
厳密に言えばオーブダークはニセウルトラマンというべき存在だが、便宜上ここに記載する。
因みに二人の兄弟ウルトラマンである湊カツミと湊イサミは、人間時に喧嘩はあったが、ロッソとブルに変身してウルトラマン同士で対立する事は一度も無かった。
ウルトラマンタイガ
『R/B』から登場したトレギアとタイガ率いるトライスクワッドとの戦いが全編通して描かれ、完全な決着も劇場版まで持ち越された。
トレギアの姑息な罠にタイガとタロウが一度闇の巨人へと成り果てしまうという、シリーズでも衝撃的な展開もある。
やはりこちらでも、トレギアの最後はタロウの反応と共にどこか悲しげな演出で描かれた。
ウルトラマントリガー
メインヴィランとして闇の三巨人であるカルミラ、ダーゴン、ヒュドラム、そしてトリガーの闇の巨人としての姿トリガーダークが登場。
シリーズでも珍しい善悪の理由ではない悪のウルトラマン同士の戦いがある。
ダーゴンの人柄を含めて闇=悪ではないのが描かれ、トリガーダークもトリガー本人から分離しトリガーと幾度か激突するも、最終的には味方になった。
闇の巨人だろうと「ウルトラマン同士の戦いは良くない」というスタンスがわかる作品である。
劇場版ではイーヴィルトリガーという悪のウルトラマンとの戦いが描かれる。
関連タグ
戦隊同士の戦い プリキュア同士の戦い:東映作品及びニチアサでのヒーロー同士の衝突。これらも基本的にはタブーに近い。
ライダーバトル :ニチアサでのヒーロー同士の衝突。但し、こちらは仮面ライダーの性質が”善玉の存在が作り上げた正義のヒーローとは限らず、寧ろ洗脳から逃れ元居た悪の組織と戦うヒーローなこともざら”なため、上記の作品よりも頻繁に発生し、中にはライダーバトルそのものが作品のコンセプトに盛り込まれているナンバリングもある。