GAMERA-Rebirth-
がめらりばーす
「ガメラ、復活――。」
Netflixで2023年9月7日に配信されたガメラシリーズ最新作。全6話。
令和最初のガメラでもある為、公式の Twitter(X)アカウントや中山忍なども既に「令和ガメラ」というワードを使用している。
2006年前後の企画倒れとなった2つの作品(カートゥーンネットワークによる物と『牙滅羅』)や2014年にANN(Anime News Network)が報じたアニメ化の告知情報を除けば、シリーズとしては史上初となるアニメーション作品である。また、これまで様々な事情によって海外展開ができなかった本シリーズの積年の目標を叶えたことになる。
純粋な新作は17年ぶりであり、これは『宇宙怪獣ガメラ』と『ガメラ大怪獣空中決戦』(15年)以上の隔たりである(この原因の考察は下記の余談を参照)。また、ギャオス以外の敵怪獣は全員が半世紀以上ぶりの本編への新規登場となった。
アニメーション製作はENGI。監督にはアニゴジ三部作を手掛けた瀬下寛之が担当。小説執筆には『カゲロウプロジェクト』のじんも携わっている。OP曲『夏暁』とED曲『FLY&DIVE』はどちらもWANIMAが提供している。
ネタバレになるが、プロットは「どんなに傷つきながらも命がけで戦う子供と地球の守護者」というガメラの大原則に忠実であり、過去作への様々なオマージュが豊富に込められている。
また、『デジモンテイマーズ』や『ウルトラマンティガ』の原案にもなり、(長谷川圭一によれば)平成ガメラの礎になったことで平成以降のウルトラシリーズと仮面ライダーシリーズの「礎の礎」になったとも言える「小中ガメラ」をはじめとする、シリーズの歴史において重要だが注目されてこなかった要素を回収している部分もある。
さらに、『ガメラマーチ』が52年ぶりにサウンドトラックとして使用された。
瀬下氏いわく「戦闘シーンを完成版の2倍も作ってしまって削らなければならなくなった」らしく、これに加えて怪獣の生態に関する点に関しても細かく設定していたようで、シーズン5まで作れるくらいにネタがある、また、本作の成績次第では実写化もあり得ると語っている(参照)。
瀬下氏は「本作の成績次第で予算が増えれば、10分間ぶっ通しの戦闘シーンを作りたい」とインタビューで述べている(参照)。
(9月3日より、ガメラと縁がある渋谷にて、大型ビジョンをジャックする宣伝が行われた。)
告知と共に国内外を問わず大きな反響を呼び、Twitter(X)上では『ガメラ復活』や『ガメラ新作』を含む複数の関連ワードが国内で最上位にトレンドインし、米国でも『Gamera』がトレンドインした(参照)。また、ヤフーニュースなどの各媒体でもトップニュースとして報道された。
また、制作発表を祝して、東京や大阪で街頭宣伝がされる事となった(参照)。
メインPVが公開された際には普段はアニメ、それも日本の作品を紹介することが珍しいNetflixのTwitter(X)の本アカウントでも紹介ツイートを投稿している(参照)。
セカンドトレイラーが公開されると更に大きな反響を呼び、日本では二日連続でツイッターのトレンドのトップにランクインし、更に『夏暁』も話題になり、WANIMAの知名度が国内外問わずに大きく上昇した。『夏暁』は、国内のラジオ放送におけるリリース後の翌週のランキングでも2位という好成績を収めている。
また、新海誠氏も間接的に宣伝に協力している(参照)。瀬下寛之氏は、新海誠監督の映画『すずめの戸締まり』において、椅子とミミズのCGを担当している。
また、本作の吹き替えを担当した海外の声優達も「ガメラという存在すら知らなかったけど、今では沼にハマった」等の発言もしている(参照)。
さらに、木村昴が演じるダグラス・ケン・オズボーン(ブロディ)によって、国外における『ドラえもん』の知名度も間接的に底上げされた。
10月現在の時点での、海外での大手レビューサイトや評論家によるエッセイ、コミュニティー、SNSなど各所での評価は、概ね以下の様になっている。全体的に見れば、怪獣ファンからの反応は後述の問題点をふまえても好評寄りである(一例)。
評価点
- 戦闘シーンが素晴らしい。
- 怪獣のデザインやモデリングの精度が非常に良い。
- ストーリーも予想以上に良い。
- 人間のキャラクターも、一見すると地味だが特色を発揮できていて興味深い。
- 限られた予算を正しい方向に活かしたことが見て取れる。
- 予算を怪獣と背景とストーリーに全振りしたであろう分、人間やアイテムのCGは一見すると荒く思えるが、人物の感情や表情等は細かい部分まで作り込まれていることが分かり、重要なポイントはしっかりと抑えているといえる。
- 瀬下寛之監督が「今度はやりたい事ができた」と実感できる。
- シリーズ復活のためにも続編の制作を期待する。
- ここで諦めないで欲しい。
- 瀬下監督も、とあるインタビューにて「本作に込めた最大の願いはシリーズの復活」と述べており、「Rebirth」というネーミングに込めた意味の一つになっている。
問題点
- 瀬下監督とじんによる小説が刊行
- ヤングエースUPでのスピンオフコミカライズ『GAMERA-Rebirth-コードテルソス』
- タテスクコミックで本編コミカライズ
- 設定資料集の制作決定
- 『UNION ARENA』参戦
- ムービーモンスターシリーズよりソフビ人形発売
- ガメラを含む本作に登場する怪獣のソフビ人形が全6体発売されている。
- 片山修志作曲のオリジナルサウンドトラックの発売・配信開始。
- とよさきあき/豊崎愛生(参照)
- おでかけ子ザメ(参照)
- 夜は猫といっしょ(参照)
- ゴジラバトルライン
- 青鬼シリーズ(参照)
- 『妖怪大戦争シリーズ』とは過去にコラボレーションを行っている。
- 神亀酒造株式会社(参照)
- マチ★アソビCAFE TOKYO(参照)
- カルクルomotesando(参照)
『ゴジラバトルライン』とのコラボレーション(キービジュアルには、監督繋がり故かゴジラ・アースが使用されている)は歴史的である。大阪万博などの興行イベントや、『シンプソンズ』や『巨影都市』などの部外作品では共演があったものの、公式による同一メディア内にてガメラとゴジラによる「実際の共演」が実現したのは今回が初である。また、『ガメラ大怪獣絶唱』などいくつかの作品では近年の展開があったものの、ガメラがアプリとはいえゲーム作品に「操作可能なキャラクター」として登場したのも『ガメラ2000』以来となる。
『夜は猫といっしょ』におけるキュルガとの共演は、『ガメラ3』における「ガメラと猫」というネガティブなイメージをどこか払拭している。
なお、『おでかけ子ザメ』とのコラボレーションにて、(ジグラに因んだポスターが作られた)子ザメラ(子ザメちゃん)と平和の象徴である鳩と共にガメラが「おにぎり」を食べているが、これがガメラが明確に有機物を食べた初の描写である(ガメラは一切動植物を食べない)。
最後の夏。友達。そして怪獣ー。
1989年夏、小学6年生のボコ、ジョー、ジュンイチは、小学生最後の夏休みを迎えていた。
それぞれの心にある、将来に対する漠然とした不安。
そんな3人の前に、在日米軍司令官の息子、ブロディが現れた。
3人で貯めた現金をうばっていくブロディ。怒ったボコたちは、お金を取り返すための作戦を計画する。
その作戦を実行しようとしたとき、町に危機が訪れる。
怪獣ギャオスが突如、東京に襲来したのだ。
ギャオスによって廃墟となった街に立ちすくむ4人。ギャオスが彼らに狙いを定めた時、巨大な怪獣が現れる。
その名はガメラ。
これが4人の「怪獣の夏」の始まりだった。
次々と現れる怪獣。傷つきながらも戦うガメラ。
そして少年たちは「伝説」を目撃する。
- 和多大輝(ボコ):金元寿子
- 松田了(ジョー):松岡禎丞
- 市原純(ジュンイチ):豊崎愛生
- ダグラス・ケン・オズボーン(ブロディ):木村昴
- ジェームズ・タザキ:宮野真守
- エミコ・メルキオリ:早見沙織
- レイモンド・オズボーン:中井和哉
- 佐々木宗篤:櫻井孝宏
- 和多藍子:森なな子
- 江夏美緒:嶋村侑
- アンセルム・リューブランド:玉井勇輝
- プルデンシオ・フォルテア:武内駿輔
- ノーラ・メルキオリ:大井麻利衣
- ウィンストン・グリフィス:羽多野渉
- マーク・アディソン:佐藤元
- ジュリアン・ポンピアーニ:鈴木崚汰
- アンガス・ゲイラー:高塚智人
- 東伏見篤史:比嘉良介
- ドーソン:中谷一博
- ローデリヒ:霧崎亘
- エルッキ:藤原聖侑
- ダリオ:大西弘祐
- 鈴木博士:佐々木義人
- 松井博士:横田大輔
原作 | KADOKAWA |
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原案・監督 | 瀬下寛之 |
副監督 | 井手恵介 |
シリーズ構成 | 猪原健太、瀬古浩司、瀬下寛之 |
脚本 | 猪原健太、瀬古浩司、山田哲弥、瀬下寛之 |
キャラクターデザイン | 田村篤 |
怪獣デザイン | 髙濵幹 |
プロダクションデザイン | 田中直哉、フェルディナンド・パリ |
メカニックデザイン | 帆足タケヒコ |
アニメーションディレクター | こうじ |
造形監督・光画監督 | ⽚塰満則 |
チーフエンジニア | 田中満 |
演出 | 石間裕一 |
CGスーパーバイザー | 堀正太郎、⼾⽥貴之、元木パウロ |
リギングスーパーバイザー | 砂村洋平 |
エンバイロンメントスーパーバイザー | 中村葉⽉ |
アニメーションスーパーバイザー | 関根雅史、こうじ、比嘉一博 |
エフェクトスーパーバイザー | 宮台直也 |
テクニカルスーパーバイザー | 帆苅哲 |
編集 | 肥田文 |
音響監督 | 岩浪美和 |
音楽 | 片山修志 |
ラインプロデューサー | 松隈喬平 |
製作プロデューサー | 飯島哲 |
アニメーション製作 | ENGI |
製作 | KADOKAWA、Sammy、BANDAI SPIRITS |
※各話のタイトルは、ほとんどが古典SF作品へのオマージュになっている。
※1話の「東京上空」は、アニメ「聖戦士ダンバイン」の16話タイトルが元ネタであると思われる。実際に作中でも「ダンバイン大辞典」や「オーラバトラー」といった同作を示唆する単語が登場している。
※第4話の英語版でのタイトルは「Kill(殺す)」と、日本語版と呼応した言葉遊びになっている。ただしこちらのタイトルはSFではなく岡本喜八の時代劇の『斬る』(英題『''Kill!''』)である。
- 1989年という年代設定は、「昭和でもあり平成でもある」という意味深な物になっている。
- 『小さき勇者たち』から実に17年、ショートムービー版『GAMERA』から7年ぶりの完全新作となる。
- これまで、実に5-6つの企画が中止または延期になった(『小さき勇者たち』の続編、2017年頃に公開予定だった作品、カートゥーンネットワークが2005年に製作発表したアニメ、『牙滅羅』、2014年に告知されたアニメ化作品、モンスターバースの前身の『ガメラ3D』)。
- その他は、いくつかの小説(『虚実妖怪百物語』『聖獣戦記 白い影』『妖怪大戦争』)や、いくつかのゲーム作品やパチンコ、マット・フランクによるグラフィックノベルが出版されるにとどまるなど、かなり寂しい状況だったが、ついにファン念願の新作発表となった。
- 2015年の映像作品のシリーズ化が実現しなかった原因は判明していないが、「十分な予算が確保できなかった」という説や「時期的にも配給体制的にも(設定の似ている)モンスターバースや『シン・ゴジラ』やアニゴジとの競合が避けられず、ネームバリューや(配給面も含めた)資金力や配給先へのアピール性の面でも不利だったから企画が見送られた」などの説を挙げる人々もいる。
- 2020年頃にはアニメーション媒体としての「ガメラ」が商標登録されたとの情報があり、次回作は本当にアニメになるのではないかとの予想が囁かれていたが、パチンコ関連もあって、それが本作のことなのかは不明である。
- 登場キャラクターの年齢設定はジュブナイル色が強く、昭和シリーズや『小さき勇者たち』に近い作風とも思われる。特に、外国人の少年が登場することは明らかに昭和シリーズを意識した配役とも解釈できる。
- 今作に登場する怪獣は、全て昭和ガメラシリーズ出身の怪獣である。ファンの中で予想されていたバルゴンは、挙げられなかった。その理由として、今作が昭和ガメラシリーズ同様、「子ども」に焦点が当てられていることが影響しているのではないかとの説を挙げる人々もいる。
- バルゴンの登場するガメラシリーズ第2作『大怪獣決闘ガメラ対バルゴン』は、高年齢層を意識した作品であり、昭和ガメラの中では唯一子供が登場しない。
- 平成ガメラ三部作の監督の金子修介は、ガメラの復活企画をKADOKAWAに持ち込んだところ、今作の企画が既に動いているので断られてしまったとコメントしている。
- なお瀬下寛之は金子修介に続き、ガメラとゴジラの両シリーズを手掛けた監督でもある。
- GODZILLAアニメ三部作:同じ瀬下監督作品であり、宮野真守と早見沙織、さらには数名の声優が同作に参加している。宮野氏はウルトラシリーズにも度々出演しており、螢雪次朗と同様に、この3シリーズ全てに登板している珍しい経歴となる。また、ガメラの放電の描写などの瀬下ゴジラへの類似性も見られ、瀬下ゴジラもキャッチコピーが「滅びるのは、人か、ゴジラか。」と、『ガメラ2』の「消滅するのは、日本か、レギオンか。」というキャッチコピーを意識していた。そして上述の通り、『ゴジラバトルライン』において共演が実現された。
- ゴジラS.P:ゴジラシリーズにおける令和初のアニメシリーズの作品。こちらもNetflixで配信された。
- ゴジラ-1.0:同時期に発表された怪獣作品。破壊シーンは『ガメラ3』を参考にしていると判明している。
- 令和悪魔くん:同じシーズンにNetflixで配信されるアニメ作品であり、大映特撮と水木しげる作品には互いに関連性がある。また、同じく水木しげる生誕100周年企画の一角である『鬼太郎誕生ゲゲゲの謎』も公開時期が近い。
- 海外ドラマ版ONEPIECE:こちらは「実写作品の二次元化作品」である本作とは逆の「二次元作品の実写化作品」。何の因果か同じNetflixで1週間の差で配信が開始された。また、両シリーズにWANIMAが楽曲を提供しているという共通点もある。
- カミエラビ:本作配信開始から1ヶ月後に放送開始されたアニメ作品。こちらも瀬下寛之氏が監督を手掛け、ガメラの小説版執筆を監督と共に担当する『カゲロウプロジェクト』のじん氏が脚本として参加する。
- ブルバスター:同じくKADOKAWA製作の巨大生物が登場する作品であり、公開時期も近い。
- メカガメラ:フィリピンによる『超電磁マシーンボルテスV』のリメイク実写作品である『ボルテスV:レガシー』の2023年7月12日放送の第48話「Gamera」にて、亀型の巨大ロボットの「GAMERA」(ガメンザーのリメイク)が登場しており、時期的に見ても本作を意識している可能性がある。