概要
視聴者に恐怖を与えたり、雰囲気が不気味だったりするCMのことである。
主にお詫びCMや啓発系CM(特に薬物関係)などに多いが、稀に宣伝目的のCMにも見られることもある。
またDVDが台頭する以前のVHSで録画されたテレビCMは画質の粗さもあって怖さに深みを持たせていた。
ネット上で有名なものは2000年代のものが多く、2010年以降はDVDの台頭によるVHSの衰退、地上デジタル放送開始に伴うフィルムCMの放送終了、東日本大震災以降の表現自粛傾向(後述の「あいさつの魔法。」も参照)などの影響により減少傾向にある。
怖いCMの例
お詫びCM
詳細は当該記事を参照。
宣伝CM
かつてフジテレビで放送されていた深夜番組のアイキャッチ映像。厳密にはCMではない。詳細は当該記事参照。
子供の鬼が大人の女性(松坂慶子)とティッシュを投げ合って遊んでいるCM。幻想的な映像だが当時としては聞きなれないアカペラのBGMが不気味と評された。
鬼を演じた子役がその後急死したなどの都市伝説も流布された。
- パルナス製菓のCM
かつて関西を中心にロシア風の洋菓子やピロシキなどを販売していたメーカー。
2000年に営業停止、2002年に会社解散となったが、事実上の後継であるモンパルナスが現在も営業中。
なおCM中に登場した赤ちゃん(一般人)が今どこで何をしているかは不明。
一見すると何のこともない缶詰のCMだが、大人の事情で出演者の顔が映せなくなってしまい修正された。修正版の編集がどこか不気味といわれている。
やや無機質なエコーのかかった「はぎや整形」というナレーションと共に砂浜の映像が流れる。深夜に見ると不気味。
- アタマがしわくちゃ(コスモ証券)
全身タイツの人間の集団が中央に集まり、人間の横顔を作る。トライポフォビア(集合体恐怖症)の人は絶対に見てはいけない。
ちなみに正式な会社名は岩井コスモ証券で、大阪市に本社を置く証券会社である。
「なぁぁ~~にぃぃ~~!?」
「かに玉」編はコミカルなキャラクターがCGの強面になり耳から煙を吹きだしながら激怒していたが、怖いとクレームが来てからは放送されなくなった。
その後別バージョンの「かに玉」編が放送、リアクションが鼻水を吹きだしながら号泣するというマイルド(?)なものになった。
「そうだったのねぇ~~!?」
- 奉行シリーズ(勘定奉行)
会計管理ソフトウェア。
歌舞伎役者の首の動きが怖いと話題になった。
ビキニを着た女性のおへそが喋りまくる。最後に腹部の大きな唇が「どっかーん!」と叫ぶシーンが特に怖いと言われている。
ちなみに創業者の斎藤一人は専門学校で指圧や漢方について学んだ実業家で、健康食品だけでなく化粧品も販売している。
子供がお風呂の湯舟に潜った後、浮かんだ顔面いっぱいに細菌の名前が浮かび上がる。
- ハッピーセット「ハチャメチャびっくり」(マクドナルド)
「キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!!!」
通称「ハッキョーセット」。
『スポンジ・ボブ』とのコラボ商品だが、出演する子供たちのハイテンションな反応が怖いという批判があった。
ちなみにコレほどではないが『スポンジ・ボブ』関係のハッピーセットのCMは軒並みテンションが異常である。
ネットでは超有名な掛け声。
これとは別に公式ホームページに「嬉しくなるとついやってしまう」との回答があったが、結局、ランランルー自体の意味が分からず終いである。
「養って?」
志布志の養殖鰻を宣伝する目的で作られたCM。
ナレーションの男がプールサイドに現れたスクール水着の美少女を養うが・・・
詳細は当該項目を参照。
「可愛いふりして ハードだよ~」
子供の声をしたペタグーが急におっさんの声になり、怖い顔へと変貌する。
- K-Fee
牧歌的な風景・音楽の途中に、突然「緑色のゾンビ」や「真っ白な禿頭の怪物」などが出てきて驚かしてくる。トップクラスで怖いCM。特に心臓が弱い人は絶対に見てはいけない。
風景は「草原ドライブ」「釣り堀」「ヨガ中の女性」「ゴルフ場」などがある。
K-Feeはカフェインの含有量が凄いらしく、「ビックリするほど目が覚める」という意味でこのCMが作られたと言われている。
なお流石に本国でも苦情が殺到したらしく、後のバージョンではゾンビや怪物ではなく、熊のぬいぐるみに差し替えられるなどややマイルドになっている。
- アフリコーラ
濡れたガラス越しに修道女がアフリコーラを飲みながら瓶を眺めている。音楽も特徴的。
アフリコーラは世界一カフェインの含有量が多いコーラで、ドイツではあのコカ・コーラに匹敵する人気を誇るのだとか。
- Baby Laugh A Lot(笑う人形)
アメリカ合衆国で製造された、不気味に笑っている女の子の人形の宣伝。
啓発CM
- 覚醒剤やめますか?それとも人間やめますか?(日本民間放送連盟)
覚せい剤の危険性を訴えかけている。
- 石川県が製作した覚せい剤追放キャンペーンのCM
不気味な絵と、不自然な棒読みの「キャー殺されるー」の叫び声が特徴的。
その後、「覚醒剤による妄想、幻覚。人間やめますか?覚醒剤やめますか?」というナレーションが入る。前述の民放連のCMのローカルバージョンともいえる。
- 愛知県が製作した不当請求防止のCM
2011年に放送されたCM。
- ダメ。ゼッタイ。(麻薬・覚せい剤乱用防止センター)
「麻薬、覚せい剤、シンナーなどを一度乱用したら、人間の終わり。」
1990年に放送されたCM。
卵に描かれた顔が徐々に苦しそうな感じになり、螺旋階段を転がり落ちる。最終的には割れてしまう。
違法薬物によって人生が崩壊してしまう様子をイメージしている。
「警報機は鳴っていました。遮断棒も降りていました」
踏切事故防止キャンペーンのCM。特に1999年度版の通称「モラル」。
遮断機が下りている踏切を突破しようとした車が電車と衝突、同乗者は死亡し運転手は多額の賠償金を請求されるという内容が画面を埋め尽くすほどの文字と短い映像・静止画で描かれる。
- 黒い涙(日本国際映画著作権協会)
後述の映画泥棒の前身ともいえるCM。無表情の少女(谷村美月)が涙を流し、そのしずくが水面に落ちてウォータークラウンを浮かべる。
するとそのウォータークラウンがフィルム音と共にドクロに変わって次第に拡大される。
ドクロは海賊旗、すなわち海賊版をイメージしているという説がある。
「劇場内での映画の撮影・録音は犯罪です。」
映画の海賊版を撲滅するという目的で作られたCM。
館内で盗撮していたカメラ男が逮捕されてしまう内容でおなじみだが、2007年に放送された最初期のバージョンはかなり強めの打楽器主体のBGMで、薄暗いグレーの背景でカメラ男がサーチライトに追いつめられるという内容だった。
その後2010年のパトランプ男が登場するようになったバージョンからはBGMのドラム音が軽くなり、次第にコミカルな内容に変わっていった。
- 違法だよ!あげるくん(日本民間放送連盟)
テレビ番組の違法アップロードの危険性を訴えるCM。
トメ吉という犬のキャラクターが無断アップロードをしようとしている16歳の少年(あげるくん)に冒頭の台詞で忠告するが、このトメ吉の声が見かけによらず低く怖いと言われている。
- 放送広告の日(日本民間放送連盟)
毎年4月21日の放送広告の日を告知したCM。木彫りの像が不気味と言われている。
- つなぐよ子に(ユニセフ)
ユニセフ(UNICEF)は国際連合の補助機関の一つ。正式名称は国際連合児童基金。
「戦争や飢饉、マラリアなどで苦しむ発展途上国の子供たちのために募金しましょう」と呼びかける内容だが、悲惨な映像が怖いと言われている。
地上波ではあまり見かけず、衛星放送が中心。
「動脈硬化は、自分で気づけない。だから悪玉(LDL)と善玉(HDL)のコレステロール値を把握しましょう。」
通称「ヘイヤレロトティーヤ」。通勤中の会社員の男が動脈硬化(おそらく心筋梗塞)で急死してしまう。
題材が題材故に同作以外の歴代CMも怖いと評判。
重症患者と思われる若い女性(実際の患者ではなく役者だが)が、人工呼吸器を装着しながらベッドに横たわっており呼吸困難の症状が出現している。
CMの終盤には「誰もがコロナにかかり得ます」「ステイホームを。検査を。ワクチンの予約を」というメッセージが表示される。
ACジャパン(公共広告機構)
「ストップ!地球温暖化」シリーズ第1弾。詳細は当該記事参照。
- 枯れる命
「消える砂の像」に続く地球温暖化の防止を訴える目的で作られたCM「ストップ!温暖化」シリーズ第2弾で2004年度放送。
人間と犬の形をした植物が枯れていくというインパクトの強いCMである。
アフリカなどの発展途上国の子供のワクチン接種のための募金を呼び掛けるCM。
「あよね」とはBGMの子守歌の冒頭の歌詞の空耳に由来する通称。
子供が何も入っていない器をなぞって舐めている映像にどことなく不気味な子守歌のBGM、そして真っ赤な「HELP」の文字が印象に残る。
- この問題は、本当に問題です
2018年度放送。発展途上国などの国々には学校に通えない子供が沢山いる、ということを視聴者に訴える内容。
「サラさんは、起きている時間の半分で家の手伝いを、残りの時間の3分の2で妹の世話をします。6時間寝たとき、勉強は何時間できますか? 学校へは、歩いて往復3時間かかるものとします。」と算数のような問題が出題される。
答えは0。仮に学校に行けたとしても、勉強する時間は無いから。
そして「この問題は、本当に問題です」と締められる。
- 一人にならない。一人にさせない。
「連れ去り事件の69%(82%)は、子供が一人の時に起きています。」
街中に群れているシマウマの大群の後に、群れから逸れた1頭のシマウマの子供が薄暗い通学路で怯えたような動きをしている。
シマウマが集団で生活しているという性質をモチーフとしたCM。2005年度放送。
初期は関西でのみ放送されていたが、後に全国放送に変更された。
「産むだけで親になれるわけじゃない」
「児童虐待、育児放棄を許さない」という目的で作られたCM。2001年度放送。
泣いている赤ん坊を無視しておしゃぶりを咥えている母親(または父親)が不気味と言われている。
「子育てをする親への批判に感じられる」という意見もあり放送が打ち切られたといわれている。
おなじみポポポポ〜ン。内容は怖くないが震災当時を思い出す人が多い。
本作以外にも2010年度のACジャパンCM(2011年6月まで放送)の多くがこれに当てはまり、同時期の子宮頸がん検診を題材にしたCM「大切なあなたへ」に出演していた仁科亜季子・仁美親子に風評被害が及んだことも。
「もったいねぇ〜」「もったいねぇ〜」
1980年代に放送された「日本昔話シリーズ」のひとつ。好き嫌いをする子供たちの夢の中に、残された野菜を擬人化したお化けが登場する。
『まんが日本昔ばなし』のような作風で、ナレーションも同作と同じ市原悦子と常田富士男。
- 苦情殺到!桃太郎
「悪意ある言葉が、人の心を傷つけている。」
2017年度放送。近年問題となっているインターネットの炎上を風刺したもの。
川から流れてきた桃を拾ったお婆さんに対して「窃盗だろ!謝れ!」「懲役何年?」などの誹謗中傷が殺到する、という内容。
映像そのものはこれまでの作品と比べてポップなもので、頻繁に炎上するネット社会の現状が怖いというべきか。
- IMAGINATION/WHALE
通称「黒い絵」。2001年度~2002年度放送。
図工の授業で画用紙をひたすら真っ黒に塗る少年。先生も両親も意図を理解できず、ついには医師にまで診てもらうが医師の問いかけにも少年は答えない。
病院に隔離されてしまった少年。しかしある日先生が少年の机からジグソーパズルを、看護師は黒い絵の中に余白があるものを見つけ・・・
誰に問われても何も答えず一心不乱に書き続ける少年が不気味とも評されるが、結末まで見ると感動大作として話題になった。
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謎の映像・CMチャンネル:架空の怖いCMを多数投稿している。
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