概要
独語正式名称はBundesrepublik Deutschland。英語ではFederal Republic of Germany。
日本語名はドイツ連邦共和国、通称ドイツ、漢字表記は独逸。
上記の通り、日本語ではドイツ、英語ではGermany、ドイツ語ではDeutschlandとなる他、中国語では德國、フランス語ではAllemagne、ポルトガル語ではAlemanha、トルコ語ではAlmanya…と言語によって呼び方が大きく変わる国である。
地理
北はデンマーク、東はポーランド、チェコ、南はオーストリア、スイス、西はフランス、ルクセンブルク、ベルギー、オランダと国境を接する。
また、北部は、北西側が北海、北東側はバルト海に面する。
領域は1990年のドイツ再統一によって、ドイツ民主共和国を構成していた15県および東ベルリンが6州としてドイツ連邦共和国に編入されて、現在の16州となった。
歴史
東西ドイツ分裂が強調されがちだが、歴史を見ると分裂や群雄割拠の時代の方がむしろ長く、案外まとまりのない国である。
紀元前はゲルマン民族が支配し、ローマ帝国と対峙。カール大帝によりフランク王国に統一され、中世の東フランク王国後に神聖ローマ帝国が形成。
この神聖ローマ帝国が後に第一帝国と呼ばれることになる。
だが、そもそもの成立自体がイタリア・ローマにおわすローマ教皇の力を借りその権力をバックにドイツ各地に散らばる諸侯を従えるという結構強引なもの。それゆえ歴代皇帝は諸侯の力を削ごうといろいろ努力したが、実りは少なかったという。
このように神聖ローマ帝国は元々結束が緩かったのだが(第一帝国とか、あたかも立派で威厳のある帝国があったかのように言われているのは所謂プロパガンダである)、プロテスタント勢力の勃興を発端とする宗教戦争を機に皇帝の権力が一気に下行し、諸侯が乱立しているのとそう変わらない状態となってしまった。
こうした乱立状態の中から、後にドイツ語圏地域の覇権を巡って争うことになるオーストリア帝国とプロイセン王国が生まれてくることになる。
ナポレオンの侵略を受けて神聖ローマ帝国が瓦解した後には、あまりにドイツ語を話す国々がバラバラすぎることに知識人層が危機感を覚え、民族主義を掲げてのドイツ統一運動が始まった。
当初運動は、オーストリアを中心に全ドイツの統一を目指す大ドイツ主義が優勢だった。しかしオーストリア帝国はドイツ人以外の民族国家(ハンガリー、チェコ、スロバキア、クロアチア等)を領内に多く抱えていたため、大ドイツ主義は現実的ではないとわかり、プロイセンを中心にオーストリア抜きでのドイツ統一を目指す小ドイツ主義が次第に支持されるようになった。
1871年、オーストリア・フランスに続けて勝利したプロイセンはドイツ統一を成し遂げドイツ帝国(第二帝国)が建設される。
第二帝国は第一次世界大戦に敗れ帝政は廃止、民主制のワイマール共和国となるも、ヒトラー率いるナチスが生存圏の東方拡大を掲げて第三帝国を宣言。
(この際、第二帝国時代の重鎮たちがヒトラーに手を貸していたことが後の研究でわかっている。ナチスの台頭は彼らにとっては第二帝国の復興を意味し、あながち第三帝国というのもいい加減な呼称ではないのだ)
ポーランド・チェコを侵略し、第二次世界大戦を起こすも敗北。報復として東方領土を大幅に削られる羽目となった。
戦後は冷戦体制下、ドイツを占領した米英仏ソによって国土はドイツ連邦共和国(西ドイツ)とドイツ民主共和国(東ドイツ)に分断された。ベルリンの西側占領地域である西ベルリンは東ドイツの領内に取り残され、壁に囲まれる。1989年にベルリンの壁が崩壊し、翌年にドイツ連邦共和国がドイツ民主共和国を併合する形で再統一を果たした。
現在では、欧州の中核を成す大国の一つだが、分断されていた東西の経済格差はまだ残っている。
その為、東西統一の際には東ドイツを救出する際に緊縮財政で経済を再生させたが、現在は西ドイツでも節約の後遺症で格差やインフラの悪化が現れている。
企業でもそれが現れており、最低賃金は8・5ユーロと実はフランスよりも低く、つい最近まで最低賃金が制定されていなかった。
また上記の通り第二次世界大戦の敗戦国であるため、日本と同じく国連における常任理事国への加入は認められていない。
国柄
G7と欧州連合の一角を成すの大国であり、世界屈指の工業製品輸出国。
政治・科学・哲学・芸術など様々な分野で高い実績を築き、多くの諸外国が規範としている。
科学技術で優れた目は大きく、自動車ではガソリン自動車やディーゼルエンジンを発明し、メルセデス・ベンツ、ポルシェ、BMW、アウディ、フォルクスワーゲンなど世界的に有名で人気も高く、主要産業として経済を支えている。また、大戦中に液体燃料ロケットの技術開発も進んでいた。
なお、IntelとAMDの最先端プロセッサのパターン焼着装置は世界で3社しか製造できず、そのひとつがドイツのカール・ツァイス社である(残り2社は日本のニコンとキヤノン)。
出生率が低いため1990年代まで日本以上に少子高齢化が進んでいた。膨大な数の移民を受け入れて国の人口を維持しているが、人種・宗教・言語の異なる移民の増加はドイツ社会に混乱を招くことになった。国全体としてはリベラルが強く、人権保護に積極的で、特に外国人差別には目を光らせている。
2006年にFIFAワールドカップの開催を果たした。
また2002年の日韓共催ワールドカップ以降、3大会連続3位以上に入っておりこともあり、世界屈指のサッカー大国。
バイエルンやミュンヘンを始めとして名門が多いブンデスリーガは日本でも人気が高く、香川真司・長谷部誠を始めとして、最も多く日本人選手が挑戦しているサッカーリーグ。
(内田篤人も一時期属していたが現在は日本リーグに戻ってきている)
ドイツは政治や経済が安定している国であり、EUの中心とみなす論者も多い。外交面でも大きな役割を果たしているが、政治方針や国家体制の異なるロシアや中国とは距離を置き、アメリカとの関係も冷え込んでいる。日本との外交関係も疎遠になりつつある。
国民性
真面目で規律正しい性格とされている。ドイツ人のツアー客は待ち合わせ時間ピッタリに全員集合しているという逸話があるほど。その規律正しい性格はドイツの工業製品にフィードバックされており、特にドイツの自動車の品質・評価は高い。悪く言えば頑固で融通が利かず、冗談が通じないというイメージもあるが、現代のドイツ人はジョークを好む一面もある(ただしその内容は往々にしてイギリス人も引くほどブラック)。半面愛想はよくなく、自分の興味のないことにはあからさまに「どうでもいい」という態度をとることがほとんど。
余暇の過ごし方は園芸やハイキング、DIY、パズルなど実際的なものが好まれる一方、漫画やアニメなど「子供っぽい趣味」への風当たりが強く、それゆえフランス語圏(フランスやベルギー)に比べてイマイチコミック文化が浸透しない(ただし後述するように、現在は緩和傾向)。自然志向と「[質実剛健」の風潮からおしゃれにあまり気を遣わない傾向にあり、ドイツ人(特に女性)は「飾り気がない」「化粧をしない」「ダサい」というステレオタイプもある。
日本におけるドイツのイメージと、ドイツの日本イメージ
日本人は、戦前からドイツびいきの気風が強く、ドイツ人を同じ職人気質な特徴を持つ民族同士であると考えている。 旧日本陸軍がドイツ軍を参考にしていたこともあり、日本の右翼層の中にもドイツを尊敬する人も少なくない。
しかし、これは日本の側からの「片思い」的な好意というべきであり、ドイツの側は日本の第二次世界大戦の戦後処理には非常に批判的(現在のドイツはナチスドイツの全否定が国是となっているため、日本の政治家がしばしば戦前肯定の姿勢を見せることを軽蔑している)。さらに日本の政治家の態度や司法制度の在り方についても厳しい意見が出ることもある。
経済的にも、ドイツにとってかつて日本は重要な貿易相手国だったが現在は中国が取って代わり、ドイツ社会の中で日本への関心は平均して高くない。
また、リベラルの気風があるとは言えドイツ社会には人種差別や欧州優位思想がまだ残存しており、特に日本含むアジアへの偏見は強い。
都会に行くと日本のマンガ(ドイツ語訳版)・ゲーム・映画、あるいは日本食なども手軽に楽しめるようになっており、「日本に行ったことないしどんな国かもよく知らないが、日本文化は好き」という人は存外少なくない。日本人が清潔を好むことや工業製品の品質の良さは良いイメージとして知られている一方、日本人がよくやる愛想笑いや他者への追従はドイツ人には好まれない。また日本社会におけるサービス残業や過労死は、きわめて非合理的なものだと捉えられている。
州と都市
16州
ドイツは16州の行政区分に分かれており、成立が古い行政区から自由ハンザ都市(神聖ローマ帝国時代の都市同盟から)、自由州(ドイツ革命による諸侯体制の転換から)、州(第二次世界大戦後の行政区見直しから)となっている。名称は異なれど与えられている権限の差はない。
北部
湾岸地域として神聖ローマ帝国時代からハンザ同盟による北海通商圏が確立されていた。特に現在のポーランド領に当たる旧プロイセン王国領内との文化的なつながりは深い。
東部
旧東ドイツ地域として東西冷戦時代に州は解体され独自の県が置かれていた。東西ドイツ統一後は旧西ドイツと同じ州体制に戻ったが、東西地域間で顕在化している経済格差は今日でも尾を引いている。1996年にはベルリン市庁とブランデンブルク州政府の合併議論も沸いたが住民投票の末に否決された。
西部
ドイツ経済を支える工業地帯で人口密集率も高い。歴史的にもドイツ文化の中心地として多くの作家や作曲家を輩出してきた。スポーツ分野ではボルシア・ドルトムントなどブンデスリーガ所属のクラブが集中していたりする。
南部
古くよりバイエルン王国を筆頭とする有力諸侯が集中していたため郷土愛が非常に強い土地柄となっている。しかしながら中東やバルカン半島からの移民・難民が流入するルートでもあり、2010年代から湧き上がっているムスリム住民差別が他の旧西ドイツ地域よりも深刻な社会問題となっている。
上記以外の主な自治体
ドイツ関連のキャラクター
アニメ
- ボルガ博士(チャージマン研!)
- シュバルツ・ブルーダー(機動武闘伝Gガンダム)
- アイン・ダルトン(鉄血のオルフェンズ)
- 惣流・アスカ・ラングレー(新世紀エヴァンゲリオン)
- ガイロス帝国、ゼネバス帝国(ゾイド)
- 最上リョウマ(デジモンクロスウォーズ~時を駆ける少年ハンターたち~)
- ヴィルヘルミーナ(ハイスクール・フリート)
- ミハエル(爆走兄弟レッツ&ゴー!!WGP)
漫画
- 004/アルベルト・ハインリヒ(サイボーグ009)
- ブロッケン・ブロッケンJr.(キン肉マン)
- シュトロハイム(ジョジョの奇妙な冒険)
- ヨハン・リーベルト(MONSTER)
- クラウス・ハインツ・フォン・デム・エーベルバッハ(エロイカより愛をこめて)
- 少佐(HELLSING)
- ルートヴィッヒ・ギルベルト・バイルシュミット・神聖ローマ・ゲルマンさん(Axis Powers ヘタリア)
- 鈴木アーデルハイト(家庭教師ヒットマンREBORN!)
ゲーム
- レニ・ミルヒシュトラーセ(サクラ大戦)
- ヒューゴー(ストリートファイター)
- ミカン(ポケットモンスターGSC/HGSS)
- ヴォルフガング・クラウザー(餓狼伝説)
- ハイン(KOF)
- ドライゼ(千銃士)
- ティア・グランツ(テイルズオブジアビス)
実写
その他
- ワルキューレ
- はてしない物語
- 大どろぼうホッツェンプロッツ・・・そんなに毎日ジャガイモを食ってるの?
キャラクターのモチーフとしての扱い
随時募集中
関連イラスト
左:ケルン大聖堂
右:ドイツの町並み
関連タグ
- EU関連
- 料理
ビール バームクーヘン ソーセージ ハンバーグ ベルンカステル
- その他
バッハ アンゲラ・メルケル アンネグレート・クランプ=カレンバウアー
神聖ローマ帝国 プロイセン王国 バイエルン王国 ハプスブルク家
Германия آلمان Deutschland Germany 德国