曖昧さ回避
キャラクターとしてのウルトラマンタロウ→ウルトラマンタロウ(キャラクター)
概要
ウルトラシリーズ第6作目。ファイヤーマンやジャンボーグA同様、円谷プロ創立10周年記念番組として製作された特撮テレビ番組。
「子供向け」を強く意識した作品で、防衛チームのムードや乗りもの、登場する怪獣は怪獣というより妖怪じゃねーかというもの、コミカルなものが多い。前作『ウルトラマンA』からの設定を膨らませ「ウルトラファミリー」を作りだし、後のシリーズをつなげる鍵となった。
テーマは「華麗にロマンを謳う空想怪奇シリーズ」である。
なお、タイトルロゴでは「ウルトラマンT」表記で「T」に「タロウ」のルビが振ってある。
あらすじ
物語は、主人公・東光太郎(ひがし こうたろう)がボクシングの修行を終えて日本に帰国したところから幕を開ける。
港を襲った超獣オイルドリンカーを追い払うことに成功した光太郎だったが、彼の持ち帰ったチグリスフラワーの球根から怪獣アストロモンスが誕生する。宇宙科学警備隊ZATへ入隊した光太郎は、小型戦闘機スーパースワローに搭乗してアストロモンスに勇敢に立ち向かうが、アストロモンスの攻撃を受けて墜落してしまった。
しかしそのとき、ウルトラ5兄弟が現れて光太郎を爆発の炎の中から救出すると、その身体をウルトラの国へと運び、そこでウルトラの母よりウルトラの命を授けられた光太郎はウルトラ6番目の弟・ウルトラマンタロウとなって復活した。
地球へ帰還した東光太郎は、ウルトラマンタロウの力に対して一切疑問を抱かずに、同棲している白鳥姉弟や、ZATの仲間たちとの絆に支えられながら、地球を守り抜いていく。
登場人物
東光太郎/ウルトラマンタロウ
本作の主人公。
*当該記事を参照。
朝比奈勇太郎
荒垣修平
二谷一美
北島哲也
南原忠男
西田次郎
上野孝
森山いずみ
*以上はZATの項目を参照。
白鳥さおり(演:あさかまゆみ第16話まで)
白鳥船長の長女にして、19歳の女子大生。弟の健一や居候の光太郎と3人で暮らし、母が既に他界しているため、家事をしっかり切り盛りする女性。ソフトボール経験があり、運動神経が良い。
光太郎に深い想いを寄せているが、光太郎が他の女性といることに対してやきもちを焼いたり、森山隊員に対してライバル心を抱いたりしたことがなく、第11話では自身が大学のサークルで、光太郎も当直で家を空けた際、森山隊員が白鳥家に泊り込むことを承諾していたことから、森山隊員との仲も良好と思われる。
企画時の名は「かおり」。
白鳥健一(演:斎藤信也)
白鳥船長の長男にして、さおりの弟でもある、明朗快活で勇敢な小学5年生。
光太郎とタロウに憧れ、光太郎を兄のように慕っており、第28話では光太郎に頼まれて再生エレキング捜索に協力している。光太郎との繋がりでZATの隊員たちとも親交がある。
健一役を演じた斉藤は当時変声期だったため、中盤以降からは声が変化していった。
映画『大決戦!超ウルトラ8兄弟』の初期プロット『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟2』では、成人して登場していた。
ご存じタロウの母親。
本編では緑のおばさんに扮してタロウを見守っていた。
余談
東光太郎を演じた篠田三郎は、ほかの昭和ウルトラシリーズの主演俳優とは違い、のちのウルトラシリーズには一切出演していない(平成ウルトラ映画で東光太郎役での出演を依頼された時、「東光太郎は自分の中での青春の良き思い出として取っておきたい」と言って辞退したとの事。ただし『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』の時はスケジュールの都合で出演出来なかった。これについてはハヤタ・シン役の黒部進とモロボシ・ダン役の森次晃嗣も残念がる様子を見せていた)。その為、劇場映画『ウルトラマン物語』でタロウの声をあてた石丸博也が、タロウの声を担当している(但し、ゲーム等ではライブラリにあった篠田三郎の声を使用している)。
一方で篠田氏は、特撮誌などのインタビューでは「初主演作品という喜びは大きかったし、今見ても本当に嬉しそうに演じている」「タロウは自分にとって財産」「一年間主役をやれるから嬉しかった」と当時の様子を語っており、撮影当時の裏話などをいくつも紹介している。その上、近年の雑誌や番組でウルトラバッジを持って変身ポーズを披露したことが何度もある。その為、決して“黒歴史”としてネガティブに封印している様子は窺えない。後の客演を控えているのは“事務所の方針”と推定する向きもあるが、好意的に解釈すれば、篠田氏自身とともに、ファンの「良き思い出」を大事にとっておきたい、との配慮なのかも知れない(仮面ライダーシリーズでは実例がある)。だが、「本人が健在のうちに一度ぐらいはタロウに変身してほしい」「顔出しで東光太郎を演じるのは難しくともタロウの声だけでも演じてほしい」というファンの声も多くある。
コメディ色の強い作風で知られるタロウであるが、社会風刺的な要素、あるいは「血を吸う花は少女の精」、「赤い靴はいてた・・・」など、視聴者にトラウマを植え付けたエピソードも少なくはない。
トラウマとまではいかずとも「子連れ怪獣の怒り!」「燃えろ! ウルトラ6兄弟」のように本当にそれでいいのか、おい?という終わり方をしたケースもある。
後のウルトラシリーズ出演者にも少なからず影響を与えた作品でもある。例えば、『ウルトラマンコスモス』に主演した杉浦太陽は子供の頃タロウが好きだったと語っており、七夕の短冊に「タロウになりたい」と書いたこともあるという(ちなみに『コスモス』放映開始日は偶然にも7月7日の七夕であった)。ウルトラマンゼロ役の宮野真守や『ウルトラマンオーブ』の主人公クレナイ・ガイ役の石黒英雄も、同じくタロウが好きだったとの事。また、『ウルトラマン80』の星涼子(ユリアン)役の萩原佐代子もリアルタイムで見ていたとインタビューで語っている。
放送リストと登場する怪獣、宇宙人
その他の媒体に登場する怪獣たち
(『月刊マンガ少年別冊 すばらしき特撮映像の世界』)
幻強怪獣フォルティシア
妖精少女セーナ
(公式外伝漫画『COMIC'S★ウルトラ大全集 ウルトラマンタロウ-悲しみの妖精少女-』)
(内山まもるコミカライズ最終回『地球が沈む!タロウ最後の戦い!!』)
奇形獣
(石川賢コミカライズ版)
ウルトラシリーズ以外での円谷特撮作品との関係
当作ではウルトラシリーズ以外の円谷特撮作品であるミラーマンに登場したゴルゴザウルスの一族と思われるゴルゴザウルス二世が登場している。
ロボット怪獣未登場
本作ではロボットなどロボット怪獣が登場しておらず(アンドロイドのロボットなら登場していたが)、ロボットが登場しなかったのは本作が初で昭和ウルトラマンシリーズでは唯一であり、ロボットが登場しなかった『ウルトラマンネクサス』が放送されるまでは唯一だった。
これについては、同時期に製作され、ミラーマンと世界観が繋がっているジャンボーグAとの差別化の結果の可能性があり、あちらでは、ジャンキラーだのにせジャンボーグAだののロボット怪獣が結構登場している。
主題歌
作詞:阿久悠/作曲・編曲:川口真/歌:武村太郎、少年少女合唱団みずうみ
「ウルトラの父がいる ウルトラの母がいる そしてタロウがここにいる」
本作からこれまでのような影絵ではなく、戦闘機が基地から発進するというOP映像に切り替わるようになった。
なお、ウルトラマントレギアがタロウをNo.6と呼ぶのはこの曲が元ネタ。
挿入歌/イメージソング
- ウルトラ六兄弟
作詞:阿久悠/作曲・編曲:川口真/歌:武村太郎、少年少女合唱団みずうみ
「宇宙に平和が来るまでは 力を合わせるんだ6兄弟」
ウルトラ6兄弟のテーマソング。後年にはProject.DMMによるカバー版も発表された。
- ウルトラの母のバラード
作詞:田口成光/作曲・編曲:冬木透/歌:藤田淑子
「いつか平和のその日まで戦い歌う ウルトラの母」
ウルトラの母のテーマソング。余談ながらウルトラマンキングやウルトラの父には固有のテーマソングが存在しない。なお、人間態を演じたペギー葉山氏によるカバー版も発表された。
- 愛の戦士タロウ
作詞:谷のぼる/作・編曲:菊池俊輔/歌:水木一郎、コロムビアゆりかご会
「キックだパンチだスペシューム 父さん見てくれ必殺技を」
初出は後年に公開された「ウルトラマン物語」だが、ウルトラビッグファイト「ウルトラ戦士スーパーミュージック」ではこの作品の曲として収録されている。
ネタ
末っ子設定
格闘・光線・超能力など全てにおいてバランス良く強い天才型であるが、番組ではそのせいで調子に乗りやすいキャラである。基本の「6兄弟」(ゾフィー、マン、セブン、ジャック、A、タロウ)の中で末っ子ということからか、甘えることが上手く結構ちゃっかりとしたいい性格をしている。そもそも生まれからして光の国のトップの夫婦の子という、生まれついての勝ち組っぷりが目立つ(なので次シリーズとの落差が……)。
良くも悪くも育ちのいい坊ちゃん(一人称も基本「僕」、平成から「私」、時に「俺」)なので、結構破天荒だったり常識的だったりする。彼の行動で騒ぎになることもしばしば……というか初回のアストロモンスを始めいくつかの怪獣は彼のせいで暴走している。
そんなこんなで「わがままな末っ子」イメージがなかなか抜けなかった彼であるが、平成に入って後輩が次々と登場し、自らを教官と呼ぶメビウスが出て以降は、比較的落ち着きのある性格になり、メビウスを叱咤激励したり、力を失い別の地球に流れ着いた際には、戦えない自分の代わりに主人公たちを導く司令官的役割を果たすなど、年長者としての風格を見せるようになってきている。そしてついにウルトラの父と同じ道を歩むこととなった。
やりたい放題
四月馬鹿では松岡修造を彷彿とさせる熱血(?)キャラ。あずにゃんを心から愛している。体系が6兄弟の中でも一番背が高くすらっとしているため、一般人からもガチの人からも好かれているようだ。そのスタイルの良さは5男と並べると悲しくなるほど……。現在居候中のウルトラマンダイナを弟扱いしてかわいがっている。
ウルトラ一般市民
当作品は歴代ウルトラシリーズの中でも一般市民が基本、豪胆かつパワフルな性格と頑丈すぎる身体の持ち主なのが特徴で、何を血迷ったのか、生身で怪獣に突撃していくのがザラである。
基本的にウルトラシリーズにおいて、怪獣や巨大化した宇宙人相手に、戦闘機や戦闘車両を用いずに白兵戦を挑むのは珍しくもないが、防衛チームの場合はそれなりの携行火器で武装し、距離を取って射撃戦を仕掛けるのがセオリーである。
しかしタロウに登場する地球人達は、主人公の東光太郎を筆頭に怪獣側からすれば、文字通り“蚊に刺された”程度のダメージにしかならないような(怪獣側から見れば)貧弱な装備で怪獣相手に無謀に特攻する形で戦いを挑むのである これは前作『A』とは対照的である。
中でも槍系統の武器の使用率が高く、竹槍は2回、薙刀1回、直槍1回、棒1回、傘1回、三角定規1回という有様で、しまいにはバレーボールで怪獣に戦いを挑んだ猛者や、丸腰のまま怪獣との示談交渉を試みるバカ者…いや実に平和的な行動を起こした者までもいた始末。
さらには第47話では、もったいないことに日本刀を画鋲のようにして刺突武器として使用した者までいた。どれだけ刺すのが好きやねん
余談だがこれを次のシリーズで実行すると即座に三枚におろされるか溶かされるかして殺害されるだろう。瞬時に。まさに『タロウ時空』とでもいうべき摩訶不思議な世界観である。
ちなみにタロウに登場する怪獣も人を捕食する危険な奴がかなりいる。直接人が食われる描写も少なくない、というか歴代でもほぼ最多である。恐ろしい人食い怪獣がわんさかいるというのに、タロウ世界の人々は怪獣に立ち向かっていくのである。命がいくつあっても足りないと思うのだが…
もちろん怪獣相手には殆ど効果が無く、挑みにかかった勇敢(もとい命知らず)な挑戦者達はことごとく痛い目を見たり、危険な目に遭うのがセオリーだが、東光太郎はアストロモンスに噛み付いてダメージを与えたり竹槍でロードラの目を潰したりしているし、海野先生は改造ベムスターの角に縄を引っ掛けて頭までよじ登り両目をナイフで破壊したり、稀に戦果を挙げているから困る。
ついでに言うと改造ベムスターは一度タロウを倒すレベルの実力者(しかもバードンと違いハンデ無しのタイマン勝負)で上記の事件が起きた二戦目にベムスターの片目を潰された時ヤプールが焦って改造サボテンダーを海野さんを殺す為だけに送り付ける事態になっている。しかもその後に更に改造ベロクロン二世も送られるも、それぞれタロウとZATが相手取り、手空きだった(現場にいる怪獣で一番手練れの)ベムスターを海野さんが相手取って残ってた片目も潰すという異常事態が発生した。(笑)
更に恐ろしいのが、前述のとおり食われて死んでしまう人も少なくない作品であるにも関わらず、逆に無謀な挑戦に挑んだ人達程、どんな大惨事に直面してもほとんど生還し、更にはどんな目にあっても基本「いってぇ~!」で済ましたり、10万度の炎で火炙りにされながらものの数日で職場復帰できるまでに回復するところなどを見ると、防御力もおかしい。声を大にして言おう。お前ら人間じゃねぇ!!
それとも、戦わなければ生き残れない!ということなのだろうか?…まあ、ウルトラ怪獣に加えてミラーマン怪獣まで登場してしまう世界観だしな。
こんなノリの人間(?)ばかりなせいで、この時期の地球だけ姿が変わる程じゃ無いけどディファレーター光線届いてたんじゃ無いか?とか言われる始末。(その可能性が1番あった次回作では逆に防衛チームの隊員さえ瞬殺される程に弱体化している。)
だが、少なくとも無害な宇宙人を一方的な偏見で迫害した末に殺害する血も涙もない一般市民や、ウルトラマンに守ってもらう立場にありながら、ウルトラマンが防衛チームを人質にされて戦えない状態になると「防衛チームなんて見捨てろ」という趣旨の罵声を浴びせて、責め立てるような、自分達は何もしないで身勝手な意見を述べるだけの一般市民に比べると、微力でも自分自身の力で地球を守ろうという誠意を見せているだけ、よほど善良な存在である事には間違いない。
こういった一般市民のトンデモなさは戦闘面だけにとどまらない。科学者でも技術者でも無さそうなのに、亡き妻を忘れられずに純粋な独学でロボット工学を修めて彼女そっくりのアンドロイドを造り上げた男なども登場している。
関連イラスト
関連タグ
ウルトラの父 ウルトラの母 ウルトラセブン ウルトラマンメビウス
ウルトラマンタイガ:タロウの息子・タイガの物語。父タロウと同じくタイトルロゴに「T」が付いている。
主なゲスト出演者
外山高士(第8話)⇒声優・アニメ『サスケ』の大猿大助役。
大泉滉(第8話)⇒『ウルトラマンA』(詳細はこちら)『仮面ライダー』『バトルフィーバーJ』等にも出演。アニメ『ダメおやじ』の主役。
大前均(第14話)⇒後にドギュー、バンリキ魔王等悪役を演じたがここでは演じていない。
西恵子(第15話)⇒『ウルトラマンA』の美川のり子隊員役。
桂木美加(第16話)⇒『帰ってきたウルトラマン』の丘ユリ子隊員役。
楠トシエ(第21話)
中田喜子(第22話)
江戸家猫八(第26話)⇒物まね芸人の三代目。
大和田獏(第29・30話)
長沢大(第27話)⇒第38話でミラクル星人の人間態、および声も担当
竜崎勝(第33・34話)
平泉征(第36話)⇒後の平泉成。
菊池英一(現:きくち英一)、遠矢孝信(第36話)⇒それぞれ『帰ってきたウルトラマン』でウルトラマンジャックと怪獣のスーツアクターを務めており、共に『ウルトラマンA』のレボール星人の声を担当。