「あたし月野うさぎ、14歳。中2。蟹座のO型、誕生石は真珠。性格は人よりちょーっとおっちょこちょいで泣き虫ってとこかな」
概要
武内直子の同名漫画を原作とした東映動画(現・東映アニメーション)のアニメシリーズ。Crystalと区別して「旧作」と呼ばれることもある。
テレビ朝日系列で1992年から1997年まで、5シリーズ全200話(+スペシャル版1話)が放送された。
平均視聴率は11.6%。バンダイとタイアップした玩具も記録的な大ヒットを飛ばす。当時国民的アニメとなり、日本以外でも北米、中南米、アジア各国で放送された。
タイアップによって2クールで主題歌が変わる作品が現れ始めた90年代のアニメ作品であるが、OPテーマの『ムーンライト伝説』はアレンジバージョンに変更されながら4年間連続使用された。
小学校高学年くらいの女児をターゲットにした大河ドラマ仕立ての原作漫画に比べると、こちらは「主なターゲットが幼稚園〜小学校低学年くらいの女児」「一回あたりのセル画枚数に制限があったなど」の理由から、バンクシーンと水戸黄門をベースにした少年漫画寄りの友情・日常コメディ。
モットーは「お気楽ご気楽」で、物語の佳境のみシリアスなストーリーになる。「悪役(特に幹部)は人間」という設定上、主人公チームの殺人は極力避けられ、敵の最後は説得による和解か仲間割れなどによる自滅に変更された。
シリーズディレクターは佐藤順一→幾原邦彦→五十嵐卓哉。シリーズ構成は富田祐弘→榎戸洋司→山口亮太。
キャラクターデザインは只野和子→伊藤郁子→爲我井克美。制作プロデューサーは東伊里弥→有迫俊彦。
コーラスとジャズオーケストラを組み合わせた有澤孝紀の音楽は、JASRAC国際賞を受賞した。
同性愛、男装、両性などの表現があり、後に『少女革命ウテナ』を手掛けた幾原邦彦が関係しているとも。アニメオリジナル要素であるクンゾイ、フィッシュ・アイ、そして百合界のカリスマはカルト的人気を獲得。
変身シーンは登場人物の裸のシルエットが現れる(令和の現代となって見れば)きわどいものだが、新体操やフィギュアスケートを取り入れたスタイリッシュな演出で人気を獲得、後追い作品が次々と登場する。
登場人物ごとに異なる変身シーンは当時画期的な試みで、これもセル画枚数の制限が元で作られた。
作品一覧
1992年:美少女戦士セーラームーン(ダークキングダム編)
1993年:美少女戦士セーラームーンR(魔界樹編・ブラックムーン編)
1994年:美少女戦士セーラームーンS(デス・バスターズ編)
1995年:美少女戦士セーラームーンSuperS(デッドムーン編)
1996年:美少女戦士セーラームーンセーラースターズ(シャドウ・ギャラクティカ編)
劇場版
1993年:劇場版美少女戦士セーラームーンR/メイクアップ!セーラー戦士
1994年:劇場版美少女戦士セーラームーンS かぐや姫の恋人
1995年:劇場版美少女戦士セーラームーンSuperS セーラー9戦士集結!ブラック・ドリーム・ホールの奇跡/外伝美少女戦士セーラームーンSuperS スペシャルプレゼント亜美ちゃんの初恋
スタッフ
- シリーズディレクター:佐藤順一(R魔界樹編まで)→ 幾原邦彦(SuperSまで)→ 五十嵐卓哉(スターズ)
- シリーズ構成:富田祐弘(Sまで)→ 榎戸洋司(Sでは富田と共同、SuperSは単独)→ 山口亮太(スターズ)
- キャラクターデザイン:只野和子(Rまで)→ 伊藤郁子(SuperSまで)→ 爲我井克美(スターズ)
- 音楽:有澤孝紀
- 作画:只野和子 → 伊藤郁子 → 爲我井克美
- 美術:椋尾篁 → 窪田忠雄 → 田尻健一
- 現場プロデューサー:東伊里弥(SuperSまで)→有迫俊彦(SuperSでは東と共同、スターズでは単独)
セーラームーン無印(アニメ第一作)
1992年から1993年まで放送されたアニメ第一作。原作漫画第一部「ダークキングダム編」に相当。
キューティーハニーを意識してか、後の作品に比べてホラー要素が強い。
ストーリー
東京・十番街に住むドジな十番中学2年生の月野うさぎは、ある日喋る黒猫ルナを助け、セーラー服戦士・セーラームーンに選ばれる。
ルナによると、街の人々の生命エネルギー・エナジーを奪って大いなる支配者の復活を企む悪の組織「ダークキングダム」の妖魔を倒し、仲間を集めて「幻の銀水晶」を持つプリンセスを守らなければならないらしい。
セーラームーンとルナは特殊な才能を持つ仲間を見つけ、セーラーチームを結成。謎の青年・タキシード仮面の助けを借りて妖魔を倒していく。
しかし、幻の銀水晶の秘密は彼女達の前世の記憶に隠されていた。
各話リスト
第1話 | 泣き虫うさぎの華麗なる変身 | 月野うさぎ、ルナにもらったブローチでセーラームーンに初変身。地場衛/タキシード仮面、クイン・ベリル、ジェダイト初登場。ゲスト怪人は妖魔モルガ。佐藤順一(サトジュン)演出回。 |
---|---|---|
第2話 | おしおきよ!占いハウスは妖魔の館 | 妖魔バーム登場。 |
第3話 | 謎のねむり病、守れ乙女の恋する心 | 変装ペン初登場。妖魔フラウ登場。 |
第4話 | うさぎが教えます!スリムになる法 | 妖魔未登場回。 |
第5話 | 妖魔の香り!シャネーラは愛を盗む | 妖魔イグアーラ登場。 |
第6話 | 守れ恋の曲!うさぎはキューピッド | 妖魔キュレネ登場。幾原邦彦演出回。 |
第7話 | うさぎ反省!スターの道はきびしい | 妖魔デレーラ登場。 |
第8話 | 天才少女は妖魔なの?恐怖の洗脳塾 | 水野亜美/セーラーマーキュリー初登場。妖魔ガロベン登場。サトジュン演出回。 |
第9話 | うさぎの災難!あわて時計にご用心 | 妖魔ガロア登場。 |
第10話 | 呪われたバス!炎の戦士マーズ登場 | 火野レイ/セーラーマーズ初登場。妖魔キガーン登場。 |
第11話 | うさぎとレイ対決?夢ランドの悪夢 | 妖魔ムーリド登場。幾原演出回。 |
第12話 | 私だって彼が欲しい!豪華船のワナ | 妖魔テティスと海水怪人登場。きんぎょ注意報の藤ノ宮千歳ゲスト出演。 |
第13話 | 女の子は団結よ!ジェダイトの最期 | ジェダイト、セーラー戦士に最後の戦いを挑む。ネフライト初登場。 |
第14話 | 新たなる強敵、ネフライト魔の紋章 | ゾイサイト初登場。ゲスト怪人は妖魔テスニー。サトジュン演出回。 |
第15話 | うさぎアセる!レイちゃん初デート | レイが衛にデートを申し込む。妖魔ペタソス登場。幾原演出回。 |
第16話 | 純白ドレスの夢!うさぎ花嫁になる | 妖魔ウィドウ登場。 |
第17話 | モデルはうさぎ?妖魔カメラの熱写 | 妖魔キャメラン登場。 |
第18話 | 進悟の純情!哀しみのフランス人形 | 妖魔ジュモー登場。 |
第19話 | うさぎ感激!タキシード仮面の恋文 | 偽タキシード仮面登場。 |
第20話 | 夏よ海よ青春よ!おまけに幽霊もよ! | うさぎたちは海辺のペンションへ。妖魔未登場回。 |
第21話 | 子供達の夢守れ!アニメに結ぶ友情 | 妖魔カストル&ポルクス登場。当時のアニメ制作事情をモデルにしたメタ回。幾原演出回。 |
第22話 | 月下のロマンス!うさぎの初キッス | セーラー戦士が幻の銀水晶の存在を知らされ、うさぎは王女に変身してダイヤモンド国大使館へ潜入。クンツァイト初登場。 |
第23話 | 流れ星に願いを!なるちゃんの純愛 | 黒水晶初登場。ゲスト怪人は妖魔ヤシャ。銀水晶を探すネフライトはなるの好意を利用するが… |
第24話 | なるちゃん号泣!ネフライト愛の死 | みんなのトラウマ第一号。ゲスト怪人は妖魔グレープ&スズラン&ホウセンカ。サトジュンと五十嵐卓哉演出回。 |
第25話 | 恋する怪力少女、ジュピターちゃん | 木野まこと/セーラージュピター、ムーンスティック初登場。最強妖魔七人衆(虹水晶)編開始。妖魔七人衆ゲーセーン登場。 |
第26話 | なるちゃんに笑顔を!うさぎの友情 | 海野ぐりおがなると接近。妖魔七人衆ボクシー登場。 |
第27話 | 亜美ちゃんへの恋!?未来予知の少年 | 妖魔七人衆ブンボー登場。 |
第28話 | 恋のイラスト、うさぎと衛が接近? | うさぎと衛はイラスト作家の夢野ユメミに絵のモデルを頼まれる。妖魔七人衆ビーナ、星空のオルゴール登場。 |
第29話 | 大混戦!グチャグチャ恋の四角関係 | まこと、古幡元基のアパートに押しかける。元基の彼女・西村レイカ、妖魔七人衆リコウケイダー登場。 |
第30話 | お爺ちゃん乱心、レイちゃんの危機 | 熊田雄一郎初登場。妖魔七人衆ジジ登場。 |
第31話 | 恋されて追われて!ルナの最悪の日 | 妖魔七人衆バケーネ登場。幾原演出回。 |
第32話 | 海野の決心!なるちゃんは僕が守る | 海野、なると接近。妖魔アカン登場。 |
第33話 | 最後のセーラー戦士、ヴィーナス登場 | 愛野美奈子/セーラーヴィーナス、アルテミス初登場。 |
第34話 | 光輝く銀水晶!月のプリンセス登場 | タキシード仮面の正体を知ったゾイサイトは虹水晶を賭け、衛とうさぎをスターライトタワーにさらう。プリンセス・セレニティと幻の銀水晶、プリンス・エンディミオン初登場。 |
第35話 | よみがえる記憶!うさぎと衛の過去 | セレニティが復活し、ルナとアルテミスは過去の記憶を取り戻す。五十嵐演出回。 |
第36話 | うさぎ混乱!タキシード仮面は悪? | うさぎと美奈子はヘアサロンに行く。ダーク・エンディミオン、妖魔ミツアーミ登場。幾原演出回。 |
第37話 | めざせプリンセス?うさぎの珍特訓 | うさぎたちはプリンセスセミナーに行く。妖魔シャコウカイ登場。 |
第38話 | 雪よ山よ友情よ!やっぱり妖魔もよ | うさぎ達は雄一郎を連れてスキー場へ。妖魔ブリザー登場。 |
第39話 | 妖魔とペア!?氷上の女王まこちゃん | うさぎたちはアイススケートへ。妖魔ゾイリンゲラー登場。 |
第40話 | 湖の伝説妖怪!うさぎ家族のきずな | 月野家は温泉旅行へ。湖の妖怪登場。 |
第41話 | もう恋から逃げない!亜美と衛対決 | 亜美、妖魔七人衆を狙うエンディミオンと対決。 |
第42話 | Sヴィーナスの過去、美奈子の悲恋 | 美奈子の過去判明(原作漫画とは内容が異なる)。カタリナとアラン、妖魔パピヨン登場。 |
第43話 | うさぎが孤立?S戦士達の大ゲンカ | セーラー戦士と仲間割れしたうさぎ、ダークキングダムに加入?妖魔オニワバンダナ登場。 |
第44話 | うさぎの覚醒!超過去のメッセージ | セーラー戦士はダークキングダムの道を見つけるが、クンツァイトに襲われる。シルバー・ミレニアムとクイーン・セレニティ初登場。 |
第45話 | セーラー戦士死す!悲壮なる最終戦 | みんなのトラウマ第二号。DDガールズ登場。宇田鋼之介とサトジュン演出回。 |
第46話 | うさぎの想いは永遠に!新しき転生 | 第一期最終回。スーパーベリル登場。幾原演出回。 |
主題歌
- オープニングテーマ
- 「ムーンライト伝説」(1-46話)
- 作詞:小田佳奈子 作曲:小諸鉄也 編曲:林有三 歌:DALI
- 「ムーンライト伝説」(1-46話)
- エンディングテーマ
- 「HEART MOVING」(1話-26話)
- 作詞:小田佳奈子 作曲:佐藤和郎 編曲:佐藤和郎 歌:高松美砂絵(さくらさくら)
- 「HEART MOVING」(1話-26話)
- 「プリンセス・ムーン」(27話-46話)
- 作詞:武内直子 作曲:さとうかずお 編曲:さとうかずお 歌:橋本潮(コーラス:アップルパイ)
- 「プリンセス・ムーン」(27話-46話)
関連イラスト
カセットコレクション
アニメイトの関連会社であるムービックからアニメイト限定で販売されたカセットブック(サウンドドラマを収録したカセットテープで、現代でのドラマCD)シリーズ。
1993年〜96年まで6本が発売された。実は書籍扱いなのでISBNが振られている。
アニメイトの企画作品という時点で察して頂きたいが、内容はぶっちゃけ大きなお友達向け。なおかつ公式が病気・公式が末期状態。
旧作アニメのギャグコメディがベースだが、下ネタと中の人ネタも解禁した放送規制(ピー)音連発のトンデモ作品。
「セーラームーンキャラで『銀魂』のノリ」というフレーズを聞いた時に、少しでも抵抗がある人は絶対に聞かない方がいい。いやマジで。
ただし、「三石琴乃による無印ラスト(当時、三石は病欠)のリベンジ」を主眼のひとつに置き、内部太陽系戦士の再会やセレニティとエンディミオンの恋をテーマにしたカセットコレクション3「PRELUDE OF ROMANCE」はアニメ本編に沿ったシリアスドラマである。
主要スタッフとして基本、本編の監督・脚本が忙しかったサトジュン・富田はノータッチ。
脚本は1巻と2巻と4巻(R)が隅沢克之、3巻が榎戸洋司、5巻(R2)が杉原めぐみ、6巻(S)が五月はじめ(小黒祐一郎)。
監督(演出)1巻から3巻までが我らが幾原邦彦、4巻が幾原の盟友にして後継五十嵐卓哉、5・6巻が佐々木憲世。あぁ、さもありなん。
あと一応これでも東プロデューサーの監修は、きちんと入っているのである。
ちなみに無印分の初版は出演声優の寄せ書きサインリーフレット(メッセージカード・印刷物)が付録だった。
4巻(R)初版では特別案内としてグッズの通信販売のリーフが添付されたが、そのグッズはなんとSDキャラプリントの男性用トランクス(しかもご丁寧に内部太陽系戦士それぞれの専用柄で5パターン。……タキシード仮面が無い事が救いだったのだろうか?)と、同じく男性向け布団用シーツ(ノーマル頭身とSDキャラの2パターン)である。
コレだけでもカセットコレクション作品は、女性・女児向けに作られたモノではない、という事が分かる。
ところが、なんと1998年に日本コロムビアからCD化されてしまった。アニメイト限定ならばいざしらず、よりにもよって子ども向け作品では一級ブランドであるコロムビアから一般売りにされてしまった以上、当時の少女たちの心痛や親たちの阿鼻叫喚は察するに余りあるかもしれない。(何度でも言うが、もともと女性や子どもが聞くことを前提にして作られたシリーズではない)
余談
近年もテレ朝チャンネルやアニマックス等で不定期に再放送されているが、2015年4月からはNHKのBSプレミアムでRまでが再放送された。NHKは自局制作作品以外に『世界名作劇場』や過去の民放の有名人作品を積極的に再放送してきた。
なお、このオンエアに際してはHDリマスターが施され、単純なアップコンバートのみだった従来の再放送と比較して格段に画質が向上した。
企画の経緯
東映動画とバンダイは1992年度テレ朝土7枠になかよしの少女漫画原作の「キャンディ・キャンディ」のリメイク版を制作しようとしたが、テレ朝に「新鮮味が無い」とノーを突きつけられ、次に当時放送中だったなかよしの少女漫画原作の「きんぎょ注意報!」の2年目を提示するもこれも却下された。
困ったスタッフはなかよしの姉妹誌るんるん掲載の「コードネームはセーラーV」を紹介される。噂によればもう一つの候補はあさぎり夕の少女漫画だったが、あさぎり自身がアニメ化に消極的だったため、アニメ化に積極的だった武内直子のセーラーVが採用されたという。
しかし、スポンサーを予定していたバンダイからセールスポイント不足を指摘されたのと、名前が万年筆の登録商標に抵触した為、往年の名作「キューティーハニー」、80年代後半の傑作「聖闘士星矢」、東映のお家芸「スーパー戦隊」の三つを掛け合わせ、セーラームーンは生を受けた。
ただし、スタッフの誰もがオタク受けはしても子供達に受けるとは思っておらず、1年限りの放送の予定だったが、ムーンスティックの玩具がバカ売れ。子供達に受け入れられて社会現象レベルのメガヒットを獲得し、テレビ朝日のネットワーク拡大運動の看板も背負い、次番組が決まっていたにもかかわらず、急遽延長となった※。
また、バンダイは「キャンディ・キャンディ」リメイク頓挫のお詫びとして原作漫画の作画担当にムカムカパラダイス(日本アニメーション)を提供した。
なお、次番組候補の一つが後に関西地区を除き、セラムンの30分後に放送され、パートナーとなった「SLAM DUNK」と言われている。
※Rが二部構成だったのも、急遽延長によるスタッフ再結集の時間と尺稼ぎの為で、「エイルとアン編」を製作中にスタッフを再結集し、態勢が整った時点で本編開始となった。
ANNネットワーク拡大運動に貢献
放送期間中、1994年のSを除き、テレビ朝日系列局が新設6・編入1の合計7局も増加した。
- 1992年:無印
- 秋田朝日放送10月開局。
- 1993年:R
- 山形テレビ4月編入で唯一の編入局 番組開始前の1991年の青森、1992年の秋田に続き、3年連続東北進出となった。
- 大分朝日放送10月開局。
- 1995年:SS
- 琉球朝日放送10月開局。
- 1996年:スターズ
- 岩手朝日テレビ10月開局で最終系列局
正に、テレ朝発展を影で支えた…筈だった。
様々な思惑に振り回される
そう、「筈だった」である。と言うのも、R後半からスターズ序盤まで関西地区を除き、30分後にSLAM DUNKが編成された為、後々影響を受ける事になる。当時、テレビ朝日はネット局を増やしながら番組を放送していた為、1994年以降予算の制限が掛かり、SLAM DUNKの原作ストック確保、本シリーズ、SLAM DUNK、果ては暴れん坊将軍の製作スケジュール、製作費確保・捻出の為、プロ野球・Jリーグ中継や期首期末特番への差し替えが増え、延長を重ねた反面、話数短縮の代償を払う羽目になる。(即ち、当時土曜ゴールデンの番組が一番予算が掛かっていた為、特番差し替えの格好の対象にされたと言える。)
正に、海原雄山の名言だった「延命と自殺を同時に行う」行為そのものだった。
その時点から「テレ朝はセーラームーンとSLAM DUNKと暴れん坊将軍を看板番組として大切にしているのか?」や、「テレ朝は将来土曜夜アニメ枠を止めるのではないか?」等の不安や不信感を持つ視聴者も現れ、その視聴者の不満を突くかの様に1995年秋以後はTBS系バラエティ番組筋肉番付に視聴率を奪われる事態も起きた。やがて、その懸念は現実の物となる。
そんな中翌96年のスターズを以てシリーズ終了が決まった後、海外投資家マードック氏がテレ朝の経営に介入。組織改革が行われ、当時不採算番組が多かったアニメ番組の整理が進んだ。同年秋に最終系列局岩手朝日テレビが開局し、ANNネットワーク拡大運動が完成し、本シリーズ継続の理由が消滅。翌97年2月に5年に渡る放送に終止符を打った。さらに放送終了7ヶ月後には(成績不振に陥ってたとは言え)これまでの伝統と実績を否定するかの様に、放送枠が時間帯移動を余儀なくされた上、結局2000年9月に廃止された。
一方で、クレヨンしんちゃんと本作がヒットしていなかったら、テレ朝のアニメ削減は早まっていたと言う説もあり、そしてセーラームーンの後継者が東映アニメーションとテレビ朝日(ただし制作ホストは朝日放送だが、場合によっては講談社も加わる)とのパイプを維持する事になる。
なお原作者の地元局であるテレビ山梨では本作を番宣ネットで、実写版を同時ネットで放送した実績がある一方、新アニメ版は放送されていない。
実写版セラムンがテレビ朝日で放送出来なかったのも、「東映の特撮番組は同一局では2本しか放送してはならない」自社規制があったとされ、さらに平成仮面ライダーが仮面ライダー龍騎以降も続投となってテレビ朝日での放送が潰えたといわれている。ちなみに実写版セーラームーンには龍騎のスタッフの大半が参加している。
他作品との「因縁」
新世紀エヴァンゲリオンとの因縁
第一期最終回(第46話)で庵野秀明が数カット手掛けたのは知る人ぞ知る事。
また、新世紀エヴァンゲリオンで碇シンジの緒方恵美起用は天王はるかに触発され、葛城ミサトは月野うさぎに影響されたと庵野秀明自身が公言している。しかし、その反面本作については「中身の無い作品」と評していた。
聖闘士星矢との因縁
本作を立ち上げる際に聖闘士星矢のコンセプトも参考にされたそうだが、奇しくも星矢はセーラームーンの前の1986~89年に時間帯・製作プロ・スポンサーが同一で放送された。
あと聖闘士星矢のプロデューサーであった(SLAM DUNKのプロデューサーでもある)籏野義文は、本作プロデューサーである東伊里弥の師匠でもある(『きんぎょ注意報!』で枠と番組を譲られて独立した)。
そして本作のメガヒットに対し、星矢の原作者・車田正美は当時のアニメ誌で「いつかセーラームーンを倒してやる」と公言したそうである。
21世紀に入り、実写版セラムンの導入に対し、90年代にOVAが一度はお蔵入りした冥王ハーデス篇に始まり、天界エリュオン編、エピソードG、ロストキャンバス等の派生作品で対抗(当時の星矢リバイバルの追い風もあった)。
12年~14年の聖闘士星矢Ωでは古谷徹がペガサス星矢役に復帰し、本シリーズやプリキュア等の後発作品のアイデア取り入れたのに対し、crystalも月野うさぎに三石琴乃の続投でそれぞれ対抗した。
星矢とセーラームーンは切磋琢磨しあい、恐らくΩの原企画とcrystalの原企画は当時のテレ朝新番組の枠を競った説もあることから、それなら星矢がセーラームーンに一矢報いた事になる。無論これはあくまでも噂(以前の問題)だろうが。
愛天使伝説ウェディングピーチとの因縁
旧アニメ版初代シリーズ構成担当だった富田祐弘は本作自主降板後に、同じく本作の初代キャラクターデザイナーであった只野和子と共に『愛天使伝説ウェディングピーチ』(略称:ウェピー)を作っている。
なお、この事が当時のアニメ業界に与えた「意味」についてはジャンルの項目を参照のこと。
つまり『ウェディングピーチ』は富田脚本・只野キャラデザによる本作の姉妹作品の立場にある。
余談になるが「ウェピー」のアニメ版は『魔法のプリンセス ミンキーモモ』の監督である湯山邦彦の旗下でOLM「TEAM OTA」が実制作を務めた。のち、このチームは富田只野の離脱後に『ポケットモンスター』を作り上げた(このシリーズのキャラデザはウェピーのメイン作監として只野の薫陶を受けた一石小百合)。
そして「ウェピー」のコミカライズ版作者は東映不思議コメディ美少女シリーズ(の、うち『ぱいぱい』『いぱねま』『シュシュトリアン』)の小学館版コミカライズを担当した谷沢直である。
本作の一部ファンからは「ウェピー」製作の際、富田はウェディングドレスの広告と本作を安易に掛け合わせて「ウェピー」を作ったのだと、まことしやかに言われている。あるいは本作無印での一部のカップリングに対して特定のファンが過剰反応をした事に富田と只野が危惧を感じ、それら反応への「アンサー」としてウェピーの制作へと至ったのではないか、とも言われている。
ただし富田はインタビュー等において時折、勢いがてら「ファン(インタビュアー)の望んだ答えを(それが事実でなくても)返す」癖を出すノリやすい人であるため、発言にブレが生じることがある。
実際には『ウェディングピーチ』企画のコア原案は1988年頃から少しずつ組まれており、そのコアに富田が参画した様々な作品の要素が流入・排除され続けることでブラッシュアップされて作品に至っており、ある意味で1995年時点での富田脚本の集大成とも言える作品である。
ウェピーにおいてファンに公開された資料集での企画素案(いわゆるボツ案)には『イデオン』『ダンバイン』(転生)『マクロスシリーズ』(ロボット)『魔物ハンター妖子』(大剣ヒロイン)『ビックリマンシリーズ』(SDキャラ・多段変身)などの要素(どれも富田が脚本参加していた作品)が混ざった初期設定があったりするので、ウェピーにおけるセーラームーン要素もそれらの中で試行錯誤を繰り返されながら他の作品の要素と統合・収斂されて運よくウェピー内に生き残った要素のひとつと言える。それらの過程を見れば、決して「ウェピー」が本作のみを基盤にした安易な発想のもとに作られた作品ではない事は理解できる。
ちなみに『イデオン』『ダンバイン』の要素に関しては「ウェピー」ではなく本作無印最終章の方で遺憾なく全力で発揮された。
ウェピーはその作品の傾向から本作のファンには賛否両論を食らうことになったが、一方で本作の作者自身は当時「ウェピー」に対しては大肯定&ガチハマりしており同人誌即売会でウェピーの同人誌を買いあさりまくり、あまつさえ『コードネームはセーラーV』でセーラームーンとウェディングピーチがミクスチャーされたような劇中劇「オーロラ♡ウェディング」を仕立てている。
ちなみに「ウェピー」では敵幹部のひとりであるポタモス(川浪ひろみ)役をセーラームーンでは言わずもがなおなじみすぎる三石琴乃が演じているが、そんな彼女を筆頭に「ウェピー」のラスボスである悪魔界の女王レインデビラ様を本作ではクイーン・セレニティであった土井美加が、初期の副幹部であるアクエルダを本作では愛野美奈子(セーラーヴィーナス/セーラーV)であった深見梨加が、それぞれ演じており「セーラムーン」とはまた違った味わいのある演技を魅せてくれている。
なお、ここからは更なる余談になるがウェピーの企画ラインはその後もテレビ東京に残りプリティーシリーズおよびガールズ×戦士シリーズを生み出すに至っている。(ウェピー・プリティーシリーズ・ガールズ戦士シリーズは、すべてタカラトミー(ただしウェピーはTOMY時代)旗下の作品であり、ウェピーはそのルーツとして位置づけられている。またポケモンに関してもアメニティ系の玩具はTOMYの担当であった)
少女革命ウテナとの因縁
旧アニメ版二代目シリーズ構成担当の榎戸洋司と当時のシリーズディレクターの幾原邦彦の両名が自主降板した後に、ビーパパスという少数精鋭の制作チームを結成した。
この制作チームが生み出したのが、「少女革命ウテナ」である。
星のカービィとの因縁
実写版の前番組はアニメ版星のカービィであるが、実はカービィのデビュー年もセーラームーンと同じ1992年である。
クレヨンしんちゃんとの因縁
セーラームーンとクレヨンしんちゃんは本編で共にコラボした事がある。
セーラームーンSではしんのすけとみさえを維持させた様な親子が登場し、クレヨンしんちゃんでは、セーラームーンのパロディ、セーラームフーンが登場する。ムフーンのメンバーも、セーラー戦士の声優である。
春一番日本一アニメ祭りにもコラボしたが、そっちの方が先である。
また、しんちゃんもアニメが放送開始した年が、1992年である。
なお、セーラームーンシリーズの放送終了後に三石琴乃はクレヨンしんちゃんの方で上尾ますみ役で参加し長い付き合いとなる。