道化師
どうけし
概要
日本では、歌舞伎で喜劇的な演技を受け持つ俳優を「道化方」と呼ぶ。
欧米における道化師は、奇抜で派手な衣装に、クラウンメイクと呼ばれる化粧をしているのが一般的である。
日本では、欧米の道化師をピエロ(Pierrot)と呼ぶことが多いが、近年ではクラウン(Clown)という呼び方も浸透しつつある。
欧州の歴史上においては宮廷道化師(ジェスターもしくはフール)という権力者のお抱えの道化師の存在も確認されており、道化師に限り権力者に無礼な事や皮肉を言う事は許されていたという。ただし、ポーランドに存在した「スタンチク」という道化師はユニークなところと裏腹に政治批評家・思想家でもある優れた人物であったとされている。
また宮廷道化師はその芸を通して下々の世相風俗を権力者に解説する役割もあったらしい。
道化師喜劇のなかでやがてオーギュストという対になる道化師も登場し、クラウンは「人間の素晴らしさを謳う」善(白)の道化師、オーギュストが「人間の醜い現実を体現する」悪(黒)の道化師という、相反する一つの存在として描かれえるようになった。
なお、道化『師』は衣装やメイクも含め自発的にそれを務めるものを意味するが、単に道化と表記する場合は道化師のほかに
- 物語上のコメディリリーフ、ズッコケ役(有名なキャラクターとしては、『水戸黄門』シリーズのうっかり八兵衛、『ドラゴンボール』のミスター・サタンなど)
- 的外れな努力を重ねたうえ報われることなく、目標や権益を他者に(結果として)奪われる立場や状況(かませ犬、踏み台も参照)
- 『おどける』という言葉に『お道化る』という字を当てることもある(厳密な漢字表記は『戯ける』で、これを語源として生まれたのが日本語における『道化』であるとする説が有力)
などの意味でも用いられる。
創作のモチーフとしての道化師
中世の芸術においては、死神を道化の姿で表現する手法が存在した。近現代においても、本来は周囲を愉しませる存在である道化に対し恐怖心を抱く道化恐怖症(コルロフォビア)というものがある。
このような恐怖の対象としての道化師を殺人ピエロ(キラークラウン)と呼ぶことがある。
原因や性質に関しては専門家による考察が為されているので検索していただきたいが、実在の殺人鬼であるジョン・ゲイシーなどの事例もあり、2016年秋にはネット上で『凶器を持った道化師』の扮装で悪戯をする動画が流行し、世界各地で若者が警察の世話になる事例が多発している。
その為、創作の世界では道化をモチーフにした悪役や怪物が多く、パワーを誇る純粋な強者よりも、陰謀や特殊能力を駆使する難敵の印象が強い。
その殆どが陰湿または狂気的な人格の持ち主となっているが、バギーやイェーガーのように人間臭く中堅程度の力しか持ち合わせていない者も存在する。
(イェーガーについては、「ジェスター」と名のつくカードを駆使する傾向から、サーカスの道化師ではなく上述の宮廷道化師をモチーフにした関係上恐怖とは無縁の人物になったのではないかと推測できる)
道化師をモチーフにしたキャラクター
作品名五十音順。モンスターについては、色違い等の派生種を省略している。
『道化を連想させる仮面』のキャラクターや、一時的に道化の扮装をしたことがある者、そのような職に就いていても劇中で殆ど見せていない者などを含むかどうかには議論の余地がある。詳細は各当該記事にて。
固有キャラ
- ローラポップ『ARMS』
- イエロー・レディオ:『アクセルワールド』
- ペニーワイズ:『IT/イット』
- ダークファウスト:『ウルトラマンネクサス』
- プロフェッサー・C:『怪盗ジョーカー』
- 東風:『カウボーイビバップ』
- ジョーカー(クロノア):『風のクロノア』
- アルレッキーノ、ハーレクイン:『からくりサーカス』
- ロマリオ・モニーニ/ジェスターガンダム:『機動武闘伝Gガンダム』
- 富田松夫:『逆転裁判2』
- クレイジーピエロ:『クレイジーピエロ』
- ビートルイエロー:『甲虫王者ムシキング ザックの冒険編』
- 道化番長:『金剛番長』
- パイパー:『GS美神』
- サリュ:『サクラ大戦3』
- エピタフ:『白猫プロジェクト』
- ディメーン:『スーパーペーパーマリオ』
- クラウンブロス:『スーパーマリオRPG』
- ジョーカー、皇帝ピエーロ:『スマイルプリキュア』
- 道化師ワンダーハート:『千年アイギス』
- 道化師(IdentityV):『第五人格』
- キルバーン:『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』
- マオウ:『ちびドラゴンと不思議なオーブ』
- スウィートトゥース:『ツイステッドメタル』
- ???(ネタバレ注意):『テイコウペンギン』他多数
- アレン・ウォーカー、マナ・ウォーカー:『D.Gray-man』
- マギルゥ:『テイルズオブベルセリア』
- ホーニー:『デスバーガー』
- Jevil:『Deltarune』
- ジュペッティ:『どうぶつの森』
- クラウンピース:『東方紺珠伝』
- ドルマゲス:『ドラゴンクエストⅧ』
- 旅芸人ピュージュ:『ドラゴンクエストⅩ』
- ジョー・力一:『にじさんじ』
- サタラクラ:『忍風戦隊ハリケンジャー』
- オル・ゴール:『ハーメルンのバイオリン弾き』
- ジョーカー(バットマン)、ハーレイ・クイン:『バットマン』
- マスター:『爆ボンバーマン』
- ヒソカ=モロウ:『HUNTER×HUNTER』
- ケフカ・パラッツォ:『FINAL FANTASY Ⅵ』
- ゾーン&ソーン:『FINAL FANTASY Ⅸ』
- メフィストフェレス、キャスター・リンボ:『Fate/ Grand Order』
- ニコライ・ゴーゴリ:『文豪ストレイドッグス』※異名も「道化師 ニコライ」と謳われている。
- ノボリ、クダリ:『ポケットモンスター ブラック・ホワイト』
- マルク:『星のカービィ スーパーデラックス』
- ポピー:『ポピーザぱフォーマー』
- レミー:マリオシリーズ
- ドナルド・マクドナルド:マクドナルド
- ザジ・レイニーデイ:『魔法先生ネギま!』
- グイム:『メルクストーリア』
- ピエロ・ボルネーゼ:『焼きたて!!ジャぱん』
- イェーガー:『遊戯王5D's』
- セバスチャン:『ランブルローズ』
- ロズワール・L・メイザース:『Re:ゼロから始める異世界生活』
- クラウンマン:『ロックマン8』
- サーカスマン、チロル:『ロックマンエグゼ6』
- バギー『ONEPIECE』
- 尾丸ポルカ『ホロライブ』
モンスター・役職等
- メ・ギイガ・ギ:『仮面ライダークウガ(HEROES)』
- ストリウス:『仮面ライダーセイバー』
- クラウンイマジン:『仮面ライダー電王』
- アスモディ:『牙狼』
- マジシャン:『ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド』
- スカルクラウン:『真・女神転生デビルチルドレン』
- 道化のトーマス:『ダークソウル2』
- ピエロヅノー:『超獣戦隊ライブマン』
- ドルゲピエロ:『超人バロム・1』
- ピエモン:『デジタルモンスター』
- マリオネット原人:『鉄人タイガーセブン』
- ピエロ:『テラリア』
- きりさきピエロ、ひとつめピエロ、じごくのピエロ、ピエロスライム、男遊び人:ドラゴンクエストシリーズ
- ミスター・マイム、レインボー・ザ・クラウン:『パワーパフガールズ』
- 気狂いピエロ:『HUNTER×HUNTER』
- ジョーカー、ノーデ:『FINAL FANTASY Ⅵ』
- バイドパイパー:『BUSIN』
- バリヤード、マネネ、ズガドーン:ポケットモンスターシリーズ
- ホロロホルル:『モンスターハンタークロス』
- ジョーカーオブデス、フラック:『Wizardry』
- 道化師:『IdentityV』
- サーカスカービィ、ペロット:『星のカービィ』
文学・伝承
- 地獄の道化師:『江戸川乱歩』
- キラークラウン:SF映画
- Laughing_Jack:『Creepypasta』
- くいだおれ太郎:道頓堀
- パイド・パイパー:『ハーメルンの笛吹き男』
関連イラスト
日本の創作や漫画ではファンタジックな姿をしたものが多いが、欧米などではダークなものやメタルな印象のものも少なくない。