「次に会う時は 海賊の高みだ」
「来いよ “高み”へ」
「…“力”に屈したら 男に生まれた意味がねェだろう おれは決して人生に“くい”は残さない…!!! …わかったかバカ」
「…おれは白ひげを 王にする」
「誰よりも自由に!!!」
概要
白ひげ海賊団2番隊隊長。
「メラメラの実」の能力者で、世間では“火拳(ひけん)のエース”の異名で知られる海賊。船長である“白ひげ”を心から敬愛しており、彼を「海賊王」にする事を目標としていた。
かつて白ひげのライバルで「海賊王」と称された伝説の海賊ゴール・D・ロジャーを父に持つが、幼少期は世間での父親の悪評を散々聞かされて育った経緯から父の存在を嫌い、母ポートガス・D・ルージュの姓を名乗り、その血縁を直隠しにして生きてきた。
本作の主人公である麦わらの一味船長モンキー・D・ルフィと、革命軍参謀総長サボとは、共に女山賊カーリー・ダダンの下で幼少期を過ごした仲で、将来海賊になることを夢見て兄弟盃を交わした義兄弟でもある。
また、ルフィの祖父であり、生前の母から自身を引き取ったモンキー・D・ガープには孫同然に育てられる(ただし、実質面倒を見ていたのは上述のダダンとその一味である)。
プロフィール
本名 | ポートガス・D・エース |
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異名 | 火拳のエース |
年齢 | 享年20歳 |
身長 | 103cm (10歳時)→185cm (第1章・超新星編) |
懸賞金 | 5億5000万ベリー |
所属 | スペード海賊団船長→白ひげ海賊団2番隊隊長 |
所属船 | ストライカー→ピース・オブ・スパディル号→モビー・ディック号 |
悪魔の実 | メラメラの実 (自然系) |
覇気 | 覇王色、武装色、見聞色 |
出身地 | 南の海 バテリラ |
誕生日 | 1月1日 (トランプのA=1) |
星座 | やぎ座 |
血液型 | S型 |
好物 | 熊鍋 (10歳時)、ブートジョロキアペペロンチーノ (超新星編) |
家族 | ゴール・D・ロジャー(父)、ポートガス・D・ルージュ(母)、サボ(義兄弟)、モンキー・D・ルフィ(義弟) |
初登場 | 単行本17巻 第154話『アラバスタへ』 |
WT100 | 9位(355,503票) |
CV | 古川登志夫、阪口大助(幼少期) |
人物
容姿
やや癖のある黒髪と、そばかす、ルフィにも近いにこやかな笑顔が特徴の好漢。
衣装は動物(おそらく牛)の骸骨のレリーフの下げたオレンジ色のテンガロンハットに黒い短パンを着用。帽子の帯には笑顔と泣き顔を象ったゴーグル型の装飾、首には赤い数珠のネックレス、左腕にはオレンジのエルボーパッドや紅白のリング、記録指針(ログポース)などを着用しており、民族的な装飾品や“火銃”などの一部の技もあり、どことなく西部劇に登場するガンマンを彷彿とさせる。
また、腰には立派なナイフを下げているが、彼は基本メラメラの実の能力を駆使した体術で闘うため、これが武器として使われた描写は白ひげ暗殺未遂以外では現在はない。
基本的に上半身には何も羽織っておらず、均衡の取れた筋肉質な裸体を曝け出している。左肩には自身ととある人物の名前の意味を込めた「ASCE(Sには✕印が重ねられている)」の文字列を、背中には白ひげ海賊団のシンボルの刺青が彫られている。
癖
時々食事や会話の真っ最中に突然寝るという癖を持つ。まだ料理が残っている皿に顔面を叩きつける形になってもそのまま爆睡し始める上に、自分が原因で大騒ぎになっても簡単には起きない。しかも何の前触れもなく眠りこけるため、周囲から突然死したのかと疑われることさえある。
余談だが、この癖はガープやルフィも共通して持っている。
性格
少年期は父親がロジャーであった事に疎外感を感じていた結果、触れるもの全てに暴力を振るってしまうような悪辣な性格の悪ガキであったが、ルフィと出会った事で徐々に性格が丸くなっていく。
ルフィの恩人への礼をいずれきちんとしなければならないとマキノに礼儀作法を学び、独立する頃には仲間内には非常に優しい男となっていた。
また、白ひげ海賊団に入ってからは自身に欠けていた『父』を得て安らぎを知り、余程の相手でない限り露骨に敵対心を出す事は無くなり、性格の良い優しい男となった。
初対面の麦わらの一味も「おれはてっきりルフィにワをかけた身勝手野郎かと」「弟想いのイイ奴だ…!!」と驚いていた。
宴が大好きで、どんちゃん騒ぎしている海賊船に勝手に乗り込み、しれっと宴に参加していたりする。
また、ルフィに勝るとも劣らない大食漢で、飯屋で何十枚もの皿を平らげてもなお食の勢いが落ちない。なお、基本的に代金は払わない。
しかも礼儀作法を習った結果、お辞儀をしながら「ごちそう様でした」だけはしっかり言い残していくのでなおのこと性質が悪い。こういうところは兄弟共々似ている。
内心で「愛する者」を失う事を極度に恐れており、敵から逃げれば自分にとって大切なものが失われるかもしれないという恐怖を衝動的に覚える。
故にどんな敵と相対しても仲間を逃がすことはあっても絶対に自分から逃げようとはせず、自分にとって大切な人を侮辱する発言には黙っていられず、衝動的な怒りに任せて相手を殴り飛ばす事もある。
黒ひげの追走とバナロ島の決闘、及びマリンフォード頂上戦争では、このような性格が彼の運命を大きく変える事となった。
シャンクスによればエースのそんな性格は父ロジャーとそっくりであるとのこと。
ただし本人は自分の命を犠牲にしてまで生んでくれた母には恩義を感じている一方、自分の心・人生に付きまとう「ロジャーの息子」という悪名を生んだ父のことは嫌い、父はあくまで『白ひげ』と思っている。父であるロジャーは一見、無責任極まりないが、ガープにエースの事を頼んだのは他でもないロジャーであり一応彼なりに息子に愛情を持っていた。(何故仲間であるレイリーではなく敵であったガープに頼んだのかは不明。ロジャー曰く「信用できるから」らしいが…)ルフィには「ロジャーが父親」だと明かしていた模様。
戦闘能力
悪魔の実
「お前は“煙”だろうがおれは“火”だ おれとお前の能力じゃ勝負はつかねェよ」
悪魔の実 | メラメラの実 |
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分類 | 自然系 |
自然物 | 火 |
能力 |
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欠点 |
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※ マグマグの実の下位種というのは能力単体で考えればの話で、そもそも作中の戦闘描写は上下関係の優劣を決定できる条件が全く一致していないので、そのまま比較しても意味がないということに要注意。つまり双方が持っている能力を、読者側は最初から間違った方法で優劣をつけているということに気づいていないから、作者とは真逆の結果になってしまうと考えられるのである。
体を燃え盛る炎へ変化させる事ができる自然系の能力者。
自然系は当然のようにほとんどの物理攻撃によるダメージを受け付けないのが強みだが、能力者当人の力量次第では広範囲の規模にまで拡大させることができ、自分の意思で自在に調節する事も可能。最大限まで高めれば家屋や帆船をも一瞬で爆砕、全焼させてしまう。また、小さな火球を銃弾のように撃ち出したり、物理的なダメージを与える炎の塊を作り出したりといった技も持つ。
勿論それらの攻撃を受けたものは瞬く間に炎上してしまう。
少々変わった使い方では、エースが所有するサーフボードのような小型船「ストライカー」はメラメラの能力を動力としており、足元で炎を焚く事でエンジンを起動させ、海上を自由に移動できる。エースはこの船と能力を使って偉大なる航路(グランドライン)を逆走し、ティーチの捜索を行っていた。
弱点らしい弱点は見受けられないが、数少ない天敵となるのが悪魔の実でも時折存在する上位関係でありマグマグの実の能力者がそれに当たる。作中の描写の通り、相手は火山噴火に発展するほどの強大なマグマとなっており、力量差の問題でメラメラの実の能力ではダメージを与えられず、逆に相手側の攻撃では一方的にダメージを受けてしまう(赤犬の「火を焼き尽くすマグマ」という発言は、話の流れからすると、彼らを精神的に揺さぶることを目的とした戦略的発言の一つに過ぎない。要はこの発言の意味はSBSの注意書きの情報も考慮すると、能力単体で考えればの意味であり、マグマの最上級は火山噴火の力に発展する力になり、災害の規模も桁違いになってしまう以上、比べ物にならないほどの桁違いな力量差がある時点で、温度にいくら差が開いてもそれは意味をなさないから、上下関係ではマグマグの実が上位種になっていると考える方が自然)。
また、詳細は不明だがモクモクの実の能力者とは、炎が物体を燃やして煙が生まれるという相性の関係で実の能力だけでは勝負がつかないらしい。
このように「火」という自然系能力であるため、並みの敵との勝負なら覇気以前の相性で影響することが多い。
一見すると「火」という特性から即座に行える芸当に思えるが、どんな能力も使い手の実力と熟練度に依存することが大きいため、たとえ利便性の高い能力でも使い手が実力・練度不足であれば使用できる幅は非常に狭くなってしまい、悪魔の実の能力による力が殆ど発揮されないことが多い。つまり、メラメラの実の能力は、エースの極限まで鍛え上げた実力と練度の高さが影響することによって、広攻守共に非常に強力になったと言える。
事実、ルフィが基本技となる“ゴムゴムの銃”を習得する際も(幼少期だったとはいえ)かなり苦労しており、ゴムより不安定な炎に身体を変化させる“火拳”は、並大抵の力では使えない(逆に言えば、利便性の高い能力の場合、元々強大な実力の持ち主であれば、多少はすぐに使いこなすことができる技も存在する)。
基礎戦闘力
少年期の頃から身体能力が高く、白ひげ海賊団加入前の時点でもカイドウの息子であるヤマトに匹敵する程の非常に高い基礎戦闘力を誇る。それは(陸上であるとはいえ)ジンベエと5日にも及ぶ災害のような互角の戦闘が繰り広げられる程で、ジンベエの武装色の覇気さえものともしない。その強さは白ひげ海賊団に加入してさらに鍛え抜かれたことによって、白ひげにグラグラの実の能力を使わせる程に成長し、四皇と渡り合える程の実力を見せている(『ONEPIECE episode A(ONEPIECE magazine Vol.12)』より)。
このように彼はルフィ同様に成長速度が異常に早く、瞬く間に強者へと成長した。
アニメオリジナルではあるが拳銃から放たれた弾丸を小石で弾き落とす芸当をしたこともある。
- 少年期
過酷な環境で育成されていることもあり、10歳の頃でもサボ(少年期)と互角以上に渡り合い、最終的には圧倒する抜群の身体能力と格闘能力を誇る。
その当時でも力は強く、木をたやすくへし折ったり、岩を破壊して落石を起こしたりする程で、チンピラ相手なら余裕で倒せるほど。
何の変哲もない鉄パイプのようなものを武器としていた。
アニメ版では大虎を一撃で倒している。
- 2年前
攻撃を受けながらも黒ひげと渡り合う技量を持っており、ヴァン・オーガーはエース自身の強さも高く評価している。
事実、ルーキーの時点で七武海を倒したことが、エッグヘッド編で明らかになっている。一応、ルーキー時代のルフィもサー・クロコダイルやゲッコー・モリアに勝利してはいるものの、ルフィの勝因はあくまで相手の弱点を突いたからであって、ルフィ自身の戦闘力で相手を倒したわけではない。そして、勝利後は、満身創痍だった。一方、エースはルーキーの時点で五体満足で勝利を収めていることから、エース自身の戦闘力で七武海を倒した可能性がある。
覇気
「気配」「気合」「威圧」「殺気」「闘争心」などの目に見えない感覚を操ることができ、3色全ての覇気を高水準で扱うことができる。なお、通常の覇気はほぼ独学で修得しており、その力は成長していくことでより高水準に鍛えられた(小説版や『ONEPIECE magazine』にて通常の覇気を修得し、高水準に扱えることが明らかになっている)。
覇王色の覇気の素質を秘めており、幼少期にルフィのピンチが引き金となって瞬間的に発現したが、その後は自力でコントロールできるようになっており、ハモンドを倒してしまう程の強力な覇王色を有している(『ONEPIECE episode A(ONEPIECE magazine Vol.11)』より)。
王下七武海に勧誘される、新世界に進出しジンベエのような覇気使いとの交戦経験もあるなどの経験から通常の覇気は習得していたようで(小説版では武装色の覇気初習得の場面が描かれた)、“黒ひげ”マーシャル・D・ティーチとの戦闘ではヤミヤミの実の能力で殴られた際に驚くと共に、ティーチから 「殴られるなんてのはずいぶん久しぶりなんじゃねェのか………!?」 とわざわざ言われている
エースが活躍していた新世界では多くのものが覇気を習得しており(そもそも強者は武装色・見聞色は当たり前のように修得している)、いかに自然系と言えど油断ならない環境であるはずだが、その中でさえ長期間に渡って殴られることなく、生きてきたことからエースの覇気を含めた基礎戦闘力がいかに高レベルであるかが分かる。
実は、白ひげ海賊団加入前には、覇気を(ほぼ自力で)習得しており、直後に海軍中将に勝利し、白ひげとサシで勝負した頃には、見聞色だけでも白ひげが驚愕するほどに精度が非常に高く鍛え上げられている。つまり、彼の覇気の強さも異常な成長を遂げていたということになる。
技
原作で使用した技
- 陽炎(かげろう)
相手の攻撃や突進に合わせて炎を繰り出し、攻撃を遮る技。
エースが原作にて最初に披露した技であり、スモーカーの攻撃からルフィを守るために使用されたが、描写が一瞬だったため詳細が分かりづらい。
ゲーム作品などでは炎を纏って相手に突撃する技として描かれている場合が多い。
劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』では、メラメラの実を継承したサボも同様の技を使用している。
- 火拳(ひけん)
火力を最大限に高めて巨大化させた炎の拳で全てを焼き薙ぐ。
「火拳のエース」の異名の由来であり、エースを代表する必殺技。たった一撃で帆船5隻を纏めて沈めるほどの破壊力を誇る。
後にメラメラの実の能力を手に入れたサボにもこの技は継承されたが、エースのものよりも白っぽく、より高熱であるかのような演出がなされている。
- 炎上網(えんじょうもう)
腕から放った炎で大地を燃やし、炎の壁を作って相手の進行を阻む。
- 火銃(ひがん)
両手の指を銃のような形に構え、炎の弾丸を連射する。
弾丸は着弾と同時に小規模の爆発を起こし、そのまま炎上させる。
- 炎戒(えんかい)
自分の周囲に炎の陣を作り出す。
直接攻撃用の技ではなく、”火柱”等の次の攻撃の下準備のような技。
- 炎戒 火柱(えんかい ひばしら)
“炎戒”から続けて、自分を中心に激しく燃え盛る火柱を発生させる。
家一軒を跡形も無く吹き飛ばすほどの威力を誇り、あらかじめ”炎戒”を発動させておく事で攻撃範囲を広める事も可能。空中で使えば真下に居る敵も一掃できる。
- 大炎戒(だいえんかい)
より広範囲に展開する“炎戒”の強化版。
”炎帝”等の次の攻撃の下準備のような技として使用することもある。
この技を使用すると、地形が一変してしまうなどの周囲に甚大な影響を及ぼす可能性があるため、よほどの強敵でないと使用しない様子。
- 大炎戒 炎帝(だいえんかい えんてい)
”大炎戒”で展開した炎をまとめ上げ、バナロ島規模にも及ぶ程の太陽を彷彿とさせる巨大な炎の塊を作り出すエース最大の技だが、その後の描写がないため、正確な威力は不明。
- 蛍火 火達磨(ほたるび ひだるま)
淡い光を放つ小さな炎の弾をばら撒く。
その後、炎はエースの合図で相手に一斉に襲い掛かり、瞬く間に火だるまと化す。
- 神火 不知火(しんか しらぬい)
両腕を勢いよく振り抜き、二振りの炎の槍を放つ。
炎の槍は物理的に相手に突き刺さり、炎上させてしまう。
- 十字火(じゅうじか)
両手の人差し指を交差させ、相手へ向けて十字架を想わせる火柱を放つ。
- 鏡火炎(きょうかえん)
分厚く巨大な炎の壁を自分の前方に展開し、相手の攻撃を受け止め、そのまま焼き尽くす。
青キジの”アイス塊(ブロック) 暴雉嘴(フェザントベック)”でも突破できず、それどころか一瞬にして蒸発した。
原作以外で使用した技
- 大炎戒 鬼火(だいえんかい おにび)
”大炎戒”で展開した炎をまとめ上げ、巨大な複数の龍のような姿をした炎を作り出す。エース主役のスピンオフ漫画である『ONEPIECE episode A』にて四皇白ひげに対して使用。
”大炎戒”を使用する場合はどの技も凄まじい威力を発揮するが、数あるエースの技の中でも最強クラス。しかし、最終的に白ひげには受け止められてしまった。
- 蛍火 火施(ほたるび かせん)
エース主役のスピンオフ漫画である『ONEPIECE episode A』にてジンベエに対して使用した技。
掌から無数の炎を光線のように飛ばす。
- 蛍火 船霊(ほたるび ふなだま)
エース主役のスピンオフ漫画である『ONEPIECE episode A』にて白ひげに対して使用した技。
無数の炎の弾を放ち、時間差で猛火する。なお、より精度が高められた見聞色の覇気により相手の動く先に置くことができる。
- 神火 不知火 一灯(しんか しらぬい いっとう)
エース主役のスピンオフ漫画である『ONEPIECE episode A』にて使用した。恐らく“神火 不知火”の強化版。
- 火脚(ひきゃく)
エース主役のスピンオフ漫画である『ONEPIECE episode A』にて白ひげに対して使用した技。
炎の勢いで加速する。
生涯
誕生
22年前、南の海にある「バテリラ」という小さな町で、“海賊王”ゴール・D・ロジャーと、その妻ポートガス・D・ルージュの子として生まれる。
ロジャーの血縁関係を尽く粛清しようとする世界政府からエースの存在を隠そうとした母ルージュは、およそ20ヶ月もの間エースを胎内に宿し続け、ロジャーの処刑から1年3ヶ月後にエースを出産する。しかし、これが祟って出産後はその疲弊によって衰弱してしまう。
生前のロジャーから妻子の存在を聞いていた海軍中将モンキー・D・ガープはルージュ母子の下を訪れ、生まれたばかりの赤ん坊と、ロジャーと二人で考えた「エース」という名前を受け取り、二人の愛息子を政府の追走から密かに救い出した。ルージュは、ガープにエースを託した直後に死亡した。
その後エースは、ガープの故郷である東の海「ゴア王国」にあるコルボ山をシメる女山賊カーリー・ダダンの元に預けられる。物心がついた頃には、父ロジャーの世間での悪評を嫌になるほど聞かされ、スラム街のゴロツキと喧嘩に明け暮れる荒んだ生活を送るようになる。
当時から腕っぷしが強く、ダダン一味からも持て余されていた。
幼少期
5歳の頃、ダダンのアジトの近くにあるゴミ山“グレイ・ターミナル”(ゴア王国の最終処分場)で浮浪児サボと出会い意気投合し、二人で海賊を目指して各地で盗みを働きながら旅立ちの資金(海賊貯金)を集め始めた。
10歳の頃、ガープの孫モンキー・D・ルフィがエースと同じくダダン一家の下に預けられることになる。当初エースはルフィのことを快く思わず、なんとか仲良くしようと追っかけてくるルフィを邪険に扱っていたが、ポルシェーミに捕まったルフィをサボと協力して助け、海賊貯金の場所をばらさなかったルフィを認め、以降は義兄弟の盃を交わし三兄弟を名乗る。
いつしかサボもダダンのアジトに転がり込むようになり、3人で野獣を相手に修業を重ね、海賊になる夢のために切磋琢磨した。また、この期間にルフィの様子を見に来たマキノとも交流が生まれ、彼女に新しい服を見立ててもらったり、礼儀正しい言葉遣いを教わったりなどしていた。
しかし、実は貴族の子であったサボが父親(アウトルック3世)に無理やり引き取られてしまい、離れ離れになってしまう。その後、貴族からの密命でグレイターミナルを浮浪者諸共焼き払おうとする海賊ブルージャムにダダン一味と共に対峙し、負傷したルフィを守るために自ら彼の前に立ちはだかり、同じくエースを守ろうとするダダンと二人で一味の殿軍を務めた。なんとかブルージャムを倒したエースは、自身も怪我を負いながらもダダンを背負ってアジトに帰還し、ダダンの部下たちから治療を受けて無事回復した。
後日、サボは兄弟たちより先に海賊になろうと一人で小舟に乗って海に出ようとするが、偶然にもその日ゴア王国に上陸しようとしていた世界貴族「天竜人」の船を横切ったことが彼らの逆鱗に触れ、砲撃を受けて消息を絶った。
世間はサボが死亡したと判断し、兄弟である二人もサボの死を悲嘆した。激昂したエースは無謀にも一人で天竜人に復讐しようとするも、ダダンから 「お前の親父は死んで時代を変えた!!!それくらいの男になってから死ぬも生きるも好きにしやがれ!!!!」 と説教を受け、そのまま縛り付けられる。
その後、サボが旅立つ前に認めていた手紙を読んで泣き晴らし、彼の死を乗り越え平静さを取り戻したエースは、改めて海賊になる夢を再燃させる。未だに泣き続けるルフィに活を入れると「それぞれが17歳になったら海に出る」ことを共に決意する。以降は、再びルフィと修行の日々を送るようになり、時には喧嘩をすることもあったが同時に絆も深め、お互い逞しく成長することになる。
月日は流れ、17歳になったエースはコルボ山の海岸からルフィ、マキノ、ダダン一家、そしてフーシャ村の村長ウープ・スラップという最低限の面子に見送られ、世間に知られる事無く海に出た。ダダンだけは見送らずアジトに残っていたが、エースは彼女の部下に感謝の伝言を残しており、その言葉を伝えられたダダンは号泣していた。
スペード海賊団結成(novel A)
出航後、エースは不運なことに東の海の一度流れ着けば脱出は不可能である無人島「シクシス」に漂着し、サバイバル生活を送ることになる。その際、同じく島に漂着してきたマスクド・デュースと出会う。紆余曲折の末に二人は意気投合。サバイバルの途中でエースが島に流れ着いたメラメラの実を口にして能力者になってしまうものの、エースのサバイバル知識にデュースの知識も加わったことで炎を動力とする小型船「ストライカー」が完成。二人は脱出を阻む渦潮を難なく越え、再び海に出ることに成功した。
その後、情報屋スカルや元教師で航海士を務めるミハール、オオヤマネコのコタツといった癖のある仲間たちを集めたエースはスペード海賊団という自身を船長とする海賊団を正式に結成。偉大なる航路に突入し、イスカやドロウなどといった海兵と交戦をしながらも新星の海賊として注目を集めることになる。
シャボンディ諸島に到達すると、世界政府から王下七武海への勧誘を受けるも、さらなる海賊の高みを目指すエースは勧誘を却下。立ち塞がった海軍中将を戦いの中で習得した武装色の覇気を纏った攻撃で撃破し、後半の海新世界へ向けて船を進めた。
ワノ国へ
新世界で航海を続けていたエースたちはワノ国の海域に差し掛かり、漂着する形でワノ国に入国する。
漂着した九里の編笠村では、気絶している間に食糧不足で餓死寸前であった村人たちに船の食糧をすべて奪われてしまうも、エースは気にすることはなかった。この際に当時5歳(本当は4歳)であったお玉と知り合い、数週間の滞在期間の間、彼女や村人たちと交流を深めた。
その後ワノ国の現状を知ったエースは国を実効支配していた四皇“百獣のカイドウ”に挑もうと鬼ヶ島に船を進めるが、その時カイドウや幹部達は遠征で不在だったため、カイドウの息子ヤマトと交戦することになる。鬼ヶ島に囚われていたワノ国の子供たちの救出及び帰還までの護衛を仲間たちに託したエースは一人で鬼ヶ島に残り、ヤマトとの戦闘を続行。戦いの末にヤマトの心の呪縛を解き放った。
戦闘後に意気投合をした二人は酒盛りをして互いの身の上を語り合った。特にエースはルフィのことを何度も語り、うっかりルフィの〝夢の果て〟を話してしまうも、ヤマトはそれがロジャーと同じことであることを知っていたため笑うことはなかった。
別れの際、エースはヤマトが作った自身のビブルカードを受け取り、二人は海で再会することを約束した。
仲間と合流するべく、お玉が暮らす編笠村に戻ったエースはお玉から作り方を習った笠が完成間近になったことでワノ国から出国することを決意。お玉はエースたちとの別れを惜しみ、自身も海賊団に入れてほしいと懇願。まだ幼いお玉を海には連れていけないと判断したエースは「次に会うときに“妖艶なくノ一”になっていたら」と条件を付けて仲間にする約束と、 「もう一度ワノ国に来たときには皆が腹いっぱいメシを食える国にする」 という再会の約束を交わした。
白ひげ海賊団へ
その後、とある冬島でルフィの恩人でもあるシャンクス率いる「赤髪海賊団」と対面し、かつて弟ルフィを救ってくれた礼を言うという旅の目標の一つを果たす。シャンクスたちも、彼がルフィの兄だと知ると大いに喜び、宴会を開いて一味を歓迎した。
(この時、シャンクスが既に四皇と呼ばれていたのかは不明だが、エースは描写範囲において、シャンクスや赤髪海賊団に対し終始丁寧な姿勢であった。先述のマキノとの特訓の賜物であろうが、後年シャンクスと敵対した勢力のたどった結末を踏まえれば、エースのこの姿勢は最適解であったと言えよう)
四皇の一角でもあるシャンクスとの出会いを果たしたエースは更に高みを目指し、当時“世界最強の海賊”と称され、かつては実父ロジャーともライバルであったという“白ひげ”ことエドワード・ニューゲートに戦いを挑もうとする。しかし、彼に代えがたい大恩を持つ魚人“海侠”ジンベエがエースの前に立ち塞がり、5日に渡る大激闘の果てに引き分ける。
二人が傷と疲弊から倒れ込んだその直後、エースの噂を聞いた白ひげがとうとう姿を現す。
エースは先の戦いで疲弊しきった身体を奮い立たせると、白ひげ一人を相手に自身の海賊団全員で一斉に挑みかかるもまるで歯が立たず敗北。しかし、仲間を逃すために一人自分を止めようとする彼のことを気に入った白ひげはその若く無鉄砲なところを気に入り、エースとその乗組員達を白ひげ海賊団に誘った。エースは「フザケんな!!!!」とその誘いを蹴って再び攻撃を仕掛けようともしたが、連日のジンベエとの激闘の疲弊もあり間もなく気を失い、そのまま白ひげの船に担ぎ込まれてしまった。
船に乗せられた当初は、なおも白ひげの首を取ろうと100回以上も命を狙うが尽く失敗。
隊長格のマルコやサッチからはその都度介抱されると共に、マルコからは白ひげと船員たちが「親子」と呼び慕う理由を知らされ、自分のことを「息子」と呼んでくれる白ひげに心を開き、白ひげ海賊団に加わる。
以降は「白ひげの息子」として多くの活躍をし白ひげ海賊団で存在感を増していき、いつしか長年空席だったという2番隊の隊長に抜擢される。その晩、エースは白ひげに自分がロジャーの息子であることを明かすも、白ひげは驚きもせず「大事な話ってェから何かと思えば小せェこと考えやがって 誰から生まれようとも人間みんな海の子だ!!」と全く気にしなかった。
エースはそんな彼に驚きながらも敬意と信頼を強め、隊長就任後はさらに邁進。ときには敵対関係にあった海賊団をその実力で捻じ伏せた上で傘下に加える活躍もみせた。
エースを慕う仲間たちにも恵まれ、上述のジンベエや、当初は険悪だったスクアードとも和解し、親交を育んでいた(ただしスクアードは、この頃はまだエースが自身の怨敵であるロジャーの息子であることは知らなかった)。また、航海の途中で出会ったリトルオーズJr.にはかつてワノ国で作り方を習った笠をプレゼントした。
また、この時から白ひげに先代の2番隊隊長光月おでんについて教えられており、ワノ国をカイドウから解放したいエースは白ひげ海賊団総出でワノ国へ向かうことを進言していたが、四皇同士の衝突で起こる被害を懸念していた白ひげから許可が降りることはなかった。ただし、白ひげや仲間たちがおでんの仇を討ちたいという想いを秘めていたのも事実であり、マルコとワノ国出身のイゾウからはもし白ひげから許可が降りれば連れて行ってほしいと頼まれた。
黒ひげの追跡
隊長就任から間もなく、自分の隊の部下であったマーシャル・D・ティーチが友人でもあったサッチを殺して海賊団から逃亡するという事件が発生。
ティーチの思惑に不安を感じた白ひげや他の隊長達は、この一件を「特例」として不問にしようとするも、隊長としての責任感と、戦友を殺し親父を裏切ったことに激昂するエースは、白ひげや仲間たちの制止も聞かず、ティーチを追って一人で海に飛び出した。
…なお、ティーチはこの後“黒ひげ”の通称を名乗ると共に、5人の船員からなる「黒ひげ海賊団」を結成。少数精鋭でひとつの王国を滅ぼすなど、手配こそされずとも海の各地で数々の蛮行を働いていた。
第1部 サバイバルの海・超新星編
アラバスタ編
“偉大なる航路”を逆走し、ティーチを追っている最中の旅路において、アラバスタ王国でルフィと久方ぶりの再会を果たす。海賊になってからのエースを知らないルフィは思わぬ再開と兄が能力者になっている事実に驚いていた。
立派に成長して海賊団の船長を務めている弟との再会を喜ぶ暇もなく、海軍本部スモーカーの部隊に追われるルフィの助勢を行った。彼らの船ゴーイングメリー号にて、ルフィの仲間である麦わらの一味とも初対面し、日頃、手のかかる弟が世話になっている感謝と、今後も面倒を見てやってほしいと挨拶を交わし、兄としての優しさを垣間見せた。
また、このときルフィたちさえその気があればと白ひげ海賊団に誘うもルフィからは即座に「やだ」と答えられ、彼らしい返事に笑顔をみせた。
最後は自身の「ビブルカード」(上述の経緯でヤマトが作った物)を渡していつか再び出会うことを約束し、再びティーチの行方を追って海へ旅立った。ルフィと別れてすぐ、バロックワークス“ビリオンズ”の船団が麦わらの一味を追っている場面に出くわし、彼らを“火拳”の一撃で玉砕し露払いを行った。
TVアニメ版ではオリジナルエピソードとして、「黒ひげがアラバスタに潜伏しているという情報を掴んだ」という理由で砂漠越えをする一味と途中まで行動を共にし、最後はその情報が賞金稼ぎスコーピオン(CV:小杉十郎太)がエースを誘き寄せるために流したダミー情報だと判明したため、ルフィ達と別れた。
ルフィたちがアラバスタでの戦いを終えた頃、エースは奇しくも実父ロジャーの元・船員だった“道化のバギー”率いるバギー海賊団の宴会の席に紛れ込み、タダ飯を食らう。
船員たちは高額賞金首“火拳のエース”を討つ千載一遇のチャンスと意気込むが、バギーは家族を何よりも大事にする白ひげの脅威を語ってそれを窘め、結局、何をするわけでなく彼と一緒に宴を楽しんだ(因みに宴の際にはリッチーに自身の能力で作った炎の輪で火の輪くぐりもリクエストした)。
エースの黒ひげ大捜査線
扉絵連載『エースの黒ひげ大捜査線』では、とある町で(いつもの)無銭飲食、(人違いによる)暴力事件などの問題行動を起こし、怒った町民たちにより川に蹴り捨てられる。
流れ着いた乳牛牧場で、一人でミルク売りを営むモーダという少女に助けられたエースは、その恩返しに彼女の手紙をとある人物に渡すため、コーミル中将が司令官を務める「海軍G-2支部」に潜入。一時は海兵に変装して基地内に紛れ込むも、ここでも白ひげの悪口を聞いて暴力事件を起こし、基地のコーヒーが苦いハライセに極秘情報船に引火したりと問題を起こし、海兵たちに追われることになる。
なんとか手紙の宛先であるコーミル中将に手紙を渡したエースは、情報船の中から黒ひげの情報を抜き出して逃亡。同時に、手紙の配達によってモーダは離れ離れだった両親(同支部の料理人夫婦)と再会し、支部の“苦いコーヒー問題”もコーヒーミルクで解消された。
ウォーターセブン編
バナロ島の決闘
海軍から奪った情報を元に捜索を続けた結果、偉大なる航路「バナロ島」にてとうとうティーチ率いる黒ひげ海賊団を発見する。ティーチはエースに見つかるなり、白ひげを裏切ったことを悪びれるどころか、エースを仲間に引き込もうと提案し、「この先のウォーターセブンにいる“麦わらのルフィ”をブチ殺して政府への手土産にする」計画に協力するよう申し出てきた。
親父である白ひげを侮辱するばかりか、弟の命まで狙うティーチを当然エースは見過ごせず、彼の申し出を突っぱね、戦闘を開始した。
序盤こそ曲者揃いの他の船員たちを寄せ付けぬ圧倒的な力量差を見せつけたエースであったが、ティーチはサッチを殺害した際に奪った「ヤミヤミの実」を食して能力者となっており、その手に触れることで能力者の相手を無力化してしまうという不可解な能力でエースを翻弄。
エースも負けじと炎による技の数々で応戦するも、最後は奥の手であった“炎帝”すらも彼の闇に飲まれ敗北を喫す。その後、訳あって“王下七武海”入りを目論むティーチの手によって海軍に身柄を引き渡されてしまう。
インペルダウン編
政府に囚われた後は死刑を求刑され、大監獄「インペルダウン」に投獄される。
その際、本部を相手に暴れまわったことで同じくインペルダウン最下層に投獄されて牢に入れられた王下七武海一人であるジンベエから自分の意地を通せなかったと謝罪の言葉を向けられた。
処刑の前日、署長のマゼランが他の囚人たちと揉めている間にジンベエと同じく七武海の一人である“海賊女帝”ボア・ハンコックから「ルフィがもうすぐ助けに現れる」と伝言を伝えられたが、大監獄の獄卒たちやマゼランに思わぬ足止めを喰らったルフィとは結局行き違いになってしまい、ルフィの無事を祈りつつもインペルダウンから処刑場であるマリンフォードに連行される。
マリンフォード頂上戦争
海軍本部マリンフォードでは、自身の出自が「海賊王ゴールド・ロジャーの息子」であることを集まった海兵、そして全世界で中継を見守っている人々に向けて明かされ、再び呪われた実父の名により世間から存在を否定される屈辱を味わうことになった。
戦争の終盤にて大混戦の中で白ひげ海賊団を中心とした決死の作戦で海軍の陣営を突破したルフィと、一人潜伏して解放の好機をうかがっていた“Mr.3”ことギャルディーノの手によって、ついに解放される。
ルフィとの抜群の連携によって海兵を蹴散らしはじめ、そんな中で持病の悪化と闘いで受けた傷から自身の死期を悟った“白ひげ”エドワード・ニューゲートに対し、今日まで自身の「親父」でいてくれたことを深々と頭を下げて涙ながらに感謝の意志を伝え、ルフィやジンベエと共に軍艦へ向かって走り出した。
儚くも悔いのない“偉大なる”最期
「“白ひげ”は所詮…先の時代の“敗北者”じゃけェ…!!!」 という海軍本部大将のサカズキの白ひげを侮辱する発言を耳に入れ、思わずその足を止めてしまい、更になおも死にゆく白ひげが最後に残した誇りを侮辱する発言を淡々と述べるサカズキに激昂。仲間達の制止を振り切って特大の炎の拳を振りかざして挑みかかるも、メラメラの実の上位種とされる「マグマグの実」の能力者サカズキにはその攻撃は通用せず、逆に腕が焼かれてしまう。
インペルダウンでの無茶により肉体もとうとう限界が近付いてその場で膝から崩れ落ちてしまったルフィの姿を見逃さなかったサカズキの攻撃からルフィを庇って身を挺して盾となり、マグマの拳で体を貫通されて致命傷を負う。
胸に大きな風穴を空けられ、力なくルフィに抱き留められる。そして、船医を呼んで必死に治療を訴えたルフィに対し、内臓を焼かれて最早助かる見込みがないことを察した上で敢えてそれを断り、最後の力を振り絞って世界中から疎まわれた自分を慕ってくれた親父や仲間達、そして自身を救うためにここまで多くの無茶をしてきた最愛の弟に対して自分がどこまでも憎んでいた海賊王の息子だと認めつつもそんな自分を受け入れてくれた者たちに感謝の言葉を涙ながらに言い残し、最期は静かに笑いながら息を引き取った。
「………!!オヤジ………!!!みんな……!!!」 「そしてルフィ…… 今日までこんなどうしようもねェおれを 鬼の血を引くこのおれを……!!」
享年20歳という儚くも短く、しかし波瀾に満ちた悔いのない生涯を終えたのだった。
遺体は白ひげの遺体と共に戦争を終息させたシャンクスたち赤髪海賊団に引き取られ、新世界の白ひげの故郷がある島の近くに白ひげと共に埋葬された。
ポートガス・D・エースの墓碑にはこう刻まれている。
「ACE, MAY YOUR SOUL BE ETERNAL. YOUR BRAVE SOUL WITH ALWAYS BE WITH US(エースの魂よ永遠なれ、誇り高い意志はいつまでもおれ達と共に歩む)」
余談
- 受け継ぐ義兄弟
戦争から2年後、生きていたもう一人の義兄弟はようやく墓前でエースとの再会を果たす。テレビスペシャル『エピソードオブサボ』ではそのシーンが詳しく描写されており、かつて義兄弟の契りを交わしたときのように酒と3つの盃を用意した兄弟は、改めて自分の分の盃を仰ぎ「エースの分まで弟を守る」という新たな誓いを立てた。
なおエースが食していたメラメラの実は(経緯は不明だが)エースの死後に改めて出現し、王下七武海の一人ドンキホーテ・ドフラミンゴによって回収されていたが、その義兄弟がそれを奪取して形見という形でその能力を受け継いでいる。
- 人気
過去の人気投票結果
第1回 | (登場前) |
---|---|
第2回 | 8位 |
第3回 | 10位 |
第4回 | 5位 |
第5回 | 6位 |
第6回 | 5位 |
登場初期から非常に人気が高かったキャラクターの一人で、活躍の場面こそ少なかったものの、原作にて死して既に10年以上経過後も根強い人気を保ち続けている。
現に過去6回行われた人気投票では、登場前だった第1回を除いて一度もベスト10から落ちたことがないという点からも人気の高さが窺える。
ちなみにgooランキングが2016年11月05日~2016年11月19日に行った『最強にカッコ良い「アニキキャラ」ランキング』では、見事に名だたる漫画・アニメの兄貴キャラを抑えて第1位に選ばれた。
- A(S)CE
エースの左上腕には自らの名前である「ACE(エース)」の刺青が彫られている。Aの後にはSに×印が彫られており、当初はスペルミスを演じた茶目っ気かともおもわれたが、これは志半ばで海へと消えた義兄弟サボ(SABO)の事を指すものと思われる(また、Sに×印でサボの掲げた海賊旗になる)。
当初はAS・Lと自分と二人の義兄弟の名前の頭文字(間の・はエースとサボが旅立った3年後にルフィが船出するという空白)という刺青に(サボとの離別により)書き足してASCE(Sに×印、Cの中央に点)となった説も有力視されていたが、エースとサボが離別せず現在まで生存しているIFを描いた扉絵では、刺青は普通にACEと彫られている。
アニメ版ではアラバスタでルフィと再会した後、僅かな期間であるが麦わらの一味と行動を共にした時期もあった。このアニオリエピソードは本編においてルフィ以外の麦わらの一味メンバーとエースの交流が描かれる唯一のエピソードとなっている。
また幼少期のエピソードでは、帰省したガープから免れるために秘密基地で兄弟たちと3人暮らしを始めて間もない頃に、元海賊のナグリという老人と出会っている。
熊に襲われていたところを“覇王色の覇気”で救い出された3人はその強さに関心し、海賊修行の面倒を見てもらうことになるが、この際に彼がかつてロジャーと戦ったという話が上がったことで、毛嫌いしていたロジャーの名前を避けるようにその場をひっそりと後にしてしまう。
しばらくは実父のことで癇癪を起こして兄弟たちとも仲違いをしていたが、ナグリがロジャーに敗北した上で恨みを抱いていないことや、船長として必要なのは強さよりも信頼であると説かれ、以降は真面目に修行(というかナグリが再び海へ出るための船の修理)に打ち込むようになり、ついには3人で協力して大虎を打ち取るまでに成長した。
- ゲーム版
ゲーム作品でも他のキャラを抑えて登場する場合が多く、新世界編のルフィやサボと共演する場合もある。
『海賊無双2』のオリジナルストーリーではルフィ達と共闘するどころか、ストーリー開始の時点で白ひげとエースの死は無かったことになっており、しかも白ひげは原作通り死亡するのにエースはストーリー終了時まで生存する(条件を満たせば白ひげの生存も可能)。さらに『Jスターズビクトリーバーサス』でもルフィ以外の一味を差し置いて『ONE PIECE』枠のプレイアブルキャラクターとして参戦した。
- 小説版
エースを主役とした外伝『novel A』ではシャボンディ諸島に訪れているスペード海賊団の様子が描かれており、以前から自分達を追っていた女海兵のイスカと偶然出会っている。
コミカライズ版が作画がBoichi、ネーム構成が石山諒で『ONEPIECE magazine vol.10』より連載。
- もしも歳をとったら
89巻のSBSのコーナーにて、もしもエースが生きていたらというお題で未来のエースのイラストが作者によって描かれた。
海賊として立派に成長した場合、20年後の40歳にはシャンクスの様な落ち着いた雰囲気のナイスミドルに、40年後の60歳にはシルバーズ・レイリーの様な破天荒な雰囲気のナイスシルバーになっており、豪快に海賊の引退を宣言している。
同時に、作者が(いらぬお世話で)なにかあった未来の場合も描いており、こちらの場合は、金に困ってルフィによく金を借りている肥満体の40歳、とうとうルフィにも愛想をつかされたのかチョッパーに頼んでこっそり金を借りている60歳となっている(口髭の形から実父であるロジャーの威光まで借りているあたりは“自称・白ひげの息子”であるこの人にも似ている)。
当然ながら前者が大人気であり、改めてエースの死を惜しむ声も多いようだ。
- 懸賞金
同じ四皇幹部でも他の面々や昨今の新世界の賞金首たちに比べて安い額ではあるが、彼自身成長途上であり、わずか3年間の冒険・他の幹部クラスより一回りもふた回りも若い20歳でこの額という怪物。
本編アラバスタ編の麦わら海賊団と合流する前日譚の主役として登場する。
ティーチを探す途中、茶ひげ海賊団の襲撃に遭う白ひげ海賊団傘下の島でマルコと共に交戦し勝利する。
忠告を無視した経緯により他人のフリをするもマルコの気遣いから電伝虫で白ひげに元気であると伝え、弟がバロックワークスの末端を壊滅させ潜入していた王女と同行している噂を知る。
そして茶ひげから得た情報を元にドラム王国へ向かい、Dr.くれはと意気投合する。バロックワークスがクロコダイルが絡んでいると知るとルフィが次に向かう島を推測し、弟と再会すべく住民に伝言を頼み島を発った(このときの食い逃げ代金はくれはが支払った)。
弟想いであるが若干ブラコン気味。
弟に暴力を振るった相手は真っ先に倍返しで復讐。
そして弟の話題には目を輝かせて対応し、一体どこで手に入れたのかルフィの手配書を大量に所持している。
更にバロックワークスの末端を壊滅させた功績を喜びはしたが「…昔はおれの後ろをついて回ってすぐに泣く何もできないヤツだったのに…」と弟の身を案じていた。
しかしルフィと再会を果たした後、頼もしい仲間を見て心配は杞憂に終わり密かに安堵した。
本編では食事中に寝るという癖を持つが、会話中に突然寝るという弟とガープと共通の癖も持っていることも判明した。
- 名前について
母方の姓ポートガスを名乗っているが、もしも父方の姓を名乗っていたらゴール・D・エースとなる。そしてDの意思を隠したい政府の思惑によって名前が改竄されるとゴールド・エースと世間的には呼ばれるようになる。…何かの栄養ドリンクだろうか。
- エースの結末
『ONEPIECE公式YouTubeチャンネル』の企画の一つである『仲間がいるよTube!!!!』でモンキー・D・ルフィを演じる田中真弓女史がゲストで出演した際に、エースの死について尾田先生に質問した時のエピソードを語った。
尾田先生曰く『ルフィを1段階強くさせるために、僕は最初からエースを"死にゆくキャラクター"として描いてましたよ』とのこと。
一方、エースを演じた古川登志夫氏は収録当時「スタジオに行くのが嫌だった」とその結末を悲しんでいたが、田中真弓女史の「エースの死に「こわれていく」ルフィ」の演技を目の当たりにした事で受け入れられることが出来たと回顧する形でX(旧Twitter)でポストしている(参考リンク)。
- エースは覇気使いで、強かったのかどうか?(デマについても含む)
原作ではエースの戦闘描写が非常に少なかったということもあり、「覇気を使えない」「エースは強くない」という情報が多く流出している。しかし、上記の『プロフィール』や『戦闘能力』の項目で解説している通り、3色の覇気全てを当然ながら高水準に扱えることが分かっており、やはり実力も相当なものに鍛え上げられていることから、これらは大きな誤りと言える。
これらの主張が拡大した理由は、
- 「覇気=“全て”後付け」と誤解している
- 「2年前の敵=全員弱い」などと全く根拠のない思い込みが生じている
等の思い込みから、知らぬ間に認知バイアスにかかってしまったことによって、作中の描写を根本から間違った見方をしてしまうファンがあまりにも多かったことが考えられる。
覇気を使用できない根拠として、原作で覇気を使用している描写が無いという事実だけを取り上げている者が多いが、原作だけでなく公式などのあらゆる情報を精査しても、これは根拠にはならない。そもそも、一般人ならともかく実力者においては、本人が「覇気を使用できない」ととれる描写が存在しない限り、覇気を使用できないかどうかを判断することは不可能で、逆に使用できるキャラの方が多いからである。
このような主張が拡大した原因としては、1番の「覇気=“全て”後付け」という全く根拠のない主張を鵜吞みして、それを無理矢理こじつけている読者も多かったことも一つである(詳細は『覇気』の記事を参照)。実際に、そのような主張を繰り返している読者は、作中に登場する根本的な覇気の定義や意味を全く理解していないせいで、意味をよく分からずに、ただ単に覇気という言葉を使用していることが多い。
続いて2番についてだが、これは1番も原因ではあるが、他にも「戦闘力=勝敗」「強さ=勝敗」と誤解していることも原因であり、読者は「2年前の敵はルフィが勝ったから」等の根拠にすることで、2年前の実力者達を自然と甘く見過ぎてしまい、力を完全に見誤ってしまう事態に陥る事例は過去に多く見られる。
しかし、実際に勝敗は、勝ち方(能力者の弱点を突いた等)によって、「戦闘力=勝敗」は成立しないことも多く、モネの発言やSBSでは「戦闘力と勝敗は別物」「能力の強さ=キャラクターの強さではない」として、どんな戦いも勝負の行方は分からないということを明言している。
そして、エッグヘッド編にて、エースが王下七武海の一角を倒したことが判明している。
- 類似?
本編開始時点で故人となっているドンキホーテ・ロシナンテはエースとは逆に海兵であるが、
等の共通点を持つ。
関連イラスト
幼少期
青年期
関連タグ
エドワード・ニューゲート:親父と慕う船長
ゴール・D・ロジャー/ポートガス・D・ルージュ:実の両親
モンキー・D・ルフィ/サボ:義兄弟
敗北者/愛してくれてありがとう:ミーム
D兄弟:ルフィとの兄弟コンビタグ