概要
宇宙戦艦ヤマトシリーズとストライクウィッチーズ(ワールドウィッチーズ)は、いずれも地球人類とそれ以外の存在との戦争であるが、その内実は大きく異なる。
- ヤマトシリーズは、遠い未来(リメイク版の2199では、西暦2191年から)ガミラスやガトランティス、ボラー連邦などの地球以外に起源を持つ異星人との、宇宙空間での戦争。
- ワールドウィッチーズは、第二次世界大戦ごろの世界において、地球上に出現した怪異ネウロイとの戦争。
メディアコンテンツの展開開始は、宇宙戦艦ヤマトは1974年にTV放送開始。ストライクウィッチーズは2007年にOVA発売、翌2008年にTVアニメ放送開始と、30年以上もの間隔がある。
作中の戦争状況
ストライクウィッチーズの世界でもオラーシャ西部(ウラル山脈以西のヨーロッパ・ロシアやウクライナ、ベラルーシ、ポーランドなど)からカールスラント(ドイツ)やガリア(フランス)までがネウロイの勢力圏内となるなど不利な状況であった。
ただし、ネウロイは海や山脈を超えるのが苦手であるため、これらを防壁とできる国々は陸戦型ネウロイの大規模侵攻を食い止めることができている。
- ブリタニア(イギリス)やリベリオン(アメリカ)、扶桑(日本)は海を天然の水堀としている。
- ヒスパニア(スペイン・ポルトガル)はピレネー山脈、ヘルウェティア(スイス)及びヴェネツィア公国(イタリア北東部)とロマーニャ公国(イタリア北西部および南部)はアルプス山脈を、それぞれ天然の城壁としている。
- ネウロイは制圧地域では人体に有害な瘴気をばら撒くため、ネウロイの支配地域に少人数の特殊部隊を送り込んでの偵察や破壊工作は事実上実行不能な状態である。
これに対して宇宙戦艦ヤマトの世界では地球上のどこであろうと、ガミラスの遊星爆弾の攻撃を免れ得ない状態になっており、人類は地下都市を築いて抵抗を続けていたが、遊星爆弾による環境汚染(オリジナルでは放射能汚染、2199では遊星爆弾に埋め込まれた有害植物の種子が発芽成長後にばらまく胞子)により、作品開始時点で人類はあと1年で全滅すると言われるほど深刻な状況である。
女性キャラ
リメイク版の2199放送開始以前は、中の人ネタはほぼ絶望的であった。
- メディアコンテンツの展開開始は、宇宙戦艦ヤマトは1974年にTV放送開始、ストライクウィッチーズは2007年にOVA発売、翌2008年にTVアニメ放送開始と、30年以上もの間隔がある。
- 宇宙戦艦ヤマトシリーズの旧版は、女性キャラが森雪やスターシャなど極少数であった。特に宇宙戦艦ヤマトの乗組員に至っては、女性は森雪一人だけであった。
- 逆にストライクウィッチーズは、軍の高官や整備兵などの脇役では男性将兵も多いが、主役となるウィッチは全員女性である。
リメイク版の2199においては、ヤマトの乗組員に女性キャラが大幅増員された(ヤマトガールズ)。
- これは単に萌え要員を増やすだけでなく、オリジナル版での森雪はレーダー担当、生活班長、さらには看護兵という3つの職務を交代要員皆無で務めているという、超絶過重労働を改善する意味合いもあった。
- このほかには、「ヤマトの撃沈は避けられたが、コスモリバースシステムを期限の1年以内に地球に持ち帰れない(=地球に残った人類の全滅が不可避となる)ことが明確になった場合には、ヤマトの乗組員にはどこかの惑星に移住入植し、種としての人類を存続させる」という考えがあったのでは、と思われたが・・・(イズモ計画も参照)。
- また女性キャラの増員は、敵であるガミラス側にも適用されている(メルダ・ディッツ、エリーサ・ドメル、ミーゼラ・セレステラなど)、
衣装
ストライクウィッチーズの世界では、現役のウィッチ達は上半身は普通の軍服を着用しているが、下半身はロングスカートやズボンを履かない(パンツじゃないから恥ずかしくないもん!)。まあストライカーユニットを履くには、ロングスカートやベルボトムのようなぶかぶかなズボンなど邪魔なだけだが。
実際、ウィッチにはニーソックス(リネット・ビショップなど)や、スパッツ(犬房由乃など)、ミニスカート(サーニャ・V・リトヴャクやアレクサンドラ・I・ポクルイーシキンなど。また、ルミナスウィッチーズに登場する連盟空軍航空魔法音楽隊のステージ衣装)を履くウィッチも少なくない。
また、オラーシャ(ロシア・ソ連)やスオムス(フィンランド)など北欧系のウィッチは、防寒も兼ねてか厚手のタイツを履く者が多い。特にスオムスの場合は、登場するウィッチは全員白タイツを履いている。
ただし、ペリーヌ・クロステルマンやヴァルトルート・クルピンスキーのように、北欧出身でなくてもタイツを履くウィッチはいる。
この他、扶桑皇国(日本)の航空ウィッチの制服は、陸軍所属と海軍所属で大きく異なる。
- 陸軍式:巫女服がモデルであるが、武器の取り扱いの邪魔にならないように小袖が半袖になっているほか、ストライカーユニットを履くのに邪魔にならないように緋袴も膝上まで切り詰められている。他、両腕に手甲を装着する。ただし、一般的な陸軍軍服を着用する者も存在する(中島錦や犬房由乃など)。
- 海軍式:こちらはまず素肌に昔懐かしの旧型スクール水着を着用し、その上から海軍の軍服(坂本美緒や服部静夏、雁淵孝美、下原定子などの士官は詰襟服、宮藤芳佳や雁渕ひかりなどの下士官は水兵服)を着るが、下半身には何も着用しない。こちらも管野直枝(フライトジャケット風の上着を着用)や西沢義子(上半身はセーラー服だが、下半身に陸軍式の短袴を履く)のように、定石にあえて逆らう者はいる。
ヤマトシリーズ側も、女性用の艦内服はボディシルエットが丸見えなぴちぴちスーツなので、エロス的な意味ではこちらも大概である。
特に「2199」にて登場する原田真琴の制服は、ストライクウィッチーズのウィッチ達の大多数と同様に「パンツじゃないから恥ずかしくないもん!」な耕造になっている。ただし同僚の笠原真希の服は他の女性乗組員と同様に絶対領域を隠す構造になっており、なぜ原田真琴だけ制服が違うのかは不明(むらかわみちおの公式コミカライズの描写では、少なくとも本人の意思による改造や着こなしでは無いことがうかがえる)。
メカニック
ストライクウィッチーズのウィッチは、ストライカーユニットを履くことで空を飛ぶ空戦ウィッチ(機械化航空歩兵)として戦うのが一般的。作中世界観では陸戦用のストライカーユニットを履く陸戦ウィッチ(機械化装甲歩兵)も存在し、むしろこちらの方が数は多いが、作中では航空ウィッチが主役である。
空戦用のストライカーユニットは、第二次世界大戦期の戦闘機がモデルであり、大半がレシプロ戦闘機である(ジェット戦闘機は、2023年11月現在ではMe262とHe162の2種類のみ)。陸戦用のストライカーユニットも、やはり第二次世界大戦期の戦車がモデルである。
もちろんウィッチではない一般の歩兵や戦車兵、戦闘機パイロットなどもいるが、ネウロイ相手にはウィッチよりも分の悪い戦いを強いられる。
- 特にネウロイのビーム兵器に対する防御力は、シールドを張って弾くことができるウィッチとそれ以外では超えられない格差がある。
宇宙戦艦ヤマト側でも、コスモゼロを筆頭にヤマト・ガミラス双方で多種類の宇宙戦闘機が登場する。このため、ヤマト側の宇宙戦闘機をストライカーユニット化したイラストもある。
戦艦大和
ストライクウィッチーズをよく知らない人にとっては以外かもしれないが、戦艦大和もヤマトシリーズとストライクウィッチーズの両作品を取り持つ要素となっている。
宇宙戦艦ヤマトは、オリジナル版アニメにおいては「第二次世界大戦で戦没した戦艦大和の残骸を、宇宙船に改造した」という設定であり、作中では戦艦大和はほぼ原形を維持ししたままで、沈没着底したように描かれていた(下のYoutube動画にて、当該シーンを閲覧可能)。
しかし、アニメ放送後の1985年に行われた潜水調査にて、戦艦大和の残骸は途中で真っ二つに折れているなど、とても宇宙船に改造して再利用できるような状態では無いことが判明。この事実から、リメイク版の宇宙戦艦ヤマト2199における宇宙戦艦ヤマトは、「戦艦大和の残骸に偽装して、新規に建造された」と設定が変更された。
そして、ストライクウィッチーズにおいても、戦艦大和は登場する(ストライクウィッチーズの世界は、第二次世界大戦が基なので)。
扶桑皇国海軍所属の戦艦大和は、第2期の第1話から登場する。最初から対空兵装が強化されているほか、ヴェネツィア公国(※)奪還作戦「オペレーション・マルス」においては、ウォーロックの技術をフィードバックした魔導ダイナモを搭載したことによりネウロイ化して空を飛ぶなど、宇宙戦艦ヤマトをほうふつとさせる活躍を見せる。さすがに波動砲は積んでいないが・・・。
さらに言えば、ストライクウィッチーズで戦艦大和の艦長を勤めた杉田淳三郎を演じる麦人は、宇宙戦艦ヤマト2199以降のシリーズにて宇宙戦艦ヤマトの機関長徳川彦左衛門を演じている。戦艦大和の艦長が、宇宙戦艦ヤマトの機関長を勤めていると思うと、感慨深いものがある・・・。
※:史実のヴェネツィア共和国が、君主制に移行して滅亡を回避し、独立を維持した設定。首都は共和国時代と同じくヴェネツィアで、史実のヴェネツィア共和国は滅亡まで一瞬たりとも領有できなかったミラノを含めたイタリア北東部のほか、アドリア海東部沿岸のダルマツィア(クロアチア・スロベニアの沿岸地域)などを領有する(ニコニコ大百科 - ヴェネツィア公国)。このためイタリアは、北東部を領有するヴェネツィア公国と、北西部(ジェノバやトリノなど)から南部(首都のローマやナポリ、シチリア島も含む)を領有するロマーニャ公国に二分されている。
その他
音楽・歌等の娯楽
ストライクウィッチーズシリーズの中では異端的存在として、戦わないウィッチを題材に据えたルミナスウィッチーズが登場する。
ルミナスウィッチーズの主役部隊である連盟空軍航空魔法音楽隊の隊員たちは、ネウロイと直接戦うのではなく、歌と音楽で後方の一般市民たちに勇気と希望を与えるという目的で編成された。ただし、歌だけではなくアクロバット飛行も見せるので、曲技飛行隊としての側面もある。
- ヤマトの世界でも、オリジナル第1作/2199の双方で、食糧不足や好転の兆しが見えない戦況への絶望、宇宙戦艦ヤマトが本当に地球に帰ってくる(帰ってこれる)のかという疑心暗鬼などから、一般市民の暴動が頻発していた状況を踏まえると、存在意義が全くないとは言い切れない。
尚、航空魔法音楽隊に所属するウィッチは、飛行型ストライカーユニットを動かせる(航空ウィッチになれる)だけの魔力は持っているが、魔力以外の精神的・肉体的・社会的理由により前線での戦闘任務に不適格とされた者達である(ストライクウィッチーズの世界の人類が、ヤマトの第1作/2199並みに追い詰められた状況なら、なりふり構わず前線送りにされる可能性はあるが・・・)。
このため、航空魔法音楽隊には「魔力を持っていても前線で戦えないウィッチ達に、居場所と存在意義を与える」という側面もある。特に航空魔法音楽隊のメンバーの一人であるアイラ・ペイヴィッキ・リンナマーは、戦傷の影響で魔法力が低下した傷痍軍人である。
- 戦傷を負ったウィッチの例では、グンドュラ・ラルは過去の戦傷で背骨を骨折したため、軍服の上から特製のコルセットを着用している。ハンナ・ルーデルも過去の戦傷で顔面に傷跡が残っているほか、『魔女たちの航跡雲』においては体にも少なからず傷跡が残っていることが描写される。
- このほかにもワールドウィッチーズ作中においてはウィッチが戦死する描写は避けられているが、『片翼の魔女たち』のラウラ・トートや『スオムスいらん子中隊』のエリザベス・F・ビューリングの回想からは、戦争序盤のネウロイが攻勢をかけていた時期にはウィッチにも多数の戦死者が出ていたことがうかがえる(ウィッチではない一般将兵や民間人の戦死者はさらに上回るが)
宇宙戦艦ヤマトでも、リメイク版の2199では岬百合亜がヤマト乗組員のメンタルケアの一環として、艦内放送を利用して『YRAラジオヤマト』と呼ばれるラジオ放送を行っている(実際にラジオ放送もされた)。
ロンメル/ドメル将軍
ストライクウィッチーズでは、第二次世界大戦期のドイツ陸軍の将軍エルヴィン・ロンメルをモデルとしたエルンスト・ロンメルが登場する。
ヤマトシリーズでも、オリジナル/リメイク双方の第1作でヤマトの前に立ちはだかるガミラスのドメル将軍(リメイク版の2199では、エルク・ドメル)の名前は、やはりエルヴィン・ロンメル将軍に由来する。
共通出演声優一覧
※宇宙戦艦ヤマト側は、特筆が無い限りはリメイク版の「2199」以降の配役である。
※1:石塚運昇氏の死去に伴い、2202の第21話以降は楠見尚己に交代。
※3:『宇宙戦艦ヤマトIII』放送時点では「寺田誠」名義でクレジット。
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ストライクウィッチーズ ワールドウィッチーズ ストライクウィッチーズの登場人物 パンツじゃないから恥ずかしくないもん!
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