概要
正式タイトルは『NARUTO-ナルト-』。1999年から2014年まで『週刊少年ジャンプ』にて連載された、岸本斉史による少年漫画。及びそれを原作としたテレビアニメ、ゲームなどの作品。原作の単行本は全72巻、全700話。外伝全1巻。
落ちこぼれ忍者の主人公うずまきナルトが様々な困難に立ち向かい、火の国・木ノ葉の里の頂点である火影を目指し、日々努力し突き進んでいく忍者漫画である。
ストーリーは第一部(1巻〜27巻)と第二部(28巻〜72巻)の構成に分かれており、両部の間に二年半の月日が経過している。また第二部開始から最終決戦までに約2年経過、さらにその後の最終700話まで十数年ほどの時間が経過している。
2002年10月にアニメ化もされ、世界80ヶ国以上で放送されている。
アニメ(通称「アニナル」)では原作第二部のアニメ化にあたり、タイトルが『NARUTO -ナルト- 疾風伝』に改題されている。また第一部の2周目の再放送には『NARUTO -ナルト- 少年篇』と改題された。そのため第一部は「少年篇」、第二部は「疾風伝」と区別されるようになっている。ちなみに2002年~2007年まで少年篇、2007年~2017年は疾風伝である(2016年10月で最終話700話を除く原作エピソードは終了。原作終了後に発表されたノベライズ「秘伝」シリーズのエピソードを描いたあと、2017年3月で終了)
本作のスピンオフとして、平健史作の『ロック・リーの青春フルパワー忍伝』と『うちはサスケの写輪眼伝』がある。
外伝作品では第一部の連載終了後、はたけカカシの少年時代を描いた『戦場のボーイズライフ』が短期連載され、第27巻に収録されている。
また第二部の連載終了後、2015年4月より『NARUTO -ナルト- 外伝 ~七代目火影と緋色の花つ月~』が短期連載され、単独作品として単行本が発売。
また、2016年春から第700話・外伝・『BORUTO』に登場した「新世代の忍」達の活躍を描く「BORUTO -ボルト-」が月一連載される。なお、岸本は原作・監修に退いた上で脚本は小太刀右京、作画は池本幹雄が担当する。2017年4月からTVアニメの放送も行われている。
評価
日本国内としても2000年代のジャンプを代表する大ヒット作品だが、それにも増して海外人気が非常に高いことが特徴。『ドラゴンボール』の後継者のようなポジションと見なされている。
アメリカやフランスといった日本産の漫画がある程度普及している地域はもちろん、さほど漫画に馴染みがない南米諸国などでもアニメ版が広く視聴されている。2020年代以降でもサブスク等を通して相変わらず人気を維持しているという。
単行本の国内累計発行部数は、完結から数年経過した2018年12月の時点で1億5,000万部を突破している。海外では40以上の国と地域で発売されており、9,500万部を突破。ドイツ300万部、タイ540万部、中国750万部、アメリカ1,200万部、フランス1,700万部の売上げを記録し、全世界では2億5000万部を記録している。
世界観
この作品の舞台は近世の日本をベースに、現代文化をミックスした架空の世界(ただし作中では「地球」という名称が使用されている)である。科学技術はある程度発達しているが、人々は昔ながらの営みと共同体を築き、独特の世界観を構成している。
各国は基本的に1つの忍の隠れ里を軍事力として持っている。(波の国等隠れ里を持たない小国も存在する)
特に大きな国土を持つ火の国・水の国・雷の国・風の国・土の国はそれぞれ、
火の国 | 木ノ葉隠れ |
---|---|
水の国 | 霧隠れ |
雷の国 | 雲隠れ |
風の国 | 砂隠れ |
土の国 | 岩隠れ |
という形で巨大な隠れ里を持つ強国として知られており、『忍五大国』と呼称される。
ちなみに最初期は設定が固まっていなかったのか、隠れ里の名前がそのまま国の名前に使われていた。(例えば木ノ葉隠れなら木ノ葉の国、霧隠れなら霧の国...という感じ。この頃の火の国は木ノ葉の国の隣国という設定だった。)
文明描写
衣服は近世に見られるような着物が中心で、和装からジャージ、タイツ、チャイナ服、洋服まで様々。木ノ葉の里の忍はベストを着用している。食も基本的に和食だがインスタント食品やスナック菓子も登場している。
建物には東洋の趣があり、公共建築などにはコンクリートやガラス窓、金網も見受けられる。消防には水遁が用いられるなど、忍術が機械の役割を果たしているため機械文明はさほど発達していないが、蒸気機械(蒸気機関車、自動車など)や電気機器(カメラ、テレビ、冷蔵庫、小型通信機、パソコンなど)は登場する。しかし、唯一銃火器だけは登場しない。
また、巻物の多くは術式を治めたものとして登場し、活版印刷技術も発達している(自来也のイチャイチャシリーズなど)。
ちなみに原作はモノクロなので分かりにくいが、アニナルでアンコ先生が見ていた監視カメラやナルトたちが観に行った映画を見る限り、まだモノクロ映像が主流のようである。
長引く戦乱のせいで社会が停滞していたこともあり、平和が訪れた後は10年あまりで飛躍的に社会成長が成されている。
社会構成
通貨の単位は「両」。作者曰く1両は現在の日本円に換算して10円程度。
本作において忍者とは「軍事力」として扱われ、各隠れ里が所属する国を護衛にあたる事に専念している。忍だけでなく、かつては侍も軍事力として扱われてきたが、現在は忍に劣り扱われなくなってきている傾向にあるようだ。
各国はそれぞれの国の大名が統治しているが、作中ではほとんどお飾りのような扱いに描かれており、大名によっては一部の忍達からは「バカ大名」と陰口を叩かれている。第四次忍界大戦においても、一部の良識ある大名を除いて全く危機感を抱いていないなど、為政者としての威厳があるとは言えない。
なまじ忍者達は強大な力を持っているためか、大規模な戦争や動乱が後を絶たず悲惨な社会状況が続いている。
作中における忍者の概念
この作品は、忍術が一種の超能力として描かれている(連載開始当初からしょっちゅう「忍べよ」と言われ続けてきていた)。忍者という設定や忍術の位置づけが、バトル漫画としての根幹を成しているが、どちらかといえば陰陽師や呪術師、または戦国の侍や傭兵に近い。登場人物の中には「忍者」の定義に関して、現実世界における「忍者」とは異なる価値観を持つ者もいる。「忍者」の神秘性を分かりやすくデフォルメして、「自己主張の強い『ninja』たちが派手な能力バトルを展開する」という娯楽性重視の世界観が作品に魅力を与えている。
適正とやる気があれば、訓練次第で誰でも忍者になるのは可能である。何をもって忍者とするかは劇中でも意見が分かれているが、少なくとも忍者として仕事ができるのであれば世間的には忍者と見なされているようである。
一般的な忍者のイメージに近い忍者は「暗部」などに所属して裏仕事を担当している。
専門用語
チャクラ
本作における、術を使用するためのいわゆる不思議エネルギーで、元ネタは古代インドの宗教聖典『タントラ』にある身体論から。チャクラには生物の持つ細胞一つ一つから練り出す「身体エネルギー」と、脳が生み出す「精神エネルギー」が存在し、これを特定の印を組むことで解放したのが忍術である。
チャクラをエネルギーとして使用する能力。幻術、体術と共に作中世界における基礎となる戦闘技術でもあり、同時に医療やインフラなどを支える基幹技術でもある。
使用の際には両手の指を組み合わせる「印」を結んで発動するのが基本系だが、実際の術の体系は多種多様であり、チャクラコントロールのみで発動する、巻物や飛び道具にマーキングを行うことで発動するなど様々である。
幻術
幻覚を見せる術。こちらは忍術以上に様々な手法があるが、作中では瞳術と共に発動することが多い。
体術
明確な定義はないが、作中では忍術や幻術によらない戦闘技術をこう呼んでいる。
瞳術
忍者の使用する術の中でも、特殊体質の一つとして見るだけで発動する術。
その中でも写輪眼は作中における重要なキーアイテムとして登場する。
仙術
上記のチャクラに加え、自然エネルギーを吸収することで『仙術チャクラ』と呼ばれる別種のチャクラを練り上げた上級の戦闘術。
忍界大戦
忍里同士で起きる忍界規模で起きる戦争。モチーフは世界大戦。
- 第一次忍界大戦
五大国が設立するきっかけになった戦争。その後、最初の五影会談で初代火影・千手柱間が、里同士のパワーバランスをとるため尾獣を各国に分配した。
- 第二次忍界大戦
第一次大戦の終戦から20年後に始まる。戦争初期に雲隠れでクーデターが発生し、この件で二代目雷影が死亡、和平条約の締結に訪れていた二代目火影・千手扉間が戦死する。
- 第三次忍界大戦
第一部より十数年前に勃発。忍五大国による統治が揺らいだことで各国の国境付近で小国や忍里を巻き込んでの小競り合いが続いたことが原因とされている。とくに木ノ葉隠れと岩隠れ間での戦争状態が激しく、カカシ外伝で起こった「神無毘橋の戦い」はこの時期にあたる。
第2部に勃発する戦争。詳しくはリンク先参照。
登場キャラクター
アニメ版
→詳しくはアニナル項へ。
劇場版アニメ
2004年8月に初めて映画化され、『それいけ!アンパンマン』シリーズや『劇場版ポケットモンスター』シリーズなどと並び、毎年夏休みに公開されていたが、2013年には映画化されておらず、『THE LAST』は、原作の連載終了に合わせて、2014年12月の公開となった。
少年篇
大活劇!雪姫忍法帖だってばよ!!(2004年)
大激突!幻の地底遺跡だってばよ(2005年)
大興奮!みかづき島のアニマル騒動だってばよ(2006年)
疾風伝
劇場版 NARUTO -ナルト- 疾風伝(2007年)
劇場版 NARUTO -ナルト- 疾風伝 絆(2008年)
劇場版 NARUTO -ナルト- 疾風伝 火の意志を継ぐ者(2009年)
ザ・ロストタワー(2010年)
ブラッド・プリズン(2011年)
ROAD TO NINJA(2012年)
THE LAST(2014年)
BORUTO(2015年)
同時上映
木の葉の里の大運動会(大活劇!雪姫忍法帖だってばよ!!)
そよ風伝 ナルトと魔神と3つのお願いだってばよ!!(ザ・ロストタワー)
炎の中忍試験!ナルトVS木の葉丸!!(ブラッド・プリズン)
余談
本作の最終話が掲載された2014年50号では、『ONE PIECE』の第766話『スマイル』の扉絵に同作の作者である尾田栄一郎が、本作の連載終了を労う小ネタを仕込んだことが話題になった(参照)。
扉絵に描かれている三人(『ナミ』『ルフィ』『トニートニー・チョッパー』)のそれぞれの頭文字を読むと『ナルト』になり、壁に貼られているメニューには『ナルトおつかれさんでした』というメッセージが隠されている。 ナミの姿に隠れてしまっているが、ルフィの向かい側に座っている相手はナルトであり、二人がお互いの好物(ラーメンと肉)を交換して食べているという構図になっている。
また、ナミが着ているチャイナドレスの模様は木ノ葉隠れの里のマークを模したデザインになっており、『ONE PIECE』のロゴにも木ノ葉隠れの里のマーク、手裏剣、ナルトのシルエットが隠れている。
逆に、本作の最終話となる第700話では、とある場面で麦わらの一味のマークが登場している。
また本作はプロ将棋界にリアルな影響も与えたことで知られている。本作の劇中、シカマルがアスマや父・シカクと将棋を指しているシーンが有るのだが、それを見たポーランド人の少女が興味を持ち、インターネット将棋で腕を磨き、本家日本のプロに見出され、2017年に史上初の外国人女流棋士となった。彼女の名はカロリーナ・ステチェンスカ。今後の活躍に期待されるところである。
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