「かつて、デジタルワールドを救った十闘士の伝説が」
「今、甦る…」(by冒頭ナレーション)
概要
アニメ『デジモンシリーズ』の4作目。
以前の3作品とは異なりパートナーデジモンはおらず、子供たち自身がデジモンに変身をするという『スーパー戦隊シリーズ』の要素を取り入れた斬新な内容となっている。人間の合体は前作でも見られた。ファンの間では、略して「風呂」などと呼ばれたりする。
シリーズでは唯一となる和田光司がOP・ED・挿入歌を歌った作品でもある(後期挿入歌のみ異なる他、EDはAiMとのデュエット)。
物語の内容はデジモンアドベンチャーに立ち返った冒険ものであり、悩みを越えて成長し進化する。主人公が一旦家に帰るなど、初代のキモは抑えている。また、グレイモンやガルルモンの名を冠する進化が存在するなど、非常に初代寄りに作られた作品である。
評価・功績
パートナーデジモンがいないというデジモンシリーズの根底を否定する要素は旧来のデジモンファンから大きな反発を受けてしまった。そもそも前作から続く視聴率低迷やグッズの売り上げ不調も重なり、終始苦しい状況に見舞われていた。
また、物語上も主人公達がとにかく敗北と撤退を繰り返す展開は良くも悪くもネタにされやすい。ソフトや配信では2時間程度で見られる長さながら、放送当時は最悪1ヶ月間まるまるすっきり勝利する回がないという、視聴している子供からすればかなりフラストレーションの溜まる展開も目立った。
よって挿入歌として評価の高い「The last element」は負けフラグBGMとして名を馳せた(勿論格好良く勝利する際にも使用されている)。
こうした状況から劇場版に至っては東映アニメフェア自体が低迷期にあったとはいえ、公開初日でガラ空きという無惨な事態にまで発展した。
これに加えて和田光司が本作以降活動を休止するなど、様々な状況を受けてスタッフはデジモンのアニメシリーズの放送を休止し、次作『デジモンセイバーズ』まで約3年間の充電期間を得る結果となった。
とはいえこれらが一概に批判を受けていたわけではない。負けを繰り返すからこそ憎き宿敵を倒す場面の爽快感が生まれたりするのは一つの見所となっている。また、「それぞれの大きな欠点を認知し、克服していく子供達の成長を描く」という観点では、シリーズ随一に力を入れている作品である。序盤ではまるで良い印象のない柴山純平が、後半では一転して好印象になる点が顕著と言えるだろう。
また、ヒーローものの変身シーンとシリーズ特有の進化シーンを上手く融合させた非常に凝った進化バンクなどは評価が高い。
時代の変化に伴い当時から本作を好んでいたファンや、再視聴により見方を改める後発視聴者もおり、Blu-ray化されるなどかつてに比べればその独自性の強い作劇は受け入れられるようになった。
が、ハイブリッド体を始めとする本作特有の設定面がゲームシリーズとの相性が悪く、そちらへの出演はかなり控えめ(逆に古代の十闘士は出番が多い)。
フィギュアなど大人向け玩具展開もされていないなど、シリーズにおいては本作以降のデジモン作品と同様に不遇な扱いを受けている。
その他
なお、デジモン4部作で劇伴音楽を担当していた有澤孝紀は、デジモンフロンティア放送後の2年後となる2005年11月26日に病死したため、有澤が担当したデジモンの劇伴音楽はこれが最後となる。
時代設定については過去3作品とは異なり、公式から特に明言・設定されてはいない(そもそも本作の舞台はほとんどデジタルワールドであるため、人間世界の描写がかなり少ない)。
しかし街の風景などはリアルタイム放送年である2002年当時とかなり似通っているため、おそらく2002年前後と考えるのが自然だろう。
(※ちなみに2002年は2作目『デジモンアドベンチャー02』の劇中で描かれた出来事が起きた年でもある)
近年は、徐々にではあるが他アニメシリーズやゲームシリーズへの出演が増えてきている。
ストーリー
主人公・神原拓也は謎の携帯メールの指示に従い、渋谷駅の地下へ向かった。地下には巨大ステーションが存在しており、拓也はそこから未知の世界、デジタルワールドへ辿り着く。
キャラクター一覧
その他デジモン
悪の五闘士
属性 | ヒューマン形態 | ビースト形態 | 十闘士 |
---|---|---|---|
土 | グロットモン | ギガスモン | エンシェントボルケーモン |
木 | アルボルモン | ペタルドラモン | エンシェントトロイアモン |
水 | ラーナモン | カルマーラモン | エンシェントマーメイモン |
鋼 | メルキューレモン | セフィロトモン | エンシェントワイズモン |
闇 | ダスクモン | ベルグモン | エンシェントスフィンクモン |
三大天使
ルーチェモン&ロイヤルナイツ
トレイルモン
主題歌
オープニングテーマ
- 「FIRE!!」
作詞:山田ひろし/作曲・編曲:太田美知彦/歌:和田光司
エンディングテーマ
- 「イノセント〜無邪気なままで〜」(1話〜26話)
作詞:松木悠/作曲:千綿偉功/編曲:渡部チェル/歌:和田光司
- 「an Endless tale」(27-50話)
作詞:山田ひろし/作曲・編曲:太田美知彦/歌:和田光司&AiM
挿入歌
- 「With the Will」
作詞:大森祥子/作曲・編曲:渡部チェル/歌:和田光司
作詞:山田ひろし /作曲・編曲:渡部チェル/歌:アユミ
- 「Say,yes!~友樹のテーマ~」(7話)
作詞:大森祥子/作曲・編曲:高橋ひろ/歌:氷見友(渡辺久美子)
- 「サラマンダー~拓也のテーマ~」(18話)
作詞:山田ひろし/作曲・編曲:太田美知彦/歌:神原拓也(竹内順子)
- 「レクイエム」(28話)
作曲:有澤孝紀/歌:東京少年少女合唱隊
- 「折れた翼で-With Broken Wings-~輝一のテーマ~」(30・33・36話)
作詞:halta/作曲・編曲:halta/歌:木村輝一(鈴村健一)
- 「Blader~ダスクモンのテーマ~」(33話)
作詞:山田ひろし/作曲・編曲:太田美知彦/歌:ダスクモン(鈴村健一)
- 「遥かな贈りもの」(50話)
作詞:大森祥子/作曲:千綿偉功/編曲:渡部チェル/歌:和田光司&AiM
各話リスト
話数 | サブタイトル |
---|---|
第1話 | 伝説の闘士! 炎のアグニモン |
第2話 | 光のヴォルフモン 地下迷宮の戦い! |
第3話 | いじめは許さない! 氷のチャックモン進化 |
第4話 | 私のキックは痛いわよ! 女闘士フェアリモン |
第5話 | 大地を揺るがす雷パワー ブリッツモン! |
第6話 | 伝説の五闘士VS新たなる闘士! |
第7話 | 空に浮かぶ街! トイアグモンのおもちゃの国 |
第8話 | みんなを救え! 進化するんだツノモン |
第9話 | 敵はチャックモン!? 謎のテレビの森 |
第10話 | ビーストスピリットは制御不能!? ガルムモン進化! |
第11話 | 俺を倒せ! 伝説の闘士ヴリトラモン暴走 |
第12話 | ほえろヴリトラモン! 倒せギガスモン! |
第13話 | 目覚めよセラフィモン! 十闘士の秘密 |
第14話 | 雷よ! 岩をも砕け! ボルグモン決死のチャレンジ |
第15話 | イカしたビースト進化! カルマーラモン |
第16話 | 強いだけじゃだめなのよ! 美しき闘士シューツモン |
第17話 | ブリザーモン 吹けよ雪、呼べよ氷河! |
第18話 | チキチキ! トレイルモン猛レース |
第19話 | バーガモンを救え! 友樹のピュアな心 |
第20話 | 闇にひそむ謎の闘士ダスクモン! |
第21話 | 五闘士全滅!? 恐るべき闇のパワー! |
第22話 | 我が家へ! 拓也たった一人の帰還 |
第23話 | 感じろデジモンの力! 拓也渾身の作戦 |
第24話 | 対決ボルケーモン! 純平、過去との激闘 |
第25話 | 友樹の孤独な戦い アシュラモンの罠 |
第26話 | ラーナモンの執念! 女デジモン一騎撃ち |
第27話 | 奇跡のダブルスピリット! ベオウルフモン誕生 |
第28話 | 拓也の融合進化 アルダモン技炸裂! |
第29話 | 逃走! 変幻自在セフィロトモン |
第30話 | 飛翔! 闇の闘士ベルグモン |
第31話 | 闇に眠るトレイルモンの墓場 |
第32話 | 明かされた過去! ダスクモンの秘密 |
第33話 | 新たなる闇の闘士! レーベモン&カイザーレオモン |
第34話 | 決戦! バラの明星 オファニモン救出作戦 |
第35話 | スピリットを一つに! 拓也と輝二の究極進化 |
第36話 | 勝利への飛翔! 対決ケルビモンの城 |
第37話 | 決戦! 命ある限り デジタルワールドを取り戻せ |
第38話 | 終わらない死闘! ルーチェモン復活の序曲 |
第39話 | これがデジタルワールド!? 月からの脱出 |
第40話 | 選ばれし者!? エンジェモンを操る少年! |
第41話 | スキャンさせるな! 友情の豆の木 |
第42話 | デジタマを守れ! 消えゆく命の奇跡 |
第43話 | 故郷(ふるさと)消滅! 地獄の使者スカルサタモン |
第44話 | 共に戦え! ゴツモンと輝二の誓い |
第45話 | データかく乱作戦! アキバマーケットを防衛せよ |
第46話 | デジタルワールド消滅!? ルーチェモン暗黒支配 |
第47話 | ロイヤルナイツ散る そして…!! |
第48話 | 光と闇を一つに! 輝一最後の願い |
第49話 | 戦えスサノオモン ルーチェモン人間界到達!! |
第50話 | 時を越えて! 新たな伝説の始まり |
余談
- 古代の十闘士は実質的に設定のみの存在であり、そのうちの二体であるエンシェントグレイモンとエンシェントガルルモンが登場し、そのほかの個体はシルエットのみでの登場となっている。
- 本作固有のカテゴライズとして人型デジモンを指す「ヒューマンデジモン」と獣型デジモンを指す「ビーストデジモン」という呼称が存在する。
- 実は歴代のシリーズの中でも屈指のデジモンの登場数を誇る作品であり、歴代デジモンがモブとして登場する。
関連動画
関連タグ
デジモン四部作 - 「デジモンアドベンチャー」からから本作までの4作を指す通称
ディースキャナ / Dスキャナ 伝説の十闘士 スピリットエボリューション ビースト進化
他作品
スマイルプリキュア!:10年後に放送されていた東映アニメ。メンバーが5人いて、しかも属性が同じである。
動物戦隊ジュウオウジャー:14年後に放送されたスーパー戦隊でいずれも動物がモチーフであることが共通点。また、ビースト進化とよく似た野生解放という機能を持つ。
爆竜戦隊アバレンジャー:1年後に放送されたスーパー戦隊。こちらもアバレモードというビースト進化と類似した機能を持っている。また本作の超越形態と同じく、主人公級のキャラクターには特別な上位形態が与えられている一方、その姿に変身(進化)している間は仲間たちが変身(進化)できなくなる点(ただし、あちらは後にそのデメリットが解消されている)も本作と共通している。
ポケットモンスターReBURST:同じく人間がモンスターに進化するというコンセプトを持つ。
他言語表記