ふたりはプリキュア!
聖なる泉を汚す者よ!
あこぎな真似はお止めなさい!
概要
2006年2月5日から2007年1月28日まで、東映アニメーションと朝日放送が制作しテレビ朝日系列で放送された、プリキュアシリーズの通算3作目となるTVアニメ作品。全49話。
日向咲と美翔舞のふたりの少女が伝説の戦士プリキュアとなって、世界を滅ぼそうとする悪の組織ダークフォールと戦っていく。
前二作(『ふたりはプリキュア』『ふたりはプリキュアMaxHeart』)とは全く繋がりがない世界を舞台にしており、主人公を含めた登場人物も一新されている。
プリキュアシリーズで初めて主人公交代を行った作品であるため、放映当時は賛否両論であった。
このことは当時の作品評価にも影を落としていたが、主人公交代制が根付いた現在では再評価されてきている。
また、本作で培われたいくつかの出来事は後のプリキュアシリーズ作品でも継承が続けられている(後述)。
2023年6月20日、キボウノチカラ〜オトナプリキュア‘23〜に咲と舞が出演することが発表された。
プリキュア5シリーズの続編と発表されていたため登場が決まったことで話題となった。その為、同作品もプリキュア5シリーズとHUGっと!プリキュアと同じ世界観に加わった。(はぐプリの第36話で薬師寺さあや(キュアアンジュ)が春日野うらら(キュアレモネード)の事を知っていた為。但し同一世界観が舞台の3作品の中では唯一キャラクターデザイナーが川村敏江では無い。)
※Pixivでは正式名称のままだとタグが長くなるためなのか、簡略化された名称が多用されている
スタッフ
彼の管理下の元で他のスタッフが集められているので、前年までとスタッフの多くは継続している。キャラクターデザインは稲上晃が続投、音楽も佐藤直紀が続投している。
しかし、シリーズディレクター(SD)は西尾大介から小村敏明に交代となった。(交代の理由は前二作でのハードワークから西尾の疲弊が限界に達していたため)
小村は過去二作のプリキュアシリーズにも参加しており、それ以前にも鷲尾や西尾と現場を同じにしていたので、鷲尾からすれば人となりをよく知っており西尾氏の意を汲むことが出来る能力と、シリーズの後を託せる信頼があったのだと思われる。
SDの交代によって本作はいい意味で前二作とは異なる作風になったが、鷲尾は現場的に西尾大介がいない状態に各々が不安感を持っている事を感じていたとも語っている。
また、初代時代のアクションを印象付けた実質的なメインアニメーターである冨田与四一や山田起生(本作のOPの1カットやスパイラルスタースプラッシュは担当している)、シリーズ構成の川崎良らが降板している。
シリーズ構成は当初は長津靖子が担当した。長津はこれがプリキュアシリーズ初参加であったが、14話からはこれまでのプリキュアシリーズでいくつもの脚本を担った成田良美へ交代された。交代の理由は明かされていない。
後年でのアニメージュ雑(2014年04月号)のインタビューで成田が「キャラを作り込んだのは長津晴子さんのお仕事ですね」と語っていることから、成田はキャラ設定などに直接関わっていなかったようであるが、キャラの印象などが大きく変わることはなかった。
内容
プリキュアシリーズで作品タイトルに『ふたりはプリキュア』がついたのはこれが最後であり、本作はふたりはプリキュアシリーズ最終作品である。
これより後の作品ではプリキュアの数は「ふたり」ではなくなった(初期は2人という場合はあっても、後々にプリキュア追加戦士が加入して3人以上になる作品となった)なお、これに関して満と薫の存在を挙げるファンがいるが、彼女らはプリキュアとしてはカウントされない別枠の戦闘要員(=プリキュア側に味方している第三勢力。シャイニールミナスもミルキィローズも、本来はコレ)という扱いである。但し2人同時の変身は後にスイートプリキュア北条響と南野奏、魔法つかいプリキュア!朝日奈みらいと十六夜リコでも起きる。
前年度の『MaxHeart』後半から落ち込んできた関連玩具の商業数値を回復させるという使命を背負って発進した本作であるが、その点については結果的には芳しくない結果に終わっている。(詳細は余談の節を参照)
ガンダムシリーズにおける機動新世紀ガンダムXよろしく、商業数値的な失敗からネガティブなイメージを背負いがちの作品とされている。
しかし、同作と同じく一度ついたファンはがっちり離さない魅力を持つアニメでもある。
序盤から中盤は前作と同様に、プリキュアとなった主人公二人の絆や、その家族、友人たちとの交流を描いている。しかしながら、後半からはストーリーが急展開し、それまで敵だったキャラが味方に、更には実質的なプリキュアになったり、ラスボスが意外なキャラだったりと見逃せない展開が続く。
敵キャラクター達がみな個性的で、キャラソンも作られたり(しかも妙な中毒性がある)と人気も高かった。
地方局などでは度々再放送されており、また大抵のレンタルショップでDVDを全巻揃えているはずなので、作品をよく知らない人は機会を見つけて観てみると良いだろう。
現在第1話が東映アニメーション創立60周年公式YouTubeチャンネルで無料公開されているのでそこから入るのもおすすめ。
さらに述べれば、咲と舞の声優である樹元オリエと榎本温子、主題歌を歌う五條真由美とうちやえゆかの4人がメインとなって定期開催している「SUPER☆TEUCHI☆LIVE」は、会場を埋め尽くすほどのプリキュアファンで溢れかえる。DVD-BOXも2012年に発売され、特に後編となるVol2は、週間オリコンアニメチャート1位を飾るなど、そのファンの根強さは語り草である。
なお、本作は前シリーズ同様に、上北ふたごによりアニメ版と劇場版がそれぞれ漫画化されている。(上北ふたごは本シリーズに思い入れが強いようで他シリーズのコミカライズでもモブに咲・舞・満・薫・みのりをこっそり紛れ込ませていたりする。)
テーマ・特徴
登場人物から物語の舞台まで全てが一新されているが、バディであるという点を引き継いでいる。
一方で本作の企画においては鷲尾によって、女児向けに不馴れな中で作られた前作の反省点を活かす目的から「本気で小さな女の子たちとその家庭の『ために』送り出す、かわいくて美しいプリキュア」という方針が取られた。
特に戦闘シーンは様変わりし「女の子らしい華やかさ」が重視されるようになった。
前2作は戦闘アクションについては女児向けアニメらしい華やかさのようなものは完全に捨てられていて、西尾大介の手腕により少年向けバトルアニメの手法から独自のアクションに昇華されている。
初代(およびMH)を「かっこいいプリキュア」のオリジンとするなら、このS☆Sは「かわいいプリキュア」ならびに「美しいプリキュア」のオリジンと言える。
敵を殴ったり蹴ったりするアグレッシブな描写はあえて抑えられ、敵の攻撃を避けたりいなしたりするアクションでカッコ良く魅せる方法論が重視された。
攻撃時は精霊のエネルギー波を放って戦うので前2作のような肉弾戦とは異なる異能バトルが主体となり、一方でエネルギーの粒子がクッションとなることでプリキュアたちへの痛々しいダメ-ジ描写は格段に減った。
プリキュアたちが動くたびに精霊の光が残像として軌跡を描く様子は、視聴者に鮮烈な美しさを印象づける。本作のアクション演出はその特殊性ゆえに後発作品に受け継がれることはなかったが、華やかさ重視というコンセプトは後のプリキュアシリーズにも根底の要素として引き継がれるようになる。
しかしテコ入れもあってのことか、中盤になるに連れて普通にステゴロな肉弾戦をしてるシーンも増えていった。
特に終盤は「ドラゴンボールの再来」と称される戦闘となり、規模も規格外。これは新人演出である大塚隆史の手によって、ドラゴンボールZ31話とふたりはプリキュアMaxHeart47話といった西尾大介演出のオマージュがなされた事が大きい。
なお咲はブルームとブライト、舞はイーグレットとウィンディ、として一人で二つのプリキュアの名前と姿を持っている、歴代唯一のプリキュアチームである(詳細は各プリキュアの個別項目を参照)。
これは咲と舞が「属性転換によってパワーアップではない異なる同位の姿に再変身ができるプリキュア」である事を意味しており、ファンによっては彼女らを「フォームチェンジプリキュアの元祖」と見なす向きもある。ただし二段変身としてのフォームチェンジを行ったのはオールスターズシリーズだけで、TV本編では戦いが一段落する(変身を解く)まで、「最初に変身した形態からもう一方の形態に変化出来る」という、いわゆる平成ライダー的なフォームチェンジ演出はなかった。
モチーフ
自然物や自然現象が世界観の基礎となっており、プリキュア戦士たちも花鳥風月をモチーフとした力を用いて戦うほか、敵勢力の設定も五行説がモチーフとなっている。
監督は自然の美しさの表現にかなりこだわったため、景色の描写がシリーズの中でもかなり濃密かつ美麗に作られている。
舞台となる海原市は、江ノ島を思わせる海岸線や路面電車が登場するなど、プリキュアシリーズ他作品に比べると町並みの素材となった描写の明確なものが多く見られる(スタッフは実際江ノ島に行ってロケハンを行ったらしい)。
あらすじ
海原市立夕凪中学校に通う日向咲はもうすぐ2年生に進級する女子中学生。
ある春休みの部活動の帰り道、咲はトネリコの森の大空の大樹で1人の少女と知り合う。そんな2人の前に泉の郷から来た花の精霊(妖精)フラッピと鳥の精霊チョッピが現れ、咲と少女は5年前の夏祭りで知り合ったことを知る。
更にダークフォールの5人の幹部の一人カレハーンが現れて、咲と少女は2体の精霊に促されて、プリキュアに変身してカレハーンの召喚した怪物ウザイナーを浄化すると、怪物は2匹以外の精霊と泉の郷の秘宝奇跡の雫と分離する。
そして新学期。咲のクラスに転校生が来て、先日出会った少女こそが今年転校してきた美翔舞だった。
フラッピとチョッピは泉の郷でダークフォールに襲われて、世界樹を支える七つの泉の内の6つを荒らされた上にその源の奇跡の雫を奪われてしまい、それを取り戻すためにプリキュアを探しに緑の郷(人間界)を訪れたことを話し、舞と咲は戦うことを決意するが、奇跡の雫は取り返す度に力が増して、フラッピ達でもどうにもならないために、フェアリー・キャラフェを探しだすことにした。そして突然襲い掛かってきたカレハーンを撃破して、7つの奇跡の雫が揃うとフェアリー・キャラフェを手に入れて、それで『木の泉』へ飛んで、泉を元に戻し、泉の郷の王女・フィーリア王女と再会するが、彼女の力は完全に不完全だった。元の世界に帰還した咲と舞は改めて戦いを決意するのだった。
登場人物
プリキュア
作中のプリキュアに一人っ子キュアがいないというのは2021年現在でも本作が唯一(2人組チームという人数の少なさもあるが)
日向咲 / キュアブルーム / キュアブライト(声:樹元オリエ)
美翔舞 / キュアイーグレット / キュアウィンディ(声:榎本温子)
精霊たち・協力者
霧生満 / 満・月フォーム(48話、49話)(声:渕崎ゆり子)
霧生薫 / 薫・風フォーム(48話、49話)(声:今井由香→岡村明美(20話以降))
咲・舞の家族
夕凪中学校
岡井(声:伊藤静)
その他
ダークフォール
ウザイナー(声:渡辺英雄)
放送リスト
備考・関連タグなどは自由に記入してください。
話 | サブタイトル | 備考・関連タグなど | 放送日程 |
---|---|---|---|
1 | おっどろきの再会!ふたりは何者なの!? | 咲&舞初変身/早くも伝統芸重量挙げ/咲と舞の幼女時代 | 2月5日 |
2 | パンパカ歓迎会は嵐の予感! | 「俺はカレハーン、カレっちと呼んでくれ」/時候の挨拶「絶対に許さない」初登場 | 2月12日 |
3 | 真っ向勝負! 君こそエースだ!! | ソフトボールの対抗試合/舞の観察眼披露 | 2月19日 |
4 | うっそー!? 春の景色とセミの声 | 恒例行事農作業回/フラッピとチョッピのレーダー初使用/舞が美術部に入ることに決める/プリキュアシリーズ通算100話 | 2月26日 |
5 | 健太どうする!? 咲と素敵なお兄さん! | 咲が和也を意識し始める/「絶対に許さない」 | 3月5日 |
6 | やっぱ最高! イケてるお父さん!! | 咲と舞の家族回 | 3月12日 |
7 | 超マジ!怒りのカレハーン! | カレハーン退場/フェアリーキャラフェ登場/木の泉復活 | 3月19日 |
8 | 大好き! みのりと二人のお姉ちゃん | モエルンバ登場/咲と舞がケンカ/気持ちが揃っていないと精霊の力が落ちることが判明 | 3月26日 |
9 | 朗読会を邪魔しちゃダメ! | 安藤加代、宮迫学初登場 | 4月2日 |
10 | ちょいヤバ? 海の上は大騒ぎ | 健太の家族回 | 4月9日 |
11 | ふらふらフラッピ大ピンチ! | フラッピがケツに注射刺されてヘブン状態/「絶対に許さない」 | 4月16日 |
12 | チョッピはチョピっとホームシック? | チョッピメイン回 | 4月23日 |
13 | 熱すぎ!モエルンバダンス! | モエルンバ退場/火の泉復活 | 4月30日 |
14 | 謎の転校生!満と薫がやってきた | ドロドロン初登場/霧生満&薫初登場 | 5月7日 |
15 | ソフトボールは親子の絆 | 母の日回/幼女時代の咲/咲がソフトボールを好きになった理由が判明 | 5月14日 |
16 | 夢と希望と健太の悩み! | 健太回 | 5月21日 |
17 | 壊れた埴輪!どうする舞とお母さん | チョッピそっくりの埴輪 | 5月28日 |
18 | 本日特売!満と薫がお手伝い!? | お手伝い、プリキュアを助ける/薫ロリ疑惑 | 6月4日 |
19 | 大切なものは何?咲と舞の願い事 | チャーム・ペンケース登場 | 6月11日 |
20 | 雨に唄えばドロドロン! | ドロドロン退場/土の泉復活/フィーリア王女が初めて喋る(ただしこちらの声は届かない) | 6月25日 |
21 | 夜空に輝け! 星の光の仲間たち | 舞が満と薫の正体に気づく | 7月2日 |
22 | 超オドロキ! 満と薫の衝撃告白!! | 満と薫が正体を明かしプリキュアと対決 | 7月9日 |
23 | ついに対決!驚異のアクダイカーン | プリキュアがダークフォールに/満と薫退場 | 7月16日 |
24 | ムープとフープ登場!って誰? | ムープ&フープ初登場/空の泉復活/フィーリア王女と双方向の会話が可能にムープとフープ、ミズ・シタターレ登場/スパイラルリング登場/プリキュア・スパイラルハート・スプラッシュ初使用 | 7月23日 |
25 | 商売繁盛!海の家のお手伝い | ミズ・シタターレがかき氷の売上をムキになって張り合う/優子が女子力の高さを発揮/ミズ・シタターレが満と薫の事について口を滑らせる | 7月30日 |
26 | 咲には内緒!ドッキドキの夏合宿! | 咲の誕生日 | 8月6日 |
27 | みんな大好き!思い出の夏祭り | ミズ・シタターレとゴーヤーンがお祭をエンジョイ | 8月13日 |
28 | 旅だ!電車だ!大冒険! | 咲と舞がふたりで旅行 | 8月20日 |
29 | フラッピチョッピ絶体絶命! | 「絶対に許さないラピ」/「お腹パンパンラピ」 | 8月27日 |
30 | 驚異の力!プリキュア大変身!! | フラッピとチョッピがクリスタルコミューンに/キュアブライト・キュアウインディ初登場 | 9月3日 |
31 | マジ決まり?健太の相方は誰!? | 宮迫学が健太の相方に/OP、ED・アイキャッチが変更 | 9月10日 |
32 | 難しすぎ!ミズ・シタターレの宿題 | ミズ・シタターレ退場 | 9月17日 |
33 | 筋肉全開キントレスキー現る! | キントレスキー登場/水の泉復活/コロネが来た経緯 | 9月24日 |
34 | お月見会はロマンスの香り | 美翔和也が牛乳を愛飲する理由が判明 | 10月1日 |
35 | いざ決勝!ファイトだ凪中ソフト部! | ソフトボール決勝戦 | 10月8日 |
36 | 何作る?舞の悩みと文化祭 | キントレスキーの申し訳程度の作戦 | 10月15日 |
37 | みんな仲間だ!明日にジャンプ! | 文化祭健太初ステージ | 10月22日 |
38 | アイドル誕生 日向咲!ってマジ!? | 咲アイドルデビュー騒動 | 10月29日 |
39 | 珍獣ミミンガ大騒動!? | 精霊が奈良時代から来ていた/舞変顔/スペシャルマッスルトレーニングルーム略して「私の部屋」にようこそ/本物のミミンガ登場 | 11月12日 |
40 | うるさ~い!キントレスキーと誕生日 | 舞誕生日/舞幼女時代/舞が絵を描くのが大好きになった理由が判明/キントレスキー退場 | 11月19日 |
41 | 王女が危ない!奪われたキャラフェ!! | フェアリーキャラフェが奪われる/カレハーン・モエルンバ復活 | 11月26日 |
42 | お帰りなさい! 満と薫!! | ドロドロン復活/カレハーンとコンビを組んで出撃/カレハーン退場/満と薫復活 | 12月3日 |
43 | 夢じゃない! みんなのいる一日 | キントレスキー復活/モエルンバとコンビを組んで出撃/キントレスキーのオラオララッシュ/モエルンバ退場 | 12月10日 |
44 | 二人が消える? 苦しみの満と薫 | ミズ・シタターレ復活/ドロドロン退場/満と薫はダークフォールの滅びの力に影響があると消滅することが判明 | 12月17日 |
45 | ケーキと和也とクリスマス! | クリスマス回/サンタコス/ミズ・シタターレ・キントレスキー退場 | 12月24日 |
46 | 反撃! アクダイカーン驚異の力 | プリキュアと満と薫がアクダイカーンと対決 | 2007年1月7日 |
47 | 大逆転!? 黒幕って誰のこと? | ゴーヤーンが真の姿を表す/アクダイカーン退場 | 1月14日 |
48 | 最終決戦! 奪われた緑の郷! | 太陽の泉の在処が判明/霧生満&薫が特別変身 | 1月21日 |
49 | 絶好調なり!永遠の星空の仲間たち! | 最終回/ゴーヤーンとの戦いに決着/後日談エンディング/エンドカードが次回作に | 1月28日 |
主題歌
オープニングテーマ
作詞:青木久美子 / 作曲:小杉保夫 / 編曲:家原正樹 / 歌:うちやえゆか with Splash Stars
エンディングテーマ
「「笑うが勝ち!」でGO!」(第1話 - 第30話)
作詞:青木久美子 / 作曲:高取ヒデアキ / 編曲:家原正樹 / 歌:五條真由美
「ガンバランスdeダンス」(第31話 - 第49話)
作詞:青木久美子 / 作曲:小杉保夫 / 編曲:家原正樹 / 歌:五條真由美 with フラッピ&チョッピーズ
劇場用映画
「ふたりはプリキュアSplash☆Star チクタク危機一髪!」(2006年12月9日公開)
漫画
本編単行本の発刊は1巻で途切れてしまい、長らく連載の前半しか収録されていなかった状態が続いた。後年プリキュア10周年として企画発刊された「プリキュアコレクション」で2巻構成として刊行されており、その2巻目に後半部分が収録された。
映画版もコミカライズされており、細かい補完がなされている(作者はもちろん上北ふたご)。
他作品とのコラボ・パロディ
クレヨンしんちゃんとエンドカードでコラボしたり、ガンバランスdeダンスを着ぐるみの野原しんのすけ・ブルーム・イーグレットで踊ったことがある。そして18年後、ある意味これが実現を果たした*。*
アニメ銀魂第50話「節目節目に気合を入れ直せ」に登場した劇中劇では、なぜかふたりはプリキュアMaxHeartの強化形態としてお登勢がブルーム、キャサリンがイーグレットに変身していた。
アニメガタリズ第4話では本作の変身後の決め台詞を思わせるパロディがある(ちなみに脚本は本作も担当している山下憲一氏である)。
余談
キャラクターデザインについて
主人公の咲と舞が、前作の主人公の美墨なぎさと雪城ほのかに似ているといわれるが、キャラクターデザインの稲上晃が二人の妹をイメージした路線でデザインを進めたためである。
スポーティーな元気少女とおしとやかで上品な美少女のコンビというコンセプトも、なぎさとほのかのイメージをそのまま踏襲していると言える。
ただしなぎほのと違って咲舞は設定上明確な身長差はなく、また先代とキャラの性格としても被ってる部分はほとんどない。場合によってはむしろ先代とは正反対と言える部分さえ見受けられる。
幻の二期目
初代作『ふたりはプリキュア』は本来放送されるべきまともな女児向け作品が完成するまでの穴埋めとしてスタートしたことは有名であり、そのために長くても一年で完結することを前提に企画された。だが、人気によって急遽続編『ふたりはプリキュアMaxHeart』が作られることになり、綺麗に完結させた一年目をさらに続けさせることにスタッフは大変な苦労を負うことになった。
この反省から、『Splash☆Star』は最初から2年の放送スケジュールを想定して企画された。しかし皮肉なことに、関連玩具の売れ行きが想定外の不振となり、1年に短縮させることが放映開始からしばらくして決まってしまった。
当時の経済誌からは「メインキャラクターの刷新が裏目に出て」と揶揄された。ヒット作と言うのは何万本の内から生まれる一握りの逸材であり、その逸材の隣に位置付けられなければいけないというのは酷であると言える。売れ続けるにはそれ相応のマーケティング能力と強引なキャラクタービジネスで計算高く勝負する必要が出てきたという事だ。
二年目構想の断念については鷲尾プロデューサーもこれは断腸の思いだったという趣旨の事を語っており、スタッフやキャストに1年目で終了するということを伝えるまで時間がかかったという。
なお、後半から登場するもうひとつの変身フォームであるキュアブライトとキュアウィンディについては、二年目を想定して考案されたものだが、上記の理由により登場させることとなり、「1年の放送の間で変身アイテムがパワーアップして別物になり、商品展開される」という異例の措置が取られた。
後にキュアムーンライトやキュアフォーチュンが、変身アイテムを変えて再変身という流れを持つプリキュアになったが、本作のように両方で商品化はされてはいないので正に特別措置であった。また後に魔法つかいプリキュアでもキュアミラクルとキュアマジカルがキュアブルーム(キュアブライト)とキュアイーグレット(キュアウィンディ)に似たような変身フォーム変化を持つプリキュアで話題になった。
物語自体はシリーズ構成を長津晴子から成田良美に変更し物語が大幅に変更されたこともあり、1年で不可分なく完結している。
『Splash☆Star』の2年目がなくなったことで代替作をどうするかについてはプリキュアシリーズ自体を一旦終わらせる選択肢もあったのだが、スケジュール的に全く新しいアニメを準備する余裕がすでになかったようで「『Splash☆Star』の制作チームを継続させ、彼らにもう一度だけ新しいプリキュアを作ってもらって、とりあえずの間を持たせる」という決断がされた。こうして生まれたのが翌年の『Yes!プリキュア5』である。これで玩具販売実績を盛り返したため、プリキュアシリーズはその後も継続することになった。
プリキュア「シリーズ」へ至る一里塚として
初代作と一切の繋がりを廃し、なぎほのと全く無関係な2人のキャラを主人公にして「ふたりはプリキュア」と名乗らせた本作は、初代が好きだった視聴者からはかなり賛否両論であった。
実は制作側としても本当は、なぎほのをもう数年は主人公として継続させていきたいと考えており、世代交代するにしてもなぎほのが先輩として活躍することもあるような「初代と地続きの作品」にしようと考えていた(同じ東映で言えば『デジモンアドベンチャー02』が近いか)。
それがこのような一切合切初代と繋がりがないプリキュアとなったのは、のっぴきならない事情があったためである。
一因として、前二作を担当したシリーズディレクターの西尾大介の降板がある。西尾の降板はハードワークによる疲弊のためであるが、鷲尾プロデューサーは『ふたりはプリキュア』という作品はあらゆる面で西尾の作家性が強く押し出た作品であると感じており、西尾が育てたキュアブラック、キュアホワイト、シャイニールミナスというキャラクターは彼以外では魅力的に描ききれないと鷲尾は考えていたようである。なので、これから作る新作には「前作までのキャラは出さない」ということが早々に決定された。
そのような事情があいまって「前作とつながりがない、全く新しいプリキュア」を制作する決断がなされたのである。
前作と繋がりをなくすならプリキュアとは別の作品にした方がいいのではということももちろん意見として出てたのだが、2年続けてきたプリキュアというネームバリューを捨てるには惜しいということもあり、「ふたりはプリキュア」というタイトルは引き継ぐことになった。
また、今作の主人公たちである咲舞も妖精たちもどこか初代作と似た感じであり、キメ台詞も明らかに初代のオマージュであったりと、「初代のイメージ」を踏襲している部分が多々ある。このあたりは前作までの視聴者もすんなり入りやすいようにという配慮だったのだが、逆に中途半端とみなされることも多かった。前作までの視聴者からは賛否両論が多かったというのはこの部分が大きい。
そして満を持して放映された『ふたりはプリキュアSplash☆Star』だが、2004年から稼働して頭角をあらわしたセガのアーケードゲーム『オシャレ魔女ラブandベリー』(以下『ラブベリ』)を下すことはできなかった。それどころか『Splash☆Star』の放映時期はちょうど『ラブベリ』人気のピークの時期と重なってしまい、ライバルからはS☆Sと同じく「キラキラかわいい」土壌を狙った『きらりん☆レボリューション』が出された挙句、同じバンナム(バースデイ系列)からも『ふしぎ星の☆ふたご姫』の第2期まで出されて足を引っ張られ、女児コンテンツ市場そのものが戦国状態に陥り、結果として玩具販売実績はより低迷することになった。
さらにニチアサ枠のみで考えた場合、本作の同期は『轟轟戦隊ボウケンジャー』(1時間前)と『仮面ライダーカブト』(30分前)となる。この2作品は両方とも記念作品にあたり、その部分を強く意識した演出と商業戦略を取っており、メインターゲットである男児層のみならず女児層をも傍枠として取り込む戦略が練られていた。双方とも30作品(戦隊)、35周年(ライダー)というコンテンツの厚みを活かし、より広い層を取り込む戦略を取るなかで、この当時にはシリーズとして歴史の浅かった(ゆえにシリーズコンテンツとしての活用のノウハウが皆無だった)プリキュアが埋没してしまうのは「不可抗力」であった、とする意見もある。
しかも本作は「東映動画成立50周年記念時作品」ではあるが、なぜか記念作品としての役割は与えられず、ゆえにそのためのプロモーションもされなかった。同年の東映動画50周年プレスリリースで公式に「東映動画50周年記念作品」とされたのは『貧乏姉妹物語』と、カートゥーンネットワークとの国際的巨弾コラボ作品である『出ましたっ!パワパフガールズZ』(エグゼブティブプロデューサー:関弘美)である。
以上のような環境的かつ複合的な要因によって本作は玩具成績の低迷に拍車をかける事となり、結果的に「2年目キャンセル」の憂き目にあってしまう。
本作の前後の作品は2年目を作ることができているため、その間に挟まれた本作が1年で終わったことは、必要以上に不人気のレッテルを貼られやすい傾向がある。
ただし、この作品が登場した事によって始めて「プリキュアはキャラクターではなくブランドである」とするプリキュア「シリーズ」に至る基礎概念が登場したことは忘れてはいけないだろう。しかし、主人公の名前をタイトルにしていない初代の時点でその土壌があったという意見もある。そのようなタイトルの作品は女児作品でふたりはプリキュアが初だからである。
この作品では前年までのプリキュアの「激しすぎるバトル描写」を敬遠していた親子(ソース確認は出来ず)への配慮として、爽快なアクション演出を損なわずにバトルでの怖さを和らげる演出を模索するようになった。
この「爽快なバトルアクションを怖い感じでなく演出する」という演出方針は後のシリーズでも歴代を経て当代のプリキュアまで各作品における手法の独自性を模索する形での発展を続けながら受け継がれている。
よって「ダメージ描写をマイルドにしたから人気が低迷した」というような一部の言説は誤りといえる。一方で、作品の根幹を担っている上に演出力が頭抜けていた西尾大介の降板からどう立ち直るかと言う課題を持っていたのも事実である。
それでも本作は後半になるにつれ初代に近いステゴロバトルも取り入れるようになり、次作品の『5』では大分初代寄りに傾倒。実際『5』のラジオ番組ではそういったダイナミックな戦闘シーンも含めて子供と楽しみに見ていたというお便りも寄せられている。
スタッフ・キャストの思い入れ
一方で当時の鷲尾Pにとってみれば『S☆S』は紛れもなく(少女たちに向けた作品として)自身にとって最大の全力を尽くした傑作だったという自負があり、商業的な数値が出なかった歴然とした事実があってなお自ら「スタッフや声優さんたちは(『S☆S』で)素晴らしい仕事をしてくれた」と、のちのちまで言い切るほどの愛着ある作品であった。鷲尾P自身、後に『S☆S』の失速の原因を「作品の良し悪しではなく、作品に対する自らの商業判断が未熟で甘かったせいだ」としている。
その悔しさから鷲尾Pの本作に対する思い入れはとても深く、次作品の『5』においても前述の「キラキラ感を意識した戦闘演出」を筆頭に「ガンバランスdeダンスによるダンシングED」など、実は見えないところで本作の要素がいくつか継承されており、それらの要素は後の歴代プリキュアシリーズ作品へと現在まで受け継がれ続けている。
このためテウチライブを筆頭として本作関係者が関わるライブイベントには、鷲尾Pがしばしば顔を出していることが目撃されている。特にテウチライブ10周年時に発刊された記念冊子(ライブ限定販売の記念同人誌)には鷲尾P手ずから祝いのメッセージと本作に対する熱い思いと、それゆえの商業失策による強い無念と、だからこそ本作が作り上げた絆や思いをずっと大事にしてほしいという、ライブ主催者とファンに向けた、とても心篤いメッセージが寄せられた。
また、本作が縁となって発足されたテウチライブは2007年の初演から回数を重ね、2017年に10周年を迎えた。さらに令和のコロナ禍に至ってなおリモートライブが開催されるなど時代に合わせた進化を続けている。これは、もちろん主催者である本作主演の樹元オリエ・榎本温子両名と主題歌歌手であるうちやえゆか・五條真由美両名による本作への自負と思い入れが発端となって続けられている事であり、同時にこれを支持・尊重しているファンによる応援あっての事であるが、このような10周年を超えてなお維持される絆と支持を明確に目に見える形として披露する場を設けているのは、プリキュアの長きに亘っている歴史の中でも、この『S☆S』チームだけである。
また前述のように歴代漫画版の作画担当者もシリーズでは『S☆S』が一番のお気に入りであるかのような言動を見せている。
BGM
2013年にJASRAC賞の国際賞部門で8位に入賞した。
なお、本作の変身シーンのBGMは、同じ佐藤直紀が作曲した競輪のG3競走用選手入場曲「彗星」に似ているところがある。興味のある方は聞き比べてみては。
外部リンク
プリキュアポータルサイト『プリキュアガーデン』公式サイト 東映アニメーション
第1話公式動画
変身シーン公式動画
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ニチアサ同期作品:轟轟戦隊ボウケンジャー、仮面ライダーカブト
デリシャスパーティ♡プリキュア:次世代3番目のプリキュア作品。
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