データ
初登場作品:『ウルトラマンZ』第9話「未確認物質護送指令」(正式登場は第10話「宇宙海賊登場!」から)
概要
『ウルトラマンZ』第9話「未確認物質護送指令」、第10話「宇宙海賊登場!」、第16話「獅子の声」、第17話「ベリアロク」、第22話「それぞれの明日」に登場する宇宙人。
金と紫のボディカラーが特徴で、金色の箇所はアーマーに近い形状をしている。人間でいう口元の意匠もプレートアーマーの覗き穴によく似ている。渦巻き模様がトレードマークで、身体の至るところに意匠が確認できる。また、頭と背中からは一部金の部分が突出しているため、頭の意匠はウサギの耳・背中のものは蝶の翅のようにも見える。ちなみに、よく見ると人差し指と薬指だけ色が異なっている。顔には青く発光している丸い両目を持つ。なお、実際の口は額部分にあり、舌をマニピュレーターのように使って摂食する。
人間とは異なり卵生の種族で、星人は一度に1万個の卵を生み落とすため、第10話時点で登場した初代以外に母星にはあと9999人の弟がいるらしい。現実世界のタコやカエルのように大産卵の後も孵化まで子を守るタフな生態なのだろうか(そもそも宇宙人なので、恐ろしいことだが地球生物の常識が通じない可能性も…)。なお、オスメスの区別があるのかは不明で、雌雄同体の可能性もある。
「宇宙海賊」と渾名されており、他の星から奪った数多くの武器や兵器を所有している。第9話に登場したキングジョーもまた、彼らが奪った兵器の一つである模様(ボイスドラマで、ウルトラマンゼロが「ペダン星人からキングジョーを奪ったという噂もある」と語っている)。戦闘時には、自分の武器をその場に並べて得意げな仕草をしていた事から、自分の集めた武器にはそれなりに愛着を持っている様子が窺える。また、集める武器やお宝は個体によってまちまちであり、剣を主に集める者もいれば宇宙に散らばるお宝に感心を持つ者など、それぞれに彼らなりの好みが存在するようだ。
ボイスドラマでのゼロの発言に拠れば、種族総出で海賊稼業をしており、物量差と略奪した武器に手を焼かされたとのこと。
本編で断片的に描写された様子をみるかぎりでは、母星は赤黒い空の下、一面に荒涼とした風景の広がったかなり過酷な環境と思われる場所であり、他から略奪しないとまともに生きていくことができないという事情もあると思われる。子だくさんなのも、現実の生物にもいるように過酷な環境で少しでも子孫を残し生存率を上げるためと考えれば強ち不自然な話でもない。
後に登場する二代目により、略奪行為はバロッサ星の掟であることが語られた。
また、兄弟が多いこともあってか、非常に同族意識が強く執念深い性格の持ち主であり、長兄を殺された敵討ちを目論んで以降も度々その弟たちが地球にやってきてはウルトラマンゼットや地球人と死闘を繰り広げることとなる。
基本的には「バルバル」「バロッサ」という鳴き声のみを発し、地球語を話せない代わりに後述の能力で地球人と会話している(ゼットとの戦闘ではサーベルが建物に刺さり、思わず「抜けない!」と発言していたが、恐らく実際は宇宙語で発していた可能性が高い。メタ的に言えば、中の人のアドリブかもしれないが)。
ただし、後に現れた二代目・三代目は流暢に地球の日本語を喋るようになっており、わざわざ特殊能力を使わなくても地球人との意思疎通ができるようになっている(第17話監督の越知靖氏曰く「努力をした結果、日本語ペラペラになった」とのこと)。後に四代目が素直に通訳代わりとしてケダミャーと行動を共にしていたことも踏まえると、案外初代だけがプライド意識がおかしい方向に強かっただけかもしれない。
海賊宇宙人の肩書き通り、自身にとって価値のあるものを狙っているが、その行動・手段には一定のポリシーがある模様(後述)。
キングジョーを起動させようとした際には、再操作されないよう端末や電源を破壊する念の入れようも見せており、かなり周到な人物であることが窺える一方で、嘘にあっさり引っかかったり建物にサーベルが刺さって抜こうとするのに四苦八苦するなど結構ドジな一面もある。
戦闘能力
戦闘の際には、数々の星々から強奪した武器やアイテムをそのまま自身の武器として使用する。
その中には、過去のウルトラシリーズに登場した怪獣の一部を加工したアイテムや、使っていた武器も入っている。
初代が使っていた物
- サータンの毛で編んだ透明マント
- シャプレー星人の拳銃
- ダダのミクロ化機
- ジュダ・スペクターのバットキャリバー
- モルド・スペクターのバットアックス
- ガピヤ星人サデスのサデステイン
- メカザムのソードザンバー
- マグマ星人のマグマサーベル
- ババルウ星人のババルウスティック
- ザムシャーの星斬丸
- バット星人グラシエの剣
- ムルナウの手下が使っていた太刀
二代目が使っていた物
- キングジョーカスタムのぺダニウムランチャー
- ギルバリス(正確にはメツボロスの残骸)の腕
- ギャラクトロンMK2のギャラクトロンベイル
- キーラのキーラフラッシュ
- ジュランの種(後に四代目も使用)
- ベリアロク(一時的)
三代目が使っていた物
- ゴロサンダーのゴロン棒
- 地球のタピオカミルクティー
四代目が使っていた物
いずれの武器もウルトラ戦士を苦しめた強豪達の所有物である。一部、明らかに入手困難な代物まで混じっていたりするが、実際に彼らと戦って分捕ったものなのか、もしくは何らかの方法で彼らの遺品を入手したのか、はたまた形が似ているだけの贋作なのかは不明。
さらに出所が巨大な敵なのに等身大で使用している武器もあるが、これについては加工したのか物を巨大化させる技術があるのかで意見が分かれるが、三代目が巨大化の際に武器も巨大化したのでバロッサ星には物質の拡大縮小の技術が存在すると思われる(まあ略奪で生きてる彼らのことだから、その技術もどっかから掻っ攫ってきたブラックボックスなのかもしれないが)。
ただし、使い方を把握しているかどうかは怪しい所(マグマサーベルが建物に刺さった際には腕だけ抜けばいいのにサーベルごと必死で抜こうとしていた)であり、弾き飛ばされては別の武器に変えて反撃という戦法を繰り返す。そして状況が不利と見るや、相手に砂かけ攻撃や石を投げつけてけん制するといった卑怯な手段を使用する場合もある。
掌から催眠波を出す能力も持ち、相手の頭を掴む事で意のままに動かすことが出来る。頭を掴んだ相手の声帯を利用してその星の言語を使えない自分に代わって自分の意思を伝えさせたり、掌を顔の前に翳して自失状態にするなど応用の幅は広い。
これらを駆使し現地人を操って生体認証を突破したり通訳機代わりとして交渉に利用するだけでなく、透明化能力のあるサータンのマントでその場をやり過ごしたり、落ちていたギルバリスの手甲を即座に装着して戦闘に組み込んだりと、その場にあるもので臨機応変に立ち回るのが得意なタイプのようだ。
ちなみに初代は剣をわざわざ一本ずつ取り出しては地面にブッ刺すという手間のかかる工程を行なっていたが、二代目は必要に応じて武器を取り出すというスマートな方法になっている。
また、単独で巨大化する能力は無く、有事の際にはダダから強奪したらしいミクロ化光線銃やジュランの種を利用し巨大化する(本来巨大化能力を持たない宇宙人は過去のウルトラシリーズにも多数存在している)。 後にタピオカのような地球のデンプンを含む食べ物を摂取することで自らの細胞を活性化させて巨大化する生態も判明している(正確には三代目がその術を見出しただけらしいが)。
ダダのミクロ化光線については、かつてダダをオマージュしたギギが縮小光線銃を逆流させてクレバーゴンを巨大化させたことがあるため、おそらく同じ方法によるものだろう。
上記の通り、背中には蝶の翅のような突起があるがただの飾りではなく、二代目と四代目はそこから蝶に似た巨大な翅を広げて飛行する様子を見せている。
また四代目は手からウルトラサイコキネシスのような紫色のリング状の光線を発射する。
活躍
第9話
この時点ではまだ名前が明かされておらず(オープニングのスーツアクタークレジットには名前が記されている)、断片的に描写された腕のみ登場している。ウルトラメダルを「宇宙の秘宝」と呼んで狙っており、冒頭でキングジョーを操って怪獣研究センターを襲撃、ウルトラの父を含めた3枚のメダルを強奪した。
上述の能力を使い、怪獣研究センターの研究員を操って犯行声明を残している。
その際、地球人にウルトラメダルの引き渡しを要求し、要求を受け入れられない場合は実力行使に打って出ることを警告した。
一度はユカの発明とヘビクラの発案した陽動作戦で騙されかけるが、カブラギ・シンヤがウルトラメダルが入っている特殊ケースを開けたことで本物の場所を察知し、統先研(統合先進武器研究所)を襲撃する。
最終的に、ゼットと壮絶な戦いの末にキングジョーは大破、クリヤマ長官の意向もありストレイジに鹵獲されてしまうが、バロッサ星人自身は生存しており、キングジョーの奪還を成し遂げようと企んでいる。
第10話
キングジョーを奪還するため、ついに自ら行動を開始。キングジョーの回収にあたっていたイワブチ・ジュンペイを操り、声紋認証と虹彩認証を突破し、ストレイジの基地にまんまと侵入することに成功。
その後、AIに侵入を検知され、侵入者排除の命令を受けたハルキとヨウコと遭遇すると、ヨウコを操って自らの目的をハルキに語る。その際、人間を「下等動物の言語を話す声帯は持ち合わせていない」と、露骨に人間を見下す発言が見られた。
直後、ウルトラマンゼット・オリジナルと戦闘。サータンの毛で織った透明マントでゼットを怯ませた後、指令室に侵入する。
ヨウコを人質にキングジョーの返還を要求し、ユカにキングジョーを起動させ、さらに再操作出来ないようユカの端末を破壊する(この時、「言うことを聞かないと人質を殺す」と言われてヨウコが命乞いしているが、キングジョーが起動した瞬間に操られたヨウコが笑っていたり、後のシーンで負傷したヨウコ本人が自分の身を顧みない旨の発言をしていることから、この時の彼女の様子はバロッサ星人の一人芝居だったということがわかる)。
キングジョーの起動後、用済みとしてユカを殺害しようとするが、突如現れたジャグラスジャグラーに阻止され、彼と剣戟を繰り広げるが、逆にジャグラーに圧倒されてしまう。
その後、ハルキに落とされたキングジョーのメイン電源を再び起動させ、スイッチを破壊。格納庫に向かい、イナバや整備班の面々を負傷させる。しかし、イナバのハッタリ(※)にまんまと騙されて水(或いはお茶)をかけられ、そこをハルキに電極で電流を流されて感電(その際、ハルキは気づかなかったものの強奪した3枚のウルトラメダルを落としてしまう)、たまらず外に飛び出し、怒り狂ってそのままダダのミクロ化機を応用して巨大化する。
※自分の弁当箱をキングジョーの最終起動装置だと言って投げ捨てている。盗品なので内部構造を理解していなかったバロッサ星人だったからこそひっかかった嘘であり、これがペダン星人だったらハッタリだと気付かれていたことだろう。
今までに奪った武器を積まれた土砂の山に突き刺しまくった後、ガンマフューチャーと対峙。一つの武器を弾き飛ばされては次の武器を抜いて攻撃するも、その特殊能力を絡めた戦闘スタイルに圧倒されたため、ゼットに土砂や岩を投げつけるという姑息な手を使ってなんとか態勢を立て直し、今度はマグマ星人のサーベルを装着して攻撃するが、サーベルの先端が建物に突き刺さり抜けなくなるというコミカルな一面を見せる。
なお、この時に流れた曲はハチャトゥリアン作曲『剣の舞』。スタッフもおふざけ全開である。
その隙をゼットに攻撃されそうになるが、咄嗟に催眠攻撃をかけることでゼットの動きを封じ、ようやくサーベルを抜くと蹴りでゼットにマウントを取る。
だが、ヨウコによってウルトラメダルがゼットに渡り、ゼットライザーから出現した巨大な光剣に怯まされ、最後はM78流・竜巻閃光斬を受け、花火のごとく爆発四散した(ヨウコも綺麗だとみとれていた)。
最後に遺した言葉はゼット曰く「俺の弟たちがきっと仇を討つ」らしい。ハルキは「何人でもかかってこい」と強気だったが、直後にバロッサ星人は一度に卵を一万個産む、つまり弟があと9999人いるというとんでもない事実が明かされ、ハルキを驚愕させた。
その後、バロッサ星と思しき惑星のシーンが挿入され、そこには弟たちと思われる大量のバロッサ星人たちが「バロッサ!」と叫びながら蠢いている様子が映し出されていた…。
また、後の別個体から推測するにどうやら集める武器の趣向は個体によって様々らしく、初代がたまたま剣に対して異常な程執着していただけと思われる。
二代目
「兄者と同じ手は食わないぜぇ…ウルトラさんよ」
第10話で語られた9999人いる弟の個体の1体であり、第17話では「来たかウルトラマン、兄者の敵!」と叫んでいた。
先述の通り、初代とは打って変わって普通に地球語を喋ることが出来る上、饒舌になったことも相まって言動にかなり人間味が増している。
兄の敵討ちとベリアロクの奪取を目的としている。
劇中ではベリアロクの奪取に邁進していたが、(初代にあたる)兄に対しては幾許かの情もあったようで、ゼットを追いつめた際に「兄者の仇を打たせてもらう」と発言している。
活躍
第16話
巨大化した状態で背中から黄金の蝶の羽を生やした状態で上空から現れ、メツボロスを倒してホロボロスの魂を救った後のデルタライズクローを、右腕に装着したペダニウムランチャーで奇襲する。
第17話
ディズニー映画「ファンタジア」で有名な「禿山の一夜」をバックに乗せて地上に着地したはいいが、失敗して転倒して着地と同時に足腰を痛めるというあんまり格好つかない出オチをやらかし、ゼットも驚愕を露わにした。
すぐさま気を取り直し、「聞いて驚け!」の口上と共に自己紹介、直前に倒されたメツボロスのパーツであるギルバリスの左腕を装備、「派手にいくぜ!」と叫びながらデルタライズクロー形態のゼットと対決。
メツボロスとの戦いで疲弊していたこともあってデルタライズクローのゼットを追い詰め、ベリアロクを手に入れようとするが、ベリアロクから放たれた電撃にゼット共々吹き飛ばされる。
ベリアロクの「俺様を手にして、お前は何をする?」という問いかけに対して、「お前を使って、宇宙の全てを手に入れる!」と豪語しベリアロクを一時的に入手する形でファイナルブレイクを放ったが、ベリアロクに「お前の攻撃はつまらん」と早速飽きられて逃げられた上に、(時間切れで)ゼットにも逃げられる結果となった。
その後は小型化したベリアロクを追いかけるべく、自身も体を縮小して(彼らの場合は元々の大きさに戻っただけだが)剣を回収しようとし、追跡してきたハルキに対してはギャラクトロンMK2のギャラクトロンベイルを使用した。ジャグラーに興味を示したベリアロクに半ば適当な人材として使われ、「行くぜ行くぜ行くぜ!」と挑みかかるも流石に相手が蛇心剣の達人であることもあってかファイナルブレイクのエネルギーをそのまま新月斬波に逆利用されるなど、根本的な実力の差を見せつけられた。
邪魔なハルキとベリアロクを持ち去ったジャグラー達を全員一度に倒すべくジュランの種を食べて(この時は目と目の間にある渦巻きから触手のようなものを出して丸飲みしていた)巨大化、アルファエッジ形態のゼットと対決する。コレクションを見せつけておきながら大して剣の扱いが上手くなかった兄と異なり、地球に来てから初めて回収したギルバリスの碗部を用いてかつて兄を倒した技であるM78流・竜巻閃光斬を直接相殺するなど先代より実力は中々の物で、ゼットに「この前の奴よりウルトラ切れ味が良いぞ…!」と言わしめた。
ただし、実力は兄より上といっても本質的に狡いのは共通のようで、目から閃光を放つキーラフラッシュで目眩ましを行うなど先代と似て非なる汚さを持つ。その行動をゼットに「汚いですぞバロッサ星人!」と批判されても「勝負にキレイも汚いも無い」と開き直る場面も見せている(その直後に現れたウインダムの奇襲には「汚ねぇぞ!」とブーメラン発言をしているが)。
ウインダムのレーザーショットにもそこそこ怯んでいた辺り、弱くもないが決して強くもないという評価が正しいだろう。しかし防御力に関しては割と目を見張る物があり、蛇心剣やベリアロクによる斬撃を一回だが耐えたり、ウインダムの奥の手であるウインダムヨウコインパクトをモロに食らった際に「頭部を破壊するのは止めてくれ!!」と叫んだものの、頭が焦げる程度のダメージで済んでいた(この時、煙がまるでアフロヘアーのようになっていた)。
ゼットがデルタライズクローになると危険を感じて空中からペダニウムランチャーを放つが、全て避けられた上に連続キックを食らって地上に撃墜、ギルバリスのアームから紫色のムチを使うも虚しくゼットに組伏せられて倒されかけてしまうが、ウインダムをムチで拘束して人質に取る卑怯な手を使って難を逃れる(ゼットの「正々堂々と戦え!」という罵りにも「卑怯もラッキョウもあるか!」と返し開き直っていた)。
しかし調子に乗って攻撃している隙を突かれてゼットの反撃を受けた結果、ウインダムの拘束をみすみす解いてしまう。そしてベリアロクがハルキ達の元に戻ってきたことで形勢が再び逆転、デルタブレイカーを受けて倒された…と思いきや序盤に使っていた蝶の翅で再び逃げ出そうとするも、最終的にはデスシウムファングにより全身を丸ごと噛み砕かれ「バルバルバロッサーッ!!」という断末魔と共に爆死した。
ちなみに、ゼット曰く最期の言葉は「大海賊、地球に死す」らしく、ベリアロクには「散り際も面白くない奴」と言われてしまっていた。
三代目
「兄者と弟の敵…派手に行くバロッサー!」
これまで倒された兄弟の仇を取ると豪語しながらまたまた登場。二度あることは三度あるとはよく言ったものである。
三度目に現れた個体のためか「三代目」と明記されているが、血縁上は先に倒された初代の弟にして二代目の兄に当たる(誰も「兄弟順で復讐する」とは言ってないとはいえ、ややこしいことこの上ない)。
今回は兄弟の敵討ちが完全な目的だったためか、D4や特空機4号ウルトロイドゼロといった強奪対象になりえる兵器があったにも関わらず、意外にも先代らと違って劇中で海賊らしい強奪行為はしていない(…タピオカは何処かから掻っ払ってきたのだろうか)。
その一方で、痛がる振りをして敵を油断させて騙し討ちをするなど、先代らと同様に卑怯な戦法も辞さない性格であり、あっさりかわされてしまったもののハルキの変身途中で襲いかかるという特撮の掟破りともいえる変身妨害まで敢行している。
二代目と同様、この個体も普通に地球語を喋りまくるが、何故か語尾に鳴き声を付けて話す。
活躍
第22話
とある建物内で休憩していたハルキ達を急襲。ヨウコとハルキの二人掛かりを相手取り、易々と制するが、偶然その場にいたイナバの蹴りを喰らい戦意喪失。何処かの物置に逃げ込むが、そこで一人追いかけてきたハルキを不意打ちで強襲し、ハルキと入れ替わる形で等身大ゼットと激突する。戦闘の末ゼットに追い詰められるが、そこに件のトゲトゲ星人が乱入し、ゼットを妨害。バロッサ星人はその隙に怪獣関連の物体ではなく、なんと地球のタピオカを飲んで巨大化(曰く、「地球のデンプンがバルバル細胞を活性化させるバル」とのこと)。
…やってることは最早別の特撮作品の暴走族異星人そのものであり、ご丁寧に暴走族異星人の食う羊羹や彼の飲んだタピオカの原料も「芋」である。ちなみに、飲み物を飲んで巨大化する宇宙海賊もいる。
しかも巨大化時には「モンガー!!」と雄叫びを上げる始末である。
もっとも、初代の2代目の似た声を言った正義の宇宙海賊の敵対組織の巨大化法や二代目の植物の種のように元々巨大化手段は多才ではある。
巨大化後は目から光線を打ち無差別破壊を敢行するが、早速巨大化したアルファエッジ形態のゼットに格闘戦で遅れを取っていた上にベータスマッシュにタイプチェンジされてからはほぼ防戦一方で、イベントのため動けるよう整備されていたセブンガーが現着後は2人のコンビネーションに圧倒され、更にやってきたキングジョーSC(かつてのストレイジメンバーは全員休職扱いとなっており、上部組織の地球防衛軍から出向したと思われる一般隊員が搭乗している)も加わったことで、多勢に無勢の八方塞がりの状況となる。
そこに突如トライキングが現出し、ゼットに攻撃を開始。その混乱に乗じ騙し討ちでキングジョーSCを退け、ヨウコの乗るセブンガーと戦闘にもつれ込む(この後、キングジョーSCはゼスティウム光線を防ごうとしたトライキングに肉壁にされてしまい擱座)。ちなみにキングジョーSCのミサイルを食らった際には熱さのあまり「アツモリ」と言っている。
激闘の末セブンガーの足のバランサーを挫くことに成功するも、偶然落ちていたベリアロクと、分離状態で転がっていたキングジョーSCのレッグキャリアーを使い放たれた大技「セブンガー波乗りスペシャルスラッシュ」を食らい、「この恨み…我が一族が必ず…!!」という更なる復讐を匂わせる捨て台詞を残して爆死し、三度目の正直とはならなかった。
トライキングの加勢が入るまでゼットや特空機との3VS1の闘いになったとはいえ、一応サータンの透明マントでの奇襲を仕掛けた初代や武器を巧みに使い分けた二代目と比較してもぶっちゃけ実力自体は3兄弟の中でも過去最弱レベルであり、地味にオリジナル形態のゼットにすら「50秒もいらない」、ジャグラーには「使えねぇ奴だな」と小馬鹿にされていたほどで、本物のゴロサンダーと異なりゴロン棒から電撃を放つことも無かった。
そもそも武器がゴロン棒のみだったり、劇中D4や特空機4号に興味を示さない上に、初代が持っていたキングジョーの生まれ変わりであるキングジョーSCや、二代目が狙っていたベリアロクに対しても特にリアクションをしていない辺り、武器や兵器に対する興味が薄い個体だったのかもしれない。
ある意味純粋に同胞の仇を打とうとした殊勝な個体だったとも言えるが…。
登場した第22話は前回から強烈なインパクトを残したD4を始め、存在が明らかとなったウルトロイドゼロや久々の登場で大活躍を見せたセブンガー、解散となったストレイジの面々の動向や不審な行動を取るヘビクラなど、ストーリーの本筋に関わるキャラクターや描写など視聴者の注目を集める要素がてんこ盛りだったため、今回の三代目は必要以上に悪目立ちしない純粋な引き立て役でなければなく、『Z』で既にお馴染みとなったバロッサ星人はその役割を見事に果たしたと言えるだろう。
総評
第9話で「無意味な破壊を好まない」と発言しているが、実際に陽動作戦の際はヘビクラとユカに無駄な攻撃をせず見逃している(キングジョーの能力を考えれば、普通に車を攻撃して残骸ごとメダルを回収した方が手っ取り早い)。
そもそもメダルの波長を察知する能力がある以上、最初の襲撃直後にもう3枚のメダルを強奪する事も十分可能だったはずで、それをされていれば地球側は為す術もなかった。それを行わずにまずは要求を突きつけたあたり、発言には一応の信憑性が窺えると言えるだろう。
また、襲撃地点はいずれも地球防衛軍の関連施設のみに留めており、この手の侵略宇宙人にありがちな、市街地での大規模な破壊活動や一般市民への攻撃等の無差別テロは一切行っていない。二代目も終始ベリアロクの奪取に腐心しており、攻撃を行ったのも自身が行う海賊行為の邪魔をする者達に限られていた。ちなみに三代目は巨大化当初に無差別攻撃をしていたりする。
もっとも、最初の強奪では(おそらく示威行動を兼ねて)躊躇なく研究所を破壊してその場にいた研究員を負傷させた(状況を見る限り、あくまで言及がなかっただけで死者が出ていた可能性もある)上、犯行声明においても「要求が受け入れられなかった場合は強力なロボット(キングジョー)による徹底的な攻撃を行う」と述べて相手を脅迫するなど、「意味のある破壊および攻撃」については全く躊躇わない(現に、攻撃を受けた怪獣研究センターや統先研の施設も見るも無惨な状況になっており、特に後者はキングジョーの攻撃で瓦礫の山と化していた)。
上記にもあるが一族総出の数の暴力を使う事もあり、第10話ではユカを用済みと見るや殺そうとしており、荒々しい剣の使い方やバド星人よろしくの卑怯戦法を見るに、一定のポリシーがあるにせよやり方は強盗まがいな時点で所詮はゴロツキ同然であると言える。
また、犯行声明の中に地球がウルトラマンの力を独占するのが気に食わないような発言しているが、彼らもウルトラマンの力を自分達の物にしようと狙っているため、所詮はブーメラン発言である。
そうなると、前述の「無意味な破壊を好まない」という言葉も、テロリストの戯れ言に聞こえなくもない。実際、ウルトラシリーズに限らず、綺麗事を口にしつつ、えげつない強奪・破壊活動をするゴロツキの悪党は、古今東西かなり多い。被害範囲の狭い広いの問題ではないだろう。
ボイスドラマのゼロの話を聞くに、種族全体が海賊の宇宙人であり、宇宙警備隊の任務の討伐対象になっている辺り、ウルトラマン達にとっても非常に厄介な宇宙人と見なされているようである。
ゼロの話や使っている装備を見るに、かなりの星が彼らの被害にあっていると考えられ、バロッサ星人も盗んだ物をさも自分の物のように語っている。
例えばペダン星人からしてみれば、自分達の技術を盗まれた上にいけしゃあしゃあとバロッサ星人の技術の様に語られており、屈辱に感じてもおかしくない(『ウルトラセブン』や『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』を見ればわかるが、ペダン星人は自分達の技術に誇りを持っている)ため、善悪問わず多くの宇宙人からも厄介者と認識されている可能性がある。
第10話を見るに、ウルトラメダルは奪えた3つのみで諦めており、キングジョー奪還のみを優先していた様子である。
そもそも、狙っていたコスモス達のメダルはゼットの手に渡ってしまっており、ウルトラマンから強奪するのは不可能だと判断したか、メダルを入れているホルダーにプラズマを遮断する力があるかのどちらかだと思われる。
現に、第9話を見ればわかるがウルトラメダルをたくさん持っているハルキを狙わず、ストレイジが護送しているメダルだけを狙っていた(上記にもあるが、その気になればウインダムごとハルキを殺して奪うことが出来たはずであり、第10話でもヨウコを人質にしてゼットからメダルを奪うことも可能だった)。
結局のところ、ウルトラメダルはバロッサ星人に扱える代物ではないため、(彼自身が分かっていたのかは不明だが)せいぜいコレクションか交渉道具としての使い道しかなかっただろう。メダルの強奪もキングジョー奪還のついで程度にしか考えてなかった可能性もある。
派生作品での活躍
- ウルトラヒーローからのメッセージ《SPECIAL LIVE MOVIE》
怪獣軍団の一体として登場。鋭い刀さばきでウルトラマンゼロとゼットの二体を相手に健闘を見せるが、子供達の応援で奮起した二体のキックを受けて退散した。
第8話でメインの特集回に扱われており、同じくティガの世界でしつこく何回も地球を狙った侵略者代表であるキリエル人(キリエロイドⅡ)と合わせて紹介されている。
- ウルトラヒーローズEXPO THE LIVE ウルトラマンゼット
『Z』の後日談に当たる第2部で登場。
とある惑星でマグマ星人軍団と組んで侵略を目論むが、ゼット・デルタライズクローが参戦。デスシウムスラッシュでぶった切られてもなおゼットにしぶとく勝負を挑んでくるが、ゼットの救援にタイガ、メビウス、レオが参戦。レオクロスビーム、メビュームシュート、ストリウムブラスター、ベリアロクからの破壊光線を浴びてマグマ星人諸共消し飛んだ。
その死に際には、地球に惑星を消滅させる移動要塞が迫っていることを告げるのだった…。
四代目
『ウルトラマントリガー』第7話「インター・ユニバース」にて登場した個体。
メトロン星人マルゥルのセリフから、『トリガー』世界にも種族自体は存在している模様。
一方、闇の三巨人達は別次元からの来訪者である事は理解していたが、バロッサ星人の名前を口にしていないことから、恐らく星人のことは認知していない可能性が高い。
今作の四代目は初代と同じく地球語を使わず、終始宇宙語(バロッサ語?)を用いて会話しているのが特徴で、ベビーザンドリアス・ケダミャーと行動を共にしている。こちらのケダミャー自身が言語を理解及び会話も出来る特異種という都合もあってか、基本的に彼が四代目の通訳係を担う(ケダミャーがいない場合はゼットが代わりに通訳をしている)。ケダミャーからは「オヤビン」と呼ばれていたようで、彼らなりに深い信頼関係を築いていた様子。普段はよくイメージされる海賊のオウムの要領で自身の右肩に乗せている。
活躍
今回は『Z』世界の地球でストレイジからキングジョーSCを強奪してゼットや宇宙セブンガー(ヨウコ搭乗)の追跡を受けており、所持していた隕石からブルトンを召喚し四次元空間でゼットとセブンガーを撃退しようとした際に自分とキングジョーも四次元に飛ばされてしまうが、混乱に紛れてウルトラメダルの強奪とゼットライザーの破壊は成功。
なお、セブンガーはゼットに庇われたため、四次元空間に飛ばされずに済んだ。
『トリガー』世界に来た後は飛ばされた際に落としてしまったジュランの種の捜索を行うが、その最中にトレジャーハンターのイグニスに遭遇。最初は海賊とトレジャーハンターの価値観について揉め、いつの間にか今まで手に入れて来たお宝の自慢合戦を行うも、どさくさに紛れてウルトラメダルをホルダーごと盗まれてしまう。その後、イグニスを追いかける最中にようやく自身の無くしたジュランの種を発見、巨大化して彼を踏み潰そうとするがトリガーやGUTSファルコンの妨害に遭う。
格闘能力は流石に二代目程ではないが中々のもので、ギルファスの剣やコダイゴンジアザーの鯛砲といった武器、さらには破壊したビルや瓦礫を投げ付けるといった攻撃でトリガーとゼットを苦しめるも、ベリアロクとサークルアームズの同時攻撃には圧倒されていく。最終的には二代目と同じく羽を展開して逃げ去ろうとするも、すかさずデスシウムクローによって翼を破壊された所をゼペリオンクローインパクトによって上半身と下半身を分断されて爆死した。
なお、キングジョーSCは彼の兄弟(?)にあたる初代のバロッサ星人が持ち運んできた物だが、初代とは違ってキングジョーには乗り込まずジュランの種で巨大化してから直接持ち去ろうとしていた。ケダミャーも「巨大化しないとアレ(キングジョー)は持っていけない」と話しているので、乗り方自体を把握していなかったものと思われる(もっとも、ストレイジに改造された時点で通常のキングジョーから操縦席が変更されている可能性もあるが)。
余談
名前の由来は、実在した海賊「ハイレッディン・バルバロッサ」。
ガピヤ星人以来となる、全身スーツが作られた完全新規の宇宙人である。
デザインはゲネガーグも担当した楠健吾氏。「令和を代表する宇宙人」ということで、決定稿が仕上がるまでかなりの案を出し、苦労したとのこと。もっとも、ボスではない「普通の宇宙人」をデザインできて嬉しかったとも述懐している。
特徴的な鳴き声は、脚本の中野貴雄氏がスタッフと「ドルゲやバンバとか自分の名前を連呼しながら登場する怪人が今はいないね」と話していた際、その会話を聞いていた吹原幸太氏が「バーロバロバロバロッサ!」とふざけて叫んだことから採用されたという。
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バルタン星人:ウルトラ戦士と幾度となく戦った同族が複数存在し、一つの作品内で三代目まで登場した宇宙人。その使い勝手の良さや共通点の多さから、恐らくバロッサ星人はこちらのセルフリメイクと思われる。なお、『Z』第22話の予告及びOP終了後の謳い文句は「バロッサ星人の限りなきチャレンジ魂!」となっており、『80』にて六代目が登場した回のサブタイトルを捩ったものである。ちなみにこちらには「四代目」表記の個体は存在しないが、TVシリーズで登場した者で順序的に四代目に当たるのは、『トリガー』の放送年で50周年を迎える作品に登場したコイツである。
バイブ星人:人間大時の外見がどこか似ている。
武蔵坊弁慶:武者たちから千本近い数の武器を奪っていたとされる歴史上の人物。
足利義輝:剣豪将軍として知られる室町幕府第13代将軍で、最後の戦いで初代と似たような戦法を使ったとされている。ただし、星人の方は剣豪とは程遠い腕前であった。
アークスコーピオン:第10話放送の翌日に登場した別作品の敵キャラクターの強化形態。大量の剣を突き刺した描写から両者を連想する視聴者が相次いだ。ついでに言うと紫のカラーリングまで共通している。
バクター:武器マニアである宇宙海賊に所属する戦隊怪人。武器も銃や剣など多彩。
ケルベーロ・ガンガン:多彩な武器を使う武器マニアな戦隊怪人。ただし、バロッサ星人は剣主体に対してこちらは銃主体。
宇宙海賊という設定のウルトラシリーズのキャラクター
グレンファイヤー:こちらは善玉の宇宙海賊で、ボイスドラマにおいても対照的に語られている。ただし、二代目は中の人が同じである。
バルキー星人:『ギンガ』シリーズに登場した個体と三代目は中の人が同じ。
ウルトラシリーズで盗みを働く怪獣