概要
『ポケットモンスター ソード/シールド』から登場するシステム。
バトル中にポケモンがぬしポケモンすら可愛いレベルに超巨大化するという特殊な現象で、現在のところガラル地方でのみ確認されているという。
マグノリア博士が発見したガラル粒子と呼称される赤い素粒子によってダイマックスが可能とされ、発動させられる場所は限定されており、ガラル地方のポケモンスタジアムは一部を除き粒子放出量が充分なポイントに建造されている。
以前は頑丈な石組み造りのスタジアムで行われていたが、現在は収容人数が見込める様にナックルスタジアム以外は改修されている。
そして、特殊な鉱物を組み込んだアームバンド型デバイス「ダイマックスバンド」があれば、トレーナーが任意のタイミングでポケモンをダイマックスさせることが可能となる。
ジムバトルでは推薦状だけでなく、バンドに必要なアイテム『ねがいぼし』も必須であり、特別なトレーナーだけが厳選されている最たる理由でもある。
一度ポケモンをモンスターボールに戻した後、そのボールがバンドから送られるエネルギーによりビリリダマサイズのデータグリッド状の物へと変化(ボールの種類を問わず、外見はプレミアボールと似たものになる)。そこからダイマックスしたポケモンが登場する。
このとき、各キャラクターごとに独自のモーションがあり(例外あり)、各々の個性がよく表れている。例えばヤローは巨大化したボールを収穫した野菜のように撫でたのち投げ、キバナはスマホロトムで自撮りした後にボールを投げる。
また、バンドがあればダイマックス状態にあるポケモンも捕獲する事が可能であり、その際はボールが同様の変化を遂げ、迫力満点のゲットシーンが展開される。
ダイマックス中は一部の能力値が上昇し、さらに全ての技が強化された「ダイマックスわざ」に変化する。
また発動中はエフェクトとして、空模様がマゼンタ色の渦巻く暗雲へと変わる。加えてダイマックス中に倒されるとエネルギーが爆発し、元のサイズに戻りながら倒れるシーンが発生する。
全てのポケモンがダイマックス可能で、中にはダイマックスすると能力だけでなく、姿も変化するキョダイマックスを使用できるポケモンも存在する。
上記の様にわざが強化される、特定のポケモンの姿が変化するのという意味では「メガシンカ」と「Zワザ」の良いとこ取りな要素であるとも考えられ、本作ではその二つの要素は登場しない。
元々全てのポケモンには身体を縮小・無力化させてボールに収まる能力が備わっており、一部のポケモンは技「ちいさくなる」で能動的に行使が可能。ダイマックスは上記の要因でその性質が逆に発現したものではないかとの考察も存在する。
また乱用はポケモンへの負担があり暴走する危険性もあるので、制御下にある対戦では短時間しか使用できない。
パワースポットさえあれば人の手が無くともガラルの自然化で起こり得る現象である為、突然の巨大化や暴れる危険など、本来は人間とポケモン両サイド共に自然災害に近い現象で、アニメではキョダイカビゴンがワイルドエリアの線路を塞ぐ実害も発生していた。
だが、ローズがバンドの開発やスタジアムの改良などを行った結果、エンタメ競技として導入が可能となり、対戦文化として人々に受け入れられる様になった。しかし10年程とそう年月は経過していない為、ネズのようにダイマックスを嫌う者もいる。
ちなみに誤解されがちだが、ダイマックスバンドは任意発動を行う為のツールで、ダイマックス自体は要件さえ満たせばポケモン1匹でも起こす事は可能。
ダイマックスの仕様
- 1回のバトルで1度しかダイマックスできず、3ターン経過すると元の大きさに戻る。
- HPが最大2倍まで増加する(ダイマックスレベルによって増加量は変化する)
- 1/4といった割合ダメージはダイマックス前のHPを基準とする。
- 「がむしゃら」で与えるダメージもダイマックス前のHPを参照する。
- ひるみ状態にならない
- どく、まひ、やけど、こんらん、こおり、メロメロ、ほろびのうた状態にはなる
- 状態異常で行動できなかった場合もターンは消費される
- メガシンカ、Zワザと違い、どんな持ち物を持たせてもダイマックスは発動可能
- ダイマックス中も持ち物の効果は発揮される(下記の例外を除く)
- 以下の技や効果を受け付けず無効化する
- こだわりアイテムや「ごりむちゅう」の効果を無視する
- 「とつげきチョッキ」の効果は発揮されるが、「ダイウォール」は使えなくなる
- 控えとの交代によって解除され、再度出す場合は通常のポケモンに戻っている。
- 「ききかいひ」「だっしゅつパック」等の味方側に由来する強制交代は無効化されない。
- ダイマックスすると、そのポケモンが展開していた「みがわり」は消失する。
- メガシンカ、Zワザ同様に発動時のアニメーションはカットできない
- ダイマックスポケモンにへんしんを使うと、通常サイズのポケモンに変身する。
- 変身後にダイマックスしても解除される事はないが、キョダイマックス形態にはならない
- なお、マックスレイドバトルでは上記の仕様に一部例外が盛り込まれている他、独自の仕様も存在する。これらについては「マックスレイドバトル」の記事を参照。
ダイマックスわざ一覧
技のタイプ | ダイマックスわざの名前 | 追加効果 |
---|---|---|
ノーマルタイプ | ダイアタック | 相手全体のすばやさを1段階下げる |
ほのおタイプ | ダイバーン | 天候を「ひざしがつよい」にする |
みずタイプ | ダイストリーム | 天候を「あめ」にする |
でんきタイプ | ダイサンダー | エレキフィールドを展開する |
くさタイプ | ダイソウゲン | グラスフィールドを展開する |
こおりタイプ | ダイアイス | 天候を「あられ」にする |
かくとうタイプ | ダイナックル | 味方全体のこうげきを1段階上げる |
どくタイプ | ダイアシッド | 味方全体のとくこうを1段階上げる |
じめんタイプ | ダイアース | 味方全体のとくぼうを1段階上げる |
ひこうタイプ | ダイジェット | 味方全体のすばやさを1段階上げる |
エスパータイプ | ダイサイコ | サイコフィールドを展開する |
むしタイプ | ダイワーム | 相手全体のとくこうを1段階下げる |
いわタイプ | ダイロック | 天候を「すなあらし」にする |
ゴーストタイプ | ダイホロウ | 相手全体のぼうぎょを1段階下げる |
ドラゴンタイプ | ダイドラグーン | 相手全体のこうげきを1段階下げる |
あくタイプ | ダイアーク | 相手全体のとくぼうを1段階下げる |
はがねタイプ | ダイスチル | 味方全体のぼうぎょを1段階上げる |
フェアリータイプ | ダイフェアリー | ミストフィールドを展開する |
変化技 | ダイウォール | フェイントを除く全ての技を完全に防ぐ。連続で使うと失敗しやすい |
- 変化わざは天候操作・積み技・妨害技等の種類を問わず、どんなものであっても「ダイウォール」に変化する
- 大まかな概要はZワザとほぼ同じ
- どのダイマックスわざも原則的には必中技で、全てが非接触技扱いとなる
- タイプと物理・特殊の分類、単発威力だけが抽出され、元々の効果やデメリットは失われる
- 相性・特性で無効になるポケモンには不発に終わり、追加効果も発動しない
- 「ダイウォール」以外の「まもる」系防御技を貫通し、威力を落とした状態でダメージを与えられる
- これらの技は「ちからずく」「かたいツメ」など特定の技を強化する特性の恩恵を受けない
- 追加効果故か、ダイナックルとダイアシッドは他のタイプよりも威力が低く設定されている
- ダイマックスわざの追加効果は「みがわり」や「りんぷん」で防ぐ事が出来ない
- Zワザと違い、「フェアリースキン」や「オーラぐるま」等によるタイプ変化は反映され、変化後のタイプに応じたダイマックスわざが発動する。
- スキン系特性はタイプ変更効果のみが適用され、威力上昇は行われない。
- キョダイマックスわざについては「キョダイマックス」の記事を参照。
対戦において
以上の点や3ターンの制限、そしてダイマックス技の追加効果が軒並み強力なことから、アタッカーの素質のあるポケモンにはダイマックス適性があると言え、
- アイアント、アップリュー、パッチラゴンといった「はりきり」持ちのポケモン
- リザードン、ジュラルドン、セキタンザンといった、リスクのある大技が主軸となるポケモン
- キングドラ、ドリュウズ、ガマゲロゲといった、追加効果の天候と特性を組み合わせて性能を上げられるポケモン
- トゲキッス、ギャラドス、アーマーガアといった、火力と足りない素早さを同時に補填できる準速飛行ポケモン
- ゾロアーク、エースバーン、マリルリといった、その他特性の恩恵を維持できるポケモン
等とは相性が良く、
- ドヒドイデ、エルフーン、ナマコブシといった、変化わざを主体とするポケモン
- ギルガルド、ウオノラゴン、グソクムシャといった、ダイマックスすることで強さの源たる固有技の効果が失われてしまうポケモン
- ジャラランガ、ルカリオ、ダストダスといった、火力強化が見込めない特殊格闘・物理毒のポケモン
- ガメノデス、ダイオウドウ、ハッサムといった、その他特性の恩恵が失われるポケモン
等とは相性が悪い。
基本的にダイマックスアタッカーとして運用するならば攻撃技を4つ採用した所謂フルアタ型が望ましいが、最近では相手のダイマックスに対抗するため、そしてあらやる場面でターン調整に活用できる点から、技スペースを多少圧迫してでも変化技を取り入れ、「ダイウォール」を採用しているトレーナーも多い。
耐久型のポケモンの場合、ダイマックスでHPが上昇することを利用して相手のダイマックスエースを止めるためにダイマックスを使うという戦法が取れるため、必ずしも耐久型に不利というわけではない。
ダイマックスによって、「はかいこうせん」、「ソーラービーム」、「オーバーヒート」といった「威力は高いが大きなデメリットが存在し、普段使いがしづらい技」のデメリットが打ち消されることから、これらの技の採用率が急上昇している。
また、「ゴーストダイブ」や「そらをとぶ」等「1ターン戦線離脱して次ターン攻撃する技」も、相手のダイマックスターンを浪費させる手段として注目を集めている(ただし、相手の特性が「ノーガード」であった場合は普通に攻撃を当てられてしまって意味がないので注意)。
余談
その怪獣映画のごとき絵面はかなりのインパクトを誇り、ネット上では「ただでさえ巨大なホエルオーやアローラナッシーがダイマックスしたらどうなるのだろう」という声が続出した。
逆に、最も小さなバチュルなら人間サイズに収まるのではという声も。
実際のゲーム画面では巨大化したライチュウとギャラドスが同じ大きさで処理されており、残念ながら期待には沿えない。ホエルオー等はダイマックスする事でようやく相応の大きさに見える位である。
何にせよ、どんなポケモンでも巨大化できるという夢の広がる公式設定であり、Pixiv等のネット上でも、自分の好きなポケモンを大きくしてじゃれついている微笑ましいものや、
何故かトレーナーの方(主に女性キャラ)が巨大化するといったネタ絵まで、幅広く描かれ始めている。
またメガシンカ予想同様、非公式にキョダイマックス姿を予想するタグもある。
ある意味元ネタ。本人は当初は『剣盾』未登場だったが後にDLCで追加されダイマックス出来るようになった。
なお、各種演出から推測するに、元ネタの1つはおそらくウルトラマンであろうと思われる。
ポケモンを巨大化させる際に所謂「ぐんぐんカット」と同様三段階を踏んで巨大化する演出があるほか、3ターンしかダイマックス形態を維持できないのも「地球上での活動時間に制限が設けられている」というウルトラヒーローをはじめとする巨大ヒーローの弱点を意識したものである可能性が高い。
もっとも、ポケモンの元ネタ自体が『ウルトラセブン』のカプセル怪獣であることを考えれば、そこまで突飛なことでもなかったりするが。
また、ガラルのモチーフになったイギリスには巨人伝説が存在するため、それに絡めているとも考えられる。
関連タグ
科学戦隊ダイナマン英語スペルにすると一字違いになる(dynamax、dynaman)。
オヤブン……ヒスイ地方に存在する通常より大きい個体。こちらのサイズは恒常的。
魔界戦記ディスガイア7 「弩デカ魔ックス」と言う巨大化システムがある。ある意味後輩で奇しくも名前まで似ている。
「全てのポケモンがダイマックスできる」という触れ込みのダイマックスであるが、実際にはザシアン・ザマゼンタ・ムゲンダイナのガラル伝説3匹だけはダイマックスする事ができない(バドレックスは特殊で、ダイマックスできるが、立ち上るオーラが青くなっている)。
なお、それ以外の伝説ポケモンにはこうした制限は無く、ポケモンホームを介して他作品から連れてきたものや、ダイマックスアドベンチャーで得られるものなどは問題無くダイマックスが可能。
この3匹はきょじゅうざん・きょじゅうだん・ダイマックスほうという対ダイマックス特効の専用技を持っており、元々の種族値と合わせてダイマックスポケモンにも引けをとらない。攻めに関してはダイマックス不可がハンデにならないということである。
公式サイトの説明では、高層ビルに爪を立てる、じゃれついた相手を巨体で押しつぶす等の実際に背丈や図体が上昇していなければ不可能な記述も見られているが、クリア後に語られるマグノリア博士の見解では、ダイマックスしている最中もポケモンの元々の大きさは変わっていないと言われている。
その為、正確には細胞増殖などで肉体を肥大化させているのではなく、『特殊なエネルギーで"そのポケモンと重なる空間"だけが歪む事で、擬似的に存在を拡張している』のだと思われる。体重依存の技が効果を発揮できないのもこういった空間の歪みの発生と何か関係があるのかもしれない。
起源は定かではないが、ムゲンダイナの図鑑説明から、ガラル地方に落ちて来た隕石(ムゲンダイナはこれに乗ってやって来たと言われている)が原因だと考えられる。この隕石の落ちて来た時期は2万年前とされており、同じく隕石が起源とされるメガシンカやイルミナ現象よりも古い現象である事が窺える(前者は三千年前、後者は二千年前に初めて確認された)。異世界から齎されたZワザやメタ的なフォルムチェンジ第1号であるデオキシスを含め、ポケモンに不思議な力を与える現象は「未知の領域」から齎される傾向にあるようだ。