概要
日本では一般に、国あるいは地方公共団体(第一セクター)と民間の企業(第二セクター)等が合同で出資する企業を指す。
ただし、1980年代以降の国鉄再建による赤字路線の廃止(や、新線建設凍結)に直面して、それらの受け皿となる鉄道会社が設立されるようになって広まった比較的新しい言葉であり、それ以前の古くから行政が出資していた企業などは、第三セクター扱いされない場合もある。
pixivにおいては、上記の資本形態で設立された鉄道会社に関するイラストに、このタグがつけられる場合がほとんどであるため、ここでは鉄道会社に限って説明するが、もちろん鉄道会社以外でも第三セクターの形態をとる企業は存在する。
なお、外国においてはNPOや市民団体等の非営利の公共サービスを提供する団体を指すことの方が多い。
俗用
鉄道マニアの間では特に旧国鉄・JRの廃止対象路線(特定地方交通線)からの転換路線、旧国鉄などの計画中止を引き継いで開業した路線を指すことが多い。こうした路線は軒並み経営が苦しく、第3セクター転換後に廃止になった例も多い。
- 智頭急行は後者の例でJRからの特急が通過するため例外的に黒字路線となっている。
- 北越急行は後者の例で例外的に黒字路線であったが、北陸新幹線金沢延伸開業時に特急が廃止され、将来が楽観視できない状況から超快速が生まれたが、2015年度は初の赤字転落となった。
- 青い森鉄道やIGRいわて銀河鉄道では、線内を通過する寝台特急列車の廃止を受け線路使用料での収入が減ったことから、駅構内事業の拡大を目論んでいる。
地方の元JR系三セクでは、名前で覚えてもらうためか、お役所のセンスなのかは知らないがキラキラネーム・ひらがな率が高い。
車両は国鉄・JRのお下がりか新潟トランシスのものが多く、特に211系の系譜に連なるデザインが大半を占める。
日本の第三セクター鉄道
2021年4月現在。このうち、北大阪急行電鉄・神戸高速鉄道は準大手私鉄でもある。なお、◎は第三セクター鉄道等協議会(三セク協)に加盟しており、御朱印の鉄道版である鉄印(三セク協と旅行読売出版社による共同連携事業)を販売している。
北海道・東北
三陸鉄道◎
山形鉄道◎
会津鉄道◎
関東
野岩鉄道◎
真岡鐵道◎
成田空港高速鉄道※第三種事業者
成田高速鉄道アクセス※第三種事業者
東海
※転換ないし開業順
樽見鉄道◎
明知鉄道◎(メイン画像)
伊勢鉄道◎
中部国際空港連絡鉄道※第三種事業者 ⇒名鉄空港線
北陸・信越
北越急行◎
のと鉄道◎
近畿
※転換ないし開業順
北条鉄道◎
大阪港トランスポートシステム※現在は第三種事業者 ⇒OsakaMetro中央線・南港ポートタウン線
神戸高速鉄道※第三種事業者
中国・四国
智頭急行◎
若桜鉄道◎
井原鉄道◎
錦川鉄道◎
九州・沖縄
甘木鉄道◎
松浦鉄道◎
旅客営業路線を全廃した事業者(一部を紹介)
岩手開発鉄道:貨物営業は現存
かつて第三セクターであった事業者
富山ライトレール:富山地方鉄道へ吸収合併され会社消滅。鉄道路線自体は存続。
大阪府都市開発:現在は南海電気鉄道の子会社になり、鉄道路線名として使われてきた「泉北高速鉄道」に社名変更している。
北九州高速鉄道:現在は北九州市が100%株式を保有している。
行政が出資しているが第三セクター扱いされない事業者
東京メトロ:下記参照。
JR北海道・JR四国・JR貨物:独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が100%出資。
鉄道事業者以外の第三セクター
東京メトロポリタンテレビジョン株式会社(東京MXテレビ):東京都が出資。(放送事業者、放送局)
株式会社幕張メッセ:千葉県と千葉市が出資。(千葉県千葉市美浜区の施設管理会社)
名古屋テレビ塔株式会社:筆頭の愛知県および二番手に名古屋市が出資。(テレビ塔の管理を行うため、不動産業および観光業)
関連タグ
新潟トランシス・・・ローカル線向け軽快気動車NDCシリーズを多くの第三セクター鉄道に製造、供給。
営団・・・戦前、非採算事業を実施するために官民共同出資で設立されていた特殊法人。かつては住宅営団や農地開発営団などが存在していたものの、戦後ほとんどが廃止または公団への改組を余儀なくされ、唯一残った帝都高速度交通営団(営団地下鉄)も民間出資が排除され国鉄(分割民営化後は大蔵省→財務省)と東京都の出資による完全な公法人となった。民営化後の東京メトロも株主は政府(名義上は財務大臣)と東京都となっている。