隠れ特性
かくれとくせい
概要
『ポケットモンスター ブラック・ホワイト』から登場したポケモンの新要素の一つである。
『ポケットモンスター ルビー・サファイア』以降、ポケモンは1つまたは2つの特性を持っていたが、これに新たな特性(第3の特性)が加わった。
といっても通常では中々手に入らず、限られた方法でしか手に入れることができない。
呼称について
『ポケットモンスター ブラック・ホワイト』発表時、「インターネットサービス『ポケモンドリームワールド』を経由して夢で会ったポケモンをハイリンクから連れて行ける」という情報が公開。
さらに、後の情報で夢で出会ったポケモンは通常とは違う特性を持っていることが発表された。
この時明かされたのは、シャワーズの「うるおいボディ」であった(通常特性は「ちょすい」)。
このように夢で出会える特性であったことから、ネットでは夢特性と呼ばれるようになった(と言っても、実際にはこれ以外にもいくつか入手方法がある)。
だが、公式では後に「かくれとくせい(隠れ特性)」という名称で発表された(実際の所『ブラック・ホワイト』時点で既に『ポケモンドリームワールド』以外でも入手できるため「夢」とするよりは正確だろう)。
そのため、当記事はこの名称で統一する(ただし現在でも「夢特性」と呼ぶ人は一定数存在しており、非公式攻略サイトではほとんどが「夢特性」表記である)。
仕様
- 「てんきや」などの専用特性持ちの大半、大半の「ふゆう」持ち、大半の蛹ポケモンや幻のポケモンなどに隠れ特性は与えられていない(厳密に言えば隠れ特性が通常特性と同じ)。また、バクガメスも特性が「シェルアーマー」のみで、隠れ特性が与えられていない。
- 隠れ特性持ちのポケモンが♀の場合、同じタマゴグループの♂と預ければ一定の確率で遺伝する。
- 『ブラック・ホワイト』及び『ブラック2・ホワイト2』では、メタモンと預けた場合隠れ特性を遺伝させることができず、隠れ特性持ちが♂であった場合も遺伝させることができないかった。さすがにこれでは条件が厳しすぎると判断されたのか、『ポケットモンスター X・Y』以降、隠れ特性持ちが♀、♂、性別不明いずれの場合でもメタモンと預けることで一定の確率で遺伝するよう修正された。このため、極端な話、元手になるポケモンとメタモンが1匹ずついれば、いくらでも隠れ特性の個体を増産できるようになった。
- 預ける際にメタモンが隠れ特性であるかどうかは遺伝に一切影響しない。メタモンが隠れ特性だとしても通常特性のポケモンと預けた場合隠れ特性は生まれない。
- ハイリンク、隠し穴、『ポケモンARサーチャー』で手に入る隠れ特性のポケモンに色違いのすがたは存在しない。
- 『ポケットモンスター X・Y』以降の作品で登場している特性を変更できる使い捨てのアイテム「とくせいカプセル」では「通常特性⇔隠れ特性」間の変更ができない。
- この仕様なのは恐らくカイリキーが「ノーガード」と「じわれ」の両立ができてしまうことを防ぐためと思われる。
- 特性の存在しないバーチャルコンソール版『ポケットモンスター 赤・緑・青・ピカチュウ』及び『ポケットモンスター 金・銀・クリスタルバージョン』のポケモンはポケムーバーに送る際に自動的に隠れ特性に設定されるが、これは上記のじわれカイリキーが通常特性持ちになるのを防ぐ目的もあると言われている。
- とくせいパッチを使うことで、通常特性の個体を隠れ特性持ちの個体に変えることができる
- 『ポケットモンスター ソード・シールド』のDLC『冠の雪原』で初登場。この時点では隠れ特性から通常特性には変更できなかったが、『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』から変更できるようになった。
問題点
従来の特性と同様バトルやフィールドで大きな影響を及ぼすが、隠れ特性はこれまでの特性に比べて対戦に与える影響があまりにも大きく、ポケモン間の格差が問題になりやすい。
たとえば、カイリューはそれまで「せいしんりょく」という活用が難しかった特性しか持っていなかったのが、「マルチスケイル」の獲得によって大幅に強化されたのに対し、低火力弱点過多で戦いづらいレディアンが「てつのこぶし」を与えられたものの、元の火力が低すぎてまるで強化にならなかったといった具合。
また、後述するが入手も難しく、特に『ブラック・ホワイト』では「隠れ特性の確保をまともにできないと対戦への参加すらままならない」のに「その隠れ特性の入手があまりにも困難」、おまけに「有用な隠れ特性の入手には課金ないし期間限定のガチャが必要」という初心者お断りのゲーム性が激しく批判されており、一時期ポケモンに廃人ゲーの烙印が押され、新規のプレイヤー層の獲得が大きく伸び悩む一因にもなったと言われている。
さすがに開発側もそのままの仕様ではまずいと判断したのか、『ポケットモンスター X・Y』以降は様々な救済措置が設けられているものの、いずれの世代においてもある程度やりこまなければそうした救済措置の恩恵を十分に受けられないという点では全く変わっておらず、根本的な解決になっているとは言い難いという意見が多い。
入手
ポケットモンスター ブラック・ホワイト
上記の通り♀からしか遺伝できないため、♀が存在しない種族は1品モノ扱いを受けていた。
また、本来♀が存在するはずの種族についても意図的に♂しか登場させないという処置が取られていた場合があった(例:アチャモ、ゴチミル。初期はロコンやニョロモも対象だった。挙げ句の果てに♀のみの種族の隠れ特性が貧弱になっている始末)。
このためこれらの種族は孵化による厳選ができず、ハイリンクという劣悪な厳選環境でしか厳選できなかった。にもかかわらず対戦環境に甚大な影響を及ぼす種族もいたため、特に廃人達から不満が噴出した。
特に御三家はランダムで配布されたことから、子供向けゲームにあるまじきガチャガチャ商法として本作が批判される原因の1つとなってしまった。
ポケモンドリームワールド
告知されていた通り、ミニゲームをこなし仲間にすることで入手できる(一回のゲームシンクにつき一匹)。仲間になったポケモンはハイリンクの森に送られる。
また、夢ポイントを増やすことで行き先や出会えるポケモンの数も増えてゆく。
雑誌や攻略本の付録
雑誌に収められたシリアルナンバーをサイトに入力することで特定の隠れ特性持ちを入手することができる。
早い話が抱き合わせ商法で、隠れ特性ポケモンのために攻略本を複数買いする人が続出した。
基本的に性別は♂固定で、例外はファミ通のジュペッタのみ。
ポケットモンスター ブラック2・ホワイト2
ポケモンドリームワールド
継続して使われ、かつイッシュのポケモンも何種か手に入るようになった。
隠し穴
シナリオ内でベルが教えてくれる新要素(最初に出会うのは♂のチラーミィ)。
全20ヶ所の穴が存在し、ポケモンが出てきた場合そのポケモンは必ず隠れ特性を持っている。
しかし、隠し穴内部の復活率が異常に低く、普通にやっていればこやしやモンスターボールを大量に拾わされる場合がほとんど。
あまりにも低すぎるので、粘るなら「かくしあなパワー」を持っていないとほぼ無理ゲーとも。さらに強力なポケモンほど出現率が低く設定されており、その確率は1パーセントにも満たない者もいる。
出現するポケモンはここでしか出てこないものもいれば、『ポケモンドリームワールド』の既存ポケも一部出現する。
ネット環境を持ってない人への救済措置と『ポケモンドリームワールド』のサービス終了時のクレーム防止(実際に『ポケットモンスター X・Y』への移行の影響で終了した)も兼ねている為なのか、ロコンやニョロゾ、カイリューなど『ポケモンドリームワールド』でも特に人気の高い種族も出てくる。
フェスミッション限定で手に入る種族もあり、『ブラック2』なら隠れ特性のスカンプーを、『ホワイト2』なら隠れ特性のニャルマーを入手できるフェスミッションがある。
ポケモンARサーチャー
ニンテンドー3DS対応のダウンロードソフト。300円。
『ポケモンドリームワールド』と違い種族を問わず仲間に出来れば好きなだけ隠れ特性ポケモンを連れていくことができる。
隠れ特性のリオルやポリゴンなど元々限定ものだったポケモンも手に入る。ここで入手できるコピペロスはけしんフォルムに戻すといずれも隠れ特性を持っている。
また、『ポケットモンスター ダイヤモンド・パール』や『ポケットモンスター ハートゴールド・ソウルシルバー』でゲームのパッケージを飾ったポケモン(ディアルガやルギアなど)の隠れ特性も対応のソフトを3DSに挿すことで入手可能。
『ブラック2・ホワイト2』にポケモンを送り、「ニンテンドー3DSリンク」から受け取った時点で個体値や性格などが決まってしまうため、厳選そのものが出来ないのが難点。
ポケットモンスター X・Y
ポケットモンスター オメガルビー・アルファサファイア
群れバトル
『X・Y』と同じ。ただし、群れ限定のポケモンも後述する方法で隠れ特性の個体を手に入れることができる。
ふれあい
草むらやダンジョンに隠れているポケモンがおり、忍び歩きで接触すると戦闘できる。またこの名称は公式であるが、いまいち普及しておらず「サーチ」「忍び歩き」といわれることが殆どである。
この時ポケモンマルチナビの「ずかんナビ」のサーチ機能を使うことで隠れているポケモンのステータスがおおまかにわかり、何度もそのポケモンと遭遇してサーチレベルを上げていると隠れ特性持ちやタマゴ技持ち、高個体値のポケモンが出現する。
更に一度捕まえているポケモンであれば、道路・水道やダンジョンの野生出現はもちろん、群れや釣りでのみ入手できるポケモンも直接サーチすることが出来る。
ポケットモンスター サン・ムーン/ポケットモンスター ウルトラサン・ウルトラムーン
乱入バトル
野生ポケモンが一定確率で仲間を呼んだ場合、仲間を呼べるポケモンのみを残して連鎖的に倒していくと隠れ特性個体が発生することがある。
検証では最速で11連鎖目からの発生が確認されており、連鎖が続けば続くほど隠れ特性の出現率も上昇する。
なお野生ポケモンは体力ゲージを赤にすれば仲間を呼びやすくなるが、基本的には任意的に仲間を呼びやすくする「ビビリだま」との併用が推奨される。
第7世代単独で隠れ特性を手に入れる方法は基本的にこれしかなく、また進化したポケモンは基本仲間を呼ばないことが多いので注意。
バーチャルコンソール版『ポケットモンスター 赤・緑・青・ピカチュウ』『ポケットモンスター 金・銀・クリスタルバージョン』
上記の通り「ポケムーバー」を経由することで、これらのソフトに出現するポケモン達の隠れ特性が手に入る。
ただし「ポケモンバンク」に預けた際、引き出せるのは『サン・ムーン』『ウルトラサン・ウルトラムーン』(第7世代)のみであるため注意が必要。
ポケットモンスター ソード・シールド
マックスレイドバトル
ワイルドエリア内のポケモンの巣に潜む野生のダイマックスポケモンが稀に持っている。
ただし場所によっては隠れ特性を持っていないダイマックスポケモンもいる他、ニャオニクス系統やクレベース系統等、過去作から続投したポケモンの中にもゲーム発売当初は隠れ特性が未解禁である者もいた。そのため、これらのポケモンの隠れ特性持ち個体はポケモンホームを介して過去作から連れてくるか、マジカル交換等で他のプレイヤーから譲ってもらう他に方法がなかった。だが、DLCの配信と同時にようやく解禁され、ヨロイ島等のワイルドエリア以外の場所でのレイドバトルで入手出来るようになった。
またカセキメラ等、新ポケモンの中にも隠れ特性が未解禁である者がいたが、下記のアイテムの登場をもって実質的な解禁となった。
ガラル御三家も発売から長らくの間隠れ特性が未解禁であった(バトルタワーでは使用してくるトレーナーがおり、存在自体は知られていた)が、2020年6月2日午後10時以降にポケモンホームを利用することで遂に入手が可能となった。
ポケットモンスター ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール
ポケトレ
大きく揺れている草むらに出現。
とくせいパッチ
『ソード・シールド』と同様。200BP景品のため、ポケトレで入手できないポケモンに使おう。
ポケットモンスター スカーレット・バイオレット
前作『剣盾』とは異なり、最初から内定しているポケモン全種の隠れ特性個体が解禁されている。
恐らく、古参プレイヤーと新規プレイヤーとの間で格差が生じてしまうという批判があったこと、そこに付け込んで改造個体配信者をのさばらせる遠因となってしまったことに対する反省からだと考えられる。
本作でも相変わらず野生での遭遇はできず、★3以上のテラレイドバトルで入手可能で、レイドのレベルが上がるごとに隠れ特性持ちの個体と遭遇できる確率が上がっていき、★6では多くの種族が隠れ特性固定になる(一部そうでない種がいるが)。
また、とくせいパッチも続投しており、★6~★7のレイド報酬において低確率で入手できる(★7に関しては、初回クリア時には確定で入手できる)他、DLC配信後はキタカミの里にいる“キタカミ鬼面衆”全員に勝利すると報酬で1個貰えるようになった他、ブルーベリー図鑑の進捗状況に応じて1個、さらにテラリウムドーム内の全トレーナーに勝つことで5個貰うことができる。
なお、オトシドリのみレイドに頼らず隠れ特性持ちの個体を入手することが可能(ヌシが隠れ特性持ちの個体であるため)。当初、この個体は一度倒してしまうと二度と入手ができなかったが、その後DLC配信に伴い1日経てば復活するよう修正された(これは他のヌシ個体も同様)。
「藍の円盤」ではストーリークリア後にテラリウムドーム内に出現するステラテラスタルポケモンが隠れ特性持ちの個体になることがある(確定ではないので注意)。
また、リーグ部での特別講師やアカデミーの先生、部員などとのゲーム内交換で、ミモザのヒドイデやチリのパルデアウパーなど、隠れ特性の個体が何種類かが手に入る他、リーグ部に設置するどうぐプリンターを強化すると、とくせいパッチを排出できるようになる(排出確率自体はそこまで高いわけではないが、レアボールやマスターボール目当てに無心でプリンターを回し続けていると、いつの間にか結構な数のとくせいパッチが手に入っていることも珍しくない)。
テラレイドバトルの腕前に自信がないプレイヤーやとくせいパッチ難民にはたまらない救済措置であり、現在ではある程度ゲームをやりこんでいれば隠れ特性持ちの個体の入手にはほぼ困らなくなったと言っても過言ではないだろう。
隠れ特性で初登場した特性の一覧
(『スカーレット・バイオレット』時点)
『』で括った特性はフォルムチェンジやすがたに関する特性。
太字は特定のポケモン及び種族の専用特性。
ブラック・ホワイト/ブラック2・ホワイト2 | |
---|---|
※1 | アナライズ かわりもの しゅうかく 『ダルマモード』 どくぼうそう ねつぼうそう マルチスケイル ムラっけ |
※2 | あまのじゃく びびり ヘヴィメタル マジックミラー ライトメタル わるいてぐせ フレンドガード |
X・Y | |
※1 | きょうせい くさのけがわ はやてのつばさ へんげんじざい |
※2 | ぼうだん アロマベール ぬめぬめ |
サン・ムーン/ウルトラサン・ウルトラムーン | |
※1 | うるおいボイス エレキスキン えんかく かがくのちから |
ソード・シールド | |
※1 | こおりのりんぷん スクリューおびれ すじがねいり はがねのせいしん ほろびのボディ ミラーアーマー リベロ |
スカーレット・バイオレット | |
※1 | いわはこび きょうえん |
※1…『スカーレット・バイオレット』現在、通常特性として未登場。
※2…初登場以降の作品で通常特性として登場。
余談
対戦においては重要な意味を持つ隠れ特性であるが、一方で、隠れ特性がどういった経緯で発生し、隠れ特性を持つ個体が生態系においてどういった位置づけにある存在なのかといった、主に設定面に関することが殆ど語られていないため、何気に謎の多い要素でもあったりする。
大抵の場合は、あくまで戦闘にのみ影響を及ぼし、実際の生活面においてはあまり支障がないであろうケースが多いが、中にはシャリタツのように、そのポケモンの設定や強みを真っ向から全否定してしまう(=自然界で生活していく上で明らかにネックとなる可能性がある)ようなケースもある。
通常の特性と比べて稀少であることや、交配させても必ずしも子どもに遺伝するとは限らないことなどを踏まえると、もしかすると突然変異のようなものだったりするのかもしれない。
夢世界や異質な空間で出会う個体がそうなっていることが多いことも踏まえると、種族ごとに秘められた能力と解釈することも出来なくはない。
登場から10年以上も経っているためゲーム媒体ではすっかりおなじみだが、意外にもアニメにおいては隠れ特性の個体が登場することは稀で、それどころか「隠れ特性」というワード自体が出てこない。
隠れ特性だと初めて明言されたのは、隠れ特性が登場したBWから1世代後のXYにて登場したゴジカのニャオニクス♂である。上記の通り「隠れ特性」というワードが出てこないため、「ニャオニクスの特性『いたずらごころ』」といった形で明言されている。主要人物のポケモンで明言されているのは、他にはダンデのエースバーンやアメジオのソウブレイズくらい。