「ワタクシだけが ポケモンを 使えれば いいんです!」
概要
『ポケットモンスター ブラック・ホワイト』(第5世代)で初登場した人物。
「人間からのポケモンの開放」という名目でプラズマ団を結成したが、それはあくまで「自分だけがポケモンの力を利用できる世界を作る」という野望達成の為でしかない。
そのためか、BGMに「ゲーチスの野望」なるものがある。
本編シリーズで物語における全ての黒幕ともいえるキャラは彼が初。
ブラック・ホワイト
プラズマ団の幹部、七賢人の一人。Nを王としてトップに立たせている一方、組織を実質的に指導している。
言葉遣いこそ丁寧だが、その本性は悪の組織のリーダーよろしく、黒い。
全身を覆うようなローブ姿は他の七賢人と共通だが、ゲーチスのみ首・肩周りに城壁のような意匠があり、さらに不気味な目の模様が描かれている。また、右目には赤いモノクルを着けている。
立ち絵やカットイン共に左腕は必ず描かれているが、なぜか右腕を露出するシーンは一切ない。また、戦闘時のカットインの顔のアップでは口元が右側だけ開いておらず、上記のとおり右目も隠されていることから、右半身に異常があるのではないかという説がある。
ただし、『BW』のOPムービーでは右腕を差し出しているシーンがあるので、腕に関しては動かないというわけではないようだ。
終盤、Nの城でNに続き、最終決戦をする(回復あり)。本編シリーズの中では初の悪の組織のラスボスであり、非チャンピオンのラスボスとなる。この時に本人の口からNとは親子関係にある事を仄めかす。
主人公に敗れ、Nを「心の無い化け物」と評するも、チェレン・アデクの二人からはゲーチスこそが心の無い男と評され、連行される。だが、ダークトリニティによって助け出され、行方をくらました。
ちなみに、経緯は不明だがシンオウ地方の神話に関わる三つの玉(こんごうだま、しらたま、はっきんだま)を持っていたらしく、それを主人公に渡すつもりだったことがクリア後にダークトリニティから明かされる(ついでに三つとももらえる)。この三つの玉を渡す理由は主人公を試すのか、或いは利用するのかはダークトリニティにも分からないと語っている。
2012年8月5日のポケモンセンターヨコハマで開催された「『ポケットモンスターブラック2・ホワイト2』発売記念ファンミーティングinポケモンセンター」で初期設定の一部が明かされた(全てが決定稿となっているかは不明)。
初期設定によると、
- 本名はゲーツィス・ハルモニア・グロピウス(増田順一氏曰く、音楽用語では「ゲーツィス」が正しいのだが、呼びにくいため「ゲーチス」にしたとのこと)。
- 恐ろしい、というイメージで作られた。
- 右目を縁取るような傷がある。
- 右手は負傷、見たことのある者はいない
- ダークトリニティは七賢人として活動する前に助けた。
とのこと。
右半身に関しては過去に何かあったのは間違いないようだ。
ブラック2・ホワイト2
前作でアデクとチェレンに捕まったものの、ダークトリニティに救出され、その後2年間はいずこかに潜伏していたらしい。
彼やNの話はホドモエシティ等で聞く事ができる。また、Nとの会話では彼はゲーチスによって拾われたということが明らかになった。
他にも愛の女神・平和の女神も孤児であり、彼女たちはNの世話をするために集められた孤児だったという。
衣装はローブから黒ずくめの物に変わり、コートには縦向きの目のような模様が描かれているほか、操舵輪を模したと思しき杖(取手にプラズマ団の紋章が有る)を突いている。
登場するのは終盤、ジャイアントホールに着陸したプラズマフリゲートの最奥部の部屋。プラズマ団のリーダーの座はアクロマに任せ、捕獲したキュレムを利用し、今度は力によるイッシュの直接的支配を目論んでいた。
しかし前作のような余裕綽々とした表情は無く、戦闘時のモーションでは激しく杖を叩きつけ、息を切らす描写がある。
前述の右半身に関しては、モーション上では一切動いておらず、カットインでも口の右側は全く開いていない。精神・肉体共にこの2年でかなり消耗していると思われる。
また、杖にはポケモンを操作する機能とモンスターボールによる捕獲妨害のジャミングを発する機能がある。また、よくそれで地面をカンカンと突く。
主人公、そしてキュレムを救いに来たNと対峙するも、彼の「トモダチ」であるゼクロム/レシラムとキュレムをいでんしのくさびの力で強制的に融合させ、ブラックキュレム/ホワイトキュレムと化させ主人公を襲わせる。
(この際、上記の杖の影響でキュレムは捕獲不可能である)
主人公の手でキュレムを倒され、ゼクロム/レシラムを分離させられるや否や、追い詰められたゲーチスは主人公と直接対決することになる。
主人公が戦闘に勝利するとゲーチスは2年前と同じく無名のトレーナーに計画を潰されたことに憤り、完全に精神を取り乱してしまう。
Nが説得するも、最早正気を失った彼は「黙れ!黙れ黙れ黙れいっ!!ポケモンと話せる化物が!人間の言葉を語るな!!」と聞くはずもなく、ダークトリニティに連れられ退場した。
クリア後にセッカシティで彼の行く末をダークトリニティに尋ねることができるが、どうやらその後は完全に精神破綻を引き起こしてしまったらしく、彼ら曰く「もう何も出来ない」とのことで、結局彼がNと和解する事は最後まで無かった。
ウルトラサン・ウルトラムーン
2017年発売の『ポケモンUSUM』では、レインボーロケット団のメンバーとして登場。服装はブラック・ホワイト版のものになっている。
彼も他の歴代ボス達と同様、突如異世界から飛ばされてきた存在の一人である。
ゲーム中では他の歴代ボス達4人を撃破してきた主人公とリーリエの前に登場(彼は最初から自室(元ルザミーネの部屋)におらず、サカキの部屋(元コレクションルーム)から姿を現す)。
自身が異世界に飛ばされたのは、元いた世界と同様に異世界のトレーナー達からもポケモンを開放し、全ての世界で自分だけが力を持つためだと推測し、そのために純粋な悪の思想を持つレインボーロケット団の首領であるサカキを傀儡の王として操り利用しようと目論んでいた。曰く「目的がわかりやすい人間は、心を持たぬ化け物よりはるかに制御しやすい」との事。
そして自身の野望の邪魔をされては困るという理由から、主人公にバトルを挑んでくる。
主人公が勝利すると『BW』や『BW2』の時と同様、どこの誰とも知らない無名のトレーナーに負けたという事実に激しく取り乱しながらも、決して自身の負けを認めようとはせず、それどころかリーリエを人質に取って主人公にモンスターボールを全て捨てさせようと卑劣な手段に出る。
しかし、アクロママシーン1102号で姿を消して行動していたアクロマにリーリエを助け出された事で失敗に終わり、最後はアクロママシーンの力で次元のチャンネルを合わせられ、元いた世界に強制送還された。
ゲーチスが元の世界へ帰された後、アクロマはゲーチスの事を「野心に見合った実力の恐ろしい男」と称しており、敗北を知った彼が元いた世界でも大人しくなってくれる事を祈っている。
戦闘BGM
ブラック・ホワイト
ラスボス戦に使われる専用BGMはこれまでのポケモンの戦闘BGMとはテンポも長さも大きく異なり、黒幕らしくダークな曲調となっている。
前述のとおり、ゲーチスの名前の由来はソの増4度を表すドイツ語「G-Cis」からで、彼の戦闘BGMもこの音をメインに作曲されているらしい。
ちなみに、ニコニコ動画などでゲーチス戦の曲が流れる場合、ある一節で
「(゜∀゜)o彡゜ゲーチス!(゜∀゜)o彡゜ゲーチス!」
という弾幕が張られることが多い。
ポケモンのBGMでコーラスが入るのはこれが初めてである。また太鼓ではなくティンパニという音程がある特殊な太鼓である。
ブラック2・ホワイト2
戦闘曲は前作と同じくゲーチスのテーマだが前作よりもテンポがかなり速くなっており、
イントロから「(゜∀゜)o彡゜ゲーチス!(゜∀゜)o彡゜ゲーチス!」とコーラスが入る。
(これにかけて「出ゲチ」等と呼称され、ニコニコ大百科にまで載っている)
また、疾走感溢れるドラムとインパクト抜群なコーラスから「ゲーチス音頭」と呼ばれることも。
BWの戦闘BGMは「余裕たっぷりでまさに真の黒幕」な感じの曲だったが、BW2の戦闘BGMは「またしても自分の野望が砕かれるかもしれない」という焦りや正気を失いつつある彼の狂気を感じさせる曲になっている。
ウルトラサン・ウルトラムーン
ゲーチスの姿が『ブラック・ホワイト』のものであるため、BGMもブラック・ホワイト版がベースになっている。「(゜∀゜)o彡゜ゲーチス!(゜∀゜)o彡゜ゲーチス!」のコーラスはやはり健在。
ポケモンマスターズ
ゲーチスが『BW2』準拠のため、こちらはUSUMとは逆に『BW2』版をベースにしている。サウンドの進化により、かなり豪華なコーラスが聴ける。
所持ポケモン
ブラック・ホワイト
名前 | レベル | タイプ | 使用技 |
---|---|---|---|
デスカーン♂ | Lv.52 | ゴースト | どくどく・まもる・サイコキネシス・シャドーボール |
バッフロン♂ | Lv.52 | ノーマル | じしん・ワイルドボルト・どくづき・アフロブレイク |
ガマゲロゲ♂ | Lv.52 | みず・じめん | あまごい・ヘドロウェーブ・だくりゅう・じしん |
キリキザン♂ | Lv.52 | あく・はがね | ストーンエッジ・シザークロス・つじぎり・メタルバースト |
シビルドン♂ | Lv.52 | でんき | アクロバット・かみくだく・かえんほうしゃ・ワイルドボルト |
サザンドラ♂ | Lv.54 | あく・ドラゴン | りゅうのはどう・なみのり・だいもんじ・きあいだま |
対策
全体的にかくとうタイプのわざに弱いポケモンが多いが、どのポケモンも弱点が少なく、こちらの手持ちが偏っていると確実に苦戦する。
初手はデスカーンであり、こちらは最初のポケモンがレシラムやゼクロムである場合が多い。相性的には悪くはないが、どくどく無効・ゴースト、エスパー半減のはがねタイプに変えて、その隙に積み技で強化したほうが後々を考えると有効。火力は少ないので、毒を回復しステータス強化をして後々に備えることもできる。
バッフロンはアフロブレイクによる大ダメージ攻撃に注意が必要である。弱点もかくとうのみであり、かくとうタイプの技が無いと少々厄介である。
ガマゲロゲはくさタイプ4倍なのでくさタイプの技さえあればそこまで苦労はしないのだが、くさタイプ以外に弱点がないため持っていない人は苦労する。
シビルドンは特性ふゆうのせいで弱点を突けないとはいえ、鈍足で耐久も並であり、押し切る事も可能である。ただし、でんきはもちろんのこと、ほのお、ひこう、あくタイプが弱点のポケモンは避けるように。
キリキザンに至ってもかくとう4倍であることを利用するか、ほのお・じめんタイプの技で力押しをすれば良い。ただし耐性の高い属性が多いため、弱点で押せない場合は厄介である。特にメタルバーストの返しには要注意。
最大の強敵はサザンドラである。ドラゴン・ほのお・みず・かくとうの特殊技をそろえており、高い素早さで的確にこちらの弱点を突いてくる。直前で捕獲したレシラム/ゼクロムに関しては仲間に出来た後にNとゲーチスの連戦に入る都合上経験値を稼いで鍛える余裕がなく、確実にサザンドラより遅いため返り討ちは必至。
「こいつ一体でパーティーが壊滅した」という報告も少なくなく、その脅威はみんなのトラウマの仲間入りするほど。持ち主に似て非情で凶悪である。
そのトラウマっぷりたるや、発売後に『6Vかつ努力値が特攻と素早さに振り切られている』というデマが流れたが、しばらくの間それが本気で信じられていたほどである。(これはいわゆる『残6』の行方が迷子という点を除けばガチ対戦でも普通にあり得る類の調整で、仮に事実だったとしたら冗談抜きで殺意のあふれる調整と言えるだろう。実際にはラスボス枠の切り札でお馴染みである6V止まりだったようだが…)
対策としてはがんじょう持ちや素早いポケモンの格闘や氷の技で着実にしとめたい所。ストーリー序盤で出てくるダゲキはその条件をほぼ満たしており、バッフロンやキリキザンにも有効打をうてる。
ブラック2・ホワイト2
名前 | レベル | タイプ | 使用技 |
---|---|---|---|
デスカーン♂ | Lv.50 | ゴースト | どくどく・まもる・サイコキネシス・シャドーボール |
ドクロッグ♂ | Lv.50 | どく・かくとう | かわらわり・ふいうち・どくづき・シャドーボール |
ガマゲロゲ♂ | Lv.50 | みず・じめん | ドレインパンチ・ヘドロウェーブ・だくりゅう・じしん |
ドラピオン♂ | Lv.50 | どく・あく | じしん・シザークロス・つじぎり・どくどくのキバ |
シビルドン♂ | Lv.50 | でんき | アクロバット・かみくだく・かえんほうしゃ・10まんボルト |
サザンドラ♂ | Lv.52 | あく・ドラゴン | いわなだれ・ドラゴンダイブ・かみくだく・やつあたり |
ブラックキュレム/ホワイトキュレムを倒すと、バトルする事になる。
前作とは異なり、バッフロンとキリキザンがドラピオンとドクロッグに入れ替わっている。
そして前作で多くのプレイヤーに恐怖を刻み込んだサザンドラも健在。
今回のサザンドラはいのちのたま持ちで、技は物理一本仕様になっている。前作よりはマシだがそれでも注意は必要。
サザンドラがやつあたり(威力最大)を覚えている事から彼のポケモンに対する態度が窺える。悪の組織の首領とは言え、懐き進化するポケモンを手持ちに加えているなど自身のポケモンに対する愛情やカリスマを演出される例は少なくないのだが、それとは対照的と言えるだろう。
特殊から物理に変わった上に岩技の習得までしたので、前作のように対サザンドラにウルガモスを持って来るのは危険。
なお、ポケモンシリーズに登場する悪の組織のボスまたは黒幕で合計6体持っている人物は第9世代を含めてもゲーチスのみであり、弱点の少なさとサザンドラをはじめとした強いポケモンを持っていることから「ポケモン悪の組織最凶」というファンもいるとか。
USUM(レインボーロケット団)
名前 | レベル | タイプ | 使用技 | 備考 |
---|---|---|---|---|
デスカーン♂ | Lv.66 | ゴースト | おにび・パワージェム・あくのはどう・シャドーボール | |
バッフロン♂ | Lv.66 | ノーマル | じしん・メガホーン・どくづき・アフロブレイク | |
キリキザン♂ | Lv.66 | あく・はがね | ストーンエッジ・シザークロス・つじぎり・アイアンヘッド | |
サザンドラ♂ | Lv.66 | あく・ドラゴン | りゅうのはどう・なみのり・ハイパーボイス・あくのはどう | |
ゼクロム | Lv.68 | でんき・ドラゴン | らいげき・ドラゴンクロー・ハイパーボイス・しねんのずつき | ウルトラサンのみ |
レシラム | Lv.68 | ほのお・ドラゴン | あおいほのお・ドラゴンクロー・ハイパーボイス・しねんのずつき | ウルトラムーンのみ |
本人の服装と同じくブラック・ホワイトに準拠。
レインボーロケット団のボスキャラクターで唯一、伝説ポケモンがソフト名の並びと対応していない(原作設定に則るなら、主人公がいない以上ストーンを覚醒させられなかったのかもしれない)
因みにレシラムが「あおいほのお」、ゼクロムが「らいげき」を覚えているが、両者とも本来の習得レベル(第7世代当時)は100である。戦闘用に調整された特別な個体だったのか、或いは元居た並行世界ではもっと早く覚えられるのだろうか?
アニメ版
アニポケ
CV:相沢まさき
「ベストウイッシュ シーズン2」における「エピソードN」第4話で初登場。
衣装はBW2版の黒服(Nが幼い頃からこの格好だったらしい)で、原作と違い明確にボス(総帥)という設定である。
アクロマの事を「アクロマ君」、あるいは「ドクター・アクロマ」と呼んでおり、下っ端を各地に配置させてイッシュ征服の計画を進める傍ら、Nの事も捜していた。
しかし、作中ではプラズマ団の総帥であるにも拘らず活躍の場は乏しく、Nやアクロマの方が目立っていた感があり、しかも最終的には普通に逮捕されて呆気なく出番終了というあんまりな扱いになってしまった。
更にサザンドラ等の手持ちポケモンを使用する描写も無く(というかゲーム通りポケモンを所持していたかどうかも怪しい)、本性を現す描写も無かった。
このような事になってしまった原因としては、恐らく放送予定だったエピソード「ロケット団vsプラズマ団!(前編・後編)」が大地震によりお蔵入りになり、ストーリーを大幅改変してしまったのが理由の一つである可能性が高い。
ポケモンジェネレーションズ
CV:速水奨
第15話「帰還」に登場。容姿とストーリーは『ホワイト2』準拠。
レシラムとキュレムを融合させNを襲わせようとするが、彼に「父さん」と呼ばれ激昂。
再びホワイトキュレムをけしかけるが、そこへゼクロムと共に『BW』の男主人公が駆けつける。
ポケモンエボリューションズ
CV:子安武人
第4話「ザ・プラン」に登場。ストーリーは『ブラック』準拠。
ゲーチスのモノローグ(ナレーション)と共に、彼の計画の様子が幼少期のNを見つけた時点からNと女主人公が戦う直前の場面まで描かれている。
『BW』のOPムービーにあった戴冠式も映像化されており、そちらでは黒塗り表現がされていたゲーチスの右手は、今回は黒い手袋をしているという設定で描かれた。
また、作画もOPムービーに寄った絵柄となっている。
ちなみに幼少期のNと出会った際はトレンチコート姿というごく普通の格好をしていた。
ポケスペ版
10章のブラック・ホワイト編で登場。原作以上に温和な外見に反して内心はドス黒い。
Nの城にて激闘を繰り広げ、紙一重でNに勝利したブラックが疲弊した直後にプラズマ団の王が敗北したと大衆に知られるわけにはいかないため、本気でブラックを殺しにかかる。
後述するが手持ちのポケモンも全てブラックの手持ちが苦手とするタイプで固められており、更には炎で逃げ場を無くして有利な状況を作り出す。
「王が負けたという真実」を消し「プラズマ団のみがポケモンを使う理想」を語り、それについてNは知っているのかというブラックの問いには、
「知ってるわけないでしょう。彼はただの『かざり』です」
と、駄々っ子を甘やかす困った親のような、慈愛すら覚える表情でのたまった。
流石のブラックもこれには激怒し、僅かな隙を突かれて逆転されてしまい、全てのポケモンを倒され逃げようとするもストーンエッジの檻で逆に逃げ場を失う。
しかし盟友のオーベムのテレポートで秘かに脱出し、ライトストーンに戻るレシラムにブラックを押し付け封じ込めることに成功。ライトストーンが何処かへ飛び去る隙に姿を消した。
第11章BW2編では原作設定に則ってか身体が不自由なようで、基本的にプラズマフリゲート内でシルエットのみの出番が多かった。
終盤、ジャイアントホールでプラズマフリゲート内に乗り込んできたアデクたちを迎え撃つもファイツたちが機関室に着いた時は既に、戦闘シーンすら描かれることなく手持ちたちは敗れていた。
そして機関室下部の、大量のモンスターボールが集められた隠し部屋にて遂にその姿を現す。
ハンサムによって逮捕されかけるが、「生きて虜囚の辱めを受けるくらいなら今ここで夢と共についえる」と宣言してプラズマフリゲートを自爆させる。
船底に空いた穴から落ちたポケモンの入ったボールたちはホワイトキュレムの作った氷の滑り台で助かり、ゲーチス本人はすんでのところでNによって手を掴まれ一命を取り留めた。
まだ自分のことを父と呼ぶのかと問うゲーチスに、「道を違えることにはなってしまったが、飢えと寒さで死にかけていた自分を救ってくれたあなたに感謝し父として愛していることに変わりない」とほほ笑むN。だが……。
「手を放せ…」
「ワタクシに触るな! バケモノ」
原作ゲームと違いそれまで一片たりとも表情を変えず微笑を絶やさなかった彼が、始めて激情を表に出し表情を憎悪に歪ませる。
「バケモノの分際でワタクシの恩を仇で返し、」
「バケモノの分際でワタクシを父として愛しているだと!?」
「虫唾が走るわ!」
片手に握った杖でNの頭を何度も、何度も殴打しゲーチスは罵倒する。
「ふはははははははははは!」
頭部から出血するほど殴られたことで気を失ったNの手が離れ、落下しながら高笑いするゲーチス。だがそれを許さぬゼクロムに空中で捕まったことで、結局自害は叶わなかった。
国際警察に連行される直前、ブラックとホワイトに理想が潰れたと言われるも、冷静さを取り戻したのか言葉尻を捕らえ「苦い『真実』を直視できない衆愚は、たとえそれが虚飾であっても甘美な『理想』を唱える指導者を求めている。今はワタクシにNOと突き付けた者が再びワタクシを歓迎する時が見えます」(意訳)と言ってほくそ笑む。
だがファイツの「ニンゲンは騙せても、あなたに利用されたポケモンたちはあなたを決して忘れないし許さない」と言われ、自分を睨み付ける周囲のポケモンたちの視線に耐えられなかったのか再び狂ったように笑いながら連行されていった。
ポケスペでの所有ポケモン
(矢印はそれぞれ戦った相手)
見ての通り、全てブラックの手持ちに対し有利なタイプのポケモンを選んでいる(そのためかバッフロンが外されている)。
特にウルガモスは最初、夕陽を背に天井に空いた穴から炎の鱗粉をまき散らしていたためブラックはサザンドラの炎と勘違いし苦戦を強いられた。
だがシビルドンが一体で二匹を相手にしていたことが唯一手薄と見透かされ強引に突破、その隙にムシャに頭の中の雑念を食べてもらったおかげで炎の正体=ウルガモスを見抜き、一気に形勢逆転され敗退した。
11章ではドクロッグとドラピオンも加わったがアデクにあっさりやられたようである。
なお、ウルガモスがやられた時は「こんなにあっさりやられるとは」と失望したような台詞を吐いたり、11章でも倒れたサザンドラを足蹴にしている様子があることから、ポケモンを完全に道具同然に見ていることが判る。
ポケモンマスターズ
CV:花田光
バディはキュレム。こおりタイプのテクニカル。
伝説ポケモンイベント「黒白の親子が求めた解」をクリアするとチームに加入する。
服装と設定は『BW2』準拠。フーパの力で単身パシオに飛ばされてきた。
当初はNに「ワタクシと本当の親子になってくれませんか?」と語りかけるなど反省する素振りを見せており、その言葉を聞いたNは大いに迷うことになる。
しかし、本心ではNのゼクロムをキュレムと融合させることを狙っており、さらにサカキと手を組む傍ら互いに利用しようと目論んでいたが、結果的に対立。
「ゲーチスを助けることに繋がろうとキュレムを助けたい」と考えたNやキョウヘイと共闘することに。(ちなみにこの時オート戦闘に切り替えると、キョウヘイとウォーグルが急所攻撃を連発する一方でゲーチスやNの動きは少なく、本イベントの主役であるはずのゲーチスが一人真っ先に撃沈されたりする)
窮地を切り抜けた後、Nの迷いを傍らで見ていたキョウヘイから「Nと並んで戦い何かを感じたのなら今からでも考え直してくれ」と告げられたゲーチスは、
「フッハッハッハッハ! どこまでも おめでたい 奴らだ!」
「ワタクシと アナタたちは 利用する者と される者の 関係! 今までも これからも!」
「それを 維持できるなら どんな形でも 大いに結構!」
「なんだって やってやりますよ! 味方でも 仲間でも 親子でもねえ!」
「ハッハッハ! さらばだ! ワタクシの 愛しき 道具たちよ!」
と、相変わらずの外道そのものたる言葉を投げつけると、キュレムと共にどこかへ去ってしまう。
キョウヘイたちは唖然とし、主人公のセリフの選択肢には(かける言葉が見つからない)と出たほどだった。
そんな中でもNは「優しいトモダチやポケモンに囲まれて自分は恵まれている」と考える。だがその傍らで「満足だと思わないといけない」「それでもなんて望んではいけない」と、どこか割り切れていないような複雑な思いを心中で吐露し終幕となる。
その直後に前述の場面で流れていた悲しげなBGM(「揺れぬ思い」のアレンジ)の中ポリゴンフォンがコールしゲーチスの加入演出が入るという今までになく後味の悪い加入となった。
ちなみにイベント開始日が5月4日ということでゴールデンウィークならぬ「GW(ゲーチスウィーク)」などと呼ばれたことも。さらに翌日は5月5日こどもの日であり、ストーリーを思うと何とも皮肉なことになっている。
また、彼はマルチバトルでの交代時に他の悪の組織ボスも含めたバディーズたちと異なり、バディを戻したモンスターボールをチラリとも見ない。
その代わり、絶対仕留めると言わんばかりに対戦相手を凝視し視線を外さないでいる。
そんな彼がなぜバディとの信頼必須なバディーズ技を使えるのかという疑問も出そうだが、これについては「そういう意味(=道具として)では確かに信頼していますよ」という本人のセリフがある。
能力
相手の素早さが下がっているほど技の威力が上がるパッシブスキルとバディーズ技を持っているため、積極的にデバフをかけていこう。
ただし「こごえるせかい」は最大威力186の全体攻撃で素早さデバフ付きとなかなかの迫力だが、技ゲージを4も消費するのが難点。また「ふはは!」は急所率1段階と特攻を最大3段階上げるが、特攻の上昇率は自身の残りHPの低さに依存するため安定しない。
そこで、特攻上昇と技ゲージ回復を任せられて「イッシュ」タグも揃えられるメイとのチームの組み合わせも公式アカウントで一応お勧めされてはいるのだが、原作の展開を考えると果たして本人たちは平気なのだろうか…。
余談
ちなみに、サザンドラのすばやさ種族値『98』に対し、ゲノセクトのすばやさ種族値は『99』である。
しかも虫技に不一致とはいえテクノバスター(氷)やれいとうビームまで覚える上にサザンドラの攻撃は炎わざしか効果抜群が無いので、この妙な優勢度から一部のファンからは『プラズマ団の研究者がゲーチスにクーデターを起こす気でゲノセクトを造ったのでは?』と推測している。
また、プラズマフリゲート内のゲーチスの部屋のモニターは、ジャイアントホール停泊時には映像が流れていたが、15枚のモニターの内9枚がスノーノイズ状態となっており、クリア後にプラズマフリゲートがP2ラボに停泊している際に再びゲーチスの部屋を訪れると全ての画面がスノーノイズ状態となっているなど、ゲーチスの精神状態を暗示している様にも見える。
関連イラスト
サザンドラとともに描かれていることも多い。
BW版モチーフ
BW2版モチーフ
関連タグ
ポケモン ポケモンBW ポケモンBW2 悪の組織ボス(ポケモン)
プラズマ団 N(トレーナー) アクロマ ダークトリニティ キュレム
サザンドラ(切り札)
サカキ…同じく子持ちの悪の組織ボス。
ルザミーネ…同じく子持ちの黒幕。
ポケモンSVネタバレ注意…シリーズ本編におけるチャンピオンではないトレーナーのラスボス。
ワルダック、デスゴルド…外伝作に登場するエンディング前のラスボス。どちらも悪の組織の影のボスとして暗躍している。
LEGENDSアルセウスのネタバレ注意…慇懃無礼な黒幕繋がり。
歴代の悪の組織ボス
プラズマ団:ゲーチス第五世代
マクロコスモス:ローズ第八世代
麻原彰晃…現実世界におけるカルト教団の教祖。教祖である他、髪型、謎のカリスマ性、洗脳の使い手である、名前を連呼するキャラソンが存在する、最初は合法的な支配を狙いそれが失敗すると武力行使に走った上それも失敗すると発狂し廃人になるという事件全体の顛末など、妙に似ている部分が多い。